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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】無縫製袋土嚢及びその製法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/04 20060101AFI20220311BHJP
   D03D 1/04 20060101ALI20220311BHJP
   D03D 11/00 20060101ALI20220311BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
E02B3/04 301
D03D1/04
D03D11/00 Z
D03D1/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017176031
(22)【出願日】2017-09-13
(65)【公開番号】P2019052449
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】392002918
【氏名又は名称】日本ワイドクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 敏章
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-161923(JP,U)
【文献】実開昭53-080234(JP,U)
【文献】実開平06-034026(JP,U)
【文献】実開昭64-000622(JP,U)
【文献】特開昭62-133204(JP,A)
【文献】特開平10-025725(JP,A)
【文献】特開2008-025097(JP,A)
【文献】特開平06-193070(JP,A)
【文献】実開昭55-118056(JP,U)
【文献】特開2004-337074(JP,A)
【文献】特開2007-182739(JP,A)
【文献】特開昭60-232013(JP,A)
【文献】特開2003-184092(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199802(JP,U)
【文献】特開2013-060736(JP,A)
【文献】特開平06-306868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0053752(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04-3/14
D03D 1/00-27/18
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸と緯糸で袋織りして形成され、一端に開口部を有し、その他のすべての端である三方に閉鎖部を有する二重織物からなる土嚢であって、
前記袋織りによって互いに重なり合う一方の織組織と他方の織組織のそれぞれにおける前記開口部の縁部に、前記縁部の前記経糸又は前記緯糸に代えて前記袋織り時に織り込まれた別々の口紐を前記経糸又は前記緯糸と平行に有する
無縫製袋土嚢。
【請求項2】
前記経糸によって複数個が連続して形成された
請求項1に記載の無縫製袋土嚢。
【請求項3】
経糸と緯糸で袋織りして形成され、一端に開口部を有し、その他のすべての端である三方に閉鎖部を有する二重織物からなる土嚢であって、
前記経糸が延びる織成方向に複数個連続して形成されるとともに、
前記開口部が織成方向に沿う辺に形成され、
前記袋織りによって互いに重なり合う一方の織組織と他方の織組織のそれぞれにおける前記開口部の縁部に、前記縁部の前記経糸に代えて前記袋織り時に織り込まれた別々の口紐を前記経糸と平行に有し、
当該無縫製土嚢同士の側部の間に前記経糸のみからなる土嚢間部を有する
無縫製袋土嚢。
【請求項4】
前記一方の織組織又は前記他方の織組織の少なくとも一方の表面に種子を付着させた
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の無縫製袋土嚢。
【請求項5】
前記一方の織組織と前記他方の織組織のうちの一方を構成する糸に黒色の糸を用い、他方を構成する糸に緑色の糸を用いた
