(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】作業台
(51)【国際特許分類】
E04G 1/32 20060101AFI20220311BHJP
E06C 1/39 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
E04G1/32 A
E06C1/39 A
(21)【出願番号】P 2019110303
(22)【出願日】2019-06-13
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】菅澤 勝信
(72)【発明者】
【氏名】新 幸斗
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-127145(JP,A)
【文献】実公昭49-046809(JP,Y1)
【文献】実開平02-128754(JP,U)
【文献】実公昭50-028884(JP,Y2)
【文献】実開昭51-150830(JP,U)
【文献】実開昭49-139103(JP,U)
【文献】実開昭49-018815(JP,U)
【文献】米国特許第06892991(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0352964(US,A1)
【文献】米国特許第05638913(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/32
E06C 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さを切り替え可能な作業台であって、
互いに分離独立し、かつ平面視して略正四角形状を呈する、上部材および下部材を少なくとも具備し、
前記下部材に前記上部材を収容してなる、収容姿勢と、
前記下部材から引き抜いた前記上部材を平面視略90度回転して前記下部材に載せてなる展開姿勢と、に切り換えることができ、
前記上部材は、
台座部と、前記台座部から下方に伸びる、脚部と、を少なくとも有し、
前記下部材が、
前記下部材の隅部を形成する、平面視略L字形状の柱部と、
前記下部材の平面視内側に設け
、前記柱部との間に隙間を形成する、支持部と、を少なくとも有し、
前記脚部が、該脚部の幅および奥行を構成する二辺を平面投影視した場合において、一方の辺の長さが前記隙間の幅長以下であり、かつ他方の辺の長さが前記隙間の幅長より大きい形状を呈し、
前記収容姿勢では、前記脚部が前記隙間に収容されており、
前記展開姿勢では、前記支持部が前記脚部を支持することで前記台座部を上昇させた状態となることを特徴とする、
作業台。
【請求項2】
前記下部材に、前記脚部の位置を固定可能な固定部を設けたことを特徴とする、
請求項1に記載の作業台。
【請求項3】
前記上部材に、上下に貫通する連結孔を設け、
前記下部材に、上下方向を回転軸とするロックピンを設け、
二つの作業台を積層配置する際に、
下方の作業台の上部材に設けた連結孔に、上方の作業台の上部材に設けたロックピンを差し込み、該ロックピンの回転動作で、両者を連結可能に構成したことを特徴とする、
請求項1
または2に記載の作業台。
【請求項4】
前記下部材の側面を構成する4つの側部のうち少なくとも、対向する2つの側部において、
一方の側部にダルマ穴を設け、かつ他方の側部に係合ピンを設けており、
二つの作業台を並列配置する際に、
一方の作業台に設けた前記ダルマ穴に、他方の作業台に設けた前記係合ピンを差し込んで係合することにより、二つの作業台を連結可能に構成したことを特徴とする、
請求項1乃至
3のうち何れか1項に記載の作業台。
【請求項5】
前記下部材の底面に、高さ調整機構を有する滑り止め部を設けてあることを特徴とする、
請求項1乃至
4のうち何れか1項に記載の作業台。
【請求項6】
前記台座部の外縁に、段差を設けてあることを特徴とする、
請求項1乃至
5のうち何れか1項に記載の作業台。
【請求項7】
前記上部材と前記下部材とをワイヤーで接続してあることを特徴とする、
請求項1乃至
