(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】X線CT撮像方法、インタフェースシステム、および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/14 20060101AFI20220310BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
A61B6/14 300
A61B6/03 360Q
A61B6/03 360P
A61B6/03 360G
A61B6/14 ZDM
(21)【出願番号】P 2019572666
(86)(22)【出願日】2017-06-30
(86)【国際出願番号】 IB2017001010
(87)【国際公開番号】W WO2019002904
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】508143775
【氏名又は名称】トロフィー エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルレ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】アルリック,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ラガルデール,オード
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0178917(US,A1)
【文献】国際公開第2009/091200(WO,A2)
【文献】特開2006-305204(JP,A)
【文献】特開2016-119950(JP,A)
【文献】特開2011-098047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CT撮像によって患者の顎顔面領域の放射線画像を取得するための方法であって、
-X線CT撮像装置によって患者の顎顔面領域に関するデータセットを取得することと、
-前記取得された同一のデータセットから2種類のデータボリューム、すなわちいずれも同一の前記顎顔面領域に対応するFDKボリュームおよびMAR(金属アーチファクト低減)ボリュームを再構成することと、
-前記FDKボリュームおよび前記MARボリュームのうちの第1の種類のデータボリュームによって前記患者の顎顔面領域の少なくとも1つのスライスを表示することと、
-前記表示された少なくとも1つのスライスにおける、前記第1の種類のデータボリュームの第1の部分に対応する関心領域(ROI)を選択することと、
-前記選択されたROI内に、第2の種類のデータボリュームの第2の部分を表示することであって、前記患者の顎顔面領域の前記少なくとも1つのスライスが前記第1の種類のデータボリュームによって表示されると同時に、前記ROIが前記第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分によって表示されることと
を備える方法。
【請求項2】
前記選択されたROI内に、前記第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分を表示する前に、前記選択されたROIに対応する、前記FDKボリュームおよび前記MARボリュームのうちの前記第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分を決定することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者の顎顔面領域の前記少なくとも1つのスライスは、冠状ビューにおけるスライス、
体軸ビューにおけるスライス、および矢状ビューにおけるスライスを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ROIは、前記3つのスライスのいずれかから選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記表示された同一のROIを有する同一のビュー内に、以前の前記少なくとも1つのスライスの代わりに他の平行スライスを表示することを更に備える、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記選択されたROI内に、前記第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分を表示することは、前記第1の種類のデータボリュームの前記第1の部分を、前記第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分と入れ替えることを備える、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記選択されたROI内に、前記第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分を表示することは、前記第1の種類のデータボリュームの前記第1の部分に、前記第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分を重畳することを備える、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記表示された少なくとも1つのスライス上に、前記少なくとも1つのスライスを表示するために用いられた前記データボリュームの種類を表すインジケータを表示することを更に備える、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ROI内に表示された前記データボリュームの種類を表すインジケータを表示することを更に備える、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記表示された少なくとも1つのスライスにおいて前記ROIを選択することは、事前に比較ツールFDKボリューム/MARボリュームをアクティブ化し、前記表示された少なくとも1つのスライス上で、前記選択されたROIに対応する前記スライスのゾーンへポインティングデバイスを動かすことを備える、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ROIを含む前記患者の口の前記少なくとも1つのスライス全体が前記第1の種類のデータボリュームによって表示されるように、前記FDKボリュームおよび前記MARボリュームのうちの第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分を前記選択されたROI内に表示することを中断する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記ROIは、明らかな輪郭によって境界付けられる、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記境界付けの輪郭は、調整可能なサイズを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
