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特許7038217少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行う方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行う方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20220310BHJP
   H04N 7/14 20060101ALI20220310BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20220310BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220310BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20220310BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20220310BHJP
   G06T 7/246 20170101ALI20220310BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
H04N7/14 110
G09G5/00 510V
G09G5/00 555D
G09G5/00 510A
G09G5/00 530T
G09G5/38 A
G09G5/36 520P
G09G5/36 510M
G09G5/36 520L
G02B27/02 Z
G06T7/246
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020537849
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018074555
(87)【国際公開番号】W WO2019063284
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】102017217025.5
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キューネ、マルクス
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146963(JP,A)
【文献】特開2017-102516(JP,A)
【文献】特開2005-142765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0089900(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0253252(US,A1)
【文献】特開2001-339799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
H04N 7/14
G02B 27/02
G06T 7/246
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の人物(4)と第2の人物(6)との間でバーチャル会議を行うための方法であり、前記バーチャル会議が、第1のバーチャル環境(8)の形で第1の人物(4)に割り当てられた第1の表示デバイス(2)を使用し、かつ第2のバーチャル環境(11)の形で第2の人物(6)に割り当てられた第2の表示デバイス(3)を使用して表示されるものにおいて、
第1の人物(4)は実際に移動車両(5)に搭乗され、その車両の動きが検出され、検出された車両の動きに従って第1の人物が知覚する視覚刺激が、車両の移動により第1の人物の平衡感覚器官が提供する情報と一致するように、第1のバーチャル環境(8)の表現が選択され、
第2の人物(6)は前記車両(5)とは異なる参照システム(7)に居り、この参照システム(7)の動きが検出され、検出された参照システム(7)の動きに従って第2の人物が知覚する視覚刺激が、前記参照システム(7)の動きにより第2の人物の平衡感覚器官が提供する情報と一致するように、第2のバーチャル環境(11)の表現が選択され、
車両(5)に対する第1の人物(4)の相対的な向きが検出され、車両(5)に対する第1の人物(4)の検出された相対的な向きにしたがって、第1のバーチャル環境(8)の表現が選択されることを特徴とする少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための方法。
【請求項2】
第1のバーチャル環境(8)では第1の人物(4)のバーチャル視点からの第2の人物(6)の画像(10)が表示され、第2のバーチャル環境(11)では第2の人物(8)のバーチャル視点からの第1の人物(4)の画像(9)が表示されることを特徴とする請求項1記載の少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための方法。
【請求項3】
第1のバーチャル環境(8)のバーチャル・プラットフォームが表示されるときに、検出された車両の動きに従ってバーチャル環境を移動させることを特徴とする請求項1または2記載の少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための方法。
【請求項4】
