(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20220311BHJP
E06B 1/70 20060101ALI20220311BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20220311BHJP
E06B 1/28 20060101ALN20220311BHJP
【FI】
E05D15/06 124A
E05D15/06 124C
E06B1/70 A
E06B3/46
E06B1/28
(21)【出願番号】P 2017226193
(22)【出願日】2017-11-24
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 啓司
(72)【発明者】
【氏名】中正 悦代
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-145588(JP,U)
【文献】特開平11-101053(JP,A)
【文献】特開2007-291718(JP,A)
【文献】国際公開第2008/107487(WO,A1)
【文献】特開2018-16991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/06
E06B 1/28
E06B 1/70
E06B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、枠体に設けられた障子と、を有し、
前記枠体の下枠は、底部および前記底部の端部から上下方向に向かって伸びる側部からなり上側に開口する溝部が形成された枠本体と、
前記溝部に嵌合し上部に前記障子の戸車が走行する障子レールと、を有し、
前記障子レールの側部は、前記溝部の側部に沿って延びていて、
前記溝部の側部と前記障子レールの側部との間には、隙間が形成さ
れつつ、
前記障子レールの側部は、前記溝部の側部と接触する部分を有し、
前記障子レールの側部における前記溝部の側部と接触する部分は、R形状に形成されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記溝部の側部には、前記溝部の内側に突出する突起部が形成され、
前記突起部の先端部と前記障子レールの側部との間には、隙間が形成されている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記障子レールの側部には、内側に凹み内部に前記突起部が配置される障子レール溝部が形成され、
前記突起部の外周面と前記障子レール溝部の内周面との間には、隙間が形成されている請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記障子レールには、
前記障子レール溝部の上側に側方に突出する張出部が形成され、
前記張出部の先端部は、テーパ形状に形成され、
前記張出部の先端部と上端部の連結部分は、R形状に形成されて、前記枠本体の上端部と接触している請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記障子レールの下端部は、前記溝部の底部と接触している請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建具。
【請求項6】
前記障子レールは、前記枠体の縦枠と離間するように設けられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
引違サッシでは、障子に設けられている戸車が、下枠(枠本体)に設置された障子レールに沿って移動するように構成されている。障子レールは、下枠に形成された溝部に嵌合設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような建具では、障子の開閉時に戸車が障子レールに沿って移動すると、障子の荷重によって障子レールが下枠に対して上下方向および水平方向に動き、障子レールと下枠とが擦れて異音が発生することがある。
【0005】
そこで、本発明では、障子の開閉時に異音が生じることを防止することができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、枠体と、枠体に設けられた障子と、を有し、前記枠体の下枠は、底部および前記底部の端部から上下方向に向かって伸びる側部からなり上側に開口する溝部が形成された枠本体と、前記溝部に嵌合し上部に前記障子の戸車が走行する障子レールと、を有し、前記障子レールの側部は、前記溝部の側部に沿って延びていて、前記溝部の側部と前記障子レールの側部との間には、隙間が形成されつつ、前記障子レールの側部は、前記溝部の側部と接触する部分を有し、前記障子レールの側部における前記溝部の側部と接触する部分は、R形状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、溝部の側部と障子レールの側部との間には、隙間が形成されていることにより、障子の開閉によって障子レールが枠本体に対して上下方向および水平方向に動いても溝部の側部と障子レールの側部とが擦れることがないため、障子の開閉時に異音が生じることを防止することができる。
