(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】木造軸組建築物の接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20220311BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20220311BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20220311BHJP
F16B 35/00 20060101ALI20220311BHJP
F16B 39/12 20060101ALN20220311BHJP
【FI】
E04B1/58 509E
E04B1/26 E
F16B7/18 Z
F16B35/00 T
F16B39/12 Z
(21)【出願番号】P 2021081261
(22)【出願日】2021-05-12
【審査請求日】2021-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591000757
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 出
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-216302(JP,A)
【文献】特開平06-094021(JP,A)
【文献】特開2015-013579(JP,A)
【文献】実開昭63-139311(JP,U)
【文献】特開2013-096197(JP,A)
【文献】特開2003-184207(JP,A)
【文献】特開2000-087461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 35/00
F16B 35/04
F16B 7/18
F16B 37/04
E04B 1/58
E04B 1/26
B60B 33/00
F16B 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合される被接合部材同士をつなぐ連結具であって、
一方の被接合部材に固定される柱状に形成され、少なくとも一端面に開口する軸穴を有した芯部材と、
前記芯部材の前記軸穴に基端側部分が保持されるねじ軸部材を備え、
前記芯部材の前記軸穴には雌ねじが形成され、
前記ねじ軸部材の長手方向の中間に、前記ねじ軸部材よりも大径で回転力が入力される締結部が回転不可に形成され、
前記ねじ軸部材における前記締結部よりも基端側部分に、前記雌ねじに螺合する基端側雄ねじが形成される一方、前記締結部よりも先端側部分に、他方の被接合部材側に螺合する先端側雄ねじが形成され、
前記基端側雄ねじには、前記ねじ軸部材よりも大径で回転力が入力される可動締結部材が備えられる連結具
を用いて、木造軸組建築物の構成材同士を接合した
木造軸組建築物の接合構造。
【請求項2】
前記連結具の前記芯部材に、その長手方向と直交する方向に貫通する貫通穴が形成された
ものを用いる
請求項1に記載の
木造軸組建築物の接合構造。
【請求項3】
前記連結具の前記基端側雄ねじに備えられる前記可動締結部材と前記締結部との間に、前記可動締結部材を下ナットとする上ナットが備えられ
、
前記上ナットと前記可動締結部材との間に突っ張り力を作用させる緩み止めがなされる
請求項1または請求項2に記載の
木造軸組建築物の接合構造。
【請求項4】
前記連結具における前記他方の被接合部材に固定される雌ねじ部材として、柱状に形成されて少なくとも一端面に開口し雌ねじを有する軸穴と、長手方向と直交する方向に貫通する貫通穴が形成された部材を備える
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の
木造軸組建築物の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば木造軸組建築物における柱や横架材などのような構成材同士の接合や構成材の構成等に用いられるような連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、柱同士をその側面で接合する場合には、柱を貫通するボルトによるのが一般的である。
【0003】
しかし、締結作業のための空間が得られない場合や、柱が外壁パネルの一部として組み込まれている場合など、ボルトでは接合できない場合がある。
