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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】マルチ線源加速器及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 9/00 20060101AFI20220310BHJP
   H05H 7/18 20060101ALI20220310BHJP
   H05G 1/70 20060101ALI20220310BHJP
   H05G 1/00 20060101ALI20220310BHJP
   G01N 23/02 20060101ALI20220310BHJP
   G21K 5/04 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H05H9/00 B
H05H9/00 F
H05H9/00 E
H05H7/18
H05G1/70 A
H05G1/00 E
G01N23/02
G21K5/04 W
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020121566
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2021018989
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】201910644153.2
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】Tsinghua University,Haidian District,Beijing 100084,P.R.China
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】康 克 軍
(72)【発明者】
【氏名】陳 懐 璧
(72)【発明者】
【氏名】劉 燿 紅
(72)【発明者】
【氏名】唐 傳 祥
(72)【発明者】
【氏名】李 元 景
(72)【発明者】
【氏名】査 皓
(72)【発明者】
【氏名】張 亮
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/043709(WO,A1)
【文献】特開平05-275200(JP,A)
【文献】特開平09-022800(JP,A)
【文献】米国特許第05811943(US,A)
【文献】特開2005-085473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 3/00-15/00
G21K 1/00- 3/00
5/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのキャビティを画定し、第1の端部と、第1の方向において第1の端部と対向する第2の端部を備える加速管本体をそれぞれ備え、前記加速管本体における電子は前記第1の方向に沿って前記第1の端部から前記第2の端部に加速され、第1の方向と異なる第2の方向に直線又は円弧線に沿って少なくとも1列に配列され、互いに直列に接続することで隣り合う直列に接続された2つの加速管のキャビティの流体を連通させる複数の加速管と、
前記複数の加速管における各加速管の前記少なくとも1つのキャビティ内の電子ビームを加速させるように、マイクロ波フィールドを前記複数の加速管に供給するマイクロ波ユニットと、を備えるマルチ線源加速器であって、
複数の加速管は、前記少なくとも1列の複数の加速管における各加速管の少なくとも1つのキャビティ内の電子ビームを加速させるように、前記マイクロ波ユニットが、互いに直列に接続された前記少なくとも1列の複数の加速管の一方の端部にある1つの加速管からマイクロ波フィールドを供給するのを許容するように配置されているマルチ線源加速器。
【請求項2】
前記複数の加速管は、第2の方向に1列に配列され、各加速管主体は、前記第1の方向に直列に接続される複数のキャビティを画定し、複数の加速管は、前記少なくとも1列の複数の加速管のキャビティ内に加速場を形成し、各加速管のキャビティ内で第1の端部から第2の端部に向かって第1の方向に沿って照射され、通過した電子ビームを加速するように、前記マイクロ波ユニットが、前記1列の複数の加速管の一方の端部にある1つの加速管の1つのキャビティからマイクロ波フィールドを供給するのを許容するように配置されている、あるいは、
前記複数の加速管は、第2の方向に複数列に配列され、各加速管主体は、前記第1の方向に直列に接続される複数のキャビティを画定し、複数の加速管は、前記少なくとも1列の複数の加速管のキャビティ内に加速場を形成し、各加速管のキャビティ内で第1の端部から第2の端部に向かって第1の方向に沿って照射され、通過した電子ビームを加速するように、前記マイクロ波ユニットが、複数列の加速管の一方の端部にある1つの加速管の1つのキャビティからマイクロ波フィールドを供給するのを許容するように配置されている請求項1に記載のマルチ線源加速器。
