(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-09
(45)【発行日】2022-03-17
(54)【発明の名称】防火建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20220310BHJP
E06B 1/12 20060101ALI20220310BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/12 A
E06B1/18 X
(21)【出願番号】P 2021151846
(22)【出願日】2021-09-17
(62)【分割の表示】P 2018111366の分割
【原出願日】2018-06-11
【審査請求日】2021-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】永田 孫史
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄太郎
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-001120(JP,A)
【文献】特開2017-155408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00 - 5/20
E06B 1/00 - 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の連結材本体と、連結材本体の両側に固定される枠取付材と、枠取付材に固定される竪枠と、連結材本体の室内側に配置される室内側部材を備え、
室内側部材は、耐火部材の室内側に
スチール等の鋼材からなる補強部材を備えており、連結材本体に固定されている防火建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 建物開口部に配置される防火建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に配置される防火建具として、左右に窓部を配置するための方立を備えた防火建具が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された防火建具は、方立の室内側方立部材の室内側に耐火部材を配置することで、火災時に方立と左右の窓部との間から火が浸入することを防止し、防火性を高めている。
このような、火災時に方立と左右の窓部との間を塞ぐための耐火部材は、左右の窓部の竪枠の室内側面に近接した状態で配置する必要があるために、方立は、左右の窓部よりも室内側に張り出して配置することは難しかった。
一方、方立の見付け寸法をできるだけ小さくして意匠性を高めることは、常に求められており、方立の見付け寸法はできるだけ小さい方が好ましかった。
しかし、例えば高さの大きい防火建具においては、上記のような見付け寸法と見込み寸法に制約がある方立では、十分な強度を得られない可能性があった。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑み、方立の室内側に耐火部材が配置された防火建具であっても、十分な強度を有する方立を備える防火建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、中空状の連結材本体と、連結材本体の両側に固定される枠取付材と、枠取付材に固定される竪枠と、連結材本体の室内側に配置される室内側部材を備え、室内側部材は、耐火部材の室内側にスチール等の鋼材からなる補強部材を備えており、連結材本体に固定されている防火建具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態により、方立の室内側に耐火部材が配置された防火建具であっても、十分な強度を有する方立を備える防火建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る防火建具の外観図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る防火建具の横断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る防火建具の竪断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る防火建具に連結材部分の拡大横断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る防火建具の連結材部分の竪断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について、
図1ないし5を参考にして説明する。
(全体の構成)
図1ないし3に示すように、本実施形態の防火建具は、建物の躯体開口部Aの左右方向ほぼ中央位置に配置される連結材1と、建物の躯体開口部A内であって連結材1の左右の空間に配置される左右の窓部2,2を備えている。
左右の窓部2は、それぞれ竪枠23,24の内周面に上、下枠21,22の端部を突き合わせて結合されてなる枠体の内周に、内、外障子3,4を配置してなる引き違い窓として形成されている。
【0010】
(連結材)
本実施形態の防火建具の連結材1は、
図2に示すように、スチール等の鋼材からなる中空状の連結材本体11と、連結材本体11の左右両側に固定されて左右の窓部2,2の竪枠23が取り付けられる枠取付材12,12と、連結材本体11の室内側に配置されて左右の窓部2,2の室内側の竪枠23,23間をカバーする室内側部材13と、を有している。
【0011】
連結材本体11は、左右の窓部2の見込寸法の半分以下の見込寸法を有しており、
図5に示すように、見込み壁の上下部分が、躯体開口部Aに固定された上、下アンカー部材5,5に固定されることで、躯体開口部Aに対して支持されている。
具体的には、上、下アンカー部材5,5の固定板52,52に形成された上下方向に沿って延びる長孔52aに対してビス等の固定手段b1によって固定されており、熱等によって連結材本体11が伸びた場合などには、長孔52a,52aと連結材本体11との固定部におけるずれが許容されるように支持されている。
【0012】
枠取付材12は、スチール等の鋼材よりなり、
図4(a)に示すように、室内側見込み壁12aと、室内側見込み壁12aの室内側端から反連結材本体側に延びる室内側取付部12bと、室内側見込み壁12aの室外側端から連結材本体側に延びる見付け壁12cと、見付け壁12cの連結材本体側が室外側に屈曲して室外側に延びる室外側見込み壁12dと、室外側見込み壁12dの室外側端が反連結材本体側に屈曲して延びる室外側取付部12eとを有する曲げ部材として形成されている。
そして、枠取付材12は、室内側見込み壁12aが連結材本体11の見込み壁に当接され、見付け壁12cが連結材本体11の室外側見付け壁に当接されるとともに、連結材本体11の室外側で左右の枠取付材12,12の室外側見込み壁12d同士が合わさるように配置され、ネジ等の連結手段b2により固定されている。
