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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】連続鋳造鋳型
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/059 20060101AFI20220310BHJP
   B22D 11/055 20060101ALI20220310BHJP
   B22D 11/00 20060101ALN20220310BHJP
   B22D 11/04 20060101ALN20220310BHJP
【FI】
B22D11/059 120A
B22D11/055 A
B22D11/00 F
B22D11/04 114
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020504328
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2019073054
(87)【国際公開番号】W WO2019149138
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-03-25
(31)【優先権主張番号】201810090356.7
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520029424
【氏名又は名称】浙江海亮股▲フン▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520029435
【氏名又は名称】浙江科宇金属材料有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520029446
【氏名又は名称】広東海亮銅業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】朱張泉
(72)【発明者】
【氏名】趙学龍
(72)【発明者】
【氏名】馮煥鋒
(72)【発明者】
【氏名】蒋利栄
(72)【発明者】
【氏名】姜少軍
(72)【発明者】
【氏名】孫剛峰
(72)【発明者】
【氏名】王云龍
(72)【発明者】
【氏名】趙歓均
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-286651(JP,A)
【文献】特開2006-320945(JP,A)
【文献】特開2010-052025(JP,A)
【文献】中国実用新案第206286517(CN,U)
【文献】米国特許第04640337(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00-11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの引抜孔が設けられた黒鉛スリーブと、冷却液空洞が内部に設けられた冷却スリーブとを含む連続鋳造鋳型であって、
前記黒鉛スリーブが板状を呈して2つの板面を有し、
前記引抜孔は前記黒鉛スリーブの長手方向または幅方向に沿って前記黒鉛スリーブを貫通し、
前記冷却スリーブは第1冷却スリーブを含んで板状を呈し、少なくとも2つ設けられ、
前記第1冷却スリーブはカバープレートおよび台座を含み、
前記台座はベースプレート、前記引抜孔の長手方向に平行な第1側面プレート、および前記引抜孔の長手方向に垂直な第2側面プレートを含み、
前記カバープレート、ベースプレート、第1側面プレートおよび第2側面プレートが取り囲んで前記冷却液空洞が形成され、
前記カバープレートに第1液進入孔が設けられ、
前記第1側面プレートに第1液排出孔が設けられ、
2つの前記板面のいずれにも前記冷却スリーブを着設させることにより、前記黒鉛スリーブを冷却する
ことを特徴とする連続鋳造鋳型。
【請求項2】
前記ベースプレートにいくつかの棒状のリブが設けられ、
前記リブの長手方向は前記第1側面プレートに平行であり、
隣接する2つのリブは冷却液を通過させる流路を形成し、
前記リブの2つの端面と前記第2側面プレートとの間にそれぞれ第1間隙および第2間隙が設けられ、
前記第1液排出孔は前記第1間隙に位置する
ことを特徴とする、請求項に記載の連続鋳造鋳型。
【請求項3】
前記第1冷却スリーブがドレインプレートを含み、
前記ドレインプレートは前記リブおよび前記カバープレートの間に設けられ、
