(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】火薬類取扱設備ユニット
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20220311BHJP
B65D 90/02 20190101ALI20220311BHJP
B65D 90/46 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
E04H9/14 E
B65D90/02 Z
B65D90/46
(21)【出願番号】P 2018219933
(22)【出願日】2018-11-26
【審査請求日】2020-07-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年6月11日に群馬県庁(群馬県前橋市大手町1-1-1)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】518352226
【氏名又は名称】株式会社新宇商店
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】新井 規夫
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-088499(JP,U)
【文献】特開平10-331463(JP,A)
【文献】特開2015-190156(JP,A)
【文献】実開昭58-085001(JP,U)
【文献】特開2007-186867(JP,A)
【文献】特開2018-040210(JP,A)
【文献】特開2009-162044(JP,A)
【文献】特開2001-349071(JP,A)
【文献】特開昭50-049841(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0597663(KR,B1)
【文献】特開2001-182181(JP,A)
【文献】特開2004-019869(JP,A)
【文献】特開2005-314965(JP,A)
【文献】特開昭56-022885(JP,A)
【文献】特開昭48-102697(JP,A)
【文献】実開昭52-088500(JP,U)
【文献】火薬類取扱所ARU-1型 鋼製パネル式外柵MID-2型4×4,株式会社新宇商店,2018年05月31日
【文献】火薬類管理 自主基準,第9版,2011年04月30日,第106頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
B65D 90/02,90/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性部材を用いた骨組み部と、
上記骨組み部の上部に、導電性の屋根部材で上記骨組み部の外側を形成すると共に、非導電性の天井部材で上記骨組み部の内側を形成する屋根部と、
上記骨組み部のいずれかの1つの側面に、導電性の外側部材と非導電性の内側部材で形成された、開閉可能な扉部と、
上記骨組み部の残りの側面に、導電性の外壁部材で上記骨組み部の外側を形成すると共に、非導電性の内壁部材で上記骨組み部の内側を形成する壁部と、
上記骨組み部の下部に、導電性の床下部材を固定し、上記床下部材の上面に床部材を取り付けて形成した床部と
を有する火薬類取扱設備と、
上記火薬類取扱設備を囲む外柵と、
上記外柵の外側に、暖房機能及び冷房機能を有するものであって、温風又は冷風を
上記火薬類取扱設備の室内に送る空調設備と
を備え
、
上記火薬類取扱設備と上記空調設備とを接続する通風管が、上記空調設備側からの爆風の流入を防ぐ逆流弁機構を有することを特徴とする火薬類取扱設備ユニット。
【請求項2】
上記逆流弁機構が、
上記空調設備側の通風管と結合する第1のフランジと、
上記火薬類取扱設備側の通風管と結合する第2のフランジと、
上記第1のフランジと上記第2のフランジとの間において、通風管の管口径よりも大きい管口径で形成された広径部と、
上記第2のフランジ側の上記広径部の管内上部に設けられた回転軸により上部が支持される弁体と、
上記空調設備側からの風圧により上記回転軸を中心に上記第2のフランジ側に動いた上記弁体の下端部を支持して、上記弁体による上記第2のフランジ側の管口閉塞を保持する弁座と
を有することを特徴とする請求項1に記載の火薬類取扱設備ユニット。
【請求項3】
導電性部材を用いた骨組み部と、
上記骨組み部の上部に、導電性の屋根部材で上記骨組み部の外側を形成すると共に、非導電性の天井部材で上記骨組み部の内側を形成する屋根部と、
上記骨組み部のいずれかの1つの側面に、導電性の外側部材と非導電性の内側部材で形成された、開閉可能な扉部と、
上記骨組み部の残りの側面に、導電性の外壁部材で上記骨組み部の外側を形成すると共に、非導電性の内壁部材で上記骨組み部の内側を形成する壁部と、
上記骨組み部の下部に、導電性の床下部材を固定し、上記床下部材の上面に、静電気の帯電防止機能を発揮させる床部材を取り付けて形成した床部と
を備え
、
上記床部材が非導電性の部材で形成され、上記床部材の上面の全部又は一部に対して取り付け可能な帯電防止部材が設けられており、
上記帯電防止部材のアース線が上記骨組み部と接続可能であり、上記帯電防止部材は上記骨組み部を通じて接地する