【請求項3】
複数の電子ビーム照射装置をさらに備え、
前記複数の加速管の各々は、前記複数の電子ビーム照射装置中の対応している1つと接続され、前記対応している1つの電子ビーム照射装置は、各加速管の第1の端部に配置されるとともに、第1の方向に沿って加速管の第1の端部から対向する第2の端部に向かって電子ビームを照射する請求項1又は2に記載のマルチ線源加速器。
【請求項4】
前記複数の加速管の各々はターゲットを備え、
ターゲットは、前記キャビティ内で第1の方向に沿って加速管の第1の端部から対向する第2の端部に向かって照射される電子ビームをターゲットに衝撃して放射線を発生させるように、対応している加速管の第2の端部に取り付けられている請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチ線源加速器。
【請求項5】
加速管によって生成された放射線を放射線ビームにコリメートするように配置された複数のコリメータをさらに備え、
コリメータは、前記複数の加速管の対応している1つと接続され、かつ前記複数のコリメータの各々は、前記各コリメータに接続された加速管によって照射された放射線を、他の加速管とは独立して調整して所望の放射線ビームを生成するように、配向を独立して調整可能なコリメータスリットを有して配置される請求項1~4のいずれか1項に記載のマルチ線源加速器。
【請求項6】
コリメータは、各加速管が照射する放射線が同じ配向及び輪郭を有するように、加速管主体に対して回転可能に配置される請求項5に記載のマルチ線源加速器。
【請求項7】
各コリメータは、コリメータのコリメータスリットが鉛直方向、傾斜方向、水平方向に沿って配置できるように、加速管主体に対して回転可能である請求項6に記載のマルチ線源加速器。
【請求項8】
前記複数の加速管によって生成された電子ビーム及び前記複数の加速管によって生成された放射線とを遮蔽するように、前記複数の加速管を取り囲むように配置された遮蔽体をさらに備える請求項1~7のいずれか1項に記載のマルチ線源加速器。
【請求項9】
前記遮蔽体は、前記複数の加速管が一体の遮蔽体に包まれる一体構造を有する請求項8に記載のマルチ線源加速器。
【請求項10】
冷却水回路、複数のコリメータ及び遮蔽体をさらに備え、前記複数の加速管のそれぞれの加速管がターゲットを備え、前記冷却水回路はマイクロ波ユニットを冷却するように、前記マイクロ波ユニットに連通し
かつ前記冷却水回路は、前記複数の加速管の加速管本体、ターゲット、コリメータ及び遮蔽体を冷却するように、複数の加速管の加速管本体に連通し、
前記冷却水回路は、更に、電子ビーム照射装置を冷却するように電子ビーム照射装置に連通する請求項1~9のいずれか1項に記載のマルチ線源加速器。
【請求項11】
キャリアガスを前記マイクロ波ユニットに供給するように配置されるガス供給管路をさらに備える請求項1~10のいずれか1項に記載のマルチ線源加速器。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のマルチ線源加速器を用いる検査方法であって、
前記マイクロ波ユニットを、互いに直列に接続された前記1列の複数の加速管の一方の端部にある1つの加速管からマイクロ波フィールドを供給するように励起することと、
ガス供給管路を用いて前記マイクロ波ユニットの導波構造にガスを供給することと、
電子ビーム照射装置を用いて第1の方向に沿って電子ビームを照射することで電子ビームがマイクロ波フィールドに加速されてターゲットを衝撃することと、
マルチ線源加速器が照射した1つ以上の放射線ビームで物品を照射することと、を含み、
前記マルチ線源加速器は、冷却水回路、複数のコリメータ、および遮蔽体をさらに備え、前記複数の加速管のそれぞれの加速管がターゲットを備え、前記冷却水回路は、冷却水を供給して加速管本体、ターゲット、コリメータ、電子ビーム照射装置及び遮蔽体を冷却する検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検出の分野に関し、具体的に、マルチ線源加速器及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線源とは、放射線を発生するデバイスのことを言い、通常の線源にはX線管や電子直線加速器が用いられる。その作動原理の違いから、通常、エネルギー範囲で分けられるのであり、発生したエネルギーが500keV未満のX線(ここで、エネルギーとはターゲット照射前の電子ビームエネルギーを指す)は主にX線管を用い、エネルギーが500keVを超えるX線管は製造コストがより高価であり、発生したエネルギーが2MeVを超えるX線は主に電子直線加速器を用いる。
【0003】
