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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】多層液晶位相変調器
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/18 20060101AFI20220311BHJP
   H01Q 3/36 20060101ALI20220311BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
H01P1/18
H01Q3/36
H01Q21/06
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020524383
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018058266
(87)【国際公開番号】W WO2019089634
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】62/579,053
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518321174
【氏名又は名称】ウェハー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WAFER LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ハジザ,デディ ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】ハリシュ,エリヤフ
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0278744(US,A1)
【文献】米国特許第06335699(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/18
H01Q 3/34
H01Q 13/08
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFコネクタと
可変誘電率(VDC)層と、
前記VDC層上に設けられた複数の放射パッチと、
前記複数の放射パッチの対応する1つにそれぞれが接続された複数の遅延線と、
前記遅延線の1つの下にそれぞれが位置合わせされて終端し、それぞれが前記RFコネクタに結合された複数の信号線と、
それぞれが前記信号線の1つと対応する複数の制御線と、
接地面と、
を備えるアンテナであって、
前記接地面が、複数の窓を備え、当該それぞれの窓は、前記遅延線の1つと、前記信号線の対応する1つとの間において見通せる直線上に位置合わせされ、
前記VDC層が、相互の上部に積み重ねられた複数のVDCサブ層を備え、
れぞれの信号線が、RFエネルギーを、前記接地面の窓を介して前記遅延線の1つに結合するアンテナ。
【請求項2】
前記複数のVDCサブ層のそれぞれが、底部膜と、上部膜と、前記底部膜と前記上部膜との間に分散された液晶(LC)とを含む請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記底部膜に設けられた底部LC配向層と、前記上部膜に設けられた上部LC配向層とをさらに含む請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記底部膜と前記上部膜との間に設けられた複数のスペーサをさらに含む請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記信号線が、前記VDC層の上方に設けられ、前記接地面が、前記VDC層の下に設けられた請求項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記遅延線のそれぞれが、前記複数の制御線の対応する1つに接続された請求項1に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記複数のVDCサブ層は、
底部膜と、
上部膜と、
前記底部膜と前記上部膜との間に設けられた少なくとも1つの区分膜と、
前記底部膜と、前記上部膜と、少なくとも1つの区分膜との間に分散された液晶と、
を含む請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記底部膜に設けられた底部配向層と、
前記上部膜に設けられた上部配向層と、
前記少なくとも1つの区分膜のそれぞれの両面に設けられた中間配向層と、
をさらに含む請求項7に記載のアンテナ。
【請求項9】
さらに、複数の直交する信号線であって、それぞれが前記遅延線の1つの下に前記複数の信号線の1つと直交方向に位置合わせされて終端する、複数の直交する信号線を備える請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