ことを特徴とする火薬類取扱設備ユニット。
【請求項4】
上記床部材に設けられた接続部が、導電性の上記床下部材又は導電性の上記骨組み部と電気的に接続しており、上記帯電防止部材の上記アース線が上記接続部を通じて接地することを特徴とする請求項3に記載の火薬類取扱設備ユニット。
【請求項5】
上記帯電防止部材が、シート状の帯電部材であることを特徴とする請求項3又は4に記載の火薬類取扱設備ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火薬類取扱設備ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトンネルやダム等を建設する際、基礎地盤を形成するために、爆薬(例えば、スラリー爆薬、ダイナマイト等)を用いた基礎掘削が行なわれる。
【0003】
ダイナマイトを含む火薬類(火薬、爆薬、火工品)は、爆発・燃焼という危険性を有するため、火薬類取締法では、火薬類の貯蔵、運搬、消費等の各種取扱い等が規定されている。
【0004】
例えば、火薬類取締法では、現場付近に火薬類を貯蔵・管理するため「火薬庫」を設けること、1日の火薬量が基準量を超えるときには、火薬庫とは別に「火薬類取扱所」を設けること、薬包に雷管を取り付けたり、又薬包から雷管を取り外したりする火薬類の発破の準備をするために、火薬庫や火薬類取扱所から離れた位置に「火工所」を設けること等が規定されている。また、火薬庫、火薬類取扱所、火工所に係る建物の構造についても厳しい基準が設けられている。なお、ここでは、火薬庫、火薬類取扱所、火工所に係る建物を総じて「火薬類取扱所等」とも呼ぶ。
【0005】
従来の火薬類取扱所等として、例えば特許文献1、非特許文献1に開示されるものがある。特許文献1には、気泡コンクリートパネルでもって形成された火薬庫が開示されている。非特許文献1には、火薬類取扱所等の建造設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】日機工業株式会社製品カタログ,“火薬保管システム”,[online],[2018年10月16日検索],インターネット<http://www.nikkikogyo.jp/storage/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の火薬類取扱所等は、火薬類取締法に規定される技術基準を満たすものではあるが、伝統的な構造であるため、火薬類を取り扱う作業者の安全性や、貯蔵する火薬類の盗難防止対策等に問題がある。
【0009】
また、例えば集中豪雨や高温化等に代表される近年の異常気象に対する対策も求められている。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、火薬類取締法の技術基準を考慮した上で、作業者の安全性を向上させ、これまでよりも盗難防止力を高め、異常気象にも配慮した火薬類取扱設備ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するために、本発明に係る第1の態様の火薬類取扱設備ユニットは、導電性部材を用いた骨組み部と、骨組み部の上部に、導電性の屋根部材で骨組み部の外側を形成すると共に、非導電性の天井部材で骨組み部の内側を形成する屋根部と、骨組み部のいずれかの1つの側面に、導電性の外側部材と非導電性の内側部材で形成された、開閉可能な扉部と、骨組み部の残りの側面に、導電性の外壁部材で骨組み部の外側を形成すると共に、非導電性の内壁部材で骨組み部の内側を形成する壁部と、骨組み部の下部に、導電性の床下部材を固定し、床下部材の上面に床部材を取り付けて形成した床部とを有する火薬類取扱設備と、火薬類取扱設備を囲む外柵と、外柵の外側に、暖房機能及び冷房機能を有するものであって、温風又は冷風を上記火薬類取扱設備の室内に送る空調設備とを備え、火薬類取扱設備と空調設備とを接続する通風管が、空調設備側からの爆風の流入を防ぐ逆流弁機構を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第2の態様の火薬類取扱設備ユニットは、導電性部材を用いた骨組み部と、骨組み部の上部に、導電性の屋根部材で骨組み部の外側を形成すると共に、非導電性の天井部材で骨組み部の内側を形成する屋根部と、骨組み部のいずれかの1つの側面に、導電性の外側部材と非導電性の内側部材で形成された、開閉可能な扉部と、骨組み部の残りの側面に、導電性の外壁部材で骨組み部の外側を形成すると共に、非導電性の内壁部材で骨組み部の内側を形成する壁部と、骨組み部の下部に、導電性の床下部材を固定し、床下部材の上面に、静電気の帯電防止機能を発揮させる床部材を取り付けて形成した床部とを備え、床部材が非導電性の部材で形成され、床部材の上面の全部又は一部に対して取り付け可能な帯電防止部材が設けられており、帯電防止部材のアース線が骨組み部と接続可能であり、帯電防止部材は骨組み部を通じて接地することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、火薬類取締法の技術基準を考慮した上で、作業者の安全性を向上させ、これまでよりも盗難防止力を高め、異常気象にも配慮した火薬類取扱設備ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る火薬類取扱設備ユニットの正面図である。