従来、税関、民間航空、鉄道輸送の大型車両/コンテナの安全検査設備の中で、X線発生装置として電子直線加速器システムが多く用いられている。この装置によって発生する高エネルギーX線を用いることにより、異なる厚みや質量の物体に対して非破壊検査を行うことができ、開梱することなく迅速に被検体を効率的に識別することを実現でき、被検体に含まれる禁止品の識別マーキングを行うことが可能となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチ線源を用いることにより、放射線検査時の物質同定機能を高めることができるが、従来のマルチ線源システムは値段が高く、設置に要するスペースが大きく、適用可能な場所への要求が高く、適応性が悪く、コストが高いため、放射線検査の要求を満たすような改善されたマルチ線源装置やシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、少なくとも1つのキャビティを画定し、第1の端部と、第1の方向において第1の端部と対向する第2の端部を備える加速管本体をそれぞれ備え、第1の方向と異なる第2の方向に直線又は円弧線に沿って少なくとも1列に配列され、互いに直列に接続することで直列に接続された2つの加速管のキャビティの流体を連通させる複数の加速管と、
前記複数の加速管における各加速管の前記少なくとも1つのキャビティ内の電子ビームを加速させるように、マイクロ波フィールドを前記複数の加速管に供給するマイクロ波ユニットと、を備えるマルチ線源加速器であって、
複数の加速管は、前記少なくとも1列の複数の加速管における各加速管の少なくとも1つのキャビティ内の電子ビームを加速させるように、前記マイクロ波ユニットが、互いに直列に接続された前記少なくとも1列の複数の加速管の一方の端部にある1つの加速管からマイクロ波フィールドを供給するのを許容するように配置されているマルチ線源加速器を提供する。
【0006】
一実施例では、前記複数の加速管は、第2の方向に1列に配列され、各加速管主体は、前記第1の方向に直列に接続される複数のキャビティを画定し、複数の加速管は、前記少なくとも1列の複数の加速管のキャビティ内に加速場を形成し、各加速管のキャビティ内で第1の端部から第2の端部に向かって第1の方向に沿って照射され、通過した電子ビームを加速するように、前記マイクロ波ユニットが、前記1列の複数の加速管の一方の端部にある1つの加速管の1つのキャビティからマイクロ波フィールドを供給するのを許容するように配置されている、あるいは、
前記複数の加速管は、第2の方向に複数列に配列され、各加速管主体は、前記第1の方向に直列に接続される複数のキャビティを画定し、複数の加速管は、前記少なくとも1列の複数の加速管のキャビティ内に加速場を形成し、各加速管のキャビティ内で第1の端部から第2の端部に向かって第1の方向に沿って照射され、通過した電子ビームを加速するように、前記マイクロ波ユニットが、複数列の加速管の一方の端部にある1つの加速管の1つのキャビティからマイクロ波フィールドを供給するのを許容するように配置されている。
【0007】
一実施例では、マルチ線源加速器は、複数の電子ビーム照射装置をさらに備え、前記複数の加速管の各々は、前記複数の電子ビーム照射装置中の対応している1つと接続され、前記対応している1つの電子ビーム照射装置は、各加速管の第1の端部に配置されるとともに、第1の方向に沿って加速管の第1の端部から対向する第2の端部に向かって電子ビームを照射する。
【0008】
一実施例では、前記複数の加速管の各々はターゲットを備え、ターゲットは、前記キャビティ内で第1の方向に沿って加速管の第1の端部から対向する第2の端部に向かって照射される電子ビームをターゲットに衝撃して放射線を発生させるように、対応している加速管の第2の端部に取り付けられている。
【0009】
一実施例では、前記複数の加速管の各々は、加速管によって生成された放射線を放射線ビームにコリメートするように配置されたコリメータを備え、コリメータは、前記複数の加速管の対応している1つと接続され、かつ前記複数のコリメータの各々は、前記各コリメータに接続された加速管によって照射された放射線を、他の加速管とは独立して調整して所望の放射線ビームを生成するように、配向を独立して調整可能なコリメータスリットを有して配置される。
【0010】
一実施例では、コリメータは、各加速管が照射する放射線が同じ配向及び輪郭を有するように、加速管主体に対して回転可能に配置される。
【0011】
一実施例では、各コリメータは、コリメータのコリメータスリットが鉛直方向、傾斜方向、水平方向に沿って配置できるように、加速管主体に対して回転可能である。
【0012】
一実施例では、マルチ線源加速器は、前記複数の加速管によって生成された電子ビーム及び前記複数の加速管によって生成された放射線とを遮蔽するように、前記複数の加速管を取り囲むように配置された遮蔽体をさらに備える。
【0013】
一実施例では、前記遮蔽体は、前記複数の加速管が一体の遮蔽体に包まれる一体構造を有する。
【0014】
一実施例では、マルチ線源加速器は、マイクロ波ユニットを冷却するように、前記マイクロ波ユニットに連通する冷却水回路をさらに備え、かつ前記冷却水回路は、前記複数の加速管の加速管本体、ターゲット、コリメータ及び遮蔽体を冷却するように、複数の加速管の加速管本体に連通し、前記冷却水回路は、更に、電子ビーム照射装置を冷却するように電子ビーム照射装置に連通する。
