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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】回転光ビーム発生器
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
G02B6/02 411
G02B6/02 401
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017218484
(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公開番号】P2018084813
(43)【公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-10-30
(31)【優先権主張番号】62/425,431
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/802,897
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エイチ メンデル
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ジェー モアヘッド
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-149432(JP,A)
【文献】特開2009-193070(JP,A)
【文献】特開2011-137974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0268310(US,A1)
【文献】特開平09-043443(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161825(WO,A1)
【文献】米国特許第05290280(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0299806(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0370704(US,A1)
【文献】特開平03-094744(JP,A)
【文献】特開2006-243735(JP,A)
【文献】特表2008-524637(JP,A)
【文献】米国特許第04962994(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0131707(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0227366(EP,A2)
【文献】国際公開第2004/027476(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02- 6/036
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主区分と副区分を含む単一コアを備えること、前記副区分の少なくとも一部分が前記単一コアの中心からオフセットされ、前記単一コアが光ファイバ装置の光軸を中心に前記光ファイバ装置の長さに沿ってねじれ、
前記単一コアが前記光軸を中心にねじれるねじれ率は前記光ファイバ装置の第1の端における第1のねじれ率から前記光ファイバ装置の第2の端における第2のねじれ率まで増加し、
前記ねじれ率は50mmあたり1よりも大きなねじれに増加し、
前記光軸を中心にねじられた前記単一コアは前記光ファイバ装置の第1の端において入射された光ビームを前記光ファイバ装置の第2の端において回転光ビームに少なくとも部分的に変換せしめ、且つ
前記主区分の屈折率が前記副区分の屈折率より大きいこと、及び前記単一コアを取り囲むクラッドを備えること、を特徴とする光ファイバ装置。
【請求項2】
前記主区分は第1の屈折率を有し、前記クラッドは第2の屈折率を有し、且つ前記副区分は第3の屈折率を有すること、
前記第1の屈折率が前記第2の屈折率及び前記第3の屈折率より大きく、且つ前記第3の屈折率が前記第2の屈折率より大きいかそれに等しいこと、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項3】
前記副区分は、前記副区分が前記主区分を少なくとも2つの区分に分離するように前記主区分内に配置されていること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの区分は4つの区分を含むこと、を特徴とする請求項3記載の光ファイバ装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの区分はほぼ等しい断面積を有すること、を特徴とする請求項3記載の光ファイバ装置。
【請求項6】
前記副区分は前記単一コア内に、前記副区分が前記主区分内で部分分割器を形成するように配置されていること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項7】
前記副区分の断面は前記光ファイバ装置の光軸に対して対称であること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項8】
前記副区分は少なくとも3つの部分を備え、
前記少なくとも3つの部分が前記光ファイバ装置の断面内で前記光ファイバ装置の光軸に直角の方向に延在していること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項9】
前記光ファイバ装置の第1の端における前記第1のねじれ率は1回転/50ミリメートルより小さいかそれに等しいこと、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項10】
前記光ファイバ装置は、前記光ファイバ装置の前記第1の端における前記光ファイバ装置のサイズが前記光ファイバ装置の前記第2の端における前記光ファイバ装置のサイズより小さくなるようにテーパー状であること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項11】
前記回転光ビームは少なくとも1つの回転導波モード又は少なくとも1つの回転漏洩波で伝搬する光を含んでいること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの回転導波モードの1つの回転導波モード又は前記少なくとも1つの回転漏洩波の1つの回転漏洩波と関連する回転量子数は4より大きいかそれに等しいこと、を特徴とする請求項11記載の光ファイバ装置。
【請求項13】
前記回転光ビームは前記光ファイバ装置の前記第2の端において円環状であること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項14】
前記光ビームは第1の回転状態を有し、前記回転光ビームは第2の回転状態を有すること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【請求項15】
前記光ビーム及び前記回転光ビームは円偏光ビームであること、を特徴とする請求項14記載の光ファイバ装置。
【請求項16】
前記光ビームはマルチモード光ビームであり、且つ前記回転光ビームは多数の回転導波モード又は回転漏洩波を含んでいること、を特徴とする請求項14記載の光ファイバ装置。
【請求項17】
前記光ビームは単一モード光ビームであり、且つ前記回転光ビームは多数の回転出力モード又は回転漏洩波を含んでいること、を特徴とする請求項14記載の光ファイバ装置。
【請求項18】
前記光ビームは単一モード光ビームであり、且つ前記光ビームと関連する入力パワーの少なくとも50%が前記回転光ビームにおいて単一回転導波モード又は単一回転漏洩波に変換されていること、を特徴とする請求項14記載の光ファイバ装置。
【請求項19】
主区分を含む単一コアを備える光ファイバ装置であって、
前記単一コアの前記主区分は非円形状であり、前記単一コアは前記光ファイバ装置の光軸を中心に前記光ファイバ装置の長さに沿ってねじれていること、
前記単一コアが前記光軸を中心にねじれるねじれ率は前記光ファイバ装置の第1の端における第1のねじれ率から前記光ファイバ装置の第2の端における第2のねじれ率まで増加すること、
