(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20220311BHJP
H04N 5/3745 20110101ALI20220311BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20220311BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220311BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20220311BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H04N5/3745
H01L21/02 C
H01L21/02 B
H01L21/90 B
H01L21/88 J
(21)【出願番号】P 2017117593
(22)【出願日】2017-06-15
【審査請求日】2019-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋太郎
(72)【発明者】
【氏名】國清 辰也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英則
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-070030(JP,A)
【文献】特開2011-049445(JP,A)
【文献】特開2012-164870(JP,A)
【文献】特開2011-151375(JP,A)
【文献】特開2015-053296(JP,A)
【文献】特開2010-219339(JP,A)
【文献】特開2014-013806(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0035083(US,A1)
【文献】特開2011-138841(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038403(WO,A1)
【文献】特開2012-084693(JP,A)
【文献】特開2013-084763(JP,A)
【文献】特開2015-090971(JP,A)
【文献】特表2011-530165(JP,A)
【文献】特開2014-086596(JP,A)
【文献】特開2012-054876(JP,A)
【文献】特開2007-228460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 5/3745
H01L 21/02
H01L 21/768
H01L 21/3205
H01L 23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域に並ぶ複数の画素を備えた固体撮像素子であって、
第1主面および前記第1主面の反対側の第1裏面を備えた第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の前記複数の画素のそれぞれの前記第1主面に形成された第1受光素子と、
前記第1半導体基板の前記第1裏面を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜を貫通し、前記第1受光素子に電気的に接続された第1導電性接続部と、
第2主面および前記第2主面の反対側の第2裏面を備えた第2半導体基板と、
前記第2半導体基板の前記第2主面近傍に形成された半導体素子と、
前記第2半導体基板の前記第2
裏面を覆う第
2絶縁膜と、
前記第
2絶縁膜
を貫通し、前記半導体素子に電気的に接続された第2導電性接続部と、
を有し、
前記第1半導体基板、前記第1導電性接続部および前記第1絶縁膜を含む第1積層体と、前記第2半導体基板、前記第2導電性接続部および前記第
2絶縁膜を含む第2積層体との接合面では、前記第1絶縁膜と前記第
2絶縁膜とが互いに接合され、前記第1導電性接続部と前記第2導電性接続部とが互いに接合されている、固体撮像素子。
【請求項2】
請求項1記載の固体撮像素子において、
前記半導体素子は、
前記第2半導体基板の前記複数の画素のそれぞれの前記第2主面に形成された第2受光素子である、固体撮像素子。
【請求項3】
請求項1記載の固体撮像素子において、
前記半導体素子は、前記第2半導体基板の前記複数の画素のそれぞれの前記第2主面に形成された第2受光素子であり、
前記第1半導体基板の前記第1主面を覆う第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜を貫通し、前記第1受光素子に電気的に接続された第3導電性接続部と、
第3主面および前記第3主面の反対側の第3裏面を備えた第3半導体基板と、
前記第3半導体基板の前記複数の画素のそれぞれの前記第3主面に形成された第3受光素子と、
前記第3半導体基板の前記第3裏面を覆う第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜を貫通し、前記第3受光素子に電気的に接続された第4導電性接続部と、
をさらに有し、
前記
第1層間絶縁膜および前記第
3導電性接続部を含む前記第
1積層体と、前記第3半導体基板、前記第
4導電性接続部および前記
第3絶縁膜を含む第3積層体との接合面では、前記第
3絶縁膜と前記
第1層間絶縁膜とが互いに接合され、前記第
3導電性接続部と前記第
4導電性接続部とが互いに接合されている、固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子およびその製造方法に関し、特に、縦方向に2以上の半導体基板を積層した固体撮像素子に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に半導体素子または配線などを形成したウェハを複数積層し、これにより形成された積層半導体基板から半導体チップを得ることで、半導体チップの集積度を向上することが知られている。
【0003】
非特許文献1には、SOI基板の裏面にプラグを形成し、SOI基板上の配線層の上面に露出する配線を形成することで、素子および配線が形成された複数の基板を、互いに電気的に接続して積層することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「ファブリケーション テクノロジーズ フォー スリー-ディメンショナル インテグレイテッド サーキッツ」インターナショナル シンポジウム オン クオリティ エレクトロニック デザイン(ISQED)、2002年、33頁~37頁(Fabrication technologies for three-dimensional integrated circuits. International Symposium on Quality Electronic Design (ISQED), 2002, pp. 33-37)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
受光素子が形成された半導体ウェハと他の半導体ウェハとを貼り合わせることで、積層基板を有する固体撮像素子を形成する場合、それぞれの半導体ウェハの主面側同士を接合することが考えられる。しかし、半導体ウェハの主面側同士を接合する技術のみでは、半導体ウェハを3つ以上積層させることができない。
【0006】
また、積層した半導体ウェハ同士を電気的に接続する導電性接続部として、一方の半導体ウェハ内から他方の半導体ウェハ内に亘って形成されるSi(シリコン)貫通電極(TSV:Through-Silicon Via)を用いることが考えられる。しかし、TSVは直径が大きく、画素が並べられた画素アレイ内に配置することが困難であるため、TSVにより半導体ウェハ同士を電気的に接続すると、電流経路が長くなる問題などが生じる。
【0007】
その他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
一実施の形態である固体撮像素子は、第1半導体基板と、第2半導体基板と、第1半導体基板の裏面を覆う絶縁膜と、第2半導体基板の主面を覆う層間絶縁膜と、絶縁膜を貫通する第1導電性接続部と、層間絶縁膜の上面の接続孔内に埋め込まれた第2導電性接続部と、を有し、絶縁膜と層間絶縁膜とを接合し、第1導電性接続部と第2導電性接続部とを接合するものである。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される一実施の形態によれば、固体撮像素子の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1である固体撮像素子を構成する画素の等価回路図である。
【
図3】本発明の実施の形態1である固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図4】
図3に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図5】
図4に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図6】
図5に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図7】
図6に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図8】
図7に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図9】
図8に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図10】
図9に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態1の変形例1である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態1の変形例1である固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図13】
図12に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図14】
図13に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態1の変形例2である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図16】本発明の実施の形態1の変形例2である固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図17】
図16に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図18】
図17に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図19】本発明の実施の形態1の変形例3である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図20】本発明の実施の形態1の変形例3である固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図21】
図20に続く固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図22】本発明の実施の形態1の変形例4である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図23】本発明の実施の形態1の変形例4である固体撮像素子を構成する画素の等価回路図である。
【
図24】本発明の実施の形態1の変形例5である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図25】本発明の実施の形態1の変形例6である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図26】本発明の実施の形態1の変形例6である固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【
図27】本発明の実施の形態2である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図28】本発明の実施の形態2の変形例である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図29】本発明の実施の形態3である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図30】本発明の実施の形態3の変形例1である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図31】本発明の実施の形態3の変形例2である固体撮像素子を示す断面図である。
【
図32】比較例である固体撮像素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その言及した数に限定されるものではなく、言及した数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態の固体撮像素子は、各画素の受光素子(光電変換部、光電変換素子)であるフォトダイオードを備えた半導体基板と、各画素に形成された周辺トランジスタを、当該半導体基板に積層された他の半導体基板に形成するものである。また、本実施の形態の固体撮像素子は、一方の半導体基板の主面側において露出する絶縁膜およびプラグと、他方の半導体基板の裏面側の面において露出する絶縁膜およびプラグとを接合したものである。
【0016】
<固体撮像素子の構造および画素の動作>
以下に、
図1および
図2を用いて、本実施の形態1の固体撮像素子の構造と、固体撮像素子を構成する画素の動作を説明する。
図1は、本実施の形態の固体撮像素子を示す断面図である。
図2は、本実施の形態の固体撮像素子を示す等価回路図である。
図2には、1つの画素のうち、1つの受光素子と当該受光素子の周辺トランジスタとを含む等価回路図を示している。
図1には、左側から順に画素領域PERおよび周辺回路領域CRを示しており、画素領域PERには、2つの画素PEのみを示している。
【0017】
ここでは画素の一例として、CMOSイメージセンサにおいて画素実現回路として使用される4トランジスタ型の画素を想定して説明を行うが、それに限るものではない。すなわち、各画素は受光素子を有し、1つの受光素子であるフォトダイオードを備えた1つの画素内には、転送トランジスタと、周辺トランジスタである3つのトランジスタとが配置されている。ここで、周辺トランジスタとは、リセットトランジスタ、増幅トランジスタおよび選択トランジスタのそれぞれを指す。
【0018】
本実施の形態の固体撮像素子は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。半導体チップである固体撮像素子は、
図1に示す画素領域(画素アレイ領域)PERと、画素領域PERの周囲を平面視において囲む周辺回路領域CRとを有している。画素領域PERには、複数の画素PEが平面視で行列状に配置されている。つまり、固体撮像素子を構成する半導体基板SB1の主面(上面)には、複数の画素PEが、固体撮像素子を構成する半導体基板SB1の主面に沿うX方向およびY方向にアレイ状に並んでいる。X方向はY方向に対して直交している。
【0019】
平面視において、各画素PEの面積の大部分は、受光部(受光素子)であるフォトダイオードPD1が占めている。画素領域PER、画素PEおよびフォトダイオードPD1は、平面視において矩形の形状を有している。周辺回路領域CRは、例えば画素読み出し回路、出力回路、行選択回路および制御回路などを備えている。
【0020】
複数の画素PEのそれぞれは、照射される光の強度に応じた信号を生成する部分である。行選択回路は、複数の画素PEを行単位で選択する。行選択回路によって選択された画素PEは、生成した信号を出力線に出力する。読み出し回路は、画素PEからに出力された信号を読み出して出力回路に出力する。読み出し回路は、複数の画素PEの信号を読み出す。出力回路は、読み出し回路が読み出した画素PEの信号を、固体撮像素子の外部に出力する。制御回路は、固体撮像素子全体の動作を統括的に管理し、固体撮像素子の他の構成要素の動作を制御する。
【0021】
本実施の形態では、1つの画素PEは、縦方向に積層された第1の半導体基板および第2の半導体基板のうち、第1の半導体基板に形成されたフォトダイオードPD1を有しており、第2の半導体基板に、各画素PE内においてフォトダイオードPD1に接続された周辺トランジスタを有している。
【0022】
次に、
図2に、1つの画素に形成された受光素子(光電変換部、フォトダイオード)を含む回路を示す。つまり、複数の画素のそれぞれが、
図2に示す回路を有している。
【0023】
図2に示すように、画素は、光電変換を行うフォトダイオードPD1と、フォトダイオードで発生した電荷を転送する転送トランジスタTXとを有している。また、画素は、転送トランジスタTXから転送される電荷を蓄積する浮遊拡散容量部(浮遊拡散領域)FDと、浮遊拡散容量部FDの電位を増幅する増幅トランジスタAMIとを有している。画素はさらに、増幅トランジスタAMIで増幅された電位を、読み出し回路(図示しない)に接続された出力線OLに出力するか否かを選択する選択トランジスタSELと、フォトダイオードPD1のカソードおよび浮遊拡散容量部FDの電位を所定電位に初期化するリセットトランジスタRSTとを備えている。
【0024】
転送トランジスタTX、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMIおよび選択トランジスタSELのそれぞれは、例えばn型のMOSFETである。フォトダイオードPD1のアノードには、マイナス側電源電位Vssである接地電位が印加され、フォトダイオードPD1のカソードは、転送トランジスタTXのソースに接続されている。浮遊拡散容量部FDは、転送トランジスタTXのドレインと、リセットトランジスタRSTのソースと、増幅トランジスタAMIのゲートとに接続されている。リセットトランジスタRSTのドレインと、増幅トランジスタAMIのドレインとには、プラス側電源電位Vddが印加される。増幅トランジスタAMIのソースは、選択トランジスタSELのドレインに接続されている。選択トランジスタSELのソースは、出力線OLに接続されている。
【0025】
