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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】鎌錠
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/08 20060101AFI20220311BHJP
   E05C 3/10 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
E05B65/08 G
E05C3/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018046629
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019157529
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 育也
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-053966(JP,A)
【文献】実開平04-116563(JP,U)
【文献】実公昭26-004392(JP,Y1)
【文献】特開2008-019622(JP,A)
【文献】実開昭63-023458(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
E05C 3/04 - 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸により開閉される出入り口構成用枠体に設けられた受具と対向する引戸の先端面から内方へ延在して装着される鎌錠本体を有する鎌錠であって、
該鎌錠本体は、下記(i)~(iv);
(i)該鎌錠本体の後部側に、該鎌錠本体が延在する方向に移動自在に配設され、前方側に連結部材の後方連結点と回動自在に連結する第1連結点を、後方側に操作部材と係止する切欠部を有する板状の鎌作動部材;
(ii)該鎌錠本体の前部側に、施錠位置と開錠位置の間を揺動するように枢支された所定長さを有し、且つ該連結部材の前方連結点と回動自在に連結する第2連結点を有する鎌部材;
(iii)該鎌作動部材と該鎌部材間に介在し、該鎌部材の第2連結点と回動自在に連結する前方連結点と、該鎌作動部材の第1連結点と回動自在に連結する後方連結点とを有する連結部材;
(iv)該鎌錠本体の後部側に、鎌部材が回動する方向と同方向に回動自在に配置され、且つ先端突起が鎌作動部材の切欠部に係止する操作部材;
を備えることを特徴とする鎌錠。
【請求項2】
該第1連結点は、第1軸孔であり、該後方連結点は、該第1軸孔に嵌る第1短軸であることを特徴とする請求項1記載の鎌錠。
【請求項3】
該第2連結点は、第2軸孔であり、該前方連結点は、該第2軸孔に嵌る第2短軸であることを特徴とする請求項2記載の鎌錠。
【請求項4】
該連結部材は、前方端に該第2短軸が形成され、後方端に該第1短軸が形成され、該第1短軸の突出方向と該第2短軸の突出方向は逆方向に突出していることを特徴とする請求項3記載の鎌錠。
【請求項5】
該連結部材は、平面視厚さ(t1)の角部を有する第1部材と、該第1部材の一端から直角に屈曲する中間基部と、該中間基部の屈曲先端から、該第1部材とは反対方向に延びる平面視厚さ(t2)の角部を有する第2部材とからなる平面視がクランク形状であり、該中間基部の平面視厚み(t3)≦((t1)+(t2))であることを特徴とする請求項4記載の鎌錠。
【請求項6】
該第2連結点は、枢支位置より上方であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の鎌錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸の側端面から鎌錠本体の鎌部材が突出して、出入り口構成用枠体に設けられた受具に係止する引戸用鎌錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引戸に使用される鎌錠については種々の機構のものが報告されている。施錠の操作方法から見ると、操作部材(操作レバー)を回動する施錠方法、操作部材を鎌錠本体が延在する方向(引戸の移動方向)に移動させる方法、あるいは操作部材を鎌錠本体が延在する方向と直交する方向(引戸の先端面に沿った方向で通常上下方向)に移動させる方法がある。操作部材は、鎌部材に直接、連結するものや、中間部材(鎌作動部材)を介在してリンクを形成し、鎌部材を回転させるものがある。
【0003】