【0008】
また、本発明に係る建具では、前記溝部の側部には、前記溝部の内側に突出する突起部が形成され、前記突起部の先端部と前記障子レールの側部との間には、隙間が形成されていてもよい。
このような構成とすることにより、突起部によって障子レールが溝部から抜け出ることを防止することができる。突起部の先端部と障子レールの側部との間には、隙間が形成されていることにより、障子の開閉によって障子レールが枠本体に対して上下方向および水平方向に動いても突起部の側部と障子レールの側部とが擦れることがないため、障子の開閉時に異音が生じることを防止することができる。
【0009】
また、本発明に係る建具では、前記障子レールの側部には、内側に凹み内部に前記突起部が配置される障子レール溝部が形成され、前記突起部の外周面と前記障子レール溝部の内周面との間には、隙間が形成されていてもよい。
このような構成とすることにより、突起部と障子レール溝部によって障子レールが溝部から抜け出ることを防止することができる。突起部の外周面と障子レール溝部の内周面との間には、隙間が形成されていることにより、障子の開閉によって障子レールが枠本体に対して上下方向および水平方向に動いても突起部と障子レール溝部とが擦れることがないため、障子の開閉時に異音が生じることを防止することができる。
また、突起部の外周面と障子レール溝部の内周面との間に隙間が形成されていることにより、突起部や障子レール溝部の寸法にバラツキが生じた場合でも、この隙間によって寸法のバラツキを吸収することができる。
【0010】
また、本発明に係る建具では、前記障子レールには、前記障子レール溝部の上側に側方に突出する張出部が形成され、前記張出部の先端部は、テーパ形状に形成され、前記張出部の先端部と上端部の連結部分は、R形状に形成されて、前記枠本体の上端部と接触していてもよい。
障子レールの張出部が枠本体の上端部と接触していることにより、障子レールを枠本体に対して安定した状態に取り付けることができる。また、R形状に形成された張出部の先端部と上端部の連結部分が枠本体の上端部と接触していることにより、テーパ部と枠本体とが例えば、点接触や面接触するため、互いの接点を少なくすることができ、互いに擦れた場合でも異音が生じることを抑えることができる。
【0011】
また、本発明に係る建具では、前記障子レールの下端部は、前記溝部の底部と接触していてもよい。
このような構成とすることにより、障子レールを枠本体に対して安定した状態に取り付けることができる。
【0012】
また、本発明に係る建具では、前記障子レールは、前記枠体の縦枠と離間するように設けられていてもよい。
例えば、枠体が樹脂製であって下枠と縦枠とが溶着されていると、下枠と縦枠との境界部分にばりが生じることがある。本発明では、障子レールは、前記枠体の縦枠と離間するように設けられていることにより、下枠と縦枠との境界部分にばりが生じた場合でも、下枠の枠本体に障子レールを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、障子の開閉時に異音が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による建具の一例を示す室内側から見た正面図である。
【
図2】本発明の実施形態による建具の枠体を室内側から見た正面図である。
【
図6】本実施形態の変形例による建具の障子レールを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による建具について、
図1乃至
図5に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による建具1は、引違サッシで建物の壁部11に形成された開口部12に設けられている。
建具1は、開口部12に沿って設けられた四方枠状の枠体2と、枠体2の内側に左右方向にスライド可能に設けられた一対の障子3,3と、を有している。
以下の説明において、室外側と室内側とを結ぶ方向を室内外方向とし、開口部12が壁部11を貫通する方向(壁部11に対向する方向)から見た際の左側と右側を結ぶ水平方向を左右方向とする。また、建具1を構成する各部材や部品などは、開口部12に設けられている姿勢であるものとして、その姿勢における室内外方向および左右方向を用いて説明する。
【0016】
図2に示すように、枠体2は、左右方向に延びる上枠21および下枠22と、上下方向に延びて上枠21および下枠22と連結された一対の縦枠23,23と、を有している。上枠21、下枠22および一対の縦枠23,23は、互いに略同じ断面に形成されている。以下の説明では、上枠21、下枠22および一対の縦枠23,23などの長尺の部材に対してそれぞれが延びる方向を長さ方向とすることがある。