【
図2】実施形態に係る火薬類取扱設備ユニットの側面図である。
【
図3】実施形態に係る火薬類取扱設備ユニットの平面図である。
【
図4】実施形態に係る火薬類取扱設備ユニットの断面図である。
【
図5】実施形態に係る火薬類取扱設備ユニットを支持する土台部を示す拡大図である。
【
図6】実施形態に係る土台部の高さ調整機構を説明する説明図である。
【
図7】実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す構成図である。
【
図8】実施形態に係るアース線の配設を説明する説明図である。
【
図9】実施形態に係る火薬類取扱設備ユニットと空調設備とを接続する通風管に設けられる逆流弁機構の構成を例示する構成図である。
【
図10】実施形態に係る火薬類管理に係る設備の全体的な構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る火薬類取扱設備ユニットの実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(A-1)実施形態の構成
(A-1-1)全体構成
図10は、この実施形態に係る火薬類管理に係る設備の全体的な構成を説明する説明図である。
【0018】
図10において、この実施形態に係る火薬類管理に係る設備10は、概ね、火薬庫1-1、火薬類取扱所1-2、火工所1-3を設けられる。
【0019】
火薬庫1-1は、火薬類を貯蔵する保管庫である。作業者は、火薬庫1-1に火薬類を貯蔵すると共に、貯蔵している火薬類の種類及び数量、目的などを管理する。そのため、火薬庫1-1は、火薬類を貯蔵する保管庫としての役割と共に、作業者が火薬類を管理する拠点としての役割を有している。火薬庫1-1は、消費場所に設けられる火薬類取扱所1-2及び火工所1-3から、所定の距離以上離れた場所に設置される。
【0020】
火薬類取扱所1-2は、火薬類の消費場所に設置され、作業者が、火薬類の管理をしたり、火工所1-3で行なわなければいけない発破準備以外の準備をしたりする建物又は場所である。この実施形態では、消費場所に設置される建物を、火薬類取扱所1-2という。火薬類取扱所1-2の内部で、万が一、火薬類が爆発等した場合に、その被害を抑制するため、火薬類取扱所1-2に持ち込める火薬類の種類や量は限定されている。例えば、火薬類取締法では、消費場所に設置される火薬類取扱所1-2は1箇所とすると定められている。また、火薬類取扱所1-2で作業者が1日に取り扱うことができる火薬類の量等も定められている。したがって、火薬類取扱所1-2で作業者が火薬類を取り扱うときには、火薬庫1-1から1日に取り扱うことができる量の火薬類を、火薬類取扱所1-2に運搬して管理する。また、作業者が全ての火薬類の量を消費せず、火薬類が残った場合、作業者は、その残った火薬量を火薬庫1-1に運搬して火薬庫1-1に貯蔵する。
【0021】
火工所1-3は、火薬類の消費場所に設置され、作業者が、薬包への雷管の取り付けや、雷管を取り付けた薬包(いわゆる親ダイとも呼ばれている。)を取り扱う建物又は場所である。この実施形態では、消費場所に設置される建物を、火工所1-3という。1日で取り扱う火薬類が少量等のときには、作業者は火薬庫1-1から火工所1-3に火薬類を運搬して作業し、又火薬類取扱所1-2を設置したときには、作業者は、火薬類取扱所1-2から火工所1-3に火薬類を運搬して作業する。
【0022】
火薬庫1-1、火薬類取扱所1-2、火工所1-3のそれぞれの周囲には、関係者以外の者の侵入防止のために外柵5が設けられている。
【0023】
外柵5は、例えばステンレスに溶融亜鉛めっき仕上げを施した部材で形成された鋼製外柵を適用することができる。また、外柵5は、火薬庫1-1、火薬類取扱所1-2、火工所1-3のそれぞれの四方を囲むように設けられている。外柵5のフェンス部は、風圧を抑圧するために、例えばメッシュ状となっているものを用いることができる。外柵5には、作業者が出入りするための扉体(図示しない)が設けられている。外柵5の扉体は、火薬庫1-1、火薬類取扱所1-2、火工所1-3のそれぞれに設けられている扉体と対向する側に設けられていることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0024】
(A-1-2)火薬類取扱設備ユニットの構成
次に、この実施形態に係る火薬庫1-1、火薬類取扱所1-2、火工所1-3の構成を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
火薬庫1-1、火薬類取扱所1-2、火工所1-3に係る建物の構造は、基本的には、同様の構造を適用することができる。したがって、ここでは、火薬庫1-1、火薬類取扱所1-2、火工所1-3に係る建物をまとめて「火薬類取扱設備ユニット1」と表現して説明する。
【0026】
図1は、この実施形態に係る火薬類取扱設備ユニット10の正面図であり、
図2は、火薬類取扱設備ユニット1の側面図であり、
図3は、火薬類取扱設備ユニット1の平面図であり、
図4は、この実施形態に係る火薬類取扱設備ユニット1の断面図である。
【0027】