前記ねじれ率は50mmあたり1よりも大きなねじれに増加すること、
前記光軸を中心にねじられた前記単一コアは前記光ファイバ装置の第1の端において入射された光ビームを前記光ファイバ装置の第2の端において回転光ビームに少なくとも部分的に変換せしめること、及び
前記単一コアを取り囲むクラッドを備えること、を特徴とする光ファイバ装置。
【請求項20】
前記非円形状の周縁は少なくとも部分的にくぼんでいること、を特徴とする請求項19記載の光ファイバ装置。
【請求項21】
回転ファイバによって、前記回転ファイバの第1の端で光ビームを受信するステップを備え、このステップにおいて前記回転ファイバは前記回転ファイバの光軸を中心に前記回転ファイバの長さに沿ってねじれた単一コアを含み、前記単一コアが前記光軸を中心にねじれるねじれ率は前記回転ファイバの第1の端における第1のねじれ率から前記回転ファイバの第2の端における第2のねじれ率まで増加し、前記ねじれ率は50mmあたり1よりも大きなねじれに増加すること、
前記回転ファイバによって、前記光ビームを回転光ビームに少なくとも部分的に変換するステップを備え、このステップにおいて、前記光ビームは前記単一コアが前記光軸を中心にねじれている結果として前記回転光ビームに少なくとも部分的に変換されること、及び
前記回転ファイバによって、前記回転光ビームを出力するステップをそなえること、を特徴とする方法。
【請求項22】
前記回転ファイバは、前記第1の端でのサイズが前記第2の端でのサイズよりも小さくなるようにテーパー化されること、を特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記光ファイバ装置は、前記第1の端でのサイズが前記第2の端でのサイズよりも小さくなるようにテーパー化されること、を特徴とする請求項19記載の光ファイバ装置。
【請求項24】
前記第2のねじれ率は6mmあたり少なくとも1つのねじれであること、を特徴とする請求項1記載の光ファイバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、円環状のビーム形状を有する光ビームを発生する光ファイバ装置に関し、より詳しくは、光ファイバ内で直接(即ち、フリースペース光学系を使用することなく)円環状のビーム形状を有する回転光ビームを発生する光ファイバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ビームのビームプロファイルは、光ビームを用いて行われる材料加工と関連する加工性能に重大な影響を及ぼす。例えば、円環状のビームプロファイルを有する光ビームは優れた金属切断を可能にする。しかしながら、殆どのファイバ送出光ビームのビームプロファイルは相対的に過度に単純化されている。例えば、ビームプロファイルは、強く集束された光ビームを用いて薄い板金(例えば、約3mm以下の厚さを有する板金)を加工するために使用し得る低ビームパラメータ積(BPP)レーザ(例えば、3ミリメートル・ミリラジアン(mm/mrad))のために、ガウス又は近ガウスプロファイルとしている。別の例として、ビームプロファイルは、大きなビームを用いて厚い板金(例えば、約3mmより大きい厚さを有する板金)を加工するために使用し得る高いBPP(例えば、約3mm・mradのBPP)レーザのために、トップハット(フラットトップと呼ばれることもある)プロファイルを使用している。
【発明の概要】
【0003】
幾つかの可能な実施形態による光ファイバ装置は、主区分と副区分を含む単一コアを備えること、前記副区分の少なくとも一部分が前記単一コアの中心からオフセットされ、前記単一コアが前記光ファイバ装置の光軸を中心に前記光ファイバ装置の長さに沿ってねじれ、且つ前記主区分の屈折率が前記副区分の屈折率より大きいこと、及び前記単一コアを取り囲むクラッドを備えること、を特徴とする。
【0004】
幾つかの可能な実施形態による光ファイバ装置は、主区分を含む単一コアを備えること、前記単一コアの前記主区分は非円形状であり、前記単一コアは前記光ファイバ装置の光軸を中心に前記光ファイバ装置の長さに沿ってねじれていること、及び前記単一コアを取り囲むクラッドを備えること、を特徴とする
【0005】
いくつかの可能な実施形態による方法は、前記回転ファイバの第1の端で光ビームを受信するステップを備え、このステップにおいて前記回転ファイバは前記回転ファイバの光軸を中心に前記回転ファイバの長さに沿ってねじれた単一コアを含んでいること、前記回転ファイバによって、前記光ビームを回転光ビームに少なくとも部分的に変換するステップを備え、このステップにおいて、前記光ビームは前記単一コアが前記光軸を中心にねじれている結果として前記回転光ビームに少なくとも部分的に変換されること、及び前記回転ファイバによって、前記回転光ビームを出力するステップを備えること、を特徴とする。
【0006】
幾つかの可能な実施形態による方法は、回転ファイバ母材の中心に対して角度変化する屈折率構造を有する単一コアを有する回転ファイバ母材を製造するステップと、コンソリデートされた回転ファイバ母材を生成するために前記回転ファイバ母材をコンソリデートするステップと、スパン回転ファイバを生成するために前記コンソリデートされた回転ファイバ母材を線引きと同時にスピンさせるステップと、テーパー状スパン回転ファイバを形成するために前記スパン回転ファイバをテーパー化するステップを含み、そのテーパー状スパン回転ファイバ内で、前記単一コアは前記テーパー状スパン回転ファイバの光軸を中心に回転していること、を特徴とする。
【0007】
幾つかの可能な実施形態による方法は、回転ファイバ母材の中心に対して角度変化する屈折率構造を有する単一コアを有する回転ファイバ母材を製造するステップと、コンソリデートされた回転ファイバ母材を生成するために前記回転ファイバ母材をコンソリデートするステップと、スパン回転ファイバを生成するために前記コンソリデートされた回転ファイバ母材を線引きするステップと、ねじれた回転ファイバを形成するために前記引き出した回転ファイバをねじるステップを含み、そのねじれた回転ファイバ内で、前記単一コアは前記ねじれた回転ファイバの光軸を中心に回転していること、を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1A及び1Bは本明細書に記載する回転光ビーム発生用回転ファイバの一例と関連する概略図である。
図2】回転光ビーム発生用回転ファイバの使用環境の一例を示す図である。
図3】放物線状グレーデッドインデックスファイバのカットオフ以下における様々な低次導波モードLPlmの横方向ニアフィールド強度パターンの一例を示す図である。
図4A】回転光ビーム発生用回転ファイバの一例の横断面図である。
図4B】回転光ビーム発生用回転ファイバの一例の横断面図である。
図5】本明細書に記載するテーパー形回転ファイバの一例を示す図である。
図6】本明細書に記載する回転ファイバを製造するスパンファイバ技術のプロセスの一例のフローチャートである。
図7】本明細書に記載する回転ファイバを製造するねじれファイバ技術のプロセスの一例のフローチャートである。
図8図8A-8Cは本明細書に記載する回転ファイバの様々なテーパー長を用いたシミュレーションと関連する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の例示的な実施形態の詳細な説明は添付図面を参照するものである。異なる図面において、同じ参照番号は同一もしくは類似の要素を示している。以下に記載する実施形態は単なる例示であって、これらの実施形態を開示の正確な形態に限定することを意図するものではない。それよりむしろ、これらの実施形態は、当業者がこれらの実施形態を実施できるように説明のために選ばれたものである。
【0010】
上述したように、従来のファイバ送出光ビームは相対的に過度に単純化されている(例えば、ガウス又は近ガウスプロファイル、トップハットプロファイル及び/又は同類のもの)。比較的進歩したビーム形状、例えば円環状ビーム形状(即ち、リング状ビーム)を有する光ビームを発生するには、一般的に、高価な専用のアライメントセンシティブなフリースペース光学系、例えばアキシコン(axicon)、スパイラル位相板など、を使用する。更に、このような光学系は一般的に、光ビームを送出するファイバの遠位端の加工ヘッド内に設置する必要がある。加工ヘッドは、加速度及び汚染(例えば煙、金属デブリ、塵埃などから)を受けるオプトメカニカルアセンブリであるため、高価で、アライメントセンシティブで、かさばり、且つ又重い光学素子にとって望ましくない場所である。