前記カバープレートの内側面に前記第1液進入孔と通じるドレイン溝が設けられ、
前記ドレイン溝および前記ドレインプレートは冷却液を前記第2間隙の上方に誘導して前記冷却液空洞に進入させる
ことを特徴とする、請求項に記載の連続鋳造鋳型。
【請求項4】
前記ドレインプレートは複数設けられ、
複数の前記ドレインプレートは前記引抜孔の配列方向に沿って横に並べて設置され、
隣接する前記ドレインプレートの間に隔壁が設けられ、
前記隔壁は前記第2間隙側に位置して前記第2側面プレートと接続され、
前記ドレイン溝の数量および前記第1液進入孔の数量は、前記ドレインプレートの数量と対応する
ことを特徴とする、請求項に記載の連続鋳造鋳型。
【請求項5】
前記黒鉛スリーブが1つ設けられ、
前記黒鉛スリーブの板面の両側のいずれにも前記第1冷却スリーブを着設させる
ことを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型。
【請求項6】
前記冷却スリーブは第2冷却スリーブを含み、
前記連続鋳造鋳型は黒鉛スリーブ、第1冷却スリーブおよび第2冷却スリーブを含み、
前記黒鉛スリーブは2つおよび2つ以上設けられ、
隣接する2つの前記黒鉛スリーブの間に前記第2冷却スリーブを着設させ、
前記第1冷却スリーブは2つ設けられ、
前記黒鉛スリーブおよび前記第2冷却スリーブは2つの前記第1冷却スリーブの間に位置する
ことを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型。
【請求項7】
前記第2冷却スリーブに第2液進入孔および第2液排出孔が設けられ、
前記第2液進入孔および第2液排出孔は前記引抜孔の長手方向の同一側に位置する
ことを特徴とする、請求項に記載の連続鋳造鋳型。
【請求項8】
前記第2冷却スリーブの冷却液空洞内に複数の冷却液通路が設けられることを特徴とする、請求項に記載の連続鋳造鋳型。
【請求項9】
前記引抜孔の長手方向に沿って、前記黒鉛スリーブは2つの側面を有し、
前記冷却スリーブは第3冷却スリーブを含み、
2つの前記側面のいずれにも前記第3冷却スリーブを着設させることにより、前記黒鉛スリーブの側面を冷却する
ことを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銅および銅合金棒の水平連続鋳造の加工分野に関し、具体的に連続鋳造鋳型に関する。
【背景技術】
【0002】
既存技術において、銅および銅合金棒の連続鋳造は通常、水平連続鋳造を採用し、その鋳型はいずれも円形鋳型を採用する。赤銅および直径Φ20mm以上の規格の銅合金棒について、1組の円形鋳型において一回の連続鋳造で引き抜くのは1本であり;直径Φ10mm以下の銅合金棒については、1組の円形鋳型において1回の連続鋳造で引き抜くのは多くても5本以下である。生産効率は低く、単位生産量は少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記問題を解決するため、本発明は同時に5本以上の銅棒を引き抜くことができ、最大限に生産効率を高めた連続鋳造鋳型を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明は以下の技術案を採用する。
連続鋳造鋳型はいくつかの引抜孔が設けられた黒鉛スリーブと、冷却液空洞が内部に設けられた冷却スリーブとを含む。前記黒鉛スリーブは板状を呈して2つの板面を有し、前記引抜孔は前記黒鉛スリーブの長手方向または幅方向に沿って前記黒鉛スリーブを貫通する。前記冷却スリーブは板状を呈し、少なくとも2つ設けられ、2つの前記板面のいずれにも前記冷却スリーブを着設させることにより、前記黒鉛スリーブを冷却する。
【0005】
さらに、前記冷却スリーブは第1冷却スリーブを含み、前記第1冷却スリーブはカバープレートおよび台座を含む。前記台座はベースプレート、前記引抜孔の長手方向に平行な第1側面プレート、前記引抜孔の長手方向に垂直な第2側面プレートを含む。前記カバープレート、ベースプレート、第1側面プレートおよび第2側面プレートで取り囲んで前記冷却液空洞が形成される。前記カバープレートに第1液進入孔が設けられ、前記第1側面プレートに第1液排出孔が設けられる。
【0006】
よりさらに、前記ベースプレートにいくつかの棒状のリブが設けられ、前記リブの長手方向は前記第1側面プレートに平行であり、隣接する2つのリブは冷却液を通過させる流路を形成する。前記リブの2つの端面と前記第2側面プレートとの間にそれぞれ第1間隙および第2間隙が設けられ、前記第1液排出孔は前記第1間隙に位置する。