-患者の顎顔面領域の放射線画像を表示するためのディスプレイアセンブリと、
-前記ディスプレイアセンブリと協働する、前記表示された画像上のゾーンを選択するためにユーザによって操作され得るユーザインタフェースアセンブリと、
-X線CT撮像による同じ前記顎顔面領域の再構成データボリュームにそれぞれ対応するFDKボリュームおよびMAR(金属アーチファクト低減)ボリュームのうちの第1の種類のデータボリュームによって前記患者の顎顔面領域の少なくとも1つのスライスを前記ディスプレイアセンブリに表示し、
-前記表示された少なくとも1つのスライスにおいて、前記ユーザインタフェースアセンブリを介してユーザによって選択され、前記第1の種類のデータボリュームの第1の部分を含む関心領域(ROI)を識別し、
-前記患者の顎顔面領域の前記少なくとも1つのスライスが前記第1の種類のデータボリュームによって表示されると同時に、前記ROIが第2の種類のデータボリュームの第2の部分によって表示されるように、前記選択されたROI内に、前記第2の種類のデータボリュームの前記第2の部分を表示する
ように構成されたプロセッサと
を備えるX線CT撮像インタフェースシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムを備えるX線CT撮像装置であって、
-X線CT撮像取得プロセスによって前記患者の顎顔面領域に関するデータセットを取得し、
-前記取得された同一のデータセットから前記2種類のデータボリューム、すなわちいずれも同一の前記顎顔面領域に対応する前記FDKボリュームおよび前記MAR(金属アーチファクト低減)ボリュームを再構成する
ように構成されたX線CT撮像装置。
【請求項16】
コンピュータまたは制御アセンブリに、請求項1~13のいずれかに記載の方法を実行させるための命令が格納されたコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に歯科用X線撮像に関し、特に、X線CT(コンピュータ断層撮影)撮像の分野に関する。より具体的には、本開示は、X線データ取得によって患者の口の放射線画像を取得するための方法、X線CT撮像インタフェースシステム、およびX線CT撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT撮像によって患者の顎顔面領域の放射線画像を取得するための従来の方法は一般に、
-X線CT撮像装置によって患者の顎顔面領域に関するデータセット(2D投影図)を取得することと、
-取得したデータセットにデータ処理が行われた後、患者の顎顔面領域の放射線3D画像を再構成することと、
-後続する施術者による解釈のために再構成された歯科用画像を表示することと
を備える。
【0003】
たとえば金属インプラントなど、患者の顎顔面領域における金属の存在は、歯科用画像の視覚品質および解釈性に重大な影響を及ぼし得る。
【0004】
この点に関して、多くの場合、金属ストリークアーチファクトを効果的に低減し、コントラスト対ノイズ比を改善するために、金属アーチファクト低減(MAR)アルゴリズムが用いられ得る。
【0005】
ただし、MARアルゴリズムは、金属によって生じるものに近い情報も生成し得る。患者の口内の金属再分配に依存して、その後、コントラスト対ノイズ比が低減され得る。この点に関して、FDKアルゴリズムは、MARアルゴリズムに関連する欠点を回避するために用いられ得る。
【0006】
上述したように、施術者は、誤診断を回避するために、第1のFDKボリュームによって再構成された第1の画像および第2のMARデータボリュームによって再構成された第2の画像という、比較のための2種類の画像を必要とする。そのような方法は、それらの特定の応用においてある程度の成功をもたらし得るが、2種類の画像の比較を簡単にする必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、施術者のタスクを簡単にすることである。
【0008】
本開示の他の目的は、第1のFDKデータボリュームによって再構成された第1の画像と第2のMARデータボリュームによって再構成された第2の画像との比較を簡単にすることである。
【0009】
本開示の更なる目的は、施術者の誤診断を回避することである。
【0010】
これらの目的は、実例によってのみ示され、そのような目的は、本発明の1または複数の実施形態の典型例であってよい。本発明によって固有に実現される他の望ましい目的および利点が、当業者には想起され、明らかになり得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の1つの態様によると、X線CT撮像によって、より具体的にはCBCT(コーンビームコンピュータ断層撮影)撮像によって、患者の顎顔面領域の放射線画像を取得するための特定の典型的な方法および/または装置の実施形態が提供され、そのような典型的な方法および/または装置の実施形態は、
-X線CT撮像装置、より具体的にはCBCT撮像装置によって患者の顎顔面領域に関するデータセットを取得することと、
-取得された同一のデータセットから2種類のデータボリューム、すなわちいずれも同一の顎顔面領域に対応するFDKボリュームおよびMAR(金属アーチファクト低減)ボリュームを再構成することと、
-FDKボリュームおよびMARボリュームのうちの第1の種類のデータボリュームによって患者の顎顔面領域の少なくとも1つのスライスを表示することと、
-表示された少なくとも1つのスライスにおける、上記第1の種類のデータボリュームの第1の部分に対応する関心領域(ROI)を選択することと、
-選択されたROI内に、第2の種類のデータボリュームの第2の部分を表示することであって、患者の顎顔面領域の少なくとも1つのスライスが第1の種類のデータボリュームによって表示されると同時に、ROIが第2の種類のデータボリュームの第2の部分によって表示されることと
を備える。
【0012】
可能な追加の典型的な方法および/または装置の実施形態特徴または態様として、
-選択されたROI内に、第2の種類のデータボリュームの第2の部分を表示する前に、方法は、選択されたROIに対応する、FDKボリュームおよびMARボリュームのうちの第2の種類のデータボリュームの第2の部分を決定することを備え、
-患者の顎顔面領域の少なくとも1つのスライスは、冠状ビューにおけるスライス、顔面ビューにおけるスライス、および矢状ビューにおけるスライスを備え、
-ROIは、3つのスライスのいずれかから選択され、
-方法は、表示された同一のROIを有する同一のビュー内に、以前の少なくとも1つのスライスの代わりに他の平行スライスを表示することを更に備え、