特開2002-201840号公報には、引戸の内部に埋め込まれる引戸錠本体と、開口部を有し、表面が上記引戸の端面と略一致するように上記引戸に取付けられる縦長のフロントプレートと、上記引戸錠本体に設けられた揺動軸回りに揺動して、上記フロントプレートの開口部から出没する鎌と、上記鎌に一端を接続すると共に他端を駆動機構に接続し、この駆動機構からの力によって上記鎌を揺動させる駆動リンクと、上記鎌を突出位置および没入位置に向って付勢する付勢手段とを備える引戸錠において、上記駆動リンクの他端に、上記駆動機構に接続するための接続孔を少なくとも2つ設けた引戸錠が開示されている。この引戸錠は部品点数が少ない簡易な構造であり、操作レバー(鎌作動部材)は引戸錠本体が延在する方向に移動させるものである。
【0004】
また、図7図9に示す鎌錠が知られている。この鎌錠を構成する鎌錠本体100は、鎌錠本体100の後部側に、鎌錠本体100が延在する方向に移動自在に配設され、前方側に鎌部材101と回動自在に連結する連結点104を、後方側に操作部材103と係止する切欠部105を有する板状の鎌作動部材102と、鎌錠本体100の前部側に、施錠位置と開錠位置の間を揺動するように枢支された所定長さを有し、且つ枢支位置より上方で鎌作動部材102の連結点104と回動自在に連結する鎌部材101と、鎌錠本体100の後部側に、鎌部材101が回動する方向と同方向に回動自在に配置され、且つ先端突起が鎌作動部材102の切欠部105に係止する操作部材103を備えるものである。このような鎌錠は、図7(A)において、操作部材103を左回転させて鎌作動部材102を引戸の先端面方向に直線移動させる。これにより、鎌部材101は施錠方向に回動するというものである。なお、符号106は施錠時又は開錠時を保持する戻り防止部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-201840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の鎌部材と直接、連結する板状の鎌作動部材(駆動リンク)が、鎌錠本体が延在する方向に移動自在に配設されるものは、概して、鎌作動部材を支持する前方点(鎌部材との連結点)と、後方点(操作部材との係止点)間の距離が長い。また、鎌作動部材において、鎌部材と操作部材の連結点は、鎌作動部材の平面視で幅方向の中心上にはなく、幅方向に少しずれている。これは、これらの連結点が、鎌作動部材に形成された貫通孔と、鎌部材又は操作部材の側方向に突出する短軸との係止だからである。この場合、施錠及び開錠の際、鎌作動部材に掛かる作用力のため、厚みの薄い鎌作動部材が幅方向に撓む傾向にある(図9参照)。実際、図7(C)の鎌状本体100において、鎌部材101を外側から内側に強く押圧する押し込み試験において、鎌作動部材102の撓みが確認されている。すなわち、鎌首が突出した状態において引戸を強く閉めた際、鎌首が戸柱に激突し、鎌作動部材102が撓むことで部材間に不具合が発生して作動不良を起こすという問題があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、鎌首が突出した状態において引戸を強く閉めた際、鎌首が戸柱に激突することで生じる作動不良を改善する鎌錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は上記従来の課題を解決するものであって、引戸により開閉される出入り口構成用枠体に設けられた受具と対向する引戸の先端面から内方へ延在して装着される鎌錠本体を有する鎌錠であって、該鎌錠本体は、下記(i)~(iv);
(i)該鎌錠本体の後部側に、該鎌錠本体が延在する方向に移動自在に配設され、前方側に連結部材の後方連結点と回動自在に連結する第1連結点を、後方側に操作部材と係止する切欠部を有する板状の鎌作動部材;
(ii)該鎌錠本体の前部側に、施錠位置と開錠位置の間を揺動するように枢支された所定長さを有し、且つ該連結部材の前方連結点と回動自在に連結する第2連結点を有する鎌部材;
(iii)該鎌作動部材と該鎌部材間に介在し、該鎌部材の第2連結点と回動自在に連結する前方連結点と、該鎌作動部材の第1連結点と回動自在に連結する後方連結点とを有する連結部材;
