(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】変速機のチェンジ機構
(51)【国際特許分類】
F16H 63/18 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
F16H63/18
(21)【出願番号】P 2017223553
(22)【出願日】2017-11-21
【審査請求日】2020-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】下園 隼人
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-240923(JP,A)
【文献】特開昭64-046046(JP,A)
【文献】特開平07-119828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の操作に連動して間欠的に回転するチェンジカムと、
前記チェンジカムと一体回転するチェンジドラムと、
前記チェンジドラムの回転により作動されて前記チェンジドラムの軸方向に移動して変速歯車を選択するシフトフォークと、を備えた変速機のチェンジ機構であって、
前記シフトフォークを案内する前記チェンジドラムのシフトフォーク案内部における最下段の前記変速歯車を選択する位置と、最上段の前記変速歯車を選択する位置とが、前記チェンジドラムの周方向の同一位置である重合位置に配置され、
前記変速歯車が設けられる変速軸の両端部が軸受で支持され、
前記両端部の前記軸受の軸方向中間位置よりも一方の軸受寄りに、前記重合位置が設定されている変速機のチェンジ機構。
【請求項2】
請求項1に記載のチェンジ機構において、前記チェンジカムの外周に、複数の山部と谷部とが交互に形成され、
運転者のチェンジ操作により前記チェンジカムが回動することで、先端部が前記山部を越えて前記谷部に係合するポジションレバーを備えた変速機のチェンジ機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載のチェンジ機構において、前記変速歯車に噛合する入力歯車を有する入力軸が、エンジンのクランク軸にクラッチを介して連結され、
前記入力軸におけるクラッチ側の端部に、最下段の前記変速歯車に噛合する入力歯車が配置されている変速機のチェンジ機構。
【請求項4】
請求項3に記載のチェンジ機構において、最下段の前記入力歯車が、前記入力軸に一体形成されている変速機のチェンジ機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のチェンジ機構において、さらに、前記変速軸に、軸方向に移動可能で前記変速軸と相対回転不能なスライダ部材を備え、
前記スライダ部材は、前記シフトフォークに連動して軸方向に移動し、前記変速歯車の1つに連結されることで前記変速歯車選択を行う変速機のチェンジ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の操作に連動して変速機の変速歯車を選択するチェンジ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車のような車両のエンジンにおいて、エンジンから入力される回転を変速して、出力する変速機が設けられたものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1では、運転者の操作に連動してチェンジカムが間欠的に回転し、チェンジドラムがチェンジカムと一体回転し、チェンジドラムの案内部に案内されたシフトフォークがチェンジドラムの軸方向に移動して変速歯車を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような変速機では、チェンジカムを間欠的に作動させる機構として、チェンジカムの外周に、山部および谷部が形成されている。このような機構は、変速段と同じ数(特許文献1では6つ)だけ設けられており、変速段数に応じて角度が割り振られている(特許文献1では、1変速段の間の割り振り角度は60°)。このように、変速段数が多くなると、チェンジカムにおいて、1つの変速段に利用できる角度が小さくなり、設計の自由度が制約される。
【0005】
本発明は、チェンジカムの形状の自由度、つまり、チェンジ操作のフィーリング設定の自由度を向上させることができる変速機のチェンジ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の変速機のチェンジ機構は、運転者の操作に連動して間欠的に回転するチェンジカムと、前記チェンジカムと一体回転するチェンジドラムと、前記チェンジドラムの回転により作動されて前記チェンジドラムの軸方向に移動して変速歯車を選択するシフトフォークと、を備えた変速機のチェンジ機構であって、前記シフトフォークを案内する前記チェンジドラムのシフトフォーク案内部における最下段の前記変速歯車を選択する位置と、最上段の前記変速歯車を選択する位置とが、前記チェンジドラムの周方向の同一位置である重合位置に配置されている。ここで、「周方向の同一位置」とは、完全な同一位置に限定されず、チェンジドラムの軸心周りに5°以下、好ましくは3°以下ずれた位置も含む。