-選択されたROI内に、第2の種類のデータボリュームの第2の部分を表示することは、第1の種類のデータボリュームの第1の部分を、第2の種類のデータボリュームの第2の部分と入れ替えることを備え、
-選択されたROI内に、第2の種類のデータボリュームの第2の部分を表示することは、第1の種類のデータボリュームの第1の部分に、第2の種類のデータボリュームの第2の部分を重畳することを備え、
-方法は、表示された少なくとも1つのスライス上に、少なくとも1つのスライスを表示するために用いられたデータボリュームの種類を表すインジケータを表示することを更に備え、
-方法は、ROI内に表示されたデータボリュームの種類を表すインジケータを表示することを更に備え、
-表示された少なくとも1つのスライスにおいてROIを選択することは、事前に比較ツールFDKボリューム/MARボリュームをアクティブ化し、表示された少なくとも1つのスライス上で、選択されたROIに対応するスライスのゾーンへポインティングデバイスを動かすことを備え、
-方法は、ROIを含む患者の口の少なくとも1つのスライス全体が第1の種類のデータボリュームによって表示されるように、FDKボリュームおよびMARボリュームのうちの第2の種類のデータボリュームの第2の部分を選択されたROI内に表示することを中断し、
-ROIは、明らかな輪郭によって境界付けられ、
-境界付けの輪郭は、任意のプリセットまたはフリーハンド形状であってよく、
-境界付けの輪郭は、視覚的に連続的または間欠的(たとえば破線)であってよく、
-境界付けの輪郭は、調整可能なサイズを有してよい。
【0013】
本開示の他の典型的な態様によると、X線CT撮像インタフェースシステムが提供され、より具体的には、典型的な方法および/または装置のCBCT撮像インタフェース実施形態は、
-患者の顎顔面領域の放射線画像を表示するためのディスプレイアセンブリと、
-ディスプレイアセンブリと協働する、表示された画像上のゾーンを選択するためにユーザによって操作され得るユーザインタフェースアセンブリと、
-X線CT撮像、より具体的にはCBCT撮像による同じ顎顔面領域の再構成データボリュームにそれぞれ対応するFDKボリュームおよびMAR(金属アーチファクト低減)ボリュームのうちの第1の種類のデータボリュームによって患者の顎顔面領域の少なくとも1つのスライスをディスプレイアセンブリに表示し、
-表示された少なくとも1つのスライスにおいて、ユーザインタフェースアセンブリを介してユーザによって選択され、第1の種類のデータボリュームの第1の部分を含む関心領域(ROI)を識別し、
-患者の顎顔面領域の少なくとも1つのスライスが第1の種類のデータボリュームによって表示されると同時に、ROIが第2の種類のデータボリュームの第2の部分によって表示されるように、選択されたROI内に、第2の種類のデータボリュームの第2の部分を表示する
-ように構成されたプロセッサと
を備える。
【0014】
本開示のまた他の典型的な態様によると、上述のX線CT撮像インタフェースシステム、より具体的には上述のCBCT撮像インタフェースシステムを備えるX線CT撮像装置、より具体的にはCBCT撮像装置が提供され、X線CT撮像装置、より具体的にはCBCT撮像装置は、
-X線CT撮像取得プロセス、より具体的にはCBCT撮像取得プロセスによって患者の顎顔面領域に関するデータセットを取得し、
-取得された同一のデータセットから2種類(または3つ以上)のデータボリューム、たとえばいずれも同一の顎顔面領域に対応するFDKボリューム、MAR(金属アーチファクト低減)ボリューム、および第3またはそれ以上のボリューム再構成を再構成する
ように構成される。
【0015】
本開示のまた他の典型的な態様によると、コンピュータまたは制御アセンブリに、簡単に上述したような典型的な方法および/または装置の実施形態を実行させるための命令が格納されたコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0016】
本発明の上記のおよび他の目的、特徴、および利点は、添付図面に示されるように、本発明の実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになる。
【0017】
図面の要素は、必ずしも互いに一定の比率で拡大縮小されたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る口腔外撮像装置の全体略斜視図を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係るインタフェースX線CT撮像システムの主要な機能部品またはアセンブリを示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る方法のアルゴリズムを示す。
【
図4】
図3の方法の様々なステップまたは態様を示す断面図またはスライスの様々なセットを示す。
【
図5】
図3の方法の様々なステップまたは態様を示す断面図またはスライスの様々なセットを示す。
【
図6】
図3の方法の様々なステップまたは態様を示す断面図またはスライスの様々なセットを示す。
【
図7】
図3の方法の様々なステップまたは態様を示す断面図またはスライスの様々なセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は、本出願の典型的な方法および/または装置の実施形態の説明であり、同じ参照番号がいくつかの図の各々において構造の同じ要素を識別する図面が参照される。
【0020】
図1は、口腔外撮像装置10の実施形態を示す。装置10は、支柱であり得る支持フレーム12を含む支持構造を備える。
【0021】
また支持構造は、縦柱12によって支持または保持され得る水平台14も含む。水平台14は、縦柱12から伸長し、縦柱12に対しほぼ垂直であり得る。水平台14は、縦柱12に対し垂直に動くことができる。
【0022】
より具体的には、水平台14は、固定垂直部12bの上に摺動可能に取り付けられた垂直部12aに固定的に取り付けられる。たとえば、縦柱の背面に位置するたとえば電動式のアクチュエータ(図には示されない)が、水平台14を制御された方法で上下に動かすように命令され得る。
【0023】
水平台14は、ガントリ16を支持してよい。ガントリ16は、支持構造に対して、より具体的には水平台14に対して可動である。ガントリ16は、より具体的には、水平台14に対して回転可能であってよい。ガントリ16は、撮像プロセスの動作中に静止状態であり得る、または選択された撮像プロセスに従っていくつかの所定の軌道のうちの1つを辿り得る回転の縦軸に対して回転可能であってよい。ガントリ16に所与の運動をさせるための既知の駆動機構(図には示されない)は、水平台14内に一体化される。例として、そのような駆動機構は、X、Y平面(たとえばX平面、Y平面、XおよびY平面)に第1の動きを加えるためのモータ、たとえば2つの段階式モータと、(たとえば縦軸Zに対する)回転運動を加えるためのモータ、たとえばブラシレスモータとを含む。