【0011】
更に、円環状のビーム形状を有する光ビームを発生する従来の技術は一般的に低いビーム品質の光ビームをもたらす。例えば、従来の技術は、過度に高いBPP、円環の中心部の過大なパワー、拡散ビームエッジ(例えば、低い加工品質を生じる比較的長いラジアルテールを有する)などを有する光ビームを発生し得る。
【0012】
本明細書に記載する幾つかの実施形態は、光ファイバ内で直接(即ち、フリースペース光学系なしで)円環状のビーム形状を有する光ビームを発生する光ファイバ装置を提供する。もっと具体的に言うと、発生される光ビームは回転光ビーム(即ち、光ファイバ内をらせん状に伝搬する光ビーム)であり、それによって円環状のビーム形状を有する光ビームを生成する。幾つかの実施形態において、光ビームの回転特性は(例えば、光ビームが光ファイバから出るとき)維持され得るため、例えば光ファイバから加工片上に投射されるレーザスポットはシャープなエッジ及び高いビーム品質を有する円環状ビームプロファイルを示す。このように、円環状のビーム形状を有する光ビームが光ファイバ内で直接発生され、それによって材料加工の向上を促進することができる。
【0013】
図1A及び1Bは、本明細書に記載する、回転光ビームを発生する回転ファイバの一例100と関連する概略図である。
【0014】
回転光ビームを発生する光ファイバ装置(本明細書では回転ファイバと呼ぶ)は、主区分と副区分を備える単一コアを含み、副区分の少なくとも一部分は単一コアの中心からオフセットされている。このような回転ファイバの例示的な断面が図1Aに示されている。図1Aに示される例では、副区分は、副区分(例えば、「十」形の断面を有する区分)が主区分を4つの区分に分離するように配置されている。更に示されるように、回転ファイバは更に単一コアを取り囲むクラッド部分を含む。
【0015】
図1Bに示されるように、単一コア(即ち、主区分及び副区分)は回転ファイバの光軸(例えば、単一コアの中心)を中心に回転ファイバの長さに沿ってねじることができる。幾つかの実施形態において、光軸を中心にねじられた単一コアによって、以下で更に詳しく説明されるように、回転ファイバの入力端に入射される入力光ビーム(例えば、非回転光ビーム)が回転ファイバの出力端における回転光ビームに少なくとも部分的に変換せしめられる。
【0016】
図1Bに更に示されるように、幾つかの実施形態において、回転ファイバは入力ファイバと出力ファイバとの間に配置してよい。幾つかの実施形態において、入力ファイバ、回転ファイバ及び出力ファイバは(例えば、従来の溶着接続技術を用いて)スプライス接続してよい。
【0017】
動作状態において、回転ファイバは入力ファイバから入力光ビームを受光する。図に示されるように、入力光ビームは一以上の非回転導波モードで伝搬する光を含んでよい。光が回転ファイバ中を伝搬するため、及び単一コアが回転ファイバの長さに沿ってねじれているために、回転ファイバは入力光ビームから回転光ビームを生成する。換言すれば、回転ファイバは、(一以上の非回転導波モードを少なくとも1つの回転導波モード及び/又は少なくとも1つの回転漏洩波に少なくとも部分的に変換することによって)入力光ビームを回転光ビームに少なくとも部分的に変換することができる。従って、図1Bに示されるように、回転光ビームは少なくとも1つの回転導波モード及び/又は少なくとも1つの回転漏洩波で伝搬する光を含み得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの回転導波モード及び/又は少なくとも1つの回転漏洩波で伝搬する光のために、回転光ビームは円環状のビーム形状を有する。回転光ビームは(例えば、金属切断などの材料加工用の)出力ファイバを介して発射することができる。このとき、出力ビームの回転特性は維持されるため、出力ファイバから投射されるレーザスポットはシャープなエッジ及び高いビーム品質を有する円環状ビームプロファイルを示す。このように、光ファイバ装置は円環状のビーム形状を有する回転光ビームを光ファイバ内で直接(即ち、フリースペース光学系なしで)発生することができ、よって(例えば、上述した従来の技術と比較して)材料加工の向上を促進することができる。
【0019】
上述したように、図1A及び1Bは単なる一例として提示されている。他の例も可能であり、図1A及び1Bに関して記載されたものと異ならせてもよい。回転ファイバの設計例に関する追加の詳細は以下に記載される。
【0020】
図2は、回転光ビーム発生用回転ファイバの使用環境200の一例を示す図である。図2に示されるように、環境200は入力ファイバ210、回転ファイバ220及び出力ファイバ230を含んでよい。
【0021】
入力ファイバ210は入力光ビーム(例えば、入力レーザビーム)を回転ファイバ220へ発射する。幾つかの実施形態では、入力ファイバ210はステップインデックスファイバ又はグレーデッドインデックスファイバとしてよく、光ビームを入力ファイバ210の光ファイバ軸の近傍で搬送するように設計してよい。幾つかの実施形態では、入力ファイバ210はファイバレーザの出力ファイバに接続してよく、また入力ファイバ210はそれ自体をファイバレーザの出力ファイバとしてよい。代わりに、場合によっては、入力光ビームは自由空間から入力ファイバ210へ発射してもよい。このような場合には、入力ファイバ210は実際上省略してよく、入力光ビームは(例えば、入力ファイバ210ではなく)回転ファイバ220に直接発射してよい。
【0022】
システム設計及び入力ファイバ210の設計に応じて、入力ファイバ210により発射される入力光ビームは、幾つかの実施形態では、入力ファイバ210のコアの導波モードの形態であってよい。ステップインデックスファイバの場合には、その導波モードは、二次モーメント法を用いて測定される空中の特性発散半角(θ)を有し、カットオフ条件:
sin(θ)<NA
を満足する。ここで、NA=√(n1 2-n2 2)は開口数であり、n1及びn2はそれぞれ入力ファイバのコア及びクラッドの屈折率である。入力ファイバ210が非ステップインデックス光ファイバである場合には、導波モードはファイバの波動方程式の通常の解法を用いてアナログ的に定義することができる。
【0023】
入力ファイバ210がステップインデックス光ファイバであろうと、非ステップインデックス光ファイバであろうと、弱導波円環状コアファイバの導波モードは所謂LPモード、LPlm、としてよく、ここで、l(回転量子数)はゼロ又はそれより大きい整数(l≧0)であり、m(動径量子数)は1又はそれより大きい整数(m≧1)である。l及びmの上限は上述した入力ファイバ210の屈折率分布と関連するカットオフ条件により決定することができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、入力ファイバ210により発射される入力光ビームはシングルモード光ビーム又はマルチモード光ビームとしてよく、偏光光ビーム又は非偏光光ビームとしてもよい。入力光ビームが偏光ビームである場合には、円偏光が(例えば、直線偏光又は楕円偏光に比較して)回転ファイバ220及び/又は出力ファイバ230内でより良好に維持されるため、入力光ビームは円偏光としてよい。幾つかの実施形態では、直線偏光の出力光ビームが望ましい場合には、出力ファイバ230を例えば四分の一波長板で終端することにより円偏光から直線偏光を生成してよい。
【0025】
回転ファイバ220は、第1の回転状態を有する入力光ビームを第2の回転状態を有する出力光ビームに少なくとも部分的に変換する光ファイバ装置を含む。例えば、回転ファイバ220は、光ビーム(例えば、非回転光ビーム)を回転光ビームに少なくとも部分的に変換する光ファイバ装置を含んでよい。幾つかの実施形態では、回転ファイバ220は比較的短くしてよいが(例えば、1mより小さいが、1mmより大きい長さ)、入力ファイバ210及び出力ファイバ230の長さは回転ファームウェア220が配置される光システムにより決定することができる(例えば、約0.5mから約100mの範囲内)。回転ファイバ220により発生される回転光ビームと関連する設計局面は以下の段落で説明されるが、回転ファイバ220と関連する設計局面は図4A及び4Bに関して以下で説明される。
【0026】