【0007】
この構成によれば、チェンジカムにおける間欠的に作動させる機構の最上段と最下段の位置を共通化できる。これにより、1つの変速段に利用できる角度が大きくなるので、チェンジカムを間欠的に作動させる機構の数を減らすことができる。その結果、チェンジカムの形状の自由度が高くなり、例えば、ポジションレバーの先端部の動きを適切化しやすくなる。これにより、運転者のフィーリングが向上する。また、変速機にニュートラルが設けられる場合、チェンジカムにおけるニュートラルの形状も設定し易くなる。その結果、運転者のニュートラルの判定がし易くなる。
【0008】
本発明において、前記チェンジカムの外周に、複数の山部と谷部とが交互に形成され、運転者のチェンジ操作により前記チェンジカムが回動することで、先端部が前記山部を越えて前記谷部に係合するポジションレバーを備えていてもよい。この構成によれば、チェンジカムにおける最上段と最下段の谷部を共通化できる。つまり、チェンジカムの外周の谷部および山部の数を減らすことができる。これにより、チェンジカムの山部の形状の自由度が高くなり、ポジションレバーの先端部の動きを適切化できる。その結果、運転者のフィーリングが向上する。また、変速機にニュートラルが設けられる場合、チェンジカムにおけるニュートラルの山部および谷部の形状も設定し易くなるので、運転者のニュートラルの判定がし易くなる。
【0009】
本発明において、前記変速歯車が設けられる変速軸の両端部が軸受で支持され、両端部の前記軸受の軸方向中間位置よりも一方の軸受寄りに、前記重合位置が設定されていてもよい。軸受は、例えば、ボールベアリングのような玉軸受であってもよく、ニードルベアリングのようなころ軸受であってもよい。この構成によれば、重合位置での噛合い荷重が、この重合位置に近い軸受に付加されるので、噛合い荷重が変速軸の中央に付加される場合と比べて、変速軸の撓みを抑制できる。
【0010】
前記重合位置が一方の軸受寄りに設定されている場合、前記変速歯車に噛合する入力歯車を有する入力軸がエンジンのクランク軸にクラッチを介して連結され、前記入力軸におけるクラッチ側の端部に、最下段の前記変速歯車に噛合する入力歯車が配置されていてもよい。この構成によれば、大径の最下段の変速歯車を一方の軸受の近くに配置することができるので、変速軸が撓むのを抑制できる。この場合、最下段の前記入力歯車が前記入力軸に一体形成されていてもよい。この構成によれば、大径の最下段の変速歯車に噛み合う小径の最下段の入力歯車を、転造により精度よく形成することができる。
【0011】
本発明において、さらに、前記変速軸に、軸方向に移動可能で前記変速軸と相対回転不能なスライダ部材を備え、前記スライダ部材は、前記シフトフォークに連動して軸方向に移動し、前記変速歯車の1つに連結されることで前記変速歯車選択を行ってもよい。この構成によれば、変速歯車は固定され、スライダ部材が軸方向に移動して変速歯車に係合する。したがって、本発明の変速機のチェンジ機構を容易に実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の変速機のチェンジ機構によれば、チェンジカムにおける間欠的に作動させる機構の最上段と最下段の位置を共通化でき、チェンジカムを間欠的に作動させる機構の数を減らすことができるので、チェンジカムの形状の自由度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る変速機のチェンジ機構を備えた自動二輪車の中央部を示す側面図である。
【
図2】同チェンジ機構を自動二輪車の後方から見た背面図である。
【
図4】同チェンジ機構のチェンジカムを示す側面図である。
【
図5】同チェンジ機構のチェンジドラムの展開図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る変速機のチェンジ機構を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る変速機のチェンジ機構を備えた自動二輪車の要部を示す側面図である。
【0015】
図1において、自動二輪車の車体フレームFRの前後方向中央部付近にエンジンEが搭載されている。エンジンEは、車幅方向に延びるクランク軸1と、クランク軸1を回転自在に支持するエンジンケースECとを有している。エンジンEのエンジンケースEC内に、変速機2が収納されている。変速機2の詳細は後述する。エンジンケースECの外側部に、車幅方向に延びるチェンジシャフト4が取り付けられている。チェンジシャフト4は、エンジンケースECに回転自在に支持されている。チェンジシャフト4の周りに、チェンジペダル6が回動自在に支持されている。走行時、運転者は、左足でチェンジペダル6を操作して、変速機2のシフトチェンジを行う。