上枠21、下枠22および一対の縦枠23,23は、それぞれの長さ方向に延びる合成樹脂製の樹脂下枠(枠本体)4と、それぞれの長さ方向に延びる金属製の枠芯材25(
図3参照)と、を有している。樹脂下枠4および枠芯材25は、それぞれの長さ方向全体において略同じ断面形状となるように形成されている。このため、樹脂下枠4を構成する部材は、基本的に、樹脂下枠4の長さ方向に延びていて、枠芯材25を構成する部材は、基本的に、枠芯材25の長さ方向に延びている。
【0017】
上枠21、下枠22および一対の縦枠23,23それぞれの樹脂下枠4は、互いに同じ断面に形成されている。樹脂下枠4は、例えば押出材で、内部に長さ方向全体にわたって中空部が形成されている。樹脂下枠4は、長さ方向の端部4aがそれぞれ斜め45°に切断されている。
枠芯材25は、樹脂下枠4の中空部に挿入配置されている。枠芯材25は、樹脂下枠4よりも若干短く形成されている。枠芯材25は、樹脂下枠4の長さ方向の両端部4a,4aそれぞれから長さ方向の外側に突出しないように配置されている。
【0018】
上枠21および下枠22の樹脂下枠4と、一対の縦枠23,23の樹脂下枠4とは、互いの端部4a,4aを突き合わせて90°を成すように溶着されている。
上枠21および下枠22の枠芯材25と、一対の縦枠23,23の枠芯材25とは、直接連結されておらず枠体2のL字形状の連結金具(不図示)などを介して連結されている。
【0019】
図3に示すように、下枠22の樹脂下枠4は、開口部12の内周面に沿って配置される第1樹脂下枠見込み板部41と、第1樹脂下枠見込み板部41の上側(開口部12の内側)に間隔をあけて配置された第2樹脂下枠見込み板部42と、第1樹脂下枠見込み板部41の室外側の端部41aと第2樹脂下枠見込み板部42の室外側の端部42aとを連結するとともに第2樹脂下枠見込み板部42の上側に突出する樹脂下枠外板部43と、第1樹脂下枠見込み板部41の室内側の端部41bと第2樹脂下枠見込み板部42の室内側の端部42bとを連結するとともに第2樹脂下枠見込み板部42の上側に突出する樹脂下枠内板部44と、それぞれ第2樹脂下枠見込み板部42から上側に突出する第1レール部45および第2レール部46と、第1樹脂下枠見込み板部41から下側に突出する第1固定ヒレ部47と、樹脂下枠内板部44から室内側に突出する第2固定ヒレ部48と、を有している。これらは、樹脂下枠4の長さ方向に延びている。
【0020】
第1樹脂下枠見込み板部41は、板状に形成され、板面が上下方向を向く向きで配置されている。第1樹脂下枠見込み板部41は、室内外方向の室内側の部分が開口部12の内周面と当接し、室内外方向の室外側の部分が壁部11よりも室外側に突出している。第1樹脂下枠見込み板部41には、室内外方向の中間部に長さ方向の全長わたって延びて上側に凹んだ溝部411が形成されている。
【0021】
第2樹脂下枠見込み板部42は、板状に形成され、板面が略上下方向を向く向きで第1樹脂下枠見込み板部41の鉛直方向の上側に配置されている。第2樹脂下枠見込み板部42は、室内外方向の寸法が第1樹脂下枠見込み板部41と略同じ寸法に設計されている。
第2樹脂下枠見込み板部42は、室内側から室外側に向かって漸次下側(開口部12の外側)に向かうように緩く傾斜していて、室内側よりも室外側の方が第1樹脂下枠見込み板部41に近接している。
【0022】
樹脂下枠外板部43は、板状に形成され、板面が室内外方向を向くように配置されている。樹脂下枠外板部43は、下端部43aが第1樹脂下枠見込み板部41の室外側の端部41aと接続され、上下方向の中間部が第2樹脂下枠見込み板部42の室外側の端部42aと接続され、上部側が第2樹脂下枠見込み板部42よりも上側に突出している。
【0023】
樹脂下枠内板部44は、板状に形成され、板面が室内外方向を向くように配置されている。樹脂下枠内板部44は、下端部44aが第1樹脂下枠見込み板部41の室内側の端部41bと接続され、上下方向の中間部が第2樹脂下枠見込み板部42の室内側の端部42bと接続され、上部側が第2樹脂下枠見込み板部42よりも上側に突出している。
【0024】
樹脂下枠4には、第1樹脂下枠見込み板部41、第2樹脂下枠見込み板部42、樹脂下枠外板部43および樹脂下枠内板部44に囲まれた中空部が形成されている。また、この中空部は、室内外方向に間隔をあけた配置された2つの樹脂下枠見付け板部412,413によって室内外方向に3つに分割されている。
2つの樹脂下枠見付け板部412,413は、それぞれ板状に形成され、板面が室内外方向を向くように配置されている。2つの樹脂下枠見付け板部412,413は、それぞれの下端部412a,413aが第1樹脂下枠見込み板部41の上面と接続され、それぞれの上端部412b,413bが第2樹脂下枠見込み板部42の下面と接続されている。
第1樹脂下枠見込み板部41と第2樹脂下枠見込み板部42との間における2つの樹脂下枠見付け板部412,413の間の空間は、枠芯材25が配置される枠ホロー部S41となっている。