火薬類取扱設備ユニット1は、箱形の構造体であり、土台、柱、梁からなる骨組み部11と、四方に配置される複数の壁部12と、骨組み部11の柱の上方に配置される屋根部13と、骨組み部11の下方に配置される床部14を有する。
【0028】
また、火薬類取扱設備ユニット1は、四方の壁部12のうち1つの壁(正面壁)に扉部15を有しており、扉部15の上方にはロールスクリーン19を有している。さらに、火薬類取扱設備ユニット1の側面壁の側に、窓16、通風管口17、床下換気口18A、天井換気口18Bを有している。なお、窓16、通風管口17、床下換気口18A、天井換気口18Bの設置位置は、
図1に限定されるものではない。
【0029】
火薬類取扱設備ユニット1の内側(室内)は、静電気が発生して火薬類が爆発することを防止するため、鉄類が露出しないように形成されている。また、火薬類取扱設備ユニット1の外側は、火薬類が爆発したときに、その被害を抑えるために鉄板等で形成されており、又静電気が発生しないようにするため、ボルト等の鉄類の突起部が出ないように形成されている。
【0030】
火薬類取扱設備ユニット1は、外柵5の外側に配置された空調設備3と通風管(ダクト)31を通じて接続可能なものである。空調設備3は、圧縮機、凝縮器、蒸発器等を有して構成されるものであり、熱交換により得られた温風又は冷風を、通風管31を通じて、火薬類取扱設備ユニット1の内部に通風するものである。
【0031】
[基礎土台9]
火薬類取扱設備ユニット1を設置する場所では、その土壌に、例えばコンクリート等により基礎土台(コンクリートベース)9が形成される。基礎土台9の成形時には、基礎土台9の上面がフラットになるように成形される。火薬類取扱設備ユニット1は、基礎土台9の上面に設置される。なお、基礎土台9は、火薬類取扱設備ユニット1の荷重を支持できるのであれば、布基礎又はベタ基礎としてもよい。
【0032】
[骨組み部11、土台部111]
骨組み部11は、火薬類取扱設備ユニット1の土台、柱、梁等となるフレーム部分である。骨組み部11は、例えば軽量鉄骨部材をボルトやビス等の固定部材を用いて固定して形成される。
【0033】
図5は、この実施形態に係る火薬類取扱設備ユニット1を支持する土台部111を示す拡大図である。
【0034】
土台部111は、火薬類取扱設備ユニット1の下部の各角部分に設けられている。土台部111は、基礎土台9に対して火薬類取扱設備ユニット1の位置を底上げする土台柱としての役割がある。土台部111の高さは、火薬類取扱設備ユニット1を建設する環境に応じて適宜決定することができるが、例えば100mm~200mm程度とすることができる。
【0035】
ここで、この実施形態では、土台部111の高さが150mm程度である場合を例示する。その理由は、火薬類取扱設備ユニット1を車両の荷台に積んで現場まで運搬する際に、多くのトンネルを通ることになるが、土台部111の高さが高くなりすぎると、トンネルの高さ制限により通過することが難しくない可能性がある。例えば、道路法等で車両高さが3800mm以下と決められていることから、車両の荷台の高さと、土台部111を設けた火薬類取扱設備ユニット1の底上げしたときの高さとを考慮すると、土台部111の高さは150mm程度以下が望ましい。したがって、この実施形態では、土台部111の高さを150mm程度する場合を例示する。勿論、土台部111の高さはこれに限定されるものではない。また、例えば100mm、150mm、200mmm等のように高さの異なる土台部111を用意しておき、現場環境に応じて、火薬類取扱設備ユニット1の下部に固定する土台部111の種類を決定するようにしてもよい。
【0036】
土台部111は、平面視で四角形の柱部材を用いることができる。なお、この実施形態では、土台部111の形状が四角形の柱部材である場合を例示するが、これに限定されるものではなく、例えば、丸形状、L字形状、中空の四角形等としてもよい。また、土台部111は、骨組み部11の柱部材(例えばL字部材)に対して、例えばボルトやビス等の固定部材で固定されている。
【0037】
火薬類取扱設備ユニット1の下部に設けられた土台部111の下面には、基礎土台9に対して固定するためのプレート113が設けられている。土台部111のプレート113は、土台部111よりもサイズが大きい板状の金属部材である。プレート113の端部には、アンカ等の固定部材112を挿通するための挿通孔が設けられている。したがって、プレート113の挿通孔を通じてアンカ等の固定部材112を基礎土台9に固定することで、土台部111を固定することができる。
【0038】
土台部111は、火薬類取扱設備ユニット1の高さを底上げする役割があるので、火薬類取扱設備ユニット1の床部14の底面と、基礎土台9との間には空間2が形成される。
【0039】
このように、火薬類取扱設備ユニット1の底面と、基礎土台9との間に空間2が形成されることにより、風通しが良好となるので、火薬類取扱設備ユニット1の室内の湿気を防止することができる。その結果、火薬類や雷管の腐食(若しくは火薬類の不発等)を防止することができる。また例えば、集中豪雨等のように激しい雨の影響で冠水や土砂が流れ込んでくることも考えられるが、火薬類取扱設備ユニット1の高さを底上げすることで、冠水や土砂等による被害を回避することができる。更に、火薬類取扱設備ユニット1を基礎土台9に設置する際に、従来は、重機で火薬類取扱設備ユニット1を持ち上げていたが、火薬類取扱設備ユニット1を底上げして空間2を設けることにより、フォークリフト等での作業が可能となる。
