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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】オリゴイミド組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/08 20060101AFI20220311BHJP
   C08G 73/12 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
C08L79/08 Z
C08G73/12
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021071195
(22)【出願日】2021-04-20
(62)【分割の表示】P 2016239372の分割
【原出願日】2016-12-09
(65)【公開番号】P2021105185
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2015242231
(32)【優先日】2015-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐己
(72)【発明者】
【氏名】森北 達弥
(72)【発明者】
【氏名】吉田 猛
(72)【発明者】
【氏名】繁田 朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 宗紀
(72)【発明者】
【氏名】越後 良彰
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-114035(JP,A)
【文献】特開平08-012914(JP,A)
【文献】特開平04-288385(JP,A)
【文献】特開平11-106454(JP,A)
【文献】特開2018-201024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 79/08
C08G 73/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴイミドを構成するジアミンとしてダイマジアミンが用いられている、末端マレイミド化オリゴイミドと、末端マレイミド化オリゴイミドのジアミン付加体とからなり、重量平均分子量(Mw)が、6000以上、20000以下であることを特徴とするオリゴイミド組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴイミド組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オリゴイミドの中で、末端基の一部または全部がマレイミド化されたオリゴイミド(以下、「MOI」と略記することがある)が知られている。(特許文献1~3および非特許文献1) これらMOIは、熱硬化または光硬化することにより、イミド結合に基づく高い耐熱性と良好な機械的特性を有するフィルム等の成形体を得ることができる。また、マレイミド基のビニル基は活性であるため、例えば、ビニルエーテル類、アクリレート類、メタアクリレート類のビニル化合物と共重合でき、これらの共重合体は、様々な耐熱性樹脂や接着剤の原料として有用である。
【0003】
前記MOIの中で、オリゴイミドを構成するテトラカルボン酸として芳香族テトラカルボン酸、ジアミンとして脂肪族ジアミンを用いたものは、シリコン基板のパシベーション膜、ダイボンディング用接着剤、高周波用基板等用として好適に使用できることが開示されている。(特許文献4~6) これらのMOIを製造する方法としては、溶媒中で、末端ジアミンとしたオリゴイミドに、無水マレイン酸を反応させて、末端マレアミック酸オリゴイミドを生成させ、末端マレアミック酸をイミド化するに際し、脱水触媒として、硫酸、メタンスルフォン酸、p-トルエンスルフォン酸等pKaが1未満の強酸とトリエチルアミン等脂肪族3級アミンと混合物の共存下、100℃以上で長時間加熱して、イミド化の際、副生する水を、共沸により除去しつつ、マレアミック酸をイミド化し、末端をマレイミド化する方法(特許文献3、5)やアミド系溶媒を含む溶媒中で、前記末端マレアミック酸オリゴイミドを前記強酸の共存下、100℃以上で長時間加熱して、イミド化の際、副生する水を共沸により除去しつつ、末端のマレアミック酸をイミド化する方法(特許文献6)が開示されている。さらに、特許文献4には、マレアミック酸をマレイミド化する際に、脱水触媒として無水酢酸と塩基性化合物(1-ヒドロキシベンズトリアゾール、トリエチルアミン、酢酸ソーダ等)の混合物を用い、長時間をかけて低温で反応させて、MOIを製造する方法も開示されている。(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第5096998号
【文献】特開平8-12914号公報
【文献】米国特許第7208566号
【文献】米国特許第6034195号
【文献】米国公開 特許2013 /0228901号
【文献】国際公開特許第WO/2015/048575号
【非特許文献】
【0005】
【文献】JOURNAL OF POLYMER SCIENCE: PART A:POLYMER CHEMISTRY, VOL. 26, 1165-1178 (1988)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記文献に開示されたMOIは、重量平均分子量(Mw)が低いためにこれを溶液とし、基材上に塗布した際に、液だれ等が起こることがあり、 成形性の観点から、改良すべき点があった。そこで本発明は、上記課題を解決するものであって、重量平均分子量(Mw)が充分に高められたMOI組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
MOIを特定の組成物とすることにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明は下記を趣旨とするものである。
オリゴイミドを構成するジアミンとしてダイマジアミンが用いられている、MOIと、末端マレイミド化オリゴイミドのジアミン付加体(以下、「MOI-DA」と略記することがある。)とからなり、重量平均分子量(Mw)が、6000以上、20000以下であることを特徴とするオリゴイミド組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のMOI組成物は、重量平均分子量(Mw)が高められているので、成形性の良好な溶液とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のMOI組成物は、MOIと、MOI-DAとからなり、MOI80~99質量%、MOI-DA1~20質量%とすることが好ましく、MOI85~95質量%、MOI-DA5~15質量%とすることがより好ましい。組成比を、このようにすることにより、重量平均分子量(Mw)が高められ、成形性が改善される。
