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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】押圧具
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/04 20060101AFI20220311BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
A61H39/04 V
A61H39/04 M
A61H7/00 320A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021129369
(22)【出願日】2021-06-28
(62)【分割の表示】P 2020201354の分割
【原出願日】2020-11-16
【審査請求日】2021-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591199039
【氏名又は名称】ベス工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】紀伊野 進一
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-117641(JP,U)
【文献】特開2019-141194(JP,A)
【文献】特開平09-122192(JP,A)
【文献】特開平10-052466(JP,A)
【文献】特開2000-79169(JP,A)
【文献】特開2016-221201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 39/04
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部及び前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の各先端を球面とし、前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部の先端球面の半径を前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の先端球面の半径よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の押圧具。
【請求項3】
前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の形状として、楕円の長軸を軸心として回転させた回転体にすると共に、その楕円の短軸幅よりも前記アーム形状のバネ部の各々の太さが小さくなるように形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の押圧具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体を押圧刺激するための押圧具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の押圧具として、弾性を有する開環状体の内側に人の身体を押圧する押圧部を複数突設したものが存在し、これらの押圧部によって人体頭部のこめかみや頭頂部付近のツボを同時に刺激するようにしている(例えば特許文献1参照)。また、人体部位の形状の個人差に対応すべくこのような押圧部を開環状体上にて移動可能にし、使用者が所望する適切な位置を押圧できるようにしたものも存在しており、開環状体の両端付近にスライド溝を設けて左右それぞれに押圧部をボルトとナットで固定する構成としている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
尚、従来の弾性を有する開環状体の押圧具は、人体頭部のみならず腕や脚など他のあらゆる人体部位を押圧や指圧、刺激、マッサージするために使用することができ、弾性を有する開環状体の内側で挟むことができる人体部位すべてに使用できる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3145070号
【文献】公開実用新案昭61-31456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の押圧具は、単に挟持押圧するだけの単調なものであって、押圧方向とは別の方向に力が作用して生じるつまみ感など、他のマッサージ感を齎すことはできなかった。また、人体の頭部に使用する場合、その押圧によって顔の皮膚を上方や後方に引き上げて皮膚のたるみを緩和するような美容効果まで期待することはできない。さらに、押圧部を開環状体上にて移動及び固定させるために、スライド溝やボルト及びナットなどの使用によって部品数が増加し、組立工程に負荷がかかって生産性が下がり生産コストは上昇する問題や、押圧具全体の重量の増加による装着時のずれが生じる問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、単調な押圧だけでなく他のマッサージ感を齎すことができ、人体の頭部に使用する場合は美容効果も期待することができ、且つ、部品数を極力少なくすることにより生産コストを削減することができると共に、重量の増加による装着時のずれを解消することが可能な押圧具を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の押圧具は、弾性及び左右両端を有すると共に下方に開口を有する開環状体を設け、前記開環状体の内側で人体部位を押圧する左右一対の押圧部を、バネ部を各々介して前記開環状体の下方開口側付近に設け、前記開環状体の開口をさらに開いた状態で前記開環状体の開口側へ左右一対の各前記押圧部を付勢移動可能とし、人体部位を押圧する左右複数対の押圧部を、アーム形状のバネ部を各々介して前記開環状体の上方中央付近の内側面に設けると共に、前記アーム形 状のバネ部を各々、前記開環状体の上方中央側に傾斜するように構成する。