第2の接地面をさらに備える請求項9に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記第2の接地面は、複数の窓であって、それぞれが前記遅延線の1つと、前記直交する信号線の対応する1つとの間において見通せる直線上に位置合わせされた複数の窓を備える請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記直交する信号線の1つとそれぞれが対応する複数の第2の制御線をさらに備える請求項9に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記複数の信号線と前記複数の直交する信号線との間に配置された第2のVDC層をさらに備える請求項9に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記複数の制御線が、前記複数の液晶サブ層の間に分布され、制御信号を前記液晶サブ層のそれぞれに印加するように構成された請求項1に記載のアンテナ。
【請求項15】
誘電体プレートと、
前記誘電体プレートに設けられた複数の放射パッチと、
記複数の放射パッチの対応する1つにそれぞれが接続され、前記複数の放射パッチの1つにRFエネルギーを結合する複数の遅延線と、
複数の窓を有する接地面であって、前記遅延線のそれぞれが前記複数の窓の1つと位置合わせされた接地面と、
少なくとも1つの信号線であって、それぞれの信号線が、RF信号を1つの遅延線に前記窓の1つを通じて容量結合させるように構成された少なくとも1つの信号線と、
前記複数の遅延線と前記接地面との間に設けられた可変誘電率(VDC)層であって、上部誘電体膜と、底部誘電体膜と、前記上部誘電体膜と前記底部誘電体膜との間に設けられた少なくとも1つの中間誘電体膜と、前記上部誘電体膜と前記底部誘電体膜と少なくとも1つの中間誘電体膜との間に設けられたVDC材料と、を含む可変誘電率(VDC)層と、
備えるアンテナ。
【請求項16】
前記底部誘電体膜に設けられた底部配向層と、
前記上部誘電体膜に設けられた上部配向層と、
前記少なくとも1つの中間誘電体膜のそれぞれの両面に設けられた中間配向層と、
をさらに含む請求項15に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記信号線の1つにそれぞれが対応する複数の制御線をさらに含む請求項16に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの信号線の下に配置された複数の第2の信号線と、第2の接地面と、をさらに含む請求項16に記載のアンテナ。
【請求項19】
前記底部誘電体膜に設けられた底部VDC電極と、
前記上部誘電体膜に設けられた上部VDC電極と、
複数の制御線であって、少なくとも1つの制御線が前記上部VDC電極に電位を印加し、少なくとも1つの制御線が前記底部VDC電極に電位を印加し、少なくとも1つの制御線が前記中間誘電体膜に電位を印加しする複数の制御線と、
をさらに含む請求項15に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2017年10月30日出願の米国仮出願第62/579,053号の優先権を主張し、その開示のすべてが参照により本明細書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概ね、液晶位相変調器及びアンテナデバイスに関し、さらに詳細には、多層液晶を使用して、アンテナ等のRFデバイスの電気的特性を制御することに関する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術]
近年、無線通信システム関連の応用が、種々の分野において増加しつつある。今後の応用には、多帯域及び広帯域に適応するアンテナを使用する必要がある。位相変調器、特にアンテナは、薄型、軽量、低コストで、マイクロ波デバイス等と一体化しやすいものとすべきである。機械式に回転する大型のパラボラアンテナを含む、現在のアンテナ設計とは異なって、アンテナを次世代通信ハードウェアに組み込むためには、全方向性放射パターンと、広帯域幅と、安定した利得とを有する小型アンテナが好ましい。可変誘電率材料、特に液晶(LC)を用いることが、これまでの研究において提案されてきた。このようなアンテナは、かけられた電場の力と方向とによって、走査用のRFビームを生成し、この電場の力と方向とは、ソフトウェアにより制御可能である。このように、焦点面走査アンテナ、すなわち一般に移相器によって、機械的に動く部品を使用することなく、薄型及び小型に維持することが可能である。例えば、米国特許第7,466,269号明細書、米国特許出願公開第2014/0266897号明細書、米国特許出願公開第2018/0062268号明細書、及び米国特許出願公開第2018/0062238号明細書を参照のこと。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作動デバイスの波長がマイクロ波の範囲内である応用については、必要とされるアクティブ層の厚さ、すなわち、(液晶等の)可変誘電性材料の厚さを、かなり厚く、50~200μm、200~500μm、1000μm、数ミリメートルにまでする必要がある。