【0004】
このため、下記特許文献1に開示されているような接合構造が提案されている。この接合構造は、接合する柱同士の間に跨るように嵌入されるパイプと、柱の側面からパイプを串刺しするように嵌入されるピン部材で構成されている。つまり、柱材に嵌入されて柱材同士を接合した状態にあるパイプを、ピン部材によって固定して、柱同士の接合状態を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構成では、パイプを内蔵した状態で柱材同士を合わせてからピン部材を打ち込むので、ボルトでは不可能な接合を可能にすることができる。
【0007】
しかし、柱材同士はパイプで連結されているものの、接合状態において互いに接し合う方向に締め付けられるものではない。このため、寸法に誤差がある場合など、強固な接合状態が得られないことがある。
【0008】
そこでこの発明は、ボルト固定ができないような箇所でも強固な接合が行えるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段は、互いに接合される被接合部材同士をつなぐ連結具であって、一方の被接合部材に固定される柱状に形成され、少なくとも一端面に開口する軸穴を有した芯部材と、前記芯部材の前記軸穴に基端側部分が保持されるねじ軸部材を備え、前記芯部材の前記軸穴には雌ねじが形成され、前記ねじ軸部材の長手方向の中間に、前記ねじ軸部材よりも大径で回転力が入力される締結部が回転不可に形成され、前記ねじ軸部材における前記締結部よりも基端側部分に、前記雌ねじに螺合する基端側雄ねじが形成される一方、前記締結部よりも先端側部分に、他方の被接合部材側に螺合する先端側雄ねじが形成され、前記基端側雄ねじには、前記ねじ軸部材よりも大径で回転力が入力される可動締結部材が備えられる連結具を用いて、木造軸組建築物の構成材同士を接合した木造軸組建築物の接合構造である。
【0010】
この構成では、一方の被接合部材に固定された芯部材に軸穴の雌ねじを介して保持されたねじ軸部材を、締結部を回転させることで他方の被接合部材側に向けて移動して、先端側雄ねじを他方の被接合部材に螺合して被接合部材同士をねじ軸部材で繋ぐ。締結部を締め込むと、被接合部材同士は互いに接する方向に締め付けられて、ねじ軸部材で連結した状態が得られる。締結部による締め付け状態は、基端側雄ねじ上で可動締結部材を芯部材に向けて締め込むことで維持される。締結部と可動締結部材の回転は、ねじ軸部材の長手方向と直交する横方向から行われる。
【発明の効果】
【0011】
この構成によれば、ねじ軸部材を移動し締結する作業と可動締結部材を締める作業はねじ軸部材の長手方向と直交する横から行えるので、ボルト固定ができないような箇所でも接合が行える。しかも、締結部による締め込みで被接合部材同士は互いに接する方向に締め付けられるので、強固な接合状態が得られる。
【0012】
そのうえ、芯部材の軸穴が両端面に開口する構成とすれば、2本又は3本の被接合部材だけではなく、4本以上の接合も可能である。
【0013】
また、この発明の連結具は、芯部材は単なるナットとして使用されるのではなく、ねじ軸部材を保持し繰り出す部分として使用されるので、芯部材の新たな用途を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0016】
図1に連結具11の斜視図を示す。連結具11は、部材同士の接合や、一つの部材・構成材の構成に用いられるものであり、
図2に示したように互い接合される被接合部材51,52同士を繋ぐ。
【0017】
図2は前者の例を示しており、木造軸組建築物の柱材55同士をその側面である接合面55aで接合している。
図2中、(a)は、接合された柱材55を上から見た図であり、(b)はそれを側面から見た縦断面図である。
【0018】
これらの図に示したように連結具11は、芯部材12とねじ軸部材13を備えている。
【0019】
芯部材12は、一方の被接合部材51に固定されるものであり、柱状、具体的には円柱状に形成されている。芯部材12は長手方向に延びる軸穴21と、長手向と直交する方向に貫通する貫通穴22を有している。軸穴21は芯部材12の長手方向に沿って貫通しており、両端面に開口している。軸穴21は一端面のみに開口するものであってもよい。この軸穴21には、全体にわたって雌ねじ21aが形成されている。
【0020】
貫通穴22は、芯部材12を一方の被接合部材51に固定するためものであり、