次に画素の動作について説明する。まず、転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタRSTのゲート電極に所定電位が印加されて、転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタRSTがともにオン状態となる。そうすると、フォトダイオードPD1に残存する電荷および浮遊拡散容量部FDに蓄積された電荷がプラス側電源電位Vddに向かって流れて、フォトダイオードPD1および浮遊拡散容量部FDの電荷が初期化される。その後、リセットトランジスタRSTがオフ状態となる。
【0026】
次に、入射光がフォトダイオードPD1のPN接合に照射されて、フォトダイオードPD1で光電変換が発生する。その結果、フォトダイオードPD1に電荷が発生する。この電荷は、転送トランジスタTXによってすべて浮遊拡散容量部FDに転送される。浮遊拡散容量部FDは転送されてきた電荷を蓄積する。これにより、浮遊拡散容量部FDの電位が変化する。
【0027】
次に、選択トランジスタSELがオン状態となると、変化後の浮遊拡散容量部FDの電位が、増幅トランジスタAMIによって増幅され、その後、出力線OLに出力される。そして、読み出し回路は、出力線OLの電位を読み出す。このようにして、画素アレイ部に複数形成された画素のそれぞれから、電荷情報を読出し、撮像素子により撮像した画像を得ることができる。
【0028】
次に、
図1を用いて、本実施の形態の固体撮像素子の断面構造について具体的に説明する。本願では、半導体からなる基板と、当該基板上に形成されたエピタキシャル層(エピタキシャル成長層、半導体層)とをまとめて半導体基板と呼ぶ場合がある。ただし、基板とエピタキシャル層を積層して形成された半導体基板から基板を除去した場合でも、残ったエピタキシャル層を半導体基板と呼ぶ。
【0029】
上記フォトダイオードはエピタキシャル層を含む半導体基板の上面に形成されており、上述した各種の回路を構成する電界効果トランジスタのソース・ドレイン領域およびチャネルは、エピタキシャル層を含む半導体基板の主面に形成される。
【0030】
また、ここでは、第1主面および第1主面の反対側の第1裏面を備えた第1の半導体基板と、第2主面および第2主面の反対側の第2裏面を備えた第2の半導体基板とを用意し、第2の半導体基板の第2主面側と、第1の半導体基板の第1裏面側とを接合して形成した固体撮像素子について説明する。
【0031】
なお、ここでいう半導体基板の主面とは、半導体基板の面のうち、フォトダイオードおよびトランジスタなどの半導体素子を形成する側の面を指し、ここでは、当該主面の反対側の面を半導体基板の裏面と呼ぶ。また、ここでいう半導体基板の主面側の面とは、半導体基板の主面上に層間絶縁膜を含む配線層が形成されている場合には、当該配線層の面のうち、半導体基板の主面側とは反対側の面、つまり当該配線層の最上面を指す。また、ここでいう半導体基板の裏面側の面とは、半導体基板の裏面を覆う絶縁膜が形成されている場合には、当該絶縁膜の面のうち、半導体基板の裏面側とは反対側の面、つまり当該絶縁膜の最下面を指す。
【0032】
図1に、画素領域PERおよび周辺回路領域CRを含む固体撮像素子の断面を示す。
図1に示すように、固体撮像素子は、第1の半導体基板であるp
-型の半導体基板SB1と、第2の半導体基板であるp
-型の半導体基板SB2とを有している。半導体基板SB1は、エピタキシャル層EP1からなり、半導体基板SB2は、Si(シリコン)からなる基板S2(
図3参照)とその上のエピタキシャル層EP2(
図3参照)とからなる。
図1に示す固体撮像素子では、半導体基板SB1はエピタキシャル層EP1を意味し、半導体基板SB2は基板S2とその上のエピタキシャル層EP2とを意味する。なお、図では基板S2およびエピタキシャル層EP2をまとめて半導体基板SB2として示している。
【0033】
半導体基板SB1は、第1主面および第1主面の反対側の第1裏面を備えており、半導体基板SB2は、第2主面および第2主面の反対側の第2裏面を備えている。半導体基板SB1は、エピタキシャル成長層(半導体層)からなり、例えばSi(シリコン)層からなる。
【0034】
半導体基板SB1の第1裏面は、第1裏面に接する絶縁膜IF1により覆われている。絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコン膜からなる。画素領域PERには、複数の画素PEが横方向に並んでおり、
図1ではそのうちの1つの画素PEを示している。ここでいう横方向とは、半導体基板SB1の第1主面または半導体基板SB2の第2主面に沿う方向(水平方向)である。画素領域PERおよび周辺回路領域CRでは、第1の半導体基板SB1の上面(第1主面)に、素子同士を分離する素子分離領域(素子分離部、素子分離膜)EI1が形成されている。素子分離領域EI1は、半導体基板SB1の上面に形成された溝内に埋め込まれた酸化シリコン膜などの絶縁膜により構成されている。
【0035】
素子分離領域EI1は、半導体基板SB1を貫通している。つまり、素子分離領域EI1は、半導体基板SB1の上面(第1主面)から下面(第1裏面)に亘って形成されており、素子分離領域EI1の下面は、絶縁膜IF1に接している。また、素子分離領域EI1の上面は、後述する層間絶縁膜IL1の下面に接している。素子分離領域EI1の上面の高さ(位置)は、半導体基板SB1の上面の高さ(位置)と略同一である。素子分離領域EI1はSTI(Shallow Trench Isolation)構造を有している。
【0036】
画素PE内において素子分離領域EI1から露出する領域の半導体基板SB1の上面(活性領域)には、フォトダイオードPD1が形成されている。フォトダイオードPD1は、半導体基板SB1の上面に形成されたp+型半導体領域PRと、p+型半導体領域PRの底面に接してp+型半導体領域PRの下の半導体基板SB1内に形成されたn型半導体領域NRとを有している。すなわち、フォトダイオードPD1は、p+型半導体領域PRおよびn型半導体領域NRのPN接合により構成されている。n型半導体領域NRのn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))の濃度は、半導体基板SB1の不純物濃度よりも高い。
【0037】
画素PEにおいて、フォトダイオードPD1が形成された活性領域内の半導体基板SB1の第1主面には、フォトダイオードPD1と離間してn型半導体領域である浮遊拡散容量部FDが形成されている。浮遊拡散容量部FDの深さは、n型半導体領域NRの深さよりも浅い。また、半導体基板SB1の第1主面において隣り合う浮遊拡散容量部FDおよびn型半導体領域NRの間の当該第1主面の直上には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極GTが形成されている。ゲート電極GT、浮遊拡散容量部FDおよびn型半導体領域NRは、転送トランジスタTXを構成している。n型半導体領域NRは転送トランジスタTXのソース領域を構成し、浮遊拡散容量部FDは転送トランジスタTXのドレイン領域を構成している。
【0038】
周辺回路領域CRでは、半導体基板SB1の上面にチャネル領域を有するトランジスタQ1が形成されている。ここでは、トランジスタQ1はnチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)であるものとして説明するが、トランジスタQ1はpチャネル型のMISFETでもよい。実際には、周辺回路領域CRにはnチャネル型およびpチャネル型のそれぞれのトランジスタが形成されている。トランジスタQ1は、素子分離領域EI1により規定された活性領域において、半導体基板SB1の上面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極G1を有している。ゲート電極G1の横の半導体基板SB1の上面には、平面視においてゲート電極G1を挟むように、ソース・ドレイン領域SDが形成されている。トランジスタQ1は、ゲート電極G1およびソース・ドレイン領域SDからなる。
【0039】
周辺回路領域CRでは、トランジスタQ1が形成された半導体基板SB1の第1主面に、p型の不純物(例えばB(ホウ素)が導入されたp型半導体領域であるウェルW1が形成されている。ウェルW1の深さは、ソース・ドレイン領域SDよりも深い。また、周辺回路領域CRには複数のトランジスタQ1と、その他の種類の半導体素子が形成されており、それらの素子同士の間は、素子分離領域EI1により分離されている。素子分離領域EI1は、画素PEに形成された素子分離領域EI1と同様の深さを有している。
【0040】
転送トランジスタTXおよびトランジスタQ1のそれぞれのゲート絶縁膜は例えば酸化シリコン膜からなり、ゲート電極GT、G1は例えばポリシリコン膜からなる。ソース・ドレイン領域SDは、半導体基板SB1の上面にn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))が導入されたn型半導体領域からなる。トランジスタQ1が動作する際には、ソース・ドレイン領域SDの間の半導体基板SB1の上面にチャネルが形成される。図示は省略するが、ソース・ドレイン領域SDおよびゲート電極G1のそれぞれの上面は、CoSi(コバルトシリサイド)などからなるシリサイド層により覆われている。
【0041】
半導体基板SB1上には、素子分離領域EI1、フォトダイオードPD1およびトランジスタQ1を覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されている。層間絶縁膜IL1は、半導体基板SB1の第1主面側から順に積層されたコンタクト層および配線層のそれぞれを構成する層間絶縁膜からなる。つまり、層間絶縁膜IL1は、半導体基板SB1の第1主面上に積層された複数の層間絶縁膜を含んでいる。また、図では転送トランジスタTXおよびトランジスタQ1のそれぞれのゲート絶縁膜と層間絶縁膜IL1とが一体となっているものとして図示を行っている。
【0042】
コンタクト層を構成する層間絶縁膜は、半導体基板SB1上に堆積した窒化シリコン膜からなるライナー膜(エッチングストッパ膜)と、当該ライナー膜上に堆積された酸化シリコン膜とを含む。図では、層間絶縁膜IL1を構成する各層間絶縁膜同士の境界を示していない。それらの境界に位置する各層間絶縁膜の上面は、いずれも平坦化されている。ここでは半導体基板SB1上の配線層が1つのみである場合について説明するが、配線層は2層以上積層されていてもよい。
【0043】
第1配線層は配線M1を含んでいる。配線M1は、例えば主にCu(銅)またはAl(アルミニウム)などからなる。コンタクト層である層間絶縁膜を縦方向、つまり半導体基板SB1の第1主面に対して垂直な方向(垂直方向)に貫通する複数のコンタクトホール内には、コンタクトプラグCPが埋め込まれている。コンタクトプラグCPは、例えば主にW(タングステン)からなる導電性接続部である。コンタクトプラグCPは、配線M1と、第1の半導体基板の第1主面に形成された半導体素子とを電気的に接続している。
図1では、浮遊拡散容量部FDおよびソース・ドレイン領域SDに接続されたコンタクトプラグCPを示している。層間絶縁膜IL1は、配線M1を覆っており、層間絶縁膜IL1の上面は平坦である。フォトダイオードPD1に照射される光が各配線により遮蔽されることを防ぐため、フォトダイオードPD1の直上には配線M1は形成されていない。
【0044】
画素領域PERおよび周辺回路領域CRにおいて、配線M1の直下には、層間絶縁膜IL1を構成するコンタクト層と、素子分離領域EI1と、絶縁膜IF1とを貫通するプラグPG1が形成されている。プラグPG1は素子分離領域EI1を貫通しているため、半導体基板SB1には接していない。言い換えれば、プラグPG1は素子分離領域EI1を介して半導体基板SB1から離間している。プラグPG1の底面と絶縁膜IF1の底面とは、略同一面において平坦化されている。プラグPG1は、絶縁膜IF1の底面側から形成された接続孔(凹部、溝)内に埋め込まれた導電性接続部であり、台形の断面形状を有している。すなわち、横方向におけるプラグPG1の幅は、プラグPG1の下面側よりもプラグPG1の上面側の方が小さい。
【0045】
絶縁膜IF1およびプラグPG1の下には、半導体基板SB2が配置されている。半導体基板SB2は、半導体基板SB1よりも縦方向の厚さが大きい。半導体基板SB2の第2裏面には、支持基板SSBが貼り付けられている。
【0046】
画素領域PERおよび周辺回路領域CRにおいて、第2の半導体基板SB2の上面(第2主面)には、素子同士を分離する素子分離領域EI2が形成されている。素子分離領域EI2は、半導体基板SB2の上面に形成された溝内に埋め込まれた酸化シリコン膜などの絶縁膜により構成されている。素子分離領域EI2は、半導体基板SB2の途中深さまで達している。素子分離領域EI2の上面の高さは、半導体基板SB2の上面の高さと略同一である。素子分離領域EI2はSTI構造を有している。
【0047】
ここでいう深さ、つまり、例えば半導体基板SB2の第2主面に形成された溝、素子分離領域または半導体領域などの深さとは、半導体基板SB2の第2主面から半導体基板SB2の第2裏面に向かう下向きの方向における、半導体基板SB2の第2主面からの距離を指す。
【0048】
各画素PEの半導体基板SB2の第2主面近傍には、周辺トランジスタであるリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMIおよび選択トランジスタSEL(
図2参照)が形成されている。
図1では、選択トランジスタSELは示していない。固体撮像素子により撮像を行った場合、光を受光したフォトダイオードPD1に電荷が信号として発生し、当該電荷を、転送トランジスタTXにより転送トランジスタTXのドレイン領域に接続された浮遊拡散容量部FDに転送する。この信号は、増幅トランジスタおよび選択トランジスタにより増幅されて上記出力線に出力される。このようにして、撮像により得られた信号を読出すことができる。なお、リセットトランジスタは、浮遊拡散容量部FDに溜まった電荷をリセットするために用いられる。
【0049】
ここでは、各画素PEの半導体基板SB2の第2主面近傍にリセットトランジスタRSTおよび増幅トランジスタAMIなどのnチャネル型MISFETが形成されている場合について説明するが、各画素PEの半導体基板SB2の第2主面近傍にはpチャネル型MISFETが形成されていてもよい。リセットトランジスタRSTは、半導体基板SB2の上面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極GRと、ゲート電極GRの横の半導体基板SB2の上面に、平面視においてゲート電極GRを挟むように形成されたソース・ドレイン領域SDとを有している。また、増幅トランジスタAMIは、半導体基板SB2の上面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極GAと、ゲート電極GAの横の半導体基板SB2の上面に、平面視においてゲート電極GAを挟むように形成されたソース・ドレイン領域SDとを有している。選択トランジスタは、リセットトランジスタRSTおよび増幅トランジスタAMIと同様の構造を有している。
【0050】
周辺回路領域CRでは、半導体基板SB2の上面にチャネル領域を有するトランジスタQ2が形成されている。ここでは、トランジスタQ2はnチャネル型のMISFETであるものとして説明するが、トランジスタQ2はpチャネル型のMISFETでもよい。実際には、周辺回路領域CRにはnチャネル型およびpチャネル型のそれぞれのトランジスタが形成されている。トランジスタQ2は、素子分離領域EI2により規定された活性領域において、半導体基板SB2の上面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極G2を有している。ゲート電極G2の横の半導体基板SB2の上面には、平面視においてゲート電極G2を挟むように、ソース・ドレイン領域SDが形成されている。トランジスタQ2は、ゲート電極G2およびソース・ドレイン領域SDからなる。
【0051】
画素領域PERおよび周辺回路領域CRでは、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI、選択トランジスタ(図示しない)およびトランジスタQ2が形成された半導体基板SB2の第2主面に、p型の不純物(例えばB(ホウ素)が導入されたp型半導体領域であるウェルW2が形成されている。ウェルW2の深さは、ソース・ドレイン領域SDおよび素子分離領域EI2よりも深い。また、ウェルW2の底面は、半導体基板SB2の第2裏面に達していない。なお、図示はしていないが、リセットトランジスタRSTおよび増幅トランジスタAMIのそれぞれが形成された活性領域の半導体基板SB2の第2主面にも、p型の半導体領域であるウェルがウェルW2と同様に形成されている。
【0052】
画素領域PERおよび周辺回路領域CRでは、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMIおよびトランジスタQ2のそれぞれのゲート絶縁膜は例えば酸化シリコン膜からなり、ゲート電極GR、GA、G2は例えばポリシリコン膜からなる。ソース・ドレイン領域SDは、半導体基板SB2の上面にn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))が導入されたn型半導体領域からなる。トランジスタQ2が動作する際には、ソース・ドレイン領域SDの間の半導体基板SB2の上面にチャネルが形成される。
【0053】
半導体基板SB2上には、素子分離領域EI2、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI、選択トランジスタ(図示しない)およびトランジスタQ2を覆うように、層間絶縁膜IL2が形成されている。層間絶縁膜IL2は、半導体基板SB2の第2主面側から順に積層されたコンタクト層および複数の配線層のそれぞれを構成する層間絶縁膜からなる。つまり、層間絶縁膜IL2は、半導体基板SB2の第2主面上に積層された複数の層間絶縁膜を含んでいる。また、図では周辺トランジスタおよびトランジスタQ2のそれぞれのゲート絶縁膜と層間絶縁膜IL2とが一体となっているものとして図示を行っている。
【0054】
コンタクト層を構成する層間絶縁膜は、半導体基板SB2上に堆積した窒化シリコン膜からなるライナー膜(エッチングストッパ膜)と、当該ライナー膜上に堆積された酸化シリコン膜とを含む。図では、層間絶縁膜IL2を構成する各層間絶縁膜同士の境界を示していない。複数の配線層は、例えば、半導体基板SB2の第2主面側から順に積層された第1配線層、第2配線層および第3配線層を含んでいる。積層された配線層の数は3層より多くても少なくてもよい。