さらに、アンテナ/移相器デバイスの応答時間(τon、τoff)は、パケットベースのビーム形成をサポートするのに適切なものとする必要がある。迅速に移動する1つの標的を追跡する、又はいくつかの移動体qの静止標的を同時に監視するのに必要とされる走査焦点面アレイアンテナ等の様々な応用では、応答時間を、さらに短く、例えば、1μs以下とすべきである。しかしながら、アクティブ層の厚さが増すと、システムの応答時間も長くなる。ネマチック液晶材料又は温度制御型強誘電体(oven ferroelectrics)ベースの移相器/アンテナデバイスでは、応答時間が、一般式τon∝rにより、アクティブ層の厚さ(r)と相関し、この一般式は、非常に厚いアクティブ層とともにデバイスを作動させても、システム要件により、極めて速い応答時間に達することは不可能ということを意味する。
【0005】
本開示の以下の発明の概要は、本発明のいくつかの態様及び特徴の基本を理解してもらうためにある。この発明の概要は、本発明の広範囲の概略ではなく、それ自体特に本発明の主要な又は重要な要素を特定すること、又は本発明の範囲を詳述することを意図しない。その唯一の目的は、以下に記載されるより詳細な説明の前置きとして簡易な形態で本発明のいくつかの概念を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の本発明の態様は、RFデバイス、例えばアンテナ又は移相器と、可変誘電率(VDC)材料層と、このようなデバイスの製造方法とを提供し、VDC層は、積み重ねられた複数のサブ層からなり、よって、特性とスイッチング時間とが改善される。
【0007】
本発明の別の態様は、薄膜又はマイクロ構造により区分された、液晶又は他の可変誘電性材料の複数の層を備えるアンテナ又はRFデバイスであって、当該デバイスは2つの配向層の間において液晶材料を一様配向させる(homogeneously aligns)RFデバイスと、このようなデバイスの製造方法とを提供することである。
【0008】
本発明の別の態様は、区分された複数のVDC膜の間に差動電圧を提供することであって、その目的は、アンテナデバイスの上部と底部との間に均一な電界を生成することであり、液晶の誘電率を効果的に変更することである。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、液晶分子を効果的に回転させるのに必要な所定の電圧を低くすることであって、これは、複数の薄いVDC層、5~10μm又は10~20μm、20~50μm、場合によっては50~500μmまでに、電圧をかけることにより行われる。
【0010】
本発明の別の態様は、実時間遅延デバイス用の中心的構成要素として実施される伝送線路の挿入ロスを劇的に減少させることである。VDC層全体の厚さが、そのロスを制御し、VDC層の高さが低いほど、ロスが低下する。
【0011】
包括的態様では、可変誘電率(VDC)層と、VDC層の上方に設けられた複数の放射パッチと、放射パッチの1つの下にそれぞれが位置合わせされて終端する複数の信号線と、信号線の1つとそれぞれが対応する複数の制御線と、接地面とを備えるアンテナであって、VDC層が、相互の上部に積み重ねられ、相互に薄い膜で区分された複数のサブ層を備えるアンテナを提供する。
【0012】
本発明の他の態様及び特徴は、以下の図面に関して行う詳細な説明から明らかとなるだろう。詳細な説明及び図面は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の種々の実施形態の種々の非限定的例をなすものであることを理解すべきである。
【0013】
本明細書に含まれるとともに本明細書の一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、詳細な説明とともに本発明の原理を説明し図示する役割を担う。図面は、概略的に、例示の実施形態の主な特徴を示すことを意図している。図面は、実際の実施形態のすべての特徴や示される要素の相対的寸法を示すことを意図するものではなく、正確な縮尺で描いていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、先行技術のデバイスの断面概略図である。
図1A図1Aは、複数のVDCサブ層を使用したアンテナの一実施形態の断面図である。
図1B図1Bは、2本の信号線がそれぞれの放射パッチに結合された一実施形態である。
図1C図1Cは、2本の信号線がそれぞれの放射パッチに結合された一実施形態の上面図である。
図1D図1Dは、2つのVDC層と2つの接地面とを有する一実施形態の断面である。
図1E図1Eは、2つのVDC層と2つの接地面とを有する一実施形態の上面図である。
図1F図1Fは、層の順番を変更した一実施形態の断面である。
図1G図1Gは、複数の放射パッチを有する一実施形態の断面を図示する。
図1H図1Hは、二次元アレイアンテナの一実施形態の断面を図示する。
図1I図1Iは、二次元アレイアンテナの一実施形態の上面図である。