第1のバーチャル環境(8)のバーチャル・オフィスが表示されるときに、検出された車両の動きに応じて通り過ぎるバーチャル環境が車両の窓に表示されることを特徴とする請求項1または2記載の少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための方法。
【請求項5】
第2の人物(6)が実際に居る参照システム(7)が静止環境である場合に、第2のバーチャル環境(11)は静止したバーチャル環境の形で表示されることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための方法。
【請求項6】
第2の人物(6)が実際に居る参照システム(7)も移動車両である場合に、その車両の動きが記録され、記録された第2の車両の動きにしたがって第2のバーチャル環境(11)の表現が選択されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための方法。
【請求項7】
表示装置(2、3)はそれぞれバーチャルリアリティ眼鏡であり、これによってそれぞれのバーチャル環境(8、11)が表示されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載の少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための方法。
【請求項8】
少なくとも第1の人物(4)と第2の人物(6)との間でバーチャル会議を行うためのシステム(1)であって、
第1のバーチャル環境(8)の形でバーチャル会議を表示するために第1の人物(4)に割り当てられるとともに、検出された車両(5)の動きに応じて設定される第1の表示デバイス(2)であって、第1の人物(4)が、検出された車両の動きに従って第1のバーチャル環境(8)の表現を選択するように構成されるとともに、第1の人物が知覚する視覚刺激が、車両の移動により第1の人物の平衡感覚器官が提供する情報と一致するように構成された前記第1の表示デバイス(2)と、
第2のバーチャル環境(11)の形でバーチャル会議を表示するために第2の人物(6)に割り当てられるとともに、前記車両(5)とは異なる参照システム(7)についての検出された動きに応じて設定される第2の表示デバイス(3)であって、第2の人物(6)が、第2のバーチャル環境(11)の表現を選択するように構成されるとともに、第2の人物が知覚する視覚刺激が、前記参照システム(7)の動きにより第2の人物の平衡感覚器官が提供する情報と一致するように構成された前記第2の表示デバイス(3)と、
を有し、
前記第1の表示デバイス(2)は、車両(5)に対する第1の人物(4)の相対的な向きが検出され、車両(5)に対する第1の人物(4)の検出された相対的な向きにしたがって、第1のバーチャル環境(8)の表現が選択されるものであることを特徴とする少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、テレビ会議などを利用して、異なる場所にいる人々が情報交換できるようにすること自体は、既に知られている。将来、ますます多くの人々が、一方では車内でバーチャルリアリティ・システムなどの没入型テクノロジー(イマーシブ・テクノロジー)を使用して運転業務のための知覚をサポートし、他方では娯楽のために使用することになるであろう。ただし、見られているものと車両の動きとの不一致が、多くのユーザーに吐き気を引き起こす可能性があるため、車両でのバーチャルリアリティの使用には必ずしも問題がないわけではない。つまり、車両においてバーチャルリアリティを使用するときに、いわゆる乗り物酔いが発生することがよくある。
【0003】
バーチャルリアリティ・システム自体を使用することは、すでに知られている。たとえば特許文献1は、ある人物がバーチャルリアリティ眼鏡をかけ、バーチャルリアリティ眼鏡を持たない外部の人物と一緒にバーチャルリアリティ・システムを操作する方法を示している。そこでは、バーチャルリアリティ眼鏡を持たない外部の人物が、バーチャルリアリティ眼鏡をかけている人物が見ている離れた場所のディスプレイに表示される。
【0004】
別のバーチャルリアリティ・システムが特許文献2に示されている。このシステムにより、ヘッドフォンを着用したバーチャルリアリティ眼鏡の着用者は、ヘッドフォンを使用して、部屋の中で他の人物の声を正確な方向で聞くことができる。バーチャルリアリティ眼鏡の着用者がバーチャル環境で動き回る場合には、二人の人物の相対的な位置関係が常に考慮された会話となるように、ヘッドフォンを介して他の人物により再生される。
【0005】
最後に、特許文献3は、通信機器に視覚情報を表示する方法を示している。会話の相手は、バーチャル環境内でアバターの形で表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】ドイツ特許出願公開第102015011590号明細書
【文献】ドイツ特許出願公開第102014009298号明細書
【文献】ドイツ特許出願公開第10106072号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、少なくとも二人の人物の間でバーチャル会議を行うための方法およびシステムを提供することであって、それにより、バーチャル会議の実行中に人々が吐き気を催すリスクを低減することができようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴を備えた、少なくとも第1の人物と第2の人物との間のバーチャル会議を行うための方法およびシステムによって達成される。本発明の好都合で重要な発展を伴う有利な改良は、従属請求項に明記されている。