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の無縫製袋土嚢。
【請求項6】
経糸と緯糸で袋織りして、一端に開口部を有し、その他のすべての端である三方に閉鎖部を有する二重織物からなる土嚢を製造する土嚢の製造方法であって、
前記袋織りに同期して、前記袋織りによって互いに重なり合う一方の織り組織と他方の織り組織のそれぞれにおける前記開口部の縁部に、前記縁部の前記経糸又は前記緯糸に代えてそれぞれ別の口紐を前記経糸又は前記緯糸と平行に織り込む
無縫製袋土嚢の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、土嚢に関し、より詳しくは、製造が容易で使用が簡便に行えるような土嚢に関する。
【背景技術】
【0002】
製造が容易な土嚢が下記特許文献1に開示されている。この土嚢は、複数の土嚢が織成により連続して形成されたものであり、土嚢の下端の底部と上端の開口部を織成方向に並べて形成される。土嚢の底部は、左右両側の縁部と同様に織成生地が織り込まれて形成される。この底部は、織成方向に所定幅に設定され、その直ぐ下に、生地が織り込まれていない部分を形成する。
【0003】
また土嚢の内側に、予め種子、肥料を接着しておくとの記載もある。
【0004】
使用に際しては、底部の下の、生地が織り込まれていない部分で切断して、開口部の近傍に別体の口紐を縫い目状に通して、開口部を閉鎖可能にする。
【0005】
この土嚢では、土嚢本体を製造するのに際して口紐を取り付けるための縫製が不要であるので、製造が容易である。しかし、口紐は使用時に別途の作業で取り付ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭64-622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、縫製作業を不要にして製造が容易にできる上に、使用に際しての口紐通し作業を不要にして使用を簡便にできるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、経糸と緯糸で袋織りして形成され、一端に開口部を有し、その他のすべての端である三方に閉鎖部を有する二重織物からなる土嚢であって、前記袋織りによって互いに重なり合う一方の織組織と他方の織組織のそれぞれにおける前記開口部の縁部に、前記縁部の前記経糸又は前記緯糸に代えて前記袋織り時に織り込まれた別々の口紐を前記経糸又は前記緯糸と平行に有する無縫製袋土嚢である。
【0009】
この構成では、口紐があらかじめ備えられているので、使用に際して特別に行わなければならない作業はなく、土などを入れてから口紐を用いて開口部を閉塞する。必要であれば、口紐の一端同士を結んだり溶着したりして固定しておいてもよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、織成時に口紐を保持させるので縫製作業を不要にして製造が容易にできる上に、使用に際しても口紐を通す作業が不要であり、使用が簡便に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】無縫製袋土嚢の斜視図。
図2図1のA部分の拡大図。
図3】土嚢連結体の平面図。
図4】土嚢連結体の分解斜視図。
図5】巻回した土嚢連結帯の斜視図。
図6】無縫製袋土嚢の一部破断平面図。
図7】無縫製袋土嚢の断面図。
図8】土を入れた無縫製袋土嚢の断面図。
図9】無縫製袋土嚢の斜視図。
図10図9のB部分の拡大図。
図11】土嚢連結体の平面図。
図12】土嚢連結体の分解斜視図。
図13】巻回した土嚢連結帯の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0013】
この説明では主に2種類の無縫製袋土嚢11(11a,11b)(図1図9参照)について述べる。いずれの無縫製袋土嚢11も、経糸12と緯糸13で袋織りして形成され、一端に開口部14を有する二重織物からなるものであり、互いに重なり合うシート状をなす一方の織組織15と他方の織組織16における開口部14の縁部に、袋織り時に織り込まれた口紐17を経糸12又は緯糸13と平行に有する。
【0014】
まず、図1に示した無縫製袋土嚢11aを説明する。
【0015】