図2図2は、本発明の実施形態による、複数のサブ層からなるVDCの断面を図示する。
図2A図2Aは、制御信号が、サブ層のそれぞれに、個別にかつ徐々に電圧を増すようにかけられる一実施形態を図示する。
図3図3は、VDC層を製造するための一実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照して本発明のRFデバイスの実施形態を説明する。様々な用途のために又は様々な利点を得るために、種々の実施形態又はそれらの組合せを使用することができる。本明細書に開示する種々の特徴は、得ようとする結果次第で、利点を要件や制約と両立させて、部分的に又はそのすべてを単独で又は他の特徴と組み合わせて使用することができる。ゆえに、特定の利点は種々の実施形態において強調されるが、開示の実施形態に限定されるわけではない。すなわち、本明細書に開示する特徴は、これらの特徴を記載した実施形態に限定されるものではなく、他の特徴と混合及び適合させ、他の実施形態に組み込むことができる。
【0016】
図1は、先行技術のRFデバイス、この例ではアンテナ100を図示する。アンテナ100は、一般に誘電体110に形成又は接着された銅パッチの形態である放射パッチ105を有する。図1は、単一の放射パッチを図示するが、一般に、アンテナは、放射パッチの二次元アレイを具えることになるため、図1には、アンテナの断面のみを図示しているものとみなしてよい。誘電体110は、例えば、ロジャーズの回路基板材料、ガラス、PET、テフロン(登録商標)等とし得る。接地面115を、誘電体110の底部とVDC層120との間に設けている。結合窓125を、接地面に形成し、RFエネルギーを放射パッチ105と信号線140との間において結合することに使用する。信号線は、出力ポート、例えば、同軸Fコネクタに結合される。よって、RF信号は、信号線140と放射パッチ105との間において容量結合され、これは、VDC層120により形成される介在する誘電体層を介して行われる。VDC層120は、上部誘電体層/膜122と、底部誘電体層/膜124と、スペーサ126と、スペーサの間に分散された液晶128とにより形成される。接地面115と、VDC層120と、信号線140とは、コンデンサを形成し、その特性は、VDC層120の誘電率の値に左右されることにも留意する。
【0017】
なお、VDC層は液晶を用いて形成されるので、省略表現として、層を、本明細書では液晶(LC)層又はサブ層とも呼ぶ場合もある。同様に、VDC材料に言及するとき、省略表現として、液晶という術語を使用する場合がある。
【0018】
図2は、図1に図示したVDC層120等、先行技術のVDC層を使用する任意のデバイスにおいて使用可能なVDC層220の多層構造全体の一実施形態を図示する。図2では、電力供給体201が上部電極202と底部電極207に電圧をかけている様子を図示するが、実際には、図示した構造は、本明細書に開示の他の実施形態に図示するように、RFデバイスの一部として形成されることになる。VDC層220全体は、積み重ねられた複数の薄いLCサブ層からなる。個別のVDCサブ層のそれぞれでは、スペーサ203が、誘電体膜205の間に挿入されて誘電体膜205を区分させ得る。液晶206は、上部誘電体膜205と底部誘電体膜205との間において、スペーサ203の間に分散される。配向層204は、LC用の配向力を生成するように設けられる。有効誘電率Etは、個々の誘電率と、それぞれの層の個々の高さとを用いて、Et=E1(h /H *E2(h /H *E3(h /H として計算可能であり、当該式において、hは、それぞれの個々のサブ層の高さであり、Hは、全体の高さである。
【0019】
サブ層の数と厚さは、所望の有効誘電率を得られるように設計可能である。しかしながら、VDC層が複数のサブ層からなるので、有効誘電率異方性Δε(Δε=ε||-ε⊥)が改善され、これは、それぞれの層のダイレクタが、off状態でも、on状態でも配向しやすいことによる。さらに、応答時間が改善される。
【0020】
図1Aは、図2に図示した複数のVDCサブ層構造を、図1に図示したアンテナと組み合わせた一実施形態を図示する。図1における要素と類似の図1Aの要素は、同じ参照番号を有している。図1Aに図示するように、VDC層220は、3つのサブ層からなり、この3つのサブ層は積み重ねられている。サブ層の数とそれぞれのサブ層の厚さとは、on状態及びoff状態において必要とされる誘電率及びスイッチング応答時間等必要とされる特性を達成するために設計可能である。必要な場合、スペーサ126をサブ層のいくつか又は全てにおいて使用可能であって、その結果、それぞれのサブ層の厚さが、必要とされる仕様に応じて維持される。
【0021】
図1Aに示すように、電極135が、制御線137を介してコントローラ150に結合され、コントローラ150は、AC、DC又は矩形波DC電位を電極135に印加する。コントローラが、電位を電極135に印加すると、電界(破線矢印で示す)が形成され、これにより、サブ層のそれぞれにおいて電極135近傍の液晶128が、印加された電位に応じた量回転する。その結果、接地面115と信号線140との間に形成されたコンデンサの特性が、変化する。これを利用して、信号線140を通過するRF信号を制御して、例えば、その信号に遅延又は位相シフトを生じさせることができる。