【0040】
[土台部111の高さ調整機構]
図6は、この実施形態に係る土台部111の高さ調整機構を説明する説明図である。
【0041】
火薬類取扱設備ユニット1の下部に固定する土台部111の高さは決まっているが、現場の環境に応じて、火薬類取扱設備ユニット1の底上げ高さを調整することが望まれることがある。そのような場合に、
図6に例示するように、火薬類取扱設備ユニット1の下部に固定される土台部111の下部に、高さ調整部材115を結合することで、火薬類取扱設備ユニット1の底上げ高さを調整するようにしてもよい。
【0042】
例えば、
図6に例示するように、高さ調整部材115の上面には、土台部111のプレート113を支持するプレート115Aが設けられている。また高さ調整部材115の下面には、基礎土台9に対して固定されるプレート115Bが設けられている。土台部111のプレート113と、高さ調整部材115のプレート115Aとには、ボルトやビス等の固定部材116を挿通するための複数の挿通孔が設けられている。また、高さ調整部材115のプレート115Bには、基礎土台9に対して固定するアンカ等の固定部材を挿通する挿通孔がある。
【0043】
したがって、土台部111と高さ調整部材115とを結合する際には、例えば、土台部111のプレート113の挿通孔と、高さ調整部材115のプレート115Aの挿通孔の位置合わせをして、各挿通孔に固定部材116を挿通して固定する。さらに、土台部111に結合された高さ調整部材115のプレート115Bの挿通孔にアンカ等の固定部材を挿通して、基礎土台9に固定する。これにより、火薬類取扱設備ユニット1の底上げ高さを調整することができる。
【0044】
高さ調整部材115の高さは、特に限定されるものではない。例えば、50mm、100mm、200mm等のように、様々な高さの高さ調整部材115を用意しておき、現場環境に応じてどの程度の底上げ高さにするかによって、選択するようにしてもよい。
【0045】
なお、この実施形態では、土台部111に高さ調整部材115を連結させることで、火薬類取扱設備ユニット1の底上げをする場合を例示したが、火薬類取扱設備ユニット1の底上げ方法は、これに限定されるものではない。例えば、土台部111の外側又は内側にスライド式の部材が設けられ、土台部111の外側又は内側の部材をスライドさせることで、火薬類取扱設備ユニット1の底上げをするようにしてもよい。
【0046】
さらに、この実施形態では、火薬類取扱設備ユニット1の底上げ高さを調整することができるが、そうすると、出入口である扉部15の位置も高くなり、作業員の出入りが難しくなる。そこで、火薬類取扱設備ユニット1の下面に、スライド式又は折り畳み式の、階段若しくはスロープを設けるようにしてもよい。
【0047】
[壁部12]
各壁部12の外壁は、例えば鉄板パネルで形成されており、骨組み部11に対して鉄板パネルをボルトやナット等で固定される。また、各壁部12の外壁121の内側には、断熱材又は断熱板等の断熱部材122が張り付けられている。これにより、断熱効果を得ることができる。さらに、各壁部12の内壁123は、木質板が張り付けられている。これは、火薬類取扱設備ユニット1内で、作業者が火薬類を取り扱う際に、静電気が発生し、火薬類の爆発を防止するためである。このように、静電気対策のために、火薬類取扱設備ユニット1の室内の内壁、床等には鉄類が露出しないようにしている。
【0048】
各壁部12の外壁121の表面には、遮熱塗料(高日射反射率塗料)が塗布されている。例えば、夏期に、直接日光が火薬類取扱設備ユニット1の外側表面に降り注ぐことにより、壁部12の外壁121の表面温度が高くなり、室内温度も高くなることがある。従来、火薬類は爆発の可能性があるため、エアコン等の電気設備の設置に制限があり(例えば、火薬類取締法では建物内に電気設備を設けることを禁止している。)、作業者は高い温度の室内で作業をしている。これに対して、この実施形態のように、壁部12の外壁121の表面に遮熱塗料が塗布されているものを用いることにより、直射日光を高効率で反射することができ、室内温度の高温化を低減できる。その結果、室内で作業する作業者の作業環境を良好にすることができる。なお、屋根部13の表面にも、遮熱塗料を塗布するようにしてもよい。
【0049】
[扉部15、錠152a及び152b]
扉部15は、作業員が室内に出入りするための開閉体である。扉部15の外側は、例えば鉄板パネル等で形成されており、又扉部15の内側は、例えば木質パネル等で形成されている。扉部15は、骨組み部11に対して、例えば複数の丁番で開閉可能に取り付けられる。また、扉部15には、取っ手部151、複数(この実施形態では2個)の錠152a及び152bを有する。
【0050】
従来の火薬類取扱設備ユニットの扉部には、一般的に、いわゆる佐賀錠(佐賀式防犯錠)と呼ばれる錠前が用いられている。佐賀錠は、一昔前の倉庫や蔵等に使用されている錠前である。
【0051】