幾つかの実施形態では、回転光ビームは一以上の回転導波モードで伝搬する光を含んでよい。回転導波モードはl≧1及び一つの確定回転方向を有するモードとして定義される。一つの確定回転方向を有するモードは次のように決定される。l≧1を有するモードに対して、LPモードはsin(lφ)及びcos(lφ)又はe±(ilφ)のいずれかと依存するモードとして表すことができ、ここでφは角度座標である。l=0を有するモードは角度依存性を持たない。サイン及びコサインモードはその角度方向において角節点及びゼロ正味回転方向を有する定在波である。複素指数モードは角節点を持たない角進行波である。これらのモードは一つの確定回転方向(例えば、時計回り又は反時計回り)を有し、この方向はe±(ilφ)中の(+)又は(-)の選択で選択される。
【0027】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載する回転光ビームの回転導波モードに対して、mは1に等しくしてよく(m=1)、またlよりずっと小さくしてもよい(例えばlの約50%未満、lの約20%未満など)。幾つかの実施形態では、比較的低い値のm(lに比較して)を用いて回転導波モードを顕著な円環形状にすることができる。特に、m=1を有する回転導波モードは原点の零点以外に半径方向節点を有しない。換言すれば、m=1を有する回転導波モードは単一リングである(それより高い値のmはm個の同心リングを有する回転導波モードに対応する)。幾つかの実施形態では、一つの確定回転方向を有し、角節点及び/又は半径方向節点を全く又は殆ど有しない角進行波を回転ファイバ220によって発生させることができる。
【0028】
図3は、放物線状グレーデッドインデックスファイバのカットオフ以下における様々な低次導波モードLPlmの横方向ニアフィールド強度パターンを示す図である。他の回転対称屈折率分布を有する光ファイバ、例えばステップインデックスファイバ、のモードは図3に示す強度分布と同様の強度分布を有し得る。図3において、各mに対する角周波数定在波(cosine)モードと進行波モードの両方がl≧1に対して、各mに対応する左と右の列にそれぞれ示されている。
【0029】
幾つかの実施形態では、m=1の回転導波モード(例えば、図3に黒いボックスで示されている)は回転ファイバ220により発生される回転光ビームに含まれる。特に、このセットの回転導波モードはlの高い値(例えばl=20以上)にまで及ぶ。図に示すように、m=1の回転導波モードは如何なる方向にも節点のない顕著な円環形状を有する。幾つかの実施形態では、僅かに高いm(例えばm=2、m=3など)を有する回転導波モードも、特に高いlの値に対して有用な円環状ビームを提供し得る。幾つかの実施形態では、回転光ビームに含まれる一以上の回転導波モードは、10以上のl値(l≧10、例えばl=15、l=18、l=20等)を有してよい。
【0030】
加えて又は代わりに、回転光ビームは一以上の回転漏洩波で伝搬する光を含んでよい。漏洩波は光ファイバ内の非導波光(光ファイバのコアにより導波されない光)に分類される。光ファイバのコア内に入射された漏洩波光は光ファイバのクラッド内に漏出し得る。しかしながら、ファイバ内の大部分の非導波光と対照的に、漏洩波光はコアからクラッド内へ比較的ゆっくり漏洩する。
【0031】
特に、回転漏洩波光は比較的広いパラメータの範囲に亘って低い損失を有し得る。例えば、0.10のNA及び50マイクロメートル(μm)のコア直径を有するステップインデックスシリカファイバでは、1030ナノメートルの波長(λ=1030nm)を有する回転漏洩波光は、半径方向節点を持たず、sin(θ)=0.11であるような特性発散半角θを有し、僅か0.14デシベル/メートル(dB/m)の計算損失を有する。従って、回転漏洩波は導波モードの基準を満足しないが、数dBまでの損失を許容し得る場合には、回転漏洩波は数十メートル以下程度の出力ファイバ長を用いる用途、例えば受動光パワー供給ファイバ及び能動増幅ファイバなどに使用することができる。回転導波モードに場合と同様に、回転漏洩波は一つの確定回転方向を有するとともに、角周波数節点、一般に半径方向節点を全く又は殆ど持たず、回転ファイバ220により発生される回転光ビームに含めることができる。幾つかの実施形態では、回転光ビームに含まれる一以上の回転漏洩波は10以上のl(l≧10、例えばl=15、l=18、l=20など)を有してよい。
【0032】
幾つかの実施形態では、回転光ビームは一以上の回転導波モード及び/又は一以上の漏洩波を含んでよい。幾つかの実施形態では、入力光ビームがシングルモード光ビームである場合には、回転ファイバ220は、回転光ビームが比較的純粋な(例えば、約50%超の純度、80%超の純度など)シングル回転導波モード又は特定値のlを有する回転漏洩波を含むように設計してよい。換言すれば、幾つかの実施形態では、回転ファイバ220は、入力光ビームと関連する入力パワーの少なくとも50%が出力光ビーム内でシングル回転導波モード又はシングル回転漏洩波に変換されるように設計してよい。上述したように、この回転光ビーム(例えば一以上の回転導波モード及び/又は一以上の回転漏洩波を含む)は回転ファイル220の出力端で円環形状を有する。
【0033】
図2に戻り説明すると、出力ファイバ230は回転ファイバ220により放出された出力光ビーム(例えば、回転光ビーム)を受光する出力ファイバを含む。幾つかの実施形態では、出力ファイバ230は、ステップインデックスファイバ、グレーデッドインデックスファイバ、又は特別の屈折率分布を有するファイバ、例えば回転光ビームを他のモード又は漏洩波への最小の結合で搬送するように設計された及び/又は好ましい半径方向強度分布を提供するように設計された円環状コアファイバとしてよい。幾つかの実施形態では、システムの出力が(例えば、ファイバに結合されずに)自由空間に直接結合される場合には、出力ファイバ230は省略してもよい。
【0034】
図2と関連して示され記載された要素の数及び配置は一例として提示されている。実際上、環境200は追加の要素、もっと少ない要素、異なる要素、図2に示す要素と異なって配置された要素及び/又は異なった大きさの要素を含んでもよい。
【0035】
図4A及び4Bは、回転光ビームを発生する回転ファイバ220の例の断面400及び450をそれぞれ示す図である。
【0036】
図4Aに示されるように、幾つかの実施形態では、回転ファイバ220は、屈折率nを有する主区分410(例えば、図4Aに示す例では区分410-1,410-2,410-3及び410-4)と屈折率nを有する副区分430とを含む単一コア405を含んでよい。単一コア405は、単一コア405の区分(例えば、主区分410及び副区分430)が互いに接して回転ファイバ220内で単一ユニットを形成するということで単一という。図に更に示されるように、回転ファイバ220は、単一コア405を取り囲む屈折率n2を有するクラッド420を含んでよい。幾つかの実施形態では、断面400で示されるように、副区分430は、副区分430の少なくとも一部分が単一コア405の中心からオフセットされるように単一コア405内に配置してよい。
【0037】
幾つかの実施形態では、単一コア405は回転ファイバ220の光軸(例えば回転ファイバ220の中心軸)を中心に回転ファイバ220の長さに沿って(上述したように及び図1Bに示すように)ねじることができる。幾つかの実施形態では、光軸を中心とするねじれ率は、回転ファイバ220の第1の端(例えば、入力ファイバ210に最も近い端)における第1のねじれ率から回転ファイバ210の第2の端(例えば、出力ファイバ23に最も近い端)における第2のねじれ率へ増加させる。例えば、回転ファイバの入力端におけるねじれ率はゼロ又はほぼゼロねじれ/mm(例えば約0.02ねじれ/mm(約50mmにつき1ねじれ)以下のねじれ率から、回転ファイバ220の出力端における約0.17ねじれ/mm(例えば約6mmにつき1ねじれ)以上のねじれ率へ増加させてよい。
【0038】
幾つかの実施形態では、回転ファイバ220は、単一コア405のサイズ(例えば、直径)が回転ファイバ220のそれぞれの端で入力ファイバ210及び/又は出力ファイバ230のサイズに実質的に合致するようにテーパーを付けてよい。
【0039】
図5はテーパー付き回転ファイバ220の一例を示す図である。図5に示されように、幾つかの実施形態では、回転ファイバ220は、回転ファイバ220の入力端(例えば、入力ファイバ210にスプライス接続される端で、この端のねじれ率はゼロ又はほぼゼロである)における回転ファイバ220のサイズは、回転ファイバ220の出力端(例えば、出力ファイバ230にスプライス接続される端で、そのねじれ率は入力端に比べて増加している)における回転ファイバのサイズより小さい。