【0024】
ガントリ16は、X線源18およびX線源と対応するように配置された少なくとも1つのX線センサ20の両方を支持する。X線源18および少なくとも1つのX線センサ20は、互いに向き合って配置され得る。ガントリ16は、2つの対向する下向きに伸長するアームを含んでよく、第1のアーム16aは、これに取り付けられたX線源18を支持し、第2の対向アーム16bは、これに取り付けられた少なくとも1つのX線センサ20を支持する。
【0025】
作動時、X線源18はX線ビームを放出し、この場合これは、少なくとも1つのX線センサ20に衝突する前に、患者の顎顔面領域の撮像エリアを放射し得る。
【0026】
本開示の典型的な実施形態において、装置10は、X線CT動作モード、この場合より具体的にはCBCT動作モードで用いられる。装置10は、ボリュームまたはコンピュータ断層撮影を実行し、3D画像を取得するためのX線CT撮像装置、この場合より具体的にはCBCT撮像装置と考えられる。
【0027】
ただし、装置10は、たとえば投影、パノラマ、頭部計測など、1またはいくつかの他の動作モードまたは撮像プロセスに従って機能してもよい。
【0028】
この点に関して、他のセンサまたは他の複数のセンサが用いられてよく、X線は、詮索された動作モードおよび施術者の選択に依存して特定の形状を有する患者の頭部領域(または患者の頭部全体)を照射するようにコリメートされ得る。
【0029】
この典型的な実施形態において、X線ビームは、円錐形または略円錐形(たとえば円錐台形)である。
【0030】
少なくとも1つのX線センサ20は、たとえばボリュームまたはコンピュータセンサ(たとえば長方形、正方形)など、CBCT操作に適合されたセンサ、または上記種類のいくつかのセンサを含む。
【0031】
支持構造は、この場合アームである患者位置決めアクセサリ支持部材22も含んでよい。アーム22は、支持フレーム、より具体的には縦柱12に連結される。患者位置決めアーム22は、支持フレームに対して可動である。より具体的には、アーム22は、たとえば電動式の適当なアクチュエータ(複数も可)によるコマンドに対し上下に動くように、縦柱12に沿って摺動することができる。患者位置決めアーム22は、固定垂直部12bに対し可動(たとえば摺動可能)に取り付けられたアーム支持部22aから伸長する。患者位置決めアーム22は、水平台14の伸長方向に概ね一致する方向に、装置に沿って伸長する。この場合、典型的な患者位置決めアーム22は、水平台14と略平行関係に、装置に対し横向きに配置される。
【0032】
患者位置決めアーム22は、所与の位置で装置に患者を位置決めするために機能する。
【0033】
患者位置決めアーム22は、アームの自由端22bまたはその付近に概ね位置するいくつかの患者位置決めアクセサリの1つを含んでよい。これらのアクセサリはまた、またはあるいは、保持システムとみなされてもよい。これらの患者位置決めアクセサリは、様々な配向に従って患者の頭部の解剖学的構造を位置決めすること、および検査中、起こり得るあらゆる動きを低減するために患者の頭部を部分的に拘束または固定することを可能にする。
【0034】
様々な動作モードに従って装置によって実行される特定の検査の各種類に関して、1またはいくつかの種類の患者位置決めアクセサリが存在する。アーム22は、様々な種類のこれらの患者位置決めアクセサリの各々を、一般に1つずつ収容するように構成される。
【0035】
図1に示すように、24と記されたこれらの患者位置決めアクセサリの1つは、アーム22から上向きに伸長する2つの側頭保持部材を含み、これらはアーム22に取外し可能に取り付けられる。一方の側頭保持部材のみが描写され、他方はアーム16bに隠されている。
【0036】
患者位置決めアクセサリ24は、アーム22から上向きに伸長する顎当て26も含み、顎当て26はアーム22に取外し可能に取り付けられる。顎当て26は、パノラマ検査のために患者の頭部を位置決めするために、2つの側頭保持部材の間に位置する。
【0037】
口を開閉した状態で側頭下顎関節検査を行うための鼻腔支持部、3D検査(嵌合型)のための嵌合支持部、3D検査(前頭部型)のための前頭支持部32など、他の可能な種類の患者位置決めアクセサリが想定され得る。
【0038】
図1に示すように、ハンドルアセンブリ34は、アームの下かつアームと平行関係に、アームの自由端22bに位置し得る。このハンドルアセンブリ34は、静止状態を保つために撮像プロセスを受ける時に患者によって把持され得る2つの縦型個別ハンドル部34a、34bを含む。
【0039】
このハンドルアセンブリ34全体は、水平基部34cおよびアーム22に固定された2つの上向きに伸長する縦型分岐部34a、34bを含むU字形を有する。各分岐部は、縦型ハンドル部の役割を担う。
【0040】
アーム22を操作するために他のアセンブリが代わりに用いられてもよい。
【0041】
患者位置決めアーム22は、モニタまたはディスプレイアセンブリ36も支持してよく、これにより装置の施術者は、そこに表示された画像を検視し、これとインタラクトし、装置の特定の機能を駆動することが可能である。
【0042】
図2は、本明細書における典型的な方法および/または装置の実施形態において用いられ得る主要な機能部品またはアセンブリの概略図である。システム40は、装置10の一部であってもなくてもよい、X線CT撮像インタフェースシステム、この場合より具体的にはCBCT撮像インタフェースシステムである。たとえばシステム40は、装置10のアーム22に位置してよく、あるいは装置に対して遠隔に位置して(たとえば同室内または同室に連結され、あるいは別室または他の場所にあって)よい。
【0043】
1つの典型的な実施形態において、システム40は装置内にあるが、システム40が装置とは別である場合も以下の説明の全てが等しく適用される。
【0044】
システム40は、
図1のディスプレイアセンブリ36に対応し得るディスプレイアセンブリ42、この場合、モニタまたはスクリーンまたはそれらのいくつかを備える。ディスプレイアセンブリ42は、装置10によって実行されたCBCT撮像プロセスによって取得された患者の顎顔面領域の選択された画像を表示してよい。
図2に極めて概略的に示すように、3つの断面
図42a~c(体軸ビュー42a、冠状または前頭ビュー42b、および矢状ビュー42c)および3Dビュー42d(左右)という4つの画像が一度に同じスクリーンに表示され得る。ただし、異なる数(たとえば1、2、3、または4より多い数)のビューが表示されてよく、あるいは同じであるが別の幾何学的配列によるビューが表示されてもよい。
【0045】