【0009】
少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための本発明の方法では、バーチャル会議は、第1のバーチャル環境の形で第1の人物に割り当てられた第1の表示デバイスと、第2のバーチャル環境の形で第2の人物に割り当てられた第2の表示デバイスとによって行われる。実際には、第1の人物は移動中の車両の中に居り、その車両の動きが記録され、第1のバーチャル環境の表現が、検出された車両の動きにしたがって選択される。実際には、第2の人物は、車両とは異なる基準システムに居り、この基準システムの動きが記録され、第2のバーチャル環境の表現は、検出された基準システムの動きにしたがって選択される。
【0010】
したがって、本発明の方法によって、二人の人物が異なる場所に居る場合でも、バーチャル会議の形で二人の人物を一緒にすることが可能である。第1の人物は移動中の車に乗っており、他の人物はこの移動中の車に乗っていない。本発明によれば、二人の人物は、実際には、気分の悪さを感じないように、自分が居る場所に応じて適切なバーチャル環境が示されるかまたは表示される。これは、第1の人物のために車両の動きを考慮に入れて、バーチャル会議の最初のバーチャル環境の表現を選択することによって実現される。車両の動きの検出は、たとえば車両側のセンサシステムを介して行うことができ、車両の動きに関する対応データを提供することが可能である。たとえば、加速度センサまたは速度センサを使用することができる。次に、このデータは、このデータを処理し、それを考慮に入れて、このデータにしたがって第1のバーチャル環境の表現を設計するところの、第1の表示デバイスで使用できるようになる。
【0011】
実際には、第2の人物は、たとえば部屋や別の乗り物にいる可能性がある。原則として、バーチャル会議が行われている間、第2の人物は、任意の参照システムに参加することができる。第2の人物の参照システムの動きも記録される。第2の人物のバーチャル会議を表示するための第2のバーチャル環境の表現は、記録された参照システムの動きにしたがって選択される。このようにして、両方の人物は、それぞれの実際の参照システムによって知覚される実際の動きとそれぞれのバーチャル環境の表現との不一致によって二人のうちの一方が気分が悪くなることなく、互いにバーチャル会議を開催することができる。
【0012】
本発明の有利な実施形態では、第1の人物のバーチャル視点からの第2の人物の画像が第1のバーチャル環境に表示され、第2の人物のバーチャル視点からの第1の人物の画像が第2のバーチャル環境に表示される。換言すると、画像はアバター、つまりそれぞれの人物についてのデジタル画像である。人物のイメージを、写真のようにリアルなものにできる。たとえば、それぞれの人物の画像データをアドレス帳に格納することが可能であり、この画像データは、バーチャル会議中に使用される。加えて、センサが二人のそれぞれの動きを検出することが可能であり、たとえば、いわゆるモーション・キャプチャを実行することも可能である。モーション・キャプチャは、空間内の実際の動きを追跡し、それらを数式に変換するために使用できるプロセスのための包括的な用語である。これを使用して、仮想人物または人物の仮想骨格、この場合はバーチャル環境内の二人のそれぞれのバーチャル画像が移動する。これにより、二人のバーチャル会議を特にリアルなものにすることができる。この場合において、車両に対する、または車両から離れる参照システムに対する、二人の人物の相対的な動きは、好ましくはバーチャル環境内で実施される。たとえば、第1の人物が車内で前かがみになった場合、この動きは2つのバーチャル環境内で実行される。同じことが、第2の人物についても当てはまる。たとえば、第2の人物が実際に部屋に居て部屋の中を歩き回る場合に、この第2の人物の動きは、表示された2つのバーチャル環境内における対応した動きに変換される。
【0013】
本発明のさらなる有利な実施形態では、車両に対する第1の人物の相対的な向きが検出され、この車両に対する第1の人物の検出された相対的な向きにしたがって、第1のバーチャル環境の表現が選択される。例えば、第1の人物が、垂直軸を中心に180度回転できる車両の座席に座ることができる。たとえば、人物が車両の進行方向に前向に座った後、車両シートを回転させて、進行方向に対して背中を向けて座るようにする、すなわち後ろ向きに走行させることが可能である。車両に対する第1の人物の相対的な向きと、対応する第1のバーチャル環境の表現の適応とを考慮することにより、バーチャル会議の実施中に第1の人物の気分が悪くならないことを保証できる。なぜなら、第1の人物にとって、後方に加速されているかあるいは前方に加速されているか、そしてバーチャル環境が結果としてどのように表示されるかを変化させるためである。
【0014】
本発明のさらなる有利な実施形態では、検出された車両の動きにしたがってバーチャル環境を移動する第1のバーチャル環境としてバーチャル・プラットフォームが表示される。第1の人物のバーチャル環境から、このバーチャル・プラットフォームでバーチャル会議が行われる。バーチャル・プラットフォームは、検出された車両の動きに応じてバーチャル環境を移動するように見えるため、バーチャル環境は、バーチャル視点から検出された車両の動きに応じて、第1の人物を通過する。したがって、第1の人物が知覚する視覚刺激は、車両の移動により第1の人物の平衡感覚器官が提供する情報と一致する。これにより、いわゆる乗り物酔いを、最小限に抑えたり、減らしたりすることができる。