【0013】
なお、本実施形態の防火建具の枠取付材12の室内側見込み壁12aは、
図5に示すように、室内側部分の上下方向寸法が長く、室外側部分の上下方向寸法が室内側に比べて短い寸法となるように段を有しており、アンカー部材5の固定板52を避ける形状をしているので、連結材本体11と上、下アンカー部材5,5の固定板52,52との固定を妨げることがない。
ただし、枠取付材12の形状は、
図5に示す本実施形態の形状に限定されるものではなく、また、連結材本体11に対して上下方向に複数個配置されるものでもよい。(なお、
図5においては、連結材本体11と枠取付材12とを区別するために、枠取付材12を点線で示している。)
【0014】
室内側部材13は、
図4(b)に示すように、連結材本体11の室内側に固定される連結部材131と、連結部材131の室内側に配置されて連結材本体11に固定される耐火ボート等の耐火部材132と、連結部材131に固定されて耐火部材132の室内側を覆う室内側カバー部材133と、室内側カバー部材133の中空部内に配置される補強部材134を有している。
【0015】
連結部材131は、連結材本体11及び連結材本体11に固定された左右の枠取付材12の室内側を覆う左右幅寸法を有する固定部131aと、固定部131aの左右両端部より室内側に延びる係止片131b,131bを有している。そして、固定部131aの左右中央位置において連結材本体11に固定手段b3により固定されると共に、左右位置において枠取付材12の室内側取付部12bにビス等の固定手段b4により固定されている。
【0016】
耐火部材132は、
図4(b),
図5に示すように、連結材本体11とほぼ同じ高さ寸法を有し、連結材本体11の室内側において連結材本体11と左右の枠取付材12,12との間を室内側から塞ぐように連結材本体11に対してネジ等の固定手段b5により固定されている。
室内側カバー部材133は、耐火部材132を室内側から覆う凹部133aと、凹部133aの室内側に形成された中空部133bからなり、凹部133aを形成する左右壁の端部が連結部材131の係止片131b、131bにビス等の固定手段b6により固定されている。
【0017】
そして、室内側カバー部材133の中空部133b内には、スチール等の鋼材からなる2つの略U字状の曲げ部材をあわせて中空形状に形成された補強部材134が配置されており、ビス等の固定手段b7によって、室内側カバー部材133に固定されている。
【0018】
(窓部の構成)
本実施形態の防火建具の窓部2は防火性を備えており、
図2に示すように、連結材側の竪枠23が枠取付材12に固定されるとともに、反連結材側(躯体開口部A側)の竪枠24が、躯体開口部Aに固定されたアンカー部材5に固定されることで躯体開口部Aに取付けられている。
連結材1(及びアンカー部材5)に固定される窓部2の竪枠23(24)は、
図4(a)に示すように、少なくとも見込み壁23aと、見込み壁23aの室内側端から外周側に向かって延設され先端が室外方向に屈曲している室内側取付片23bと、見込み壁23aの室外側外周面に設けられる中空部23cと、中空部23cの内周側の室内側端から室内方向に向かって延びさらに外周側に屈曲して延設される室外側取付片23dを有している。
【0019】
そして、竪枠23は、室内側取付片23bが枠取付材12の室内側取付部12bに対して室外側から見込み方向に重複するように当接してビス等の固定手段b8により固定されると共に、室外側取付片23dの見付壁が枠取付材12の室外側取付部12eに対して室内側から見込み方向に重複するように当接してビス等の固定手段b9によって固定されている。
【0020】
枠取付材12の室外側取付部12eに固定された竪枠23の室外側取付片23d,23dの室外側であって、竪枠23,23の中空部23c,23cの間には、シール材sが設けられており、竪枠23,23間が気密されている。
そして、防火建具の連結材1の室外側は、竪枠23,23の室外側面より室外側に突出する部材を配することなく、面一に形成されている。
【0021】
以上のように、本実施形態の防火建具については、窓部2を支持する連結材1の連結材本体11は、開口部の面積を確保するために見付け方向の寸法が小さく設定され、また、室外側面に突出部を設けることなく面一状態に施工するために見込み方向の寸法が小さく設定されている。
そのため、躯体開口部Aにアンカー部材5を介して支持される連結材本体11の断面積を十分に確保できず強度を保つことが難しかった。特に、開口高さ寸法の大きな建具については強度不足となることが多かった。
【0022】
それに対して、本実施形態の防火建具は、連結材本体11の室内側に配置される耐火部材132の更に室内側に、連結材1を補強する補強部材134を配置することで、連結材1の強度を向上させたものである。
【0023】
具体的には、耐火部材132を覆う室内側カバー部材133に、補強部材134を配置することができる中空部133bを形成し、中空部133b内に補強部材134を配置するとともに、補強部材134を室内側カバー部材133の中空部133b内にビス等の固定手段b7により固定することで、室内側カバー部材133の強度を高めている。
そして、強度が向上した室内側カバー部材133を、連結材本体11に固定された連結部材131の係止片131bに対してネジ等の固定手段b6によって固定することで、連結材本体11と室内側カバー部材133とが一体となった強度の高い連結材1を構成している。
【0024】
以上の実施形態の防火建具においては、連結材1を構成する連結材本体11の室内側に耐火部材132が配置されるとともに、耐火部材132の室内側に補強部材134が配置されることで、連結材1全体の強度を向上させることができる。
したがって、連結材1の見付寸法を小さくすることができ、開口部分を広く保つことができる。また、連結材1の見込寸法を窓部の見込寸法よりも小さく形成することを可能にし、窓の室外側を面一に形成することができる。
【0025】
そして、連結材1全体の強度を高めるための補強部材134を、連結材1を構成する室内側カバー部材133に固定して、該室内側カバー部材133を連結材本体11に固定された連結部材131に固定することで補強しているので、開口部の高さ寸法が小さい場合には、室内側カバー部材133を中空部を備えない室内側カバー部材に変更したり、中空部内に補強部材134を配置しないようにしたりすることなどで、連結材本体11の構成を変更することなく、建具に応じた補強の設定を簡単に行うことができる。
【0026】
なお、本実施形態においては、耐火部材の室内側に配置される補強部材134は,室内側カバー部材133の中空部内の室外側壁に固定されているが、補強部材134の固定は上記構成に限定されるものではなく、連結材1を補強することができれば、いずれの部材に固定されるものでもよい。
【0027】
なお、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0028】
1 :連結材
2 :窓部
11 :連結材本体
12 :枠取付材
13 :室内側部材
23 :竪枠
131 :連結部材
132 :耐火部材
134 :補強部材