(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】筆記具用クリップ構造
(51)【国際特許分類】
B43K 25/02 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
B43K25/02 130
B43K25/02 160
(21)【出願番号】P 2017240360
(22)【出願日】2017-12-15
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 裕二郎
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-014493(JP,A)
【文献】特開2007-253547(JP,A)
【文献】特開平08-258488(JP,A)
【文献】実開平06-003692(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリップ本体における支点部よりも後側部分が付勢部材の付勢力に抗して軸筒側へ押動されることで、同クリップ本体における支点部よりも前側へ延設された前側延設部が軸筒外周面から引き離されるようにした筆記具用クリップ構造において、
前記クリップ本体の前記前側延設部の裏面には軸筒側へ突出する
複数の玉部が設けられ、
これら複数の玉部は、前記前側延設部における前後方向の中央部よりも後側に位置し
、
前記軸筒外周面には、前記複数の玉部の各々に嵌り合う凹部が設けられていることを特徴とする筆記具用クリップ構造。
【請求項2】
クリップ本体における支点部よりも後側部分が付勢部材の付勢力に抗して軸筒側へ押動されることで、同クリップ本体における支点部よりも前側へ延設された前側延設部が軸筒外周面から引き離されるようにした筆記具用クリップ構造において、
前記クリップ本体の前記前側延設部の裏面には軸筒側へ突出する複数の玉部が設けられ、これら複数の玉部には、前記前側延設部における前後方向の中央部よりも後側に位置する玉部と、この玉部よりも前側に位置する玉部とが含まれ
、
前記軸筒外周面には、前記複数の玉部の各々に嵌り合う凹部が設けられていることを特徴とする筆記具用クリップ構造。
【請求項3】
前記玉部の突端に、軸筒外周面に沿う凹曲面部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用クリップ構造。
【請求項4】
前記玉部は、前記前側延設部の裏面から後方斜め軸筒側へ延設されたガイド傾斜面と、前記ガイド傾斜面の後端部から前記前側延設部の裏面まで延設された掛止面とを有し、
前記掛止面は、前記前側延設部の裏面から直角に突出する面、又は前記前側延設部の裏面から後方斜め軸筒側へ傾斜する面であることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の筆記具用クリップ構造。
【請求項5】
前記複数の玉部のうち、前側に位置する玉部は、その後側に位置する玉部よりも、前記クリップ本体の裏面からの突出高さが大きいことを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の筆記具用クリップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具の軸筒外周側にクリップ本体を装着するようにした筆記具用クリップ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、クリップ本体における支点部よりも後側部分が付勢部材の付勢力に抗して軸筒側へ押動されることで、同クリップ本体における支点部よりも前側の部分が軸筒外周面から引き離されるようにした開閉操作機能付きの筆記具用クリップがある。
特に、特許文献1には、クリップ本体の前端側に設けられる二つの玉部や、これら複数の玉部に嵌り合う軸筒側の逃がし凹部等の記載があり、これらの構成によって、クリップ本体と軸筒の間に挟み込まれた被挟持物が外れ難くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においても、例えば、運送業者の運搬員等が肩のポケットに筆記具を掛けて作業する場合には、運搬員の激しい動きや、運搬物との接触等に起因して、筆記具がポケットから外れてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
クリップ本体における支点部よりも後側部分が付勢部材の付勢力に抗して軸筒側へ押動されることで、同クリップ本体における支点部よりも前側へ延設された前側延設部が軸筒外周面から引き離されるようにした筆記具用クリップ構造において、前記クリップ本体の前記前側延設部の裏面には軸筒側へ突出する複数の玉部が設けられ、これら複数の玉部は、前記前側延設部における前後方向の中央部よりも後側に位置し、前記軸筒外周面には、前記複数の玉部の各々に嵌り合う凹部が設けられていることを特徴とする筆記具用クリップ構造。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、クリップ付き筆記具を、被挟持物に対し、より強固に掛止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る筆記具用クリップ構造の一例を備えた筆記具を示す側面図である。
【
図2】同筆記具用クリップ構造を拡大して示す側面図であり、要部を断面で示している。
【
図3】
図2における(III)-(III)線に沿う切断端面図であり、軸筒内の構造を省略している。
【
図5】本発明に係る筆記具用クリップ構造の他例を示す側面図であり、要部を断面で示している。
【
図6】
図5の筆記具用クリップ構造において、被挟持物を挟んだ状態を示す側面図であり、要部を断面で示している。
【
図7】本発明に係る筆記具用クリップ構造の他例を示す側面図であり要部を断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴として、クリップ本体における支点部よりも後側部分が付勢部材の付勢力に抗して軸筒側へ押動されることで、同クリップ本体における支点部よりも前側へ延設された前側延設部が軸筒外周面から引き離されるようにした筆記具用クリップ構造において、前記クリップ本体の前記前側延設部の裏面には軸筒側へ突出する玉部が設けられ、この玉部は、前記前側延設部における前後方向の中央部よりも後側に位置している。
