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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】不良シート時の温度補償センサ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 305
B41J2/01 451
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017191643
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2018058361
(43)【公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】10 2016 219 026.1
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クナウフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘン
(72)【発明者】
【氏名】ユアゲン リッツ
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュミット
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ミュンヒ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゲーベル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング カーブス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー ヴァイニヒ-クレース
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ムッチャル
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス レモン ノリック
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ネープ
【審査官】四垂 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-187919(JP,A)
【文献】特開2012-116162(JP,A)
【文献】特開2011-207559(JP,A)
【文献】特開2012-166347(JP,A)
【文献】特開2008-105304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0233244(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機(1)における被印刷物搬送中にコンピュータ(15)により被印刷物(9)の少なくとも一部の少なくとも1つの位置を検出する装置であって、所定の印刷ヘッドまたは被印刷物(9)を搬送するジェッティング胴(17)と被印刷物(9)との間の間隔を検出する光学センサ(5)を有する装置において、
前記光学センサ(5)により検出された間隔が、前記コンピュータ(15)により温度補償され、前記コンピュータ(15)に、前記光学センサ(5)の、外部温度による影響を受けない測定を表す強度パターン(10)が格納されていることを特徴とする、被印刷物の少なくとも一部の少なくとも1つの位置を検出する装置。
【請求項2】
前記光学センサ(5)は、複数のCCD素子を有するCCDラインセンサであり、当該装置は、光源(2)を有し、該光源(2)は、前記光学センサ(5)の方向へ光線を放出し、被印刷物(9)の少なくとも一部は、前記光源(2)と前記光学センサ(5)との間のビーム路に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記光源(2)は、レンズ(3)により、平行に拡張された照明を有する、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記光源(2)は、点状である、請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記光源(2)と、前記光学センサ(5)との間に遮蔽物(12)が設けられている、請求項2から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記コンピュータ(15)は、温度影響下で、前記光学センサ(5)により検出された強度パターンを、温度影響を受けずに格納された強度パターン(10)と比較し、両方のパターンの差から、温度影響を算出し、これを計算により補償する、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記コンピュータ(15)において強度パターンを比較する際に、格納された強度パターン(10)の第1の局所的な極大値の高さの差が、測定された強度パターンの第1の局所的な極大値と比較される、請求項記載の装置。