【0015】
本発明の別の有利な実施形態によれば、バーチャル・オフィスが第1のバーチャル環境として表示され、その窓が、検出された車両の動きにしたがってバーチャル環境を通過する。バーチャル・オフィスの窓を越えてバーチャル環境を仮想的に移動することにより、第1の人物が、バーチャル器官から、平衡感覚器官からの情報に対応する少なくとも特定の光刺激を受けるまたは知覚できることも保証される。これはまた、乗り物酔いの現象を大幅に低減または完全に防止することを可能にする。二人の参照システムの相対的な動きつまり移動中の車両または第2の人物の他の参照システムの相対的な動きに一致する視覚的フィードバックを二人の人物に提供することを条件として、原則として、それぞれのバーチャル環境についての任意の表示が可能でありかつ有用である。
【0016】
本発明のさらなる有利な実施形態では、第2の人物が実際に居る参照システムが静止環境である場合に、第2のバーチャル環境が静止バーチャル環境の形で表示される。この場合に、第2の人物におけるバーチャル環境の視覚的知覚は、第2の人物の平衡器官によってもたらされる知覚と一致する。これによって、バーチャル会議中に第2の人物の気分が悪くならないようにすることができる。つまり、いわゆる乗り物酔いが、発生しないか、少なくとも最小限に抑えられる。
【0017】
本発明のさらなる有利な実施形態では、第2の人物が実際に居る参照システムも移動車両である場合に、その車両の動きが記録され、記録された第2の車両の動きにしたがって第2のバーチャル環境の表現が選択される。この場合でも、第2の人物に乗り物酔いの現象が発生しないかまたは最小限に抑えられることが保証される。したがって、両方の人物が異なる車両で移動することも可能であり、二人の人物がバーチャル会議を開催し、それぞれのバーチャル環境がそれぞれの車両の動きに適合される。
【0018】
本発明のさらなる有利な実施形態によれば、表示デバイスはそれぞれのバーチャルリアリティ眼鏡であり、それによってそれぞれのバーチャル環境が表示される。その結果、二人の人物のバーチャルリアリティ眼鏡がそれぞれの人物の視野全体をカバーし、二人の人物がそれぞれのバーチャル環境に完全に没入しているように感じるので、二人の人物はバーチャル会議を特にリアルに知覚できる。バーチャルリアリティ眼鏡の代わりに、他の表示デバイスを使用することもできる。たとえば、車に座っている第1の人物だけがバーチャルリアリティ眼鏡をかけた場合であって、他の人物はオフィスで座っている場合などである。他の人物は、バーチャルリアリティ眼鏡を通して見る代わりに、モニタに適切なバーチャル環境が表示されることによってそれを見る。
【0019】
少なくとも第1の人物と第2の人物との間でバーチャル会議を行うための本発明のシステムは、バーチャル会議を第1のバーチャル環境の形で表示するために第1の人物に割り当てられた第1の表示デバイスを含む。第1の表示デバイスは、第1の人物が搭乗している車両の移動に関する機能として検出された車両移動にしたがって、第1のバーチャル環境の表現を選択するように設定される。さらに、本発明によるシステムは、第2のバーチャル環境の形でバーチャル会議を表示するために第2の人物に割り当てられた第2の表示デバイスを備える。この第2の表示デバイスは、車両とは異なる参照システムについて検出された動きに関する機能として設定され、そして第2の人物がバーチャル環境の表現を選択するように設定配置されている。両方の表示デバイスは、それぞれのバーチャル環境に適応できるそれぞれの制御装置を含むことが好ましい。表示デバイスは、好ましくは、それぞれのデータインターフェースも有し、それを介して、車両の動きまたは第2の人物の参照システムの動きを表す最も多様なデータを受け取ることができる。本発明による方法の有利な構成は、本発明によるシステムの有利な構成と見なされるべきであり、逆もまた同様である。本発明のシステムは、特に、本発明の方法を実行するための手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】二人の人物の間でバーチャル会議を実施するためのシステムの非常に概略的な図である。
図2図1に概略的に示されるシステムを使用し、かつモニタまたはバーチャルリアリティ眼鏡を使用してバーチャル会議を行っているところの、机に座っている人物および車両に座っている人物の概略図である。
図3】バーチャルリアリティ眼鏡によって第1のバーチャル環境の形で表示される、二人の人物の間のバーチャル会議についての非常に概略的な図である。
図4】第2のバーチャル環境の形で画面上に表示されるバーチャル会議についての非常に概略的な別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、好ましい例示的な実施形態についての以下の説明および図面から得られる。前述した特徴および特徴どうしの組み合わせと、以下において記載される図面を用いた説明および、または図面だけに示される特徴および特徴どうしの組み合わせは、本発明の技術的範囲から外れることなしに、それぞれ規定された組み合わせだけでなく、他の組み合わせでも、または単独でも、使用することができる。
【0022】
