(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】原稿載置台及び、原稿載置台を備える原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/20 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
B65H31/20
(21)【出願番号】P 2017088560
(22)【出願日】2017-04-27
【審査請求日】2020-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】千葉 麻子
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-236046(JP,A)
【文献】特開2013-056722(JP,A)
【文献】特開平09-175712(JP,A)
【文献】登録実用新案第3167899(JP,U)
【文献】特開2014-213983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を積載する積載部材と、
前記積載部材に収納可能に設けられた延長部材と、
前記延長部材に設けられた延長ガイドと、
前記積載部材に設けられ、前記延長ガイドと係合する延長部材保持部と
を備え、
前記延長ガイドが前記延長部材保持部の上面と下面との間でスライド可能に係合することにより、前記延長部材が前記積載部材から延長され、
前記延長部材保持部は、前記上面のうちの第1上面を含む第1保持部と前記上面のうちの第2上面を含む第2保持部とを有し、
前記第1保持部は前記第2保持部より前記延長部材の延長方向先端側に位置し、
前記第1保持部は前記第2保持部より前記延長ガイドとの隙間が広く設けられ、
前記延長部材は、前記積載部材に対し収納された収納状態と、前記積載部材に対し所定の角度をなすように延長した延長状態とで保持することが可能であり、
前記延長ガイドは、前記延長部材の延長方向の後端部に設けられた第1延長ガイドと、少なくとも前記延長部材の前記延長方向の先端部と後端部とに設けられた第2延長ガイドと、を有し、
前記積載部材は、前記延長状態において前記第1延長ガイドに接触して前記延長部材を所定の角度に保つための持ち上げ部を有し、
前記延長状態において、前記延長部材の前記延長方向の後端部に設けられた前記第2延長ガイドが前記第2上面と接触し、
前記収納状態において、前記延長部材の前記延長方向の先端部に設けられた前記第2延長ガイドが前記第1上面または前記第2上面と接触すること特徴とする原稿載置台。
【請求項2】
少なくとも前記第1延長ガイドが前記持ち上げ部と接触していないとき、前記延長部材の前記延長方向の後端部に設けられた前記第2延長ガイドが前記第2上面と接触することを特徴とする請求項1に記載の原稿載置台。
【請求項3】
前記第1延長ガイドと前記第2延長ガイドとは、前記延長部材の延長方向に直交する幅方向で異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の原稿載置台。
【請求項4】
前記第1上面は、前記第2上面と接続しており、
前記第2上面は、前記第1保持部に近づくにつれ前記延長ガイドとの隙間が広くなるように配置された上斜面部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の原稿載置台。
【請求項5】
前記持ち上げ部は、前記第1保持部の前記第1上面と対向する位置に設けられ、
前記延長部材の前記延長状態において、前記第2延長ガイド
が前記第2上
面に接触することにより、前記延長部材が前記延長状態に保持されることを特徴とする請求項4に記載の原稿載置台。
【請求項6】
前記持ち上げ部は、前記第2保持部から離れるにつれ前記積載部材の原稿の載置される上面に近づくように配置された下斜面を有することを特徴とする請求項5に記載の原稿載置台。
【請求項7】
前記延長ガイドにおける前記第2保持部との接点部は略円弧形状となっており、
前記延長部材が前記積載部材に対し所定の角度でスライド移動する際の動作を妨げないこと特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の原稿載置台。
【請求項8】
前記第2延長ガイドは前記接点部において、前記第2上面と前記下面とによって挟持されていることを特徴とする請求項7に記載の原稿載置台。
【請求項9】
前記延長部材は、前記延長方向の後端部かつ前記延長ガイドの後端部よりも前記延長方向の後端にはみ出た位置に凸形状が設けられており、
前記凸形状は前記延長部材の前記延長状態において、前記積載部材の原稿積載面に設けられた周囲よりも一段低くなった凹部に入り込むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の原稿載置台。
【請求項10】
前記積載部材は、前記延長部材のスライド動作中に、前記延長部材に当接して前記上面と略直交する方向に付勢する第1クリック機構を有し、
前記第1クリック機構は、前記延長部材が前記延長状態となる直前で、前記延長部材に当接する位置に設けられることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の原稿載置台。
【請求項11】
前記積載部材は、前記延長部材のスライド動作中に、前記延長部材に当接して前記延長方向と直交する方向に付勢する第1クリック機構を有し、
前記第1クリック機構は、前記延長部材が前記延長状態となる直前で、前記延長部材に当接する位置に設けられ、
前記第1クリック機構は前記凹部内に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の原稿載置台。
【請求項12】
前記第1保持部は、前記延長方向の先端部に抜け止め部を有し、
前記延長ガイドに設けられた突出部が前記抜け止め部に接触することにより前記延長部材を延長した際に前記延長部材が前記積載部材から抜け落ちないようにしていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の原稿載置台。
【請求項13】
前記積載部材に設けられた被嵌合部と、
前記延長部材に設けられ、前記延長部材が前記積載部材に収納される直前で前記延長方向と平行に前記被嵌合部に対して挿入される浮き止め部とを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の原稿載置台。
【請求項14】
前記積載部材は、前記延長部材のスライド動作中に、前記延長部材に当接して前記延長方向と直交する方向に付勢する第1クリック機構を有し、
前記浮き止め部は、前記延長部材が前記積載部材に収納される動作において、
前記第1クリック機構が前記延長部材を付勢している間に前記被嵌合部に挿入されることを特徴とする請求項13に記載の原稿載置台。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の原稿載置台と、
原稿を搬送する原稿搬送手段を有し、
前記原稿搬送手段によって搬送された前記原稿を、前記原稿載置台に向けて排出することを特徴とする原稿搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿載置台及び、原稿載置台を備える原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿載置台の一種である排紙トレイは装置から排出される原稿を安定して積載するためにある程度の大きさが必要である。特に原稿を装置上方後方から下方前面に搬送する原稿搬送装置に備えられた排紙トレイは装置前面に飛び出しており装置の設置面積を大きくする要因となるため、装置を使用しない際はコンパクトに収納できる構成の排紙トレイが一般的に知られている。しかし、そういった排紙トレイでは装置使用時に排紙トレイを延長するための機構を備える必要があり、排紙トレイのサイズや形状、装置の非使用時の設置面積、デザイン性に制限が出ていた。
【0003】
また排紙された原稿が排紙トレイに着地する際に、原稿が引っ掛かることが無くスムーズに排出されるように原稿の搬送方向に対し排紙トレイにおける原稿の着地面の角度が搬送方向に対して平行な向きに近づくように排紙トレイの角度を寝かせることが好ましい。しかし一方で排紙された原稿の排紙順狂いを防ぐために排紙トレイの下流側が上流側に比べ高くなるように傾斜をつけ、排紙された原稿の後端を排紙トレイの上流側に整列させることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排紙トレイの積載性の向上および設置面積の縮小の双方を実現するために、例えば特許文献1に提案される装置では、本体底面にスライド式の排紙トレイを配置し非使用時の装置の設置面積を小さくしている。しかし、特許文献1に提案される装置では、排紙トレイおよび、排紙延長トレイを装置設置面に平行に引き出す構成のため、排出された原稿の後端を排紙トレイの上流側に整列させることが困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の原稿載置台は、上記を鑑み、
原稿を積載する積載部材と、前記積載部材に収納可能に設けられた延長部材と、前記延長部材に設けられた延長ガイドと、前記積載部材に設けられ、前記延長ガイドと係合する延長部材保持部とを備え、前記延長ガイドが前記延長部材保持部の上面と下面との間でスライド可能に係合することにより、前記延長部材が前記積載部材から延長され、前記延長部材保持部は、前記上面のうちの第1上面を含む第1保持部と前記上面のうちの第2上面を含む第2保持部とを有し、前記第1保持部は前記第2保持部より前記延長部材の延長方向先端側に位置し、前記第1保持部は前記第2保持部より前記延長部材の延長方向先端側に位置し、前記第1保持部は前記第2保持部より前記延長ガイドとの隙間が広く設けられ、前記延長部材は、前記積載部材に対し収納された収納状態と、前記積載部材に対し所定の角度をなすように延長した延長状態とで保持することが可能であり、前記延長ガイドは、前記延長部材の延長方向の後端部に設けられた第1延長ガイドと、少なくとも前記延長部材の前記延長方向の先端部と後端部とに設けられた第2延長ガイドと、を有し、前記積載部材は、前記延長状態において前記第1延長ガイドに接触して前記延長部材を所定の角度に保つための持ち上げ部を有し、前記延長状態において、前記延長部材の前記延長方向の後端部に設けられた前記第2延長ガイドが前記第2上面と接触し、前記収納状態において、前記延長部材の前記延長方向の先端部に設けられた前記第2延長ガイドが前記第1上面または前記第2上面と接触すること特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排紙トレイの占有スペースを小さくしつつ、排紙整列性の向上をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略図。
【
図2】
図1の画像読取装置の制御ユニットのブロック図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の正面図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の他の正面図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の上面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の他の上面図。
【
図7】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略断面図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の他の概略断面図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の側面図。