【0008】
また、本発明の押圧具として、前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部及び前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の各先端を球面とし、前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部の先端球面の半径を前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の先端球面の半径よりも大きくすることができる。
【0009】
さらに、本発明の押圧具として、前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の形状として、楕円の長軸を軸心として回転させた回転体にすると共に、その楕円の短軸幅よりも前記アーム形状のバネ部の各々の太さが小さくなるように形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の押圧具は、弾性及び左右両端を有すると共に下方に開口を有する開環状体を設け、前記開環状体の内側で人体部位を押圧する左右一対の押圧部を、バネ部を各々介して前記開環状体の下方開口側付近に設け、前記開環状体の開口をさらに開いた状態で前記開環状体の開口側へ左右一対の各前記押圧部を付勢移動可能とするよう構成しているため、各前記押圧部が使用者の所望する位置になるよう付勢移動することができ、従来の押圧具のように、単に挟持押圧するだけの単調さを解消し、各前記押圧部押圧方向とは別の方向に力が作用して他のマッサージ感覚を得られるようにすることができる。すなわち、例えば本発明の押圧具を人体頭部に使用する場合、前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部でこめかみを指圧する際、左右の各前記押圧部を両手で持ってこめかみよりも前方の目尻付近まで付勢移動して当接し、次いで各前記押圧部から手を放すと、前記開環状体の付勢力及び前記開環状体の下方開口側左右一対の前記バネ部の付勢力によって、各前記押圧部が押圧している付近の皮膚が頭の上方または後方に引っ張られることになり、顔の皮膚を上方や後方に引き上げて皮膚のたるみを緩和するような美容効果を期待することができる。加えて、本発明の押圧具は、従来のようにスライド溝やボルト及びナットなどを使用することはなくなり、軽量化を図って装着時の重量によるずれの問題をも解消できる。また、本発明の押圧具は、人体部位を押圧する左右複数対の押圧部を、アーム形状のバネ部を各々介して前記開環状体の上方中央付近の内側面に設けているため、本発明の押圧具を人体頭部に使用する場合、前記開環状体の下方開口側の前記左右一対の押圧部は、前記 開環状体の上方側の前記左右複数対の押圧部に向かって力が掛かるので、つまみ感や包み込むようなホールド感などの他のマッサージ感覚を得られるようにすることができ、従来の押圧具のように単に挟持押圧するだけの単調さを解消できる。さらに、本発明の押圧具として、前記アーム形状のバネ部を各々、前記開環状体の上方中央側に傾斜するように構成するため、人体頭部に使用して前記開環状体の下方開口側の前記左右一対の押圧部がこめかみを指圧するようにした際、その押圧部分を中心軸にして前記開環状体が後方へ回動し、前記開環状体の上方側の前記左右複数対の押圧部は、人体頭部の頭頂部または後頭部の毛髪の間に入って、前記左右複数対の押圧部の傾斜した各前記バネ部と、前記開環状体との間に毛髪は挟まれた状態となり、前記開環状体がそれ以上不意に回動しないよう固定されるので、これによっても押圧具全体の重量による装着時のずれが生じる問題を解消できる。
【0011】
また、本発明の押圧具として、前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部及び前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の各先端を球面とし、前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部の先端球面の半径を前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の先端球面の半径よりも大きくするなら、本発明の押圧具を人体頭部に使用し、前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部をこめかみに当接させる場合、前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部は、人体の頭頂部または後頭部の毛髪の間に入りやすくなり、前記開環状体の下方開口側の各前記押圧部は、こめかみに対する指圧感が前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部による人体の頭頂部における指圧感よりもソフトになるようにし、快適な指圧感やマッサージを実現できる。