【0055】
第1配線層は配線M1を含み、第2配線層は配線M1上に配置された配線M2を含み、第3配線層は配線M2上に配置された配線M3を含んでいる。配線M1~M3は、例えば主にCu(銅)またはAl(アルミニウム)などからなる。コンタクト層である層間絶縁膜を縦方向に貫通する複数のコンタクトホール内にはコンタクトプラグCPが埋め込まれている。コンタクトプラグCPは、例えば主にW(タングステン)からなる。コンタクトプラグCPは、配線M1と、半導体基板SB2の第2主面に形成された半導体素子とを電気的に接続している。なお、リセットトランジスタRSTおよび増幅トランジスタAMIはソース・ドレイン領域SDのうちの一方を互いに共有している。
【0056】
図1では、ソース・ドレイン領域SDに接続されたコンタクトプラグCPを示している。配線M1と配線M2とは、配線M1と配線M2との間の層間絶縁膜IL2を貫通するビアにより互いに電気的に接続されている。配線M2と配線M3とは、配線M2と配線M3との間の層間絶縁膜IL2を貫通するビアにより互いに電気的に接続されている。また、配線M3上には、配線M3の上面に接続されたビアが形成されている。上記複数のビアのそれぞれは、例えば主にCu(銅)からなる。層間絶縁膜IL2は、配線M1~M3を覆っており、層間絶縁膜IL2の上面は平坦である。
【0057】
画素領域PERおよび周辺回路領域CRにおいて、層間絶縁膜IL2の上面には、接続孔(凹部、溝)が複数形成されている。当該接続孔内には、プラグPG2が埋め込まれている。プラグPG2は配線M3の上面に接続されたビアの直上に形成されており、当該ビアの上面は、当該接続孔の底部において層間絶縁膜IL2から露出している。接続孔の底部では、プラグPG2の下面と当該ビアの上面とが接続されている。プラグPG2は、層間絶縁膜IL2の上面側から形成された接続孔(凹部、溝)内に埋め込まれた導電性接続部であり、逆台形の断面形状を有している。すなわち、横方向におけるプラグPG2の幅は、プラグPG2の下面側よりもプラグPG2の上面側の方が大きい。
【0058】
図示はしていないが、層間絶縁膜IL1の上面上には、表面保護膜であるパッシベーション膜PFと、パッシベーション膜PF上のマイクロレンズMLとが形成されていてもよい。パッシベーション膜は、例えば、酸化シリコン膜と、当該酸化シリコン膜上に配置された窒化シリコン膜とから形成される。マイクロレンズMLは上面が曲面である半球状の膜からなり、各画素PEに1つずつ形成される。マイクロレンズMLは、フォトダイオードPD1の直上に形成される。
【0059】
本実施の形態の固体撮像素子は、半導体基板SB1の第1裏面側に形成された絶縁膜IF1およびプラグPG1のそれぞれの下面と、半導体基板SB2の第2主面側に形成された層間絶縁膜IL2およびプラグPG2のそれぞれの上面とを接合させた構造を有している。すなわち、絶縁膜IF1の下面は層間絶縁膜IL2の上面に接合され、プラグPG1の下面はプラグPG2の上面に接合されている。
【0060】
言い換えれば、絶縁膜IF1の面のうち、第1裏面側の面とは反対側の面(下面)と、層間絶縁膜IL2の面のうち、第2裏面側の面とは反対側の面(上面)とが互いに接合している。また、プラグPG1の面のうち、第1裏面側の面とは反対側の面(下面)と、プラグPG2の面のうち、第2裏面側の面とは反対側の面(上面)とが互いに接合している。つまり、絶縁膜IF1と層間絶縁膜IL2とは半導体基板SB1、SB2のそれぞれの主面に対して垂直な方向において接合され、プラグPG1、PG2は、互いに半導体基板SB1、SB2のそれぞれの主面に対して垂直な方向において接合されている。
【0061】
よって、半導体基板SB1の第1主面近傍に形成された半導体素子と、半導体基板SB2の第2主面近傍に形成された半導体素子とは、プラグPG1、PG2を介して電気的に接続されている。すなわち、プラグPG1、PG2のそれぞれは、ボンディングパッドとして用いられている。プラグPG1、PG2は、平面視で互いに重なる位置に形成されている。
【0062】
例えば、転送トランジスタTXを構成するドレイン領域である浮遊拡散容量部FDは、半導体基板SB1上に形成されたコンタクトプラグCPおよび配線M1と、プラグPG1、PG2と、層間絶縁膜IL2内に形成された配線M1~M3、ビアおよびコンタクトプラグCPとを介して、リセットトランジスタRSTのソース領域およびゲート電極GAに電気的に接続されている。なお、ゲート電極GAに接続されたコンタクトプラグCPは図示されていない領域に形成されている。
【0063】
このように、半導体基板SB1の第1裏面側のプラグPG1と、半導体基板SB2の第2主面側のPG2とを互いに接続することで、積層された半導体基板SB1、SB2間を電気的に接続することができる。
図1に示すように、各画素PEにおいて、半導体基板SB1、SB2間を電気的に接続することも可能である。
【0064】
撮像時において、撮像素子に照射された光は、マイクロレンズML、各配線層を順に透過してフォトダイオードPD1に達する。フォトダイオードPD1のPN接合に入射光が照射されることで、フォトダイオードPD1およびフォトダイオードPD1の下の半導体基板SB1において光電変換が起こる。その結果、電子が発生し、この電子は、フォトダイオードPD1のn型半導体領域NR内に電荷として溜まる。このように、フォトダイオードPD1は、入射光の光量に応じた信号電荷を、その内部に生成する受光素子、つまり光電変換素子である。
【0065】
なお、n型半導体領域NRと半導体基板SB1との間のPN接合も、フォトダイオードPD1を構成しておいる。ここでは、半導体基板SB1の第1主面および半導体基板SB2の第2主面に高濃度のp+型半導体領域PRを形成することを説明したが、フォトダイオードPD1は、p+型半導体領域PRを有していなくてもよい。つまり、フォトダイオードPD1はn型半導体領域NRおよび半導体基板SB1のみにより構成されていてもよい。
【0066】
<固体撮像素子の製造方法>
以下に、本実施の形態の固体撮像素子の製造方法について、
図3~
図10を用いて説明する。
図3~
図10は、本実施の形態の固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
図3~
図10の各図では、左から順に画素領域PERおよび周辺回路領域CRを示している。
図1では画素領域PERに2つの画素PEが並ぶ範囲を示したが、
図3~
図8の画素領域PERでは、1つの画素の形成領域のみを示す。また、
図10では、周辺回路領域CRの右側にパッド領域PDRを示している。
【0067】
本実施の形態の固体撮像素子の製造工程では、例えば
図5を用いて説明する工程において第1半導体ウェハの上下の向きを逆さまにする。つまり、逆さまになった半導体ウェハの裏面は上方向を向き、主面は下方向を向く。ここでは、半導体ウェハの主面が上向きである場合、当該半導体ウェハの主面側の方向を上方向と呼び、当該半導体ウェハの裏面側の方向を下方向と呼ぶ。逆に、半導体ウェハの裏面が上向きである場合、当該半導体ウェハの裏面側の方向を上方向と呼び、当該半導体ウェハの主面側の方向を下方向と呼ぶ。
【0068】
固体撮像素子の製造工程では、まず、
図3に示すように、例えば単結晶シリコン(Si)からなるp型の半導体基板(半導体ウェハ)SB1およびSB2のそれぞれを用意する。半導体基板SB1は、後の工程においてフォトダイオードおよびトランジスタなどの半導体素子が形成される第1主面と、その反対側の第1裏面とを有している。半導体基板SB2は、後の工程においてトランジスタなどの半導体素子が形成される第2主面と、その反対側の第2裏面とを有している。
【0069】
半導体基板SB1は、単結晶シリコンからなる基板S1と、基板S1上にエピタキシャル成長法により形成されたエピタキシャル層EP1とを備えており、積層構造を有している。半導体基板SB2は、単結晶シリコンからなる基板S2と、基板S2上にエピタキシャル成長法により形成されたエピタキシャル層EP2とを備えており、積層構造を有している。
【0070】
ここでは、ダイシングにより切削される前の半導体基板を半導体ウェハと呼ぶ。また、半導体基板と、製造工程において半導体基板上に形成される素子および配線層などとを含めて半導体ウェハと呼ぶ。半導体基板SB1は第1半導体ウェハであり、半導体基板SB2は第2半導体ウェハである。
【0071】
なお、半導体基板SB1、SB2のそれぞれは別々の半導体ウェハであり、ここでは、半導体基板SB1、SB2に対して行う同様の工程のそれぞれを同じタイミングで行う場合について説明する。しかし、半導体基板SB1、SB2のそれぞれに対し同時進行で処理を行う必要はなく、例えば、半導体基板SB1について
図3~
図8を用いて説明する工程を行った後、半導体基板SB2について
図3~
図8を用いて説明する工程を行ってもよい。すなわち、第1半導体ウェハと第2半導体ウェハとを接合する工程(
図9参照)の前までは、第1半導体ウェハおよび第2半導体ウェハのいずれか一方に対して優先的に、素子の形成、配線層の形成、裏面の研磨、および、裏面を覆う絶縁膜の形成などの工程を行ってもよい。
【0072】
また、
図3ではエピタキシャル層とその下の基板とを区別して示しているが、他の図では、エピタキシャル層とその下の基板とをからなる積層基板またはエピタキシャル層のみからなる基板を、1つの半導体基板として図示している。
【0073】
次に、
図4に示すように、半導体基板SB1の第1主面に複数の溝を形成する。これらの溝は、半導体基板SB1上に形成した絶縁膜からなるパターンをマスク(ハードマスク)として用いてエッチングを行うことで形成することができる。半導体基板SB2の第2主面に対しても、同様に複数の溝を形成する。
【0074】
続いて、上記工程で形成した溝内に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて絶縁膜を埋め込んだ後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、半導体基板SB1の第1主面および半導体基板SB2の第2主面のそれぞれの上の当該絶縁膜を除去する。これにより、当該浅い溝内に残された当該絶縁膜により、半導体基板SB1の第1主面の溝内に素子分離領域EI1が形成され、半導体基板SB2の第2主面の溝内に素子分離領域EI2が形成される。ここでは、素子分離領域EI1、EI2をSTI(Shallow Trench Isolation)法で形成している。素子分離領域EI1、EI2は、例えば酸化シリコン膜からなる。素子分離領域EI1、EI2は、エピタキシャル層EP1、EP2(
図3参照)のそれぞれの途中深さまで達して形成され、エピタキシャル層EP1、EP2を貫通しない。
【0075】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いて、半導体基板SB1の周辺回路領域CRの第1主面にp型のウェルW1を形成し、半導体基板SB2の画素領域PERおよび周辺回路領域CRの第2主面にp型のウェルW2を形成する。当該イオン注入では、p型の不純物(例えばB(ホウ素))を打ち込む。なお、本実施の形態では周辺回路領域CRにnチャネル型のトランジスタを形成することについて説明をするが、周辺回路領域CRの図示していない領域には、pチャネル型のトランジスタも形成する。pチャネル型のトランジスタを形成する箇所では、nチャネル型のトランジスタを形成する際に半導体基板SB1、SB2に形成する不純物領域の導電型を異なる導電型とする。
【0076】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いて、半導体基板SB1の画素領域PERの主面にフォトダイオードPD1を形成する。ここでは、半導体基板SB1の画素領域PERの上面にn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))を例えばイオン注入法により打ち込むことでn型半導体領域NRを形成し、半導体基板SB1の画素領域PERの上面にp型の不純物(例えばB(ホウ素))を例えばイオン注入法により打ち込むことでp+型半導体領域PRを形成する。p+型半導体領域PRの深さは、n型半導体領域NRよりも浅い。n型半導体領域NRの深さは、素子分離領域EI1よりも浅い。フォトダイオードPD1は、主にn型半導体領域NRからなり、ここでは、p+型半導体領域PRと、n型半導体領域NRの周囲の半導体基板SB1であるp型半導体領域とにより構成されている。すなわち、フォトダイオードPD1は、n型半導体領域およびp型半導体領域のPN接合により構成されている。
【0077】
半導体基板SB1の画素領域PERでは、平面視において複数のフォトダイオードPD1が並んで形成されており、各フォトダイオードPD1は、素子分離領域EI1により規定された活性領域に形成されている。ここでは、半導体基板SB1の第1主面において複数のフォトダイオードPD1が形成された領域のそれぞれが1つの画素PEとなる。言い換えれば、1つの画素PEは1つのフォトダイオードPD1を有している。
【0078】
続いて、半導体基板SB1上に転送トランジスタTXと、トランジスタQ1と、転送トランジスタTX、トランジスタQ1およびフォトダイオードPD1のそれぞれを覆う配線層とを形成する。本実施の形態の固体撮像素子の製造方法の主な特徴は、トランジスタおよび配線層の形成工程にはないため、ここでは当形成工程の具体的な説明を省略する。nチャネル型のMISFETである転送トランジスタTXは画素領域PERに形成され、nチャネル型のMISFETであるトランジスタQ1は周辺回路領域CRに形成される。n型半導体領域NRは、転送トランジスタTXのソース領域を構成している。
【0079】
転送トランジスタTXは半導体基板SB1の第1主面に形成された浮遊拡散容量部FDおよび当該第1主面上のゲート電極GTを有し、トランジスタQ1は半導体基板SB1の第1主面に形成されたソース・ドレイン領域SDおよび当該第1主面上のゲート電極G1を有している。トランジスタQ1が形成された活性領域は、素子分離領域EI1により規定されている。配線層は、層間絶縁膜IL1と、層間絶縁膜IL1内のコンタクトプラグCPおよび配線M1を含んでいる。
【0080】
また、画素領域PERおいて、半導体基板SB2の第2主面近傍には、各画素の周辺トランジスタ、つまり、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMIおよび選択トランジスタ(図示しない)を形成する。また、周辺回路領域CRにおいて、半導体基板SB2の第2主面近傍には、トランジスタQ2を形成する。
【0081】
その後、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI、選択トランジスタ(図示しない)およびトランジスタQ2のそれぞれを覆う複数の配線層からなる積層配線層を形成する。半導体基板SB2上のリセットトランジスタRSTは半導体基板SB2の第2主面に形成されたソース・ドレイン領域SDおよび当該第2主面上のゲート電極GRを有する。増幅トランジスタAMIは半導体基板SB2の第2主面に形成されたソース・ドレイン領域SDおよび当該第2主面上のゲート電極GAを有する。選択トランジスタは、増幅トランジスタAMIと同様の構造を有している。トランジスタQ2は半導体基板SB2の第2主面に形成されたソース・ドレイン領域SDおよび当該第2主面上のゲート電極G2を有している。各トランジスタが形成された活性領域は、素子分離領域EI2により規定されている。積層配線層は、層間絶縁膜IL2と、層間絶縁膜IL2内のコンタクトプラグCP、配線M1、M2、M3およびビアを含んでいる。
【0082】
層間絶縁膜IL1内の配線M1は、フォトダイオードPD1、転送トランジスタTXおよびトランジスタQ1などの素子に対し、コンタクトプラグCPを介して電気的に接続されている。層間絶縁膜IL2内の配線M1は、周辺トランジスタおよびトランジスタQ2などの素子に対し、コンタクトプラグCPを介して電気的に接続されている。層間絶縁膜IL2内の配線M1、M2およびM3は、ビアを介して互いに電気的に接続されている、半導体基板SB1上の配線層の上面は層間絶縁膜IL1により構成され、半導体基板SB2上の積層配線層の上面は層間絶縁膜IL2により構成されている。層間絶縁膜IL2内の配線M3の直上には、配線M3に接続されたビアが形成されており、当該ビアの上面は、層間絶縁膜IL2の上部を構成する絶縁膜により覆われている。
【0083】
続いて、層間絶縁膜IL2の上面に、複数の接続孔(凹部、溝)を形成し、それらの接続孔内を埋め込むプラグ(導電性接続部)PG2を、例えばいわゆるダマシン法により形成する。プラグPG2は、例えば主にCu(銅)からなる。当該接続孔は、例えばフォトリソグラフィ技術およびエッチング法により形成することができる。プラグPG2は、例えば、当該接続孔上にTa(タンタル)などを含むバリア導体膜およびCu(銅)からなるシード膜を順に積層した後、主導体膜である銅膜をめっき法により形成し、これにより接続孔内を完全に埋め込んだ後、層間絶縁膜IL2の上面上の金属膜を例えばCMP法により除去することで形成することができる。プラグPG2の底面は、配線M3の上面に接続されたビアの上面に接続されている。ここでは、プラグPG2を画素領域PERおよび周辺回路領域CRのそれぞれに形成する。上記CMP法による金属膜の研磨工程により、プラグPG2の上面と層間絶縁膜IL2の上面とは、略同一面において平坦化される。
【0084】
次に、
図5に示すように、第1半導体ウェハの主面側、つまり層間絶縁膜IL1の上面に支持基板SSAを貼り付ける。支持基板SSAは、支持基板SSA上の配線層および半導体基板SB1を含む構造が変形することなどを防ぐ役割を有する。同様に、第2半導体ウェハの裏面、つまり半導体基板SB2の第2裏面に支持基板SSBを貼り付ける。支持基板SSA、SSBのそれぞれは、例えばSi(シリコン)基板からなる。続いて、半導体基板SB1、つまり第1半導体ウェハの上下を逆さまにする。つまり、半導体基板SB1の第1裏面を上向きにする。なお、半導体基板SB2が半導体ウェハの強度を保つために十分な厚さを有している場合には、半導体基板SB2に支持基板SSBを貼り付けなくてもよい。
【0085】
次に、
図6に示すように、半導体基板SB1の第1裏面を例えばCMP法で研磨(研削)する。これにより、第1裏面を後退させることで、素子分離領域EI1を露出させる。この工程により、基板S1(