無縫製袋土嚢11aの口紐17部分(図1のA部分)を拡大した状態を図2に示す。図1図2に示すように、無縫製袋土嚢11aの織組織15,16は、経糸12にモノフィラメントを、緯糸13にテープヤーン又はフラットヤーンを用いて構成されている。経糸12と緯糸13は合成樹脂製である。
【0016】
経糸12は複数本ずつ適宜間隔をおいて平行に並び、緯糸13は経糸12と直交し平行に並べられるとともに経糸12によって表裏両面から挟まれて保持されている。
【0017】
そして口紐17は、緯糸13よりも幅広の(太い)ものが使用され、緯糸13と平行に織り込まれている。すなわち、経糸12と緯糸13で互いに重なり合う2つの織組織15,16を織成するときに、口紐17を備える部分は緯糸13に替えて口紐17を通して保持する。このため口紐17は、緯糸13と同様に経糸12によって表裏両側から挟まれて保持される。
【0018】
口紐17は、互いに重なり合う一方の織組織15と他方の織組織16にそれぞれ備えられる。
【0019】
口紐17が延びる方向と直交する方向が織組織15,16の織成方向Dであり、無縫製袋土嚢11aは、織成方向Dに複数個連続して形成される。図3は無縫製袋土嚢11aを連結した土嚢連結体31の表面図である。
【0020】
なお、1枚の無縫製袋土嚢11aも、複数枚が一体になった土嚢連結体31も、この発明の「無縫製袋土嚢」であるが、便宜上、複数枚の無縫製袋土嚢11aが一体となったものを、前述のとおり土嚢連結体31という。
【0021】
土嚢連結体31では、無縫製袋土嚢11aの下端の閉鎖底部18と、上端の開口部14となる部分が一連に形成されている。つまり、土嚢連結体31を構成する無縫製袋土嚢11aは、織成方向Dに延びる経糸12によって上下方向に連結されることになる。
【0022】
土嚢連結体31の分解状態を図4に示す。無縫製袋土嚢11a及び土嚢連結体31は前述のように互いに重なり合う一方の織組織15と他方の織組織16からなり、織成方向Dの一定間隔おきの部分に密に織り込みを行って2枚の織組織15,16同士を一体化する前述の閉鎖底部18を形成する。閉鎖底部18は、織成方向Dに適宜長さに設定される。
【0023】
また土嚢連結体31の幅方向の左右両側部分に、織成方向D、つまり長手方向に沿って密に織り込みを行って2枚の織組織15,16同士を一体化する閉鎖側部19を形成する。閉鎖底部18は、織成方向Dと直交する方向に適宜幅に設定される。これらの閉鎖側部19は、口紐17を有する部分を飛ばして長手方向に不連続である。
【0024】
このように二重織物からなる無縫製袋土嚢11aは、経糸12と緯糸13での袋織りに際して、織成方向Dに間欠的に閉鎖底部18と閉鎖側部19を形成しつつ、この袋織りに同期して、口紐17を織り込む製造方法で製造される。口紐17を織り込む位置は、閉鎖底部18を形成する位置に隣接し、後に開口部14となる部分の縁部であり、織り込む方向は、緯糸13と平行である。
【0025】
概ねこのような構成の土嚢連結体31は、図5に示したように、ロール状に巻回されて流通され、使用に供される。つづら折り状などの形態に折りたたんで流通させてもよい。
【0026】
以上の構成に加えて、無縫製袋土嚢11aは、つぎの構成を有する。
【0027】
表裏2枚の織組織15,16を構成する糸の色は適宜設定されるが、植生土嚢とする場合には、織組織15,16のうち、一方の織組織15と他方の織組織16のうちの一方を構成する主な糸を黒色とし、他方を構成する主な糸を緑色とする。つまり、織組織15,16を構成する経糸12にはモノフィラメントを、緯糸13にはテープヤーン又はフラットヤーンを用いているので、緯糸13の方が経糸12よりも露出する割合が高く、織組織15,16を構成する主な糸となる。主な糸であるか否かは、織組織15,16の構成や使用する糸によって異なるが、表に表れて視覚上の影響が大きく出るか否かで判断される。複数の糸で主な糸を構成する場合もある。
【0028】
図6に、一部を破断した状態で、互いに重なり合う織組織15,16を示している。この図に示すように、表裏一方の織組織15の緯糸13を黒色、他方の織組織16の緯糸13を緑色として、織組織15,16ごとに目立つ色を違えている。経糸12を構成するモノフィラメントは緯糸13に比べて細いものであるため、黒色や白色、無色(透明)など、適宜の色の糸で構成することができる。
【0029】