図2に示したように、一方の被接合部材51に挿入されるドリフトピン71が挿通される部分である。貫通穴22の形成位置は、一方の被接合部材51の太さの中間点(二等分位置)に対応する位置であって、図示例の貫通穴22は、芯部材12の長手方向の中間点ではなく、長手方向の偏った位置に形成されている。
【0021】
これは、被接合部材51,52が切欠き部56を有するからである。
図2の(b)に示したように、切欠き部56は、連結のための操作を行う少なくとも一方に解放された空間であり、各被接合部材51,52に形成された筋堀55bで構成されている。筋堀55bの幅(被接合部材51,52の長手方向の長さ)は、ねじ軸部材13を回転するための冶具を差し込んで回転できる大きさである。
【0022】
このため、芯部材12の長さは、一方の被接合部材51の太さに対応させるのではなく、切欠き部56を構成する筋堀55bの大きさを考慮して一方の被接合部材51の太さよりも短く形成される。つまり、芯部材12は一方の被接合部材51における筋堀55bの底面55cとこれと相反する方向の側面55dとの間の距離に対応する長さに形成される。
【0023】
芯部材12を保持するため、一方の被接合部材51における底面55cの中心には、側面55dに貫通する保持穴57が形成され、保持穴57と直交する方向にはドリフトピン71を差し込むための挿通穴58が形成される。
【0024】
なお、筋堀55bが
図2の(b)に示したように接合面55aのみに形成されるのではなく、その反対側の側面55dにも等しい深さの筋堀55bが形成される場合には、芯部材12は両方の筋堀55bの底面55c同士の間の距離に対応する長さに形成される。またこの場合、芯部材12の貫通穴22の形成位置は、芯部材12の長手方向の中間点である。
【0025】
ねじ軸部材13は、全体としておおよそ寸切りボルト状であり、長手方向の中間に、ねじ軸部材13よりも大径で回転力が入力される締結部31が回転不可に形成されている。締結部31は六角ナット形状であり、一体形成されるほか、溶接等で一体化されるものであってもよい。
【0026】
ねじ軸部材13における締結部31よりも基端側部分には、芯部材12の雌ねじ21aに螺合する基端側雄ねじ32が形成される一方、締結部31よりも先端側部分に、他方の被接合部材52側に螺合する先端側雄ねじ33が形成される。基端側雄ねじ32と先端側雄ねじ33の太さは同じである。
【0027】
締結部31の形成位置は、ねじ軸部材13の長手方向の中間点よりも先端側であり、先端側雄ねじ33の長さを確保できる位置である。
【0028】
ねじ軸部材13の全体の長さは、基端側雄ねじ32の基端部が芯部材12の雌ねじ21aに螺合された状態でも先端側雄ねじ33が他方の被接合部材52側に対して十分に螺合する長さであり、切欠き部56におけるねじ軸部材13を通す方向の長さよりも長い。
【0029】
ねじ軸部材13の基端側雄ねじ32には、ねじ軸部材13よりも大径で回転力が入力される可動締結部材35と、可動締結部材35を下ナットとする上ナット36が備えられる。可動締結部材35は上ナット36よりも基端側雄ねじ32の基端側に位置する。これら可動締結部材35と上ナット36は、共に一般的な六角ナットで構成され、ねじ軸部材13に対して予め保持されるのではなく、使用に際して保持するようにしてもよい。
【0030】
ねじ軸部材13には締結部31の他に可動締結部材35と上ナット36が備えられてナットが3個並んだ態様になるので、切欠き部56の大きさが十分に得られない場合には、可動締結部材35の高さを上ナット36よりも低くするとよい。
【0031】
図2に示した柱材55同士の接合のように、他方の被接合部材52に雌ねじが存在しない場合には、他方の被接合部材52に固定される雌ねじ部材75を備える。この雌ねじ部材75には、前述の芯部材12と同様の構成の部材が好適に用いられる。すなわち、雌ねじ部材75は、柱状に形成されて少なくとも一端面に開口する軸穴76と、長手方向と直交する方向に貫通する貫通穴77が形成されている。軸穴76は全体にわたって雌ねじ76aを有している。
【0032】
雌ねじ部材75も芯部材12と同様に、ドリフトピン71を貫通穴77に突き刺して他方の被接合部材52に固定される。
【0033】
このため、一方の被接合部材51と同様に、他方の被接合部材52の筋堀55bの底面55cの中心には、側面55dに貫通する保持穴57が形成され、保持穴57と直交する方向にはドリフトピン71を差し込むための挿通穴58が形成される。