【0022】
図1Aの例では、放射パッチを1つのみと信号線1本とを図示しているが、この構成を二次元アレイにおいて繰り返して、それにより、電子的に向きを操作可能なアンテナを形成することができる。このような構成では、複数の制御線を信号線のそれぞれに1つずつ設けることができる。また、接地面は、複数の結合窓であって、1つが、それぞれの信号線と、それに対応する放射パッチとに対応する複数の結合窓を具えることになる。
【0023】
よって、一実施形態によれば、誘電体プレートと、当該誘電体プレート上に設けられた少なくとも1つの放射パッチと、少なくとも1つの窓を有しそれぞれの放射パッチが1つの窓と位置合わせされた接地面と、少なくとも1本の信号線であって、それぞれの信号線がRF信号を1つの放射パッチに容量結合させるように構成された少なくとも1本の信号線と、信号線と接地面との間に設けられ、積み重ねられた複数の液晶サブ層を含む液晶層であって、それぞれが、上部誘電体膜、底部誘電体膜、上部電体膜と底部誘電体膜との間に設けられた複数のスペーサ、及びスペーサの間に分散された液晶を含む液晶層とを備えるアンテナが提供される。スペーサは、例えば、ガラス、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PMMA、シリカ、酢酸セルロース、ジルコニアからなり得る。
【0024】
図1B及び図1Cは、それぞれの放射パッチに2本の信号線が結合され、2本の信号線が相互に直交する一実施形態を図示する。図1B及び図1Cの実施形態の要素は、別の誘電体層132が第1の信号線140の下に設けられ、直交する第2の信号線142が第2の誘電体層132の下に設けられていることを除いて、図1Aの実施形態における要素と同じである。この実施形態では、1本の信号線を送信用に、他方の信号線を受信用に使用可能である。別の実施において、両方の信号線は、電極135への制御信号の印加を、信号線の一方における信号を他方に対して遅延させる方法で行うことにより、円偏波信号を生成するのに使用可能である。当然のことであるが、図1Aの実施形態について、図1B及び図1Cの実施形態を、複数の放射パッチと、対応する信号線及び制御線とを使用して、実施可能である。
【0025】
図1Bの例に示したように、複数のサブ層を同じ厚さにする必要はない。それぞれの層は、例えば厚さが異なるスペーサ126を用いて、厚さが相違するように設計し製造してよい。
【0026】
図1D及び図1Eは、それぞれの信号線135、142の伝送特性を個別に制御可能な一実施形態を図示する。特に、本実施形態は、2つのVDC層220及び221を用いており、それぞれ又は両方を複数のサブ層から作製し得る。また、本実施形態は、複数の接地面を用いており、それぞれの接地面は、放射パッチと、対応の信号線との間においてRF信号を結合するように位置合わせされた窓を有している。本構成は、まさにその他の実施形態の場合のように、複数の放射パッチとともに実施可能である。二次元アレイとして実施する場合、制御信号を複数の制御線に印加することにより半球の空間内において任意の方向にビームの向きを操作して、それぞれの信号線にかけられる遅延を個別に制御することができる。
【0027】
図1Dに図示したように、信号線140中を伝搬する信号は、制御信号を電極135に印加することにより制御し、よって、積み重ねられた多層VDC220中の液晶を回転させ、また、信号線142中を伝搬する信号は、制御信号を電極138に印加することにより制御し、よって、積み重ねられた多層VDC221中のLCを回転させる。よって、一例では、信号を相互に90°遅延させて、円偏光を生成する。
【0028】
図1D及び図1Eの実施形態は、複数のVDC層と、複数の接地面とを有するアンテナであって、上部誘電体層と、上部誘電体層の上方に設けられた複数の放射パッチと、上部誘電体層の下に配置された第1の液晶層と、複数の窓を有し、それぞれの窓が放射パッチの1つと位置合わせされた第1の接地面と、放射パッチの1つとそれぞれが位置合わせされて終端する複数の第1の信号線と、第1の信号線の1つとそれぞれが位置合わせされた複数の第1の制御線と、第2の液晶層と、複数の窓を有しそれぞれが放射パッチの1つと位置合わせされた第2の接地面と、放射パッチの1つとそれぞれが位置合わせされて終端する複数の第2の信号線と、第1の信号線の1つとそれぞれが位置合わせされた複数の第2の制御線とを備え、第1の液晶層及び第2の液晶層のそれぞれは、積み重ねられた複数のサブ層を含み、それぞれのサブ層は、上部誘電体、底部誘電体、上部誘電体と底部誘電体との間に設けられた複数のスペーサ、及び上部誘電体と底部誘電体との間に分散された複数の液晶を有するアンテナを提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、層を、上部から底部へ、放射パッチ、上部誘電体層、第1の接地面、第1の液晶層、第1の制御線、第1の信号線、第2の接地面、第2の液晶層、第2の制御線、第2の信号線の順番に配列している。また、図示したように、種々の中間誘電体層が、種々の信号線と制御線と接地面との間に、設けられる。しかしながら、図示した層の順番は、必須ではなく、他の順番も可能であることに留意すべきである。例えば、図1Fは、複数のVDC層と、複数の接地面とを有するが、図1Dとは順番が異なる一実施形態を図示する。