システム40は、ディスプレイアセンブリ42に接続された制御アセンブリ44も備える。制御アセンブリ44は特に、プロセッサ、および場合によっては制御システム40が典型的な方法の実施形態を実施するための命令を有するコンピュータプログラムを格納するための1または複数の記憶媒体を含む。プロセッサは、1または複数の記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムを実行すると、本発明に係る方法のステップまたは動作を実行するように構成されるものと考えられる。
【0046】
本出願の態様は、1または複数の記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品にも関する。
【0047】
上述した1または複数の記憶媒体はたとえば、たとえば磁気ディスク(たとえばフロッピーディスクなど)または磁気テープなどの磁気記憶媒体、たとえば光学ディスク、光学テープ、または機械可読バーコードなどの光記憶媒体、たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)または読取専用メモリ(ROM)などのソリッドステート電子記憶デバイス、またはそのようなコンピュータプログラムを格納するために用いられる他の任意の物理デバイスまたは媒体であってよい。
【0048】
制御アセンブリ44は、インタフェースCBCT撮像システム40を動作させる典型的な方法を実施するためだけに用いられ得る。
【0049】
代替または追加として、制御アセンブリ44は、装置10およびその様々な部品/アセンブリの動作を可能にするため、具体的にはCBCT走査を実行し3Dボリューム(3DX-線画像データ)を再構成するために用いられ得る。この点に関して、格納されたコンピュータプログラム(複数も可)は、3Dボリュームを取得するための方法を実施するように装置10を制御するための命令を有する。
【0050】
またシステム40は、ここではCBCT撮像プロセスの行程において装置によって再構成された様々なボリュームのデータを格納する1または複数の外付け記憶媒体46も備える。1または複数の外付け記憶媒体46もまた、上述したものと同じ種類であってよい。
【0051】
1または複数の外付け記憶媒体46もまた、システム40を制御するため、および/または、より一般的には、制御アセンブリ44の1または複数の外付け記憶媒体の代わりに装置10を制御するための上述したコンピュータプログラム(複数も可)も格納してよい。
【0052】
システム40は更に、たとえば施術者または技術者などのユーザが、様々なタスクを実行するために、ディスプレイアセンブリ42と、場合によっては画像処理/アルゴリズムを実行する制御アセンブリ44とインタラクトすることを可能にするユーザインタフェースアセンブリを備える。
【0053】
ユーザインタフェースアセンブリは、たとえばコンピュータマウスジョイスティック、スタイレット、キーパッド、タッチパッドなどのポインティングデバイスであるがこれに限定されない、ディスプレイアセンブリに接続された1または複数のインタラクションデバイス48を含んでよい。
【0054】
タッチスクリーン、スクリーン上のコマンドに表示されたまたは表示され得るツールアイコンなど、他の種類のインタラクションデバイスまたはツール(ユーザインタフェースツール)が代替または追加として用いられ得る。
【0055】
図2は、アクションを選択するまたは起こすために表示された画像とインタラクトするためにユーザによって用いられ得る、表示画像の隣に表示されたいくつかのツールアイコン42eおよび42fを、スクリーン42の左手部分に示す。これらのツールアイコンのいくつかは、たとえば調整機能(たとえばサイズ調整)などの機能を提供するために利用可能であってよい。
【0056】
ツールアイコン42e~fは、ユーザインタフェース技術における当業者に既知である数々の形式のいずれかを用い得る。
【0057】
ここで、対応するコンピュータプログラム(複数も可)のアルゴリズムを示す
図3を参照して、本出願に係る典型的な方法の実施形態が説明される。この場合、典型的な方法の実施形態は、CBCT撮像装置10によって3Dボリュームを取得することを可能にする先のステップも含む。
【0058】
第1のステップS1において、患者の顎顔面領域のCBCT走査が実行される。この走査は、患者の顎顔面領域に対してガントリを回転させること、および患者の顎顔面領域によって減衰される円錐形ビームを受け取るセンサ(複数も可)によって回転運動の行程中に角度方向に離間した投影図のセット(データセットを形成する2D画像)を取得することによって得られる。
【0059】
第2のステップS2は、取得されたデータセットに基づく3D再構成ボリュームである。そのような再構成ステップは、当業者に既知である。この場合、好適には2つの3Dボリュームが、2つの異なる種類のデータボリュームに従って再構成され、
-第1の3Dボリュームは、全ての2D画像に適用されたFDKアルゴリズムまたは方法(最も有名な再構成方法の1つ)(高周波数フィルタリングおよびレトロ投影を含む2段階プロセス)を用いて得られるFDKボリューム(Feldkamp David Kemp)であり、
-第2の3Dボリュームは、金属ストリークアーチファクトを低減するために役立つ既知のMARアルゴリズムまたは方法を用いることによって得られるMARボリューム(金属アーチファクト低減)である。いくつかの典型的な実施形態において、他のまたは追加の(たとえば3つ以上の)既知の再構成アルゴリズムが、後の比較のために用いられ得る。
【0060】
米国特許第6,721,387号は、金属アーチファクトを低減する方法を説明する。
【0061】
要約すると、この典型的な方法の実施形態は、
-一般に知られているフィルタされた背面投影を用いてCBCT撮像システムによって生成された入力投影データから予備画像を再構成することと、
-この画像内の画素の強度値に基づいて予備画像における金属物体を識別することと、
-アーチファクトが補正された最終画像において物体が変更される原因になり得る特性を有する物体の投影図を除去することによって、上記入力投影データから2次投影図を生成することと、
-上記ステップにおいて生成された2次投影データから、先に識別された金属物体の投影図を抽出することと、
-上記入力投影データから上で抽出された金属物体の投影図を除去することによって、補正された投影図を生成することと、
-上記ステップにおいて生成された上記補正された投影図の再構成および上記ステップにおいて識別された金属物体を最終画像に挿入することによって、最終画像を生成することといういくつかの主要ステップを備える。
【0062】
あるいは金属アーチファクトを低減する他の方法は、US2009074278号およびEP1 846 893号において説明されたようなものが想定され得る。
【0063】
次にステップS2は、各々が異なる種類の情報を施術者に提供する2つの異なるボリュームのデータ(FDKおよびMAR)を用いて同じ顎顔面領域を再構成することを可能にする。
【0064】
これら2つの異なるデータボリュームは、たとえば
図2の記憶媒体46に格納される(ステップS3)。