【請求項8】
前記印刷機(1)の少なくとも一部は、測定プロセスの範囲内で、温度調整装置(16)により温度調整される、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記光学センサ(5)と前記被印刷物(9)との間の測定された間隔が所定の値より上回ると、前記コンピュータ(15)は、前記印刷機(1)をオフに切り替える、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
オフ切替えのための閾値が、温度に依存している、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記印刷機(1)は、シート状の被印刷物(9)を搬送するグリッパ(13)を有し、少なくとも1つの温度センサ(14)が設けられており、該温度センサ(14)は、前記グリッパ(13)の温度を検出して、前記コンピュータ(15)に伝送する、請求項9または10記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機における被印刷物搬送中にコンピュータにより被印刷物の少なくとも一部の少なくとも1つの位置を検出する装置であって、装置が、光学センサを有し、光学センサは、所定の印刷機コンポーネントと被印刷物との間の間隔を検出する、装置に関する。
【0002】
上位概念を成す、被印刷物の少なくとも一部の少なくとも1つの位置を検出する装置は、被印刷物が印刷ヘッドに対して十分な安全間隔を置いて搬送されることを保証するために、デジタル印刷機、特にインクジェット印刷機において使用される。インクジェット印刷機の印刷ヘッドは、被印刷物が印刷ヘッドに接触する場合に極めて敏感であり、接触により損傷されるおそれがある。したがって、インクジェット印刷機において、被印刷物がインクジェット印刷ヘッドに対して所定の間隔を保持することを確保しなければならない。しかし、被印刷物とインクジェット印刷ヘッドとの間の間隔が極めて小さく、1ミリメートル未満しかないので、被印刷物の位置を検出するための測定装置は極めて精確に作動しなければならない。誤った間隔が検出され、シート状の被印刷物が、実際にはインクジェット印刷ヘッドの付近に位置すると、損傷のおそれがある。小さすぎる間隔が検出されるが、実際には被印刷物は印刷ヘッドから依然として十分な間隔を有するとき、これは、インクジェット印刷機の不要なオフ切替えをもたらしてしまい、これにより経済的な運転が実現されない。被印刷物の位置を検出する装置は、したがって、極めて精確に機能しなければならず、しかも外部影響に依存してはならない。
【0003】
現在、インクジェット印刷機において被印刷物と印刷ヘッドとの間の間隔を監視するためのセンサとして、光バリヤが使用される。光バリヤは、ジェッティング胴に対して平行なラインを監視し、シートがジェッティング胴の上方でジェッティング胴から過度に離れて位置するとき、これにより印刷ヘッドに接触するおそれがあると判定する。この光バリヤでは、点状の光源および点状の受信器が使用される。このような態様の、被印刷物と印刷ヘッドとの間、または被印刷物とジェッティング胴との間の間隔を監視することの問題は、温度影響に対する正確に測定された間隔の依存性である。様々ないわゆる温度成層、つまり被印刷物、ジェッティング胴、周辺空気などに関する様々な温度範囲により、光バリヤの光が偏向されてしまう。この場合、この偏向により、間隔が大きすぎると検出され、これにより印刷プロセスが終了し、インクジェット印刷機の可用性が制限されてしまう。というのも安全上の理由から、印刷ヘッドを持ち上げなければならず、ゆえに印刷プロセスが中断されるからである。
【0004】