【0034】
以上のように構成された連結具11は、次のように使用されて接合構造が構成される。
【0035】
まず、
図3に示したように、接合し合う被接合部材51,52である柱材55の保持穴57に、それぞれドリフトピン71を用いて芯部材12又は雌ねじ部材75を固定する。柱材55に芯部材12又は雌ねじ部材75を固定しても、柱材55の外側面に突出するものは何もない状態である。
【0036】
つぎに一方の被接合部材51の芯部材12に、ねじ軸部材13の基端側雄ねじ32を螺合して、ねじ軸部材13を保持する。ねじ軸部材13は、芯部材12を一方の被接合部材51に対して固定する前に予め芯部材12に保持しておいてもよい。
【0037】
このとき、
図4に示したように、一方の被接合部材51における芯部材12の切欠き部56側の端面は、筋堀55bの底面55cと面一である。また、ねじ軸部材13の先端側雄ねじ33の先端は、切欠き部56から突出した位置にある。他方の被接合部材52における雌ねじ部材75の切欠き部56側の端面は、筋堀55bの底面55cと面一である。なお、ここで「面一」とは、完全に面一である場合のみを言うのではなく、芯部材12の端面の方が底面55cよりもごくわずかに低い場合を含む意味である。
【0038】
つづいて、
図5の(a)に示したように一対の被接合部材51,52における接合面55a、図示例では側面を互いに合わせて、ねじ軸部材13の締結部31を冶具で回転して、先端側雄ねじ33を雌ねじ部材75に螺合する。ねじ軸部材13は芯部材12と雌ねじ部材75の間を橋渡しするような態様になり、
図5の(b)に示したように締結部31を締め込むことによって、一対の被接合部材51,52は互いに接合し合う方向に締め付けられる。
【0039】
締結部31を締め込んだあとは、
図6に示したように、可動締結部材35を芯部材12に向けて締め付けてから緩み止め操作を行う。つまり、可動締結部材35を芯部材12の端面に対して締め込み、次に上ナット36を可動締結部材35に対して締め込む。この状態で、上ナット36を固定しながら可動締結部材35を逆方向に少し回転する。この緩み止め操作によって、上ナット36と可動締結部材35の間に突っ張り力が作用して緩み止めが完了する(
図2参照)。
【0040】
接合完了後は、切欠き部56に埋木(図示せず)を嵌めてもよい。
【0041】
以上のようにして接合がなされ、接合のための作業は被接合部材51,52の側面の切欠き部56を通して行えるので、接合方向の端にナットを回転する空間を設けられずボルト固定ができない箇所でも切欠き部56が得られれば、接合が可能である。このため、これまでできなかった態様の接合が行えるようになる。
【0042】
例えば、柱材55が面材(図示せず)と共に外壁パネル(図示せず。木造軸組建築物の構成材)を構成する一部材である場合や、柱材55を長手方向にI字状に接合する場合、土台と柱、柱と梁のようにT字状に接合する場合でも容易に連結できる。
【0043】
しかも、接合時において、一対の被接合部材51,52同士の間には引き付け合う力が作用しているので、強固な接合状態が得られる。
【0044】
また、連結具11による保持は、ボルト固定のように外側から締め付けるのではなく、芯部材12を雌ねじ部材75側に引き付けて、いわば内側から締めるような接合構造である。換言すれば芯部材12は単なるナットとして使用されるのではなく、ねじ軸部材13を保持し繰り出す部分として使用され、前述のようなこれまでにない機序で効果的な接合を行う。しかも、芯部材12は貫通穴22を有しており、この貫通穴22介して固定されるので、芯部材12やそれを固定するドリフトピン71等に荷重を分散できる。この点からも強固な接合ができる。
【0045】
そして接合状態においては、被接合部材51,52の外面に突出する部分は存在せず、従来のようにボルトの頭が邪魔になったりするようなことはなく、外観を良好にすることもできる。
【0046】
さらに、可動締結部材35に加えて、これを下ナットとする上ナット36を備えて、いわゆるダブルナットで緩み止めを行うので、接合した被接合部材51,52を分離することができる。また、緩み止めを行っても被接合部材51,52を損傷することもない。このため、必要に応じて解体して移動し、再度構築したり、組み替えたり、再利用したりすることができる。特に、被接合部材51,52が木造軸組建築物を構成するものであると、移築や改修、間仕切り変更なども容易になるうえ、産廃の発生を抑えることにもなり、非常に有益である。