【
図10】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の側面図。
【
図11】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の要部断面図。
【
図12】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の画像読取ユニットの断面図。
【
図13】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの延長トレイ収納時の上面図。
【
図14】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの延長トレイ収納時の側面図。
【
図15】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第1延長トレイを延長した状態の上面図。
【
図16】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第1延長トレイを延長した状態の側面図、側断面図。
【
図17】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第2延長トレイを延長した状態の上面図。
【
図18】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第2延長トレイを延長した状態の側面図、側断面図。
【
図19】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第1延長トレイと第2延長トレイを延長した状態の側面図、側断面図。
【
図20】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの延長トレイ収納時の断面図。
【
図21】本発明の一実施形態に関わる排出トレイを構成する各部品の形状を示す上面図。
【
図22】本発明の一実施形態に関わる排出トレイを構成する各部品の形状を示す側面図。
【
図23】本発明の一実施形態に関わる排出トレイを構成する各部品の形状を示す側断面図。
【
図24】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第1延長トレイの伸縮時の側面図、側断面図。
【
図25】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第2延長トレイの伸縮時の側面図、側断面図。
【
図26】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第3延長トレイの伸縮時、排出位置調整部材の回動時の側面図、側断面図。
【
図27】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第1延長トレイ伸縮時のクリック配置を表す側断面図。
【
図28】本発明の一実施形態に関わる排出トレイの第2延長トレイ伸縮時のクリック配置を表す側断面図。
【
図29】本発明の一実施形態に関わる排出開口の形状を表す側断面図。
【
図30】本発明の一実施形態に関わる排出開口の形状を表す斜視図。
【
図31】本発明の一実施形態に関わる第1延長トレイ収納前後の第1排出トレイとの位置決めの関係の変化を表す切断図。
【
図32】本発明の一実施形態に関わる第1延長トレイ延長前後の第1排出トレイとの位置決めの関係の変化を表す切断図。
【
図33】本発明の一実施形態に関わる第1延長トレイ延長前後の第1排出トレイとの位置決めの関係の変化を表す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の一実施形態に係る原稿載置台を備えた画像読取装置Aの概略図である。
【0010】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、積載部材としての排出トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。冊子を対象とする場合、ホルダ200を用いることができる。透明なホルダ200に見開き状態の冊子を収容して載置台1に載置することで、冊子がホルダ200と共に搬送され、その画像を読み取ることができる。
【0011】
<給紙>
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0012】
<駆動部>
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sを逆送または停止する場合には駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0013】
<分離構造>
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向))に回転駆動される。
【0014】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0015】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作用を持たせるようにしてもよい。
【0016】
<搬送構造>
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0017】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
【0018】
駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0019】
原稿を積載する排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されている。また、第1ヒンジ101側の第1排出トレイ2aとその先端側に接続された第1延長トレイ2b、第2延長トレイ2c、第3延長トレイ2dとから構成されている。第1延長トレイ2bは第1排出トレイ2aに対して摺動して収納可能に支持されており、第2延長トレイ2cは第1延長トレイ2bに対して摺動して収納可能に支持されており、第3延長トレイ2dは第2延長トレイ2cに対して摺動して収納可能に支持されている。
【0020】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0021】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0022】
<重送検出>
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0023】
<レジストセンサ>
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された搬送路RT上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0024】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出された時点で、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。
【0025】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60が画像読取ユニット70よりも上流側に配置されている。第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0026】
<CISの配置>
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0027】
<ブロック図の説明>
図2を参照して制御部80について説明する。
図2は画像読取装置Aの制御部80のブロック図である。
【0028】
制御部80はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部85を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0029】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0030】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。センサ87には、重送検出センサ40、媒体検出センサ50及び60、画像読取ユニット70等が含まれる。
【0031】
<PCからの開始指示受信による駆動>
画像読取装置Aの基本的な動作について説明する。制御部80は、例えば画像読取装置Aが接続された外部パソコンから画像読み取りの開始指示を受信すると、第1乃至第3搬送部10乃至30の駆動を開始する。載置台1に積載された搬送媒体Sはその最も下に位置する搬送媒体Sから1つずつ搬送される。
【0032】
また、後述するように、画像読取装置Aの操作部83に設けられたスタートキーによって画像の読み取りを開始し、その後画像読取の開始を外部パソコンに通知するようにしてもよい。
【0033】
<重送時の制御>
搬送の途中で搬送媒体Sは重送検出センサ40により重送の有無が判定され、重送が無いと判定されると搬送が継続される。なお、重送があると判定された場合には、搬送を停止するか、第1搬送部10による後続搬送媒体Sの取り込みを停止して、重送状態にある搬送媒体Sをそのまま排出するようにしてもよい。
【0034】
<レジストセンサの出力に応じた読取開始>
制御部80は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。画像が読み取られた搬送媒体Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその搬送媒体Sの画像読取処理が終了する。排出トレイ2は、原稿載置台の一例である。
【0035】
<表示パネルの構成>
図3は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を展開した状態の正面図である。より正確には、画像読取装置Aの正面側に傾斜して設けられた正面パネル90に対して垂直な方向から見た図であり、装置を載置した状態における正面よりもやや上方から見た状態の図である。
【0036】
正面上部の正面パネル90には表示パネル93が設けられ、その内部には操作部83の一例としての操作キー群122が設けられている。
【0037】
操作キー群122には、画像読取装置Aの動作を開始するためのスタートキー、ストップキーなどが設けられており、操作キー群122に隣接するようにして表示部94が設けられている。
【0038】
<排紙構造>
正面下部の下部パネル91には排出開口92が設けられており、第3搬送部30によって搬送された搬送媒体Sが排出される。
【0039】
図4は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を収納した状態の正面図である。排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されており、第1排出トレイ2aによって本体前面を覆うように構成されている。
【0040】
第1排出トレイ2aの第1ヒンジアーム部2acの先端は第1ヒンジ101と係合しており、第1排出トレイ2aは、第1ヒンジ101を支点として回動可能に画像読取装置Aの本体100に取り付けられている。第1排出トレイ2aは、正面パネル90と同サイズで形成され、
図4に示すような排出トレイ2の収納状態において、第1ヒンジ101を支点として回動し、正面パネル90を覆うように折り畳まれる。排紙トレイ2を正面パネル90側に折り畳んだ状態においても、排出開口92は開放されており、搬送された搬送媒体Sの排出が可能となっている。