【0025】
第1レール部45および第2レール部46は、それぞれ第2樹脂下枠見込み板部42から上側に突出するレール外板部451と、レール外板部451よりも間隔をあけた室内側において第2樹脂下枠見込み板部42から上側に突出するレール内板部452と、レール外板部451とレール内板部452との間に配置されレール外板部451およびレール内板部452それぞれと接続されたレール中板部453と、を有している。
【0026】
第1レール部45は、レール外板部451が室外側の樹脂下枠見付け板部412の鉛直方向の上側に配置されている。
第2レール部46は、レール内板部452が室内側の樹脂下枠見付け板部413の鉛直方向の上側に配置されている。
【0027】
レール中板部453は、レール外板部451およびレール内板部452それぞれの上下方向の中間部と接続されている。
第1レール部45および第2レール部46には、レール外板部451とレール内板部452との間において第2樹脂下枠見込み板部42とレール中板部453とに挟まれた空部454が形成されている。この空部454は、第1レール部45の長さ方向に延びるレール芯材(不図示)を配置可能に構成されている。
【0028】
第1レール部45および第2レール部46には、レール外板部451とレール内板部452との間で、レール中板部453の上側の部分に、第1レール部45の長さ方向に延びて上方に開口する樹脂下枠溝部(溝部)455が形成されている。樹脂下枠溝部455は、レール中板部453の上面453aが底面となり、レール外板部451の室内側の面451a、およびレール内板部452の室外側の面452aが側面となっている。レール中板部453の上面453aが本発明の溝部の底部に相当し、レール外板部451の室内側の面451a、およびレール内板部452の室外側の面452aが本発明の溝部の側部に相当している。また、後述する第1突起部456および第2突起部457も本発明の溝部の側部に相当している。
第1レール部45と第2レール部46とは、配置されている位置以外は略同じ形態に形成されている。以下では第1レール部45について説明し、第2レール部46については説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、樹脂下枠溝部455には、高さ方向の中間部にレール外板部451の室内側の面451aから室内側に突出する第1突起部456と、レール内板部452の室外側の面452aから室外側に突出する第2突起部457と、が形成されている。第1突起部456と、第2突起部457と、は室内外方向に対称となるように形成されている。
【0030】
第1突起部456の下面456aおよび上面456bは、レール外板部451の室内側の面451aから室内側に延びている。第1突起部456の先端面(室内側の面)456cは、第1突起部456の下面456aの室内側の縁部から上側に延びている。第1突起部456の先端面456cと上面456bとの角部456dは、R形状に形成されている。
レール外板部451の室内側の面451aのうち、第1突起部456の上側の部分451bおよび下側の部分451cは、略鉛直面となるように形成されている。レール外板部451の室内側の面451aと上端面451dとの角部451eは、略直角となるように形成されている。レール外板部451の室内側の面451aとレール中板部453の上面453aとの角部453bは、R形状に形成されている。
【0031】
第2突起部457の下面457aおよび上面457bは、レール内板部452の室外側の面452aから室外側に延びている。第2突起部457の先端面(室外側の面)457cは、第2突起部457の下面457aの室内側の縁部から上側に延びている。第2突起部457の先端面457cと上面457bとの角部457dは、R形状に形成されている。
レール内板部452の室外側の面452aのうち、第2突起部457の上側の部分452bおよび下側の部分452cは、略鉛直面となるように形成されている。レール内板部452の室外側の面452aと上端面452dとの角部452eは、略直角となるように形成されている。レール内板部452の室外側の面452aとレール中板部453の上面453aとの角部453cは、R形状に形成されている。
【0032】
このような樹脂下枠溝部455には、アルミ製やスチール製などの金属製の障子レール6が嵌合するように構成されている。
障子レール6は、左右方向に延びて、室内外方向に対称となる形状に形成されている。
図1および
図5に示すように、障子レール6の左右方向の端部6a,6aは、縦枠23と離間している。
【0033】