【0016】
図2は、変速機2およびこれを操作するチェンジ機構10を車体後方から見た背面図である。変速機2は、入力軸20とこれに歯車連結された出力軸30とを有している。入力軸20には、クラッチ8を介してクランク軸1(
図1)の回転が入力される。出力軸30には、チェーンまたはベルトのような無端帯状の動力伝達部材12が連結されており、動力伝達部材12を介して後輪14(
図1)に回転力が出力される。入力軸20および出力軸30はクランク軸1と平行に延びている。
【0017】
本実施形態の変速機2は、6段変速である。つまり、入力軸20に、6つの入力側変速歯車21~26が、軸方向に移動不能で相対回転不能に支持されている。出力軸30には、入力側変速歯車21~26にそれぞれ噛み合う6つの出力側変速歯車31~36が、軸方向に移動不能で相対回転可能に支持されている。ただし、変速機2の変速段数は6段に限定されない。これら入力側変速歯車21~26と出力側変速歯車31~36とで、入力軸20から出力軸30に回転力を伝達する変速歯車対を構成している。本実施形態では、入力側変速歯車21~26および出力側変速歯車31~36は常時噛み合っている。
【0018】
入力軸20は、その両端部が軸受16により回転自在に支持されている。入力側変速歯車21~26は、クラッチ8側の端部から、入力側1速歯車21、入力側6速歯車26、入力側3速歯車23、入力側4速歯車24、入力側5速歯車25および入力側2速歯車22の順に並んでいる。つまり、入力軸20におけるクラッチ8側の端部に、最下段の入力側1速歯車21が配置されている。本実施形態では、最下段の入力側1速歯車21は、入力軸20に一体形成されている。
【0019】
出力軸30は、その両端部が軸受18により回転自在に支持されている。出力側変速歯車31~36は、クラッチ8側の端部から、出力側1速歯車31、出力側6速歯車36、出力側3速歯車33、出力側4速歯車34、出力側5速歯車35および出力側2速歯車32の順に並んでいる。つまり、出力軸30におけるクラッチ8側の端部に、最下段の出力側1速歯車31が配置されている。
【0020】
本実施形態の変速機1はドグリングタイプで、出力軸30の外周に、環状のスライダ部材40が支持されている。本実施形態では、スライダ部材40は、出力軸30のみに配置されており入力軸20には設けられていない。スライダ部材40は、チェンジ機構10の一部を構成し、入力軸20から出力軸30に回転力を伝達する変速歯車対を選択する。つまり、出力側変速歯車31~36が、チェンジ機構10により選択される変速歯車を構成し、出力軸30が変速歯車の変速軸を構成する。また、入力側変速歯車21~26が、変速歯車に噛合する入力歯車を構成し、入力軸20が入力歯車の入力軸を構成する。
【0021】
スライダ部材40は、出力軸30に対して軸方向に移動可能で、相対回転不能に支持されている。本実施形態では、スライダ部材40は、出力側1速歯車31と出力側6速歯車36との間、出力側3速歯車33と出力側4速歯車34との間、出力側5速歯車35と出力側2速歯車32との間の3か所に設けられている。
【0022】
各出力側変速歯車31~36に、ドグ爪31a~36aが形成されている。ドグ爪31a~36aは、隣接するスライダ部材40に向かって延びる係合突部からなる。各スライダ部材40には、ドグ爪31a~36aが係合するドグ孔40aが形成されている。ドグ孔40aは、出力軸30の軸方向を向いた貫通孔からなる。ドグ爪31a~36aおよびドグ孔40aは周方向に間隔をあけて複数個、例えば、5つ設けられている。各スライダ部材40の外周面に、後述のシフトフォーク42が係合する被係合部40bが形成されている。被係合部40bは、環状の溝からなる。
【0023】
チェンジ機構10は、前記シフトフォーク42と、チェンジカム44と、チェンジドラム46とを備えている。チェンジカム44は運転者の操作に連動して間欠的に回転し、チェンジドラム46はチェンジカム44と一体に回転する。シフトフォーク42は、チェンジドラム46の回転により作動され、チェンジドラム46の軸方向C1に移動して変速歯車(出力側変速歯車)31~36を選択する。シフトフォーク42は、各スライダ部材40に対応して3つ設けられている。
【0024】
チェンジ機構10は、さらに、前記チェンジペダル6と、前記チェンジシャフト4と、チェンジレバー48とを有している。チェンジシャフト4の一端部4aにチェンジペダル6が接続され、チェンジシャフト4の他端部4bにチェンジレバー48が接続されている。チェンジレバー48は、チェンジペダル6の操作に連動して回動し、チェンジカム44を間欠的に回転させる。
【0025】