【0012】
さらに、本発明の押圧具として、前記開環状体の上方中央側の各前記押圧部の形状として、楕円の長軸を軸心として回転させた回転体にすると共に、その楕円の短軸幅よりも前記アーム形状のバネ部の各々の太さが小さくなるように形成するなら、本発明の押圧具を人体頭部に使用する場合、各前記アーム形状のバネ部と前記開環状体との間に各々挟まれた毛髪は一層抜けにくくなり、前記開環状体を一層安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態における押圧具の正面図。
図2】同押圧具の側面図。
図3】同押圧具の縦断面図。
図4】同押圧具の各押圧部及び各小押圧部に関する正面説明図。
図5】同押圧具を身体部位に装着した状態を示す説明図。
図6】同押圧具を人体頭部に装着して各押圧部を移動する場合の使用説明図。
図7】同押圧具を人体頭部に装着した状態を示す使用説明図。
図8】同押圧具を人体頭部に装着した状態を示す使用説明図。
図9】同押圧具を身体部位に装着した状態を示す説明図。
図10】同押圧具を人体頭部に装着する時の状態を示す使用説明図。
図11】同押圧具を人体頭部に装着した状態を示す使用説明図。
図12】同押圧具を人体頭部に装着して各押圧部を移動する場合の使用説明図。
図13】同押圧具を人体頭部に装着した状態を示す使用説明図。
図14】同押圧具を人体頭部に装着した状態を示す使用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の押圧具1は、図1図3に示したように、弾性及び左右両端を有すると共に下方に開口を有する開環状体2と、前記開環状体2の内側で人体部位を押圧する左右一対の押圧部3・3を前記開環状体2の開口側付近に設けて基本的に構成したものである。また、前記開環状体2の開口側とは反対側である上方中央付近の内側面にも人体部位を押圧する押圧部として左右複数対の比較的小さい小押圧部30・30・・を設けている。尚、前記開環状体2の開口側付近の左右一対の前記押圧部3・3を前記開環状体2の形状に沿って複数対設けるなら、各前記押圧部3による指圧感を比較的和らげソフトにすることができる。
【0015】
図1に示すように、前記開環状体2は環状形状の下側を開口して左右それぞれに先端を有した形状であり、帯状フレームを湾曲させてC形にしたような形状をしている。また、前記開環状体2は、全体または一部が弾性を有するようにしている。図10に示すように、前記開環状体2の左右両端付近をそれぞれ手で持ち、前記開環状体2の開口をさらに開くと前記開環状体2は付勢された状態となり、その状態で人体頭部に嵌めて図11に示すように装着すると、前記開環状体2の付勢により左右一対の前記押圧部3・3は左右から挟圧することになる。尚、前記開環状体2の全体が弾性を有する場合は樹脂や金属などの弾性材料で金型形成してもよいし、前記開環状体2の一部が弾性を有する場合は、それよりも硬い樹脂や金属などの非弾性材料との部品の組み合わせで構成できる。
【0016】
各前記押圧部3及び各前記小押圧部30は、身体部位を押圧または指圧して刺激を与えるものであり、樹脂や金属などあらゆる材質のうち、軟質または硬質の材料を採用でき、各先端は当たり心地が良くほとんどの皮膚面形状に対応できる球体面をしている。各前記小押圧部30の形状として、図1に示すように楕円の長軸を軸心として回転させた回転体にしているが、他にも円の回転体、また円錐の回転体の先端を球面とした形状など、様々な形状が考えられる。尚、各前記押圧部3及び各前記小押圧部30の形状として図示しないが他にも凸形状を単一または複数設けたものなど、人体部位に応じた形状とすることができる。
【0017】
各前記押圧部3は、前記開環状体2にバネ部4を介して各々設けると共に、図6に示すように前記開環状体2の開口をさらに開いた状態で前記開環状体2の開口側へ付勢移動するよう構成している。同じように、各前記小押圧部30は、前記開環状体2に小バネ部40を介して各々設けており、図4に示すように前記開環状体2の外側へ付勢移動または付勢傾倒するよう構成している。その結果、従来の押圧具のように単に挟持押圧するだけの単調さを解消し、図5に示すように、各前記押圧部3の押圧方向31とは別の方向に力が作用して他のマッサージ感覚を得られるようにすることができるし、図7及び図14に示すように人体の頭部に使用する場合、顔の皮膚を上方や後方に引き上げて皮膚のたるみを緩和するような美容効果を期待することができる。さらに、左右複数対の前記小押圧部30・30・・が前記開環状体2の中央が身体部位に向かって押し付けられるか、または図7に示すように、前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3が、前記開環状体2の上方側の左右複数対の前記小押圧部30・30・・に向かって力が掛かる場合、図4に示すように前記開環状体2の上方中央に近いほど、左右複数対の前記小押圧部30・30・・が左右相互に近づきつつ前記開環状体2の外側へ傾倒するようになっているため、図5に示すように左右から皮膚をつまみ上げるマッサージを実施することができる。