【0065】
したがって、顎顔面領域の各画像または画像部分は、FDKデータボリュームまたはMARデータボリュームのいずれかを用いてディスプレイで施術者に利用可能である。
【0066】
留意すべき点として、ステップS1~S3は、以下のステップとは別に、たとえば時間的に遅延して行われ、および/または個別エンティティによって実行され得る。
【0067】
次のステップS4は、それぞれ体軸ビューにおけるスライス(42a)、冠状ビューにおけるスライス(42b)、および矢状ビューにおけるスライス(42c)に対応する3つの断面
図42a~cを表示するための表示ステップである。これらのビューは、3D再構成ボリューム、すなわちFDKまたはMARボリュームのいずれかによって得られる。あるいは異なる数の断面図が表示されてもよい。
【0068】
1つの典型的な実施形態において、高いコントラスト対ノイズ比のビューおよび低減された金属ストリークアーチファクトを施術者に提供するために、上記断面図を表示するためにたとえばMARボリュームが最初に用いられる。
【0069】
図4は、隣接したツールアイコン42e~fとともにスクリーン上に表示された上述のビューを示す。
【0070】
留意すべき点として、表示された
図42a~cは全て、同じデータボリュームに依存する。最初、表示されたビューは好適には、単一の再構成型式に依存する。
【0071】
施術者は、ユーザインタフェースツール(たとえばマウスのカーソル)によってスクリーン上のビューとインタラクトする時、たとえばマウスホイールを(たとえばボリュームの軸スライスを通って動くように)スクロールすることによって、同じビュー(たとえば体軸ビュー)内の他のスライスを選択し得る。このスライスの変更は、スライスの変更が影響を及ぼし得る他の2つのビューの少なくとも一方に対応する変更をもたらす。
【0072】
加えて、3D画像42dもまた、同時にスクリーン上(左右)に表示され得る。
【0073】
ステップS5は、FDKボリュームとMARボリュームとを比較するために用いられる比較ツールまたはアイコンT(
図2および
図4を参照)を表示するための表示ステップである。
図2および
図4において、このツールTは、たとえば拡大鏡の形状で、利用可能なツールアイコン42fにおいてスクリーン上で常に可視である。異なる実施形態において、このFDKボリューム/MARボリューム比較ツールは、ユーザインタフェースツール(キーパッド、マウスなど)を介したユーザからのコマンド時に表示され得る。
【0074】
インジケータIもまた、各ビュー42a~c(
図2および
図4)に、たとえば各ビューの下部に表示され得る(ステップS6)。そのようなインジケータは、対応するスライスを表示するために用いられるデータボリュームの種類(FDKまたはMARデータボリュームのいずれか)を表す。
【0075】
この典型的な実施形態において、このインジケータは、様々なビューがスクリーン上に表示される時、システム40によってデフォルトで表示され得る。
【0076】
図4において、インジケータは、表示されたデータボリュームの種類の名称、すなわちこの場合はMARに対応する。ただし、代わりに他のインジケータが用いられ、スクリーン上の様々な位置に配置されてもよい。
【0077】
次のステップS7は、ユーザによって比較ツールTをアクティブ化/選択するためのアクティブ化ステップである。このアクティブ化ステップは、たとえばコンピュータマウス48(
図2)などのポインティングデバイスを用いて、マウスのカーソルによって表示された比較ツールTをクリックすることによって行われ得る。
【0078】
その後ユーザは、表示された3つのビュー42a~cの中から自身の選択したビューにカーソルを動かし、ビュー上でカーソルを適切に置くことによって選択されたスライス/ビューにおける関心領域またはゾーン(ROI)を選択する(ステップS8)。
【0079】
その後ユーザは、選択されたスライス/ビューにおけるROIの表示をアクティブ化する(ステップS9)。
【0080】
選択された可能なROIの例は、
図5の表示された体軸スライス42aに示され、ROIの輪郭Oが表示される。この場合、ROIは、円形を有する明らかな連続線によって境界付けられるが、連続または中断線を有する他の代替の形状が用いられてもよい(たとえば長方形、正方形など)。
【0081】
任意選択的なステップS10は、たとえばスライス内に複数の歯を含むように、必要に応じてROIのサイズを調整するために行われ得る。
【0082】
ツールアイコンTがアクティブ化されると、エリアSAは、ツールアイコンTの下に出現し(
図5)、それぞれ小サイズ調整(サイズ縮小)および大サイズ調整(サイズ拡大)に対応する大小の両極端の円の間の水平スライダL上に位置するサイズ調整カーソルCを含む。
【0083】
したがってサイズ調整は、このエリアSAにマウスカーソルを動かし、それをカーソルCの上に置き、マウスの左ボタンを押下してサイズ調整機能をアクティブ化することによって行われ得る。カーソルCは、マウスの左ボタンを押下した状態で、マウスカーソルの動きに依存して左右に動かされる。適当なサイズ調整がアクティブ化されると、マウスの左ボタンは解放され、マウスカーソルは次に、前の選択されたROIのエリアに動かされる。
【0084】
マウスの左ボタンが押下されると、ROI輪郭Oが、所望のサイズで選択された位置に再び出現する。
【0085】
一般的に、ROIサイズの設定は、たとえば画像の中央など、コンピュータプログラム(複数も可)によって定義された所与の位置にROI輪郭を出現させる、たとえばスライダなどの任意の専用機構によって行われてよく、ユーザは、スライダを動かし、ROIサイズへの影響を直接見ることができる。ROIのデフォルトサイズは、コンピュータプログラム(複数も可)によって定義され得る。
【0086】
サイズ調整に関して上述された事項は全て、様々に(たとえば様々なインタフェースツールによって)、かつ他の時間に行われてよい。
【0087】
異なる典型的な実施形態において、ROIサイズは、たとえばキーパッド(
図2のインタラクションデバイス48)のコントロールキーをアクティブ化し、マウスホイールをスクロールすることによって、(マウスの左ボタンが押下された状態で)選択されたROIの外観とともに選択されたビューにおいて直接調整され得る。したがってROIのサイズは、選択されたビューにおいて動的に変化する。
【0088】
任意選択的に、選択されたビューにおける直接的なROIサイズ調整は(その実装および使用されるインタフェースに関わらず)、同時にあるいはわずかに遅延して、スライダL上のカーソルCの位置に対応する変化をももたらし得る。したがってカーソルCの対応する位置の表示が行われる。
【0089】
可能なサイズ調整を伴い、ユーザによって選択されたROIは、第1の種類(たとえばMAR)のデータボリュームの一部を含む。このデータ部分は、第1の部分とみなされ、ユーザの関心対象であると思われる。ただし、この種類のデータボリュームは、ユーザが正しい診断を行うために十分ではない可能性がある。