火薬類取扱設備ユニット1は火薬類を取り扱う場所であると共に、火薬類を貯蔵する場所でもあるので、関係者以外のものの侵入を強固に防止する必要がある。そこで、この実施形態では、2個のシリンダ錠152a及び152bを扉部15に設けている。これにより、この実施形態は次のような効果を奏する。例えば、従来の佐賀錠は、重量があり、かつ取扱いが難しいが、シリンダ錠152a及び152bは、佐賀錠に比べて重量が軽く、かつ、取扱いが容易となる。また、伝統的な佐賀錠を開閉するための鍵はスペアキーの作成が難しく、万が一、鍵を紛失した場合には、錠の開閉ができず、対応が難しくなるが、シリンダ錠152a及び152bとすることにより、スペアキーの作成が比較的容易であり、鍵の管理もしやすくなる。
【0052】
[屋根部13、ロールスクリーン19]
屋根部13は、骨組み部11の柱などに対して、垂木131や野地板132を固定して、屋根部13の骨組みを形成している。そして、屋根部13の上方部分及び周囲の部分(すなわち、屋根部13の外側)には鉄板133が張られる。また、屋根部13の下方には木質板状の天井部134が張られて、室内の天井が形成される。
【0053】
ここで、屋根部13の正面部分であって、扉部15の上方に当たる位置には、ロールスクリーン19が外付けされている。
【0054】
図7は、この実施形態に係るロールスクリーン19の構成を示す構成図である。
図7に示すように、ロールスクリーン19は、外枠191と、スクリーン192と、スクリーン192の先端部に設けられているウェイトバー193と、上記外枠191の内部に設けられて上記スクリーン192の巻き出しや巻き戻しする巻取部190と、上記ウェイトバー193に設けられている1又は複数のフック部194を有する。なお、
図7では、2個のフック部194が設けられている場合を例示している。
【0055】
ロールスクリーン19の外枠191は、屋根部13の表面に対して固定部材や支持部材等により固定される。また、ロールスクリーン19のスクリーン192を巻き出し又は巻き戻し方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ウェイトバー193の操作コード(プルコード)を引いたり又は放したりしてスクリーン192を動かすプルコード式、巻取部190の左右いずれかの端部に設けられたチェーンを操作することでスクリーン192を動かすチェーン式等を広く適用することができる。
【0056】
フック部194は、スクリーン192が引き出されたときに、外柵5の被固定部51に固定するものである。フック部194は、例えば、金属製若しくは合成樹脂製の固定部材としてもよいし、固定ベルト等としてもよい。
【0057】
スクリーン192は、日光の反射率の高い遮光性、防水性を有するものが好ましい。したがって、スクリーン192の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、例えばポリ塩化ビニルやポリエステル等のような合成樹脂製のものとすることが好ましい。
【0058】
従来の火薬類取扱設備ユニットは、扉部の上部に、例えば木製の骨組みに対して金属板で覆った軒を設けていることが一般的である。この軒は、あらかじめ火薬類取扱設備ユニットの壁部又は屋根部に固定的に設けられており、軒の張り出し長はおおむね450mm~500mm程度である。そのため、従来の火薬類取扱設備ユニットを車両で現場まで運搬する際に、軒の張り出しが邪魔となってしまうことがあった。また、現場で火薬類取扱設備ユニットを建てる際に、軒の重量が重いため、火薬類取扱設備ユニットのバランスを保持することが難しく、火薬類取扱設備ユニットの建設作業が難しいという問題もあった。これに対して、この実施形態のように、火薬類取扱設備ユニット1にロールスクリーン19を設けることにより、張り出し長を抑えることができるので、火薬類取扱設備ユニット1の運搬を容易にすることができる。また、ロールスクリーン19の重量は比較的軽いので、火薬類取扱設備ユニット1を現場で建てる際に、火薬類取扱設備ユニット1のバランスを保ちながら建設作業が可能となり、従来に比べて作業効率が良好となる。
【0059】
また、この実施形態のように、ロールスクリーン19からスクリーン192を引き出して、スクリーン192の先端部にあるウェイトバー193のフック部194を外柵5に固定することにより、直射日光を遮断することができる。そのため、例えば夏期の日差しが強い日でも、扉部15付近の温度を抑えることができ、その結果、室内温度を抑え、作業環境を良好とすることができる。
【0060】
さらに、従来の火薬類取扱設備ユニットには、450mm~500mm程度の張り出し長の軒が設けられているが、降雨時には、火薬類取扱設備ユニットに出入りする作業員が持つ火薬類が雨に濡れてしまうことがあった。そこで、この実施形態のように、ロールスクリーン19からスクリーン192を引き出して、ウェイトバー193のフック部194を外柵5の被固定部51に固定することにより、出入口である扉部15と外柵5との間(約1m~数m程度)をスクリーン192で覆うことができるので、出入りする作業員が持つ火薬類が雨で濡れてしまうことを防止できる。
【0061】