【0007】
よりさらに、前記第1冷却スリーブはドレインプレートを含み、前記ドレインプレートは前記リブおよび前記カバープレートの間に設けられる。前記カバープレートの内側面に前記第1液進入孔と通じるドレイン溝が設けられ、前記ドレイン溝および前記ドレインプレートが冷却液を前記第2間隙の上方に誘導して前記冷却液空洞に進入させる。
【0008】
よりさらに、前記ドレインプレートは複数設けられ、複数の前記ドレインプレートは前記引抜孔の配列方向に沿って横に並べて設置される。隣接する前記ドレインプレートの間に隔壁が設けられ、前記隔壁は前記第2間隙側に位置して前記第2側面プレートと接続される。前記ドレイン溝の数量および前記第1液進入孔の数量は、前記ドレインプレートの数量と対応する。
【0009】
好適として、前記黒鉛スリーブが1つ設けられ、前記黒鉛スリーブの板面の両側のいずれにも前記第1冷却スリーブを着設させる。
【0010】
好適として、前記冷却スリーブは第2冷却スリーブを含み、前記連続鋳造鋳型は黒鉛スリーブ、第1冷却スリーブおよび第2冷却スリーブを含む。前記黒鉛スリーブは2つおよび2つ以上設けられ、隣接する2つの前記黒鉛スリーブの間に前記第2冷却スリーブを着設させる。前記第1冷却スリーブは2つ設けられ、前記黒鉛スリーブおよび前記第2冷却スリーブは2つの前記第1冷却スリーブの間に位置する。
【0011】
好適として、前記第2冷却スリーブに第2液進入孔および第2液排出孔が設けられ、前記第2液進入孔および第2液排出孔は前記引抜孔の長手方向の同一側に位置する。
【0012】
好適として、前記第2冷却スリーブの冷却液空洞内に複数の冷却液通路が設けられる。
【0013】
好適として、前記引抜孔の長手方向に沿って、前記黒鉛スリーブは2つの側面を有する。前記冷却スリーブは第3冷却スリーブを含み、2つの前記側面のいずれにも前記第3冷却スリーブを着設させることにより、前記黒鉛スリーブの側面を冷却する。
【発明の効果】
【0014】
上記技術案を採用すると、本発明は以下の利点を有する。
1、黒鉛スリーブは板状を呈し、引抜孔は黒鉛スリーブの長手方向または幅方向に沿って黒鉛スリーブを貫通し、引き抜く必要がある銅棒の数量に基づいて黒鉛スリーブの幅を設定することができる。したがって、黒鉛スリーブが十分に幅広いとき、引き抜くことができる銅棒をより多くすることができる。冷却スリーブも板状にし、さらに黒鉛スリーブの板面の両側に着設させ、冷却スリーブの冷却効果を保証している。これと同時に、生産量を増加させる必要があるとき、数層の黒鉛スリーブを設ける方式により、引き抜くことができる銅棒の数量をより増加させることができる。
【0015】
2、冷却液空洞は、カバープレート、ベースプレート、第1側面プレートおよび第2側面プレートで取り囲んで形成される。つまり、黒鉛スリーブの長さが冷却スリーブの長さより長いとき、組み立てる方式により冷却スリーブを接続することができる。さらに、様々な長さの冷却スリーブを製造して相互に組み立てることもでき、様々な長さの黒鉛スリーブの冷却需要を満たし、冷却スリーブの適応性を高めた。さらに、黒鉛スリーブの長さ値が比較的大きいとき、同等寸法の冷却スリーブを使用した場合、冷却が不均一である現象が出現する可能性があるが、複数の冷却スリーブを組み立てる方式を採用する場合、冷却が不均一になるのを防止することができ、生産の質を保証する。カバープレートに液進入孔が設けられ、進入する液を均等に冷却液空洞に進入させる。第1側面プレートに液排出孔が設けられ、冷却が完了した冷却液を自動的に冷却液空洞から排出させることができる。
【0016】
3、台座内にリブが設けられ、さらにリブは冷却液を通過させる流路を形成し、同時に第1液排出孔は第2側面プレートに添う位置に設けられる。したがってリブが形成する流路に進入する冷却液は、流路を流れ、第1間隙の後方に進入して排出されることしかできない。このように冷却液の排出時間を延長することができ、冷却をより十分にし、同時に黒鉛スリーブの板面における幅方向の冷却を均一にすることができる。
【0017】
4、第1間隙および第2間隙は、それぞれ冷却液空洞における引抜孔の長手方向に沿った両端に位置する。ドレインプレートおよびドレイン溝を設置することにより、冷却液を第2間隙の上方から冷却液空洞に進入させ、強制的に冷却液を完全に流路全体の後方に流し、排出させることができる。さらに冷却効果を保証し、冷却をより均一、徹底する。