図3はチェンジ機構10を車体外側(チェンジペダル6の反対側)から見た側面図である。同図に示すように、チェンジ機構10は、さらに、ストッパ部材50と、ポジションレバー52とを有している。ストッパ部材50は、チェンジレバー48の回動範囲を規制する。ポジションレバー52は、チェンジカム44を所定の回転位置に保持する。
【0026】
チェンジレバー48は、基端部48aでチェンジシャフト4に固定されている。チェンジレバー48の基端部48aは、例えば、溶接によりチェンジシャフト4に固着されており、チェンジシャフト20とともに矢印Aの方向に回動する。チェンジレバー48の基端部48aに、スリット形状の長孔56が形成されている。
【0027】
図2に示すように、ストッパ部材50は、車幅方向延びる軸体であり、一端部でエンジンケースECに固定されている。
図3に示すストッパ部材50の他端部(車幅方向外側端部)が、チェンジレバー48のレバー本体34に形成された長孔56に挿通されている。チェンジペダル6(
図1)の操作に連動してチェンジレバー48がチェンジシャフト4の軸心回りに回動する際に、長孔56とストッパ部材50とによりチェンジレバー48の範囲が規制される。
【0028】
チェンジシャフト4の他端部4bの外周に、復帰ばね60が巻回されている。復帰ばね60の両端部60a,60aは、ストッパ部材50を、その径方向の互いに逆方向に押し付け合う形で平行に延びている。これにより、ストッパ部材50は、復帰ばね60のばね力により、常に長孔56の中間部(
図7の位置)に戻るように力が与えられている。
【0029】
チェンジレバー48の先端部48bに、シフト爪54が形成されている。本実施形態のシフト爪54は、チェンジレバー48の先端部48bを車幅方向内側にU字形に折り曲げることで形成されている。シフト爪54は、回動方向A(
図3の上下方向)に離間して2つ設けられている。チェンジレバー48は、ばね部材55によりチェンジカム44に押し付けられている。
【0030】
チェンジカム44は、ボルト(図示せず)によりチェンジドラム46の端面に固定されている。
図4に示すように、チェンジカム44は、周方向に等間隔に複数個の受動突部65が形成されている。本実施形態では、受動突部65は5つ設けられている。つまり、受動突部65の数は、変速機2の変速段数(6段)よりも1つ少ない。各受動突部65は円柱形状である。ただし、受動突部65の形状は、これに限定されない。この受動突部65が、
図3に示すシフト爪54で押圧されることにより、チェンジカム44が間欠的に回動する。
【0031】
図4に示すように、チェンジカム44の外周に、複数の山部62と第1谷部64とが交互に形成されている。第1谷部64は、チェンジカム44における受動突部65の径方向外側に形成されている。つまり、山部62および第1谷部64も、変速機2の変速段数(6段)よりも1つ少ない5つ設けられている。
【0032】
さらに、チェンジカム44における5つの山部62のうちの1つの山部62に、第2谷部66が形成されている。第2谷部66は、第1谷部64に比べて凹み量が小さい。これら第1および第2谷部64,66に、
図3に示すポジションレバー52の位置決めローラ68が係合される。
【0033】
ポジションレバー52は、チェンジカム44の上側に配置されている。ポジションレバー52は、レバー本体70と前記位置決めローラ68とを有している。レバー本体70は、
その基端部がボルト71によりエンジンケースECに支持されている。位置決めローラ68は、レバー本体70の先端部に回転自在に支持されている。レバー本体70にばね部材72が係止されており、レバー本体70および位置決めローラ68に、チェンジカム44の外周面に向かうばね力を常時付加している。
【0034】
位置決めローラ68は、ばね部材72によりチェンジカム44の外周面に押し付けられ、チェンジカム44の谷部64,66に係合する。
図3では、位置決めローラ68は第2谷部66に係合している。第1谷部64よりも凹み量が小さい第2谷部66には、変速機2がニュートラルに入った際に、位置決めローラ68が係合する。
【0035】
図4に示すニュートラル用の第2谷部66から周方向に(
図4の右回りに)、2速用の第1谷部64、3速用の第1谷部64、4速用の第1谷部64、5速用の第1谷部64および1,6速兼用の第1谷部64の順に並んでいる。つまり、ニュートラル用の第2谷部66は、1,6速兼用の第1谷部64と2速用の第1谷部64との間の山部62に形成されている。
【0036】
運転者のチェンジ操作によりチェンジカム44が回動すると、ポジションレバー52の先端の位置決めローラ68が、山部62を越えて谷部64,66に係合する。詳細には、
図4に2点鎖線で示すチェンジレバー48のシフト爪54が、矢印A1方向に回動すると、上側のシフト爪54が受動突部65を押圧し、チェンジカム44が矢印A11方向に回動する。チェンジカム44が矢印A11方向に回動すると、ニュートラル用の第2谷部66に位置している2点鎖線で示す位置決めローラ68が、矢印A21方向に山部62を乗り越えて2速用の第1谷部64に係合する。このように、チェンジレバー48のシフト爪54が矢印A1方向に回動すると、変速段が上がる(シフトアップ)。