図3参照)は全て除去される。半導体基板SB1の第1裏面であるエピタキシャル層EP1の裏面は、素子分離領域EI1の上面まで後退し、半導体基板SB2の第2裏面であるエピタキシャル層EP2の裏面は、素子分離領域EI1の上面まで後退する。ここでは、n型半導体領域NRは第1裏面において露出しない。この研磨工程により、半導体基板SB1および素子分離領域EI1のそれぞれの膜厚は、例えば150~350nm程度となる。なお、必要に応じて、半導体基板SB2の第2裏面をCMP法などにより研磨し、後退させてもよい。
【0086】
次に、
図7に示すように、例えばプラズマCVD法を用いて、第1半導体ウェハの裏面、つまり半導体基板SB1の第1裏面を覆う絶縁膜(酸化絶縁膜)IF1を形成(堆積)する。絶縁膜IF1は素子分離領域EI1の上面に接して素子分離領域EI1の当該上面を覆っている。絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコン膜からなる。
【0087】
絶縁膜IF1の形成方法として、例えば熱酸化法を用いることが考えられるが、熱酸化法を用いた場合、既に形成した配線M1などが熱負荷を受けるため、ここでは半導体基板SB1の温度上昇が小さい成膜方法であるプラズマCVD法を用いて絶縁膜IF1を形成する。
【0088】
次に、
図8に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて、第1半導体ウェハの裏面に、比較的深い接続孔(凹部、溝)を複数形成する。すなわち、絶縁膜IF1の上面から、半導体基板SB1を貫通し、配線M1の上面に達する接続孔を形成する。当該接続孔は、絶縁膜IF1、素子分離領域EI1と、層間絶縁膜IL1を構成するコンタクト層とを貫通している。当該接続孔と半導体基板SB1との間には素子分離領域EI1が介在しているため、半導体基板SB1は接続孔内で露出していない。接続孔の底面では、配線M1の上面が露出している。
【0089】
続いて、上記複数の接続孔のそれぞれの内部を埋め込むプラグ(導電性接続部)PG1を、例えばいわゆるダマシン法により形成する。プラグPG1は、例えば主にCu(銅)からなる。プラグPG1は、例えば、当該接続孔上にTa(タンタル)などを含むバリア導体膜およびCu(銅)からなるシード膜を順に積層した後、主導体膜である銅膜をめっき法により形成し、これにより接続孔内を完全に埋め込んだ後、絶縁膜IF1の上面上の金属膜を例えばCMP法により除去することで形成することができる。プラグPG1の底面は、配線M1の上面に接続される。ここでは、プラグPG1を画素領域PERおよび周辺回路領域CRのそれぞれに形成する。上記CMP法による金属膜の研磨工程により、プラグPG1の上面と絶縁膜IF1の上面とは、略同一面において平坦化される。
【0090】
なお、ここではプラグPG1を配線M1に接続しているが、半導体基板SB1の下に複数の配線層が積層されている場合は、配線M1とは異なる高さの配線にプラグPG1を接続してもよい。
【0091】
次に、
図9に示すように、第1半導体ウェハの裏面と第2半導体ウェハの主面とを接合する。つまり、
図8に示す絶縁膜IF1の上面と、
図8に示す層間絶縁膜IL2の上面とを貼り合わせて接合する。このとき、第1半導体ウェハの上下を再度逆さまにすることで、半導体基板SB1の第1主面は上方向を向く。これにより、半導体基板SB1の第1裏面と、半導体基板SB2の第2主面とが対向した状態で、第1半導体ウェハおよび第2半導体ウェハからなる積層ウェハを形成する。
【0092】
ここでは、第1半導体ウェハの裏面において露出する絶縁膜IF1と第2半導体ウェハの主面において露出する層間絶縁膜IL2とを貼り合わせた後に、400℃で熱処理を行うことで接合強度を高める。熱処理を行うと絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL2のそれぞれの表面から水分が除去される脱離反応が起こる。これにより、例えばSiO(酸化シリコン)からなる絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL2の相互間の境界で絶縁膜IF1と層間絶縁膜IL2とが酸素原子を共有する。よって、絶縁膜IF1と層間絶縁膜IL2とはそれら間の界面で共有結合するため、第1半導体ウェハと第2半導体ウェハとは強固に接合される。
【0093】
また、当該接合工程では、酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL2同士が接合すると共に、主にCu(銅)からなるプラグPG1、PG2のそれぞれが相互間で接合される。つまり、
図8に示すプラグPG1の上面と、プラグPG2の上面とが互いに接合される。このように、本実施の形態の半導体ウェハ同士の接合工程では、酸化シリコン膜とCuプラグとが共に接合されるハイブリッド接合が行われる。
【0094】
続いて、支持基板SSAを層間絶縁膜IL1の上面から剥がし取ることで除去する。
【0095】
次に、
図10に示すように、パッド領域PDRの層間絶縁膜IL1上にパッドPDを形成し、続いて、層間絶縁膜IL1の上面およびパッドPDを覆うパッシベーション膜PFを形成する。パッド領域PDRの層間絶縁膜IL1内には、
図4を用いて説明した工程において、配線M1が形成されている。パッド領域PDRは、層間絶縁膜IL1上にボンディングパッドなどを形成する領域である。図では周辺回路領域CRとパッド領域PDRとを別々に示しているが、パッド領域PDRは周辺回路領域CR内の一部と考えてもよい。
【0096】
ここでは、パッド領域PDRにおいて、配線M1上の層間絶縁膜IL1を貫通するビアを形成した後、パッド領域PDRにおいて、当該ビアの上面に接続されたパッドPDを形成する。パッドPDは層間絶縁膜IL1上に形成された導体膜からなるパターンである。パッドPDは、層間絶縁膜IL1上に例えばスパッタリング法により形成した金属膜(例えばAl(アルミニウム)膜)をフォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて加工することで形成する。
【0097】
一部のパッドPDの底面は、当該ビアを介して、第1半導体ウェハに形成されている配線M1および素子に電気的に接続されている。また、一部のパッドPDの底面は、当該ビア、配線M1、プラグPG1およびPG2を介して、第2半導体ウェハに形成されている配線M1および素子に電気的に接続されている。
【0098】
パッシベーション膜PFは、層間絶縁膜IL1上およびパッドPD上に、例えば、CVD法により酸化シリコン膜および窒化シリコン膜を順に積層することで形成することができる。パッシベーション膜PFは、反射防止膜としても機能する。つまり、パッシベーション膜PFは、半導体基板SB1の第1主面側からフォトダイオードPD1に入射する光が、層間絶縁膜IL1上で反射することを防ぐ役割を有する。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてパッシベーション膜PFの一部を除去することで、パッドPDの上面の一部を露出させる。なお、この工程でパッシベーション膜PFを開口した箇所は、図に示していない。露出したパッドPDは、例えば、ボンディングワイヤを接着させる対象であるボンディングパッドとして用いられる。
【0099】
その後、図示は省略するが、各画素PEのパッシベーション膜PFの直上にマイクロレンズを形成してもよい。マイクロレンズは、例えば、パッシベーション膜PF上に形成した絶縁膜を、平面視において円形のパターンに加工した後、例えば当該絶縁膜を加熱することで当該膜の上面および側面からなる表面を丸め、これにより当該膜をレンズ状に加工することで形成する。
【0100】
その後、第1半導体ウェハおよび第2半導体ウェハからなる積層ウェハをダイシングにより切削することで個片化し、これにより、複数の半導体チップのそれぞれである固体撮像素子を得る。以上の工程により、半導体基板SB1、SB2を含む本実施の形態の固体撮像素子が略完成する。
【0101】
なお、図示はしていないが、
図10を用いて説明した工程では、パッドPDを形成する工程の前に、パッド領域PDRにおいて、層間絶縁膜IL1、半導体基板SB1および絶縁膜IF1を貫通し、層間絶縁膜IL2の途中深さまで達するSi(シリコン)貫通電極(貫通ビア、上下チップ導電接続部、TSV:Through Silicon Via)を形成してもよい。
【0102】
Si貫通電極を形成する際には、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、層間絶縁膜IL1、半導体基板SB1および絶縁膜IF1を貫通し、層間絶縁膜IL2の途中深さまで達する貫通孔(接続孔)を形成する。これにより、当該貫通孔の底部において、層間絶縁膜IL2内の配線M3の上面を露出させる。その後、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜をCVD法などにより層間絶縁膜IL1上に堆積した後、ドライエッチングを行うことで、層間絶縁膜IL1の上面上の当該絶縁膜と、貫通孔の底面を覆う当該絶縁膜とを除去する。これにより、貫通孔の側面にのみ当該絶縁膜を残し、貫通孔の底部において、層間絶縁膜IL2内の配線M3の上面を露出させる。
【0103】
続いて、例えばTa(タンタル)を含むバリア導体膜と、例えばCu(銅)からなる薄いシード膜とを、貫通孔の側面および底面を覆うように形成した後、めっき法を用いて、シード膜上に、例えばCu(銅)からなる主導体膜を形成し、これにより、貫通孔内を完全に埋め込む。その後、例えばCMP法により、層間絶縁膜IL1上の余分なバリア導体膜、シード膜および主導体膜を除去することで層間絶縁膜IL1の上面を露出させ、これにより、貫通孔に埋め込まれたバリア導体膜、シード膜および主導体膜からなるSi貫通電極を形成する。
【0104】
<本実施の形態の効果>
以下に、本実施の形態の固体撮像素子の製造方法の効果について、
図32に示す比較例を用いて説明する。
図32は、比較例の固体撮像素子の断面図である。
【0105】
図32に示す比較例の固体撮像素子は、半導体基板SB1、SB2を積層した構造を有し、1つの画素内に半導体基板SB1内のフォトダイオードPD1と、半導体基板SB2内のフォトダイオードPD2とを有するものである。ここで、半導体基板SB1の第1主面は下側を向いているため、半導体基板SB1の第1主面と半導体基板SB2の第2主面とが対向した状態で半導体基板SB1、SB2が積層されている。
【0106】
図32に示すように、半導体基板SB1の画素領域PERの第1主面(下面)にはフォトダイオードPD1が形成され、半導体基板SB2の画素領域PERの第2主面(上面)にはフォトダイオードPD2が形成されている。周辺回路領域CRの第1主面近傍にはトランジスタQ1が形成され、周辺回路領域CRの第2主面近傍にはトランジスタQ2が形成されている。半導体基板SB1の第1主面の下には、フォトダイオードPD1およびトランジスタQ1を覆う層間絶縁膜IL1を含む積層配線層が形成されている。半導体基板SB2の第2主面の上には、フォトダイオードPD2およびトランジスタQ2を覆う層間絶縁膜IL2を含む積層配線層が形成されている。半導体基板SB2の下面には支持基板SSBが貼り付けられており、半導体基板SB1は薄膜化されている。
【0107】
層間絶縁膜IL1、IL2のそれぞれの内部には、配線M1、M2、M3、ビアおよびコンタクトプラグCPが形成されている。層間絶縁膜IL1の下面と層間絶縁膜IL2の上面とが接合されることにより、半導体基板SB1、SB2が積層されている。ここで、層間絶縁膜IL1と層間絶縁膜IL2との界面と同一面に、2つの接続部(プラグ)が互いに接続される界面は存在しない。つまり、半導体基板SB1および層間絶縁膜IL1を含む第1積層体と、半導体基板SB2および層間絶縁膜IL2を含む第2積層体との接合は、層間絶縁膜IL1と層間絶縁膜IL2との接合、つまり酸化シリコン膜同士の接合のみにより実現されている。
【0108】
図示していないパッド領域(周辺回路領域)にはSi貫通電極が半導体基板SB1および層間絶縁膜IL1を貫通し、層間絶縁膜IL2内の配線M1に接続されている。Si貫通電極は層間絶縁膜IL1上のパッドに接続されている。Si貫通電極は、当該パッドの底面に接続されたビアを介して、層間絶縁膜IL1内の配線M1、M2に電気的に接続されている。すなわち、半導体基板SB1の第1主面に近傍に形成された半導体素子と、半導体基板SB2の第2主面に近傍に形成された半導体素子とは、層間絶縁膜IL1、IL2のそれぞれの内部の配線M1、M2、ビアおよびコンタクトプラグCPと、Si貫通電極およびパッドとを介して電気的に接続されている。
【0109】
当該比較例の固体撮像素子において、例えば、フォトダイオードPD1の感度性能を向上させるため、1つの画素PE内の平面視におけるフォトダイオードPD1の占有面積を増大させる方法がある。そのために、各画素PEに形成される周辺トランジスタの全てを半導体基板SB2の第2主面近傍に形成することが考えられる。その場合、フォトダイオードPD1と周辺トランジスタは、パッド領域に形成されたSi貫通電極を介して電気的に接続される。言い換えれば、Si貫通電極を介さなければ、1つの画素PE内のフォトダイオードPD1と周辺トランジスタとを電気的に接続することができない。
【0110】
これは、半導体基板SB1を含む第1積層体と、半導体基板SB2を含む第2積層体との接合を、酸化シリコン膜同士の接合のみにより行い、半導体基板SB1側の素子等と半導体基板SB2側の素子等との電気的な接続をSi貫通電極により行っているためである。Si貫通電極は深さが深く、一定のアスペクト比を保って形成する必要があるため、コンタクトプラグCPおよびビアなどの接続部に比べて幅が非常に大きい。したがって、Si貫通電極は、画素領域PERにアレイ状に配置された各画素PE内の半導体基板SB1側の素子と半導体基板SB2側の素子とを電気的に接続するための接続部には不向きである。
【0111】
よって、例えば上記のように1つの画素PE内において、半導体基板SB1に形成されたフォトダイオードPD1と半導体基板SB2に形成された周辺トランジスタとをSi貫通電極により接続しようとすると、固体撮像素子の面積が増大する問題が生じる。これは、各画素PEのフォトダイオードPD1と周辺トランジスタとを接続するSi貫通電極を、画素PEの数に応じて多数形成する必要があるためである。
【0112】
フォトダイオードPD1に接続された転送トランジスタと周辺トランジスタとの間の電流経路は、撮像により得られた電荷を一時的に蓄える浮遊拡散容量部として用いられるが、上記の比較例では、当該電流回路がSi貫通電極を含むため、非常に長くなり、固体撮像素子の消費電力の増大およびノイズの増大などが起きる。また、各画素PEのそれぞれの当該電流経路の長さを一定に保つことが困難であるため、画素PEによって浮遊拡散容量部の容量がばらつき、固体撮像素子の性能が低下する問題が生じる。
【0113】
画素PEによって浮遊拡散容量部の容量がばらつくことを防ぐため、各画素PEにSi貫通電極を形成することも考えられるが、その場合各画素PEにおけるフォトダイオードPD1、PD2の画素PE内での占有面積が著しく減少し、固体撮像素子の感度性能が低下する。すなわち、比較例の固体撮像素子では、積層した半導体基板SB1、SB2の相互間において、微細な導電性接続部による電気的な接続を行うことができない問題がある。
【0114】
また、比較例では、半導体基板SB1、SB2のそれぞれの主面側同士を接続する技術により半導体基板SB1、SB2を積層している。すなわち、酸化シリコン膜同士の接合は容易であるため、比較例では、層間絶縁膜IL1、IL2同士を接合している。しかし、半導体基板の主面側同士を接続する技術のみでは、3つ以上の半導体基板を積層することができない。比較例では、半導体基板SB1、SB2のそれぞれの裏面が酸化シリコン膜により覆われていないため、半導体基板SB1、SB2のいずれかの裏面を他の半導体基板の主面側に形成された層間絶縁膜などに接合することは困難である。
【0115】
シリコン基板と、当該シリコン基板上にBOX(Buried Oxide、層埋込酸化)膜を介して形成されたシリコン層とからなるSOI(Silicon On Insulator)基板を用いた場合、当該シリコン層上半導体素子および配線層を形成した後、当該シリコン基板を除去すれば、シリコン層の裏面側にBOX膜の底面が露出する。したがって、当該BOXの底面と、他の半導体基板上の層間絶縁膜などの上面とを接合することが考えられる。この場合、半導体基板の裏面側と他の半導体基板の主面側とを接合することができるが、SOI基板を用いると、固体撮像素子の製造コストが増大する問題が生じる。
【0116】
これに対し、本実施の形態の固体撮像素子は、
図1に示すように、半導体基板SB1の第1裏面側の絶縁膜IF1と、半導体基板SB2の第2主面側の層間絶縁膜IL2とを接合している。ここで、各画素PEにおいて、半導体基板SB1に形成された素子と、半導体基板SB2に形成された素子とは、Si貫通電極ではなく、絶縁膜IF1の下面の接続孔内に埋め込まれたプラグPG1と、層間絶縁膜IL2の上面の接続孔内に埋め込まれたプラグPG2とを互いに接合することで形成された電流経路により電気的に接続されている。このため、Si貫通電極を用いなくても画素PE内で半導体基板SB1側の素子等と半導体基板SB2側の素子等とを電気的に接続することができる。同様に、周辺回路領域CRにもプラグPG1、PG2を形成することで、半導体基板SB1側の素子等と半導体基板SB2側の素子等とを、Si貫通電極よりも微細な接続部により電気的に接続することができる。
【0117】
プラグPG1は、Si貫通電極と異なり、層間絶縁膜IL2内の配線およびビアに達していない。言い換えれば、プラグPG1は、層間絶縁膜IL2内の配線およびビアのうち、最も半導体基板SB1側に近い配線M3およびビアに対し、半導体基板SB1側に離間している。プラグPG2は、Si貫通電極と異なり、層間絶縁膜IL1内のコンタクトプラグCP、配線およびビアに達していない。言い換えれば、プラグPG2は、層間絶縁膜IL1内のコンタクトプラグCP、配線およびビアのうち、最も半導体基板SB2側に近いコンタクトプラグCP、配線M1およびビアに対し、半導体基板SB2側に離間している。すなわち、プラグPG1は層間絶縁膜IL2よりも上(半導体基板SB1側)に位置し、プラグPG2は絶縁膜IF1よりも下(半導体基板SB2側)に位置している。
【0118】
本実施の形態では、酸化シリコンを含む絶縁膜同士と、プラグ(ボンディングパッド)同士とを共に接合させるハイブリッド接合技術を用いることで、上記のような基板間の電気的な接続を実現している。ここではSOI基板を用いる必要がないため、固体撮像素子の製造コストが増大することを防ぐことができる。