(iv)該鎌錠本体の後部側に、鎌部材が回動する方向と同方向に回動自在に配置され、且つ先端突起が鎌作動部材の切欠部に係止する操作部材;を備えることを特徴とする鎌錠を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、該第1連結点は、第1軸孔であり、該後方連結点は、該第1軸孔に嵌る第1短軸であることを特徴とする前記鎌錠を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該第2連結点は、第2軸孔であり、該前方連結点は、該第2軸孔に嵌る第2短軸であることを特徴とする前記鎌錠を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該連結部材は、前方端に該第2短軸が形成され、後方端に該第1短軸が形成され、該第1短軸の突出方向と該第2短軸の突出方向は逆方向に突出していることを特徴とする前記鎌錠を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該連結部材は、平面視厚さ(t1)の角部を有する第1部材と、該第1部材の一端から直角に屈曲する中間基部と、該中間基部の屈曲先端から、該第1部材とは反対方向に延びる平面視厚さ(t2)の角部を有する第2部材とからなる平面視がクランク形状であり、該中間基部の平面視厚み(t3)≦((t1)+(t2))であることを特徴とする前記鎌錠を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該第2連結点は、枢支位置より上方であることを特徴とする前記鎌錠を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、厚みの薄い板状の鎌作動部材を、鎌錠本体が延在する方向に短いものを使用し、且つ鎌作動部材と鎌部材間に連結部材を介在させたため、鎌部材を外側から内側に強く押圧しても、鎌作動部材は撓むことはない。このため、鎌首が突出した状態において引戸を強く閉めた際、鎌首が戸柱に激突することで生じる作動不良を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態における鎌錠本体の分解斜視図である。
図2図1の鎌錠本体の反対方向から見た分解斜視図である。
図3図1の鎌錠本体を構成する鎌部材と連結部材の斜視図である。
図4図1の鎌錠本体を構成する連結部材の平面図である。
図5図1の鎌錠本体の作動を説明する図であり、(A)は施錠状態であり、(B)は開錠途中であり、(C)は開錠状態である。
図6図5(B)における平面図である。
図7】従来の鎌錠本体の作動を説明する図であり、(A)は開錠状態であり、(B)は施錠途中であり、(C)は施錠状態である。
図8図7の鎌錠本体における鎌部材と鎌作動部材の連結点を説明する部分側面図である。
図9図7の鎌錠本体における鎌作動部材の撓みを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の鎌錠10Aは、引戸により開閉される出入り口構成用枠体に設けられた受具7と、引戸に受具7と対向する引戸の先端面から内方へ延在して装着される鎌錠本体10と、操作部材4を作動させる引戸の側面に設置される不図示の操作手段からなるものである。本発明において、引戸の側面に設置される操作手段は、周知のものであり、鎌錠本体10を両側から挟み込む第1側面プレート(引戸の裏側)と第2側面プレート(引戸の表側)を備える。第1側面プレートは鎌錠本体の内部機構(操作部材)を作動させる操作レバーを内蔵する。
【0017】
次に、本発明の実施の形態における鎌錠を、図1図6を参照して説明する。なお、本明細書において、「前方」とは、受具7と対向する引戸の先端面が前方側であり、「後方」とは、鎌錠本体10が延在する内部方向、すなわち奥側である。鎌錠10Aは、引戸により開閉される出入り口構成用枠体に設けられた受具7と対向する引戸の先端面から内方へ延在して装着される鎌錠本体10を有するものであって、鎌錠本体10は、板状の鎌作動部材2と、鎌部材1と、鎌作動部材2と鎌部材1間に介在する連結部材3と、鎌作動部材2を作動させる操作部材4を有する。
【0018】
鎌作動部材2は、鎌錠本体10の後部側に、鎌錠本体10が延在する方向に移動自在に配設され、前方側に連結部材3の後方連結点31と回動自在に連結する第1連結点21を、後方側に操作部材4と係止する切欠部22を有する。後方連結点31とは、連結部材3における後方連結位置の意味である。鎌作動部材2は、板状体であるものの、鎌錠本体10が延在する方向の長さが従来の鎌作動部材2に比して短くできるため、押し込み試験における撓みの問題は発生しない。第1連結点21は、貫通孔である第1軸孔であり、連結部材3の後方連結点31である第1短軸が回動自在に嵌る。また、切欠部22は、板状体の後方側の下方に、下端から上方へ切り欠かれたものである。切り欠き形状は、操作部材4の先端係止部42の形状に対応したものであり、山形状で且つ山の頂部が四角形となったものである。
【0019】