【0037】
一方、チェンジレバー48のシフト爪54が、矢印A2方向に回動すると、下側のシフト爪54が受動突部65を押圧し、チェンジカム44が矢印A12方向に回動する。チェンジカム44が矢印A12方向に回動すると、ニュートラル用の第2谷部66に位置する2点鎖線で示す位置決めローラ68が、矢印A22方向に山部62を乗り越えて1速用の第1谷部64に係合する。このように、チェンジレバー48のシフト爪54が矢印A2方向に回動すると、変速段が下がる(シフトダウン)。
【0038】
第2谷部66は、第1谷部64に比べて凹み量が小さいので、第2谷部66に係合した位置決めローラ68は、シフトチェンジの際に乗り越える山の高さが、第1谷部64の山の高さよりも小さい。
【0039】
図2に示すように、チェンジドラム46は、クランク軸1(
図1)と平行な軸心C1を持つ円筒形状で、その一端面にチェンジカム44が固定されている。したがって、チェンジカム44が回動すると、チェンジドラム46も一体に回動する。チェンジドラム46の外周面に、前記シフトフォーク42を案内するシフトフォーク案内部69が形成されている。本実施形態では、シフトフォーク案内部69は、チェンジドラム46の外周面に形成された案内溝である。案内溝の両側には、チェンジドラム46の外周面に突出して形成された溝壁が設けられている。
【0040】
各シフトフォーク42は、シフトロッド72に軸方向に移動自在に支持されている。シフトロッド72は、エンジンケースECに支持されており、シフトロッド72の軸方向とチェンジドラム46の軸方向C1は同じである。各シフトフォーク42は、シフトロッド88に支持される基部74と、基部74から二股に分かれてスライダ部材40の外周に沿って延びる2つの円弧状の枝部76,76(
図2では一方の枝部76のみ図示)とを有している。
【0041】
基部74は、円柱形状であり、その中空部にシフトロッド72が挿通されている。これにより、シフトフォーク42がシフトロッド72に軸方向に移動自在に支持されている。シフトフォーク42の枝部76,76の先端には、スライダ部材40の被係合部40bに係合する係合部76aが形成されている。
【0042】
シフトフォーク42の基部74に、チェンジドラム46に向かって延びるピン78が形成されている。ピン78は円筒形状であり、この円筒形状のピン78の軸がシフトロッド72の軸心に直交する。ピン78は、チェンジドラム46の外周の案内溝(シフトフォーク案内部)69に嵌合されている。チェンジドラム46の外周には、3本の案内溝69が形成されており、3つのシフトフォーク42がそれぞれ嵌合されている。このように、シフトフォーク42は、案内溝69に案内されて、スライダ部材40を軸方向に移動させる。
【0043】
図5は、チェンジドラム46の外周面を平面に展開した展開図である。同図から明らかなように、3つの案内溝69が、軸方向C1に並んで設けられている。各案内溝69の直線部分(周方向C2に真直な部分)はシフトフォーク42の中立位置である。中立位置とは、
図2のスライダ部材40が出力側歯車31~36に連結しない位置をいう。
【0044】
説明の都合上、3つの案内溝69を
図5の左側から69L,69M,69Rと称する。左側と真ん中の案内溝69L,69Mは、チェンジドラム46の周方向C2に繋がっているが、右側の案内溝69Rは繋がっていない。詳細には、右側の案内溝69Rの両端部69a,69bが、周方向C2の同一位置(重合位置P1)で、軸方向に離間して形成されている。
【0045】
右側の案内溝69Rにおける一方の端部69aが、1速の変速歯車31を選択する位置81である。左側の案内溝69Lにおいて、重合位置P1から周方向C2における
図5の上方に変位した第2周方向位置P2で、案内溝69Lが中立位置から軸方向に湾曲している。この湾曲部82が2速の変速歯車32を選択する位置である。
【0046】
真ん中の案内溝69Mにおける第2周方向位置P2から周方向における
図5の上方に変位した第3周方向位置P3で、案内溝69Mが中立位置から軸方向に湾曲している。この湾曲部83が3速の変速歯車33を選択する位置である。真ん中の案内溝69Mにおける第3周方向位置P3から周方向における
図5のさらに上方(
図5では下方に示す)に変位した第4周方向位置P4で、案内溝69Mが中立位置から軸方向に湾曲している。この湾曲部84が4速の変速歯車34を選択する位置である。
【0047】
左側の案内溝69Lにおける第4周方向位置P4から周方向における
図5の上方に変位した第5周方向位置P5で、案内溝69Lが中立位置から軸方向に湾曲している。この湾曲部85が5速の変速歯車35を選択する位置である。右側の案内溝69Rにおける第5周方向位置P5から周方向における
図5の上方に変位した重合位置P1に、右側の案内溝69Rの他方の端部69bが位置している。この他方の端部69bが6速の変速歯車36を選択する位置86である。