【0119】
また、1つの基板を含む第1積層体と、他の1つの基板を含む第2積層体とを接合する場合、接合面においてそれぞれの積層体表面に酸化シリコン膜およびプラグ(ボンディングパッド)が共に存在していることが考えられる。ここで、各積層体の表面の酸化シリコン膜同士のみが接合する場合と、各積層体の表面のプラグ同士のみが接合する場合とのそれぞれでは、積層体同士の接合強度が低くなる虞がある。これに対し、本実施の形態の固体撮像素子では、酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL2同士が接合すると共に、主にCu(銅)からなるプラグPG1、PG2のそれぞれが相互間で接合されている。つまり、半導体基板SB1、プラグPG1、層間絶縁膜IL1および絶縁膜IF1を含む第1積層体と、半導体基板SB2、プラグPG2および層間絶縁膜IL2を含む第1積層体との接合面では、絶縁膜IF1と層間絶縁膜IL2とが互いに接続し、且つ、プラグPG1、PG2が互いに接続されている。これにより、積層体同士の接合強度を高めることができる。
【0120】
プラグPG1は絶縁膜IF1、半導体基板SB1およびコンタクト層のみを貫通する接続部であり、プラグPG2は層間絶縁膜IL2の最上部の絶縁膜のみを貫通する接続部である。よって、プラグPG1、PG2のそれぞれは、Si貫通電極に比べて深さが浅い。このため、プラグPG1、PG2のそれぞれは、Si貫通電極に比べて小さい幅で形成することができる。したがって、Si貫通電極に比べて微細な接続部により、画素PE内において半導体基板SB1側の素子等と半導体基板SB2側の素子等とを電気的に接続することができる。これにより、画素PE内で半導体基板SB1側の素子等と半導体基板SB2側の素子等とを電気的に接続する電流経路を短くすることができる。よって、固体撮像素子の消費電力およびノイズを低減することができる。また、基板間の電流経路を短くすることで、固体撮像素子のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0121】
また、固体撮像素子の動作時には、フォトダイオードPD1に光電変換により生じた電荷を、転送トランジスタTXのドレイン領域、リセットトランジスタRSTのソース領域およびゲート電極GAを互いに接続する電流経路である容量部(浮遊拡散容量部)に蓄える。本実施の形態では、半導体基板SB1の第1主面近傍に形成された転送トランジスタTXのドレイン領域と、半導体基板SB2の第2主面近傍に形成されたリセットトランジスタRSTのソース領域およびゲート電極GAとを、各画素PE内のプラグPG1、PG2を介して接続している。よって、各画素PEにおいて、浮遊拡散容量部である電流経路の長さを統一することができるため、浮遊拡散容量部の容量がばらつくことを防ぐことができる。よって、固体撮像素子の性能を向上させることができる。
【0122】
また、各画素PEにおいて、浮遊拡散容量部である電流経路の長さを統一することができるため、ノイズの大きさがばらつくことを防ぐことができる。つまり、所定の画素PEで生じるノイズが、他の画素PEで生じるノイズより過度に大きくなることを防ぐことができる。
【0123】
また、ここでは、各画素PEの半導体基板SB1にフォトダイオードPD1および転送トランジスタTXを形成し、当該転送トランジスタTXに接続された周辺トランジスタを全て半導体基板SB2に形成している。このため、1つの半導体基板の各画素にフォトダイオードおよび周辺トランジスタを形成する場合に比べ、各画素PE内での平面視におけるフォトダイオードPD1の占有面積を増大させることができる。したがって、固体撮像素子の感度性能を向上させることができる。
【0124】
また、周辺トランジスタを半導体基板SB2側に形成することで、半導体基板SB1上の層間絶縁膜IL1内に形成する配線数を減らすことができる。よって、層間絶縁膜IL1内の配線層の積層数を低減することができるため、層間絶縁膜IL1を薄膜化することができる。その結果、フォトダイオードPD1に照射される光が、層間絶縁膜IL1の厚さに起因して減衰することを防ぐことができる。また、上層の配線により光の遮蔽(けられ)が起こり、フォトダイオードPD1の受光量が低下することを防ぐことができる。このため、固体撮像素子の感度性能を向上させることができる。
【0125】
また、ここでは素子分離領域EI1を貫通するプラグPG1を形成しているため、プラグPG1と半導体基板SB1とは互いに絶縁されている。よって、プラグPG1と半導体基板SB1とが短絡すること、および、プラグPG1を流れる電流などの影響により、フォトダイオードPD1から得られる信号にノイズが生じることを防ぐことができる。
【0126】
また、積層した半導体基板SB1、SB2の相互間の電気的な接続を微細なプラグPG1、PG2により行うことができるため、固体撮像素子を微細化することができる。また、本実施の形態のように、半導体基板SB1の第1裏面側と半導体基板SB2の第2主面側とを接合する技術を用いれば、半導体基板を3つ以上積層することもできる。なお、半導体基板を3つ以上積層することについては、実施の形態2において後述する。
【0127】
<変形例1>
図11に、本実施の形態の変形例1である固体撮像素子の断面図を示す。
図11は、
図1に対応する箇所の断面図である。ここでは、素子に接続されるコンタクトプラグよりも深く、素子分離領域を貫通するプラグを第1半導体基板上の配線の直下に形成し、第1半導体基板の第1裏面側に形成するプラグの深さを縮小することについて説明する。
【0128】
図11に示すように、本変形例の固体撮像素子の構造は、
図1に示す構造とほぼ同様である。ただし、
図11ではプラグPG1の深さが小さく、プラグPG1と半導体基板SB1上の配線M1との間に、素子分離領域EI1を貫通するプラグ(導電性接続部)DPが形成されている点で、
図1に示す構造とは異なる。プラグDPは配線M1の底面に接続されており、コンタクトプラグCPと同様の材料により構成されている。プラグDPは、コンタクトプラグCPよりも深く形成されており、層間絶縁膜IL1を構成するコンタクト層と、素子分離領域EI1とを貫通して形成されている。
【0129】
プラグPG1は、絶縁膜IF1の底面に形成された溝内を埋め込んで形成されており、絶縁膜IF1を貫通している。
図11に示すプラグPG1の絶縁膜IF1の底面(下面)から上方向に向かう深さは、
図1に示すプラグPG1の深さよりも小さい。例えば、
図11に示すプラグPG1は、絶縁膜IF1の底面から、半導体基板SB1を貫通する素子分離領域EI1の底面(下面)に渡って形成されている。プラグPG1の上面は、素子分離領域EI1の底面近傍において、プラグDPの底面に接続されている。
【0130】
すなわち、層間絶縁膜IL1内の配線M1と、層間絶縁膜IL2内の配線M3とは、プラグDP、PG1、PG2およびビアを介して電気的に接続されている。なお、プラグDPの下面の位置は、素子分離領域EI1の最下面より高い箇所に位置していてもよい。その場合、プラグPG1の上端は、素子分離領域EI1の途中深さまで達する。また、プラグPG1の一部が、プラグDPの側面の下端を覆っていてもよい。
【0131】
次に、本変形例の固体撮像素子の製造工程について、
図12~
図14を用いて説明する。
図12~
図13は、本変形例の固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【0132】
まず、
図3を用いて説明した工程を行った後、
図4を用いて説明したように、フォトダイオードPD1、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI、トランジスタQ1およびQ2などの半導体素子を形成する。続いて、
図12に示すように、半導体基板SB1上に、層間絶縁膜IL1を構成するコンタクト層を形成した後、当該コンタクト層を貫通するコンタクトプラグCPおよびプラグDPを形成する。
【0133】
ここでは、例えば、コンタクトプラグCPを埋め込むための接続孔をコンタクト層に開口した後、プラグDPを埋め込むための接続孔を、コンタクト層および素子分離領域EI1を貫通するように形成する。その後、それらの接続孔内に、例えば主にCu(銅)からなる導電部材を埋め込むことで、コンタクトプラグCPおよびプラグDPを形成することができる。なお、プラグDPは素子分離領域EI1を貫通せず、素子分離領域EI1の途中深さまで達する深さで形成してもよい。また、半導体基板SB2上には、コンタクト層である層間絶縁膜IL2と、コンタクト層を貫通するコンタクトプラグCPとを形成する。
【0134】
次に、
図13に示すように、
図4を用いて説明した工程を行うことで、コンタクト層上、プラグDP上およびコンタクトプラグCP上に、層間絶縁膜IL1を含む配線層を形成する。また、半導体基板SB2上には、層間絶縁膜IL2およびプラグPG2を含む積層配線層を形成する。ここでは、プラグDPおよびコンタクトプラグCPのそれぞれの上面に接続された配線M1を形成する。
【0135】
次に、
図14に示すように、
図5~
図7を用いて説明した工程を行い、その後、
図8を用いて説明したように、プラグPG1を形成する。ただし、
図8を用いて説明した工程とは異なり、プラグPG1は浅く形成する。すなわち、ここではプラグPG1を、絶縁膜IF1の上面から、例えば素子分離領域EI1の上面に渡って形成する。これにより、プラグPG1の下面は、プラグDPの上面に接続される。なお、プラグDPが縦方向において素子分離領域EI1の途中深さで終端している場合は、プラグPG1を埋め込む接続孔を形成する工程において、素子分離領域EI1の上面の位置をエッチング法により除去することで、当該接続孔の底面にプラグDPの上面を露出させる。その後、当該接続孔内に導電膜を埋め込むことで、プラグDPの上面に接続されたプラグPG1を形成することができる。
【0136】
その後の工程は、
図9および
図10を用いて説明した工程と同様に行い、これにより
図11に示す本変形例の固体撮像素子が完成する。
【0137】
本変形例では、
図1~10を用いて説明した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0138】
また、本変形例では、半導体基板SB1上のコンタクトプラグCPを形成する際、素子分離領域EI1内に達するプラグDPを形成している。このため、配線M1に達するプラグPG1を形成する場合に比べ、半導体基板SB1の第1裏面側から形成するプラグPG1の深さを小さく抑えることができる。深さが小さいプラグPG1は、より深い接続孔内に埋め込まれたプラグを形成する場合に比べ、容易に形成することができる。また、浅い接続孔内に埋め込まれたプラグPG1は、より深い接続孔内に形成されるプラグに比べ、幅を縮小することができる。よって、固体撮像素子の微細化が可能となる。
【0139】
<変形例2>
図15に、本実施の形態の変形例2である固体撮像素子の断面図を示す。
図15は、
図1に対応する箇所の断面図である。ここでは、第1半導体基板を厚く形成することで感度性能を向上させ、第1半導体基板上の配線と、第1半導体基板の第1裏面側のプラグ(ボンディングパッド)とを、DTI(Deep Trench Isolation)内のプラグにより接続することについて説明する。なお、
図15~
図18では、半導体基板SB2より大きい膜厚を有する半導体基板SB1を示しているが、半導体基板SB2の膜厚は半導体基板SB1の膜厚以上の大きさを有していてもよい。
【0140】
図15に示すように、本変形例の固体撮像素子の構造は、半導体基板SB1の厚さが素子分離領域EI1の厚さに比べて大きい点と、半導体基板SB1上の配線M1の下面とプラグPG1との間に、側面を絶縁膜IF2により保護された深いプラグDTPが形成されている点とにおいて、
図1に示す構造と異なっており、その他の構造は、
図1に示す構造とほぼ同様である。
図15では画素領域PERに素子分離領域EI1を示していないが、素子分離領域EI1は形成されていてもよい。
【0141】
本変形例では、
図1~10を用いて説明した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0142】
また、半導体基板SB1の厚さは、例えば数十μmである。本変形例では、半導体基板SB1の厚さを大きく維持することで、半導体基板SB1に照射された光が光電変換される領域を増大させることができる。したがって、撮像時にフォトダイオードPD1に蓄積される電荷量を増大させることができるため、固体撮像素子の感度性能を向上させることができる。ここで、n型半導体領域NRの深さは、
図1に示すn型半導体領域NRの深さより大きくてもよい。
【0143】
このような大きい膜厚を有する半導体基板SB1を用い、且つ半導体基板SB1上の配線M1とプラグPG1とを電気的に接続するため、深い絶縁部(DTI)内に埋め込まれたプラグ(導電性接続部)DTPを形成している。すなわち、当該配線M1の下の層間絶縁膜IL1を構成するコンタクト層および半導体基板SB1を貫通して、プラグPG1の上面に達する溝(接続孔)DTが形成されており、溝DT内には、溝DTの側面を覆う絶縁膜IF2を介してプラグDTPが完全に埋め込まれている。
【0144】
プラグDTPの深さはコンタクトプラグCPよりも深い。プラグDTPの上面は配線M1の底面に接続され、プラグDTPの下面はプラグPG1の上面に接続されている。すなわち、プラグDTPの下面は、半導体基板SB1と絶縁膜IF1との界面とほぼ同じ高さに位置する。絶縁膜IF2は、例えば酸化シリコン膜からなり、プラグDTPは、例えばW(タングステン)からなる。絶縁膜IF2は、プラグDTPと層間絶縁膜IL1との間にも介在している。
【0145】
このように、比較的深いプラグDTPを各画素PEに形成することで、半導体基板SB1の膜厚が大きい場合でも、半導体基板SB1側の素子等と半導体基板SB2側の素子等とを電気的に接続することができる。ここでは、プラグDTPが素子分離領域EI1を貫通していない構造について説明したが、プラグDTPは素子分離領域EI1を貫通していてもよい。プラグDTPが素子分離領域EI1を貫通していなくても、プラグDTPと半導体基板SB1との間は絶縁膜IF2により絶縁されているため、プラグDTPと半導体基板SB1とが短絡することを防ぐことができる。
【0146】
また、ここでは
図11~
図14を用いて説明したプラグPG1と同様に浅いプラグPG1を形成している。よって、本実施の形態の前記変形例1と同様に、プラグPG1を比較的小さい幅で形成することが可能である。
【0147】
次に、本変形例の固体撮像素子の製造工程について、
図16~
図18を用いて説明する。
図16~
図18は、本変形例の固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【0148】
まず、
図3を用いて説明した工程を行った後、
図4を用いて説明したように、フォトダイオードPD1、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI、トランジスタQ1およびQ2などの半導体素子を形成する。続いて、
図16に示すように、半導体基板SB1上に、層間絶縁膜IL1を構成するコンタクト層を形成した後、当該コンタクト層を貫通するコンタクトプラグCPを形成する。
【0149】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて、半導体基板SB1の途中深さまで達する深い溝DTを形成する。溝DTは、素子分離領域EI1の底面よりも深い位置まで達しており、数十μm程度の深さを有する。続いて、例えばCVD法を用いて、溝DT内を含む層間絶縁膜IL1上に絶縁膜IF2を形成する。その後、ドライエッチングを行うことで、層間絶縁膜IL1上の絶縁膜IF2と、溝DTの底部の絶縁膜IF2とを除去する。このドライエッチングにより、溝DTの底面は露出しても露出しなくてもよい。
【0150】
続いて、スパッタリング法を用いて、溝DT内を例えばW(タングステン)からなる導体膜により完全に埋め込む。なお、当該導体膜を形成する前に、例えばTi(チタン)またはTiN(窒化チタン)などからなるバリア導体膜を、絶縁膜IF2の表面を覆うように形成してもよい。当該導体膜の形成後、例えばCMP法を用いて、層間絶縁膜IL1上の上記バリア導体膜および上記導体膜を除去し、層間絶縁膜IL1の上面を露出させる。これにより、溝DT内に、絶縁膜IF2を介して、上記バリア導体膜および上記導体膜からなるプラグDTPを形成する。
【0151】
次に、
図17に示すように、
図4を用いて説明した工程を行うことで、コンタクト層、コンタクトプラグCPおよびプラグDTPを覆い、層間絶縁膜IL1を含む配線層を形成する。ここでは、プラグDTPおよびコンタクトプラグCPのそれぞれに接続された配線M1を形成する。また、半導体基板SB2上には、層間絶縁膜IL2およびプラグPG2を含む積層配線層を形成する。
【0152】
続いて、半導体基板SB1を上下逆さまにした後、半導体基板SB1の第1裏面を例えばCMP法により研磨する。ここでの研磨による第1裏面の後退量(研磨量)は、
図6を用いて説明した半導体基板SB1の第1裏面の研磨量よりも小さい。これにより、半導体基板SB1の厚さは数十μmとなる。当該研磨工程により、第1裏面と略同一面内でプラグDTPの上面が露出する。
【0153】
次に、
図18に示すように、
図7を用いて説明した工程を行い、その後、
図8を用いて説明したように、プラグPG1を形成する。ただし、プラグPG1は
図14を用いて説明した工程と同様に浅く形成する。これにより、下面がプラグDTPの上面に接続されたプラグPG1を形成する。
【0154】
その後の工程は、
図9および
図10を用いて説明した工程と同様に行い、これにより
図15に示す本変形例の固体撮像素子が完成する。
【0155】
本変形例の固体撮像素子の製造工程では、
図15を用いて説明した効果を得ることができる。
【0156】
<変形例3>
図19に、本実施の形態の変形例3である固体撮像素子の断面図を示す。
図19は、
図1に対応する箇所の断面図である。ここでは、
図15~
図18を用いて説明した本実施の形態の前記変形例2の固体撮像素子と同様に、深い絶縁部(DTI)内のプラグを介して第1の半導体基板と第2の半導体基板とを接続する場合において、当該深い溝の側面である第1半導体基板にp型半導体領域からなる保護層を形成する場合について説明する。
【0157】
図19に示すように、本変形例の固体撮像素子の構造は、
図15に示す構造とほぼ同様である。ただし、
図19では、溝DTの側面の半導体基板SB1にp型の不純物(例えばB(ホウ素))が導入されている点で、