鎌作動部材2は、前方端から後方に延びる前方ガイド溝24と、前方ガイド溝24よりやや下方で後方端から前方に延びる後方ガイド溝23とを有する。前方ガイド溝24と後方ガイド溝23は、鎌錠本体10の左側ケース部材6aに付設された短軸62、63にそれぞれガイドされるものであり、鎌作動部材2の鎌錠本体10が延在する方向の移動を円滑にする。鎌作動部材2の移動は、図5の左右方向においての直線移動である。
【0020】
鎌作動部材2の後方側の上端には、凹部251と、凹部251に隣接する前方側には凸部252が形成されている。これにより、凸部252の前後に、それぞれ凹部が形成される。この凹部には、戻り防止部材5の前方端の微小突起54が係止し、これにより、鎌作動部材2の施錠時及び開錠時における動きが規制される。
【0021】
鎌部材1は、鎌錠本体10の前部側に、施錠位置と開錠位置の間を揺動するように枢支された所定長さを有し、且つ連結部材10の前方連結点32と回動自在に連結する第2連結点11を有する。第2連結点11は、貫通孔である第2軸孔であり、連結部材3の前方連結点32である第2短軸が回動自在に嵌る。鎌部材1が、鎌錠本体10の左右の両側ケース部材6a、6bに枢支される枢支点は、鎌部材1の鎌首13とは反対方向の端部に位置し、外側に延びる短軸12である。すなわち、本例では、鎌部材1の第2連結点11は、枢支点である短軸12の上方に位置するため、鎌首13は、施錠時、下方へ回動する動きであり、開錠時、上方へ回動する動きとなる。鎌部材1の鎌首13の厚み及び短軸12が付設される基部の厚みは、共に両側ケース部材6a、6b間に極僅かな隙間を形成するような寸法である。
【0022】
連結部材3は、鎌作動部材2と鎌部材1間に介在し、鎌部材1の第2連結点11と回動自在に連結する前方連結点32と、鎌作動部材2の第1連結点21と回動自在に連結する後方連結点31とを有する。前方連結点は前方連結位置を言い、第1連結点は第1連結位置を言う。鎌部材1の第2連結点11は、第2軸孔であり、連結部材3の前方連結点32は、第2軸孔に嵌る第2短軸である。また、鎌作動部材2の第1連結点21は、第1軸孔であり、連結部材3の後方連結点31は、第1軸孔に嵌る第1短軸である。すなわち、連結部材3は、前方端に第2短軸が形成され、後方端に該第1短軸が形成され、第1短軸の突出方向と該第2短軸の突出方向は鎌錠本体10の厚み方向において、互いに逆方向に突出している。また、連結部材3は、図4に示すように、平面視厚さ(t1)の角部を有する第1部材33と、第1部材33の一端から直角に屈曲する中間基部35と、中間基部35の屈曲先端から、第1部材33とは反対方向に延びる平面視厚さ(t2)の角部を有する第2部材34とからなる平面視がクランク道路形状であり、中間基部35の平面視厚み(t3)≦((t1)+(t2))である。この内、中間基部35の平面視厚み(t3)が概ね((t1)+(t2))と同じとなるものが好ましい。これにより、連結部材3を厚みの太い剛性の高いものにでき、また、幅方向における他の部材との連結を安定させることができる。
【0023】
操作部材4は、引戸の裏側の第1側面プレートに内在する操作レバー(不図示)と連動するものであり、操作レバーを作動させることで、側面視における左回転又は右回転をする。操作部材4は、鎌錠本体10の後部側に、鎌部材1が回動する方向と同方向に回動自在に配置され、且つ先端突起42が鎌作動部材2の切欠部22に係止するものである。操作部材4は、横円柱状の基部41と、基部の周面から上方に延びる先端突起42とからなり、基部41の中心は、操作軸(不図示)が嵌合する軸孔43が形成されている。操作軸は操作レバーから延びるものである。従って、操作レバーを左に回せば、操作部材4も左に回動し、操作レバーを右に回せば、操作部材4も右に回動する。先端突起42は、鎌作動部材2の切欠部22の先端の四角形状に対応する形状となっている。これにより、先端突起42が切欠部22に嵌り、鎌作動部材2を確実に作動させることができる。
【0024】
戻り防止部材5は、任意の構成要素であり、施錠時又は開錠時、鎌作動部材2の移動を保持するものである。戻り防止部材5は、縦長の板状体であり、上端には鎌錠本体10の幅方向に屈曲する上部係止片51が形成され、下端には鎌錠本体10の幅方向に屈曲する下部係止片52が形成されている。上部係止片51は、鎌錠本体10の上部に固定されたバネ部材7の一端に当接しており、下部係止片52は、操作部材4の先端突起42に当接している。また、上下方向のやや上方の前方端には微小突起54が形成されている。微小突起54は、鎌作動部材2の上部の凹凸25に係止して、施錠時又は開錠時、鎌作動部材2の移動を規制する。また、上下方向のやや下方には上下に長い長孔53が形成されている。長孔53は、左側ケース部材6aの側面突起62が嵌り、戻り防止部材5が、左右方向にズレることなく、上下方向に移動するようガイドするものである。
【0025】