6のうち何れか1項に記載の作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場などで作業員の乗り降りや物の載置に使用する作業台に関し、より詳しくは台座部の高さを切り替え可能な作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場などで使用される仮設の作業台や踏み台として、以下の非特許文献に記載の発明が開示されている。
非特許文献1に示す組立式踏み台は、天板を持ち上げる動作によって、天板と底版との間で折り畳まれた一方の側板対を展開し、さらに他方の側板対を立ち上げて両側板対を固定することで、天板の高さを上昇可能に構成している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】http://gop.co.jp/products/img/ctlg_orion500.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記非特許文献1に係る組立式踏み台は、以下の問題を有する。
(1)樹脂製であるため、耐候性に乏しい。
(2)樹脂による一体成形を主としているため、構成部品の一部が破損した場合の部分的な交換が難しく、僅かな破損でも全損扱いとなる。
(3)他方の側板対の起立動作を組立者の手で行わなければならないため、一度の組立作業で天板と他方の側板対との持ち替えが必須となる。
【0005】
よって、本願発明は、上記の問題を解消することで利便性に優れる作業台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべくなされた本願発明は、高さを切り替え可能な作業台であって、互いに分離独立し、かつ平面視して略正四角形状を呈する、上部材および下部材を少なくとも具備し、前記下部材に前記上部材を収容してなる、収容姿勢と、前記下部材から引き抜いた前記上部材を平面視略90度回転して前記下部材に載せてなる展開姿勢と、に切り換えることができ、前記上部材は、台座部と、前記台座部から下方に伸びる、脚部と、を少なくとも有し、前記下部材が、前記下部材の隅部を形成する、平面視略L字形状の柱部と、前記下部材の平面視内側に設け、前記柱部との間に隙間を形成する、支持部と、を少なくとも有し、前記脚部が、該脚部の幅および奥行を構成する二辺を平面投影視した場合において、一方の辺の長さが前記隙間の幅長以下であり、かつ他方の辺の長さが前記隙間の幅長より大きい形状を呈し、前記収容姿勢では、前記脚部が前記隙間に収容されており、前記展開姿勢では、前記支持部が前記脚部を支持することで前記台座部を上昇させた状態となることを特徴とするものである。
また、前記発明において、前記下部材に、前記脚部の位置を固定可能な固定部を設けてもよい。
また、前記発明において、前記上部材に、上下に貫通する連結孔を設け、前記下部材に、上下方向を回転軸とするロックピンを設け、二つの作業台を積層配置する際に、下方の作業台の上部材に設けた連結孔に、上方の作業台の上部材に設けたロックピンを差し込み、該ロックピンの回転動作で、両者を連結可能に構成してもよい。
また、前記発明において、前記下部材の側面を構成する4つの側部のうち少なくとも、対向する2つの側部において、一方の側部にダルマ穴を設け、かつ他方の側部に係合ピンを設けており、二つの作業台を並列配置する際に、一方の作業台に設けた前記ダルマ穴に、他方の作業台に設けた前記係合ピンを差し込んで係合することにより、二つの作業台を連結可能に構成してもよい。
また、前記発明において、前記下部材の底面に、高さ調整機構を有する滑り止め部を設けてもよい。
また、前記発明において、前記台座部の外縁に、段差を設けておいてもよい。
また、前記発明において、前記上部材と前記下部材とをワイヤーで接続しておいてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下に記載する効果を奏する。
(1)作業台を構成する上部材および下部材の各部品を金属製とすることで、耐候性に優れた作業台を提供することができる。
(2)作業台を複数の金属部品を着脱自在に連結して構成することで、破損部品単品での交換を可能とし、全損扱いの割合が低下する。
(3)下部材に収容してある上部材を引き抜いたあと、略90度回転させて下部材へと差し込み直すだけで作業台の高さを変えることができるため、作業者による持ち手の持ち替えが不要となり、作業効率性が高い。