【0015】
一実施例では、マルチ線源加速器は、キャリアガスを前記マイクロ波ユニットに供給するように配置されるガス供給管路をさらに備える。
【0016】
本発明の実施例は、前記マルチ線源加速器を用いる検査方法であって、
前記マイクロ波ユニットを、互いに直列に接続された前記1列の複数の加速管の一方の端部にある1つの加速管からマイクロ波フィールドを供給するように励起することと、
ガス供給管路を用いて前記マイクロ波ユニットの導波構造にガスを供給することと、
電子ビーム照射装置を用いて第1の方向に沿って電子ビームを照射することで電子ビームがマイクロ波フィールドに加速されてターゲットを衝撃することと、
マルチ線源加速器が照射した1つ以上の放射線ビームで物品を照射することと、を含み、
前記冷却水回路は、冷却水を供給して加速管本体、ターゲット、コリメータ、電子ビーム照射装置及び遮蔽体を冷却する検査方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の一実施例によるマルチ線源加速器の構造を示す概略図である。
図2図2は本発明の一実施例によるマルチ線源加速器の構造を示す概略図である。
図3図3は本発明の一実施例によるマルチ線源加速器の構造を示す概略図である。
図4図4(A)、4(B)、4(C)は本発明の一実施例による、マルチ線源加速器の加速管のキャビティチェーンの概略図である。
図5図5は本発明の一実施例によるマルチ線源加速器の構造を示す概略図である。
図6図6は本発明の一実施例によるコリメータの配置を示す概略図である。
図7図7は本発明の一実施例によるコリメータの配置を示す概略図である。
図8図8は本発明の一実施例によるコリメータの配置を示す概略図である。
図9図9は本発明の一実施例によるコリメータの配置を示す概略図である。
図10図10は本発明の一実施例によるコリメータの配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例は、少なくとも1つのキャビティ11を画定し、第1の端部と、第1の方向において第1の端部と対向する第2の端部を有する加速管本体をそれぞれ備え、第1の方向と異なる第2の方向に直線又は円弧線に沿って1列に配列され、互いに直列に接続することで直列に接続された2つの加速管のキャビティの流体を連通させる複数の加速管と、
前記複数の加速管における各加速管の前記少なくとも1つのキャビティ11内の電子ビームを加速するように、マイクロ波フィールドを前記複数の加速管に供給するマイクロ波ユニット6と、を備えるマルチ線源加速器であって、
複数の加速管は、前記1列の複数の加速管における各加速管の少なくとも1つのキャビティ11内の電子ビームを加速させるように、前記マイクロ波ユニット6が互いに直列に接続された前記1列の複数の加速管の一方の端部にある1つの加速管からマイクロ波フィールドを供給するのを許容するように配置されているマルチ線源加速器を開示している。
【0019】
加速管は、第2の方向に配列され、マイクロ波フィールドが第2の方向に各加速管のキャビティ11内に伝達するのに適するように直列に接続される。
【0020】
一実施例では、図1に示すように、マルチ線源加速器は、複数の加速管を備え、各加速管は、1つのキャビティ11を画定する加速管本体12を備える。本実施例では、図において、各加速管本体は、上下方向又は鉛直方向(即ち、前文における第1の方向)に沿って配置されているが、複数の加速管は、左右方向又は水平方向(即ち、前文における第2の方向)に沿って配置されている。なお、本発明の他の実施例では、複数の加速管が、上下方向に対して角度をなす傾斜方向に沿って配置されてもよい。複数の加速管は、次々と左右方向に並んで配置され、図中における左側の1番目の加速管の右側が図中における左側の2番目の加速管の左側と接続されることで、左側の1番目の加速管と左側の2番目の加速管の流体を連通させる。これと同様に、複数の加速管は、次々と直列に接続され、つまり、複数の加速管の複数のキャビティ11は流体の連通を保持する。複数の加速管を接続する通路は、加速管本体に接続される管路であってもよく、隣り合う2つの加速管の間は、当該通路によって流体の連通を保持する。別の実施例では、複数の加速管は、隣り合う2つの加速管本体の間に流体の連通を保持するように、加速管本体の間に連通する部分を有して形成される。
【0021】
各加速管はキャビティ11または空間を画定し、当該キャビティ11または空間内に電子ビームなどの粒子ビームが妨害されずに伝播や運行することができる。一実施例では、複数の加速管の複数のキャビティ11は流体の連通を保持する。一実施例では、複数の加速管のキャビティ11内において真空状態が保持され、真空度は、必要に応じて設定し得る。
【0022】