【0011】
MOIの骨格を成すオリゴイミドは、イミド結合を有するオリゴマであり、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを脱水縮合することにより得られるものである。テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環族テトラカルボン酸二無水物等を用いることができ、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。また、ジアミンとしては、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン等を用いることができ、脂肪族ジアミンが好ましい。
【0012】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物であれば制限はないが、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(4,4′-オキシジフタル酸二無水物)、2,3′,3,4′-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、PMDAが好ましく用いられる。なお、脂肪族
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。また、脂環族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。
これら芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環族テトラカルボン酸二無水物は単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0013】
脂肪族ジアミンとしては、主鎖にアルキレン基を有するジアミンであれば制限はないが、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,11-ジアミノドデカン、ダイマジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられ、ダイマジアミンが好ましく用いられる。ダイマジアミンは、コグニスジャパン社製、商品名「バーサミン551」、「バーサミン552」、クローダ社製、商品名「プリアミン1074」、「プリアミン1075」等の市販品が用いられる。
なお、芳香族ジアミンとしては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、2,3-ジアミノナフタレン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジ(4-アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等を用いることができる。また、脂環族ジアミンとしては、例えば、シクロブタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ジアミノビシクロヘプタン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、ジアミノオキシビシクロヘプタン、ジアミノメチルオキシビシクロヘプタン、イソホロンジアミン、ジアミノトリシクロデカン、ジアミノメチルトリシクロデカン等を用いることができる。
これら脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、脂環族ジアミンは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0014】
本発明のMOI組成物を構成するオリゴイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの縮合物からなり、ジアミンに対するテトラカルボン酸のモル比が、0.5以上、0.9未満の範囲であることが好ましく、0.6以上、0.7以下とすることがより好ましい。このようなモル比とすることにより、良好な成形性と高い耐熱性を同時に確保できる。
【0015】
本発明のMOI組成物の重量平均分子量(Mw)は、6000以上、20000以下であることが好ましく、7000以上、15000以下とすることがより好ましい。 Mwをこのような範囲とすることにより良好な成形性を確保することができる。 なお、重量平均分子量(Mw)は、例えば、下記のような条件で、GPCを測定することにより、確認することができる。
<GPC測定条件>
カラム:昭和電工社製 Shodex(R) GPC KF‐803×1本, GPC KF‐804×2本 (3本連結)
溶離液:THF
温度:40℃
流量:1.0mL/分
検出器:UV検出器
【0016】
本発明のMOI組成物は、例えば、以下のようなプロセスで製造することができる。すなわち、先ず、溶媒中で、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて、末端ジアミンのオリゴアミック酸(オリゴイミド前駆体)を生成させ、しかる後、無水マレイン酸を反応させて、末端がマレアミック酸変性されたオリゴアミック酸を生成させる。しかるの
ち後、酸触媒を用いて、マレアミック酸およびオリゴアミック酸のアミック酸部分を、一括してイミド化することにより、MOI溶液とすることができる。ここで、テトラカルボン酸二無水物は、ジアミン1モルに対し、0.5モル以上、0.9モル以下用いることが好ましく、0.6モル以上、0.7モル以下がより好ましい。 また、無水マレイン酸は、ジアミン1モルおよび用いたテトラカルボン酸二無水物Xモルに対し、2*(1-X)モル以上、4*(1-X)モル以下用いることが好ましい。イミド化の際の反応温度としては、150℃以下とすることが好ましい。また、イミド化の際の反応時間としては、2時間以上、10時間以下とすることが好ましく、4時間以上、8時間以下とすることがより好ましい。イミド化反応に際しては、イミド化により生成する水を反応系外に留去しつつ反応を行うことができる。前記のようにして得られたMOI溶液を水系溶媒で、洗浄して、酸触媒等を除去したMOI溶液に、ジアミンを加え、これを、MOIの一部に付加反応させて、MOI-DAを生成させることにより、MOIとMOI-DAとの組成物からなる溶液を得ることができる。付加反応に供するジアミンの添加量は、MOI製造に用いたジアミンに対して、0.5モル%以上、15モル%以下とすることが好ましい。このようにすることにより、MOIとMOI-DAの質量組成比率を、前記した本発明の質量組成比率とすることができる。なお、質量組成比率は、MOIおよびMOI-DAの質量から算出することができる。 MOIの質量は、測定されたMOIの数平均分子量(Mn)と、付加反応後に残存するMOIのモル数から算出することができる。ここで、残存するMOIのモル数は、MOI製造に用いたジアミンのモル数から、MOI-DA生成のために用いたジアミンのモル数の2倍のモル数を減じることにより算出する。 また、MOI-DAの質量は、MOI-DAの数平均分子量と、MOI-DA生成のために用いたジアミンのモル数とから算出することができる。ここで、MOI-DAの数平均分子量(Mn)は、MOI1モルに対し、ジアミン2モルが付加反応するので、測定されたMOIの数平均分子量(Mn)と、ジアミンの分子量とから算出する。 付加反応に供するジアミンは、MOIを形成するジアミンと同じであっても、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0017】