(4)下部材に脚部の位置を固定するための固定部を設けることで、収容姿勢および展開姿勢の何れであっても、下部材と上部材とを強固に固定することができる。
(5)上部材と下部材とをワイヤーで接続しておくことで、仮に固定部による固定忘れがあったまま運搬作業などを行ったときでも、各部材の大きな落下を防止することができる。
(6)二つの作業台を積層配置する際に、連結孔およびロックピンを介して両者を連結することで、これらの作業台の一体化を容易に実施することができる。
(7)二つの作業台を並列配置する際に、ダルマ穴および係合ピンを介して両者を連結することで、これらの作業台の一体化を容易に実施することができる。
(8)台座部の外縁の高さを上げた段差を設けておくことで、台座部に乗った作業員の足の感覚で台座部の外縁を認識することでき、台座部からの作業員の落下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
<1>全体構成(
図1)
本発明に係る作業台Aは、互いに分離独立し着脱自在に取付可能な、上部材Bおよび下部材Cを少なくとも具備して構成する。
上部材Bおよび下部材Cは、いずれも平面視して略正四角形状を呈している。
そのため、鉛直方向を回転軸として作業台Aを90度ずつ回転させても、作業台Aの平面形状はほぼ変わらない。
本発明に係る作業台Aは、下部材Cに対する上部材Bの取付態様が異なる二種類の姿勢(収容姿勢または展開姿勢)を任意に設定可能とすることで、作業台Aの高さを切り換えることができるものである。
【0011】
<1.1>各部材の素材
上部材Bおよび下部材Cを構成する各部品の一部または全部は、金属製とすることが望ましい。
これは、作業台Aの耐候性を確保するためである。
【0012】
<1.2>各部材の組立態様
上部材Bおよび下部材Cを構成する各部品は、着脱自在な組立構造とすることが好ましい。
これは、破損部品単品での交換を可能とすることで、作業台Aが全損扱いとなる割合を低下させるためである。
以下、各部材の詳細について説明する。
【0013】
<2>上部材(
図1)
上部材Bは、作業員が乗り降りする踏み台や、物の載置を行う載置面を構成するための部材である。
上部材Bは、台座部10と、台座部10の四隅から下方に延伸する脚部20とを少なくとも有する。
その他、上部材Bには、所望される剛性や強度を確保するためのリブなどを各部材に形成したり、別部材として繋ぎ材などを適宜加えたりすることができる。
【0014】
<2.1>台座部(
図1)
台座部10は、作業員の乗り降りや物の載置を行うための部位である。
台座部10は、平面視して略正四角形状を呈する平板部材や、当該平板部材の下方に延伸するよう側壁11を設けた箱状部材などで構成することができる。
台座部10の上面には、滑り止め用の突起や溝などのパターンを設けても良いい。
本実施例では、等長の四辺の側壁11の内側に、正四角形状の平板12を溶接して台座部10を形成している。
【0015】
<2.1.1>台座部10の外縁形状(
図1)
本実施例では、台座部10の上面について、外縁側が高くなるように段差13を設けている。
これは、台座部10からの作業員の落下等の事故が生ずることの無いよう、台座部10に乗った作業員の足の感覚で、台座部10の外縁を認識させるためである。
【0016】
<2.1.2>積層用の連結孔(
図1)
台座部10には、上下に貫通する連結孔14を適宜設けておくことができる。
この連結孔14は、二つの作業台A(A1,A2)を上下に積層配置する際に、上側の作業を構成する下部材Cに設けたロックピン55を差し込むための要素であり、詳細な説明は後述する。
【0017】
<2.2>脚部(
図1,
図2)
脚部20は、台座部10から下方に伸びて、作業台Aの展開姿勢時において台座部10の高さを延長させるために用いる部位である。
本実施例では、平面視して略正四角形状の台座部10の四箇所の隅部全てから下方に脚部20を延伸させている。
脚部20の長さは、展開姿勢時において求められる作業台Aの高さに応じて適宜設計することができる。
【0018】
<2.2.1>挿通孔の形成(
図2)
脚部20には、上部材Bと下部材Cとの固定に用いる後述の固定部70に対応する、挿通孔を形成しておくことができる。