【0041】
(延長トレイの展開状態)
排出トレイ2は収納状態を側面から見たときに「く」の字形状に屈曲した形状をしている。この「く」の字形状は排出トレイ収納時に正面パネル90の上に平行に重なる第1排出トレイ平面部2aaと第1ヒンジアーム2acの設けられた第1排出トレイアーム接続部2abを大きな円弧形状で滑らかに繋いでできている。
【0042】
第1排出トレイ2aは、排出トレイ2の展開状態においては、
図1に示すように、その原稿積載面2aacが画像読取装置Aの載置面と平行になるように設けられている。後述するように、例えば大きさの異なる原稿を連続して排出する際には、排出トレイ2aの原稿積載面2aacの角度は、所定の角度で形成されているのが好ましいが、薄紙などのコシの弱い原稿に対して角度を付け過ぎると排出途中で原稿が折れてしまい、原稿の整列性が低下してしまうことがある。そういった事情を鑑みると、排出トレイ2のヒンジ101側(本発明においては第1排出トレイ2a)に形成される原稿積載面は、載置面と平行であることが好ましい。なお、排出された原稿は、
図15に示す原稿積載面2aacに設けられたガイドリブ2a03によってガイドされるが、ガイドリブ2a03の設け方によっては、原稿積載面2aacとガイドリブ2a03の両方にガイドされ、原稿積載面2aacのみでガイドされる場合もある。
【0043】
図5、13~19はそれぞれ排出トレイ2の展開状態を表している。
図5は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を展開した状態における上面図、
図13は排出トレイを第1ヒンジ101中心に回動させ装置下方に配置した状態の上面図、
図14はその側面図、
図15は第1延長トレイ2bを第1排出トレイ2aから引き出した状態の上面図、
図16はその側面図と側断面図、
図17は第2延長トレイ2cを第1延長トレイ2bから引き出した状態(第1延長トレイ2bは第1排出トレイ2aに収納した状態)の上面図、
図18はその側面図および側断面図、
図19は第1排出トレイ2aから全ての延長トレイを引き出した状態の側面図および側断面図である。
【0044】
第3搬送部30により搬送されてきた搬送媒体Sは、排出開口92を経て第1排出トレイ2aに排出され、搬送媒体Sのサイズによっては第1排出トレイ2aから引き出された第1延長トレイ2b、第2延長トレイ2c、第3延長トレイ2dまで到達するように案内される。排出トレイは最大まで引き出した状態でも使用できるが、短い原稿を搬送する際は延長トレイを延長しない状態(
図13)、長い原稿を搬送する際は延長トレイを全て伸ばした状態(
図5、
図19)、それ以外の原稿では、延長トレイを1つだけ引き出した状態(
図15、17)というように原稿のサイズに合わせ引き出す長さを変えることができる。これにより原稿を搬送する際、装置の設置面積を最小限にすることができる。
【0045】
以下にそれぞれの状態の排出トレイの形状について説明する。なお、以下の説明においては、排出トレイ2における延長トレイの延長方向をx方向、排出トレイ2の回動における回動軸方向をy方向、それらと直交する方向をz方向としている。なお、x方向は延長トレイの延長方向が正方向、y方向は、排出トレイ2の対称性から、中央部を原点として両側ともに正方向、z方向は、画像読取装置Aの設置面の法線方向を正方向としている。
【0046】
(延長トレイの展開状態 延長なし-全体形状)
排出トレイ2を第1回転ヒンジ101中心に回動させ装置下方に配置した状態(
図14)において第1排出トレイ2aの上方に、原稿が排出される原稿積載面(2aac、2abc)が露出される。この原稿積載面は排出トレイ収納時に本体側に向いていた面であり、装置側面から見たときに「く」の字型をした傾斜面を有する面になっている。
【0047】
第1延長トレイ2bは第1排出トレイ2aにおける原稿積載面2aac側に配置され、第2延長トレイ2cは第1延長トレイ2bにおける原稿積載面2bc側に配置され、第3延長トレイ2dは第2延長トレイ2cにおける原稿積載面2cc側に配置されている。そのため各延長トレイが延長されていない状態(収納状態)において、各延長トレイと第1排出トレイ2aはそれぞれに原稿積載面を有した構成となっている。ここで第1排出トレイ2aの有する原稿積載面のうち第1排出トレイ平面部2aaに配置された原稿積載面2aac、第1延長トレイ2bの有する原稿積載面2bcと第2延長トレイ2cの有する原稿積載面2cc、第3延長トレイ2dの有する搬送面2dcは全て略同一平面上に構成されている。本実施形態においては、この平面は排出開口92から排出された原稿の先端が滑らかに排出トレイ2に導かれるように排出される原稿の方向(RT)に対し、平面の角度が45度以下になるように配置されている。
【0048】
(延長トレイの展開状態 第1延長トレイ延長-全体形状)
図15において第1延長トレイ2bを第1排出トレイ2aから引き出すと第2延長トレイ2cが第1延長トレイ2bに保持され、第3延長トレイ2dが第2延長トレイ2cに保持されているため第2延長トレイ2cと第3延長トレイ2dが第1延長トレイ2bと一体に引き出される。
図16に示すように、第1延長トレイ2bを延長する前後で第1延長トレイの原稿積載面2bc、第2延長トレイの原稿積載面2cc、第3延長トレイの原稿積載面2dcは原稿搬送方向の下流側が持ち上がる方向に角度がθ1変化する。
【0049】
(延長トレイの展開状態 第1延長トレイ延長-搬送経路のつなぎ)
また、原稿積載面2bcの最上流端に設けた斜面2bc1を第1排出トレイ2aの原稿積載面2acの下に潜り込ませ、先端が下面に近付くようになっており、同様に、原稿積載面2ccの最上流端に設けた斜面2cc1も第1排出トレイ2aの原稿積載面2aacの下に潜り込ませ、先端が下面に近付くようになっている。
【0050】
原稿積載面2bcおよび2ccの上流側に斜面2bc1、2cc1を設けることで、薄いコシのないたるみやすい原稿や、幅の小さい原稿を搬送した際に原稿先端が原稿積載面2aacの下に入り込んでしまった場合にも原稿先端をスムーズに下流側のトレイに誘導することができる。斜面2bc1、2cc1は第1延長トレイ2bの延長状態において原稿積載面2aacと45度以内の角度で繋がれていることが望ましい。
【0051】
また、原稿積載面2bcおよび2ccと原稿積載面2aacは角度θ1で滑らかに繋がれており、原稿積載面2aacを搬送される原稿先端を緩やかに下流側に導き原稿後端が排出される時は原稿後端が排出トレイの上流側に整列されやすくしている。但し、斜面2bc1や斜面2cc1の一部が原稿積載面2aacと交差するようにしても良い。
【0052】
第1延長トレイ2bの延長状態において、第1延長トレイ2bの斜面2bc1の先端は第1排出トレイの底面2a0との隙間ができるだけ小さくなるようにし隙間に搬送媒体Sが入り込まないようにしている。更に斜面2bc1の先端にy方向に沿って部分的に設けられ、x方向に延在する櫛歯用凸2b03は第1延長トレイの底面2a0にy方向に沿って設けられ、x方向に延在する櫛歯用凹に入りこみ、トレイ同士のつなぎ目が延長途中のどの段階であっても櫛歯状になるようにすることで、第1延長トレイ2bがどの位置にある時も搬送媒体Sの先端が滑らかに第1排出トレイ2aから第1延長トレイ2bに導かれるようにしている。
【0053】
本実施の形態において第1排出トレイ2aは前述の様に「く」の字形状をしており、延長トレイの長さをできる限り大きくするために第1延長トレイ2bよりも第2延長トレイ2cの方が搬送方向の長さを長くしている。そのため第1延長トレイ2bのみを延長した状態では第2延長トレイ2cの先端が第1排出トレイ2aの上に浮いている状態となるようにしている。第2延長トレイ2cの先端に搬送媒体Sが引っ掛かるのを防止するために第1排出トレイ2aには中央部に背の高い中央リブ2a8を立て、第2延長トレイ2cの斜面2cc1の先端の中央リブ2c8と櫛歯状につなぐ(y方向視で重なる)ことで、搬送媒体Sの引っ掛かりを防止している。
【0054】
また第1延長トレイ2bの延長に伴い第1延長トレイ2bの角度が変わるため、第1延長トレイ2bの先端は延長されるに従い第1排出トレイ2aの底面2a0に食い込んでいく。この時の干渉による操作力の増大を防止するため第1排出トレイの底面2a0には
図15に示す櫛歯用凹2a02が設けている。
【0055】
(延長トレイの展開状態 第2延長トレイ延長-全体形状)
図17に示すように、第2延長トレイ2cを第1延長トレイ2bから引き出すと、第3延長トレイ2dが第2延長トレイ2cに保持されているため、第3延長トレイ2dが第2延長トレイ2cと一体に引き出される。
【0056】
図18に示すように、第2延長トレイ2cを延長する前後で第2延長トレイ2cの原稿積載面2cc、第3延長トレイ2dの原稿積載面2dcは原稿搬送方向の下流側が持ち上がる方向に角度がθ2変化する。また原稿積載面2ccの最上流端に設けた斜面2cc1を第1延長トレイ2bの原稿積載面2bcの下に潜り込ませ原稿積載面2ccと原稿積載面2bcを角度θ2で滑らかに繋ぎ、原稿先端を緩やかに下流側に導き、原稿後端が排出される時は原稿後端を排出トレイの上流側に整列させる。
【0057】
(延長トレイの展開状態 第2延長トレイ延長-搬送経路のつなぎ)
原稿積載面2ccの上流側に斜面2cc1を設けることで、薄いコシのないたるみやすい原稿や、幅の小さい原稿を搬送した際に原稿先端が原稿積載面2aac、2bcの下に入り込んでしまった場合にも原稿先端をスムーズに下流側のトレイに誘導することができる。2cc1は第2延長トレイ2cの延長状態において原稿積載面2aac、2bcと45度以内の角度で繋がれていることが望ましい。
【0058】
第2延長トレイ2cの延長状態において、第2延長トレイ2cの斜面2cc1の先端は第1延長トレイ2bの底面2b0との隙間ができるだけ小さくなるようにし、隙間に搬送媒体Sが入り込まないようにしている。更に斜面2c1の先端にy方向に沿って部分的に設けられ、x方向に延在する櫛歯用凸2c03は、y方向の中央に設けられ、x方向に延在する中央リブ2c8が、第1延長トレイ2bの底面2b0に設けられた中央スリット2b8に入りこみ、トレイ同士のつなぎ目が延長途中のどの段階であっても櫛歯状になるようにすることで、第2延長トレイ2cがどの位置にあるかに関わらず、搬送媒体Sの先端が滑らかに第1延長トレイ2bから第2延長トレイ2cに導かれるようにしている。
【0059】
また、第2延長トレイ2cの延長状態において第1排出トレイ2aの中央リブ2a8と第2延長トレイ2cの中央リブ2c8は櫛歯状になり搬送面を滑らかに繋いている。第1延長トレイ2bが第1排出トレイ2aに収納された状態において第1排出トレイ2aの中央リブ2a8は第1延長トレイ2bの中央スリット2b8から搬送面に露出している。この構成により第1延長トレイのみ延長した際も、第2延長トレイのみ延長した際も第1排出トレイと第2延長トレイの搬送面を櫛歯形状で滑らかに繋ぐことができる。
【0060】
(延長トレイの展開状態 第1、第2延長トレイ延長-全体形状)
第1延長トレイ2bを第1排出トレイ2aから引き出し、第2延長トレイ2cを第1延長トレイ2bから引き出した状態(
図19)において、第3延長トレイ2dは第2延長トレイ2cに保持されるため第2延長トレイ2cと一体に引き出されている。
【0061】
第1延長トレイ2bを延長する前後で第1延長トレイ2bの原稿積載面2bcは原稿搬送方向の下流側が持ち上がるよう方向に角度がθ1変化し、第2延長トレイ2cを延長する前後で第2延長トレイ2cの原稿積載面2cc、第3延長トレイ2dの原稿積載面2dcは原稿搬送方向の下流側が持ち上がるよう方向に角度がさらにθ2変化する。このため排出トレイ2は延長状態において上流側から下流側に進むにつれ2段階で原稿の積載面の角度が立ち上がる構成になっている。
【0062】
また、原稿積載面2ccの最上流端に設けた斜面2cc1を第1延長トレイ2bの原稿積載面2bcの下に潜り込ませ、先端が下面に近付くようになっている。