【0018】
さらに、各前記バネ部4を前記開環状体2の内側から突出した弾性を有するアーム形状にし、且つ、図4に示すようにアーム形状をした各前記バネ部4の根元付近で付勢屈曲するようにしている。同様、各前記小バネ部40も前記開環状体2の内側から弾性を有するアーム形状となって突出させている。さらに、図1に示すように各前記バネ部4が突出する位置の前記開環状体2の内側面21に対して垂直となる方向よりも前記開環状体2の開口側とは反対側に各前記バネ部4を傾斜させる構成にしている。このような構成により図5図6及び図12に示すように各前記押圧部3が使用者の所望する位置になるよう付勢移動することができる。尚、各前記バネ部4の全体が弾性を有する場合は樹脂や金属などの弾性材料で金型形成してもよいし、各前記バネ部4の一部が弾性を有する場合は、それよりも硬い樹脂や金属などの非弾性材料との部品の組み合わせで構成できる。このように本発明の押圧具1を構成することにより、従来のようにスライド溝やボルト及びナットなどを使用することはなくなり、軽量化を図って装着時の重量によるずれの問題をも解消できる。尚、各前記バネ部4と同様、各前記小バネ部40も図1に示すように前記開環状体2の外側に傾斜させる構成にしている。
【0019】
尚、図示しないが各前記バネ部4や各前記小バネ部40をスプリング構造にしてもよいし、または、前記開環状体2の左右両端を前記開環状体2の長さ方向に付勢伸縮する構造にすると共に、その付勢伸縮においてスプリング材を使用することもできる。
【0020】
前記開環状体2の上方内側左右において、各前記バネ部4よりも小さな複数対の前記小バネ部40・40・・を突設すると共に、前記開環状体2の下方開口側左右の先端付近には左右一対の前記バネ部4・4を突設しているが、前記開環状体2の下方開口側の各前記バネ部4の方が、前記開環状体2の上方側の各前記小バネ部40のものよりも長く形成すると共に、前記開環状体2の下方開口側の各前記押圧部3の方が、前記開環状体2の上方側の各前記小押圧部30のものよりも半径の大きい先端球面となるようにしている。すなわち、人体の頭頂部または後頭部毛髪の間に入りやすいよう前記開環状体2の上方側の複数対の前記小押圧部30・30・・の先端が比較的細くなるよう、その先端球面の半径を比較的小さくしているのに対し、人体のこめかみに対してはそれよりも前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3の先端球面の半径を比較的大きくし、且つ前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記バネ部4・4を比較的長く形成して弾性が柔らかくなるようにしているため、こめかみに対する指圧感が人体の頭頂部のものよりもソフトになるようにし、快適な指圧感やマッサージを実現している。
【0021】
本発明の押圧具1を人体頭部に使用する場合、図10に示すように、まず閉じている前記開環状体2を左右に開けながら図11に示すように人体頭部に嵌めて装着した時、前記開環状体2は閉じる方向に力が加わって前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3で身体頭部のこめかみを指圧するが、前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記バネ部4・4は付勢傾倒するので、図6及び図12に示すように左右の各前記押圧部3を両手で持って移動させることができ、例えば図13に示すように各前記押圧部3をこめかみよりも前方の目尻付近まで移動して当接し、次いで各前記押圧部3から持っている手を放すと、図7及び図14に示すように前記開環状体2の付勢力、及び前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記バネ部4・4の付勢力によって、前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3が押圧している付近の皮膚が頭の上方または後方に引っ張られることになり、顔の皮膚を上方や後方に引き上げて皮膚のたるみを緩和するような美容効果を期待することができる。尚、こめかみ以外にも額や頬、顎などにも前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3を当接させて同じようなリフトアップ効果を見込むことができる。
【0022】
加えて、図7に示すように、前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3は、前記開環状体2の上方側の左右複数対の前記小押圧部30・30・・に向かって力が掛かるので、前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3の図5に示す各前記押圧方向31とは別の方向に力が作用して、つまみ感や包み込むようなホールド感などの他のマッサージ感覚を得られるようにすることができ、従来の押圧具のように単に挟持押圧するだけの単調さを解消できる。尚、図9に示すように、人体頭部に限らず手や腕、脚などの他の人体部位に本発明の押圧具1を使用する場合も同様、つまみ感やホールド感などの他のマッサージ感覚を齎すことができる。