また、図1図3図4に示したように、2枚の織組織15,16における閉鎖底部18と口紐17位置の間の適宜の部位には、他の部分を構成する糸と色の異なる緯糸を入れて目安線21を形成している。この目安線21の形成位置は、閉鎖底部18を下にして土を入れた時に、土の充填量が適切な量となる位置である。目安線21の色は、前述のように織組織15,16の主な糸の色を黒色又は緑色とした場合、視認しやすくするために例えば黄色などにするとよい。
【0030】
さらに、植生土嚢とする場合には、一方の織組織15又は他方の織組織16の少なくとも一方の表面、つまり外面に、図7に示したように種子22を付着させる。種子22は接着剤23によって保持される。図7の例では、表裏双方の織組織15,16の表面に付着させた例を示している。種子22の付着は、長尺の土嚢連結体31に対して連続して塗布し、その後に土嚢連結体31をロール状に巻き取る。
【0031】
種子22は外面に付着しているが、無縫製袋土嚢11aとしての使用に際しては、図8に示したように無縫製袋土嚢11aを表裏反転して、種子22を付着させた外面を内側にしてから、開口部14を通じて土Xを入れる。
【0032】
次に、図9に示した無縫製袋土嚢11bを説明する。
【0033】
無縫製袋土嚢11bの口紐17部分(図9のB部分)を拡大した状態を図10に示す。この無縫製袋土嚢11bでも、織組織15,16は経糸12にモノフィラメントを、緯糸13にテープヤーン又はフラットヤーンを用いて構成されている。経糸12と緯糸13は合成樹脂製である。図10において左右方向は経糸12の延びる方向、つまり織成方向Dであり、上下方向は緯糸13の延びる方向である。
【0034】
経糸12は複数本ずつ適宜間隔をおいて平行に並び、緯糸13は経糸12と直交し平行に並べられており、経糸12によって表裏両面から挟まれて保持されている。
【0035】
口紐17は、経糸12よりも、また緯糸13よりも幅広の(太い)ものが使用され、経糸12と平行に織り込まれている。すなわち口紐17は、経糸12と緯糸13で互いに重なり合う2つの織組織15,16を織成するときに、適宜長さで表裏ジグザグに縫うように緯糸13間に通して保持される。図10では、口紐17が織組織15,16の裏から表、または表から裏に変化する部分を中心に描いている。
【0036】
口紐17は、互いに重なり合う一方の織組織15と他方の織組織16にそれぞれ備えられる。
【0037】
口紐17が延びる方向が織組織15,16の織成方向Dであり、無縫製袋土嚢11bは、織成方向Dに複数個連続して形成される。図11は無縫製袋土嚢11bを連結した土嚢連結体31の表面図である。
【0038】
1枚の無縫製袋土嚢11bも、複数枚が一体になった土嚢連結体31も、この発明の「無縫製袋土嚢」であり、複数枚の無縫製袋土嚢11bが一体となったものを便宜上、土嚢連結体31ということは、前述と同じである。
【0039】
土嚢連結体31では、無縫製袋土嚢11bの左右両方の側部となる部分が連結されている。つまり、土嚢連結体31を構成する無縫製袋土嚢11bは、織成方向Dに延びる経糸12によって左右方向に連結されている。
【0040】
また土嚢連結体31は無縫製袋土嚢11b同士の側部の間に適宜長さの土嚢間部24を有する。土嚢間部24は緯糸13を飛ばして形成される。このため土嚢間部24は、経糸12のみで構成されることになる。
【0041】
土嚢連結体31の分解状態を図12に示す。無縫製袋土嚢11b及び土嚢連結体31は前述のように互いに重なり合う一方の織組織15と他方の織組織16からなり、織成方向Dの一定間隔おきの部分に密に織り込みを行って2枚の織組織15,16同士を一体化する一対の閉鎖側部19を一定間隔おきに順に形成する。閉鎖側部19は織成方向Dに適宜長さに設定される。
【0042】
一対の閉鎖側部19の間隔は、無縫製袋土嚢11bの幅に対応する間隔であり、一対の閉鎖側部19同士の間隔は、前述の土嚢間部24の長さに対応するものである。
【0043】
また、土嚢連結体31の幅方向の左右両側のうちの一方に、織成方向D、つまり長手方向に沿って密に織り込みを行って2枚の織組織15,16同士を一体化する閉鎖底部18を形成する。この閉鎖底部18は、無縫製袋土嚢11bの下端を構成するものである。閉鎖底部18は、織成方向Dと直交する方向に適宜幅に設定される。
【0044】