【0018】
5、複数のドレインプレートが設置され、各ドレインプレートはいずれもドレイン溝および第1液進入孔に対応し、冷却スリーブ全体の数か所で、同時に冷却液を進入させることができる。第1液進入孔を1つのみ有するとき、黒鉛スリーブおよび冷却スリーブの幅値が比較的大きい状況で、冷却液空洞に進入する冷却液が第1液進入孔付近のみを冷却して、第1液進入孔から比較的離れた部分を冷却することができない状況を防止した。黒鉛スリーブが横方向または縦方向に関わらず、均一に冷却することができることを保証し、生産の質を確実に保証する。
【0019】
6、1つの黒鉛スリーブを設置するか、または複数の黒鉛スリーブを設置するかは、生産の需要に基づいて柔軟に確定することができる。1つの黒鉛スリーブを設置するとき、黒鉛スリーブの板面の両側のいずれにも第1冷却スリーブを着設させるだけでよい。生産量を増加させる必要がある場合、複数の黒鉛スリーブを設置し、隣接する黒鉛スリーブ間に第2冷却スリーブを設置し、最も外側の黒鉛スリーブの外側面に第1冷却スリーブを着設させる。生産工程の需要を満たすと同時に、引き抜くことができる銅棒の数量を増加させることができる。
【0020】
7、設置される位置が異なるため、第1冷却スリーブおよび第2冷却スリーブの構造はやや異なる。隣接する2つの黒鉛スリーブ間の位置に適応するため、第2冷却スリーブは相応の調整を行い、第2液進入孔および第2液排出孔を同一側に設け、さらに冷却液空洞内に複数の冷却液通路を設ける。第2冷却スリーブが、調整により依然として黒鉛スリーブの冷却の需要を満たすことを保証している。
【0021】
8、黒鉛プレートの2つの側面に冷却スリーブを着設させ、冷却スリーブの黒鉛プレートに対する冷却をより徹底することを確実に保証する。
【0022】
本発明のこれらの特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態および図中に詳細に開示している。本発明の最適な実施方式または手段について、図を組み合わせて詳細に示すが、本発明の技術案を制限するものではない。他に、各下記の文および図に出現するこれらの特徴、要素および組立部品は複数有する。さらに表示を便利にするため、異なる符号または数字を標識しているが、同じもしくは似た構造または機能の部品を示す。
【0023】
以下、図を組み合わせて本発明についてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施例1の断面図である。
図2図2は、本発明の実施例1における冷却液空洞の概要図である。
図3図3は、本発明の実施例1における冷却液が流れる方向の概要図である。
図4図4は、本発明の実施例2の断面図である。
図5図5は、本発明の実施例2の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例の図を組み合わせて本発明の実施例の技術案について説明を行うが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、全てではない。発明を実施するための形態の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を行わない前提で得られるその他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0026】
本明細書で引用する「1つの実施例」または「実例」または「例」は、実施例に記載の特定の特徴、構造または特性が、本特許公開の少なくとも1つの実施例中に含まれることを意味する。「1つの実施例において」という句は、明細書中の各箇所に出現するが、いずれも同じ実施例を指す必要はない。
【0027】
本発明の実施例の記載において、「上」、「下」、「左」、「右」、「横方向」、「縦方向」、「内」、「外」などの用語が指示する方位または位置関係は、図に示す方位または位置関係に基づくものである。本発明の記載を便利にするために過ぎず、本発明が特定の方位での構造および操作でなければならないと主張するのではないため、本発明に対する制限であると理解することはできない。
【実施例1】
【0028】