実施例では、マルチ線源加速器は、図1の最も左側の加速管に接続されたマイクロ波ユニット6を備え、マイクロ波ユニット6は、図1の最も左側の加速管にマイクロ波フィールドを供給する。複数の加速管のキャビティは流体の連通を保持するため、マイクロ波ユニット6によって提供されるマイクロ波フィールドは、複数の加速管のキャビティ11内に(第2の方向に沿う)伝播及び分布することができる。具体的には、マイクロ波ユニット6は、図1に示されるように8つの加速管の全てのキャビティ11内に加速場が形成されるように、図1の最も左側の加速管から複数の加速管にマイクロ波フィールドを供給することができる。本実施例では、1つのマイクロ波ユニット6を用いて8つの加速管の(8つ)のキャビティ11内に加速場を形成することができるため、マルチ線源加速器全体の構成をより一層コンパクトにすることができる。本実施例では、加速管は8つであり、他の実施例では、その他の数の加速管を設けても良い。本実施例では、図に示すように、8つの加速管が水平方向に一直線上に次々と直列に接続されている。しかしながら、本発明の他の実施例では、複数の加速管は、非水平方向に直線状に配置される。複数の加速管の配置は、実際の必要に応じて設定することができる。
【0023】
本発明の一実施例では、マルチ線源加速器は、複数の電子ビーム照射装置8をさらに備える。図1に示すように、前記複数の加速管の各々は、複数の電子ビーム照射装置8の中の対応している1つと接続され、簡単に言えば、1つの加速管に1つの電子ビーム照射装置8が設けられている。図1において、電子ビーム照射装置8は、対応した加速器の上端(第1の端部)に設けられ、かつ第1の方向に沿って加速管の上端から下端(対向する第2の端部)に向かって電子ビームを照射するように配置される。本実施例では、電子ビーム照射装置8から照射された電子ビームを、真空ビーム管路を介して加速管のキャビティ11(図1には詳しく図示されていない)内に繰り込まれることができる。電子ビーム照射装置8は、電子銃アレイであってよく、例えば、ダイオードガンまたはゲートガンを用いることができ、ダイオードガンの技術は、比較的成熟で安定であるが、ゲートガンは、その照射電流の大きさやパルス幅が調整可能であるため、異なるエネルギーと照射量の放射線(例えば、X線)の要求を満たせる。
【0024】
本発明の一実施例では、マルチ線源加速器の中の複数の加速管の各々はターゲット9を備え、図1に示すように、ターゲット9は、前記キャビティ11内で第1の方向に沿って加速管の第1の端部から対向する第2の端部に向かって照射される電子ビームがターゲット9に衝撃して放射線を発生させるように、加速管の下端(第2の端部)に取り付けられている。又は、放射線が加速管の第2の端部から照射される。例えば、ターゲット9が加速管の第2の端部の幾何的中心位置に取り付けられてもよく、このように、複数の加速管のターゲット9は互いに一定の距離をあけ、即ち、複数のターゲット9は等間隔で配列されている。ターゲット9として、純タングステンターゲット又は純銅ターゲットあるいは複合ターゲット材料を選択できるが、所要の照射量及びエネルギーの違いに基づいて異なるターゲット材料の組み合わせを選択することができる。本発明の実施例によれば、ターゲット9は、ターゲット9を放熱するためのターゲット放熱構造体をさらに備えてもよい。
【0025】
本発明の実施例では、X線及びテラヘルツ線等の異なる波長帯域の放射線を得るように、照射される放射線に応じて、電子ビーム照射装置8の電子ビームエネルギーとターゲット9の材質を設定することができる。
【0026】
本発明の実施例では、加速管毎に電子ビーム照射装置8が配置されているため、スイッチによって各電子ビーム照射装置8の照射をオフにするように制御することができ、これによって、各加速管の放射線照射を個別に制御することが可能となった。
【0027】
本発明の実施例では、前記複数の加速管の各々は、加速管によって生成された放射線を放射線ビーム10にコリメートするように配置されたコリメータ91を備え、コリメータ91は、前記複数の加速管の対応する1つに接続され、それに、前記複数のコリメータ91の各々は、前記各コリメータ91に接続された加速管によって照射された放射線を、他の加速管とは独立して調整して所望の放射線ビーム10を生成するように、配向を独立して調整可能なコリメータスリットを有して配置される。
【0028】
本発明の実施例では、コリメータ91は、ターゲット9に対して又は対応する加速管に対して回転可能であり、具体的には、コリメータ91のコリメータスリットが加速管本体に対して又はターゲット9に対して回転可能であり、これにより、異なる平面に沿って出射される放射線ビーム10、例えば異なる平面に沿って出射される扇状放射線ビーム10が得られるように、コリメータ91はターゲット9を中心として回転可能である。例えば、一実施例では、コリメータスリットはターゲット9を軸心として回転するとみなすことができ、コリメータスリットの垂直方向又は水平方向に対する角度を調節することで異なる放射線形状が得られ、複数の加速管が同時に放射線ビーム10を出射するため、1列又はアレイ状の放射線ビーム10を得ることができる。
【0029】