【0040】
更に図5に示されるように、単一コア405の光軸を中心とするねじれ率は、回転ファイバ220の入力端(例えば、入力ファイバ210にスプライス接続される端)における第1のねじれ率(例えば、ゼロ又はほぼゼロのねじれ率)から、回転ファイバ220の出力端における第2のねじれ率に増加してよい。上述したように、図5は単なる一例にすぎない。他の例も可能であり、図5に関して記載したものと異ならせてもよい。回転ファイバ220は図5に直線状として示されているが、回転ファイバ220は任意の形状にしてよい。
【0041】
図4Aに戻り説明すると、幾つかの実施形態では、nはn及びnより大きく、nはnに等しいかそれより大きくする(n≦n<n)。換言すれば、nはn及びnと異ならせ(例えば、それらより大きくし),nはnと異ならせてよい(例えば、それより大きく又はそれに等しくしてよい。この回転ファイバ220の屈折率間の関係は、光が回転ファイバ220を伝搬するとき、回転光ビームの生成を促進する。例えば、入力光ビームの大部分は主区分410(屈折率nを有する)に入射し得るが、入力光ビームの一部分は副区分430(屈折率nを有する)に入射し得る。ここで、n及びnはn(クラッド420の屈折率)より大きいため、単一コア405(主区分410と副区分430)に入射した光はクラッド420により導波される。更に、nはnより小さいため、副区分430は主区分410の別々の区分内の光をいくらか導波するとともに、単一コア405が光軸を中心にねじれているため、それらの光を回転ファイバ220の光軸を中心に回転ファイバ220の長さに沿ってねじり、それによって回転光ビームを発生する。
【0042】
幾つかの実施形態では、断面400に例示されるように、副区分430は主区分410を少なくとも2つの区分に分離してよい(例えば、副区分430を主区分410の区分間に位置してよい)。幾つかの実施形態では、単一コア405は少なくとも2つの区分(例えば、2つの区分、3つの区分、4つの区分、6つの区分など)を有する主区分410を含んでよい。幾つかの実施形態では、主区分410の区分の少なくとも2つはほぼ等しい断面積を有してよい。加えて又は代わりに、主区分410の区分の少なくとも2つは異なる断面積を有してよい。
【0043】
幾つかの実施形態では、断面400に例示されるように、副区分430の断面は回転ファイバ220の光軸に対して対称にしてよい。或いは、副区分430の断面は、幾つかの実施形態では、光軸に対して非対称にしてもよい。
【0044】
幾つかの実施形態では、副区分430は少なくとも3つの部分を備えてよく、その少なくとも3つの部分は回転ファイバ220の断面の平面内で回転ファイバ220の光軸と直角の方向に延在する。幾つかの実施形態では、少なくとも3つの部分の一つが延在する方向は少なくとも3つの部分の別の一つが延在する方向に直角にしてよい。例えば、断面400を参照すると、副区分430は、水平部分、第1の垂直部分(例えば、図4Aにおける副区分430の水平部分より上の垂直部分)及び第2の垂直部分(図4Aにおける副区分430の水平部分より下の垂直部分)を含んでよい。ここで、図に示されるように、水平部分、第1の垂直部分及び第2の垂直部分は回転ファイバ220の断面の平面内で回転ファイバ220の光軸と直角の方向に延在する。更に図4に示されるように、水平部分が延在する方向は第1の垂直部分が延在する方向と直角であり、且つ水平部分が延在する方向は第2の垂直部分が延在する方向と直角である。
【0045】
特に、断面400は単なる一例として例示されている。一般的に、単一コア405(例えば主区分410と副区分430を備える)は回転ファイバ220の光軸に対して角度変化する屈折率構造を有し、単一コア405は回転ファイバ220の光軸を中心にその長さに沿ってねじれる。例示的な断面400において、角度変化する屈折率構造はクラッド420で囲まれた単一コア405内の「+」形状の副区分の屈折率構造である。この例では、副区分430は、主区分410の区分が副区分430により分離される完全な分割器を形成する。
【0046】
回転ファイバ220は角度変化する屈折率構造の別の例を含むこともでき、この回転ファイバでは主区分410は副区分430によって分離された図4Aに示す例と異なる数の区分を含む。幾つかの実施形態では、単一コア405の屈折率構造と関連する対称の副区分は、回転出力ビームに含めるべき所望の回転導波モードに基づいて選択することができる。例えば、l=8を有する回転導波モードが望まれる場合には、回転ファイバ220の光軸を中心とする対称の副区分430は、単一コア405の屈折率構造が対称の8ブレード分割器を形成するように(例えば、主区分410が8個の区分を備えるように)選択してよい。一般的に、対称の副区分430はlの値又はその倍数に等しいlを有するモードを優先的に生成し得る。例えば、回転ファイバ220が対称な4ブレード分割器を形成する副区分430含み、例えば、その結果主区分410が断面400に示されるように4つの区分を備える場合には、l=4を有するモード並びに4の倍数、例えばl=0、l=8、l=12、l=16などのl値を有するモードが優先的に励起され得る。
【0047】
回転ファイバ220は角度変化する屈折率構造の更に別の例を含むこともでき、この回転ファイバでは副区分430が(例えば、主区分410を複数の区分に分離しないで)単一コア405を回転ファイバ220の光軸に対して非対称の断面形状にする。
【0048】
回転ファイバ220は角度変化する屈折率構造の更に他の例を含むこともでき、この回転ファイバでは、主区分410及び/又は副区分430はグレーデッドインデックス材料よりなり、副区分430が部分的な分割器(例えば、例示的な断面400に示される完全な分割器と比較すると、例えばクラッド420の内径の約85%に及ぶ副区分430、それによって単一の相互接続された主区分410を含む単一区分405が形成される)を形成し、単一コア405内に偏心含有物を含める。
【0049】
別の例として図4Bの例示的な断面450で示されるように、幾つかの実施形態では、回転ファイバ220は副区分430を含まなくてもよい(例えば、回転ファイバ220は屈折率n3を有する材料を含まなくてもよい)。換言すれば、幾つかの実施形態では、単一コア405は主区分410だけを含んでよい。このような場合には、屈折率構造の角度変化はクラッド420内の非円環形状の主区分410で決定することができる(例えば、五角星形状の主区分410が例示的な断面450に示されている)。概して、主区分410の非円環形状の周縁は少なくとも部分的にへこませてよい(例えば、五画星形状の主区分410は5つの凹部を含んでいる)。このような場合には、非円環形状の単一コア405は(例えば、五画星形の先端部が回転ファイバ220の光軸を中心に回転ファイバ220の長さに沿って回転するように)回転ファイバ220の長さに沿ってねじってよい。ここで、非円環状単一コア405が光軸を中心にねじれているために、非円環状単一コア405内を伝搬する光(例えば、例示的な断面450に示される五画星形の先端部又はその近傍を伝搬する光)は回転ファイバ220の光軸を中心にねじられ、それによって回転光ビームが生成される。いくつかの実施形態では、非円環状単一コア405(即ち、非円環状の主区分410)を含む回転ファイバ220は、単一コア405のサイズが回転ファイバ220のそれぞれの端で入力ファイバ210及び/又は出力ファイバ230のコアのサイズと実質的に合致するようにテーパーをつけてよい。
【0050】
上述したように、図4A及び4Bは単なる一例として与えられている。他の例も可能であり、図1A及び1Bについて記載した例と異ならせてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態では、角度変化する断面を有する回転ファイバ220は、ロッドインチューブ母材アセンブリ法を用いて製造することができ、よって回転ファイバ220の母材は(例えば、各々適切な屈折率を有する多数の個別のガラス片を用いて)製造される。回転ファイバ220の母材はその後ガラスの融点近くで融合し得る。ねじりは、ファイバ線引きプロセス中に、母材スピンイング技術(例えば、幾つかの偏光保持ファイバ、低複屈折ファイバ又はキラリー結合コアファイバで使用される技術に類似する)を用いて実行する、又はファイバ線引きプロセス後に、短い長さの回転ファイバ220を加熱しながら(例えば溶融テーパーリング中に)ねじることによって実行することができる。回転ファイバ220の製造に関する更なる詳細は図6及び図7について後述される。