【0063】
原稿積載面2ccの上流側に斜面2cc1を設けることで、薄いコシのないたるみやすい原稿や、幅の小さい原稿を搬送した際に原稿先端が原稿積載面2bcの下に入り込んでしまった場合にも原稿先端をスムーズに下流側のトレイに誘導することができる。斜面2cc1は第2延長トレイ2cの延長状態において原稿積載面2bcと45度以内の角度で繋がれていることが望ましい。
【0064】
また、原稿積載面2ccと原稿積載面2bcは角度θ2で滑らかに繋がれており、原稿積載面2aacを搬送される原稿先端を緩やかに下流側に導き原稿後端が排出される時は原稿後端が排出トレイの上流側に整列されやすくしている。但し、斜面2cc1の一部が原稿積載面2bcと交差するようにしても良い。
【0065】
(延長トレイの展開状態 第3延長トレイの排出位置調整部材回動)
図26は第3延長トレイ2dおよび排出位置調整部材120の可動範囲及び可動方向を示す側面図と側断面図である。第3延長トレイ2dは第2延長トレイ2cに原稿搬送方向にスライド可能に保持され、配置位置を自在に変えられる。また排出位置調整部材120にはスライド方向への移動を妨げる負荷がかけられており、原稿サイズに合わせた位置に保持することができ、排出された原稿に押されても容易に移動しない構成になっている。
【0066】
第3延長トレイ2dには、排出位置調整部材120が回動可能に設けられており、搬送媒体Sの搬送方向に対する長さに応じて引き出された各延長トレイに対し、起立状態になるよう回動させることで搬送媒体Sが停止する位置を調整し、排出された搬送媒体Sを散らばりにくくして整列性を向上できる。
【0067】
第3延長トレイ2dは排出トレイ2がどの展開状態にあっても必ず原稿積載面2dcが原稿の搬送面上に露出している。そのため原稿の長さに合わせ排出トレイ2の展開状態を選ぶことで、搬送する原稿の長さに適した位置に排出位置調整部材120を配置することができる。
【0068】
(排紙延長トレイの延長時の動き)
次に上述の第1延長トレイ2b、および第2延長トレイ2cの延長時の動きについて、断面図を用いて具体的に説明する。
【0069】
(排紙延長トレイの延長時の動き 第1延長トレイ)
図24は第1延長トレイ2bを第1排出トレイ2aから引き出す際の第1延長トレイ2bおよび、第1延長トレイ2bの第1排出トレイ2aとの係合部の動きを表す側面図(
図24(a))、断面図(
図24(b)、(c))、
図25は第2延長トレイ2cを第1延長トレイ2bから引き出す際の第2延長トレイ2cおよび、第2延長トレイ2cにおける第1延長トレイ2aとの係合部の動きを表す側面図(
図25(a))、断面図(
図25(b)、(c))である。
【0070】
図24(a)は第1延長トレイ2bを第1排出トレイ2aからスライドする際の角度の変化を表している。スライド動作の前半はX方向にスライドされ、その後スライドの後半になると徐々に第1延長トレイ2bの角度が変化し、延長状態では第1排出トレイ2aと第1延長トレイ2bとの間の角度はθ1となる。
【0071】
図24(b)は、
図21に示す第1延長トレイ2bの凸形状2b1の抜け止め部2b117が、第1排出トレイ2aの凹形状の中をスライドする際の様子、凹内出っ張り形状2a26との位置関係の変化を表している。断面の位置は
図15に示すB-B断面である。第1排出トレイ2aの凹部の下流側の上斜面2a216をX方向が開くように逃げた形状にすることで第1延長トレイ2bに干渉せず第1延長トレイ2bの延長状態で、第1延長トレイ2bの抜け止め面2b114が第1排出トレイ2aの抜け止め面2a25に接触し、位置決め2a28により第1延長トレイ2bの下面部2b14が支えられ角度が保持される。第1延長トレイ2bの延長途中において斜面2a29によりガイドされる第1延長トレイ2bは
図24に示すように角度が徐々に変化する。この位置決め2a28、斜面(下斜面)2a29は、第1保持部の一例であり、凸形状2b1は延長ガイドの一例である。上斜面2a216は上斜面部の一例である。
【0072】
図24(c)は、
図22に示す第1延長トレイ2bの凸形状2b1(抜け止め形状2b117以外の部位も含む)が第1排出トレイ2aの凹形状の中をスライド移動する際の角度の変化を表している。断面の位置は
図15に示すC-C断面である。第1延長トレイ2bの凸形状2b1のうち抜け止め形状2b117以外も常に第1排出トレイ2aの凹形状にガイドされており、広範囲で第1延長トレイ2bの浮きを防止し、第1延長トレイ2bの位置決め2b111(延長ガイド後端部)が第1排出トレイ2aの位置決め面2a213と下面部2a22により保持されていること、延長動作時に第1排出トレイ2aの凹形状の+X方向端部を上方(+Z方向)に開いていることで第1延長トレイ2bの凸形状2b1との干渉が発生せずスムーズな延長動作が行える。
【0073】
(排紙延長トレイの延長時の動き 第2延長トレイ)
図25(a)は第2延長トレイ2cを第1延長トレイ2bからスライド移動する際の角度の変化を表している。前述の構成により、スライド動作の前半はX方向にスライド移動され、その後スライド動作の後半になると徐々に第2延長トレイ2cの角度が変化し、延長状態では第1延長トレイ2bと第2延長トレイ2cとの間の角度はθ2となる。
【0074】
図25(b)は、
図22に示す第2延長トレイ2cの凸形状2c1の抜け止め形状2c117の第1延長トレイ2bの凹形状の中をスライド移動する際の様子、凹内出っ張り形状2b26との位置関係の変化を表している。断面の位置は
図17に示すD-D断面である。第1延長トレイ2bの凹部の下流側の上斜面2b216、2b217を第2延長トレイ2cに干渉しないように配置し、第2延長トレイ2cの延長状態で、第2延長トレイ2cの抜け止め面2c114を第1延長トレイ2bの抜け止め面2b25に接触させ、延長時回転止め面2b213により角度が保持される。
図25に示すように第1延長トレイ2bの延長途中において斜面2b29によりガイドされ第2延長トレイ2cの角度が徐々に変化する。
【0075】
図25(c)は、第2延長トレイ2cの凸形状2c1(抜け止め形状2c117以外の部位も含む)の第1延長トレイ2bの凹形状の中をスライド移動する際の角度の変化を表している。断面の位置は
図17に示すE-E断面である。前述の構成により、第2延長トレイ2cの凸形状2c1のうち抜け止め形状2c117以外も常に第1延長トレイ2bの凹形状にガイドされており、広範囲で第2延長トレイ2cの浮きを防止している。第2延長トレイ2cの摺動面2c113が第1延長トレイ2bの位置決め2b28と延長時位置決め面2b215により保持される。
図25に示すように延長動作時に第1延長トレイの凹形状の+X方向端部が上方(+Z方向)に開いていることで第2延長トレイ2cの凸形状2c1との干渉が発生せずスムーズに延長動作が行える。
【0076】
前述および後述の排出トレイの延長トレイの構成については、主に延長トレイの延長時の動作について明記しているが、延長トレイの収納時は延長時と反対の動きをし、延長時同様に円滑に延長トレイの収納ができるようになっている。
【0077】
(組み付け時の全部品の位置関係)
次に各延長トレイをX方向にスライド可能に保持するための構成を、断面を用いて説明する。
図20は各延長トレイを延長せず全て第1排出トレイ2a内に収納した状態(
図13同様)をX方向から見たときの内部構造を示す断面図である。第1延長トレイ2bの凸形状2b1が第1排出トレイの「コ」の字型の凹部2a2に入りこむ構成になっている。また第2延長トレイ2cの凸形状2c1が第1延長トレイの「コ」の字型の凹部2b2に入りこむ構成になっており、第3延長トレイ2dの凸形状2d1が第2延長トレイ2cの「コ」の字型の凹部2c2に入りこむ構成になっている。各凸形状は延長ガイドの一例であり、各凹部は延長部材保持部の一例である。延長ガイドを薄板状に形成することで、摺動性を保ちつつ、引き出した状態で保持し易くなっている。
【0078】
第1排出トレイ2aの凹部2a2は下面部2a22と上面部2a21のそれぞれの+Y方向端部を繋ぐように設けられた側面部2a23からなる。第1延長トレイ2bの凹部2b2は下面部2b22と上面部2b21のそれぞれの+Y方向端部を繋ぐように設けられた側面部2b23からなる。また第2延長トレイ2cの凹部2c2は下面部2c22と上面部2c21のそれぞれの+Y方向端部を繋ぐように設けられた側面部2c23からなる。
【0079】
これらの構成は搬送路の中心(y方向の原点)に対し対称に各延長トレイのY方向両端部に設けられている。両端に設けられた「コ」の字形状の凹部はそれぞれの開口部同士が向かい合うように配置されており、各「コ」の字形状に入りこむ凸形状は延長トレイからY方向に突出するように設けられている、これにより各延長トレイは凹部によって保持され、Z方向に位置決めされる。延長トレイのスライド動作の前後、途中においても各延長トレイの凸形状はそれぞれ対応する凹部に保持されたままであり、各延長トレイはZ方向に浮き上がること無く保持される。
【0080】
(排紙トレイの各部品の形状)
次に上述の延長トレイの延長時の動きを実現するための具体的構成について説明する。
図21~
図23は排出トレイを構成する各部品の形状を示す上面図(
図21)および側面図(
図22)、断面図(
図23)である。
図23の断面の位置は
図21に示すA-A断面である。
【0081】
(排紙トレイの各部品の形状 第1延長トレイ凸形状)
前述の第1延長トレイ2bの凸形状2b1は凸先端部2b13、凸中間部2b12、凸後端部2b11からなり、+X方向に向けて凸後端部2b11、凸中間部2b12、凸先端部2b13の順に並んでいる。凸先端部、中間部、後端部の下面側(-Z方向)の面は平面状の同一な下面部2b14となっており、第1延長トレイ2bの収納時、スライド途中において第1排出トレイ2aの凹部2a2の下面部2a22に接触する。凸形状2b1の下面部2b14の反対側の面であり下面部2b14に平行に設けられた上面部2b112、2b122には部分的に+z方向に向けて出っ張り形状が設けられている。凸後端部2b11は凸形状2b1の上流端(-X方向端部)に位置し、第1延長トレイ2bのZ方向の位置決め2b111と第1延長トレイ2bを延長した際の突き当て(抜け止め)形状を有する。凸後端部2b11の上流端(―X方向端部)と下流端(+X方向端部)には、延長動作時に第1排出トレイ2aの上面部2a21と摺動する位置決め2b111と摺動面2b113がZ方向に出っ張って設けられている。
【0082】
位置決め2b111は下面部2a22と接する円弧形状になっている。第1延長トレイ2bの位置決め2b111と摺動面2b113の間には一段低い上面部2b112が設けられている。凸後端部2b11はY方向に広がった抜け止め部2b117を有し、抜け止め部2b117の下流端(+X方向端部)には第1延長トレイ2b延長時の突き当てとなる抜け止め面2b114が設けられ、抜け止め面2b114の-Z方向端部には第1延長トレイ2bの延長動作時に第1排出トレイ2aの下面部2a22および斜面2a29に当接し、徐々に第1延長トレイ2bの角度を調整する角度調整部2b115が設けられている。
【0083】
凸先端部2b13の下流端(+X方向端部)は厚み方向(Z方向)上側と下側の双方に出っ張っている。+Z方向に最も高くなった後端上面2b131は第1延長トレイ2bを第1排出トレイ2aに収納した際の第1延長トレイ2bのZ方向の位置決めとなる。-Z方向に出っ張った凸形状には第1延長トレイ2bの収納時に第1排出トレイ2aに突き当たる突き当て面2b133がX方向に垂直に設けられている。
【0084】
(排紙トレイの各部品の形状 第2延長トレイ凸形状)
前述の第2延長トレイ2cの凸形状2c1は凸先端部2c13、凸中間部2c12、凸後端部2c11からなり、+X方向に向けて凸後端部2c11、凸中間部2c12、凸先端部2c13の順に並んでいる。凸先端部2c13、中間部2c12、後端部2c11の下面側(-Z方向)の面は平面状の面一な下面部2c14となっており、第2延長トレイ2cの収納時、スライド途中において第1延長トレイ2bの凹部2b2の下面部2b22に接触する。凸形状2c1の下面部2c14の反対側の面であり下面部2c14に平行に設けられた上面部2c112、2c122には部分的に+z方向に向けた出っ張り形状が設けられている。