例えば、一実施例では、コリメータ91が回転可能であるため、複数の加速管のコリメータ91は、各加速管が照射する放射線が同じ配向及び輪郭を有するように配置される。一実施例では、図6に示すように、複数の加速管のコリメータ91のコリメータスリットは、水平方向に配置される。このように配置することにより、複数の加速管から射出される放射線ビーム10は同一平面上に分布する。一実施例では、図7に示すように、複数の加速管のコリメータ91のコリメータスリットは、鉛直方向に対して斜め方向に配置される。このように配置することにより、複数の加速管から射出される放射線ビーム10は、1つの物品で8つの断面を同時に切り取ることができ、検査速度や検出精度を高めることができる。一実施例では、図8に示すように、複数の加速管のコリメータ91のコリメータスリットが鉛直方向に配置される。このように配置することにより、複数の加速管のターゲット9を同じ距離で離間して配置し、コリメータ91をターゲット9を軸心として配置すれば、射出される複数の放射線ビーム10も同じ距離で互いに離間し、各放射線ビーム10が同じ輪郭で照射されるため、同じ条件下で複数の画像情報を同時に取得することができ、例えば、1つの物品に8つの断面を同時に切り取り、効率及び精度を向上することができる。
【0030】
一実施例では、マルチ線源加速器は、前記複数の加速管によって生成された電子ビーム及び複数の加速管によって生成された放射線を遮蔽するように、前記複数の加速管を取り囲むように配置された遮蔽体7をさらに備える。一実施例では、遮蔽体7は、前記複数の加速管が一体の遮蔽体7に包まれる一体構造を有する。遮蔽体7の材料は、タングステンや鉛であってもよい。遮蔽体7は一体的なものでもよいため、全ての加速管及びその電子ビーム照射装置8、ターゲット9を取り囲む又は包むように遮蔽体7を1つ設けるだけでよく、電子ビームや放射線の遮蔽を実現でき、即ち、安全の上でコンパクトな構造を実現でき、コストが低減した。
【0031】
一実施例では、マルチ線源加速器は、マイクロ波ユニット6を冷却するようにマイクロ波ユニット6に連通する冷却水回路をさらに備えてもよく、それに、前記冷却水回路は、前記複数の加速管の加速管本体、ターゲット9、コリメータ91、及び遮蔽体7を冷却するように、複数の加速管の加速管本体に連通する。電子ビーム照射装置8を冷却するために、冷却水回路は、更に電子ビーム照射装置8に連通する。冷却水回路は、ターゲット9、コリメータ91、加速管本体等を取り囲むように設けられ、熱を奪って冷却の目的を実現するための冷却水を流す冷却水管路を備えている。冷却水管路は、遮蔽体7を貫通して遮蔽体7の内部に分布されていてもよいし、遮蔽体7を冷却するように遮蔽体7の外部に取り囲んでもよい。
【0032】
冷却水管路は、マイクロ波ユニット6内の部材を取り囲んでもよい。例えば、マイクロ波ユニット6は、パルス電源と、1つ以上の導波路デバイスとを備え、パルス電源は、マグネトロンやクライストロン等の大電力マイクロ波デバイスを備えてもよく、パルス電源から出力されたマイクロ波電力は、導波路構造の導波口を通してアレイ型加速管本体内に繰り込まれ、非常に短時間(100ns)に亘って加速場が形成され、この際、電子銃アレイに対する制御によって電子ビームが照射され、真空ビーム管路を通して加速管内に繰り込まれ、加速場の作用下で電子ビームが加速されてターゲット9に衝撃し、アレイ型X線を発生させ、マグネトロンを備えることができる。冷却水管路は、パルス電源を通過させることでパルス電源の冷却を可能にすることができる。
【0033】
一実施例では、マルチ線源加速器は、マイクロ波ユニット6、例えば、導波管構造にガスを供給して、導波管内の高圧発火を防止するように配置されたガス供給管路51をさらに備えてもよい。ガス供給管路51に供給されるガスは、SF6であってもよい。
【0034】
本発明の他の実施例では、図2に示すように、複数(例えば、8つ)の加速管が円弧線に沿って配置される以外、本実施例は図1に示す実施例と同様である。本実施例では、マイクロ波ユニット6は、円弧線に沿って配置された8つの加速管の最も左側の加速管に接続されており、8つの加速管のキャビティ11は流体が連通しているため、マイクロ波ユニット6が供給するマイクロ波フィールドは、円弧線に沿って配置された8つのキャビティ11内に加速場を形成し、電子ビームがキャビティ11を上下方向に通過する際に、各キャビティ11内の加速場が各キャビティ11内の電子ビームを加速させ、電子ビームは加速管の第1の端部(図の上端部)から加速管の下端(第2の端部)に向かって加速移動する。本実施例では、加速管が1つの物品や人体の周囲に配置できるように、8つの加速管を円弧線に沿って配置し、加速管が放射線を出射する際、複数の方向に沿って放射線を照射することを実現でき、多視点撮影が可能になった。一実施例では、加速管の数は、10本、15本などより多いため、異なる角度からの放射線の照射を増加させ、より多くの撮像情報を提供した。
【0035】
図2に示す実施例では、複数の加速管、電子ビーム照射装置8及び加速管のターゲット9の配置は、図1に示す実施例と同様であるが、各加速管と、各加速管の第1の端部に接続された電子ビーム照射装置8と、各加速管の第2の端部に取り付けられたターゲット9を1つの加速管ユニットとみなす場合、図2における8つの加速管ユニットが円弧線に沿って配置されていることが異なっている。