図4に戻り、障子レール6は、板面が上下方向を向く平板状の障子レール上板部61と、障子レール上板部61の上部に設けられた障子レール本体62と、障子レール上板部61の室外側の端部から下側に延びる障子レール外板部63と、障子レール上板部61の室内側の端部から下側に延びる障子レール内板部64と、障子レール外板部63の上端部から室外側に突出する第1張出部65と、障子レール内板部64の上端部から室内側に突出する第2張出部66と、障子レール外板部63の下部側から室外側に突出する第1突出部67と、障子レール内板部64の下部側から室内側に突出する第2突出部68と、を有している。
【0034】
障子レール本体62は、上面が上側に突出する曲面に形成されている。障子レール本体62は、上面に沿って障子3の戸車7(
図3参照)が走行するように構成されている。
【0035】
障子レール外板部63の下端面631は、下側に凸となるR形状に形成されている。
障子レール内板部64の下端面641は、下側に凸となるR形状に形成されている。
障子レール外板部63の下端面631と、障子レール内板部64の下端面641とは、同じ高さに配置されている。
【0036】
第1張出部65と第1突出部67とは、高さ方向に離間している。障子レール6には、第1張出部65、第1突出部67および障子レール外板部63に囲まれた第1障子レール溝部6bが形成されている。
第2張出部66と第2突出部68とは、高さ方向に離間している。障子レール6には、第2張出部66、第2突出部68および障子レール内板部64に囲まれた第2障子レール溝部6cが形成されている。
【0037】
第1張出部65の上面651および第2張出部66の上面661は、障子レール上板部61の上面611と面一に形成されている。
第1張出部65の下面652は、水平面に形成されている。
第1張出部65の室外側の端面653は、上側から下側に向かって漸次室内側に向かうテーパ面に形成されていて、第1張出部65の上面651との連結部分654は、R形状に形成され、第1張出部65の下面652との連結部分655は、R形状に形成されている。
第1突出部67は、上面671が障子レール外板部63から室外側に延び、室外側の面672が上側から下側に向かって漸次室内側に向かうように傾斜して延びている。第1突出部67の上面671と室外側の面672との連結部分673は、R形状に形成されている。第1突出部67の室外側の面672の下端部は、障子レール外板部63の下端面631と接続されている。
【0038】
第2張出部66の下面662は、水平面に形成されている。
第2張出部66の室内側の端面663は、上側から下側に向かって漸次室外側に向かうテーパ面に形成されていて、第2張出部66の上面661との連結部分664は、R形状に形成され、第2張出部66の下面662との連結部分665は、R形状に形成されている。
第2突出部68は、上面681が障子レール内板部64から室内側に延び、室内側の面682が上側から下側に向かって漸次室外側に向かうように傾斜して延びている。第2突出部68の上面681と室内側の面682との連結部分683は、R形状に形成されている。第2突出部68の室内側の面682の下端部は、障子レール内板部64の下端面641と接続されている。
【0039】
障子レール6は、樹脂下枠溝部455に嵌合されている。障子レール6が樹脂下枠溝部455に嵌合されると、障子レール6の第1障子レール溝部6bに樹脂下枠溝部455の第1突起部456が配置され、障子レール6の第2障子レール溝部6cに樹脂下枠溝部455の第2突起部457が配置される。
障子レール6の第1張出部65は、第1突起部456の上側に配置される。障子レール6の第2張出部66は、第2突起部457の上側に配置される。障子レール6の第1突出部67は、第1突起部456の下側に配置される。障子レール6の第2突出部68は、第2突起部457の下側に配置される。
【0040】
このとき、障子レール6の障子レール外板部63の下端面631および障子レール内板部64の下端面641は、樹脂下枠溝部455の底部(レール中板部453の上面453a)と当接している。
障子レール6の第1張出部65は、室外側の端面653と上面651との連結部分654でR形状の部分がレール外板部451の上端部と当接している。障子レール6の第2張出部66は、室内側の端面663と上面661との連結部分664でR形状の部分がレール内板部452の上端部と当接している。
【0041】
第1突起部456の下面456a、上面456bおよび先端面456cそれぞれと、第1障子レール溝部6bの内周面との間には、隙間d1が形成されている。すなわち、第1突起部456の下面456a、上面456bおよび先端面456cそれぞれと、第1障子レール溝部6bの内周面とは離間している。
第2突起部457の下面457a、上面457bおよび先端面457cそれぞれと、第2障子レール溝部6cの内周面との間には、隙間d2が形成されている。すなわち、第2突起部457の下面457a、上面457bおよび先端面457cそれぞれと、第2障子レール溝部6cの内周面とは離間している。
【0042】
障子レール6の第1張出部65の上面651および第2張出部66の上面661は、障子レール外板部63の上端面および障子レール内板部64の上端面と略同じ高さに配置されている。障子レール6の障子レール本体62は、第1レール部45よりも上側に突出している。