【0052】
動作中、回転ファイバ220は回転ファイバ220の第1の端で光ビームを受光し得る。光ビームは回転ファイバ220中を伝搬するので、回転ファイバ220は少なくとも部分的に光ビームを回転光ビームに変換し、その回転光ビームを出力ファイバ230へ出力し得る。
【0053】
幾つかの実施形態では、回転ファイバ220のモードは角度変化する屈折率構造に従い、つまり光が回転ファイバ220を伝搬するにつれて、モードは本質的に回転特性になる。結果として、回転ファイバ220が出力ファイバ230にスプライス接続されると、出力ファイバ230に出力される光は一以上の回転導波モード及び/又は一以上の回転漏洩波よりなる回転状態になり得る。回転ファイバ220の出力端におけるねじれ率(Φ、例えば1ミリメートル当たりの回転数の単位)が回転光ビームの出力発散半角θ及び近似回転状態を次の関係式に従って決定する。
sin(θ)~2πnRΦ
l~2πRsin(θ)/λ
ここで、Rは回転導波モード及び/又は回転漏洩波の有効半径であり、一般的に単一コア405の半径より約10%小さい。従って、例えば、6mmの回転ピッチ、1.450のコア屈折率(例えば溶融シリカガラスに特有である)及びλ=1080nmの動作波長を有する100μmのコア直径の回転ファイバ220を用いると、有効半径は約45×10-6m(例えば、R~90%×(100/2)=45×10-6m)である。ここで、ねじれ率は166.7回転/メートル(例えば、1/6mm=166.7)であり、従って、sin(θ)~0.068ラジアン及びlは約18(例えば、l~18)になる。
【0054】
18の回転状態は高度の回転ビームを表し、~0.068ラジアンの出力発散角は産業上の利用におけるファイバ出力レーザビームに特有である。BPPは3.1mm-mad(例えば、45×0.068=3.1mm-mad)であり、これは薄い板金加工に適しているが、円環ビーム形状と同様に厚板金加工にも適している。
【0055】
任意の光ファイバと同様に、回転ファイバ220の導光能力は回転ファイバ220のNAによって決定され、ここで、NA=√(n1 2-n2 2)である。上記の例に対して、回転光ビームを一つ又は複数の回転導波モードとして搬送するためには、回転ファイバ220のNAは少なくとも0.068とすべきである。従って、nの値は、例えばドープ溶融シリカを用いて達成できるように、1.4484又はそれより小さくすべきである。或いは、回転光ビームを回転漏洩波として搬送するのが望ましい場合には、0.068より僅かに小さいNAの値(例えば、約0.060から約0,067の範囲内の値)を使用することができる。幾つかの実施形態では、出力ファイバ230も回転光ビームを回転導波モード及び/又は回転漏洩波として導波するために適切なNAを有するべきである。
【0056】
幾つかの実施形態では、入力ファイバ210の回転ファイバ220への結合品質は、入力パワーが(例えば、回転ファイバ220から外へ散乱される又は例えば多くの異なるモードを含む低ビーム品質の非回転光として伝搬されるのと対照的に)回転ファイバ220の出力で高輝度回転光パワーにどのくらい効率よく変換されるかを決定し得る。このような高効率のビーム変換を確実にするために、あらゆる遷移部を特に3つの態様で平滑化及び断熱化すべきである。
【0057】
断熱遷移部の提供と関連する第1の態様は、入力ファイバ210から回転ファイバ220への及び回転ファイバ220から出力ファイバ230への遷移部のコアサイズは導波モード及び/又は漏洩波が有意のモードスクランブリングなしで導波されるようにほぼ合致させるべきである。従って、入力ファイバ210のコアと出力ファイバ230のコアが異なるサイズである場合には、回転ファイバ220は、回転ファイバ220の入力端のコアサイズ及び回転ファイバ220の出力端のコアサイズがそれぞれ入力ファイバ210及び出力ファイバ230のコアサイズに合致するように、(例えば、図5に関して上述したように)テーパーをつけるべきである。幾つかの実施形態では、テーパー率は断熱遷移を可能にするために十分にゆるやかにしてよい。幾つかの実施形態では、依然として断熱を維持しながら比較的短いテーパーを可能にするために平方根テーパープロファイルを使用してもよい。
【0058】
断熱遷移の提供と関連する別の態様は、回転ファイバ220のねじれ率は回転ファイバ220の入力端(例えば、入力ファイバ210に最も近い端)でゼロ又はほぼゼロにすべきであり、回転ファイバ220の長さに沿ってゆっくり増加させるべきである。例えば、入力ファイバ210の近くの回転ファイバ220のねじれ率は約2以下、0.5以下、等の回転状態lに対応させてよい。幾つかの実施形態では、ねじれ率は回転ファイバ220の出力端(出力ファイ230に最も近い端)の近くの最大ねじれ率まで回転ファイバ220の長さに沿って増加させてよい。ここで、ねじれ率の変化割合は断熱遷移を可能にするために十分にゆるやかにすべきである。
【0059】
断熱繊維の提供と関連する更に別の態様は、入力ファイバ210から副区分430(回転ファイバ220内に組み込まれている場合)に直接入射される光がその後主区分410により捕捉されてこの光が回転特性も得るようにしなければならない。幾つかの実施形態では、この効果は、回転ファイバ220のサイズを入力ファイバ210から出力ファイバ230へ上向きテーパー状にするときに達成することができる。従って、上述した第1の態様を満たすためには、出力ファイバ230のコアサイズは入力ファイバ210のコアサイズより大きくなければならない。副区分430に最初に入射された光はクラッド420により導波され得るが、この光は主区分410及び副区分430を横切って導波されずに旋回する。回転ファイバ220のコアサイズが出力ファイバ230に向かって上向きにテーパーしているとき、この光の発散角は(如何なる光ファイバテーパーについても知られているように)コアサイズに反比例して減少し、発散角が主区分410の屈折率と副区分430の屈折率の界面(即ちn-n界面)により決まるNAより低くなるとき、この光はますます主区分410内に閉じ込められることになる。幾つかの実施形態では、適切な設計の回転ファイバ220及び関連するテーパー率によれば、副区分430に入射される光の少なくとも50%(例えば80%)が主区分410により捕捉され、回転特性が得られる。
【0060】
図6は回転ファイバ220を製造するスパンファイバ技術の例示的なプロセス600のフローチャートである。
【0061】
図6に示されるように、プロセス600は、回転ファイバ220の中心に対して角度変化する屈折率構造を持つ単一コアを有する回転ファイバ220の母材を製造するステップを含んでよい(ブロック610)。例えば、図4Aに示すようなファイバ断面構造を有する母材は、nの屈折率を有するガラスの4つの四半円ピース(例えば、主区分410を形成するため)、nの屈折率を有するガラスの少なくとも3つの板(例えば、副区分430を形成するため)、及び屈折率nを有するガラスチューブ(例えば、クラッド420を形成するため)を用いて製造することができる。回転ファイバ420の母材を製造する他の方法も可能である。
【0062】
更に図6に示されるように、プロセス600はコンソリデートされた回転ファイバ220の母材を生成するために回転ファイバ220の母材をコンソリデートするステップを含んでよい(ブロック620)。幾つかの実施形態では、回転ファイバ220の母材は熱源を用いて(例えば回転ファイバ220の母材のガラス片が融合するように)コンソリデートしてよい。幾つかの実施形態では、回転ファイバ220の母材はブロック610と関連する母材形成プロセス中、又は以下に記載するブロック630と関連する線引き及びスピニングプロセス中にコンソリデートしてよい。
【0063】
図6に更に示されるように、プロセス600はスパン回転ファイバ220を生成するためにコンソリデートされた回転ファイバ220母材を線引きと同時にスピンさせるステップを含んでよい(ブロック630)。幾つかの実施形態では、コンソリデートされた回転ファイバ220母材をファイバ線引き塔上の母材スピナに固定し、コンソリデートされた回転ファイバ220母材を(例えば、所謂スパンファイバの生成と関連する通常の技術を用いて)スピンさせながら線引きしてよい。