本実施例では、脚部20を下部材Cに収容した状態の収容姿勢において、固定部70と近接する位置と、脚部20を下部材Cに支持した状態の展開姿勢において、固定部70と近接する位置との二箇所に挿通孔(上側挿通孔21、下側挿通孔22)を設けている。
【0019】
<2.2.2>脚部の形状(幅長、奥行長)(
図2)
脚部20の外隅部を構成する二辺(幅長、奥行長)は、該脚部20を平面投影視した場合において、長さを変えた構成としている。
本実施例では、
図2に示すように脚部20を平面投影視してなる投影部23の形状は、幅長B,奥行長Dからなる矩形形状を呈している。また、収容姿勢において脚部20の外隅部を構成する二辺のうち短辺側を幅側、長辺側を奥行側として定義している。
上記形状を呈することにより、後述する下部材Cとの間で、上部材Bの取付向きを変えることで収容姿勢と展開姿勢とを切り換えるためである。詳細は、後述する<3.3.1>の支持部60の欄にて説明する。
【0020】
<2.2.3>脚部の先端態様(
図2)
脚部20の先端態様は、特段限定しないが、先端に向かって先細となるようなテーパ形状を設けておいても良い。
本実施例では、
図2に示すように、脚部20の内側面の途上から先端に向かって先細となる傾斜面24を設けつつ、該傾斜面24の下端から前記隙間の幅長と略等長を維持する垂直面を設けている。
【0021】
<2.2.4>切欠きの形成(
図2)
さらに、本実施例では、脚部20の先端背面側に切欠き25を設けている。
これは、脚部20を下部材Cに収容した状態の収容姿勢において、後述する柱部30と底板31との結合に用いる結合部(
図3)に、脚部20が干渉することを防止するためである。
【0022】
<3>下部材(
図1,
図3~
図5)
下部材Cは、上部材Bの脚部20を、収容または支持することによって、台座部10の位置、すなわち作業台Aの高さを切り替え可能とするための部材である。
本実施例では、下部材Cを、四箇所の隅部を形成する柱部30と、柱部30の下方に設けた滑り止め部40と、柱部30間に架設する側部50と、該側部50のうち対向する一組の側部50から内側に配置している支持部60と、を有して構成している。
その他、下部材Cには、所望される剛性や強度を確保するためのリブなどを各部材に形成したり、別部材として繋ぎ材などを適宜加えたりすることができる。
【0023】
<3.1>柱部(
図1,
図3)
柱部30は、下部材Cの隅部を形成する部材である。
本実施例では、柱部30を、下部材Cの隅部四箇所のそれぞれに配置する、略L字型の部材で構成している。
また、本実施例では、
図3に示すように、各柱部30の下端に別途底板31を、結合部32を用いて固定している。
この底板31は、後述する滑り止め部40を設けない場合には作業台Aの底面として機能したり、後述する滑り止め部40の配置面として機能したり、または収容姿勢時における脚部20の支持面として機能したりすることができる。
【0024】
<3.2>滑り止め部(
図3)
滑り止め部40は、設置した作業台Aの滑りを防止するための部材である。
本実施例では、
図3に示すように、下部材Cの底部に、下部材Cとの高さ調整機構を有する滑り止め部40を設けており、より詳細には、ゴム台41と、ゴム台41の上から突出させたねじ軸42とでもって滑り止め部40を構成している。
柱部30の下方に取り付けた底板31には螺合孔を設けておき、当該螺合孔に下方から前記ねじ軸42を螺合することによって、ゴム台41と底板31との間の高さ調整が可能な滑り止め部40を形成している。
また、
図3で図示しないが、底板31に螺合した滑り止め部40の抜け落ちを抑制すべく、螺合後の前記ねじ軸42の解放端を螺合不能に加工してもよい。
【0025】
<3.3>側部(
図1,
図4,
図5)
側部50は、下部材Cの側周部分を構成する部位である。
側部50は、所望の重量を越えない範囲や所望の剛性を確保できる範囲で適宜形状や構造を変更することができる。
本実施例では、
図1に示すように、側部50を、柱材間に架設しつつ、上下に間隔を空けて略平行に配置した上側連絡材51および下側連絡材52とで構成している。
【0026】
<3.3.1>上側連絡材・下側連絡材(
図1)
上側連絡材51は、柱部30の頭部よりもやや下方の位置から架設しており、収容姿勢において、上部材Bの台座部10と上側連絡材51との間に、作業台Aの内部へと手を伸ばすことができる空間を確保している。