【0047】
加えて、芯部材12の軸穴21は長手方向の両端面に開口しているので、ねじ軸部材13を保持している部分とは反対側の部分を利用して、他の部材との接合や、様々な構成材の構成に使用することができ、多様な接合が可能である。
【0048】
以下、その他の接合構造について簡単に説明する。先述の構成と同一の構成については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0049】
図7は、3本の柱材55を並設した例を示している。この場合、両側の柱材55が前述した一方の被接合部材51であり、中間の柱材55が前述した他方の被接合部材52である。中間の柱材55には、両側面に筋堀55bが形成される。
【0050】
図8は、4本の柱材55を平行に一体化した例を示している。この場合、
図7に示した両側に位置する柱材55のうちの一方を前述した一方の被接合部材51と他方の被接合部材52とを兼ねたものとして、その隣に前述した一方の被接合部材51を固定する。5本以上の柱材55を接合する場合も同様に行える。
【0051】
図9は、連結具11を用いて接合した高剛性の柱材59に、外壁パネル61を結合する例を示している。外壁パネル61は、梁材62と、上下方向に延びて外壁パネル61の端を構成する枠材63と、これらに一体化される面材64を有し、梁材62の枠材63側の端部に接合金物65が固定されている。接合金物65は、梁材62の端面と枠材63との間に保持される箱状の筐体66と、梁材62の差し込み溝に差し込んでドリフトピン71で保持される差し込み片67を有している。
【0052】
筐体66の内部には、前述のねじ軸部材13と同じ構成のねじ軸部材13が備えられている。ねじ軸部材13は、筐体66内に位置する部分に、締結部31と、可動締結部材35と、上ナット36を有している。基端側雄ねじ32は差し込み片67の途中まで延びており、先端側雄ねじ33は枠材63から突出している。
【0053】
このような構成の外壁パネル61は、高剛性の柱材59のいずれかの柱材55に固定された芯部材12又は雌ねじ部材75を介して固定される。すなわち、外壁パネル61を柱材55の側面に当てて、接合金物65のねじ軸部材13を芯部材12又は雌ねじ部材75に螺合して締め付ける。図示例では、芯部材12に螺合する例を示している。ねじ軸部材13の締結部31を締め込んだあと、可動締結部材35と上ナット36を締結部31の場合とは反対方向に締め込み、続いて緩み止め操作を行うと、柱材59と外壁パネル61の接合ができる。
【0054】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
【0055】
例えば、連結具11は柱材55同士の接合のほかに梁材同士など、他の部材の接合に使用してもよい。連結具11は前述した外壁パネル61などの構成にも使用できる。
【0056】
また、雌ねじ部材75に代えて、鬼目ナットなどのように固定対象に対して固定されるナットを利用してもよい。
【0057】
連結具11は木製の構成材のほか、たとえば軽量鉄骨など他の材料の接合に使用するものとすることも可能である。また、建築物のほか、例えば家具や什器などの構成に用いることもできる。
【符号の説明】
【0058】
11…連結具
12…芯部材
13…ねじ軸部材
21…軸穴
21a…雌ねじ
22…貫通穴
31…締結部
32…基端側雄ねじ
33…先端側雄ねじ
35…可動締結部材
36…上ナット
51,52…被接合部材
75…雌ねじ部材
76…軸穴
76a…雌ねじ
77…貫通穴
【要約】
【課題】例えば木造軸組建築物の構築における連結について、ボルト固定ができないような箇所でも強固な接合が行えるようにする。
【解決手段】一方の被接合部材51に固定される柱状に形成され、少なくとも一端面に開口する軸穴21を有した芯部材12と、芯部材12の軸穴21に基端側部分が保持されるねじ軸部材13を備える。芯部材12の軸穴21には雌ねじ21aを形成し、ねじ軸部材13の長手方向の中間に、ねじ軸部材13よりも大径で回転力が入力される締結部31を回転不可に形成する。また、ねじ軸部材13における締結部31よりも基端側部分に、雌ねじ21aに螺合する基端側雄ねじ32を形成し、締結部31よりも先端側部分には、他方の被接合部材52側に螺合する先端側雄ねじ33を形成する。基端側雄ねじ32には、ねじ軸部材13の他方の被接合部材52への締結状態を保持するナットからなる可動締結部材35を備える。
【選択図】
図2