したがって、本発明の課題は、被印刷物、ジェッティング胴、周辺空気、グリッパなどの温度が様々であっても被印刷物の少なくとも一部の位置を検出し、印刷機の確実な運転を実現し、その際、必要ではない安全性に基づくオフ切替えが発生しない一方で印刷ヘッドが損傷されることもない、印刷機における被印刷物搬送中に被印刷物の少なくとも一部の少なくとも1つの位置を検出する装置を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1により解決される。本発明の好適な態様は、従属請求項、図面および明細書の記載から明らかである。
【0006】
本発明によれば、光学センサにより検出された間隔が、コンピュータにより温度補償される。これは、被印刷物と、たとえば印刷ヘッドまたはジェッティング胴などの機械コンポーネントとの間の間隔を検出する際に温度に起因するずれが計算により温度補償されるので、温度影響がコンピュータにおいてほとんど取り除かれることを意味する。そのために、間隔の測定値が、印刷機を制御するための処理の前に、まずコンピュータにおいて温度補償される。コンピュータにおける温度補償は、測定値のずれがモデルとして考慮されることにより、温度に起因する測定値のずれを考慮したものである。このモデルは、ソフトウェアとしてコンピュータに格納されており、測定値検出の特定の特性曲線に基づいて温度影響を認識したものである。こうして温度影響を妨害値として検出して、測定値および妨害値を修正することができる。これにより、印刷機を制御するために、測定エラーの影響を受けていない実際に修正された間隔が使用されることが保証される。こうして印刷機のより高い可用性が保証され、同時に、被印刷物による接触に対して印刷ヘッドが防護されている。修正は、本発明では、専らソフトウェアによりコンピュータで行うことができ、光学センサの態様のハードウェアを適合させる必要がなく、さらに背景技術において知られた光バリヤを使用してもよい。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、光学センサは、複数のCCD素子を有するCCDラインセンサであり、検出装置は、光源を有し、光源は、光学センサの方向へ光線を放出し、被印刷物の少なくとも一部は、光源と光学センサとの間のビーム路に位置する。この場合、ジェッティング胴の片側でCCDラインセンサが印刷機に取り付けられている一方、これとは反対の側で光源が設けられている。CCDラインセンサと光源とが協働して光バリヤが形成される。この場合、温度影響を受けないと、光線は、ジェッティング胴に対して平行に延在し、偏向なく直接に最短距離でCCDラインセンサに入射する。光線は、インクジェット印刷ヘッドに対して必要な安全間隔を有するように配置されているか、または部分遮蔽が作用し、その際、ジェッティング胴が既知の数のビームを一般的な形で遮蔽する。この既知の部分遮蔽は、光バリヤを評価する際に相応に考慮される。被印刷物の少なくとも一部がビーム路を中断すると直ちに、光線と印刷ヘッドとの間の最小間隔より下回ることが前提とされる。というのも被印刷物の少なくとも一部が問題となる領域に進入して、ジェッティング胴から過度に離れて持ち上げられているからである。この場合、損傷を回避するために、コンピュータにより、印刷機が完全にオフに切り替えられるか、または所定の機構を介して印刷ヘッドが持ち上げられ、これにより被印刷物との接触が回避される。しかし、ジェッティング胴と、被印刷物と、周辺空気と、被印刷物を案内するグリッパとの間の温度が様々である場合に温度成層に基づいて、光線は、上下に偏向されるおそれがある。上方への偏向により、ジェッティング胴の上方に位置する印刷ヘッドからの小さすぎる間隔の認識が遅すぎて、これにより損傷のおそれが生じる。光線の下方への偏向により、被印刷物が印刷ヘッドに対して依然として十分な間隔を有するにもかかわらず、安全域への被印刷物の進入が誤って認識されるようになる。これらの両方のエラーは、コンピュータにおける温度補償により修正され、これにより印刷機制御の誤った応答が阻止される。
【0008】
本発明による別の態様によれば、コンピュータに、光学センサの、外部温度による影響を受けない測定を表す強度パターンが格納されている。この場合、温度影響を受けない光学センサの光源に対してCCD素子が読み取られる。これは、被印刷物、周辺空気、グリッパおよびジェッティング胴が同一の温度を有し、光線が偏向なくCCDラインセンサに達することを意味する。その際に生じる強度パターンは、修正された測定として、コンピュータに格納される。この強度パターンは、温度成層に起因してずれが発生する場合において運転中に後の間隔測定のための基準値として用いられる。温度成層により、光線は上下に偏向されるので、温度影響に基づいて様々な強度パターンが生じる。