【0030】
図1Fは、図1Dと、層の順番が異なる点を除いて同様の一実施形態を図示する。図1Fでは、第1の信号線140を、放射パッチ105の下だが、第1の接地面115の上方かつ第1のVDC層220の上方に、設けている。第1の制御線135は、第1のVDC層220の上方又は下に設けてもよい。第1の接地面115は、第1のVDC層220の下に設けている。本実施形態では、第1の接地面115は、窓125を有し、窓125は、信号を第2の信号線142に結合するためのものであって、従って、第1の信号線140ではなく、第2の信号線142に対して位置合わせしている。第1の信号線140用の信号は、上部誘電体110を通して直接放射パッチ105に結合される。
【0031】
示したように、第1の接地面の窓125は、第2の信号線142からRF信号を結合するように位置合わせし、これは、第2の信号線142が第1の接地面より下だが第2のVDC層221よりも上にあることによる。第2の接地面117は、第2の信号線142より下に設けており、従って、窓は不要である。第2の制御線138は、第2のVDC層221の下又は上方に設けてもよい。
【0032】
従って、複数の接地面と複数の可変誘電体層とを有するRFアンテナが、提供され、当該RFアンテナは、上部誘電体層と、上部誘電体の上方に設けられた複数の放射パッチと、第1の可変誘電率(VDC)層と、放射パッチの1つとそれぞれが位置合わせされた複数の窓を有する第1の接地面と、第1の接地面の窓の1つの下でそれぞれが終端する複数の第1の信号線と、第1の信号線の1つの近傍の第1のVDC層の液晶ドメインを制御するようにそれぞれが構成された複数の第1の制御線と、第1のVDC層の下に設けられた第2のVDC層と、放射パッチの1つとそれぞれが位置合わせされた複数の窓を有する第2の接地面と、第2の接地面の窓の1つの下でそれぞれが終端する複数の第2の信号線と、第2の信号線の1つの近傍の第2のVDC層の液晶ドメインを制御するようにそれぞれが構成された複数の第2の制御線と、を備える。
【0033】
RFデバイスのVDC層用のサブ層の製造において、液晶を封入する2枚の対向する誘電体基板は、光学上の考慮すべき点がないので、透明か不透明かを問わず、所望の任意の非導通材料から作製可能である。制御電極は、例えば、蒸着、電気めっき、無電解めっき等の堆積法により作製可能であり、導電性インク又はペースト等を用いて印刷してもよい。本明細書に開示の実施形態に図示したように、制御電極は、RFデバイスを機能させるために必要とされる電界を生成するように、液晶の両側に配置可能である。制御電極及び信号線の材料は、導電性材料の一種、特に、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)、白金(Pt)等の金属若しくは他の金属、及び/又は金属積層若しくは金属合金とし得る。2枚の基板の間に、絶縁材料からなるスペーサを、所望のセル間隙を確定し維持するように配置し得る。
【0034】
液晶サブ層は、ロールtoロール方式により、又は予め切り分けられた薄い誘電体シートを用いることにより製作可能である。図3は、本発明の実施形態に係るVDCサブ層のロールtoロール方式の製造方法を図示する。図3では、供給ロール301が、可撓性のある絶縁材料302、例えば、PET、高分子ナノ複合材料、Pyralux(登録商標)(デュポン社から入手可能)、ECCOSTOCK(登録商標)低損失誘電体(イギリス国 ロンドン レアード ピーエルシーのエマーソン&カミング社より入手可能)等からなる連続したストリップを提供する。一方で、供給ロール311は、ストリップ302と同様の又は類似の材料から作製された、絶縁材料312からなる連続したストリップを提供する。絶縁ストリップ312は、スペーサステーション305を通過し、スペーサが、絶縁ストリップ312の上面に形成又は堆積される。絶縁ストリップ302は、配向材ステーション318を通過し、液晶配向材(例えば、PI(ポリイミド)、PVA、SiOX等)が、絶縁ストリップ302に堆積又は接着される。
【0035】
液晶ステーション308では、液晶が、ストリップ302に堆積される。次に、上部膜と底部膜とが、合わさって、封止ステーション309に入り、封止ステーション309が、絶縁ストリップ302及び312の縁を封止する。封止後、膜は、シート322に切り分けられ、切断された縁が、封止され得る。層は、次に、スタッカー326に移送され、スタッカー326は、接着剤アプリケータ320を任意で含み得、VDC膜が、複数のサブ層が相互の上部に積み重ねた形になると、サブ層間に接合状態が形成される。
【0036】