図15に示す構造とは異なる。すなわち、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF2と接する半導体基板SB1には、p型半導体領域PR1が形成されている。
【0158】
次に、本変形例の固体撮像素子の製造工程について、
図20~
図21を用いて説明する。
図20~
図21は、本変形例の固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【0159】
まず、
図3を用いて説明した工程を行った後、
図4を用いて説明したように、フォトダイオードPD1、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI、トランジスタQ1およびQ2などの半導体素子を形成する。続いて、
図20に示すように、半導体基板SB1上に、層間絶縁膜IL1を構成するコンタクト層を形成した後、当該コンタクト層を貫通するコンタクトプラグCPを形成する。
【0160】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて、半導体基板SB1の途中深さまで達する深い溝DTを形成する。続いて、例えばイオン注入法を用いて、溝DTの側面にp型の不純物(例えばB(ホウ素))を打ち込む。これにより、溝DTの側面にはp型半導体領域PR1が形成される。ここでは、溝DTの底面にもp型半導体領域PR1が形成される。続いて、
図16を用いて説明した工程と同様にして、溝DT内に絶縁膜IF2を介してプラグDTPを形成する。
【0161】
次に、
図21に示すように、
図17および
図18を用いて説明した工程を行うことで、層間絶縁膜IL1を含む配線層、絶縁膜IF1およびプラグPG1を形成する。また、半導体基板SB2上には、層間絶縁膜IL2およびプラグPG2を含む積層配線層を形成する。
【0162】
その後の工程は、
図9および
図10を用いて説明した工程と同様に行い、これにより
図19に示す本変形例の固体撮像素子が完成する。
【0163】
本変形例では、溝DTの側面に保護層としてp型半導体領域PR1を形成することで、半導体基板SB1内に生じた電荷がプラグDTP側に移動することを防ぐことができ、プラグDTP内の電流がフォトダイオードPD1に影響を与えることができる。その結果、固体撮像素子の感度性能の低下を防ぐことができ、ノイズの発生を抑えることができる。
【0164】
また、フォトダイオードを有するシリコン層内では、当該シリコン層と絶縁膜とが接する界面において電子が発生し易く、この電子の存在により、暗電流が発生する問題がある。暗電流とは、固体撮像素子の画素領域のうち、光が照射されていない画素において当該電子が生じることにより発生する電流である。このため、暗電流が発生すると固体撮像素子の撮像性能が低下する。
【0165】
本変形例の固体撮像素子では、半導体基板SB1と絶縁膜IF2との界面で生じる電子を、p型半導体領域PR1内の正孔により捕獲、消滅させることができる。よって、暗電流の発生を防ぐことができるため、固体撮像素子の性能を向上させることができる。
【0166】
<変形例4>
図22に、本実施の形態の変形例4である固体撮像素子の断面図を示す。
図22は、
図1に対応する箇所の断面図である。また、
図23に、本変形例の固体撮像素子の各画素の等価回路図を示す。ここでは、
図19~
図21を用いて説明した本実施の形態の前記変形例3の固体撮像素子とほぼ同様の構造を有する固体撮像素子であって、グローバルシャッター機能を有する固体撮像素子について説明する。
【0167】
図22に示すように、本変形例の固体撮像素子の構造は、
図19に示す構造とほぼ同様である。ただし、本変形例の固体撮像素子はグローバルシャッター機能を有している。固体撮像素子を用いた撮像方式には、ローリングシャッターを用いた方法と、グローバルシャッターを用いた方法とがある。
【0168】
ローリングシャッターは、ライン露光順次読み出しとも呼ばれ、固体撮像素子の画素領域に行列状に並ぶ複数の画素のうち、1行または複数行の画素を1ブロックとして、各ブロック毎に順に画像を撮像し、各ブロックで得られた画像を合わせて1つの画像を得る方式である。撮像は全てのブロックで同時に行われるのではなく、各ブロックが時間差で撮像を行う。このため、撮像対象が動いている場合には、撮像により得られた画像内の当該撮像対象の形が歪む場合がある。
【0169】
これに対し、グローバルシャッターは、同時露光一括読み出しとも呼ばれ、画素領域内の全ての画素で同時に撮像を行う方式である。このため、動く撮像対象を撮像しても、ローリングシャッター方式のように、画像内において撮像対象が歪むことを防ぐことができる。
【0170】
図23に示すように、本変形例の固体撮像素子の画素は、
図2に示す画素と異なり、フォトダイオードPD1とリセットトランジスタRSTおよび増幅トランジスタAMIとの間に、互いに直列に接続された2つの転送トランジスタTX1、TX2を有している。言い換えれば、フォトダイオードPD1のカソードには、順に転送トランジスタTX1、TX2が直列に接続されている。つまり、フォトダイオードPD1にソース領域が接続された転送トランジスタTX1のドレイン領域DR(
図22参照)は、転送トランジスタTX2のソース領域に接続されており、転送トランジスタTX2のドレイン領域である浮遊拡散容量部FDは、リセットトランジスタRSTのソース電極および増幅トランジスタAMIのゲート電極に接続されている。
【0171】
また、転送トランジスタTX1のドレイン領域(ドレイン電極)DRおよび転送トランジスタTX2のソース領域(ソース電極)は、容量素子CP1の電極の1つに接続され、転送トランジスタTX2のドレイン領域(ドレイン電極)である浮遊拡散容量部FD、リセットトランジスタRSTのソース電極および増幅トランジスタAMIのゲート電極は、容量素子CP2の電極の1つに接続されている。容量素子(キャパシタ)CP1、CP2のそれぞれには、マイナス側電源電位Vssである接地電位が印加されている。すなわち、転送トランジスタTX2のドレイン領域、容量素子CP2、リセットトランジスタRSTのソース電極および増幅トランジスタAMIのゲート電極を結ぶ電流経路が、浮遊拡散容量部FDとして用いられる。記憶ノード(メモリ部)である容量素子CP1は、撮像によりフォトダイオードPD1で得られた電荷を一時的に保持するための素子である。
【0172】
図22に示すように、フォトダイオードPD1は、半導体基板SB1の第1主面近傍に形成された転送トランジスタTX1に接続されている。また、半導体基板SB2の第2主面近傍には、リセットトランジスタRSTと、リセットトランジスタRSTと同様の構造を有する転送トランジスタTX2とが形成されている。転送トランジスタTX2を構成するソース・ドレイン領域SDのうち、ドレイン領域(浮遊拡散容量部FD)は、リセットトランジスタRSTのソース領域と一体となっている。nチャネル型の電界効果トランジスタである転送トランジスタTX2は、半導体基板SB2上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極GTを有している。なお、図は画素PE内に形成された増幅トランジスタおよび選択トランジスタを示していない。
【0173】
転送トランジスタTX1のドレイン領域DRは、半導体基板SB1上のコンタクトプラグCPおよび配線M1と、プラグDTP、PG1およびPG2とを介して、半導体基板SB2側に電気的に接続されている。図示はしていないが、ドレイン領域DRと転送トランジスタTX2のソース領域との間の電流経路には、容量素子CP1(
図23参照)が接続されており、容量素子CP1は、例えば半導体基板SB2の主面近傍または層間絶縁膜IL2内に形成されている。また、図示はしていないが、転送トランジスタTX2とリセットトランジスタRSTとが共有するソース・ドレイン領域SD(浮遊拡散容量部FD)には、容量素子CP2(
図23参照)が接続されており、容量素子CP2は、例えば半導体基板SB2の主面近傍または層間絶縁膜IL2内に形成されている。
【0174】
半導体基板SB2に容量素子CP1、CP2が形成される場合、容量素子CP1、CP2は、半導体基板SB2の第2主面にp型またはn型の不純物が導入されて形成された拡散領域(半導体領域)により構成される拡散領域であることが考えられる。また、層間絶縁膜IL2内に容量素子CP1、CP2が形成される場合については、本実施の形態の変形例5において
図24を用いて後述する。
【0175】
また、各画素PEの絶縁膜IF1の下面には溝(凹部)が形成され、当該溝内には、金属膜MF1が埋め込まれている。また、各画素PEの層間絶縁膜IL2の上面には溝(凹部)が形成され、当該溝内には、金属膜MF2が埋め込まれている。金属膜MF1、MF2は、互いに平面視で重なる位置に形成されている。また、金属膜MF1、MF2は、フォトダイオードPD1と平面視で重なる位置に形成されている。金属膜MF1、MF2は、平面視において、各画素PEの大部分を占めており、水平方向に広がって形成されている。
【0176】
金属膜MF1は、例えばプラグPG1の形成工程において形成することができ、金属膜MF2は、例えばプラグPG2の形成工程において形成することができる。このため、金属膜MF1は、例えばプラグPG1と同様の深さを有し、金属膜MF2は、例えばプラグPG2と同様の深さを有する。金属膜MF1、MF2は、例えば主にCu(銅)からなる。
【0177】
金属膜MF1、MF2は、記憶ノードに接続された容量素子CP1、および、浮遊拡散容量部FDに接続された容量素子CP2に蓄えられる電荷(信号、情報)が、絶縁膜IF1の上方から層間絶縁膜IL2側に浸入する光により変動することを防ぐための遮光膜(反射膜)としての役割を有する。したがって、金属膜MF1、MF2は、容量素子CP1、CP2を覆うように、容量素子CP1、CP2のそれぞれの直上に形成されている。金属膜MF1、MF2は、配線などに接続されておらず、電気的に浮遊状態にある。つまり、金属膜MF1、MF2は回路を構成していない。
【0178】
本変形例では、本実施の形態の前記変形例3と同様の効果を得ることができる。また、グローバルシャッター機能を有する固体撮像素子において、各画素PEの容量素子CP1、CP2、転送トランジスタTX2および周辺トランジスタを半導体基板SB2の主面近傍および層間絶縁膜IL2内に形成することができる。よって、それらの素子とフォトダイオードPD1とを1つの半導体基板上にまとめて形成する必要がないため、各画素PEにおけるフォトダイオードPD1の平面視での占有面積を増大させることができる。よって、固体撮像素子の感度性能を向上させることができる。
【0179】
また、Si貫通電極に比べて微細な接続部であるプラグDTP、PG1およびPG2を用いて半導体基板SB1側の素子等と半導体基板SB2側の素子等とを電気的に接続しているため、各画素PEにおいて、記憶ノードおよび浮遊拡散容量部FDを構成する電流経路の長さがばらつくことを防ぐことができる。
【0180】
また、
図32を用いて説明した比較例の固体撮像素子では、半導体基板SB1、SB2のそれぞれの主面同士を対向させて積層基板を形成している。このような固体撮像素子を、例えば密着イメージセンサ(CSI:Contact Image Sensor)に用いた場合、上側のフォトダイオードPD1がBSI(Back Side Illumination、背面照射型、裏面照射型)となるため、青色の光に対する感度が低くなる問題が生じる。密着イメージセンサは、光源と固体撮像素子とが一体となった装置である。
【0181】
これに対し、本変形例では
図22に示すように、半導体基板SB1の第1裏面と半導体基板SB2の第2主面とを対向させて積層基板を形成している。よって、全てのフォトダイオードPD1はFSI(Front Side Illumination、表面照射型)となるため、青色の光に対する感度が低くなることを防ぐことができる。
【0182】
なお、金属膜MF1、MF2のうち、どちらか一方のみを形成し、他方を形成しないことが考えられる。その場合、積層体同士の接合面において金属膜と絶縁膜とが接することとなるため、積層体同士の接合強度が低くなる虞がある。そこで、ここでは金属膜MF1と、金属膜MF1に対向する金属膜MF2とを形成することで、金属膜MF1、MF2を互いに接合させ、これにより、半導体基板SB1を含む第1積層体と、半導体基板SB2を含む第2積層体との接合強度を高めている。
【0183】
<変形例5>
図24に、本実施の形態の変形例5である固体撮像素子の断面図を示す。
図24は、
図1に対応する箇所の断面図である。ここでは、
図22および
図23を用いて説明した本実施の形態の前記変形例4の固体撮像素子とほぼ同様の構造を有する固体撮像素子であって、第2半導体基板側の配線層内に容量素子を設ける場合について説明する。
【0184】
図24に示すように、本変形例の固体撮像素子の構造は、
図22に示す構造とほぼ同様であり、
図23に示す等価回路図と同様の回路を各画素PEに有している。すなわち、本変形例の固体撮像素子はグローバルシャッター機能を有している。
【0185】
図22に示す構造と異なり、
図24には、層間絶縁膜IL2内に形成された容量素子CP1を示している。容量素子CP1は、各画素PEの層間絶縁膜IL2内において、配線M1の上であって、且つ、金属膜MF2の直下の領域に形成されている。容量素子CP1は、配線M2と、配線M2上に絶縁膜を介して形成された金属膜MF3とにより構成されている。当該絶縁膜は、例えば酸化シリコン膜からなる。また、金属膜MF3は、Cu(銅)膜またはAl(アルミニウム)膜からなる。なお、図では当該絶縁膜は層間絶縁膜IL2と一体化して示している。
【0186】
このような容量素子CP1を形成する場合には、例えば、
図4を用いて説明した工程の途中で、配線M2を含む配線層を形成する。つまり、配線M2が上面の溝内に埋め込まれた層間絶縁膜IL2を形成する。このとき、配線M2の上面は露出している。次に、CVD法およびスパッタリング法などを用いて、配線M2上に絶縁膜および金属膜MF3を順に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて、金属膜MF3を加工する。これにより、配線M2および金属膜MF3からなる容量素子CP1を形成する。その後は、金属膜MF3上に配線M3およびビアなどを含む層間絶縁膜IL2を形成する。図示はしていないが、容量素子CP2(
図23参照)も容量素子CP1と同様に層間絶縁膜IL2内に形成することができる。
【0187】
容量素子CP1は、記憶ノードを構成し、金属膜MF3の上面に接続されたビアと、当該ビアの上面に接続された配線M3を介して、転送トランジスタTX1を構成するドレイン領域DRおよび転送トランジスタTX2のソース領域に電気的に接続されている。
【0188】
本変形例では、本実施の形態の前記変形例4と同様の効果を得ることができる。また、半導体基板SB2上の層間絶縁膜IL2内に容量素子CP1を形成することで、半導体基板SB1上に容量素子CP1を形成しないで済む。よって、半導体基板SB1の第1主面近傍および第1主面上の層間絶縁膜IL1内に、フォトダイオードPD1および転送トランジスタTX1以外の素子を形成する必要がないため、各画素PEでの平面視におけるフォトダイオードPD1の占有面積を増大させることができる。よって、固体撮像素子の感度性能を向上させることができる。
【0189】
<変形例6>
図25に、本実施の形態の変形例6である固体撮像素子の断面図を示す。
図25は、
図1に対応する箇所の断面図である。ここでは、
図15~
図18を用いて説明した本実施の形態の前記変形例2の固体撮像素子と同様に、深い溝(DTI)内のプラグを介して第1の半導体基板と第2の半導体基板とを接続する場合において、当該深い溝の側面と絶縁膜IF2との間に高誘電率膜を形成する場合について説明する。
【0190】
図25に示すように、本変形例の固体撮像素子の構造は、
図15に示す構造とほぼ同様である。ただし、
図25では、溝DTの側面と絶縁膜IF2との間に絶縁膜HKが形成されている点で、
図15に示す構造とは異なる。すなわち、溝DT内には、溝DTの側面から順に絶縁膜HK、絶縁膜IF2およびプラグDTPが形成されている。絶縁膜HKは、絶縁膜IF2と半導体基板SB1との間のみならず、絶縁膜IF2と層間絶縁膜IL1との間にも形成されており、溝DTの側面を覆っている。絶縁膜HKは、酸化シリコンおよび窒化シリコンのいずれよりも誘電率が高い膜(高誘電率膜、high-k膜)である。絶縁膜HKは、例えばHf(ハフニウム)を含む。
【0191】
次に、本変形例の固体撮像素子の製造工程について、
図26を用いて説明する。
図26は、本変形例の固体撮像素子の製造工程中の断面図である。
【0192】
まず、
図3を用いて説明した工程を行った後、
図4を用いて説明したように、フォトダイオードPD1、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMI、トランジスタQ1およびQ2などの半導体素子を形成する。続いて、
図26に示すように、半導体基板SB1上に、層間絶縁膜IL1を構成するコンタクト層を形成した後、当該コンタクト層を貫通するコンタクトプラグCPを形成する。
【0193】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて、半導体基板SB1の途中深さまで達する深い溝DTを形成する。続いて、例えばCVD法を用いて、溝DT内を含む半導体基板SB1上に絶縁膜HKを形成する。これにより、溝DTの側面および底面を覆う絶縁膜HKが形成される。続いて、
図16を用いて説明した工程と同様にして、溝DT内に絶縁膜IF2を介してプラグDTPを形成する。つまり、絶縁膜IF2および導体膜により溝DT内を埋め込んだ後、例えばCMP法を用いて層間絶縁膜IL1上の絶縁膜HK、IF2および導体膜を除去することで、溝DT内に、絶縁膜HK、IF2を順に介して、上記導体膜からなるプラグDTPを形成する。
【0194】
次に、
図17および
図18を用いて説明した工程を行うことで、層間絶縁膜IL1を含む配線層および絶縁膜IF1と、プラグDTPに接続されたプラグPG1とを形成する。また、半導体基板SB2上には、層間絶縁膜IL2およびプラグPG2を含む積層配線層を形成する。
【0195】
その後の工程は、
図9および
図10を用いて説明した工程と同様に行い、これにより
図25に示す本変形例の固体撮像素子が完成する。
【0196】
本変形例では、
図15~
図18を用いて説明した本実施の形態の前記変形例2と同様の効果を得ることができる。
【0197】