【0085】
凸後端部2c11は、凸形状2c1の上流端(-X方向端部)に位置し、第2延長トレイ2cのZ方向の位置決め2c111と第2延長トレイ2cを延長した際の突き当て(抜け止め)形状を有する。凸後端部2c11の上流端(―X方向端部)と下流端(+X方向端部)には、延長動作時に第1延長トレイ2bの凹部2b2の上面部2b21と摺動する位置決め2c111と摺動面2c113がZ方向に出っ張って設けられている。位置決め2c111の天面と摺動面2c113の天面は略円弧形状になっており、第2延長トレイ2cの位置決め2c111と摺動面2c113の間には一段低い上面部2c112が設けられている。
【0086】
凸先端部2c13はY方向に広がった抜け止め部2c117を有し、抜け止め部2c117の下流端(+X方向端部)には第2延長トレイ2cの延長時の突き当てとなる抜け止め面2c114が設けられ、抜け止め面2c114の-Z方向端部には第2延長トレイ2cの延長動作時に第1延長トレイ2bの下面部2b22および斜面2b29に当接し、徐々に第2延長トレイ2cの角度を調整する角度調整部2c115が設けられている。
【0087】
凸先端部2c13の下流端(+X方向端部)は厚み方向(Z方向)上側と下側の双方に出っ張っている。+Z方向に最も高くなった後端上面2c131は第2延長トレイ2cを第1延長トレイ2bに収納した際の第2延長トレイ2cのZ方向の位置決めとなる。-Z方向に出っ張った凸形状には第2延長トレイ2c収納時に第1延長トレイ2bに突き当たる突き当て面2c133がX方向に垂直に設けられている。
【0088】
(排紙トレイの各部品の形状 第3延長トレイ凸形状)
前述の第3延長トレイ2dの凸形状2d1は、径が等しい二つの丸ボス形状2d12と2d11とからなる。丸ボス形状2d12は丸ボス形状2d11よりも+X方向(下流側)に設けられている。丸ボス形状2d11はアーム形状2d5の先端に設けられ、丸ボス形状2d12よりもY方向の長さが長くなっている。
【0089】
(排紙トレイの各部品の形状 第1排出トレイ凹形状)
前述の第1排出トレイ2aの凹部2a2は、
図23に示すように、第1排出トレイ2aの側面2a4に横穴を掘るように形成され、第1排出トレイ2aの内側を向くようにX方向(搬送方向)に細長く設けられている。凹部2a2の下流端(+X方向端部)には凹部の深さが浅くなるように設けられた凹内出っ張り形状2a26があり、凹内出っ張り形状2a26の+X方向端部(最下流端)は凹部2a2の下面と上面が繋がり、抜け止め部2a25が形成されている。これにより第1延長トレイ2bのY方向に出っ張っている抜け止め部2b117がX方向に通り抜けできなくなり、第1延長トレイ2bが延長された時に、第1排出トレイ2aから抜けて取れてしまわないようになっている。
【0090】
また、第1延長トレイ2bの抜け止め面2b114が第1排出トレイ2aの抜け止め部2a25に突き当たることにより第1延長トレイ2bのスライド範囲を規制している。凹内出っ張り形状2a26は第1延長トレイ2bをX方向にスライド移動した際に抜け止め部2b117以外が接触しない高さで設けられているため、第1延長トレイ2bの抜け止め面2b114が第1排出トレイの抜け止め部2a25に接触するまではスムーズにスライド動作を行うことができる。
【0091】
また第1延長トレイ2bを延長しきっていない時は、第1延長トレイ2bの凸形状2b1のうち抜け止め部2b117以外の箇所も第1排出トレイ2aの凹部2a2によってZ方向にガイドされるため、スライド動作の途中においても第1延長トレイ2bと第1排出トレイ2aの原稿積載面が揃い、排出される搬送媒体Sに対してアンバランスな負荷を与えることがなく、排紙整列性、安定性を向上できる。また、摺動時の接触面積を増やすことにより延長動作が安定し、操作感の向上、繰り返し伸縮動作を行った際の部品の削れ量の軽減による耐久性の向上が可能となる。
【0092】
第1排出トレイ2aの凹部2a2の凹内出っ張り形状2a26には抜け止め部2a25より-X方向(上流側)に第1延長トレイ2bの延長時のZ方向の位置決め2a28が第1排出トレイ2aの下面2a22に平行且つ下面部2a22の+Z方向に設けられ、下面部2a22と位置決め2a28はなだらかな斜面2a29で繋がれている。第1延長トレイ2bの延長動作時に第1延長トレイ2bの抜け止め面2b114の-Z方向端部に設けられた角度調整部2b115が斜面2a29を滑りながら登り、位置決め2a28に乗り上げ、下面部2b14が位置決め面に到達することで第1延長トレイ2bの角度が徐々に変化しθ1に達する。位置決め2b111は下面部2a22と接する円弧形状になっており、位置決め2b111の円弧を軸にして第1延長トレイ2bが回転できるため、第1延長トレイ2bの延長に伴って、トレイの角度が変更可能になっている。
【0093】
第1排出トレイ2aの下面部2a22は平面状に設けられ、第1延長トレイ2b収納時に第1延長トレイ2bの凸形状2b1の下面部2b14に当接する。また、延長動作時に、第1延長トレイ2bの角度調整部2b115が斜面2a29に接触するまでの間は第1延長トレイ2bはX方向にスライドし、下面部2b14と下面部2a22は接触したまま摺動する。
【0094】
図24(c)に示すように、第1排出トレイ2aの凹部2a2の上面部は+X方向端部(下流端)が+Z方向に開いた上斜面2a216になっており、第1延長トレイ2bが延長された際に、第1延長トレイ2bの凸形状2b1が上面部に干渉しないようにしている。
【0095】
上斜面2a216は斜面2a29よりも斜面の角度が寝ており、斜面同士の隙間は-X方向では広く、+X方向では狭くなっている。これはほぼ直線状の第1延長トレイの抜け止め部2b117がX方向に移動しながら角度を変更するためのスペースを確保するためである。この構成により延長途中において第1延長トレイ2bの位置決め2b111と摺動面2b113の間に設けられた一段低い上面部2b112と、凹部2a2の上面部に設けられた上面2a211よりもわずかに-Z方向に出っ張った位置決め面2a213との隙間を確保できる。この上面2a211や位置決め面2a213と対向する下面部2a22とで挟まれる部分は、第2保持部の一例である。
【0096】
また、上面部の上斜面2a216(および位置決め面2a213)よりも-X方向(上流側)は下面部2a22に平行な上面2a211が凹部2a2の-x方向(上流側)の端部まで続いている。上面2a211と下面部2a22の幅は第1延長トレイ2bの下面部2b14から位置決め2b111、摺動面2b113の天面までの幅よりもわずかに広くなっており、第1延長トレイ2bのスライド時に位置決め2b111と摺動面が引っ掛かることなくスムーズに動くようにしている。これにより操作力の低減、耐久性の向上をしている。
【0097】
上面2a211のX方向の両端には上面に平行に出っ張った位置決め面2a212(-X方向端部(上流端))、2a213(+X方向端部(下流端))が設けてあり、それぞれ、第1延長トレイ2bを収納した際と延長した際とで、第1延長トレイ2bの位置決め2b111と上面部2a211の隙間を埋め、第1延長トレイ2bの先端が浮き上がらないように押さえこみ、第1延長トレイ2bのZ方向の位置を規制している。
【0098】
上斜面2a216の最下流端には第1延長トレイ2b収納時に第1延長トレイ2bの先端上面(位置決め面)2b131に当接し、第1延長トレイ2bの収納時のZ方向の位置を決め、第1延長トレイ2bの浮き上がりを防止する位置決め面2a214が設けられている。ここで、第1延長トレイ2bの延長状態においては、位置決め2b111を下面部2a22と位置決め面2a213で挟み込むように構成されている。
【0099】
また、第1延長トレイ2bの延長途中で第1延長トレイ2bは位置決め2b111を回転中心として回転しながらX方向に移動する。そのため本実施形態では位置決め2b111を下面部2b14に接するように接続される円柱形状としており、この形状により第1延長トレイ2bは延長途中でスムーズに角度の変更ができ、また下面部2a22と位置決め面2a213の幅を位置決め2b111の径と同じにしておくことで精度良く第1延長トレイの位置決め2b111の浮きを防止できる。
【0100】
また、第1延長トレイ2b延長時には、位置決め面2a214は第1延長トレイ2bの摺動面2b113とわずかに隙間を開けたすぐ上方に位置し、第1延長トレイ2b延長時の角度を規制している。
【0101】
第1排出トレイ2aの下面部2a212の下流端(+X方向端部)は-Z方向に切り欠かれ、X方向に垂直な第1延長トレイ2bの収納時の突き当て面2a27が設けられており、第1延長トレイ2bの収納時に突き当て面2b133に当接し、第1延長トレイ2bのX方向の位置を規制している。
【0102】
(排紙トレイの各部品の形状 第1延長トレイ凹形状)
前述の第1延長トレイ2bの凹部2b2は、第1延長トレイ2bの側面2b4に横穴を掘るように形成され、第1延長トレイ2bの内側を向くようにX方向(搬送方向)に細長く設けられている。凹部2b2の下流端(+X方向端部)には凹部2b2の深さが浅くなるように設けられた凹内出っ張り形状2b26があり、凹内出っ張り形状2b26の+X方向端部(最下流端)は凹部2b2の下面と上面が繋がり、抜け止め部2b25が形成されている。これにより第2延長トレイ2cのY方向に出っ張っている抜け止め部2c117がX方向に通り抜けできなくなり、第2延長トレイ2cが延長された時に、第1延長トレイ2bから抜けて取れてしまわないようになっている。
【0103】
また、第2延長トレイ2bの抜け止め面2c114が第1延長トレイ2bの抜け止め部2b25に突き当たることにより、第2延長トレイ2cのスライド範囲を規制している。凹内出っ張り形状2b26は第2延長トレイ2cをX方向にスライドした際に抜け止め部2c117以外が接触しない高さで設けられているため、第2延長トレイ2bの抜け止め面2c114が第1延長トレイの抜け止め部2b25に接触するまではスムーズにスライド動作を行うことができる。
【0104】
また、第2延長トレイ2cを延長しきっていない時は、第2延長トレイ2cの凸形状2c1のうち抜け止め部2c117以外の箇所も第1延長トレイ2bの凹部2b2によってZ方向にガイドされるため、スライド動作の途中においても第2延長トレイ2cと第1延長トレイ2bの原稿積載面が揃い、排出される搬送媒体Sに対してアンバランスな負荷を与えることがなく、排紙整列性、安定性を向上できる。また、摺動時の接触面積を増やすことにより、延長動作が安定し操作感の向上、繰り返し伸縮動作を行った際の部品の削れ量の軽減による耐久性の向上が可能となる。
【0105】
第1延長トレイ2bの凹部2b2の凹内出っ張り形状2b26には抜け止め部2b25の-X方向(上流側)に第2延長トレイ2cの延長時のZ方向の位置決め2b28が第1延長トレイ2bの下面部2b22に平行且つ下面部2b22の+Z方向に設けられ、下面部2b22と位置決め2b28はなだらかな斜面2b29で繋がれている。
【0106】
第1延長トレイ2bには第2延長トレイ2cを延長する途中から第2延長トレイ2cの不図示の凸部に接触し第2延長トレイ2cの角度を調整する斜面2b5(
図21参照)が設けられており、凸部が斜面2b5を上ることで第2延長トレイ2cの角度が調整される。
【0107】
ある程度第2延長トレイ2cの角度がθ2に近づいた時点で第2延長トレイ2cの抜け止め面2c114の-Z方向端部に設けられた角度調整部2c115が斜面2b29に接触し、滑りながら位置決め2b28に乗り上げ、下面部2c14が位置決め2b28に到達することで第2延長トレイ2cの角度がθ2に達する。角度がθ2に達した時点では前述の不図示の凸部と斜面2b5との接触は解除される。