図1から図3に示すように、本実施例はいくつかの引抜孔11が設けられた黒鉛スリーブ1と、冷却液空洞が内部に設けられた冷却スリーブとを含む、連続鋳造鋳型を提供する。本実施例において、冷却液は冷却水を採用する。黒鉛スリーブ1は板状を呈し、本実施例において、引抜孔11は10個設けられるため、10本の銅棒を引き抜くことができる。10個の引抜孔11は一列に設置され、引き抜く必要がある銅棒の数量に基づいて、黒鉛スリーブ1の幅および引抜孔11の数量を設定することもできるため、引き抜くことができる銅棒をより多くすることができる。引抜孔11は黒鉛スリーブ1の長手方向に沿って黒鉛スリーブ1を貫通し、黒鉛スリーブ1は1つ設けられる。黒鉛スリーブ1の板面の両側のいずれにも第1冷却スリーブを着設させることにより、黒鉛スリーブ1を冷却し、第1冷却スリーブの冷却効果を保証している。
【0029】
第1冷却スリーブはカバープレート3および台座2を含み、台座2はベースプレート28、引抜孔11の長手方向に平行な第1側面プレート26および引抜孔11の長手方向に垂直な第2側面プレート27を含む。カバープレート3、ベースプレート28、第1側面プレート26および第2側面プレート27で取り囲んで冷却水空洞が形成される。黒鉛スリーブ1の長さが第1冷却スリーブの長さより長いとき、組み立てる方式により第1冷却スリーブを接続することができる。さらに、様々な長さの第1冷却スリーブを製造して相互に組み立てることもでき、様々な長さの黒鉛スリーブ1の冷却需要を満たし、第1冷却スリーブの適応性を高めた。さらに、黒鉛スリーブ1の長さ値が比較的大きいとき、同等寸法の第1冷却スリーブを使用した場合、冷却が不均一である現象が出現する可能性があるが、複数の第1冷却スリーブを組み立てる方式を採用する場合、冷却が不均一になるのを防止することができ、生産の質を保証する。カバープレート3に第1液進入孔31が設けられ、進入する液を均等に冷却液空洞に進入させる。ベースプレート28にいくつかの棒状のリブ21が設けられ、リブ21の長手方向は第1側面プレート26に平行であり、隣接する2つのリブ21は冷却水を通過させる流路を形成する。したがって冷却水は流路を流れ、第1間隙24の後方に進入して排出されることしかできない。このように冷却液の排出時間を延長させることができ、冷却をより十分にし、同時に黒鉛スリーブ1の板面における幅方向の冷却を均一にすることができる。リブ21の2つの端面および第2側面プレートの間に間隔が設けられ、第1間隙24および第2間隙25が形成される。第1側面プレート26に第1液排出孔23が設けられ、さらに両側の2つの第1側面プレート26に第1液排出孔23が設けられ、冷却が完了した冷却液を自動的に冷却液空洞から排出させることができる。第1液排出孔23は第1間隙24の位置に位置する。第1冷却スリーブはドレインプレート4を含み、ドレインプレート4はリブ21およびカバープレート3の間に設けられて、リブ21に当接する。カバープレート3の内側面に第1液進入孔31と通じるドレイン溝32が設けられ、ドレイン溝32およびドレインプレート4が冷却水を第2間隙25の上方に誘導して冷却水空洞に進入させる。ドレインプレート4およびドレイン溝32を設置することにより、冷却液を第2間隙25の上方から冷却液空洞に進入させ、強制的に冷却液を完全に流路全体の後方に流し、排出させることができる。さらに冷却効果を保証し、冷却をより均一、徹底させる。
【0030】
本実施例において、ドレインプレート4は3つ設けられ、3つのドレインプレート4は引抜孔11の配列方向に沿って横に並べて設置される。隣接するドレインプレート4の間に隔壁22が設けられ、隔壁22はリブ21をかさ上げして形成される。隔壁22は第2間隙25側に位置して第2側面プレート27と接続され、第2間隙25を3つに隔てる。隔壁22のもう1側は第2側面プレート27と接続されず、3つの第2間隙25と対応する3つの第1間隙24は通じることを保持し、これにより冷却液の通過に都合がよい。ドレイン溝32の数量および第1液進入孔31の数量は、いずれもドレインプレート4の数量と対応し、第1冷却スリーブ全体の数か所で、冷却液を同時に進入させることができる。第1液進入孔31を1つのみ有するとき、黒鉛スリーブ1および第1冷却スリーブの幅値が比較的大きい状況で、冷却液空洞に進入する冷却液が第1液進入孔31付近のみ冷却して、第1液進入孔31から比較的離れた部分を冷却することができない状況を防止した。黒鉛スリーブ1が横方向または縦方向に関わらず、均一に冷却することができることを保証し、生産の質を確実に保証する。
【0031】
引抜孔11の長手方向に沿って、黒鉛スリーブ1は2つの側面を有する。冷却スリーブは第3冷却スリーブ(図示せず)を含み、2つの側面のいずれにも第3冷却スリーブを着設させることにより、黒鉛スリーブ11の側面を冷却する。