また、本変形例では、溝DTの側面を覆う保護膜として絶縁膜HKを形成することで、半導体基板SB1内に生じた電荷がプラグDTP側に移動することを防ぐことができ、プラグDTP内の電流がフォトダイオードPD1に影響を与えることができる。その結果、固体撮像素子の感度性能の低下を防ぐことができ、ノイズの発生を抑えることができる。
【0198】
(実施の形態2)
図27に、本実施の形態2である固体撮像素子の断面図を示す。
図27には画素領域PERのみを示し、周辺回路領域の図示は省略している。
図27の画素領域PERには、横方向に並ぶ2つの画素PEを示している。ここでは、フォトダイオードを備えた半導体基板を3つ重ねて積層する場合について説明する。
【0199】
図27に示すように、本実施の形態の固体撮像素子の構造は、主面にフォトダイオードを有し、裏面を上方向に向けた半導体基板を3つ積層した構造を有している。ここでは、半導体基板SB3上に半導体基板SB2を積層し、半導体基板SB2上に半導体基板SB1を積層している。半導体基板SB1は、第1主面と、第1主面の半導体側の第1裏面とを有している。半導体基板SB2は、第2主面と、第2主面の半導体側の第2裏面とを有している。半導体基板SB3は、第3主面と、第3主面の半導体側の第3裏面とを有している。
【0200】
半導体基板SB3、第3主面近傍に形成された半導体素子および当該半導体素子を覆う層間絶縁膜IL3の構造は、
図1を用いて説明した半導体基板SB1、半導体基板SB1の第1主面近傍に形成された半導体素子および当該半導体素子を覆う層間絶縁膜IL1の構造の上下を逆さまにしたものである。すなわち、半導体基板SB3の各画素PEの第3主面にはフォトダイオードPD3が形成されており、半導体基板SB3の第3裏面上には、絶縁膜IF1が形成されている。また、絶縁膜IF1と、半導体基板SB3を貫通する素子分離領域EI3と、層間絶縁膜IL3の一部とを貫通し、層間絶縁膜IL3内の配線M1の上面に接続されたプラグPG1が形成されている。プラグPG1は、層間絶縁膜IL3内の配線M1およびコンタクトプラグCPを介して、半導体基板SB3の第3主面近傍の転送トランジスタTXに電気的に接続されている。層間絶縁膜IL3の下面には、支持基板SSBが貼り付けられている。
【0201】
半導体基板SB2、第2主面近傍に形成された半導体素子および当該半導体素子を覆う層間絶縁膜IL2の構造は、一部分、つまり、層間絶縁膜IL2内の配線M1より下の構造を除き、半導体基板SB3、第3主面近傍に形成された半導体素子および当該半導体素子を覆う層間絶縁膜IL3の構造と同じである。すなわち、半導体基板SB2の各画素PEの第2主面にはフォトダイオードPD2が形成されており、半導体基板SB2の第2裏面上には、絶縁膜IF1が形成されている。また、絶縁膜IF1と、半導体基板SB2を貫通する素子分離領域EI2と、層間絶縁膜IL2の一部とを貫通し、層間絶縁膜IL2内の配線M1の上面に接続されたプラグPG1が形成されている。プラグPG1は、層間絶縁膜IL2内の配線M1およびコンタクトプラグCPを介して、半導体基板SB2の第2主面近傍の転送トランジスタTXに電気的に接続されている。
【0202】
加えて、層間絶縁膜IL2内には、配線M1の下に配線M2が形成されている。なお、層間絶縁膜IL3内にも、配線M1とは高さが異なる配線M2、M3などが形成されていてもよい。層間絶縁膜IL2内において、配線M2の下面にはビアが接続されており、当該ビアの下面には、層間絶縁膜IL2の下面に形成された接続孔(溝)内を埋め込むプラグPG2の上面が接続されている。すなわち、
図27に示すプラグPG2は、
図1に示すプラグPG2を逆さまにした構造を有している。
【0203】
半導体基板SB1、第1主面近傍に形成された半導体素子および当該半導体素子を覆う層間絶縁膜IL1の構造は、半導体基板SB2、第2主面近傍に形成された半導体素子および当該半導体素子を覆う層間絶縁膜IL2の構造と同じである。すなわち、半導体基板SB1の各画素PEの第1主面にはフォトダイオードPD1が形成されており、半導体基板SB1の第1裏面上には、絶縁膜IF1が形成されている。また、絶縁膜IF1と、半導体基板SB1を貫通する素子分離領域EI1と、層間絶縁膜IL1の一部とを貫通し、層間絶縁膜IL1内の配線M1の上面に接続されたプラグPG1が形成されている。プラグPG1は、層間絶縁膜IL1内の配線M1およびコンタクトプラグCPを介して、半導体基板SB1の第1主面近傍の転送トランジスタTXに電気的に接続されている。層間絶縁膜IL1内において、配線M1の下に配線M2が形成されており、配線M2の下面にはビアを介してプラグPG2が接続されている。
【0204】
フォトダイオードPD1~PD3のそれぞれが形成された半導体基板SB1~SB3は、いずれも裏面側を上方に向けている。すなわち、フォトダイオードPD1~PD3はいずれも裏面照射型の受光素子(光電変換部)である。つまり、固体撮像素子を用いた撮像時には、各半導体基板SB1~SB3の裏面側から照射された光をフォトダイオードPD1~PD3のそれぞれにおいて受光し、光電変換を行う。
【0205】
各画素PEは、縦方向に積層された3つのフォトダイオードPD1、PD2およびPD3を有している。フォトダイオードPD1~PD3のそれぞれは、互いに異なる波長の光を光電変換する受光部である。例えば、フォトダイオードPD1は青色の光を光電変換し、フォトダイオードPD2は緑色の光を光電変換し、フォトダイオードPD3は赤色の光を光電変換する。本実施の形態では、複数のフォトダイオードを1つの画素内に積層して設けることで、複数種類の波長の光のそれぞれを1つの画素において別々に受光することができる。よって、1つの半導体基板の主面に、互いに異なる波長の光を光電変換する画素を複数並べて配置する場合に比べて、固体撮像素子の感度特性の向上、画素の高集積化、固体撮像素子の微細化が容易となる。よって、固体撮像素子の性能を向上させることができる。
【0206】
なお、ここでは周辺トランジスタを図示していないが、増幅トランジスタなどの周辺トランジスタは、各画素PE内において、各フォトダイオードPD1~PD3のそれぞれと同じ半導体基板SB1~SB3の主面近傍、または、半導体基板SB1~SB3のいずれかの主面近傍に形成されている。すなわち、例えばフォトダイオードPD1に転送トランジスタTXを介して接続された周辺トランジスタは、半導体基板SB1の第1主面近傍に形成されている。
【0207】
ここで、各画素PEにおいて、層間絶縁膜IL1の下面に形成された溝内に埋め込まれたプラグPG2の下面は、半導体基板SB2の第2裏面に接する絶縁膜IF1および素子分離領域EI2を貫通するプラグPG1の上面に接続されている。また、各画素PEにおいて、層間絶縁膜IL2の下面に形成された溝内に埋め込まれたプラグPG2の下面は、半導体基板SB3の第3裏面に接する絶縁膜IF1および素子分離領域EI3を貫通するプラグPG1の上面に接続されている。このようにして、半導体基板SB1の第1主面近傍の半導体素子および層間絶縁膜IL1内の配線M1、M2と、半導体基板SB2の第2主面近傍の半導体素子および層間絶縁膜IL2内の配線M1、M2と、半導体基板SB3の第3主面近傍の半導体素子および層間絶縁膜IL3内の配線M1とは、プラグPG1、PG2を介して互いに電気的に接続されている。
【0208】
このように、裏面側に露出するプラグPG1および主面側に露出するプラグPG2を備えた半導体基板は、縦方向に3つ以上積層することが可能である。
【0209】
本実施の形態の固体撮像素子は、半導体基板SB1と、半導体基板SB1の第1裏面を覆う絶縁膜IF1と、半導体基板SB1の第1主面を覆う層間絶縁膜IL1と、第1裏面側に露出するプラグPG1と、第1主面側に露出するプラグPG2とを備えた第1積層体と、第1積層体と同様の構造を有する複数の積層体を互いに重ねて接合することで形成することができる。これらの積層体同士の接合面では、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1またはIL2と、酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1とが接合し、プラグPG1とプラグPG2とが接合している。このようなハイブリッド接合により、一方の半導体基板の裏面側と、他の半導体基板の主面側との接合を実現し、画素PE毎に微細な接続部による積層体同士の間の電気的接続を実現している。
【0210】
すなわち、Si貫通電極を用いなくても、画素PE内において、半導体基板SB1を含む第1積層体と、半導体基板SB2を含む第2積層体と、半導体基板SB3を含む第3積層体とを微細なプラグPG1、PG2により電気的に接続することができる。よって、固体撮像素子を微細化することができる。また、画素PE内で各半導体基板SB1~SB3同士の間を電気的に接続する電流経路を短くすることができるため、固体撮像素子の消費電力およびノイズを低減することができる。
【0211】
また、ここでは素子分離領域EI1、EI2またはEI3を貫通するプラグPG1を形成しているため、プラグPG1と半導体基板SB1~SB3とは互いに絶縁されている。よって、プラグPG1と半導体基板SB1~SB3とが短絡すること、および、プラグPG1を流れる電流などの影響により、フォトダイオードPD1~PD3から得られる信号にノイズが生じることを防ぐことができる。
【0212】
また、本実施の形態の固体撮像素子の製造工程では、SOI基板を用いる必要がないため、固体撮像素子の製造コストが増大することを防ぐことができる。
【0213】
なお、
図11を用いて説明した前記実施の形態1の変形例1の固体撮像素子のように、各積層体において、配線M1とプラグGP1との間に、素子分離領域EI1、EI2またはEI3を貫通するプラグDPを設けてもよい。
【0214】
また、ここではフォトダイオードPD1~PD3のそれぞれを裏面照射型の受光素子として使用する場合について説明したが、
図27に示す構造の上下を逆さまにし、支持基板SSBを、半導体基板SB1の第1裏面を覆う絶縁膜IF1に貼り付けることで、フォトダイオードPD1~PD3のそれぞれを表面照射型の受光素子として使用してもよい。
【0215】
<変形例>
図28に、本実施の形態の変形例である固体撮像素子の断面図を示す。
図28は、
図27に対応する箇所の断面図である。ここでは、
図28に示す固体撮像素子と同様に3つ以上の積層基板を含む構造において、一部の半導体基板を含む積層体が、深い溝(DTI)内のプラグを有する場合について説明する。
【0216】
図28に示すように、本変形例の固体撮像素子の構造は、半導体基板SB2の厚さが大きく、半導体基板SB2を貫通する深いプラグDTPが形成されている点を除き、
図27に示す構造と同様である。半導体基板SB2の第2主面(下面)を覆う層間絶縁膜IL2内の配線M1から、半導体基板SB2の第2裏面(上面)を覆う絶縁膜IF1までの間の構造は、
図15に示す半導体基板SB1の第1主面(上面)を覆う層間絶縁膜IL1内の配線M1から、半導体基板SB1の第1裏面(下面)を覆う絶縁膜IF1までの間の構造の上下を逆さまにしたものと同じである。
【0217】
すなわち、
図28に示す半導体基板SB2の厚さ、溝DTおよびプラグDTPの深さは数十μm程度であり、プラグDTPの上面は、半導体基板SB2の第2裏面を覆う絶縁膜IF1に形成された接続孔内のプラグPG1の下面に接続されており、プラグDTPの下面は、層間絶縁膜IL2内の配線M1の上面に接続されている。
【0218】
本変形例では、
図27に示す固体撮像素子の効果を得ることができる。加えて、半導体基板SB2の膜厚を大きく確保することで、半導体基板SB2に照射された光が光電変換される領域を増大させることができる。したがって、撮像時にフォトダイオードPD2に蓄積される電荷量を増大させることができるため、固体撮像素子の感度性能を向上させることができる。また、例えばフォトダイオードPD2において光電変換する対象である光の波長に合わせて、半導体基板SB2の厚さを調整することもできる。
【0219】
なお、半導体基板SB2のみならず、他の半導体基板SB1またはSB2も数十μm程度の膜厚を有し、深いプラグDTPを有していてもよい。
【0220】
(実施の形態3)
図29に、本実施の形態3である固体撮像素子の断面図を示す。
図29は、
図1に対応する箇所の断面図である。ここでは、2つの半導体基板の裏面側同士を対向させて当該2つの半導体基板を積層する場合について説明する。
【0221】
図29に示すように、本変形例の固体撮像素子は、支持基板SSB上に、半導体基板SB2と、半導体基板SB2上の半導体基板SB1とを積層した構造を有するものである。各画素PEにおいて、半導体基板SB2の第2主面にはフォトダイオードPD2が形成されており、半導体基板SB1の第1主面にはフォトダイオードPD1が形成されている。すなわち、1つの画素PEは、縦方向に並ぶ2つのフォトダイオードPD1、PD2を有している。半導体基板SB1の第1主面は上側を向いているのに対し、半導体基板SB2の第2主面は下側を向いている。すなわち、フォトダイオードPD1は表面照射型(FSI)の受光素子であり、フォトダイオードPD2は裏面照射型(BSI)の受光素子である。
【0222】
半導体基板SB1と、半導体基板SB1の第1裏面を覆う絶縁膜IF1と、半導体基板SB1の第1主面を覆う層間絶縁膜IL1と、第1裏面側に露出するプラグPG1を備えた第1積層体の構造は、
図1に示す層間絶縁膜IL2上に形成された積層体であって、半導体基板SB1、絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL1を含む第1積層体と同じ構造を有している。また、
図29の半導体基板SB2と、半導体基板SB2の第2裏面を覆う絶縁膜IF3と、半導体基板SB2の第2主面を覆う層間絶縁膜IL2と、第2裏面側に露出するプラグPG3を備えた第3積層体の構造は、
図15に示す層間絶縁膜IL2上に形成された積層体の上下を逆さまにしたものと同じ構造を有している。すなわち、第3積層体の構造は、半導体基板SB1、絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL1を含む第1積層体の上下を逆さまにしたものと同じ構造を有している。つまり、
図15に示す絶縁膜IF3は、
図1に示す絶縁膜IF1に対応し、
図15に示すプラグPG3は、
図1に示すプラグPG1に対応する。
【0223】
図29に示すように、数十μmの厚さを有する半導体基板SB2を貫通するプラグDTPの上面は、半導体基板SB2の第2裏面(上面)を覆う絶縁膜IF3を貫通する接続孔内に埋め込まれたプラグ(導電性接続部)PG3の下面に接続されている。絶縁膜IF3は、例えば酸化シリコン膜からなる。半導体基板SB2の第2主面(下面)を覆う層間絶縁膜IL2の下面には、支持基板SSBが貼り付けられている。
【0224】
なお、ここでは周辺トランジスタを図示していないが、増幅トランジスタなどの周辺トランジスタは、各画素PE内において、各フォトダイオードPD1、PD2のそれぞれと同じ半導体基板SB1、SB2の主面近傍、または、半導体基板SB1、SB2のいずれかの主面近傍に形成されている。すなわち、例えばフォトダイオードPD1に転送トランジスタTXを介して接続された周辺トランジスタは、半導体基板SB1の第1主面近傍に形成されている。
【0225】
例えば、所定の画素PEでは、フォトダイオードPD1により青色の光を光電変換し、フォトダイオードPD2により赤色の光を光電変換する。また、当該画素PEと隣り合う他の画素PEでは、フォトダイオードPD1により青色の光を光電変換し、フォトダイオードPD2により緑色の光を光電変換する。このように、フォトダイオードPD1、PD2のそれぞれにおいて異なる波長の光を光電変換することで、2つの画素PEにより、赤、青、緑の3種類の光を光電変換する。すなわち、1つの半導体基板の主面に形成された受光素子のみを用いる場合に比べ、少ない画素数の固体撮像素子を用いて、撮像により波長別の信号を得ることができる。よって、固体撮像素子の感度性能の向上、微細化および高画素化が容易となる。
【0226】
プラグPG3の上面は、プラグPG1の下面に接続(接合)されている。これにより、各画素PEにおいて、半導体基板SB2側の半導体素子および配線M1は、半導体基板SB1側の半導体素子および配線M1に、プラグDTP、PG3およびPG1を介して電気的に接続される。
【0227】
本実施の形態の固体撮像素子は、半導体基板SB1と、絶縁膜IF1と、層間絶縁膜IL1と、第1裏面側のプラグPG1とを備えた第1積層体と、半導体基板SB2と、絶縁膜IF3と、層間絶縁膜IL2と、第1裏面側のプラグPG3とを備えた第2積層体とを互いに重ねて接合することで形成することができる。これらの積層体同士の接合面では、酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1、IF3のそれぞれが相互に接合し、プラグPG1とプラグPG3とが互いに接合している。このようなハイブリッド接合により、上側の半導体基板SB1の第1裏面側と、下側の半導体基板SB2の第2裏面側との接合を実現し、画素PE毎に微細な接続部による積層体同士の間の電気的接続を実現している。
【0228】
すなわち、Si貫通電極を用いなくても、画素PE内において、半導体基板SB1を含む第1積層体と、半導体基板SB2を含む第2積層体とを微細なプラグPG1、PG3により電気的に接続することができる。よって、固体撮像素子を微細化することができる。また、半導体基板SB1、SB2の相互間の接続にSi貫通電極を用いないことで、画素PE内で各半導体基板SB1、SB2同士の間を電気的に接続する電流経路を短くすることができるため、固体撮像素子の消費電力およびノイズを低減することができる。
【0229】
図32を用いて説明した比較例のように、基板の主面側同士を接合する場合、上側に積層された半導体基板SB1の第1主面に形成されたフォトダイオードPD1は裏面照射型の受光素子となる。ここで、上層の当該フォトダイオードPD1を用いて青色の光を光電変換しようとすると、表面照射型の受光素子を用いて青色の光を光電変換する場合に比べ、感度性能が低下する問題がある。
【0230】
これに対し、本実施の形態では、基板の主面側同士を接合するのではなく、半導体基板SB1、SB2のそれぞれの裏面同士を対向させて接合することで、上側の半導体基板SB1に形成されたフォトダイオードPD1を表面照射型の受光素子とすることができる。よって、上側の半導体基板SB1に形成されたフォトダイオードPD1が裏面照射型である場合に比べ、フォトダイオードPD1が青色の光を光電変換する場合の感度性能が低くなることを防ぐことができる。
【0231】