付加反応の際の反応温度としては、150℃以下とすることが好ましく、130℃以下とすることがより好まししい。また、反応時間としては、2時間以上、10時間以下とすることが好ましく、4時間以上、8時間以下とすることがより好ましい。このようにして得られた溶液は、本発明の組成物からなる溶液として用いることができる。 また、この溶液に、貧溶媒等を加え、再沈殿後、乾燥することにより、本発明のMOI組成物を粉体として得ることができる。
【0018】
前記MOI製造プロセスにおいて、イミド化の際、酸触媒として、弱酸性(pKaが1以上)である脂肪族カルボン酸を用いることが好ましい。脂肪族カルボン酸の使用量は、原料であるジアミン1モルに対し、0.1モル以上、3.0モル以下とすることが好ましく、0.2モル以上、2.5モル以下とすることがより好ましい。0.1モル未満では、イミド化反応が充分に進まないことがある。また3.0モル超では、ビニル重合体の生成等副反応が起こりやすくなることがある。ここで、脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸等が用いられ、マレイン酸が好ましく用いられる。このように、脱水触媒として、弱酸である有機カルボン酸を特定量使用することにより、本発明のMOIを、容易に製造することができる。なお、酸触媒としては、前記した遊離したカルボン酸以外に、加水分解して遊離カルボン酸を生成する無水酢酸や無水マレイン酸などを用いてもよい。
【0019】
反応の際用いる溶媒としては、反応生成物であるMOIおよびMOI-DAを溶解する溶媒であれば、制限はないが、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒等、グライム、ジグライム等のエーテル系溶媒が好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独、または2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中で、アミド系溶媒と炭化水素系溶媒とからなる混合溶媒が好ましく用いられる。
【0020】
反応の際の固形分濃度としては、5~80質量%とすることが好ましく、10~70質量%とすることがより好ましい。
【実施例
【0021】
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
【0022】
<実施例1>
水分離器付き還流冷却器、攪拌機、温度計を備えたガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、ダイマジアミン(クローダジャパン株式会社製「プリアミン1075」、分子量:549):1.0モル、トルエンとNMPとからなる混合溶媒(質量比:トルエン/NMP=80/20)を投入して攪拌した。得られた溶液に、室温(20℃)で、PMDA:0.66モル、続いて無水マレイン酸:0.68モルを加え、室温で1時間撹拌して、冷却して、末端がマレアミック酸変性されたオリゴアミック酸溶液(固形分濃度:30質量%)を得た。次に、この溶液に、マレイン酸2.0モルを加え、得られた溶液を、攪拌しながら昇温して内容物を加熱還流させた。反応により生成する水を共沸分離しながら6時間還流を続けたのち、冷却して、橙黄色溶液を得た。その後、得られた溶液を、水系溶媒で洗浄することにより、MOI溶液を得た。 このMOIのGPCを測定した結果、数平均分子量(Mn)は、2680、重量平均分子量(Mw)は、4180であった。 この溶液に、0.03モルの前記ダイマジアミンを加えて、均一溶液とし、約115℃で7時間反応させて、MOI93質量%と、MOI-DA7質量%とからなる本発明のMOI組成物を含む溶液を得た。 この組成物のGPCを測定した結果、重量平均分子量(Mw)は10700となり、大幅なMwの増加が認められた。得られたMOI組成物溶液をメタノール溶液に中に投入して、MOIを再沈殿させ、これを濾過、乾燥後、NMRを測定し、所定の化学構造を有するMOI組成物であることを確認した。
【0023】
<実施例2>
溶媒として、混合キシレン(オルソキシレン、メタキシレン、パラキシレン等からなる混合物)とNMPとからなる混合溶媒(質量比:混合キシレン/NMP=80/20)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、MOI溶液を得た。このMOIのGPCを測定した結果、数平均分子量(Mn)は、2960、重量平均分子量(Mw)は、4600であった。 この溶液に、0.01モルの前記ダイマジアミンを加えて、均一溶液とし、約115℃で7時間反応させて、MOI98質量%と、MOI-DA2質量%とからなる本発明のMOI組成物を含む溶液を得た。この組成物のGPCを測定した結果、重量平均分子量(Mw)は、8470であった。
【0024】
<比較例1>
実施例1で得られたMOI溶液に、ダイマジアミンを添加することなく、約115℃で7時間加熱した。 得られた溶液のGPCを測定した結果、重量平均分子量(Mw)は、4300であり、重量平均分子量(Mw)の増加は、殆ど、認められなかった。
【0025】
<比較例2>
実施例1で得られたMOI溶液に、0.2モルの前記ダイマジアミンを加えて、均一溶液とし、約115℃で反応させようとしたが、反応途中でゲル化が起こり、均一な溶液を得ることができなかった。
【0026】
前記評価結果から、本発明の組成物とすることにより、MOIの重量平均分子量(Mw)を充分に高めることができ、MOIの成形性を改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のMOI組成物は、MOIの重量平均分子量(Mw)を充分に高められているので、溶液とした場合の液だれ等の問題が解消され、成形性が改善される。 従い、シリコン基板のパシベーション膜、ダイボンディング用接着剤、高周波用基板等用として好適に使用できる。