【0048】
このように、本実施形態では、シフトフォーク案内部69における最下段(1段)の変速歯車31を選択する位置81と、最上段(6段)の変速歯車36を選択する位置86とが、チェンジドラム46の周方向C2の同一位置である重合位置P1に配置されている。したがって、変速歯車を選択する周方向位置P1~P5の数は、変速段数(6段)よりも少なくなっている。
【0049】
[動作]
シフトアップ動作について説明する。
図5に2点鎖線で示すシフトフォーク42のピン78が、1速を選択する重合位置P1に位置している。このとき、右側のシフトフォーク42のピン78が、右側の案内溝69Rの一方の端部69aに係合している。このとき、他の2つのシフトフォーク42のピン78は中立位置にある。端部69aは、中立位置から軸方向C1の一方側(
図5の右側)に変位しているので、右側のシフトフォーク42も軸方向C1の一方側(
図5の右側)に変位する。
【0050】
つまり、
図2の右側のシフトフォーク42が、シフトロッド72に沿って軸方向C1(
図2の右側)に移動する。右側のスライダ部材40は、シフトフォーク42に連動して軸方向C1に移動し、ドグ孔40aに出力側1速歯車31のドグ爪31aが係合する。これにより、出力側1速歯車31の選択が行われる。
【0051】
図5において、ピン78が右側の案内溝69Rの一方の端部69aに係合している状態(1速を選択されている状態)から、チェンジカム44に連動してチェンジドラム46が矢印B1方向に回動すると、各ピン78は案内溝69内を矢印B11の方向に移動する。これにより、ピン78が右側の案内溝69Rの一方の端部69aから離れて中立位置に戻るので、
図2の右側のスライダ部材40と出力側1速歯車31の連結が解除される。
【0052】
チェンジドラム46がさらに矢印B1方向に回動すると、第2周方向位置P2で左側のピン78が湾曲部82に係合する。湾曲部82は、軸方向C1(
図5の左側)に変位しているので、左側のシフトフォーク42も軸方向C1(
図5の左側)に変位する。
【0053】
つまり、
図2の左側のシフトフォーク42が、シフトロッド72に沿って軸方向C1(
図2の左側)に移動する。左側のスライダ部材40は、シフトフォーク42に連動して軸方向C1に移動し、ドグ孔40aに出力側2速歯車32のドグ爪32aが係合する。これにより、出力側2速歯車32の選択が行われる。
【0054】
図5において、ピン78が左側の案内溝69Lの湾曲部82に係合している状態(2速を選択されている状態)から、チェンジドラム46が矢印B1方向に回動すると、各ピン78は案内溝69内を矢印B11の方向に移動する。これにより、ピン78が左側の案内溝69Lの湾曲部82から離れて中立位置に戻るので、
図2の左側のスライダ部材40と出力側2速歯車32の連結が解除される。
【0055】
チェンジドラム46がさらに矢印B1方向に回動すると、第3周方向位置P3で真ん中のピン78が湾曲部83に係合する。湾曲部83は、軸方向C1(
図5の右側)に変位しているので、真ん中のシフトフォーク42も軸方向C1(
図5の右側)に変位する。
【0056】
つまり、
図2の真ん中のシフトフォーク42が、シフトロッド72に沿って軸方向C1(
図2の右側)に移動する。真ん中のスライダ部材40は、シフトフォーク42に連動して軸方向C1に移動し、ドグ孔40aに出力側3速歯車33のドグ爪33aが係合する。これにより、出力側3速歯車33の選択が行われる。
【0057】
図5において、ピン78が真ん中の案内溝69Mの湾曲部83に係合している状態(3速を選択されている状態)から、チェンジドラム46が矢印B1方向に回動すると、各ピン78は案内溝69内を矢印B11の方向に移動する。これにより、ピン78が真ん中の案内溝69Mの湾曲部83から離れて中立位置に戻るので、
図2の真ん中のスライダ部材40と出力側3速歯車33の連結が解除される。
【0058】
チェンジドラム46がさらに矢印B1方向に回動すると、第4周方向位置P4で真ん中のピン78が湾曲部84に係合する。湾曲部84は、軸方向C1(
図5の左側)に変位しているので、真ん中のシフトフォーク42も軸方向C1(
図5の左側)に変位する。
【0059】
つまり、
図2の真ん中のシフトフォーク42が、シフトロッド72に沿って軸方向C1(
図2の左側)に移動する。真ん中のスライダ部材40は、シフトフォーク42に連動して軸方向C1に移動し、ドグ孔40aに出力側4速歯車34のドグ爪34aが係合する。これにより、出力側4速歯車34の選択が行われる。
【0060】
図5において、ピン78が真ん中の案内溝69Mの湾曲部84に係合している状態(4速を選択されている状態)から、チェンジドラム46が矢印B1方向に回動すると、各ピン78は案内溝69内を矢印B11の方向に移動する。これにより、ピン78が真ん中の案内溝69Mの湾曲部84から離れて中立位置に戻るので、