【0064】
幾つかの実施形態では、ファイバ線引き速度に対するスピン速度がスパン回転ファイバ220のねじれ率を決定する。幾つかの実施形態では、スピン速度は、スパン回転ファイバ220のねじれ率が回転光ビームにとって望ましいものとなるように選択される。典型的なねじれ速度は、例えば約50回転/メートルから約2000回転/メートルの範囲内である(しかし、場合によってはもっと遅い又は速い速度でもよい)。幾つかの実施形態では、スパン回転ファイバ220は、コアのサイズ(例えば、単一コア405の直径)が出力ファイバ230のコアのサイズにほぼ等しいか僅かに小さくなるように線引きしてもよい。
【0065】
図6に更に示されるように、プロセス600はスパン回転ファイバ220を出力ファイバ230の端にスプライス接続するステップ(ブロック640)を含んでよい。例えば、スパン回転ファイバ220の端は出力ファイバ230の端に溶着接続してよい。
【0066】
図6に更に示されるように、テーパー状スパン回転ファイバ220を形成するためにスパン回転ファイバ220をテーパー化するステップ含んでよく、テーパー状スパン回転ファイバ220内において、単一コアはテーパー状スパンファイバ220の光軸を中心にテーパー状スパン回転ファイバ220の長さに沿って回転している(ブロック650)。
【0067】
幾つかの実施形態では、熱源(例えば、トーチ、溶着スプライサ等)を用いてスパン回転フィルタ220を加熱し軟化して、スパン回転ファイバ220のコアのサイズが入力ファイバ210のコアのサイズにほぼ等しいかそれより僅かに大きいサイズに次第に小さくなるように下向きテーパーを形成することができる。ここで、テーパーリングは、(図5に示されるように)本質的にテーパー状スパン回転ファイバ220のねじれ率を減少するため、テーパー状スパン回転ファイバ220の入力端におけるねじれ率はゼロ又はほぼゼロにできるので、入力ファイバ210により入射される光ビームの一般的に非回転特性への合致を達成することができる。
【0068】
上述したように、例えば、輝度損失を最小にするため及び/又はテーパー状スパン回転ファイバ220により回転光ビームに生成される回転状態の純度を最大にするために、テーパー状スパン回転ファイバ220を伝搬する光の遷移部(例えば、第1の回転状態から第2の回転状態への遷移部)が断熱又はほぼ断熱になるようにテーバー率を選択してよい。もっと具体的にいうと、コアのサイズの増加割合、ねじれ率の増加、及びクラッド420から単一コア405内への光の移動は断熱遷移を確保するために十分に漸進的にすべきである。断熱遷移は、遷移をもっと漸進的にすることは有意の性能向上をもたらさないと定義することができる。
【0069】
幾つかの実施形態では、テーパー状のスパン回転ファイバ220を生成するためのテーパーリング後に、テーパー状のスパン回転ファイバ220は入力ファイバ210の一端にスプライス接続(例えば、融着接続)してよい。
【0070】
一例として、100μmコア径のテーパー状スパン回転ファイバ220に対して既に提示された値を用いると、100μmコア径の出力ファイバ230を回転ファイバ220にスプライス接続することができ、テーパー状スパン回転ファイバ220の入力端は、例えば30μmコアの入力ファイバ210に合致させるために、30μmコア径にテーパー化することができる。この例では、ねじれ率はこのテーパーにより15回転/メートル(例えば、(30/100)×166.7=15回転/メートル)に低減するように計算でき、回転ファイバ220の入力端において約0.18(l~0.18)の回転状態になり、従って入力ファイバ210により搬送される非回転入力光ビームに良好に合致する。幾つかの実施形態では、入力ファイバ210のコアは出力コア230のコアよりサイズがかなり小さくしてよい(例えば、入力ファイバ210のコアのサイズは出力ファイバ230のコアのサイズの約30%以下にしてよい)ため、回転ファイバ220は回転ファイバ220の入力端においてゼロ又はほぼゼロのねじれ率にしてよい。
【0071】
図6はプロセス600の例示的なステップを示すが、プロセス600は追加のステップ、もっと少数のステップ、異なるステップ、又は図6に示されるステップと異なって配置されたステップを含んでもよい。加えて又は代わりに、プロセス600の2以上のステップを並列に実行してもよい。
【0072】
幾つかの実施形態では、回転ファイバ220を製造するスパンファイバ技術のプロセスは、回転ファイバ母材の中心に対して角度変化する屈折率構造を持つ単一コアを有する回転ファイバ母材を製造するステップと、コンソリデートされた回転ファイバ母材を生成するために回転ファイバ母材をコンソリデートするステップと、スパン回転ファイバを生成するためにコンソリデートされた回転ファイバ母材をスピンさせながら線引きするステップと、テーパー状スパン回転ファイバを生成するためにスパン回転ファイバをテーパー化するステップとを含んでよく、テーパー状スパン回転ファイバ内で単一コアがターパー状スパン回転ファイバの光軸を中心にテーパー状スパン回転ファイバの長さに沿って回転している。幾つかの実施形態では、スパン回転ファイバのテーパー化は入力ファイバと出力ファイバの間の断熱遷移を生成するとともに、第1の回転状態から第2の回転状態への断熱遷移を生成する。
【0073】
図7は回転ファイバ220を製造するねじれファイバ技術の例示的なプロセス700のフローチャートである。
【0074】
図7に示されるように、プロセス700は、回転ファイバ母材の中心に対して角度変化する屈折率構造を持つ単一コアを有する回転ファイバ220の母材を製造するステップを含んでよい(ブロック720)。例えば、回転ファイバ220母材は例示的なプロセス600と関連して上述したものと同様に製造してよい。
【0075】
図7に更に示されるように、プロセス700は、コンソリデートされた回転ファイバ220母材を生成するために回転ファイバ220母材をコンソリデートするステップを含んでよい(ブロック720)。例えば、回転ファイバ220母材は例示的なプロセス600と関連して上述したものと同様にコンソリデートしてよい。
【0076】
図7に更に示されるように、プロセス700は線引きされた回転ファイバ220を生成するためにコンソリデートされた回転ファイバ220母材を線引きするステップを含んでよい(ブロック730)。幾つかの実施形態では、コンソリデートされた回転ファイバ220母材を通常のファイバ線引きプロセスを用いて、スピンを加えずに、線引きされた回転ファイバ220のコアのサイズ(例えば、単一コアのサイズ)が出力ファイバ230のコアのサイズにほぼ等しいかそれより僅かに小さくなるように線引きしてよい。
【0077】
図7に更に示されるように、プロセス700は線引きされた回転ファイバ220を出力ファイバ230の端にスプライス接続するステップを含んでよい(ブロック740)。例えば、線引きされた回転ファイバ220の端は出力ファイバ230の端に溶着接続してよい。
【0078】
図7に更に示されるように、プロセス700は、ねじれ回転ファイバ220を生成するために線引きされた回転ファイバ220をねじるステップを含んでよく、ねじれ回転ファイバ220内の単一コアはねじれ回転ファイバ220の光軸を中心にねじれ回転ファイバ220の長さに沿ってねじれている(ブロック750)。
【0079】
幾つかの実施形態では、可変のねじれ率(例えば、ねじれ回転ファイバ220の入力端におけるゼロ又はほぼゼロからねじれ回転ファイバ220の出力端における所望のねじれ率まで変化するねじれ率)を有するねじれ回転ファイバ220を生成するために、線引き回転ファイバ220をスパン回転フィルタ220を加熱し軟化する熱源(例えば、トーチ、溶着スプライサ等)を用いて加熱及び/又は軟化しながらねじってよい。幾つかの実施形態では、ねじれ回転ファイバ220のサイズが入力ファイバ210と出力ファイバ230の両方に合致するようにねじれ回転ファイバ220にテーパープロファイルを与えてもよい。
【0080】
幾つかの実施形態では、ねじれスパン回転ファイバ220を生成するために、ねじれ回転ファイバ220を入力ファイバ210の端にスプライス接続(溶着接続)してよい。
【0081】