【0036】
本発明の他の実施例では、図3に示すように、複数(例えば、8つ)の加速管の構造及び配置が異なる以外、本実施例は図1に示す実施例と同様である。図3に示す実施例では、各加速管は、複数のキャビティ11を画定でき、しかも複数の加速管は、次々と配列されている。本発明によれば、加速管のキャビティ11を直列に接続した構造を加速管のキャビティチェーンと称することができ、キャビティチェーンにおいて、キャビティの数が2以上である。図3に示す配置では、キャビティチェーンは、12個より多いキャビティ11を備える。
【0037】
図4は、複数種類のキャビティ11を配置してなるキャビティチェーンを示している。図4Aは、単列キャビティチェーンを示し、図4(B)は、2列構造のキャビティチェーンを示し、即ち、各加速管は、2つのキャビティ11を有し、4つの加速管が直列に接続され、図4(C)は、単列キャビティチェーンを示し、かつキャビティチェーンが円弧線に沿って配置されている。
【0038】
なお、図4における複数種類のキャビティチェーンの構造は互いに組み合わせてもよく、例えば図4(B)の2列構造のキャビティチェーンは円弧線に沿って配置してもよい。図4におけるキャビティ11の数は単なる例示であり、本発明の他の実施例では、他の数のキャビティ11を設けてもよい。
【0039】
図4(A)に示すように、1列に配列された複数の加速管は管路によって流体を連通してもよいし、あるいは、各加速管は連通部を備え、隣り合う加速管は連通部によって流体の連通を実現するが、マイクロ波フィールドが加速管内において図に示す水平方向(第2の方向)に沿って伝達することができる。
【0040】
図4(B)に示すように、1列に配列された複数の加速管の各々の加速管本体は、上下(第1の方向)に沿って配置された2つのキャビティ11を画定し、それに、各キャビティ11は、軸線に略対称であり、放射線ビーム10が上方から下方に照射され、マイクロ波フィールドに加速されるために、2つのキャビティ11は、電子ビームが図中のキャビティ11の軸に沿って伝搬するのを許容するように流体を連通している。
【0041】
図4に示す複数の実施例では、複数のキャビティは並んで、かつ直列に接続されてキャビティチェーンを形成し、2つのキャビティの間は管路によって連通されている。そのため、各キャビティは4つの開口部を有し、上下の端部の開口部は電子ビームの伝送に使用され、左右の端部の2つの開口部はマイクロ波フィールドの伝送に使用される。キャビティチェーンは、鍛造、鋳造などの任意の適宜な方法を用いて形成することができる。
【0042】
図3に示す実施例は、左右方向(第2の方向)に少なくとも1列(複数列でもよい)に配列され、かつ直列に接続されてキャビティチェーンを形成する複数の加速管を備え、それに、各加速管は、上下方向(第1の方向)に配列された複数のキャビティ11を有し、一つの加速管の複数のキャビティ11は流体が連通しており、電子ビームが一つの加速管の複数のキャビティ11内で第一方向に沿って加速管の第1の端部から第2の端部に向かって加速され、最終的に、加速管の第2の端部に設けられたターゲット9に衝撃することで放射線を発生させる。
【0043】
図3では、1つの加速管は、複数のキャビティ11を備えることが好ましく、同じマイクロ波フィールドを印加した場合では、電子ビームが複数のキャビティ11内で加速され、最終的に得られた速度は1つのキャビティ11内で加速されて得られた速度よりも高く、電子ビームのエネルギーがより大きいため、複数のキャビティ11を備える加速管は、電子ビームの加速をより効果的に実現することができる。複数の加速管を直列に接続することは好ましく、何故ならば、1つのマイクロ波ユニット6のみで複数の加速管の操作を実現でき、装置全体をよりコンパクトにすることができるためである。
【0044】
図9は、図3のマルチ線源加速器の一実施例のコリメータ91の配置形態を示す。図9に示す実施例では、マルチ線源加速器は、2列の加速管を有し、4つの加速管が1列に配列され、各加速管は複数のキャビティ11を有し、2列の加速管のコリメータ91のコリメータスリットは、水平方向に配向され、これによって、マルチ線源加速器が2本の放射線ビーム10を射出する。4つの加速管が供給した放射線ビーム10は、1本の放射線ビーム10に重ね合わされるため、放射線ビーム10のエネルギーが強化された。
【0045】
図10は、図3のマルチ線源加速器の一実施例のコリメータ91の配置形態を示す。図10に示す実施例では、マルチ線源加速器は、2列の加速管を有し、4つの加速管が1列に配列され、各加速管は複数のキャビティ11(1つのキャビティ11でも2つのキャビティ11でもそれ以上のキャビティ11でもよい)を有し、2列の加速管のコリメータ91のコリメータスリットは(水平方向に対して)斜めに配向されて、これによって、マルチ線源加速器が4本の放射線ビームを射出し、各放射線ビームが傾斜した平面に分布している。各放射線ビームは、2つの加速管が供給した放射線ビームを重ねてなるため、各放射線ビームのエネルギーが強化され、これによって、傾斜面に沿って出射するエネルギー強化された4つの放射線ビームを同時に供給することができ、検査の精度及び効率を大幅に向上した。