また、ここでは素子分離領域EI1を貫通するプラグPG1を形成しているため、プラグPG1と半導体基板SB1とは互いに絶縁されている。よって、プラグPG1と半導体基板SB1とが短絡すること、および、プラグPG1を流れる電流などの影響により、フォトダイオードPD1から得られる信号にノイズが生じることを防ぐことができる。
【0232】
また、半導体基板SB2の厚さが数十μm程度あり、大きいため、半導体基板SB2に照射された光が光電変換される領域を増大させることができる。したがって、撮像時にフォトダイオードPD2に蓄積される電荷量を増大させることができるため、固体撮像素子の感度性能を向上させることができる。ここで、フォトダイオードPD2を構成するn型半導体領域NRの深さは、フォトダイオードPD1を構成するn型半導体領域NRの深さより大きくてもよい。
【0233】
また、本実施の形態の固体撮像素子の製造工程では、SOI基板を用いる必要がないため、固体撮像素子の製造コストが増大することを防ぐことができる。
【0234】
なお、
図11を用いて説明した前記実施の形態1の変形例1の固体撮像素子のように、配線M1とプラグGP1との間に、素子分離領域EI1を貫通するプラグDPを設けてもよい。
【0235】
<変形例1>
図30に、本実施の形態の変形例1である固体撮像素子の断面図を示す。
図30は、
図29に対応する箇所の断面図である。ここでは、2つの半導体基板の裏面側同士を対向させて当該2つの半導体基板を積層する技術と、半導体基板の主面側と他の半導体基板の裏面側とを対向させて当該2つの半導体基板を積層する技術とを用いて3つ以上の半導体基板を積層する場合について説明する。
【0236】
図30に示すように、本変形例の固体撮像素子は、支持基板SSB上に、半導体基板SB3と、半導体基板SB3上の半導体基板SB2と、半導体基板SB2上の半導体基板SB1とを積層した構造を有するものである。各画素PEにおいて、半導体基板SB3の第2主面にはフォトダイオードPD3が形成されており、半導体基板SB2の第2主面にはフォトダイオードPD2が形成されており、半導体基板SB1の第1主面にはフォトダイオードPD1が形成されている。すなわち、1つの画素PEは、縦方向に並ぶ3つのフォトダイオードPD1~PD3を有している。半導体基板SB1の第1主面および半導体基板SB2の第2主面は上側を向いているのに対し、半導体基板SB3の第3主面は下側を向いている。すなわち、フォトダイオードPD1、PD2は表面照射型(FSI)の受光素子であり、フォトダイオードPD3は裏面照射型(BSI)の受光素子である。
【0237】
図30に示す半導体基板SB1と、半導体基板SB1の第1裏面を覆う絶縁膜IF1と、半導体基板SB1の第1主面を覆う層間絶縁膜IL1と、第1裏面側に露出するプラグPG1を備えた第1積層体の構造は、
図29に示す層間絶縁膜IL2上に形成された積層体であって、半導体基板SB1、絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL1を含む第1積層体と同じ構造を有している。
【0238】
図30に示す半導体基板SB2と、半導体基板SB2の第2裏面を覆う絶縁膜IF1と、半導体基板SB2の第2主面を覆う層間絶縁膜IL2と、第2裏面側に露出するプラグPG1を備えた第2積層体の構造は、
図29に示す層間絶縁膜IL2上に形成された積層体であって、半導体基板SB1、絶縁膜IF1および層間絶縁膜IL1を含む第1積層体の構造と同様である。ただし、
図30に示す層間絶縁膜IL2内において、配線M1の上面にはビアが接続されており、当該ビアの上面には、層間絶縁膜IL2の上面に形成された接続孔に埋め込まれたプラグPG2の底面が接続されている。
【0239】
また、
図30の半導体基板SB3と、半導体基板SB3の第3裏面を覆う絶縁膜IF3と、半導体基板SB3の第3主面を覆う層間絶縁膜IL3と、第3裏面側に露出するプラグPG3を備えた第3積層体の構造は、
図29に示す絶縁膜IF1と支持基板SSBとの間の積層体であって、半導体基板SB2を含む第2積層体の構造と同じである。
【0240】
すなわち、
図30に示すように、半導体基板SB3は半導体基板SB1、SB2のそれぞれより大きい膜厚を有しており、その膜厚は例えば数十μmである。半導体基板SB3を貫通するプラグDTPの上面は、プラグPG3の下面に接続されている。半導体基板SB3を含む第3積層体と、半導体基板SB2を含む第2積層体との接合面では、酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1、IF3のそれぞれが相互に接合し、第2積層体側のプラグPG1と第3積層体側のプラグPG3とが互いに接合している。また、半導体基板SB2を含む第2積層体と、半導体基板SB1を含む第1積層体との接合面では、酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1と層間絶縁膜IL2とが相互に接合し、第1積層体側のプラグPG1と第2積層体側のプラグPG2とが互いに接合している。
【0241】
このようなハイブリッド接合により、半導体基板SB1の第1裏面側と、半導体基板SB2の第2主面側との接合を実現し、半導体基板SB2の第2裏面側と、半導体基板SB3の第3裏面側との接合を実現し、画素PE毎に微細な接続部による積層体同士の間の電気的接続を実現している。ここでは、プラグDTP、PG3およびPG1を介して、半導体基板SB3側の素子等と半導体基板SB2側の素子等とを電気的に接続し、プラグPG2、PG1を介して、半導体基板SB2側の素子等と半導体基板SB1側の素子等とを電気的に接続している。
【0242】
本変形例では、
図29を用いて説明した固体撮像素子と同様の効果を得ることができる。加えて、基板の裏面側同士を接合する技術と、基板の主面側と基板の裏面側とを接合する技術とを用いることで、1つの画素PE内に3つ以上積層された受光素子を形成することができ、各受光素子において互いにことなる波長の光を光電変換することができる。
【0243】
本変形例では、例えば、フォトダイオードPD1は青色の光を光電変換し、フォトダイオードPD2は緑色の光を光電変換し、フォトダイオードPD3は赤色の光を光電変換する。このように、複数種類の波長の光のそれぞれを1つの画素において受光し、それらの光から変換された別々の電気信号を得ることができる。よって、1つの半導体基板の主面に、互いに異なる波長の光を光電変換する画素を複数並べて配置する場合に比べて、固体撮像素子の感度特性の向上、画素の高集積化、固体撮像素子の微細化が容易となる。よって、固体撮像素子の性能を向上させることができる。
【0244】
また、基板の裏面側同士を対向させて2つの基板を積層する技術と、基板の主面側と他の基板の裏面側とを対向させて2つの基板を積層する技術とを用いて3つ以上の半導体基板を積層することで、積層基板からなる固体撮像素子内に表面照射型の受光素子と裏面照射型の受光素子とを自由に配置することができる。
【0245】
なお、裏面照射型のフォトダイオードPD3を有する半導体基板SB3のみならず、表面照射型のフォトダイオードPD1またはPD2を有する半導体基板SB1またはSB2も、数十μm程度の膜厚を有し、深いプラグDTPを有していてもよい。
【0246】
なお、ここでは半導体基板SB2の第2裏面側に半導体基板SB3を含む第3積層体を接合しているが、第3積層体は第1積層体と第2積層体との間に位置していてもよい。その場合、プラグPG2と同様のプラグを層間絶縁膜IL3の下面に形成し、当該プラグと、第2積層体の上面のプラグPG2とを接続させる。また、プラグPG3と、半導体基板SB1を含む第1積層体の下面のプラグPG1とを接続させる。これにより、3つの積層体をそれぞれ電気的に接続することができる。
【0247】
<変形例2>
図31に、本実施の形態の変形例2である固体撮像素子の断面図を示す。
図31では、図の左側から順に画素領域PER、周辺回路領域CRおよび配線領域MRを示している。図では画素領域PERおよび周辺回路領域CRと配線領域MRとを分離して示しているが、これらの領域は、同一の積層基板からなる1つの固体撮像素子を構成する領域である。ここでは周辺回路領域CRおよび配線領域MRをそれぞれ別々に示しているが、配線領域MRは周辺回路領域CRの一部であってもよい。ここでは、配線領域MRに低抵抗な配線を形成することについて説明する。
【0248】
図31に示す画素領域PERおよび周辺回路領域CRの構造は、
図30に示す画素領域PERおよび周辺回路領域CRの構造と同じである。よって、本変形例では、
図30を用いて説明した固体撮像素子と同様の効果得ることができる。
【0249】
固体撮像素子などの積層配線を有する半導体装置では、上層のビア(プラグ)および配線の幅または厚さを、下層のビア(プラグ)および配線などに比べて大きく設定し、これにより、積層配線層内の上部に低抵抗なビア(プラグ)および配線を形成する場合がある。すなわち、例えば半導体素子上に形成され、半導体素子に最も近い1層目の配線を含む第1配線層と、第1配線層上の2層目の配線を含む第2配線層とを備えた半導体装置において、第2配線層上に、2層目の配線よりも厚く低抵抗なセミグローバル配線を形成し、セミグローバル配線上に、セミグローバル配線よりも厚く低抵抗なグローバル配線を形成する場合がある。
【0250】
しかし、固体撮像素子の上部のビアおよび配線の厚さを大きくすると、装置の最上部の層間絶縁膜が厚膜化するため、受光素子に照射される光が減衰し、感度性能が低下する問題がある。これに対し、本変形例では、半導体基板を積層した構造を有する固体撮像素子では、低抵抗配線を半導体素子の上方に積層するのではなく、画素領域の横方向に並べて低抵抗配線を形成している。
【0251】
図31に示すように、上記低抵抗配線として、ここではSi貫通電極を用いず、画素PE内で積層基板間を電気的に接続するために用いられているプラグと同じ構造のプラグを配線領域MRに形成している。配線領域MRには、セミグローバル配線SMと、グローバル配線GMとが形成されている。セミグローバル配線SMおよびグローバル配線GMは、下側から順に形成された層間絶縁膜IL3内の配線M1、プラグDTP、PG3、PG1、層間絶縁膜IL2内の配線M1、層間絶縁膜IL2内のビア、プラグPG2、PG1および層間絶縁膜IL1内の配線M1により構成されている。
【0252】
セミグローバル配線SMを構成する層間絶縁膜IL3内の配線M1と、層間絶縁膜IL2内の配線M1とは、層間絶縁膜IL3側から層間絶縁膜IL2側に向かって順に直列に接続されたプラグDTP、PG3およびPG1により電気的に接続されている。層間絶縁膜IL3内の配線M1と層間絶縁膜IL2内の配線M1とを接続するそのようなプラグDTP、PG3およびPG1からなる電流経路は、層間絶縁膜IL3内の配線M1と層間絶縁膜IL2内の配線M1との間に並列に複数接続されている。また、セミグローバル配線SMを構成する層間絶縁膜IL2内の配線M1とプラグPG2とは、複数のビアにより並列に接続されている。また、セミグローバル配線SMを構成するプラグPG2と層間絶縁膜IL1内の配線M1とは、複数のプラグPG1により並列に接続されている。
【0253】
セミグローバル配線SMにより、層間絶縁膜IL3内の配線M1と層間絶縁膜IL1内の配線M1とは、プラグDTP、PG3、PG1、層間絶縁膜IL2内の配線M1、層間絶縁膜IL2内のビア、プラグPG2およびPG1を介して電気的に接続されている。
【0254】
グローバル配線GMも、セミグローバル配線SMと同様の構成を有している。ただし、グローバル配線GMを構成するプラグPG1、PG3、DTPおよびビアの数は、セミグローバル配線SMを構成するプラグPG1、PG3、DTPおよびビアの数よりも多い。このため、グローバル配線GMにおける層間絶縁膜IL3内の配線M1と層間絶縁膜IL2内の配線M1との間の抵抗は、セミグローバル配線SMにおける層間絶縁膜IL3内の配線M1と層間絶縁膜IL2内の配線M1との間の抵抗よりも低い。
【0255】
このように、各画素PE内において基板同士の間を電気的に接続するために設けられたプラグ等と同じ工程で形成された配線M1、プラグPG1~PG3、DTPおよびビアを用いて、配線領域MRに低抵抗な配線(導電性接続部)を設けることができる。本変形例では、プラグPG1、PG3、DTPおよびビアの数を変更することで、所望の抵抗値を有する低抵抗な配線を容易に形成することができる。
【0256】
なお、
図31の断面では1方向に並ぶ複数のPG1、PG3、DTPおよびビアを示しているが、セミグローバル配線SMおよびグローバル配線GMを構成する複数のPG1、PG3、DTPおよびビアは、平面視において、例えば行列状に並んで各配線M1に接続されていてもよい。
【0257】
また、
図31ではプラグPG2を配線M1と同様に横方向に延在した形状で示しているが、プラグPG3と同様に複数配置されたプラグPG2によりセミグローバル配線SMまたはグローバル配線GMを構成してもよい。逆に、プラグPG3を
図31に示すプラグPG2のように横方向に延在させ、1つのプラグPG3に複数のプラグPG1およびDTPを接続させてもよい。
【0258】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0259】
その他、実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
【0260】
(付記1)画素領域に並ぶ複数の画素を備えた固体撮像素子であって、
第1主面および前記第1主面の反対側の第1裏面を備えた第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の前記複数の画素のそれぞれの前記第1主面に形成された第1受光素子と、
前記第1半導体基板の前記第1裏面を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜を貫通し、前記第1受光素子に電気的に接続された第1導電性接続部と、
第2主面および前記第2主面の反対側の第2裏面を備えた第2半導体基板と、
前記第2半導体基板の前記第2主面近傍に形成された半導体素子と、
前記第2半導体基板の前記第2裏面を覆う第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜を貫通し、前記半導体素子に電気的に接続された第2導電性接続部と、
を有し、
前記第1半導体基板、前記第1導電性接続部および前記第1絶縁膜を含む第1積層体と、前記第2半導体基板、前記第2導電性接続部および前記第2絶縁膜を含む第2積層体との接合面では、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜とが互いに接合され、前記第1導電性接続部と前記第2導電性接続部とが互いに接合されている、固体撮像素子。
【0261】
(付記2)画素領域に並ぶ複数の画素を備えた固体撮像素子の製造方法であって、
(a)第1主面および前記第1主面の反対側の第1裏面を有し、前記第1主面に形成された第1受光素子と、前記第1主面を覆う第1層間絶縁膜と、前記第1裏面を覆う第1絶縁膜とを備えた第1半導体基板を用意する工程、
(b)第2主面および前記第2主面の反対側の第2裏面を有し、前記第2主面近傍に形成された半導体素子と、前記第2主面を覆う第2層間絶縁膜とを備えた第2半導体基板を用意する工程、
(c)前記第1絶縁膜を貫通し、前記第1受光素子に電気的に接続された第1導電性接続部を形成する工程、
(d)前記第2層間絶縁膜の上面に第1接続孔を形成した後、前記第1接続孔内に、前記半導体素子に電気的に接続された第2導電性接続部を形成する工程、
(e)前記(c)工程および前記(d)工程の後、前記第1絶縁膜の下面と前記第2層間絶縁膜の前記上面とを互いに接合し、前記第1導電性接続部の下面と前記第2導電性接続部の上面とを互いに接合することで、前記第1半導体基板および前記第2半導体基板を積層する工程、
を有し、
複数の前記画素のそれぞれは、前記第1受光素子を有する、固体撮像素子の製造方法。
【0262】
(付記3)(付記2)の固体撮像素子の製造方法において、
前記(a)工程は、
(a2)前記第1受光素子と、前記第1主面に形成された溝内に埋め込まれた素子分離領域とを備えた前記第1半導体基板を用意する工程、
(a3)前記第1主面上に前記第1層間絶縁膜を形成する工程、
(a4)前記第1層間絶縁膜および前記素子分離領域を貫通する第3接続孔を形成する工程、
(a5)前記第3接続孔内に、第3導電性接続部を埋め込む工程、
(a6)前記第3導電性接続部上に、前記第3導電性接続部と前記第1受光素子とを電気的に接続する第1配線を形成する工程、
(a7)前記第1裏面を研磨することで、前記第3導電性接続部および前記素子分離領域を露出させる工程、
(a8)前記(a7)工程の後、前記第1裏面を覆う前記第1絶縁膜を形成する工程、
(a9)前記第1絶縁膜を貫通し、前記第3導電性接続部に接続された前記第1導電性接続部を形成する工程、
を有する、固体撮像素子の製造方法。
【0263】
(付記4)(付記2)の固体撮像素子の製造方法において、
前記(a)工程は、
(a2)前記第1受光素子を備えた前記第1半導体基板を用意する工程、
(a3)前記第1主面上に前記第1層間絶縁膜を形成する工程、
(a4)前記第1層間絶縁膜および前記第1半導体基板を貫通する第2接続孔を形成する工程、
(a5)前記第2接続孔内に、第2絶縁膜を介して第4導電性接続部を埋め込む工程、
(a6)前記第4導電性接続部上に、前記第4導電性接続部と前記第1受光素子とを電気的に接続する第1配線を形成する工程、
(a7)前記第1裏面を研磨することで、前記第4導電性接続部および前記第2絶縁膜を露出させる工程、
(a8)前記(a7)工程の後、前記第1裏面を覆う前記第1絶縁膜を形成する工程、
(a9)前記第1絶縁膜を貫通し、前記第4導電性接続部に接続された前記第1導電性接続部を形成する工程、
を有する、固体撮像素子の製造方法。
【0264】
(付記5)(付記4)の固体撮像素子の製造方法において、
(a10)前記(a4)工程の後、前記(a5)工程の前に、前記第2接続孔内に露出する前記第1半導体基板の表面にp型不純物を導入することで、p型半導体領域を形成する工程、
をさらに有し、
前記第1半導体基板の導電型は、p型である、固体撮像素子の製造方法。
【0265】
(付記6)(付記4)の固体撮像素子の製造方法において、
(a11)前記(a4)工程の後、前記(a5)工程の前に、前記第2接続孔の側面を覆う第3絶縁膜を形成する工程、
をさらに有し、
前記第3絶縁膜の誘電率は、窒化シリコンの誘電率よりも高い、固体撮像素子の製造方法。
【符号の説明】
【0266】
CR 周辺回路領域
EI1~EI3 素子分離領域
IF1~IF3 絶縁膜
IL1~IL3 層間絶縁膜
PER 画素領域
PD1~PD3 フォトダイオード
PG1~PG3 プラグ
SB1~SB3 半導体基板