特に、プロセス700は、テーパー状スパン回転ファイバ220と関連する一定のねじれではなく、可変のねじれをねじれ回転ファイバ220に生成する必要があるため、プロセス600より幾分複雑になり得る。しかしながら、プロセス700は、プロセス600と比較して追加の自由度を提供し得る。例えば、プロセス700は出力ファイバ230のコアサイズより大きいコアサイズを有する入力ファイバ210の使用を可能にする。別の例として、プロセス700は、プロセス600と比較して、ねじれ回転ファイバ220の入力端のねじれ率を(例えば、ほぼゼロではなく)ゼロにすることができる。プロセス600の場合にはテーパー状スパン回転ファイバの入力端におけるねじれ率はスパンファイバ技術においてテーパー比によって決まる。幾つかの実施形態では、ハイブリッド手法が可能であり、その場合には、入力端のねじれ率を微調整する(又は完全にゼロにする)ために、スパン回転ファイバ220は熱源を用いてテーパー化と追加の可変ねじれによって修正することができる。
【0082】
図7はプロセス700の例示的なステップを示すが、プロセス700は追加のステップ、もっと少ないステップ、異なるステップ、又は図7に示されるステップと異なって配置されたステップを含んでもよい。加えて又は代わりに、プロセス700の2以上のステップを並列に実行してもよい。
【0083】
幾つかの実施形態では、回転ファイバ220を製造するねじれファイバ技術のプロセスは、回転ファイバ母材の中心に対して角度変化する屈折率構造を持つ単一コアを含む回転ファイバ母材を製造するステップ、コンソリデートされた回転ファイバ母材を生成するために回転ファイバ母材をコンソリデートするステップ、線引き回転ファイバを生成するためにコンソリデートされた回転ファイバ母材を線引きするステップ、及びねじれ回転ファイバを生成するために線引き回転ファイバ220をねじるステップを含んでよく、ねじれ回転ファイバ内の単一コアはねじれ回転ファイバの光軸を中心にねじれ回転ファイバの長さに沿ってねじれている。幾つかの実施形態では、このプロセスは更に、線引き回転ファイバをねじりながら線引き回転ファイバを熱源で軟化させ、線引き回転ファイバがその長さに沿って可変のねじれを有するようにねじられるステップを含んでよい。
【0084】
図8A-8Cは回転ファイバ220の様々なテーパー長を用いたシミュレーション例と関連する図である。図8A-8Cと関連するシミュレーション例では、入力ファイバ210は30μmコアを有し、出力ファイバ230は100μmコアを有する。回転ファイバ220は30μmコアから100μmコアまで放物状プロファイルのテーパーを有する回転ファイバであり、回転ファイバ220の出力端で166.7回転/mのねじれ率を有する。更に、入力ファイバ210は6つの同等に存在するモード:LP01.LP02,LP11(+),LP11(-),LP21(+),及びLP21(-):を搬送し、ここで(+)及び(-)は対応するモードの2つの可能な回転方向を示す。LP11モード及びLP21モードはそれぞれ少量の回転(それぞれl=1及びl=2)を有するが、全6つのモードは同等に存在するため、入力モードの混合はゼロの平均回転状態を有する。回転ファイバ220のクラッドのNAは0.22である(例えば、そのためすべての関連モードが強く導波される)。出力光ビームの品質は励起されるモードの数で特徴づけられる。
【0085】
図8A及び8Bの回転ファイバ220は10mm、40mm、及び80mmのテーパー長の断熱性を評価するためにそれぞれのテーパー長と関連している。このシミュレーション例は、要望どおり、出力放射はほぼ完全に強い回転モードLPl1の形態になることを示している。結果はモードパワーを回転数lの関数として示す図8A-8Cに示されている。
【0086】
図に示されるように、上述した回転ファイバにより発生される回転状態はl~18を中心として分布される。しかしながら、2つ以上の入力モードが存在するため、複数の状態の若干の分布が存在する。加えて、図8A図8B及び8Cの比較に基づいて、10mmテーパーは40mmテーパー及び80mmテーパーよりも著しく多くの励起された状態を有することがわかる。この結果は、10mmテーパーは断熱のためには短すぎること(即ち、10mmテーパーは回転ファイバ220のパラメータが回転ファイバ200の入力端から出力端へと速く変化しすぎること)を示し、それによって追加のモードが励起せしめられ、輝度及びモード純度が低下する。
【0087】
他方、図8B図8Cを比較すると、40mmテーパーと80mmテーパーの間の変化は比較的小さいことがわかる。これは、これらのテーパーの両方とも断熱的であり、得られるモード分布はほぼ最適であることを示す。実際上、6つ入力モードが存在することを考慮すると、理想的な場合には6つの出力モードが存在する。図に示すように、断熱的テーパー内の出力集団の殆どは実際上殆ど6つのモード内に捕捉され、隣接モードへの広がりが若干存在する。
【0088】
発生されるモードのすべてが回転モードであるため、回転ファイバ220の出力と関連する出力スポットは、より効果的な材料加工に望ましい、鮮明なエッジを有する鮮明な円環状パターンとすることができる。
【0089】
上述したように、図8A-8Cは単なる一例として与えられている。他の例も可能であり、図8A-8Cに関して記載された例と異ならせてもよい。
【0090】
本明細書に記載した幾つかの実施形態は、円環状のビーム形状を有する光ビームを光ファイバ内で直接(即ちフリースペース光学系なしで)発生させる光ファイバ装置を提供する。具体的には、発生される光ビームは回転光ビーム(即ち、光ファイバ内をらせん方向に伝搬する光ビーム)であり、よって円環状のビーム形状を有する光ビームを発生する。幾つかの実施形態では、(光ビームが光ファイバから射出するとき)光ビームの回転特性を維持し得るため、光ファイバから加工片に照射されたレーザスポットは例えば鮮明なエッジ及び高いビーム品質を有する円環状のビームプロファイルを示す。
【0091】
以上の開示は例証及び説明のために提示されているが、網羅的な説明を意図するものでも、実施形態を開示の正確な形態に限定することを意図するものでもない。様々な変更や変形が以上の開示に照らして可能であり、また実施形態の実施から得ることができる。
【0092】
例えば、回転ファイバ220は非回転光ビームを回転光ビームに変換するために使用されるものとして記載した。しかし、幾つかの実施形態では、回転ファイバ20は、入力回転光ビームを出力非回転光ビームに変換するために、逆方向に使用してもよい。これは、回転ファイバ220の入力端におけるねじれ率が入力光ビームの回転と合致するように、且つ回転ファイバ220の出力端におけるねじれ率がゼロ又はほぼゼロになるように、回転ファイバ220の設計、例えばテーパー及びねじれの変化等、を逆転させることによって達成することができる。上述した製造技術の何れもこの例に適応し得る。
【0093】
別の例として、回転ファイバ220は任意の回転状態を有する入力光ビームを別の(即ち異なる)回転状態を有する出力光ビームに変換するように設計することもできる。これを達成する基準は、回転ファイバ220の入力端におけるねじれ率が入力光ビームの回転状態に適合しなければならないこと、及び回転ファイバ220の出力端におけるねじれ率が出力光ビームの所望の回転状態に適合しなければならないことにある。上述した製造技術の何れもこの例に適応し得る。
【0094】
特定の特徴の組み合わせが請求の範囲に列挙され及び/又は明細書に開示されているが、これらの組み合わせは可能な実施形態の開示を限定するものではない。実際には、これらの特徴の多くは請求の範囲に明確に列挙されていない及び/又は明細書に開示されていない方法で組み合わせてもよい。以下に列挙される各従属請求項は一つの請求項にのみ直接従属してよいが、可能な実施形態の開示は各従属請求項と請求の範囲内のすべての他の請求項との組み合わせも含むものである。
【0095】
本明細書で使用する要素、操作又は指示は、特に明記されない限り、決定的又は本質的と解釈されるべきである。また、冠詞"a"及び"an"は一以上の要素を含むことが意図され、「一以上」と互換的に使用され得る。更に、本明細書で使用される「セット」は一以上の要素(例えば、関連要素、非関連要素、関連要素及び関連要素の組み合わせ等)を含むことが意図され、「一以上」と互換的に使用され得る。唯一の要素が意図される場合には、「一つ」又は類似の語が使用される。また、本明細書で使用する語「有する」、「有している」等はオープンエンデッドタームであることが意図されている。更に、語句「基づく」は特に明記されない限り「少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8