【0009】
さらに本発明によれば、コンピュータは、温度影響下で、光学センサにより検出された強度パターンを、温度影響を受けずに格納された強度パターンと比較し、両方のパターンの差から、温度影響を算出し、これを計算により補償する。測定された強度パターンと格納された強度パターンとの比較により、コンピュータは、温度のずれを検出することができる。というのも温度のずれに応じて様々な強度パターンが生じるからである。したがって、コンピュータは、強度信号から、修正に必要な温度情報を算出し、対応する補償を行うことができる。この補償は、たとえば、同様にコンピュータに格納されていて、検出された温度情報に応じて様々な正のまたは負の修正値が被印刷物の間隔に関して考慮されている表に基づいて行うことができる。この場合、この修正値は、測定された間隔値に加算されるので、実際の間隔値がコンピュータにおいて求められる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、コンピュータにおいて強度パターンを比較する際に、格納された強度パターンの第1の局所的な極大値の高さの差が、測定された強度パターンの第1の局所的な極大値と比較される。局所的な極大値の比較前に、強度曲線が、コンピュータにおいて、必要な場合、さらにフィルタリングされるかまたは平滑化される。第1の局所的な極大値の差は、妨害されない場合、明らかに正であり、しかし低温の表面では負である。こうして温度のずれを認識することができ、信号を相応に温度補償することができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、光源は、レンズにより、平行に拡張された照明を有する。レンズにより、点状の光源から平行の複数のビームが形成され、ビームは、相応に平行にCCDラインセンサに入射する。こうして、複数の平行の光線に基づいて、ジェッティング胴と印刷ヘッドとの間の大きな領域を被印刷物による間隔エラーについて監視することができる。
【0012】
本発明の択一的な態様によれば、光源は、点状である。この場合、平行に拡張された照明が省かれ、この場合でも特性曲線による強度経過がCCDラインセンサ上に生じる。
【0013】
さらに好適には、印刷機の少なくとも一部は、測定プロセスの範囲内で、温度調整装置により温度調整される。コンピュータによる温度補償が摂氏数度に制限されているので、測定値のずれをより小さく保持するために、追加的に温度調整装置が設けられてよく、この温度調整装置は、測定プロセスの範囲において印刷機または被印刷物の少なくとも一部を温度調整する。測定プロセスの範囲における被印刷物、ジェッティング胴、グリッパまたは周辺空気の的確な温度調整により、温度差を最小限に抑えることができるので、間隔測定時の測定値のずれが極めて小さくなる。これにより測定値のずれが最初から低減され、温度補償を小さな範囲で用いるだけでよい。もちろん相応の温度調整装置を設けることは、構造的な手間の著しい増加を意味し、加えて温度調整装置は、常時エネルギの供給を必要とする。
【0014】
本発明の別の態様によれば、光学センサと被印刷物との間の測定された間隔が所定の値より上回ると、コンピュータは、印刷機をオフに切り替える。印刷機のオフ切替えにより、被印刷物と印刷ヘッドとの衝突が阻止される。しかもこの場合、印刷機を完全にオフに切り替えなくてよく、たとえば印刷ヘッドが持ち上げられ、必要な安全間隔を有しない被印刷物に印刷が行われないことにより、印刷プロセスがオフに切り替えられると十分である。つまりここでは、印刷機のオフ切替えとは、単なる被印刷物に対する印刷プロセスのオフ切替えと解される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、オフ切替えのための閾値が、温度に依存している。この場合、間隔測定温度が補償されるのではなく、強度測定により求められた温度のずれに基づいて、オフ切替え閾値が低下または増加され、これはしかし、最終的に同様に間隔測定が補償される結果となる。したがって、温度に依存するオフ切替え閾値の変化は、測定された間隔を修正するための択一例を表す。
【0016】
本発明の別の態様によれば、光源と受信器との間に遮蔽物が設けられている。遮蔽物の使用により、急な温度勾配の空間的な領域を遮蔽することができる。これにより、温度のずれの影響が低下される。もちろん遮蔽物の位置は、被印刷物厚さに依存しており、したがって被印刷物厚さに依存して調整しなければならない。これは、遮蔽物の手動のまたは自動の調整を必要とする。