そして、土嚢連結体31の幅方向の左右方向のうちの他方には、織り込みを行わずに開口部14を形成する。この開口部14の縁部における経糸12間に、前述の口紐17が織り込まれる。
【0045】
このように二重織物からなる無縫製袋土嚢11bも、前述の図1に示した無縫製袋土嚢11aと同じく、経糸12と緯糸13での袋織りに際して、織成方向Dに間欠的に閉鎖底部18と閉鎖側部19を形成しつつ、この袋織りに同期して、口紐17を織り込む製造方法で製造される。口紐17を織り込む位置は、閉鎖底部18と反対側に形成される開口部14の縁部であり、織り込む方向は、経糸12と平行である。
【0046】
概ねこのような構成の土嚢連結体31も、図13に示したように、ロール状に巻回されて流通され、使用に供される。つづら折り状などの形態に折りたたんで流通させてもよい。
【0047】
以上の構成のほか、二重織物を構成する一方の織組織15と他方の織組織16のうちの一方を構成する主な糸を黒色とし、他方を構成する主な糸を緑色とすること(図6参照)や、目安線21(図1参照)を入れること、一方の織組織15又は他方の織組織16の少なくとも一方の表面に種子22を付着させること(図7参照)も、前述の図1に示した無縫製袋土嚢11aと同じである。目安線21は、糸の色を他の部分の糸と違えるほか、間隔が他の部分と異なる複数の糸で構成するなど、外観上識別力を有する態様にして形成することもできる。
【0048】
以上のような構成の無縫製袋土嚢11は、まず、巻回した状態の土嚢連結体31を必要長さ引き出して、無縫製袋土嚢11ごとに分離する。図1の無縫製袋土嚢11aでは、図3に仮想線で示したように閉鎖底部18のすぐ下の位置で切断し、図9の無縫製袋土嚢11bでは、図11に仮想線で示したように土嚢間部24内の適宜位置で切断する。
【0049】
無縫製袋土嚢11を分離した後は、表裏反転して種子22を付着させた面を内側にしてから開口部14を通して土Xを入れ(図8参照)、口紐17で開口部14を閉じる。そして、主に緑色を呈する面を上にして無縫製袋土嚢11を設置する。
【0050】
無縫製袋土嚢11の切断後に、必要に応じて口紐17の一端同士を結束したり、金具などの留め具で結合したり、溶着したりして使用に供してもよい。溶着する場合には、例えば超音波ホッチキスなどが便利に使用できる。溶着は口紐17の一端同士のみに対して行うほか、織組織15,16に対しても行ってもよい。
【0051】
このように、無縫製袋土嚢11は、口紐17の保持までも、織成だけで製造できる。つまり、口紐17は無縫製袋土嚢11が織成された段階で備えられており、縫製はもちろん、通すための作業もなしに使用することができる。このため、製造が容易である上に簡易迅速に使用できる。
【0052】
また、無縫製袋土嚢11は経糸12によって複数個が連続して土嚢連結体31を構成しており、この状態で流通させるので、無縫製袋土嚢11がばらばらである場合に比して、取り扱いが容易である。ロール状に巻回した場合にはさらに管理等が容易になる。
【0053】
さらに、種子22は織組織15,16の表面に付着させるので、付着作業は容易である。しかも、無縫製袋土嚢11が複数個連結した土嚢連結体31を構成しているので、たとえば織成工程から巻き取り工程へ移行する一連の工程の途中で種子22の付着を行うこともでき、種子22の付着作業が容易である。種子22の付着後は、ロール状に巻きとっておくことによって、付着させた種子22を簡単に保護できる。
【0054】
土入れは種子22を付着した面を内側にして行うが、反転作業は極めて容易である。反転させてから設置を行うので、土入れ作業や設置作業において種子22が脱落することを抑制できる。
【0055】
前述の構成はこの発明を実施するための一形態であり、この発明はその他の構成を採用することもできる。
【0056】
例えば、経糸12と緯糸13にテープヤーン又はフラットヤーンを用いるなど、織組織15,16は所望に応じて適宜形成できる。
【0057】
無縫製袋土嚢11は、複数個を連結したものとするほか、織成後に個別に分離してから流通させてもよい。
【0058】
植生土嚢としない場合には、種子の付着を省略する。
【符号の説明】
【0059】
11,11a,11b…無縫製袋土嚢
12…経糸
13…緯糸
14…開口部
15,16…織組織
17…口紐
22…種子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13