また、下側連絡材52は、前記上側連絡材51から更に下方に間隔を空けた位置から架設することで、両連絡材の間の解放空間から、下部材Cの内部に手を伸ばすことができるよう構成している。
当該構成により、後述する固定部70による固定作業を容易としたり、作業員が作業台Aを持ち運びする際の持ち手部分を増やしたりすることができる。
【0027】
<3.3.2>並列配置用の連結機構(
図1,
図4)
下部材Cには、他の作業台Aと平面方向に連結可能な機構を設けておくことができる。
上記の連結機構として、例えば4つの側部50のうち少なくとも、対向する2つの側部50において、一方の側部50にダルマ穴53を設け、かつ他方の側部50に係合ピン54を設ける構成が考えられる。
本実施例では、
図1に示すように、4つの上側連絡材51のうち、隣り合う二つの上側連絡材51にそれぞれ係合ピン54を二箇所設け、かつ、残る二つの上側連絡材51に、前記係合ピン54を取り付け可能なダルマ穴53を二箇所設けている。
そして、
図4に示すように一方の作業台A1のダルマ穴53に、他方の作業台A2の係合ピン54を挿入かつスライド動作させることで、両者を連結可能としている。
【0028】
<3.3.3>積層配置用の連結機構(
図1,
図5)
下部材Cには、他の作業台Aと上下方向に連結可能な機構を設けておくことができる。
上記の連結機構として、例えば、上部材Bに上下に貫通する連結孔14を設けておき、下部材Cに上下方向を回転軸として前記連結孔14に差し込み可能なロックピン55を設ける構成が考えられる。
本実施例では、
図5に示すように、下部材Cを構成する下側連絡材52のうち、対向する側部50に配置した下側連絡材52の両方に、上下端を同一方向に折曲したロックピン55を設け、上部材Bを構成する台座部10に、前記ロックピン55に対応する連結孔14を設けている。
【0029】
ロックピン55は外周に設けたバネによって上方に付勢されており、ロックピピンの下端が作業台Aの底面から隠れた状態を呈している。
まず、上下に作業台Aを積層した状態において、上側の作業台A2に設けたロックピン55の下端の折曲部分を一方の方向(
図5における左方向)に向けたまま、ロックピン55を下方に押し込むことで、下側の作業台A1の台座部10に設けた連結孔14へとロックピン55の下端を差し込む。
その後、ロックピン55を略180°回転させてロックピン55の下端の折曲部分が前記一方の方向と異なる方向(例えば、
図5における右方向)を向けた際には、ロックピン55の下端の折曲部分が下方の作業台Aの台座部10に干渉しつつ、バネの復元力によって当該下端を上方に付勢した状態とする。
【0030】
上記手順によって積層した両作業台A1,A2を固定することができる。
またロックピン55の上方側の折曲端の向きを確認することで、ロックの有無を容易に確認することができる。
【0031】
<3.4>支持部(
図6,
図7)
支持部60は、展開姿勢において上部材Bの脚部20を、下部材Cの上方で支持するための部材である。
本実施例では、支持部60は、下部材Cの対向する一方の側面間において他方の側面から内側に離隔させた位置で架設するように配置する長尺部材で構成している。
【0032】
<3.4.1>収容空間の間隔と脚部との関係(
図6,
図2)
図6に示すように、柱部30と支持部60との間に形成される隙間の間隔は、
図2に示した脚部20の幅長以上、かつ脚部20の奥行き長未満とする。この隙間が、収容姿勢において上部材Bの脚部20を収容するための収容空間61となる。
【0033】
<3.4.2>支持部の形状(
図7)
支持部60の上面には、前述した脚部20の先端形状に対応した案内面62を設けておくこともできる。
本実施例では、支持部60の上面のうち側部50側に近い部分を下方に傾斜させた案内面62を設けている。
この案内面62により、収容姿勢から脚部20を上方に引き抜いた上部を略90°回転させた状態で降ろした際に、多少の位置ズレがあっても案内面62によって脚部20の先端が収容空間61に案内されるため、作業性が向上する。
また、上部材Bの重量を支持する面積が増加することから、展開姿勢時の安定性向上にも寄与する。
【0034】
<3.5>固定部(