上に開示のように、本明細書に示した実施形態の全ては、複数の放射パッチ、図1Gに図示した特徴を具えることにより実施可能であるが、図1Gには図示目的で放射パッチ105、105aの2つしか図示していない。この実施形態では、それぞれの放射パッチの信号は、対応の窓125及び125aを介して、信号線140及び140aを用いて個別に送信される。さらに、それぞれの信号線のための誘電率は、対応の制御線135及び135aにより個別に制御される。よって、複数の放射パッチをアレイに設けると、それぞれの信号線のための誘電体を別々に制御することができ、それにより、異なる遅延がそれぞれの線に導入されて、ビームの向きの操作又は走査が行われる。
【0037】
上述のように、VDC材料は、先行技術において使用されているが、アンテナ等の特定のRF及びマイクロ波デバイスでは、アクティブ層の厚さは、比較的厚く、例えば(アンテナの波長及び応用技術に応じて)50~500μmまで厚くしなければならない。アクティブ層の厚さを厚くした結果として、バルク内におけるLC分子の配向ロスにつながり、LC分子は、配向層に近い両方の面のみが配向された状態になる。その結果として、アンテナ性能が低下し、その使用を制限する2つのことが起こる。第一に、バルク内のLC分子全体は、(電圧「off」状態で)配向せず、特定の方向ではなく好き勝手な方向を向くので、開始、すなわち電圧「off」状態では、誘電率の値は、純粋に平行配向したLC材料のものよりも大きい。電圧が「on」にスイッチングされ、閾値を超えると、全てのLCダイレクタが、バルク層におけるよりも縁における方がその作用が強くなり得るものの、電界の向きと平行な向きに変わる。最終結果、すなわち、誘電率異方性Δε(Δε=ε||-ε⊥)は、開始、すなわち「off」状態が、純粋にε⊥である場合に達し得るものよりも小さい。「on」段階と「off」段階との間における誘電率異方性Δεのこのロスは、アンテナの性能と機能を制限してしまう。第二に、スイッチング時間が、バルクにおけるLC配向の欠如によって、電圧をオフにスイッチングするときに、ミリ秒から秒長くなってしまう。その結果、現在の技術では、誘電特性が低くなり、スイッチング時間も非常に長くなってしまうため、厚いLCを使用することはできない。
【0038】
逆に、アクティブサブ層のそれぞれの厚さを薄く、例えば、5~50μmに維持することによって、LC分子は、「off」状態で、両面においてかつバルクを通して配向し、それにより、応答時間(τon、τoff)が速くなり、ε⊥の値が小さくなり、これはまた、Δεが大きくなることに対応する。結果として、移相変調器の特性全体が、向上し、移相変調を速くすることができ、又はビームの向きの操作角度を大きくすることができる。しかしながら、薄いLC層を使用する場合にシステムに生じつきまとうことが多くなる別の課題は、マイクロストリップ又はストリップ線路の信号伝送線路の誘電損失及び抵抗損失が多くなることであり、よって、アンテナ及び/又はデバイスの特性全体が、激的に低下してしまう。従って、極めて特定のさらに厚い基板厚さを使用することが好ましい。VDC層の全厚さは、よって、複数のLCサブ層を積み重ねることにより得られる。
【0039】
開示の実施形態によって、面配向したLCが小さい電界をかけることで可逆的に変調する、低コストで薄層の液晶(LC)移相変調器とフェーズドアレイアンテナの設計が、提供される。それぞれのサブ層のLC媒体を2つの面の間に配置する。配向層に、(例えば、ラビング、光配向、蒸着等により)事前堆積又は事前調整を行う。第2のLC層を高分子薄膜の上部に追加し、これに、別の高分子薄膜を続ける。この繰り返す高分子膜の数と、LC層の厚さとは、設定されておらず、種々の応用とデバイス要件との間で変動し得る。
【0040】
LC層を区分させる薄い誘電体又は高分子膜は、PE ポリエチレン、PP ポリプロピレン、ABS、MAYLAR、PET、ポリエステル、PTFE(全てのフッ素樹脂化合物を含む)、Delrin(登録商標)、FEP、PFA、HALCAR ETPE、Hytrel(登録商標)(TPE)、ポリウレタン PU、Cirlex(登録商標)Kapton(登録商標)、Kapton(登録商標)(ポリイミド)タイプのHN、VN、XC、MT、及びその他全てのタイプのポリイミド合成物、ナイロン6/6、PEEK(登録商標)、PEI ULTEM(登録商標) ポリエーテルイミド、PES ULTRASON(登録商標)、PC ポリカーボネート、PPS(ポリフェニレン)、PSU UDEL(登録商標)(ポリスルホン樹脂)、PVDF/KYNAR(登録商標)(ポリフッ化ビニリデン樹脂)、Tefzel(登録商標)、TPX(登録商標)ポリメチルペンテン、PS ポリスチレン、及び上記高分子のいずれかの共重合体から生成可能である。
【0041】
中間高分子膜の厚さは、例えば、3~10μm又は10~25μm、25~50μmまで、できる限り薄さを保つことが推奨される。LC層を使用する場合、LCと接触するデバイスの全ての面は、配向材料、例えば、PI(ポリイミド)、PVA、SiOx等により覆う。サブ層の全ては、PDLC/SLC層を形成するように積み重ねる。
【0042】