図2の真ん中のスライダ部材40と出力側4速歯車34の連結が解除される。
【0061】
チェンジドラム46がさらに矢印B1方向に回動すると、第5周方向位置P5で左側のピン78が湾曲部85に係合する。湾曲部85は、軸方向C1(
図5の右側)に変位しているので、左側のシフトフォーク42も軸方向C1(
図5の右側)に変位する。
【0062】
つまり、
図2の左側のシフトフォーク42が、シフトロッド72に沿って軸方向C1(
図2の右側)に移動する。左側のスライダ部材40は、シフトフォーク42に連動して軸方向C1に移動し、ドグ孔40aに出力側5速歯車35のドグ爪35aが係合する。これにより、出力側5速歯車35の選択が行われる。
【0063】
図5において、ピン78が左側の案内溝69Lの湾曲部85に係合している状態(5速を選択されている状態)から、チェンジドラム46が矢印B1方向に回動すると、各ピン78は案内溝69内を矢印B11の方向に移動する。これにより、ピン78が左側の案内溝69Lの湾曲部85から離れて中立位置に戻るので、
図2の左側のスライダ部材40と出力側5速歯車35の連結が解除される。
【0064】
チェンジドラム46がさらに矢印B1方向に回動すると、重合位置P1で右側のピン78が右側の案内溝69Rの他方の端部69bに係合する。他方の端部69bは、軸方向C1(
図5の左側)に変位しているので、右側のシフトフォーク42も軸方向C1(
図5の左側)に変位する。
【0065】
つまり、
図2の右側のシフトフォーク42が、シフトロッド72に沿って軸方向C1(
図2の左側)に移動する。右側のスライダ部材40は、シフトフォーク42に連動して軸方向C1に移動し、ドグ孔40aに出力側6速歯車36のドグ爪36aが係合する。これにより、出力側6速歯車36の選択が行われる。
【0066】
シフトダウン操作時は、チェンジドラム46が、
図5の矢印B2方向に回動し、シフトアップと逆の動作が行われる。また、1速が選択される重合位置P1と2速が選択される重合位置P2との間に、前述のニュートラルが選択されるニュートラル位置Nが設定されている。ニュートラル位置Nでは、3つシフトフォーク42が中立位置にあるので、いずれの出力側変速歯車31~36も選択されていない。
【0067】
このように、本実施形態の変速機2は、1速、ニュートラル、2速、3速、4速、5速、6速の順にシフトアップされ、6速、5速、4速、3速、2速、ニュートラル、1速の順にシフトダウンされる。つまり、変速操作は、1速ずつ行われる。また、右側の案内溝69Rの両端部69a,69bは、重合位置P1で近接して配置されているが、両者は連結されていない。したがって、最上段の6速から最下段の1速に直接変速はできない。
【0068】
上述のように、本実施形態では、変速段の数と、チェンジカム44の山部62および第1谷部64の数とが異なっている。詳細には、
図4に示すように、最上段と最下段の第1谷部64の位置が共通となっており、チェンジカム44の山部62および第1谷部64の数が、変速段の数よりも少なくなっている。
【0069】
図2に示すように、入力軸20および出力軸30の最上段の変速歯車26,36と最下段の変速歯車21,26が隣り同士に配置されている。最上段の出力側6速歯車36と最下段の出力側1速歯車31をスライドするシフトフォーク42およびスライダ部材40が共通である。最上段と最下段の変速歯車が隣り同士であればよく、中間の変速歯車の並びは制限されない。また、本実施形態では、変速段数は6速であるが、これに限定されず、例えば、5速であってもよい。
【0070】
図2に示すように、右側の案内溝69Rの両端部69a,69bの重合位置P1(
図5)が、出力軸30の両端部の軸受18,18の軸方向中間位置よりも一方の軸受18寄り(
図2の右寄り)に設定されている。最下段と最上段の変速歯車31,36が隣り同士であれば、重合位置P1はどこに配置してもよい。ただし、最下段と最上段の変速歯車31,36が軸受18の近くに配置されるように、重合位置P1は、案内溝69の端(軸方向C1の端部)に設定されるのが好ましい。
【0071】
[効果]
上記構成によれば、
図4に示すように、チェンジカム44における最上段(6速)と最下段(1速)の第1谷部64を共通化できる。つまり、チェンジカム44の外周の第1谷部64および山部62の数を減らすことができる。
【0072】
図7の比較例に示すような、変速段数と第1谷部164の数が同じ(6つ)チェンジカム144では、第1谷部164は60°(α10=60°)間隔で形成される。これに対し、
図4に示す本実施形態のチェンジカム44では、第1谷部64は72°(α1=72°)間隔で形成されている。これにより、チェンジカム44の山部62の形状の自由度が高くなる。具体的には、角度が大きくなることで(α1>α10)、チェンジカム44の山部62の角度を緩やかに設定できる。これにより、ポジションレバー52の先端部の位置決めローラ68が緩やかに第1谷部64に入る。その結果、変速操作時の運転者のフィーリングが向上する。