鎌錠本体10は、両側プレート6a、6b間に、鎌部材1、板状の鎌作動部材2、連結部材3及び操作部材4を組み込んで形成される。すなわち、鎌部材1は、鎌錠本体10の前方部において、左側プレート6aに形成された係止孔に鎌部材1の短軸12を嵌めることで位置が決まる。次いで、鎌作動部材2の前方ガイド溝24を、左側プレート6aの固定第1短軸63に合わせ、後方ガイド溝23を左側プレート6aの固定第2短軸62に合わせることで位置が決まる。次いで、連結部材23の第2短軸32を、鎌部材1の第2軸孔11に嵌め、連結部材23の第1短軸31を、鎌作動部材2の第1軸孔21に嵌める。次いで、操作部材4の基部41を、両側プレート6a、6bの軸貫通用孔61a、61bに合わせる。次いで、戻り防止部材5の長孔53を左側プレート6aの固定第2短軸62(側面突起)に合わせることで位置が決まる。この際、戻り防止部材5の上部係止片51はバネ部材7の一端に当たるように、下部係止片52が操作部材4の先端突起42に当たるようにする。これにより、戻り防止部材5は、バネ部材7により、常時下方向へバネ付勢されている。
【0026】
次に、鎌錠10Aの操作方向について、図5を参照して説明する。図5(A)は、操作部材4の先端突起42が前方斜め方向に向いた状態、すなわち、鎌作動部材2を前方向へ移動させた状態のもので、施錠位置である。すなわち、操作部材4の先端突起42が鎌作動部材2の切欠部22に係止しており、戻り防止部材5の微小突起54は、鎌作動部材2の後方の凹部251に係止しており、操作部材4を操作しない限り、鎌作動部材2がこの状態から前方へも後方へも動かないようにロックしている。
【0027】
次に、図5(A)の施錠状態から図5(B)、(C)の開錠状態とするには、操作部材4を図5における右方向に回動させる。これにより、鎌作動部材2は、後方へ移動する。鎌作動部材2は、固定第1短軸63及び固定第2短軸62のガイドにより、直線運動をする。鎌作動部材2の後方への移動に連動して、連結部材3も後方に引っ張られ、鎌部材1の鎌首13が持ち上がる(図5(B))。操作部材4が、図5(B)のような起立状態となると、バネ部材7のバネ力に抗して戻り防止部材5が持ち上がり、鎌作動部材2の凸部252上に戻り防止部材5の微小突起54が位置することになる。更に、操作部材4を図5における右方向に回動させる。これにより、鎌作動部材2は、更に後方へ移動する。鎌作動部材2の後方への移動に連動して、連結部材3も後方に引っ張られ、鎌部材1の鎌首13は完全に持ち上がり、開錠となる(図5(C))。この状態において、戻り防止部材5の微小突起54は、鎌作動部材2の前方の凹部253に係止しており、操作部材4を操作しない限り、鎌作動部材2がこの状態から前方へ動くことはない。これにより、操作部材4を操作しない限り、開錠状態から施錠状態になることを防止している。次いで、図5(C)の開錠状態から図5(B)、(A)の施錠状態とするには、上記施錠状態から開錠状態の逆の操作、すなわち、操作部材4を図5における左方向に回動させる操作を行えばよく、その説明を省略する。
【0028】
鎌錠10Aにおいて、連結部材3は特定のクランク道路形状をしており、基部の厚みが太く、且つ前後端の第1短軸31と第2短軸32が互いに反対方向に延びている。このため、鎌作動部材2の移動力を鎌部材1にロスなく伝えることができる。また、厚みの薄い鎌作動部材2を鎌錠本体10が延在する方向における寸法を短くしたため、押し込み試験における幅方向の撓みはほとんどない。このため、鎌首が突出した状態において引戸を強く閉めた際、鎌首が戸柱に激突することで生じる作動不良を改善することができる。
【0029】
本発明の鎌錠は、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。鎌部材1は、鎌首が下がる下方掛りであるが、これに限定されず、鎌首が上がる上方掛りであってもよい。この場合、鎌部材1において、側プレートの枢支位置と、連結部材3と連結する連結点を上下逆にすればよい。すなわち、連結部材3と連結する連結点を枢支位置より下方にし、鎌部材を上下逆に設置すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、操作力を確実に、鎌部材に伝達できる。また、鎌首が突出した状態において引戸を強く閉めた際、鎌首が戸柱に激突することで生じる作動不良を改善することができ、使用勝手がよい。
【符号の説明】
【0031】
1、101 鎌部材
2、102 鎌作動部材
3、 連結部材
4、103 操作部材
5、106 戻り防止部材
10 鎌錠本体
10A、100 鎌錠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9