多層構造のデバイスを組み立てるには、層を、一方を他方の上部に平行に積むことと、デバイスの領域全体における厳密な厚さ制御とが必要である。スペーサは、必要とされる直径で、ガラス、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PMMA、シリカ、酢酸セルロース、ジルコニア等の材料からなり、デバイスの領域全体において必要とされる間隙を維持するように表面上に均一に分布させ得る。(配向材料を塗布し方向づけた後の)配向膜をスペーサ上に積んでもよい。接着/封止材料をデバイスの周縁に塗布して、密封し、LC材料のデバイスからの漏出を防止すべきである。デバイスの周縁における2つの対向する領域は、初めは、(真空にして又は真空にせずに、毛管又は液体注入により)LCを挿入するために、接着剤なしのままにしておくことができる。次の上の層を同様に作製し、スペーサを、間隙を均等に保ち維持するように分布させ、別の誘電体膜がその後に続くようにする。多層構造は、このように作製し、最終的に、間隙用球体上に積まれた最後の層が、対向し閉鎖する誘電体層となり、デバイスを閉鎖し、積まれる。デバイスの積層が完成した後、LC挿入を行い得る。最終段階は、適切な封止材/接着材で両側において挿入孔を封止することである。
【0043】
別の実施形態によれば、電圧が、それぞれ個別の薄膜にかけられ、その電圧は、それぞれの膜にかけられる電圧Vが、総電圧Vより低く、最も低い電圧Vよりも高くなるようにする。多層構造を作製することによって、区分膜が通電し、電界が、デバイスの上部層と底部層との間に生成されるが、デバイスの作動電圧全体は、低下する。区分膜を電極として機能させるために、金属又は金属被覆高分子膜から形成するか、又はそれぞれの薄層に作用する導電性制御電極を具える必要がある。図2Aに、それぞれの層にかけられる可変電圧を図示しており、図では、Vが上部誘電体層にかけられる電圧であり、Vが底部誘電体層にかけられる電圧であって、VとVi+1が、区分膜にかけられる電圧である。「off」状態の間、電圧は、多層構造体にはかかっておらず、「on」状態で、電圧が、V>Vi+1>V>Vとなるようにかけられる。
【0044】
よって、配向層が両側に塗布された高分子薄膜によって内部が区分された多層移相変調器又はアンテナデバイスの製造方法が、提供され、底部誘電体層上に配向層を被覆して配向層に指向性を引き起こすステップと、スペーサを配向層に配置するステップと、区分膜の両面を配向材料で被覆して配向材料に指向性を引き起こすステップと、区分膜を底部誘電体層の上部に配置するステップと、スペーサの第2の層を区分膜の上部に配置するステップと、上部配向層を上部誘電体膜上に被覆して、上部配向層に指向性を引き起こし、上部誘電体層を区分膜の上部に配置するステップと、液晶を、底部誘電体層と区分膜との間と、区分膜と上部誘電体層との間とに挿入するステップとを含む方法が、提供される。
【0045】
同様に、多層可変誘電率(VDC)デバイスであって、底部誘電体膜と、上部誘電体膜と、底部誘電体層と上部誘電体層との間に挟まれて相互に物理的に接触している少なくとも2つのVDC層と、2つのそれぞれの可変誘電率層の間に配置された区分層と、を備える多層可変誘電率(VDC)デバイスが提供される。VDC層のそれぞれは、底部液晶(LC)配向層と、上部LC配向層と、底部LC配向層と上部LC配向層との間に分散された複数のスペーサと、底部LC配向層と上部LC配向層との間に分散された複数の液晶とを備え得る。
【0046】
図1H及び図1Iは、2x2の放射パッチ105を有し、対応の遅延線136により給電される二次元アレイに対する革新的なVDC層の実施を図示する。図1Hの断面に示したように、遅延線は、VDC層220の上方に設け、接地面115は、VDC層220の下に設ける。信号線140が、信号を、接地面115の窓125を介して遅延線136に結合する。コントローラ150は、制御信号を遅延線136にかけて、その結果、遅延線136近傍の液晶が、コントローラ150により生成される信号により制御される。上述のように、代替実施形態では、制御信号が、VDC層220の連続したそれぞれのサブ層に徐々にかけられていく。
【0047】
本明細書に説明したプロセス及び技術が、任意の特定の装置に本質的に関連するものではなく、構成要素を任意の適切な組み合わせとすることにより実施可能であることを理解すべきである。さらに、本明細書に説明した教示に従って、種々のタイプの汎用デバイスを使用することができる。本発明を特定の例に関して説明してきたが、これらは、あらゆる点で限定というよりは例示を目的としたものである。本発明の実施に多様な組合せが適するということを当業者は理解するだろう。
【0048】
さらに、本発明の他の態様は、本明細書に開示の本発明の明細及び実施を検討することにより、当業者に明らかになるだろう。記載の実施形態の種々の態様及び/又は構成要素は単独で又は任意の組合せで使用することができる。明細書及び例は、例示としてのみみなすべきものであり、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されるものであることを意図している。

図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2
図2A
図3