図8)
固定部70は、収容姿勢および展開姿勢時の両方において、前記脚部20置を前記下部材Cに固定するための部材である。
本実施例では、固定部70を、支持部60の内側面に位置し、鉛直方向を回転軸方向として回動可能なレバー71と、前記支持部60内を貫通するように配置し、前記レバー71の回動動作によって先端を前記支持部60の外側面に出没自在とした出没ピン72と、を少なくとも含んで構成している。
この固定部70のレバー71の移動によって、出没ピン72の先端を、上部材Bの脚部20に設けた挿通孔(収容姿勢時には上側挿通孔21、展開姿勢時には下側挿通孔22)へと差し込むことによって、脚部20の位置を固定し、結果として下部材Cと上部材Bとを強固に一体化することができる。
【0035】
<4>使用イメージ(
図9)
以下、
図9を参照しながら、本実施例に係る作業台Aの使用イメージについて説明する。
【0036】
<4.1>収容姿勢(
図9(a))
図9(a)は、収容姿勢時の作業台Aの概略平面図および概略正面図である。
収容姿勢では、支持部60の外側に形成された収容空間61に上部材Bの脚部20が収容された状態である。
下部材Cでもって、上部材Bを支持する態様としては、脚部20の下端を底板31に接した状態とする態様や、下部材Cの柱部30の上面で台座部10を支持する態様などを採用することができる。
また、固定部70は、脚部20に設けた上側挿通孔21を介して上部材Bと下部材Cとを固定した状態である。
【0037】
<4.2>展開姿勢(
図9(b))
図9(b)は、展開姿勢時の作業台Aの概略平面図および概略正面図である。
収容姿勢の状態から固定部70による固定を解いて上部材Bを上方に引き抜き、上部材Bを平面視略90°回転させると、正面視した状態で脚部20の幅長および奥行長が入れ替わる格好となる。
その後、上部材Bを下部材Cに降ろした場合、脚部20は支持部60に干渉して収容空間61に完全に収容することができず、脚部20の傾斜面24が支持部60の案内面62と接触して支持された状態となる。
その結果、脚部20の上方にある台座部10が上昇した位置で留まることとなる。
最後に、脚部20に設けた下側挿通孔22を介して再度固定部70による固定動作を行って、上部材Bと下部材Cとを一体化して作業を完了する。
【0038】
<5>まとめ
このように、本発明に係る作業台Aによれば、上部材Bを下部材Cから引き抜いて回転させてから再度下部材Cへと差し込み直すだけで作業台Aの全高を変えることができる。
この全高を変える作業では、作業者の手の持ち替えが不要となるため、作業効率性が高いという効果を得ることができる。
【実施例2】
【0039】
[支持部の変形例(
図10)]
前記した実施例1では、支持部60を隣り合う柱部30間に架設していたが、本発明は、上記構造に限定するものではない。
例えば、
図10に示すように、支持部60をL字状の部材で構成し、下部材の側面を構成する柱部30や側部50(上側連絡材51)に支持部60の両端を接続して、小断面の収容空間61を形成してもよい。
【実施例3】
【0040】
[ワイヤーによる連結]
上記した上部材Bと下部材Cとの間は、別途ワイヤー連結しておくこともできる(図示せず)。ワイヤーの長さは、上部材Bの姿勢変更作業が可能な範囲で適宜設定すればよい。
なお、収容姿勢の状態で作業台Aを持ち運ぶ際には、作業台Aを90°起立させて、上部材Bを構成する台座部10の側縁や、下部材Cを構成する側部50を把持することが多い。
このとき、仮に作業員による固定部70による作業忘れがあった場合にも、上記のワイヤーでもって両者を連結しておけば、運搬中に各部材が抜け出して落下するなどの大きな事故を防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
A 作業台
B 上部材
C 下部材
10 台座部
11 側壁
12 平板
13 段差
14 連結孔
20 脚部
21 上側挿通孔
22 下側挿通孔
23 投影部
24 傾斜面
25 切欠き
30 柱部
31 底板
40 滑り止め部
41 ゴム台
42 ねじ軸
50 側部
51 上側連絡材
52 下側連絡材
53 ダルマ穴
54 係合ピン
55 ロックピン
60 支持部
61 収容空間
62 案内面
70 固定部
71 レバー
72 出没ピン