【0108】
なお本実施形態では、角度を調整する斜面がy方向の異なる位置に2か所(2b5、2b29)設けられており、延長途中で切り替わっているが、どちらか一方のみとし、一方のみでトレイの角度調整のガイドと延長時の位置決めまでを行う構成としても良い。
【0109】
位置決め2c111は天面が円弧形状になっており第2延長トレイ2cの角度に合わせ第1延長トレイ2bとの接点が変化する。第2延長トレイ2cの延長時は第2延長トレイ2cの重心は第1延長トレイ2bよりも+X方向に位置するため第2延長トレイは下面部2c14と位置決め2b28の接点を支点に+X方向が-Z方向に下がる方向に重力モーメントが発生する。ここで位置決め2c111が回転止め2b213によって押さえられるため第2延長トレイ2cは回転せずに角度θ2の状態で保持される。
【0110】
この構成によれば、第2延長トレイ2cの角度を延長動作の早い段階で変え始めることができるので、操作方向の変化が緩やかになり、ユーザーにとってはまっすぐに第2延長トレイを引き出したように感じられることで操作感を損なうことなく延長トレイの角度調整が行える。また、第2延長トレイ2cを延長しきった状態では斜面2b5に第2延長トレイ2cが接触しないため、第2延長トレイ2cのY方向両端のみを第1延長トレイ2bによって保持する構成になる。そのため、斜面2b25により第2延長トレイ2cの不図示の凸部がZ方向に押されることで、第2延長トレイ2cのY方向中央の先端(-X方向端部)が持ち上がってしまい、原稿がこの持ち上がった中央部分に引っ掛かるのを防止できる。
【0111】
第1延長トレイ2bの下面部2b22は平面状に設けられ、第2延長トレイ2c収納時に第2延長トレイ2cの凸形状2c1の下面部2c14に当接する。また、第2延長トレイ2cの不図示の凸部が斜面2b5に接触するまでの間は、第2延長トレイ2cはX方向にスライドし、下面部2c14と下面部2b22は接触したままで摺動する。第1延長トレイ2bの凹部2b2の上面部は+X方向端部(下流端)が+Z方向に開いた上斜面2b216(下流側(+X方向))、2b217(上流側(-X方向))になっており、第2延長トレイ2cが延長された際に第2延長トレイ2cの凸形状2c1が上面部に干渉しないようになっている。
【0112】
上斜面2b216、2b217は斜面2b29よりも斜面の角度が寝ており、z方向における斜面同士の隙間は-X方向では広く、+X方向では狭くなっている。これはほぼ直線状の第2延長トレイ2cの抜け止め部2c117がX方向に移動しながら角度を変更するためのスペースを確保するためである。この構成により延長途中において第2延長トレイ2cの位置決め2c111と摺動面2c113の間に設けられた一段低い上面2c112と、凹部2b2の上面部2b211との隙間を確保できる。
【0113】
また、上面部2b211の上斜面2b216、2b217よりも-X方向(上流側)は下面部2b22に平行な上面2b211が凹部2b2の-x方向(上流側)の端部まで続いている。上面2b211と下面部2b22の幅は第2延長トレイ2cの下面部2c14から位置決め2c111、摺動面2c113の天面までの幅よりもわずかに広くなっており、第2延長トレイ2cのスライド時にスムーズに動くようにしている。これにより操作力の低減、耐久性の向上をしている。
【0114】
上面2b211の-X方向端部(上流端)には上面に平行に出っ張った位置決め面2b212が設けてあり、第2延長トレイ2cを収納した際に第2延長トレイ2cの摺動面2c113と上面部2b211の隙間を埋め、第2延長トレイ2cの先端が浮き上がらないように押さえこみ、第2延長トレイ2cのZ方向の位置を規制している。
【0115】
上斜面2b216の最下流端には第2延長トレイ2c収納時に第2延長トレイ2cの先端上面2c131に当接し、第2延長トレイ2cの収納時のZ方向の位置を決め、第2延長トレイ2cの浮き上がりを防止する位置決め面2b214が設けられている。また、位置決め面2b214のすぐ隣(幅方向(+Y方向))には位置決め面2b214から平行にy方向に出っ張った延長時位置決め面2b215が設けてある。第2延長トレイ2c延長時には延長時位置決め面2b215に第2延長トレイ2cの摺動面2c113が接触し、下面2c14と摺動面2c113とを位置決め2b28と位置決め面2b214で挟み込む。
【0116】
上面部の上斜面の2b216と2b17の間には延長時回転止め2b213が下面2b22に平行に設けられている。延長時回転止め2b213は第2延長トレイ2cが延長された際に第2延長トレイ2cの位置決め2c111に当接し第2延長トレイ2c先端の浮き上がりを防止し、第2延長トレイ2cの延長時の角度を規制している。
【0117】
また、延長時位置決め面2b215は凹部出っ張り形状2b26に一体に、第2延長トレイ2cの抜け止め部2c117以外が接触しない深さで設けられている。第2延長トレイの収納時には、第2延長トレイ2cの先端上面2c131には接触しない。この構成により第2延長トレイ2cの延長時のZ方向の位置決め、収納時の位置決め面を別々にすることができ、寸法公差を調整しやすくなっている。
【0118】
第1延長トレイ2bの下面部2b22の下流端(+X方向端部)は-Z方向に切り欠かれ、X方向に垂直な第2延長トレイ2cが収納時に突き当たる突き当て面2b27が設けられており、第2延長トレイ2cの収納時に突き当て面2c133に当接し、第2延長トレイ2cのX方向の位置を規制している。
【0119】
(排紙トレイの各部品の形状 第2延長トレイ凹形状)
前述の第2延長トレイ2cの凹部2c2は第2延長トレイ2cの側面2c4に横穴を掘るように形成され第2延長トレイ2cの内側を向くようにX方向(搬送方向)に細長く設けられている。第2延長トレイ2cの凹部2c2の上面2c21と下面2c22は平面状に且つ2つの面が平行になるように設けられ、第3延長トレイ2dのボス形状2d11、2d12の外周面に当接する。
【0120】
凹部2c2のX方向端部(最下流端)は下面2c22と上面2c21とが繋がり、抜け止め部2c25が形成されている。これにより第3延長トレイ2dの丸ボス形状2d12がX方向に通り抜けできず、第3延長トレイ2dが延長された時に第2延長トレイ2cから抜けて取れてしまわなくなっており、第3延長トレイ2dのスライド範囲を規制している。
【0121】
また第3延長トレイ2dの収納時には第2延長トレイ2cと第3延長トレイ2dの間に設けられた不図示の突き当て形状によって、第3延長トレイ2dの稼動範囲が規制されている。
【0122】
第2延長トレイ2cの凹部2c2の側面部2c23は第3延長トレイ2dのアーム部2d5の先端に設けられた丸ボス形状2d11に干渉しボス形状2d12に接触しない位置に設けられている。これにより第3延長トレイ2dのアーム部2d5が撓みボス形状2d11が常に第2延長トレイ2cの側面2c23に押し当てられ、第3延長トレイ2dを任意の場所で保持するためのフリクションが得られる。
【0123】
(延長トレイの位置決め)
次に、各延長トレイのY方向の位置決め方法について説明する。
【0124】
(第2延長トレイ、第3延長トレイの位置決め)
図20は本実施の形態における排出トレイ2に設けられた延長トレイの位置決め方法を示した断面図である。
【0125】
本実施形態における第2延長トレイ2cは第2延長トレイ2cのY方向両端の外側面2c3が第1延長トレイ2bの向かい合った2つの内側面2b4の間に収まることでY方向に位置決めされている。第3延長トレイ2dも同様に外側面が第2延長トレイ2cに対し当接して位置決めされている。
【0126】
(第1延長トレイの位置決め 位置決めが異なる背景、外側面との位置決め)
第1延長トレイ2bは前述の様にトレイの中央に中央スリット2b8が設けられている(
図21参照)。そのため、第2延長トレイ2cと同様の位置決め方法だとトレイがY方向に撓んでしまい位置決めが機能しなくなってしまう。そこで本実施形態においては、中央スリット2b8を挟んだ左右両側にそれぞれ位置決めを設けている。
【0127】
具体的には、第1排出トレイ2aの内側面2a4と中央リブ2a8との間に設けられた位置決めリブ2a6と、内側面2a4と、の間に、第1延長トレイ2bの外側面2b3と位置決め側面2b6を挟み込む構成を、中央スリット2a8を挟んだ左右(y方向)両方に設けている。つまり、位置決め側面2b6は位置決めリブ2a6の側面と対面するように設けられており、外側面2b3は第1排出トレイ2aの内側面2a4と対面するように設けられている。位置決め側面2b6と外側面2b3との間にはスリットを設けない構造にすることによって、位置決め精度を向上することができている。なお、この構成により、前述の第1延長トレイ2bと第1排出トレイ2aの搬送面のつなぎを櫛歯状にすることも可能となる。
【0128】
第1延長トレイ2bを伸ばし切る際と収納しきる際にはクリック感が出るようにクリック機構が設けてある。クリック機構は、y方向において第1排出トレイ2aにおける内側面2a4と位置決めリブ2a6との間に設けている。クリック感が出る時には第1延長トレイ2bと第1排出トレイ2aを干渉させ、第1延長トレイ2bのY方向中央側をZ方向に撓ませる。この撓みによって、外側面2b3が内側面2a4側(+y方向側)に、位置決め側面2b6が位置決めリブ2a6側(-y方向側)に強く当る方向に傾き、クリック時の操作力が大きくなってしまう可能性がある。それを防止するために、第1延長トレイ2bの外側面2b3には、常に位置決めとして機能するZ方向の長さが短い位置決め面2b31と常に内側面2a4に接触しないように傾きを変え逃げている逃げ面2b32が設けられている。
【0129】
(第1延長トレイの位置決め 位置決めリブとの位置決め)
位置決めリブ2a6と位置決め側面2b6との間も同様に傾きが発生するためクリックにより第1延長トレイが撓んだ時にだけ、クリアランスが広くなるように構成している。
【0130】
(第1延長トレイの位置決め 位置決めリブとの位置決め-収納時)
図31は、第1延長トレイ2bを収納する前後の第1延長トレイ2bの位置決め側面2b6と第1排出トレイ2aの位置決めリブ2a6との関係を表した断面図((a)は収納時、(b)クリックによる撓み最大時、(c)撓み解消時、(d)位置決め機能開始)であり、位置決めリブ2a6のz方向中央部におけるxy断面である。
【0131】
第1延長トレイ2bの延長動作において、第1延長トレイ2bがクリック機構によって撓む
図31の(a)から(c)の範囲では位置決めリブ2a6の突出部中央2a63と位置決め側面の突出部2b62、位置決めリブの突出部下流2a66と位置決め側面の中央部2b63が対面せず位置がずれており、位置決めリブ2a6と位置決め側面2b6との間に隙間が設けてある。その後、例えば(d)に示す時点以降では前述の2か所が近接し、位置決めが機能していることが分かる。
【0132】
(第1延長トレイの位置決め 位置決めリブとの位置決め-延長時)
図32、33は第1延長トレイ2bを延長しきる前後の第1延長トレイ2bの位置決め側面2b6と第1排出トレイ2aの位置決めリブ2a6との関係を表した断面図((a)位置決め機能時、(b)クリックによる撓み開始時、(c)撓み最大時、(d)延長時)である。
図32は
図31同様の位置決めリブ2a6のz方向中央部におけるxy断面、
図33は位置決め側面2b6と位置決めリブ2a6の位置関係が分かる位置におけるxz断面である。(a)の時点では前述の二つの(位置決めリブ2a6の突出部中央2a63と位置決め側面2b6の突出部2b62、および、位置決めリブ2a6の突出部下流2a66と位置決め側面2b6の中央部2b63)の近接状態が続いており、位置決めが機能している。
【0133】