【0090】
したがって、このROIを、ビューの全体表示を変化させる必要なくユーザに異なる/追加の情報を提供する他の種類のデータボリュームを用いて検視することは、ユーザにとって非常に興味深い。
【0091】
この点に関して、
図3の以下のステップS11において、第2の種類のデータボリューム(この場合、FDKボリューム)における、選択されたROIに対応する第1のデータ部分が、(制御アセンブリ44による)計算によって決定/識別される。
【0092】
次のステップS12は、(明示された輪郭O内に表示される)選択されたROI内で、
図5に示すような、決定された第2の種類のデータボリュームの第2の部分(FDK局所化表示)を表示するために備える。
【0093】
この典型的な実施形態において、この表示ステップは、選択されたROIの輪郭が表示される(S9)のと同時に行われるので、マウスの左ボタンをクリックすることによって命令される。マウスの左ボタンを押下した状態に保つことで、第2の種類のデータボリュームの第2のデータ部分の表示が維持される。
【0094】
よって、ステップS9、S11、およびS12は、同時にまたは実質的に同時に行われる。
【0095】
ただし、異なる典型的な実施形態において、輪郭O内に第1の種類の第1のデータ部分を表示することを含むステップS9が最初に行われ得る。ステップS11およびS12は、その後、他のコマンドまたはインタフェースツールをアクティブ化すると行われ得る。これにより、第2の種類のデータの表示を制御するという利点が提供される。
【0096】
簡単に上述したように、サイズ調整ステップS10は、たとえば第2のデータ部分が輪郭O内に表示された時など、別の時点で実行され得る。したがって、第2の種類のデータの表示は、ユーザに、他のROIサイズを決定させ得る。
【0097】
サイズ調整は、方法の実行中の様々な瞬間に行われてもよい。
【0098】
当然、最初にMARボリュームを表示し、次に局所化FDKボリュームを表示することに関して上述した事項は全て、たとえばFDKボリュームが、画像の視覚品質に影響を及ぼし、解釈上の誤りを招き得る金属パーツを含むという理由で、最初にFDKボリュームを表示し、次に局所化MARボリュームを表示するという逆の状況にも適用される。
【0099】
たとえば、この表示は、
-第2の種類のデータボリュームの第2のデータ部分が第1の種類のデータボリュームの第1のデータ部分と入れ替わる(ステップS12a)、これはたとえば制御アセンブリ44による計算タスクを必要とする、あるいは、
-第2の種類のデータボリュームの第2のデータ部分が、第1の種類のデータボリュームの第1のデータ部分に重畳される(ステップS12b)、これは最も容易かつより迅速な進行方法である
という2つの方法で行われ得る。
【0100】
したがって、患者の顎顔面領域の選択されたスライスは、第2の種類のデータボリューム(この場合、FDKボリューム)の第2のデータ部分によって表示されるROIを除き、第1の種類のデータボリューム(この場合、MARボリューム)によって表示される。これにより施術者は、画像全体に関して他の種類の再構成データボリュームを選択および表示して比較のために何度かそれらを入れ替える必要なく、補足情報を同時に提供する、2種類のデータを同じビュー(結合されたディスプレイ)内に有することが可能である。
【0101】
1つの典型的な方法の実施形態において、重畳データのみが可視である。あるいは、重畳データは調整可能な透明度を有し、調整可能な透明度を有する重畳データとともに第1の種類のデータが部分的に可視であることを可能にする。他の典型的な方法の実施形態において、重畳データのみが存在し、重畳データのみを見るために調整可能な透明度が適用され得る。
【0102】
特定の典型的な方法および/または装置の実施形態は、施術者が診断を行うための時間の利得を提供してよく、また施術者のタスクを単純化する。
【0103】
顎顔面領域の同じスライス上に、第1の種類のデータボリュームによって表示された第1のエリアおよび第2の種類のデータボリュームによって表示された第2の局所化エリア(ROI)の両方を有することにより、従来技術において困難であった比較タスクを(動的に)遂行することも可能である。その結果生じる医療調査、分析、または診断は、より良い品質のものであり得る。
【0104】
留意すべき点として、MAR再構成ボリュームによって表示されたスライスは、アーチファクトを取り除く。ただし、そのようなスライスを検視する際、ユーザは、MAR再構成ボリュームによって消滅し得る解剖学的細部をスクリーン上で検視するために、FDK再構成ボリュームに(より正確には、選択されたROIに対応するFDK再構成ボリュームのデータ部分のみに)局所的に関心を引かれ得る。
【0105】
ユーザはその後、表示された解剖学的エリアへの再構成プロセスの影響を評価するために、2つの再構成ボリュームを動的に比較してよい。
【0106】
図3の典型的な方法アルゴリズムは更に、スクリーン上のビューまたは複数のビューに表示された、データボリュームの種類の第1のインジケータに加えて、ROI内に表示された、データボリュームの種類を表す第2のインジケータを表示することを備えてよく、この第2のインジケータは、ROIの輪郭に隣接した位置、または関心対象ビュー上の他の任意の場所または他のどこかに位置してよい。
【0107】
この典型的な実施形態において、
図5におけるツールアイコンTの拡大鏡の内側は、選択されたROI内に表示されたまたは表示される第2のデータ種類に対応する「FDK」を示す。
【0108】
図3の典型的な方法アルゴリズムは更に、第2の種類のデータボリュームの第2の部分のROI内での表示を中断することを可能にする中断ステップS13も備える。したがってこれにより、第1の種類の第1のデータ部分が再びROI内に表示される。ユーザは、同じROI内で異なる種類のデータを非常に容易に局所比較するために、ステップS12およびS13を数回繰り返すことを選択してよい。
【0109】
実際には、ステップS12は、マウスの左ボタンへの圧力を解放することによりユーザによって非常に容易に行われ得る。マウスのクリックボタンが再び押下されると、S12が再び行われ、以下同様である。
【0110】
この実際的実装は、施術者が分析および/または比較タスクを進めることを非常に容易にもする。
【0111】
他のステップS14は、選択された1つのビューにおいて再構成ボリューム内をナビゲートし、同じ断面図(たとえば体軸ビュー)内で可能な平行スライスの1つを選択することによって関心対象スライスを変更することに備える。
【0112】
このステップによると、選択されたROIは、(様々なスライスをナビゲートする間)各選択されたスライス内に表示されたままであり、第2の種類のデータボリュームの第2のデータ部分がそれに応じて変化する。
【0113】