【0023】
また、図8に示すように、本発明の押圧具1を装着し、前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3が人体部位を押圧した状態で、前記開環状体2の左右両端付近を外側から内側に両手でさらに押すと、前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記バネ部4・4は前記開環状体2の下方開口側とは反対側、つまり外側に傾倒し、前記開環状体2の下方開口側の左右一対の前記押圧部3・3は前記開環状体2の下方開口側とは反対の方向に顔の皮膚を引き上げる力が掛かる。すなわち、前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3の、前記開環状体2の前記内側面21から垂直に伸びる前記押圧方向31とは別の方向である前記開環状体2の下方開口側とは反対の方向に力が強制的に作用し、上述したように前記押圧部3・3が押圧している付近の皮膚を頭の上方または後方に引っ張ることができ、皮膚のたるみを緩和するような美容効果を促進することができるし、つまみ感や包み込むようなホールド感などの他のマッサージ感覚を意図的に得られるようにすることもできる。加えて、前記開環状体2の左右両端付近を外側から内側に両手で押したり引いたりすると、皮膚も引っ張られたり緩和したりすることを繰り返すことができ、つまみ揉みなどのマッサージを実現できる。
【0024】
尚、図5に示す前記押圧方向31は、前記開環状体2の前記内側面21から垂直に伸びて、前記開環状体2の下方開口側の前記各押圧部3の最も遠い先端点と合致するように引き出された仮想線と同じ方向としている。
【0025】
本発明の押圧具1を人体頭部に使用する場合、図10に示すように前記開環状体2の下方開口側左右一対の前記押圧部3・3がこめかみを指圧するようにした際、その押圧部分を中心軸にして前記開環状体2が後方へ回動し、図11に示すように前記開環状体2の上方側の左右複数対の前記小押圧部30・30・・は、人体頭部の頭頂部または後頭部の毛髪の間に入って前記開環状体2がそれ以上不意に回動しないよう固定する作用もあり、使用者が押圧具1を装着しながら何か別のことを安心して行うことができるようにしたハンズフリー効果もある。前記小押圧部30・30・・が毛髪間に入って固定されるのは、前述したように各前記小バネ部40を前記開環状体2の外側に傾斜させる構成にしているからであり、図10に示すように前記開環状体2が立った状態から、図11に示すように前記開環状体2を寝かせると、各前記小押圧部30は毛髪の間を通って入っていくが、傾斜した各前記小バネ部40と前記開環状体2との間に毛髪は挟まれた状態となり、前記開環状体2は毛髪に固定されることになる。また、上述したように各前記小押圧部30の形状として、図1に示すように楕円の長軸を軸心として回転させた回転体にすると共に該楕円の短軸幅よりも、アーム形状の各前記小バネ部40の太さが小さくなるように形成しているため、各前記小バネ部40と前記開環状体2との間に挟まれた毛髪は一層抜けにくくなり、前記開環状体2を一層安定させることができる。
【0026】
さらに、本発明の押圧具1として、前記開環状体2とフレーム形状の各前記バネ部4を樹脂や金属などの弾性材で一体形成するなら、部品数の削減に伴う組立工程の簡素化を図ることができ、これにより生産性の向上や生産コストの低減を実現できる。尚、フレーム形状の各前記小バネ部40も共に一体形成してもよい。この場合、前記開環状体2の左右両端を相互当接させた状態で、前記開環状体2の中央の最上端から各前記押圧部3の最上先端までの距離の比率を1とすると、前記開環状体2の中央の最上端から前記開環状体2の下方開口側の左右先端の各最下端までの距離の比率は1.3~2.0になるのが望ましい。そのように形成するなら、前記開環状体2の左右幅方向や上下縦方向の大きさを大きく形成しすぎて重量が増し、その重量によって前記開環状体2が身体部位からずれてしまう問題を回避することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 押圧具
2 開環状体
21 内側面
3 押圧部
31 押圧方向
4 バネ部
30 小押圧部
40 小バネ部
【要約】
【課題】単調な押圧でなく他のマッサージ感を齎し、人体の頭部に使用する場合は美容効果も期待でき、且つ部品数を少なくして生産コストを削減すると共に重量の増加による装着時のずれを解消する押圧具を提供する。
【解決手段】弾性を有する開環状体2の上方中央付近の内側面に左右複数対の押圧部である小押圧部30・30・・を設け、この小押圧部30・30・・が身体部位に向かって押し付けられる場合、開環状体2の上方中央に近いほど小押圧部30・30・・が左右相互に近づきつつ開環状体2の外側へ傾倒するように構成する。小押圧部30・30・・は、バネ部である小バネ部40を介して開環状体2に各々設け、各小バネ部40は開環状体2の外側に傾斜させ、開環状体2と各小バネ部40を弾性材で一体形成することができる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14