その後、突出部2b62は凹部2a64と対面するようになる。更にその後、(b)の状態では、突出部2b62は位置決めリブ2a6の凸部小2a65と対面するようになる。(b)から(c)にかけて第1延長トレイ2bの撓みが大きくなり、(c)から(d)にかけて第1延長トレイ2bの撓みが小さくなる。また、第1延長トレイ2bは(a)から(d)にかけてx方向の先端側が持ち上がり、角度が変化する。位置決めリブ2a6の凸部小2a65は位置決めリブ2a6の根本付近(z方向)に設けられており、突出部下流2a66は、z方向において位置決めリブの根本から中腹までの高さで設けられている。
【0134】
このため凸部小2a65と突出部2b62、突出部下流2a66と中央部2b63は第1延長トレイ2bがクリックを乗り越える際中でZ方向に撓んでいる間は、対面しなくなる。この構成により第1排出トレイ2aがクリックにより撓んでいる間は位置決めリブ2a6と位置決め側面2b6とが近接せず、かつ第1延長トレイ2aが延長された時には再度近接させることができ、クリックの操作力を増大させることなく、第1延長トレイ2bの伸縮動作時のトレイの傾きを防止でき、スムーズに操作することができるようになっている。
【0135】
<排出トレイクリック>
排出トレイに設けられたスライド式の2つの延長トレイは延長状態と収納状態での保持が補助されるようにクリック形状が設けられている。
【0136】
(第1延長トレイ収納時クリック)
図27は、第1延長トレイ2bの収納時と延長時のクリック形状と配置を表した側断面図である。
図27(a)は収納時を、
図27(b)は延長時を示している。
図27(a)の断面位置は
図13におけるF-F断面、
図27(b)の断面位置は
図15に示すG-G断面である。
【0137】
図27(a)に示す第1延長トレイ2bの収納状態において、第1延長トレイ2bの突き当て面2b133が第1排出トレイ2aの突き当て面2a27に突き当たっており、第1延長トレイ2bの第1クリック2b91が第1排出トレイ2aの第1山形状2a71に接触しており、第1延長トレイ2bを第1排出トレイ2aに収納した状態に保持している。
【0138】
第1延長トレイ2bを収納する直前では、第1延長トレイ2bの第1クリック2b91と第1排出トレイ2aの第1山形状2a71が当接して第1クリック2b91付近において第1延長トレイ2bがz方向に持ち上がることで撓み、第1延長トレイ2bが収納されると第1延長トレイ2bの撓みが解消され、第1延長トレイ2bと第1排出トレイ2aの突き当て面同士が接触することで、第1延長トレイ2b収納時のクリック感が得られる。
【0139】
(第1延長トレイ延長時クリック)
図27(b)に示す第1延長トレイ2bの延長状態において、後述する第2延長トレイ2cと同様の構成により第1延長トレイ2b延長時のクリック感が得られ、第2クリック2b92、第2山形状2a72に乗り上げたままになるのを防止している。
【0140】
第1排出トレイ2aに設けられた第2山形状2a72は
図15に示すクリック用凹部2a01内に設けられている。第1延長トレイ2bは延長時に位置決め2b111を中心に回動して角度を変えるため、位置決め2b111よりも-X方向にある第2クリック2b92(凸形状)は、延長するに従い-Z方向に下がっていく。クリック用凹部2a01を設けることにより延長途中および、延長しきった時の第1排出トレイ2aと第1延長トレイ2bとの干渉を避け、延長操作に要する力を最小限(クリックを乗り上げるのに必要な力のみ)とすることができる。クリック用凹部2a01は、-x方向から+x方向に向けて傾斜する斜面2a9によって形成されている。すなわち、周囲の原稿積載面よりも一段低い凹部となっている。
図27には、斜面2a9の途中に第2山形状2a72が設けられている位置での断面を示している。
【0141】
(第2延長トレイ収納時クリック)
図28は第2延長トレイ2cの収納時と延長時のクリック形状と配置を表した側断面図である。
図28(a)には収納時を、
図28(b)には延長時を示している。
図28(a)断面の段面位置は
図13に示すH-H断面、
図28(b)の断面位置は
図17に示すJ-J断面である。
【0142】
図28(a)に示す第2延長トレイ2cの収納状態において、第1延長トレイ2bと同様の構成により第2延長トレイ2c収納時のクリック感が得られる。第2延長トレイ2cの突き当て面2c133の-Z方向端部には浮き止め2C134が設けられている。第1延長トレイ2bの突き当て面2b27には浮き止め2c134を引っ掛ける穴状の引っ掛け2b51(被嵌合部)が設けられている。第2延長トレイ2c収納時は浮き止め2c134が引っ掛け2b51に引っ掛かるため、第2延長トレイ2cのZ方向への浮きを防止できる。これにより排出トレイ2に収納される第2延長トレイ2cが排出トレイ2の平板形状内に収まりやすい構成とすることができる。
【0143】
浮き止め2c134は、第2延長トレイ2cを収納する途中で引っ掛け2b51に先端が入り始める。このタイミングにおいて第1クリック2c91と第1山形状2b71が接触し、第2延長トレイ2cのY方向中央がZ方向に撓んでいる。
【0144】
収納時に、第1クリック2c91が第1山形状2b71の頂部を超えてから、浮き止め2c134が引っ掛け2b51に挿入されるタイミングにしてしまうと、第1山形状2b71によって持ち上げられた勢いで、浮き止め2c134が引っ掛け2b51に挿入されずに、引っ掛け2b51の上部(z方向)に衝突したり、上に乗り上げたりしてしまうことがある。
【0145】
本実施形態のように、第1クリック2c91が第1山形状2c91の頂部の手前で当接しているときに浮き止め2c134が引っ掛け2b51に挿入される位置に設けることで、確実に浮き止め2c134を挿入可能になっている。
【0146】
なお、第1クリック2c91が引っ掛け2c134は第2延長トレイ2cを-Z方向に引き込むため、第1クリック2c91と引っ掛け2c134との距離が近ければ、第2延長トレイ収納時のクリックの操作力が強くなり、距離が遠ければ、操作力は弱くなる。そのため第1クリック2c91の位置を調整することにより適切なクリック感を与える構成とすることができる。
【0147】
(第2延長トレイ延長時クリック)
図28(b)に示す第2延長トレイ2cの延長状態において第2延長トレイ2cの抜け止め面2c114が第1延長トレイ2bの抜け止め面2b25に突き当たっている。このとき、第2延長トレイ2cの第2クリック2c92と第1延長トレイ2bの第2山形状2b72とが接触しており、第1延長トレイを延長した状態に保持している。
【0148】
第2延長トレイ2cを延長しきる直前では第2延長トレイ2cの第2クリック2c92と第1延長トレイ2bの第2山形状2b72とがぶつかり、第2延長トレイ2cが撓み、第2延長トレイ2cが延長しきると、第2延長トレイ2cの撓みが解消され、第2延長トレイ2cと第1延長トレイ2bの抜け止め面同士が接触し、第2延長トレイ2c延長時のクリック感が得られる。
【0149】
ここで、ユーザーが延長途中で操作方向が変わることに気付かず第2延長トレイ2cをまっすぐに延長しようとした場合、第2延長トレイ2cと第1延長トレイ2bの抜け止め面同士が突き当たったところで延長操作をやめてしまう可能性がある。この場合ユーザーが第2延長トレイ2cから手を離した時に第2延長トレイ2cの-X方向端部がZ方向に撓み、第2クリック2c92が第2山形状2b72から浮いている(もしくは乗り上げている)状態になる。
【0150】
ユーザーが第2延長トレイ2cから手を離すと第2延長トレイ2cの撓みが解消する方向に第2延長トレイ2cが変形しようとするが、負荷があると第2延長トレイ2cの撓みが解消されず、第2クリック2c92が第2山形状2b72を乗り上げたままになってしまう。
【0151】
そのため、本実施形態では、位置決め2c111を回転軸と考え、第2クリック2c92が回動動作を行った際に第2山形状2b72に干渉しない位置関係にしている。この構成によれば、第2延長トレイ2cが撓みを解消する際に第2クリック2c92と第2山形状2b72が干渉しないため、摩擦が発生せず、クリック2c92が山形状を乗り上げたままになることを防止できる。
【0152】
<給送構造詳細>
図6は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を収納した状態における上面図である。
【0153】
給送トレイ110には、配置される搬送媒体Sの大きさに合わせて搬送方向に対して直交する方向にスライド可能に取り付けられた規制部材111が設けられている。また、給送トレイ110の中央には、引き出して使用することのできる給紙延長トレイ112が設けられている。
【0154】
<上部ユニット詳細>
図7は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの概略断面図である。
【0155】
本体100は、上部ユニット103と下部ユニット104とから構成され、上部ユニット103は下部ユニット104に対し、本体ヒンジ105を支点として回動可能に取り付けられている。なお、本実施形態においては、本体ヒンジ105は第1ヒンジ101と同軸に設けられており、軸部材を共通としている。
【0156】
図8に示すような上部ユニット103を展開した状態における重心は、
図7に示すような上部ユニット103を収納した状態よりも搬送方向前方側に大きくずれることになる。
【0157】
したがって、上部ユニットを展開する際に勢いがあると画像読取装置Aが転倒してしまう虞があるが、本実施形態に係る画像読取装置Aにおいては、突出部130を有することにより、上部ユニット103の展開に伴う重心移動が起こっても画像読取装置Aの転倒を防ぐことができる。突出部130の突出量は、
図7のような上部ユニット103及び排出トレイ2の収納状態においては、排出トレイ2の下方に収まるような突出量であって、
図8のような上部ユニット103の展開状態においては、本体100の重心よりも搬送方向前方まで位置するような突出量となっている。これにより、上部ユニット103の展開による画像読取装置Aの転倒を防止しつつ、排出トレイ2を収納した収納状態においては必要以上に突出させず、ユーザの邪魔にならないようにすることができる。特に、突出部130の突出量を
図8のような上部ユニット103の展開状態において、上部ユニット103の重心よりも搬送方向前方側まで延在するようにすることで、より確実に画像読取装置Aの転倒を防止できる。
【0158】
<排出トレイ角度調節>
また、突出部130の上面には、排出トレイ2を展開したときにその下面に当接するようにしたトレイ支持部131が回動可能に設けられている。
【0159】
図9に示すように、排出トレイ2は、その展開状態においては、突出部130によって支持され、排出される搬送媒体Sを受けることができるようにされている。
図10に示すように、トレイ支持部131を突出部130上面から上方に突出するように回動させると、排出トレイ2に当接して排出トレイ2を支持することとなり、突出部130によって支持する
図9の状態から、排出トレイ2の角度を調節できる。
【0160】
本実施例においては、排出トレイ2における端面にトレイ支持部131が当接するようになっている。すなわち、排出トレイ2を正面パネル90側に折り畳んだ状態で下を向いている面にトレイ支持部131が当接する。こうすることによって、トレイ支持部131との摩擦等により排出トレイ2表面に傷が付いた場合であっても、ユーザからは見えにくい位置となるため、排出トレイ2を折り畳んだ状態(収納状態)における美観を損ねることがない。
【0161】
例えば、
図10の状態では、
図9の状態と比べて、排出トレイ2が鉛直方向上方に持ち上げられることとなり、排出トレイ2の上面において搬送媒体Sの先端が着地する位置を変更することができる。これにより、
図9の状態では、排出される搬送媒体Sの先端が、既に排出済みの搬送媒体Sの後端に当接して押し出してしまうような場合において、