実際には、このスライス変更は、カーソルが選択されたROI上にあり、クリックボタンが押下されたままである時に、マウスホイールをスクロールすることによって行われ得る。
【0114】
図6は、本発明に係る他の実施形態例を示す。
図2および
図4と同様の患者の顎顔面領域の4つのビュー42a’、42b’、42c’、および42d’(軸方向、冠状、矢状、および3D)が表示される。留意すべき点として、3Dビューの表示は、他の典型的な実施形態および変形例に関して、この場合必要ではない。
【0115】
ここで、冠状ビュー42b’において他のROI’が選択され、表示されたROI’は第2の種類のデータ(FDKボリューム)を含むが、ビュー全体は、第1の種類のデータ(MARボリューム)によって表示される。
【0116】
図7は、体軸ビュー43のみが表示されている、本発明に係る他の実施形態例を示す。この場合、スライス/ビューはFDKボリュームデータである第1の種類のデータによって表示されるが、選択されたROI”は、MARボリュームデータである第2の種類のデータによって表示される。図示するように、ツールアイコンT’は、拡大鏡の内側に第2のデータ種類を示す。
【0117】
上述した事項は全て、これら2つの実施形態例にも適用される。
【0118】
留意すべき点として、上述した機能は、「CS 3D画像ソフトウェア」という商品名でケアストリームデンタル社によって商品化されたソフトウェア製品に追加され得る。本出願に係る典型的な実施形態は、本明細書で(個々にまたは組み合わせて)説明された様々な特徴を含んでよい。
【0119】
本明細書における典型的な実施形態と一貫して、コンピュータプログラムは、電子メモリからアクセスされる画像データに実行する、格納された命令を用いることができる。画像処理技術の当業者によって理解され得るように、本出願の典型的な実施形態における、撮像システムおよびプローブを動作させ、画像データを取得するためのコンピュータプログラムは、たとえばパーソナルコンピュータまたはワークステーションなど、本明細書で説明されたようなCPU70として動作する適当な汎用コンピュータシステムによって用いられ得る。ただし、たとえばネットワークドプロセッサ構成を含む、多くの他の種類のコンピュータシステムが、本発明のコンピュータプログラムを実行するために用いられ得る。典型的な方法の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。この媒体はたとえば、たとえばハードドライブまたは取出し可能デバイスといった磁気ディスクまたは磁気テープなどの磁気記憶媒体、たとえば光学ディスク、光学テープ、または機械可読光符号化などの光記憶媒体、たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)または読取専用メモリ(ROM)などのソリッドステート電子記憶デバイス、またはコンピュータプログラムを格納するために用いられる他の任意の物理デバイスまたは媒体を含んでよい。典型的な方法の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムは、インターネットまたは他のネットワークまたは通信媒体によって画像プロセッサに接続されたコンピュータ可読記憶媒体にも格納され得る。当業者が更に容易に認識するように、そのようなコンピュータプログラム製品の均等物は、ハードウェアにおいて構成されてもよい。
【0120】
留意すべき点として、本出願の文脈における「コンピュータアクセス可能メモリ」に等しい「メモリ」という用語は、たとえばデータベースを含む、画像データを格納し画像データに作用するために用いられ、コンピュータシステムがアクセス可能である任意の種類の一時的またはより永久的なデータ記憶ワークスペースに言及し得る。メモリは、たとえば磁気または光学ストレージなどの長期間記憶媒体を用いて不揮発性であってよい。あるいはメモリは、たとえばマイクロプロセッサまたは他の制御論理プロセッサデバイスによって一時的バッファまたはワークスペースとして用いられるランダムアクセスメモリ(RAM)などの電子回路を用いて、より揮発性の性質であってよい。たとえば表示データは一般に、ディスプレイデバイスに直接関連付けられ、表示されるデータを提供するために必要に応じて定期的にリフレッシュされる一時的記憶バッファに格納される。この一時的記憶バッファもまた、本出願においてこの用語が用いられる場合、メモリの一種とみなされる。またメモリは、計算および他の処理の中間結果および最終結果を実行および格納するためのデータワークスペースとしても用いられる。コンピュータアクセス可能メモリは、揮発性、不揮発性、または揮発性型と不揮発性型とのハイブリッド結合であってよい。
【0121】
理解されるように、本出願のコンピュータプログラム製品は、周知の様々な画像操作アルゴリズムおよびプロセスを利用し得る。更に理解されるように、本出願のコンピュータプログラム製品の典型的な実施形態は、本明細書で特に示されず、または説明されない、実装のために有用なアルゴリズムおよびプロセスを具体化し得る。そのようなアルゴリズムおよびプロセスは、画像処理技術の通常技量の範囲内である従来の有用性を含んでよい。そのようなアルゴリズムおよびシステムの追加の態様、および画像を生成および処理し、または本出願のコンピュータプログラム製品の典型的な実施形態と協働するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアは、本明細書で特に示されず、または説明されず、当該技術において既知であるそのようなアルゴリズム、システム、ハードウェア、部品、および要素から選択され得る。
【0122】
本発明は、1または複数の実装に関して説明されたが、添付の特許請求の範囲の主旨および範囲から逸脱することなく、説明された例に対する変更および/または修正がなされ得る。加えて、本発明の特定の特徴は、いくつかの実装/実施形態の1つのみに関して開示されたが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定の機能のために所望かつ有利となり得るように、他の実装/実施形態の1または複数の他の特徴と併用され得る。「~の少なくとも1つ」という用語は、記載された事項の1または複数が選択され得ることを意味するために用いられる。「約」という用語は、例示された実施形態に対するプロセスまたは構造の不一致が変更によってもたらされない限り、記載された値が多少変更され得ることを示す。最後に、「典型的な」は、その説明が、理想的であることを暗示するものではなく例として用いられることを示す。本発明の他の実施形態は、本明細書の熟考および本明細書に開示された本発明の実施によって当業者に明らかになる。本明細書および例は典型的なものにすぎないとみなされ、本発明の正しい範囲および主旨は、少なくとも以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。