なお、この実施形態では、扉部15の上部にロールスクリーン19を設ける場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、火薬類取扱設備ユニット1の周囲に設けられる外柵5であって、扉部15と対向する位置に、ロールスクリーン19を設けるようにしてもよい。この場合、外柵5に設けられたロールスクリーン19を巻き出したときに、扉部15のいずれかの箇所に、スクリーン192のフック部194を引っかけるようにしてもよい。
【0062】
[床部14]
床部14は、骨組み部11の下方に配置される部分であり、骨組み部11の下部に、例えば鉄板パネル等の導電性の床下部材を張り付け、その床下部材の上面に、例えば木製ボード等も床部材を取り付けて形成される。
【0063】
火薬類取扱設備ユニット1の室内では、静電気の発生を抑制するため、床部14の材質は木製部材としなければならない。しかし、床部14の材質を木製部材としても、室内で作業者が薬包に雷管を取り付けるなどの作業を行うと、静電気が発生し、床部14の部材に帯電してしまう可能性がある。
【0064】
そこで、この実施形態では、床部14の表面の全部又は一部に帯電防止設備(静電気防止対策設備)を施すようにする。
【0065】
例えば、床部14の全部又は一部の部材として、静電気の帯電防止機能を有する帯電防止床材を用いて形成するようにしてもよい。また例えば、床部14の部材の全部又は一部の領域に、静電気の帯電防止塗料を塗布するようにしてもよい。このように、床部14の全部又は一部に、静電気の帯電防止設備を施すことにより、従来よりも有効に静電気の帯電を防止することができる。
【0066】
また例えば、床部14の表面の全部又は一部に、静電気の帯電防止用のシート部材(帯電防止シート部材)を覆うようにしてもよい。このような帯電防止シート部材は、床部14の表面に対して設置又は取り外し可能なものである。火薬類取締法では、火薬類取扱所や火工所等の構造に関して厳しい技術基準が規定されていることから、静電気の帯電防止対策を十分に取れないことも想定される。しかし、帯電防止シート部材を用いることで、火薬類取扱設備ユニット1の室内の静電気の帯電を有効に防止することができる。
【0067】
図8は、この実施形態に係るアース線の配設を説明する説明図である。
【0068】
例えば、火薬類取扱設備ユニット1の室内では、机61と椅子62が配備され、作業者が椅子62に座った状態で、机61の上で、薬包に雷管を取り付けるなどの作業を行う。
図8では、室内において机61と椅子62が配備される床部14の一部領域に、帯電防止シート部材142を覆う場合を例示している。
【0069】
図8に示すように、床部14のいずれかの1又は複数の箇所には、帯電防止シート部材142のアース線143と接続する若しくはアース線143を骨組み部11と接続させるための接続部141が設けられている。
【0070】
火薬類取扱設備ユニット1は、火薬類が爆発したときに、その被害を抑えるために、外壁等は鉄板が使用され、また骨組み部11も導電性を有する部材で形成されている。つまり、火薬類取扱設備ユニット1のフレーム部材及び外壁部材が導電性を有する部材で形成されており接地している。したがって、帯電防止シート部材142のアース線143が、接続部141を通じて骨組み部11と接続させることで、帯電している電気が導電性を有する部材に流れて接地することができる。
【0071】
また、アース線143を骨組み部11と接続させる接続部141は、例えば、非導電性の開閉部材で覆われたアース端子であってもよいし、また例えば、導電性を有するゴム部材で形成されたものであってもよい。さらに、床部14に設けられた接続部141を、帯電防止シート部材142で覆うようにしてもよい。いずれにしても、火薬取締法では火薬類取扱設備ユニット1の内部(室内)に鉄類を露出させてはいけないので、接続部141は鉄類以外の部材で形成されたものとしたり、帯電防止シート部材142で覆ったりする。
【0072】
[空調設備3]
火薬類取扱設備ユニット1の壁部12には、通風管口17が設けられており、空調設備3の通風管31が通風管口17に接続されて、温風又は冷風が火薬類取扱設備ユニット1の室内に排出される。
【0073】
従来の火薬類取扱設備ユニット1は、火薬類の爆発又は発火を防止するため、空調設備に関しては規制が設けられており、外柵5の外側に配置することを条件に暖房設備のみが配備できるとしている。
【0074】
しかし、近年の温暖化に伴い、夏期の高温化傾向が進行しており、暖房設備だけでは十分な作業環境を提供することができない。また火薬類のダイナマイトの融点は60℃程度であるため、夏期の高温化の下では、火薬類取扱設備ユニット1の室内温度が高くなってしまい、ダイナマイト等の火薬類が溶解してしまうおそれがある。
【0075】
そこで、この実施形態では、火薬類取扱設備ユニット1の室内に、温風だけでなく、冷風も通風することができるようにするため、空調設備3を配備できるようにする。
【0076】
空調設備3は、火薬類の爆発又は発火を防止するため、外柵5の外側に配置されている。空調設備3は、例えば、圧縮機、凝縮器、蒸発器、コントローラ等が一体となったものである。したがって、空調設備3を操作する際、作業者は、外柵5の外側に設けられている空調設備3のコントローラを操作して、熱交換機能を操作する。
【0077】
図9は、この実施形態に係る火薬類取扱設備ユニット1と空調設備3とを接続する通風管31に設けられる逆流弁機構の構成を例示する構成図である。
【0078】