【0017】
さらに好適には、印刷機は、シート状の被印刷物を搬送するグリッパを有し、少なくとも1つの温度センサが設けられており、温度センサは、グリッパの温度を検出して、コンピュータに伝送する。1つまたは複数の温度センサによるグリッパの温度の検出は、コンピュータにより、オフ切替え閾値の、温度に依存する変化をコンピュータで検出するために用いることができる。この場合、検出されたグリッパ温度に依存して、コンピュータは、切替え閾値を相応に修正することができる。同様の形で、ジェッティング胴または周辺空気の温度を検出することもできる。
【0018】
次に、複数の図面に基づいて本発明を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】不良シート時の間隔測定の測定原理を示す。
図2】CCDラインへの、温度影響を有しない理想的な強度パターンを示す。
図3】CCDセンサへの、温度影響を有しない実際の強度信号を示す。
図4】温度成層の作用による光線の偏向を示す。
図5】グリッパ温度の上昇に起因する光線の偏向を示す。
図5a】グリッパ温度の上昇による影響を受けた強度信号を示す。
図6】急な温度勾配の領域に遮蔽物を有する装置を示す。
【0020】
図1は、デジタル印刷機1において、CCDラインセンサ6と送信器2とにより間隔を検出する原理的な構成を示す。そのために図1には、たとえば測定対象7が描画されている。測定対象7は、デジタル印刷機1では、シート9である。安全上の理由から、デジタル印刷機1において、シート9と図示されていない印刷ヘッドとの間の間隔は、常時、印刷ヘッドがシート9により接触されず損傷されないような大きさでなければならない。図1のCCDラインセンサ6は、受信器5に組み込まれており、受信器5は、さらに測定開口8を有し、測定開口8を通って、光線11が、送信器2からCCDラインセンサ6に入射する。送信器2は、主にレーザダイオード4の態様の光源とレンズ3とから成り、レンズ3は、レーザダイオード4のビーム路を拡張し、そうして平行の複数の光線を形成し、光線は、受信器5の方向へ送信される。測定対象7がビーム路に位置すると、CCDラインセンサ6上の対応するCCD素子が遮蔽され、これにより、図1において、測定対象7の幅と測定対象7の位置とを特定することができる。この測定原理は、デジタル印刷機1において、シート9と印刷ヘッドとの間の間隔を検出するために用いられる。
【0021】
図2は、図1の測定原理の使用例を示している。図1と同様に、左側で、送信器2が配置されており、送信器2は、平行な複数の光線11を放出し、光線11は、デジタル印刷機1の、これとは反対の側でCCDラインセンサ6により検出される。この場合、光線11は、印刷プロセス中に被印刷物9を搬送するジェッティング胴17に対して平行に出射される。この場合、ジェッティング胴17は、印刷機の駆動側から運転側へ延在しており、したがって同様に印刷機の駆動側または運転側に合わせて送信器2と、CCDラインセンサ6を有する受信器とが配置されている。CCDラインセンサ6は、さらにコンピュータ15と接続されており、このコンピュータ15は、同時にデジタル印刷機1の制御コンピュータであってよい。こうしてコンピュータ15は、CCDラインセンサ6により受信された光線11を評価することができる。図2において、ジェッティング胴17が光線11の一部を遮蔽することが看取される。この遮蔽は、コンピュータ15に認識されているので、コンピュータ15は、認識されている部分遮蔽に対して追加的に別の光線11が中断されてから反応する。送信器2およびセンサ6が中央の領域ではより確実に評価を行うことが分かっているので、部分遮蔽が用いられ、したがって部分遮蔽により縁領域が避けられる。図2において、ラインセンサ6の右横に、さらに理想的な強度信号10が描画されている。この理想的な強度信号は、温度作用による影響を受けず、理論上のエンドレスに高い解像度で示されている。
【0022】
実際の強度信号は、図3に示されている。この実際の強度信号も、温度作用の影響を受けていないが、CCDラインセンサ6における制限された数のCCD素子の実際の解像度に基づいている。この場合、X軸には、各々のCCD素子の番号が記録されている一方で、Y軸には、強度が百分率で記録されている。この場合、各々のCCD素子は、0%~100%の強度を測定し、この場合、強度曲線との、12.5%の強度における、X軸に対して平行の直線との交点が、シート縁の位置を表す。したがって、縁位置Iは、ほぼCCD素子275の付近に位置し、ゆえにこの場合コンピュータ15は、シート9の縁の間隔と縁の位置とを算出することができる。こうしてコンピュータ15は、シート9と印刷ヘッドまたは平行に配置されたジェッティング胴17との間の間隔がどの程度の大きさであるのか、また最小間隔を場合により下回るので印刷ヘッドに関して危険性が存在するのか知る。