【0032】
本実施例において、台座2、および台座2に設けられた第1側面プレート26、第2側面プレート27、ベースプレート28、リブ21、隔壁22はいずれも銅質またはその他の導熱材質を採用し、カバープレート3、ドレインプレート4はいずれも鉄質を採用する。
【0033】
黒鉛スリーブ1、および黒鉛スリーブ1の板面の両側に着設させる第1冷却スリーブは取付枠内に取り付けられる。取付枠は上取付枠51、2つの側面取付枠52および下取付枠53からなり、第1液進入孔31および第1液排出孔23はいずれもパイプを介して外部冷却水システムと接続される。
【0034】
本実施例において、使用するとき、溶融銅はダミーバーヘッド(ダミーバー)により黒鉛スリーブ1の引抜孔11から引き抜かれる。黒鉛スリーブ1の引抜孔11内において、冷却スリーブの冷却下で凝固して銅棒になり、銅棒は連続して絶えず引き抜かれ続ける。このように直径Φ50mm以下の規格の銅棒について、いずれも各鋳型により1回で5本以上、さらには数10本の銅および銅合金棒の水平連続鋳造を実現することができる。
【0035】
図3に示すように、冷却水は第1液進入孔31から進入する。カバープレート3の内側に設けられたドレイン溝32は冷却水を第1液排出孔23と相反する方向にしか流すことができず、第2間隙25の上方で冷却液空洞に進入する。同時に、隔壁22が第2間隙25を隔てることにより、1つの第1液進入孔31から進入する冷却水は、相応する部分の第2間隙25内におけるリブ21が形成する流路にしか進入することができない。冷却水は流路に沿って第1間隙24まで流れ、隔壁22は第1間隙24を仕切らないため、3つの部分の第1間隙24内の冷却水はここに集まり、両側の第1液排出孔23から排出される。
【実施例2】
【0036】
図4および図5に示すように、本実施例は連続鋳造鋳型を提供する。
【0037】
実施例1と異なるのは、本実施例において、連続鋳造鋳型はさらに第2冷却スリーブ6を含み、黒鉛スリーブ1は2つ設けられ、隣接する2つの黒鉛スリーブ1の間に第2冷却スリーブ6を着設させ、第1冷却スリーブは2つ設けられ、2つの黒鉛スリーブ1および1つの第2冷却スリーブ6は2つの第1冷却スリーブの間に位置することである。2つの黒鉛スリーブ1を設置するか、または複数の黒鉛スリーブ1を設置するかは、いずれも生産の需要に基づいて柔軟に確定することができる。
【0038】
第2冷却スリーブ6に第2液進入孔61および第2液排出孔62が設けられ、第2液進入孔61および第2液排出孔62は引抜孔11の長手方向の同一側に位置する。本実施例において、引抜孔11の長手方向の両側のいずれにも第2液進入孔61および第2液排出孔62が設けられ、第2冷却スリーブ6の冷却水空洞内に複数の冷却水通路63が設けられる。生産量を増加させる必要があるとき、隣接する黒鉛スリーブ1間に第2冷却スリーブ6を設置し、最も外側の黒鉛スリーブ1の外側面に第1冷却スリーブを着設させ、生産工程の需要を満たすと同時に、引き抜くことができる銅棒の数量を増加させることができる。隣接する2つの黒鉛スリーブ間の位置に適応させるため、第2冷却スリーブ6は相応の調整を行い、第2液進入孔61および第2液排出孔62を同一側に設け、さらに冷却液空洞内に複数の冷却液通路63を設ける。第2冷却スリーブが、調整により依然として黒鉛スリーブの冷却の需要を満たすことを保証している。
【0039】
以上は本発明を実施するための形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに制限されない。当業者は本発明が図および上記発明を実施するための形態に記載の内容を含むが、これに限定されないことを理解するべきである。本発明の機能および構造の原理を逸脱しない修正は、いずれも特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 黒鉛スリーブ
11 引抜孔
2 台座
21 リブ
22 隔壁
23 第1液排出孔
24 第1間隙
25 第2間隙
26 第1側面プレート
27 第2側面プレート
28 ベースプレート
3 カバープレート
31 第1液進入孔
32 ドレイン溝
4 ドレインプレート
51 上取付枠
52 側面取付枠
53 下取付枠
6 第2冷却スリーブ
61 第2液進入孔
62 第2液排出孔
63 冷却液通路
矢印が指す方向は冷却液の流動方向である。
図1
図2
図3
図4
図5