図9に示すように、通風管31に設けられる逆流弁機構40は、回転軸41、弁体42、弁座43、広径部44を有する。
【0079】
逆流弁機構40は、空調設備3側において何らの原因により爆発等が生じたときに、火薬類取扱設備ユニット1側への爆風の流入を防止するものである。逆流弁機構40は、通風管31と接続可能な管構造で形成されている。逆流弁機構40は、空調設備3側の通風管31と結合する第1のフランジ45と、火薬類取扱設備ユニット1側の通風管31と結合する第2のフランジ46とを有しており、火薬類取扱設備ユニット1と空調設備3との間の通風管31に取り付け可能である。
【0080】
回転軸41は、逆流弁機構40の内部上面に設けられ、弁体42の上部を回転可能に支持するものである。
【0081】
弁体42の上部は、回転軸41に回転可能に支持されている。通常時の弁体42は、その上部を回転軸41に支持されて、自重により略垂直方向の姿勢を維持している(
図9の実線参照)。
【0082】
一方、空調設備3側で爆発等が生じた場合、弁体42は、空調設備3から火薬類取扱設備ユニット1に向けて流れる爆風の圧力(風圧)により、回転軸41を中心にして第2のフランジ46側に移動し、第2のフランジ46の管口を塞ぐ(
図9の点線参照)。弁体42が第2のフランジ46側に移動したのち、弁体42が元の状態に戻ることを防止するため、弁体42の下端部は、弁座43に支持される。これにより、弁体42が元の状態に戻ることを防いでいる。
【0083】
なお、弁体42は、第2のフランジ46の管口の径と同程度の径を持つ、円形部材である。弁体42の材質は、特に限定されないが、例えば金属製部材とすることができる。
【0084】
弁座43は、第2のフランジ46側に移動した弁体42の下端部を支持するものである。広径部44は、通風管31の内径よりも大きい径を持つ部分である。広径部44の上部には弁体42が位置しており、空調設備3側から流れる流体は、弁体42の下部を通じて、火薬類取扱設備ユニット1側に流れる。
【0085】
上述したように、火薬類取扱設備ユニット1と空調設備3との間の通風管31に逆流弁機構40が設けられることにより、空調設備3側で爆発等があった場合に、火薬類取扱設備ユニット1への被害を抑圧することができる。
【0086】
(A-2)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、火薬類取扱設備ユニットの床部が静電気の帯電防止機能を有することにより、室内での作業により生じ得る静電気の帯電を防止することができ、火薬類の爆発や発火等を防止できる。また、床部の帯電防止機能として、床部に対して脱着可能な帯電防止シート部材を用いることにより、柔軟かつ効果的に静電気の帯電を防止できる。さらに、導電性部材の骨組み部と接続する非導電性の接続部を床部に設けることにより、床部に帯電した電気を、骨組み部を通じて接地させることができる。
【0087】
この実施形態によれば、火薬類取扱設備ユニットの扉部の錠をシリンダ錠にすることにより、火薬類の盗難を効果的に防止でき、又作業者による錠の取り扱いを良好にすることができる。
【0088】
この実施形態によれば、火薬類取扱設備ユニットの下部に土台部を設けることにより、基礎土台に対して火薬類取扱設備ユニットを底上げすることができるので、フォークリフトを用いた火薬類取扱設備ユニットの設置を容易にすると共に、冠水や土砂の流れ込みを防止することができる。さらに、湿気による火薬類や雷管の腐食も防止することができる。
【0089】
さらに、火薬類取扱設備ユニットの高さを調整する高さ調整機構を備えることにより、火薬類取扱設備ユニットを設置する現場環境に応じて、火薬類取扱設備ユニットの高さを柔軟に調整することができる。
【0090】
この実施形態によれば、火薬類取扱設備ユニットの扉部の錠に、ロールスクリーンを設けることにより、作業員が火薬類取扱設備ユニットに火薬類を持ち込むときなどに、火薬類が雨に濡れてしまい、火薬類の不発を防止できる。また、遮熱性を有するロールスクリーンとすることで、火薬類取扱設備ユニットの室内温度を効果的に下げることができる。
【0091】
この実施形態によれば、温風又は冷風を火薬類取扱設備ユニットに流す空調設備を設けることにより、火薬類取扱設備ユニットの室内温度を適切に調整することができる。さらに、通風管に逆流弁機構を設けることにより、空調設備側で爆発があった場合に、火薬類取扱設備ユニットへの流出を防止することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…火薬類取扱設備ユニット、1-1…火薬庫、1-2…火薬類取扱所、1-3…火工所、
11…骨組み部、111…土台部、112…固定部材、113…プレート、115…高さ調整部材、115A…プレート、116…固定部材、
12…壁部、13…屋根部、14…床部、141…接続部、142…帯電防止シート部材、143…アース線、
15…扉部、152(152a、152b)…シリンダ錠、
19…ロールスクリーン、190…巻取部、191…外枠、192…スクリーン、193…ウェイトバー、194…フック部、
17…通風管口、3…空調設備、31…通風管、40…逆流弁機構、41…回転軸、42…弁体、43…弁座、44…広径部、45…第1のフランジ、46…第2のフランジ、9…基礎土台。