【0043】
障子レール6を樹脂下枠溝部455に嵌合させるには、障子レール6を樹脂下枠溝部455の上部に配置し、障子レール6を樹脂下枠溝部455に押し入れる。
障子レール6を樹脂下枠溝部455に押し入れると、障子レール6の第1突出部67の室外側の面672が樹脂下枠溝部455の第1突起部456の角部456dに当接し、障子レール6の第2突出部68の室内側の面682が樹脂下枠溝部455の第2突起部457の角部457dと当接する。
【0044】
第1突起部456の角部456dおよび第2突起部457の角部457dがR形状であるとともに、第1突出部67の室外側の面672および第2突出部68の室内側の面682が傾斜面である。このため、第1突起部456の角部456dと第1突出部67の室外側の面672とが滑るようにして第1突出部67が内側に弾性変形し、第2突起部457の角部457dと第2突出部68の室内側の面682とが滑るようにして第2突出部68が内側に弾性変形する。これにより、第1突出部67および第2突出部68が第1突起部456および第2突起部457の下側に入り込み、障子レール6が樹脂下枠溝部455に嵌合する。
【0045】
図1に戻り、一対の障子3,3は、室外側に配置される外障子3Aと、室内側に配置される内障子3Bと、から構成されている。
框体31は、左右方向に延びる上框33および下框34と、上下方向に延びて上框33の両端部と下框34の両端部と連結された戸先框(縦框)35および召合せ框(縦框)36と、を有している。
上框33、下框34、戸先框35および召合せ框36は、それぞれ長さ方向に延びる合成樹脂製の樹脂框37と、それぞれ長さ方向に延びる金属製の框芯材38と、を有している。
【0046】
上框33、下框34、戸先框35および召合せ框36それぞれの樹脂框37は、互いに同じ断面に形成されている。
樹脂框37は、内部に長さ方向全体にわたって中空部(框ホロー部S1とする)が形成されている。樹脂框37は、長さ方向の端部37a,37aがそれぞれ斜め45°に切断されている。
框芯材38は、樹脂框37の框ホロー部に挿入配置されている。框芯材38は、樹脂框37よりも長さ方向に若干短く形成されている。框芯材38の長さ方向の端部は、樹脂框37の長さ方向の端部37a,37aよりも長さ方向の中央側となるように配置されている。
【0047】
図2に示すように、上框33および下框34の樹脂框37と、戸先框35および召合せ框36の樹脂框37とは、互いの端部37a,37aを突き合わせて90°を成すようにして溶着されている。
上框33の框芯材38と、戸先框35および召合せ框36の框芯材38とは、直接連結されておらず連結金具(不図示)を介して連結されている。下框34の框芯材38と、戸先框35および召合せ框36の框芯材38とは、直接連結されておらず連結金具(不図示)を介して連結されている。
下框34には、長さ方向(左右方向)の両端部近傍それぞれに、下枠22に沿って左右方向に走行可能な戸車7,7(
図3参照)が取り付けられている。
【0048】
次に、上述した本実施形態による建具1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による建具1では、第1突起部456の下面456a、上面456bおよび先端面456cそれぞれと、第1障子レール溝部6bの内周面との間には、隙間d1が形成されている。また、第2突起部457の下面457a、上面457bおよび先端面457cそれぞれと、第2障子レール溝部6cの内周面との間には、隙間d2が形成されている。
これにより、障子3の開閉によって障子レール6が樹脂下枠4に対して上下および水平方向に動いても、樹脂下枠4の第1突起部456と第1障子レール溝部6bの内周面とが擦れることがないとともに、樹脂下枠4の第2突起部457と第2障子レール溝部6cの内周面とが擦れることがないため、障子3の開閉時に異音が生じることを防止することができる。
また、第1突起部456および第2突起部457や第1障子レール溝部6bおよび第2障子レール溝部6cの寸法にバラツキが生じた場合でも、第1突起部456の下面456a、上面456bおよび先端面456cそれぞれと、第1障子レール溝部6bの内周面との間の隙間d1、第2突起部457の下面457a、上面457bおよび先端面457cそれぞれと、第2障子レール溝部6cの内周面との間の隙間d2によって寸法のバラツキを吸収することができる。
【0049】
また、樹脂下枠溝部455には、高さ方向の中間部に樹脂下枠溝部455の内側に突出する第1突起部456および第2突起部457が形成され、第1突起部456および第2突起部457の下側に障子レール6の第1突出部67および第2突出部68が配置されている。これにより、第1突起部456および第2突起部457によって障子レール6が樹脂下枠溝部455から抜け出ることを防止することができる。
【0050】