【0073】
また、第1谷部64の間隔が大きくなることで(α1>α10)、第1谷部64の径方向内側に設けられる受動突部65の間隔も大きくなる。これにより、チェンジレバー48のシフト爪54が回動する際に、隣接する受動突部65に干渉し難くなる
【0074】
また、
図7に示すチェンジカム144では、第1谷部164と第2谷部166との間隔は30°(β10=30°)で形成されるのに対し、
図4に示す本実施形態のチェンジカム44では、第1谷部64と第2谷部66との間隔は36°(β1=36°)で形成されている。上述のように、第2谷部66は、第1谷部64に比べて、シフトチェンジの際に位置決めローラ68が乗り越える山の高さが小さくなっている。このため、1速から2速または2速から1速にシフトチェンジされる際、ニュートラルに固定されず(位置決めローラ68が第2谷部66に保持されず)、シフトチェンジが行われることがある。これは、運転者がチェンジペダル6を操作した際の節度感が小さいことに起因する。節度感が小さいと、ニュートラルに固定する操作を正確に行うのは難しい。
【0075】
本実施形態では、第1谷部64と第2谷部66との間隔が大きくなっているので(
図4のβ1>
図7のβ10)、チェンジカム44における第2谷部66およびこれに隣接する山部62の形状も設定し易くなる。これにより、運転者がニュートラルの判定を行い易くできる。
【0076】
図2に示すように、重合位置P1が、出力軸30の両端の軸受18,18の軸方向中間位置よりも一方の軸受18寄りに設定されている。これにより、重合位置P1での噛合い荷重が軸受18に付加されるので、噛合い荷重が出力軸30の中央に付加される場合と比べて、出力軸30の撓みを抑制できる。
【0077】
入力軸20におけるクラッチ8側の端部に、最下段の入力側1速歯車21が配置されている。これにより、大径の最下段の出力側1速歯車31を軸受18の近くに配置することができる。その結果、変速機2の組立性が向上するうえに、出力軸30が撓むのを抑制できる。また、最下段の入力側1速歯車21が入力軸20と一体に形成されている。これにより、大径の最下段の出力側1速歯車31に噛み合う小径の入力側1速歯車21を、転造により精度よく形成することができる。
【0078】
さらに、出力軸30に、軸方向に移動可能で出力軸30と相対回転不能なスライダ部材40が設けられ、スライダ部材40がシフトフォーク42に連動して軸方向C1に移動し、出力側変速歯車31~36の1つに連結されることで変速歯車選択が行われる。この構成によれば、出力側変速歯車31~36は固定され、スライダ部材40が軸方向に移動して出力側変速歯車31~36に係合するので、本発明の変速機2のチェンジ機構10を容易に実現できる。
【0079】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る変速機のチェンジ機構を示す。
図6の変速機2Aにおいても、第1実施形態と同様に、クラッチ8側から1速、6速、3速、4速、5速、2速の順に歯車対が並んでいる。第1実施形態と異なり、
図6の変速機2Aは、スライダ部材を有していない。第2実施形態の変速機2Aはドグギヤタイプで、隣接する2つの変速歯車の一方にドグ爪、他方にドグ孔が形成されており、シフトフォーク42により変速歯車が移動して連結される。本実施形態では、3つのシフトフォーク42が、出力軸30の出力側6速歯車36と出力側3速歯車33との間、入力軸20の入力側3速歯車23と入力側4速歯車24との間、出力軸30の出力側4速歯車34と出力側5速歯車35との間に設けられている。
【0080】
第2実施形態の変速機2Aはドグギヤタイプである点で、第1実施形態の変速機2と異なり、その他の構造は同じである。第2実施形態の変速機2Aのチェンジ機構10よっても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0081】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明の変速機2のチェンジ機構を自動二輪車のエンジンEに適用した例を説明したが、本発明のチェンジ機構は、自動二輪車以外の車両のエンジンにも適用可能で、また、車両以外のエンジンにも適用可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 クランク軸
2,2A 変速機
8 クラッチ
10 チェンジ機構
18 軸受
20 入力軸
21~26 入力側変速歯車(入力歯車)
30 出力軸(変速軸)
31~36 出力側変速歯車(変速歯車)
40 スライダ部材
42 シフトフォーク
44 チェンジカム
46 チェンジドラム
52 ポジションレバー
62 山部
64 第1谷部
66 第2谷部
68 位置決めローラ(ポジションレバーの先端部)
69 シフトフォーク案内部
E エンジン
P1 重合位置