図において、同一または機能的に同一の要素には、同じ参照符号が付されている。
【0023】
少なくとも二人の間でバーチャル会議を実施するためのシステム1が、図1において、非常に概略的な形で示されている。システム1は、2つの表示デバイス2、3を含み、これらは、バーチャル会議を行いたいそれぞれの人々によって使用され得る。システム1は、特に、非常に異なる場所にいる人々の間のバーチャル会議を可能にするために使用される。
【0024】
図2は、システム1を用いてそのようなバーチャル会議が行われ得るシナリオの例を示す。この例では、システム1の表示装置2、3は、一方ではバーチャルリアリティ眼鏡2であり、他方では画面3である。バーチャルリアリティ眼鏡2を着用した第1の人物4は、現在、移動中の車両5に座っている。たとえば、車両5は完全に自律的に運転している場合があり、その結果、人物4は、たとえドライバーであっても、バーチャルリアリティ眼鏡2を安全に着用している可能性がある。もちろん、人物4は同乗者であっても構わない。
【0025】
現在、第2の人物6がオフィス7で座っている。これにより、人物6の参照システムが表示され、人物6は画面3を見る。システム1を使用して、4人と6人の両方が互いにバーチャル会議を開催できる。
【0026】
図3は、バーチャル環境8についての非常に概略的な図を示しており、その形式では、2人の人物4、6の間のバーチャル会議は、バーチャルリアリティ眼鏡2によって行われる。2人の人物4、6のそれぞれの画像9、10は、例示の目的で概略的に示されている。画像9は、バーチャル環境8内で、車両5で座っている人物4に対応し、画像10は、オフィス7で座っている人物6に対応する。車両5で座っている人物4は、バーチャルリアリティ眼鏡2を通して、画像9によって識別される仮想位置から始めて、オフィス7に座っている人物6の画像10を見る。
【0027】
図4は、第2のバーチャル環境11を示しており、その形式では、2人の人物4、6の間のバーチャル会議が画面3に示されている。2人の人物4、6の2つの画像9、10は、説明のみを目的として再び概略的に示されている。オフィス7で座っている人物6は、画面3を通して、または画面3によって、バーチャル環境11を、特に画像10の配置によって特徴付けられるバーチャル視点から見ている。
【0028】
たとえば、モーション・キャプチャ方法を使用して、バーチャル会議中に二人の人物4、6がそれぞれのバーチャル環境8、11内の画像9、10の特に現実的な動き、たとえば自分の手足のバーチャルな動きを見ることができるようにすることも可能である。
【0029】
次の例でそのようなバーチャル会議を開催する際の特定の課題は、人物4が車両5とともに移動し、人物6はオフィス7に配置されることにある。つまり、人物4の参照システムとは対照的に、人物6の参照システムは動かないことにある。
【0030】
バーチャル会議が行われるときに二人の人物4、6が気分が悪くなることを防止するために、すなわちいわゆる乗り物酔いを防止するために、バーチャルリアリティ眼鏡2および画面3は、それぞれ異なるバーチャル環境8、11を有することが提案される。これは、人物4、6のそれぞれの参照システム、すなわち移動車両5または静止オフィス7がどのように移動するかまたは移動しないかに一致する参照システムにて表示される。
【0031】
車両5の運動に関する様々なデータが記録され、バーチャルリアリティ眼鏡2を使用する第1のバーチャル環境8の表現は、記録された車両の運動にしたがって選択される。同様に、第2の人物6の参照システム、すなわちオフィス7の参照システムの動きが記録される。第2のバーチャル環境11の表示は、検出されたオフィス7の動きに対して画面3に映し出されるが、この例ではオフィス7はもちろん動かない。
【0032】
バーチャル会議を表示するためのバーチャル環境8は、たとえば、バーチャルリアリティ眼鏡2が、二人の実在の人物4、6の二つの画像9、10が配置されるところの、ここには示されていないプラットフォームであるように、選択される。このプラットフォームは、検出された車両5の動きに応じて、バーチャル環境を移動する。
【0033】
対照的に、バーチャル環境11は、第2の人物6が、スクリーン3を通して、全く移動しないバーチャル・オフィス空間を単に見るように、選択することができる。したがって、両方の人物4、6は、それぞれの参照システム、すなわち車両5またはオフィス7の動きに適合されたそのようなバーチャル環境8または11を見る。これにより、バーチャル会議の開催中に二人の人物4、6にいわゆる乗り物酔いが発生するのを防ぐことができる。
【0034】
同様に、人物6は、オフィス7ではなく車両で座ることもできる(ここでは図示せず)。そ場合、この車両の動きが記録され、バーチャル会議が表示されるときに人物6に適合される。この場合、人物6は、たとえば、ここでは図示されていないバーチャルリアリティ眼鏡を着用することができ、プレゼンテーションは上述のものに類似する。
【0035】
したがって、二人の人物4、6は、任意の場所および任意の参照システムに居ることができ、その人物に適合されたバーチャル環境8、11が示されるときに、それぞれの参照システムの動きが行われる。もちろん、そのようなバーチャル会議は、二人以上の人物の間でも実行できる。その場合、バーチャル会議がそれぞれのバーチャル環境の形で表されるときに、人物が実際に位置するそれぞれの参照システムのそれぞれの動きまたは非動きが考慮されることが好ましい。
図1
図2
図3
図4