図10のように排出トレイ2の角度を変更することで、既に排出済みの搬送媒体Sの後端を下部ユニット104側に寄せる作用に加えて、既に排出済みの搬送媒体Sの上面に、後続の搬送媒体Sの先端を確実に着地させることができる。具体的には大きさの異なる原稿の混載紙の様に排出位置調整部材120が搬送媒体Sの先端位置になるように配置できない原稿を排出する際はトレイ支持部131を使用することにより全ての原稿を装置本体側に整列することができる。一方でコシの弱い薄い原稿を搬送する際は原稿先端が排出トレイ2に着地する際に原稿の排出方向と排出トレイの角度が0に近く、排出トレイの高低差が少ない方が原稿がトレイに排出される途中でコシが足りずに丸まってしまうことがないため、薄い原稿を排出する際はトレイ支持部131を突出部130に収納した状態で使用することが望ましい。このような原稿によって排出角度を変えることができる構成により、排出トレイ2上での排出済みの搬送媒体Sの整列性を格段に向上することができる。
【0162】
なお、トレイ支持部131は回動範囲の途中においても排出トレイ2を支持可能なように構成し、排出トレイ2の角度を複数段階で調節可能にしてもよい。その場合、搬送媒体Sごとに最も排出トレイ2上での整列性が高い角度で搬送媒体Sを受けることができ、使用性を向上できる。
【0163】
<上部ユニットのアース>
図11は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの要部断面図である。
【0164】
上部ユニット103を収納する際に勢いよく回動させると、上部ユニット103が下部ユニット104側に接触する際に大きな衝撃が加わり、大きな音が発生してしまうなどすることがある。本実施形態に係る画像読取装置Aにおいては、上部ユニット103の分離ローラ12の両脇に、金属製の上部弾性部材140が設けられている。
【0165】
上部ユニット103が収納状態となる際に、上部弾性部材140が下部ユニット104側に設けられた接点部141に弾性付勢されながら収納状態となる。上部弾性部材140の上部ユニット103に取り付けられる側の端部は、上部ユニット103内に設けられた電装部品のグランド側と導通しており、上部弾性部材140が接点部141に接触することによって下部ユニット104内に配置された電装部品のグランド側に導通される。
【0166】
したがって、上部ユニット103の収納状態において、緩衝部材として機能する弾性部材140によって上部ユニット103側のアースを取ることができる。
【0167】
<CISユニットのアース>
図12は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの画像読取ユニット70の断面図である。
【0168】
本実施形態においては、画像読取ユニット70は搬送路RTの両側に対向させて配置しており、以下の説明ではそれぞれ画像読取ユニット70a、70bとする。画像読取ユニット70aと70bとは、搬送路RTを挟んで対象に配置された同構造を有するセンサユニットである
【0169】
画像読取ユニット70aは、内部にコンタクトイメージセンサ(以下、CIS)71aと、色基準板72aが設けられている。
【0170】
下部ユニット104に配置されたCIS摺動モータ73の駆動力を、画像読取ユニット70下部に設けられた伝達部材74および伝達部材連結部150を介して伝達することで、CIS71aおよび色基準板72aは、搬送方向に対し摺動可能に配置される。CIS71aおよび色基準板72aを摺動させることによって、背景色の切り替えが可能である。
【0171】
読取画像の背景色を白にする場合は、CIS摺動モータ73によってCIS71aを摺動させ、読み取り位置を対向する白色基準板72bの位置に配置することにより白背景読取が可能となる。このとき、CIS71aと白色基準板72aとが一体となって移動するので、CIS72aを白背景位置に配置するとCIS72bの読み取り位置と対向する位置に白色基準板72aが配置され、画像読取ユニット70a、70bの両方で白背景の読み取りが可能となる。
【0172】
読取画像の背景色を黒にする場合はCIS71aの読み取り位置を対向する黒背景部76bの位置に配置することにより黒背景の読み取りが可能となる。
【0173】
CIS71a内の発光素子の発光を黒背景部76bの斜面で拡散させ、CIS71a内の受光素子へ入光させないことで黒背景の読み取りを実現する。
【0174】
画像読取ユニット70bも画像読取ユニット70a同様の構造であるが、CIS71bはCIS摺動モータ73による駆動はされずに、ユニット内に固定されている。
【0175】
画像読取ユニット70aは、下部ユニット104の収容部77に挿入される際に、下部ユニット104側から突出した金属製の下部弾性部材75を付勢しながら挿入され、収容完了位置において、嵌合固定される。
【0176】
画像読取ユニット70aの下面は不図示の金属製部材76で覆われており、CIS71aなどの電装部品とアースが取られている。金属製部材76で下部弾性部材75を付勢しながら挿入されることで、画像読取ユニット70は下部ユニット104に対しアースされる。
【0177】
ここで、画像読取ユニット70は、下部弾性部材75によって上方に付勢されているため、嵌合固定を外すだけで画像読取ユニット70が上方に持ち上げられ、画像読取ユニット70の取り外しが容易となり、メンテナンス性を向上できる。
【0178】
下部ユニット104の収容部77は、下部ユニット104と対向する3面が構成されるように金属製板材を折り曲げて形成されている。
【0179】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0180】
<排紙開口の跳ね上がり防止リブ>
図29は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出開口の側断面である。排出開口には排紙リブ33が第3搬送部30よりも下流側、かつ経路RTの上方から経路RTに向かって伸びるように設けてある。本実施形態において経路RTに沿って排出された搬送媒体Sは、画像読取装置Aの内部から排出トレイ2に向かう際に、排出開口付近で大きく屈曲する。これにより搬送媒体Sは排出開口において屈曲されながら搬送されることになる。搬送媒体Sの材質が固く、または厚みがありコシが強い場合には、搬送媒体Sの後端が第3搬送部30に挟持されている間は経路RTに沿った屈曲した状態になるが、搬送媒体Sの後端が第3搬送部30を抜けた時に屈曲を解消するように搬送媒体Sが跳ね上がろうとする。
【0181】
ここで搬送媒体Sの中央付近を排出開口に設けた排紙リブ33に当てる構成にし、跳ね上がりを押さえることによって、搬送媒体Sが跳ね上がることで下流側に流されて排出位置調整部材120を乗り超えてしまう、といった現象を防ぐことができる。
【0182】
排紙リブ33は経路RTに触れない位置で、且つ搬送媒体Sが第3搬送部30を抜け真っ直ぐになった際に干渉する位置に設けることが望ましい。また跳ね上がりを防止する原稿のうち最短の物の後端が第3搬送部30を抜ける際に原稿の先端が触れる位置に凹み2a61を設け、跳ね上がろうとした搬送媒体Sの先端も押さえられるようにすることで、より確実に搬送媒体Sの跳ね上がり防止し、排紙整列性を向上することができる。
【0183】
また、排出された原稿Sが静電気により第3搬送部30にひきつけられるのを防止するために、排出開口には除電針34が配置されている。除電針は第3搬送部30の付近に設けることが望ましい。
【0184】
図30は排紙リブ33と除電針34の関係を示した排出開口の斜視図(
図7におけるW矢視図)である。排紙リブ33はリブ形状で設けられ排出開口の幅方向に対しまばらに設けられている。この構成により、除電針を画像読取装置Aに貼りつける際に排紙リブ33が視界的にもスペース的にも邪魔することがなく、作業性を向上できる。排紙リブ33は中央部と両端、および小さ目の定型紙の場合にも接触する位置に設けることが望ましい。本実施形態の配置によれば、小さい原稿Sでも必ず4か所以上で押さえることができ、跳ね上がり及び搬送媒体S先端の排出トレイ2からの浮きあがりを防止でき、大きな原稿の場合でも原稿先端全体を排出トレイ2から浮かずに押さえられ、搬送媒体Sを装置上流側で止めることができる。
【0185】
上述したように、除電針の取り付けやすさと、様々な搬送媒体Sの跳ね上がりを防止することを考慮すると、排紙リブ33は、中央部と両端部に設けられていることが好ましい。特に中央部は、小さい搬送媒体Sに対しても左右2箇所で押さえられることが好ましく、左右対称に2つ以上設けられていることが好ましい。また、除電針の取り付けを考慮すれば、排紙リブ33を幅方向に亘って均一に配置するのではなく、両端部以外に、他の箇所よりも排紙リブ33同士の間隔が広い領域が確保されていることが好ましい。
【0186】
本実施例における排出トレイの構成によれば、平板上の薄い排出トレイにおいても排出トレイと延長トレイの間に角度を付けることができ、排紙整列性と、装置の小型化を両立できる。また本実施形態における排出トレイは、スライド方式であるため、原稿が排出されている最中にも原稿長さに合わせ容易に排出トレイの長さを変更できる。
【0187】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば延長トレイは1段構成であっても、2段構成であっても逆に4枚以上の構成であっても良い。また第1延長トレイと第2延長トレイの角度調整の構成は同じであっても、また本実施形態と逆の構成であっても良い。
【0188】
また、積載部材として排出トレイ2に対して本発明を適用した実施形態について説明したが、積載部材として載置台1に対して本発明を適用してもよい。
【0189】
(付記)
本発明に係る原稿載置台を有する画像読取装置は、
媒体の搬送路を有する筐体と、
前記搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送路内から排出される媒体を積載する積載トレイ(排出トレイ)と、を備え、
前記積載トレイは、前記筐体に連結される第1トレイ(第1排出トレイ)と、前記第1トレイに対して引き出し可能に設けられる第2トレイ(第1延長トレイ)とを有し、
前記第1トレイから引き出したときの前記第2トレイの媒体載置部(原稿積載面)は、前記第1トレイの媒体積載部に対して傾斜し、
前記第2トレイを前記第1トレイから引き出したときに前記第1トレイの媒体積載部と前記第2トレイの媒体積載部とを結ぶ斜面部が前記第2トレイの前記筐体側の端縁部に設けられたことを特徴とする媒体搬送装置である。
【0190】
また、前記第1トレイには、前記第2トレイの引き出し方向に延びる第1ガイドレール(ガイドリブ)が前記第1トレイの媒体載置部として前記第2トレイを引き出した時に出現可能に設けられたことを特徴とする。
【0191】
また、前記積載トレイは、前記第2トレイに対して更に引き出し可能に設けられる第3トレイ(第2延長トレイ)を有し、
前記第2トレイから引き出したときの前記第3トレイの媒体載置部は、前記第2トレイの媒体積載部に対して傾斜し、
前記第3トレイを前記第2トレイから引き出したときに前記第2トレイの媒体積載部と前記第3トレイの媒体積載部とを結ぶ他の斜面部が前記第3トレイの前記筐体側の端縁部に設けられたことを特徴とする。
【0192】
また、前記第2トレイには、前記第3トレイの引き出し方向に延びる第2ガイドレールが前記第2トレイの媒体載置部として前記第3トレイを引き出した時に出現可能に設けられたことを特徴とする。
【0193】
以上説明したように、本発明は、以上説明した実施形態に対し、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が適用可能である。
【符号の説明】
【0194】
A 画像読取装置
S 搬送媒体
1 載置台
2 排出トレイ
2a 第1排出トレイ
2b 第1延長トレイ
2c 第2延長トレイ
2d 第3延長トレイ
3 駆動部
4 駆動部
5 伝達部
10 第1搬送部
11 送りローラ
12 分離ローラ
20 第2搬送部
30 第3搬送部
33 排紙リブ
34 除電針
70 画像読取ユニット
80 制御部
90 正面パネル
100 本体
122 操作キー群