【0046】
図3のマルチ線源加速器は、他の配置であってもよく、そのコリメータ91の配向は必要に応じて調整でき、これによって、放射線ビームの配向の設定を実現できる。
【0047】
以上の実施例によれば、1つのマルチ線源加速器を用いて複数のエネルギーが強化された放射線ビームが得られ、それに、放射線ビームの配向を柔軟に調整でき、マルチ線源加速器の応用適性を大幅に向上し、検査の精度及び効率を向上した。
【0048】
図5は、本発明の一実施例によるマルチ線源加速器の構造の概略図を示し、各加速管が2つのキャビティ11を備える以外、図5で示す実施例は図1と同様である。本実施例では、4つの加速管は、次々と第2の方向に沿って配列され、かつ直列に接続されており、各加速管は、第1の方向に沿って配置されかつ流体が連通する2つのキャビティ11を備える。本実施例では、加速管の第1の端部に位置する電子ビーム照射装置8は、第1の方向に沿って加速管の第1の端部から第2の端部に向かって電子ビームを照射し、2つの直列に接続されたキャビティ11内でマイクロ波ユニット6が供給したマイクロ波フィールドによって加速されるため、同じ電子ビーム照射エネルギーと同じマイクロ波フィールドの条件下で、ターゲット9に到達した電子ビームのエネルギーが増加した。図5に示すマルチ線源加速器のコリメータ91の配置は、加速管が1列しかない以外、図9に示すコリメータの配置を参照することができる。コリメータ91のコリメータスリットが同じ方向、例えば水平方向に沿う場合、マルチ線源加速器は1つの放射線ビーム10だけを照射し、放射線ビーム10のエネルギーが強化された。コリメータ91のコリメータスリットが傾斜方向に沿う場合、マルチ線源加速器は、傾斜面に沿った4本の放射線ビーム10を照射する。
【0049】
本発明によれば、マルチ線源加速器は、例えば、図1に示すように、パルス変調器1、ガン高圧電源ユニット2、マグネトロンパルストランス3、水冷ユニット4、及びガス充填装置5などの他の部材を備えてもよい。
【0050】
装置の作動時、パルス変調器1に380Vの交流電力が供給されることで交流220V及び直流24Vの電圧を生成してガン高圧電源ユニット2に出力する。また、パルス変調器1は、直流パルス高電圧を生成して出力し、マグネトロンパルストランス3に供給する。ガン高圧電源ユニット2は、パルス変調器1に内蔵されていてもよいし、電子ガンの近傍に設置されてもよく、例えば、放射線装置ヘッドを設置し、ガン高圧電源ユニット2を放射線装置ヘッド内に設置してもよい。ガン高圧電源ユニット2とパルス変調器1の設置や配置は、現場の条件に応じて、安全作業の目的を達成するように調整することができる。
【0051】
水冷ユニット4は、二通りの水冷があり、1つはマイクロ波ユニット6のマグネトロンに水冷を供給するが、もう1つは加速管主体、遮蔽体7、ターゲット9等に水冷を供給する。
【0052】
ガス充填装置5は、例えばSF6のようなガスをガス供給管路51に供給することができる。
【0053】
マルチ線源加速器は、所望の機能設定を実現するために、特定集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積デバイスをさらに備えてもよい。
【0054】
本発明の他の面は、前記マルチ線源加速器を用いる検査方法であって、
前記マイクロ波ユニット6を、互いに直列に接続された前記1列の複数の加速管の一方の端部にある1つの加速管からマイクロ波フィールドを供給するように励起することと、
ガス供給管路51を用いて前記マイクロ波ユニット6の導波構造にガスを供給することと、
電子ビーム照射装置8を用いて第1の方向に沿って電子ビームを照射することで電子ビームがマイクロ波フィールドに加速されてターゲット9を衝撃することと、を含み、
冷却水回路は、冷却水を供給して加速管本体、ターゲット9、コリメータ91、電子ビーム照射装置8及び遮蔽体7を冷却する検査方法を提供する。
【0055】
上記実施例はいずれも例示であり、当業者がそれらを変更することができ、様々な実施例で説明された構造は、構造的または原理的な矛盾が生じない限り、適宜に組み合わせてもよい。
【0056】
以上、図面を結合して本発明を説明したが、図面に開示された実施例は本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明に対する限定ではない。
【0057】
本発明の全体的な構想のある実施例は既に示され、説明されたが、本発明の全体的な構想の原則や精神を逸脱しない範囲で、これらの実施例を変形することができ、本発明の範囲は、請求項及びそれらの同等物によって限定されている。
【0058】
なお、「備える」という表現は、他の要素又はステップを排除するものではなく、「一」又は「1つ」という表現は、複数を排除するものではない。また、請求項の如何なる部材の符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10