また、障子レール6は、第1張出部65および第2張出部66が形成され、第1張出部65および第2張出部66は、それぞれ先端面がテーパ形状に形成され、先端面と上端部との連結部分がR形状に形成されている。
第1張出部65および第2張出部66がそれぞれ樹脂下枠4の上端部と接触することにより、障子レール6を樹脂下枠4に対して安定した状態に取り付けることができる。また第1張出部65および第2張出部66におけるR形状の部分が樹脂下枠4の上端部と接触することにより、第1張出部65および第2張出部66と樹脂下枠4の上端部とが例えば、点接触や面接触するため、互いの接点を少なくすることができ、互いに擦れた場合でも異音が生じることを抑えることができる。
【0051】
また、障子レール6の障子レール外板部63の下端面631および障子レール内板部64の下端面641は、樹脂下枠溝部455の底部(レール中板部453の上面453a)と当接していることにより、障子レール6を樹脂下枠4に対して安定した状態に取り付けることができる。
【0052】
また、障子レール6は、枠体2の縦枠23と離間するように設けられている。樹脂製の下枠22と縦枠23とが溶着されていると、下枠22と縦枠23との境界部分にばりが生じることがある。本発明では、障子レール6は、枠体2の縦枠23と離間するように設けられていることにより、下枠22と縦枠23との境界部分にばりが生じた場合でも、樹脂下枠4に障子レール6を取り付けることができる。
【0053】
以上、本発明による建具1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、建具1は引違サッシであるが、障子レール6に沿って障子3が移動する形態であれば、引違サッシ以外のサッシであってもよい。
【0054】
また、上記の実施形態では、障子レール6の障子レール外板部63の下端面631および障子レール内板部64の下端面641は、R形状に形成され、樹脂下枠溝部455の底部(レール中板部453の上面453a)と線接触しているが、
図6に示す建具1Bの障子レール6のように、障子レール外板部63Bの下端部631B、および障子レール内板部64Bの下端部641Bが平面状に形成され、樹脂下枠溝部455の底部(レール中板部453の上面453a)と面接触していてもよい。
また、障子レール6の障子レール外板部63の下端面631および障子レール内板部64の下端面641が、樹脂下枠溝部455の底部と離間していてもよい。
【0055】
また、上記の実施形態では、第1突起部456が第1障子レール溝部6bに配置され、第2突起部457が第2障子レール溝部6cに配置されるように構成されているが、第1突起部456および第2突起部457が樹脂下枠4に形成されていなくてもよく、第1障子レール溝部6bおよび第2障子レール溝部6cが障子レール6に形成されていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、第1突起部456および第2突起部457の下側に障子レール6の第1突出部67および第2突出部68が配置される構成であるが、このような構成でなくてもよい。
【0056】
また、上記の実施形態では、障子レール6には、第1張出部65および第2張出部66が形成され、第1張出部65および第2張出部66は、それぞれ先端面がテーパ形状に形成され、先端面と上端部との連結部分がR形状に形成されている。これに対し、障子レール6には、第1張出部65および第2張出部66が形成されていなくてもよい。また、第1張出部65および第2張出部66の先端面がテーパ状以外の形状に形成されていてもよいし、先端面と上端部との連結部分がR形状以外の形状に形成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、障子レール6は、枠体2の縦枠23と離間するように設けられているが、縦枠23と接触した状態に設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、建具1として障子3および枠体2が樹脂製であるものを例示したが、本発明の建具は、樹脂製であるものに限られず障子や枠が金属製、金属と樹脂の複合となっているものでも良い。例えば、本発明の建具には、上記の実施形態における樹脂下枠(枠本体)4に代わって、金属製や金属と樹脂との複合の枠本体が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 建具
2 枠体
3 障子
4 樹脂下枠(枠本体)
6,6B 障子レール
6b 第1障子レール溝部(障子レールの側部)
6c 第2障子レール溝部(障子レールの側部)
7 戸車
22 下枠
23 縦枠
65 第1張出部(張出部)
66 第2張出部(張出部)
451a 室内側の面(溝部の側部)
452a 室外側の面(溝部の側部)
453a 上面(溝部の底部)
455 樹脂下枠溝部(溝部)
456 第1突起部(突起部、溝部の側部)
457 第2突起部(突起部、溝部の側部)
d1,d2 隙間