【0023】
実際には、CCDラインセンサ6上の強度信号10の経過は、測定プロセスの間、確かに温度成層により強く影響を受ける。この温度成層の作用は、図4に示されている。この場合印刷シート9は、温度TB=25℃を有する。ジェッティング胴17は、27℃の温度TJを有し、周辺空気TUも同じく27℃の温度である。様々な温度により、複数の温度成層が形成され、元来平行である複数の光線11は、光学的により密な媒体へ向けて偏向される、つまりより低温の媒体の方向へ偏向される。図4において、シートは、周辺空気よりも低温であるので、光線11は、シート9の方向へ偏向され、シート9の縁がより低く測定される。これは、CCDラインセンサ6が光線11の偏向に基づいて依然として許容される間隔を判定するにもかかわらず、シート9がすでに必要な安全間隔より下回っている可能性があることを意味する。
【0024】
図5において、ジェッティング胴17上のシートグリッパ13が看取され、この場合、シートグリッパ13は、比較的高い31℃の温度TGを有する。ここでもジェッティング胴17および周辺空気は、それぞれ同一の27℃の温度を有する。これにより、ジェッティング胴17上のグリッパ13の位置が、より高い温度に基づいて、過剰に高く測定され、したがってコンピュータ15は、誤って境界値の超過を判定することになり、これは、印刷プロセスの不要なオフ切替えをもたらす。さらに図5において、グリッパ13の温度TGを検出する温度センサ14が看取される。もちろん複数の温度センサ14が設けられてもよいので、全てのグリッパ13の温度TGを機械幅全体にわたって検出することができる。さらに図5において、温度調整装置16が描画されており、温度調整装置16により、ジェッティング胴17の温度に影響を及ぼすことができる。そのような温度調整装置16は、ジェッティング胴17の温度を変更するために、加熱することも冷却することもできる。こうして、ジェッティング胴17がたとえばグリッパ13の温度に同一化されることにより、温度作用を低減することができる。
【0025】
図5aにおいて、どのようにして温度影響によりCCDラインセンサ6上の強度10の経過が特徴的で再現可能な形で変化するのか看取される。図5aにおける曲線は、低温で測定された表面による偏向を示している。影響が再現可能であるので、曲線の特性値を見つけ出すことが可能であり、特性値により温度を予測することができ、これによりシート9の実際の縁位置を推測することができる。そのためにコンピュータ15において、たとえば図3に示されてコンピュータ15に格納された影響を受けていない強度パターン10の第1の局所的な極大値の高さの差が、温度影響下で測定された強度パターン10の第1の局所的な極大値と比較される。そのために、場合によりコンピュータ15において曲線のフィルタリングおよび平滑化が必要である。第1の局所的な極大値の間のその差は、温度影響を受けないと明確に正であるが、低温の表面の場合には負である。こうしてコンピュータ15は、信号温度を補償し、所定の温度範囲において、シート9のシート縁を、温度影響に依存せずに測定するとともに検出することができる。これによりデジタル印刷機1の不要なオフ切替えを回避して、機械の可用性を高めることができる。
【0026】
図6において、受信器5の手前に追加的に遮蔽物12が配置されている。この遮蔽物12は、急な温度勾配の空間的な領域を遮蔽するのに用いられるので、急な温度勾配はCCDラインセンサ6に入射せず、したがって、大きく偏向された光線11が評価されない。しかし、遮蔽物12は、用いられるシート9の被印刷物厚さに依存して手動でまたは自動で調整されなければならない。遮蔽物12が自動で調整可能であると、コンピュータ15は、調整を、入力されたまたは認識された被印刷物に依存して行う。
【符号の説明】
【0027】
1 デジタル印刷機
2 送信器
3 レンズ
4 レーザダイオード
5 受信器
6 CCDライン
7 測定対象
8 測定開口
9 シート
10 強度信号
11 光線
12 遮蔽物
13 グリッパ
14 温度センサ
15 コンピュータ
16 温度調整装置
17 ジェッティング胴
I 縁位置
B シートの温度
G グリッパの温度
J ジェッティング胴の温度
U 周辺の温度
図1
図2
図3
図4
図5
図5a
図6