【0009】
第2の特徴として、クリップ本体における支点部よりも後側部分が付勢部材の付勢力に抗して軸筒側へ押動されることで、同クリップ本体における支点部よりも前側へ延設された前側延設部が軸筒外周面から引き離されるようにした筆記具用クリップ構造において、前記クリップ本体の前記前側延設部の裏面には軸筒側へ突出する複数の玉部が設けられ、これら複数の玉部には、前記前側延設部における前後方向の中央部よりも後側に位置する玉部と、この玉部よりも前側に位置する玉部とが含まれる。
【0010】
第3の特徴として、前記玉部の突端に、軸筒外周面に沿う凹曲面部を有する(
図3参照)。
【0011】
第4の特徴として、前記玉部は、前記前側延設部の裏面から後方斜め軸筒側へ延設されたガイド傾斜面と、前記ガイド傾斜面の後端部から前記前側延設部の裏面まで延設された掛止面とを有し、前記掛止面は、前記前側延設部の裏面から直角に突出する面、又は前記前側延設部の裏面から後方斜め軸筒側へ傾斜する面である。
【0012】
第5の特徴として、前記複数の玉部のうち、前側に位置する玉部は、その後側に位置する玉部よりも、前記クリップ本体の裏面からの突出高さが大きい(
図5及び
図6参照)。
【0013】
第6の特徴として、軸筒外周面には、前記複数の玉部の各々に嵌り合う凹部が設けられている(
図7参照)。
【0014】
なお、後述する実施態様では、以下の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
クリップ本体における支点部よりも後側部分が付勢部材の付勢力に抗して軸筒側へ押動されることで、同クリップ本体における支点部よりも前側へ延設された前側延設部が軸筒外周面から引き離されるようにした筆記具用クリップ構造において、前記クリップ本体の前記前側延設部の裏面には軸筒側へ突出する複数の玉部が設けられ、前記複数の玉部のうち、前側に位置する玉部は、その後側に位置する玉部よりも、前記クリップ本体の裏面からの突出高さが大きいことを特徴とする筆記具用クリップ構造(
図5及び
図6参照)。
この筆記具用クリップ構造によれば、被挟持物を挟持した際に、全ての玉部を略均等に被挟持物に圧接することができ、ひいては、筆記具が被挟持物から外れてしまうのを効果的に防ぐことができる。
【0015】
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。以下に示す実施態様において、「軸筒軸方向」とは、軸筒の軸心(中心線)が延びる方向を意味する。また、「軸筒径方向」とは、前記軸筒軸方向に略直交する方向を意味する。
【0016】
<第1の実施態様>
図1~
図4は、本発明に係る第1の実施態様である筆記具用クリップ構造1を備えた筆記具Aを示す。
この筆記具Aは、クリップ本体30における支点部Pよりも後側部分が付勢部材20の付勢力に抗して軸筒10側へ押動されることで、同クリップ本体30における支点部Pよりも前側の部分(前側延設部30a)を軸筒10の外周面から引き離すように構成された出没式ボールペンである。
なお、図中、符合21は、軸筒10の後端部から後方へ突出するノック部である。また、符合22は、軸筒10内のボールペンリフィールの前端の筆記部であり、ノック部21が前方へ押される操作により軸筒10前端から前方へ突出する。
【0017】
図2に示す軸筒10は、前後端部を開口した長尺筒状の部材であり、例えば、複数の筒状部材を軸方向に接続した態様や、単数の長尺筒体からなる態様とすればよい。
図示例の軸筒10は、その後端側に、クリップ支持部11と、付勢部材係止部12を有する。
【0018】
クリップ支持部11は、軸筒10の後端側外周面から径方向外側へ突出しており、その突端寄りに、後述するクリップ本体30を回動可能に支持する枢支部11aを有する。この枢支部11aは、図示例によれば円筒面に沿う内面を有する凹部であり、クリップ本体30に対し凹凸状に嵌り合って、クリップ本体30を回動させる支点部Pを構成する。
【0019】
付勢部材係止部12は、後述する付勢部材20の挿入し嵌合し係止する有底穴状に形成される。この付勢部材係止部12は、付勢部材20を係止するものであれば、図示例以外の態様とすることが可能である。
【0020】
付勢部材20は、側面視U字状の板バネであり、その一端側を付勢部材係止部12に挿入し係止し、その他端側とクリップ支持部11の間に、クリップ本体30の被枢支部31を挟み込んで、クリップ本体30を閉鎖方向へ付勢している。
【0021】
クリップ本体30は、軸筒10の軸方向に沿う長尺状の部材であり、支点部Pを構成する被枢支部31と、支点部P(枢支部31)よりも後方側に位置する操作片部32と、支点部Pよりも前側に位置する前側延設部30aと、この前側延設部30aの裏面から軸筒10側へ突出する複数の玉部33,34,35とを一体に有している。
【0022】
被枢支部31は、クリップ本体30の支点部Pよりも後側の凹状空間内に設けられる。すなわち、クリップ本体30の後側は、
図2及び
図4等に示すように、軸筒側を開口して前後方向へ延設された凹状に形成され、この凹状の空間内に、後方へ向かう突片状の被枢支部31が設けられる。
この被枢支部31は、軸筒10側へ突出する被枢支突起31aを有する。この被枢支突起31aは、円筒面状の外面を有し、軸筒10側の枢支部11aに嵌り合って支点部Pを構成する。
なお、図中、符合32aは、操作片部32を軸筒径方向へ貫通する孔である。この貫通孔32aは、付勢部材20の組付性を向上している。他例としては、この貫通孔32aを省くことも可能である。
【0023】
操作片部32は、支点部Pよりも後方へ突出して構成される。この操作片部32が、付勢部材20の付勢力に抗する外力により軸筒径方向の内側へ押されて軸筒10外周面に近づくと、前側延設部30aが軸筒10の外周面から径方向外側へ引き離される。
【0024】
前側延設部30aは、支点部Pよりも前側の部分である。この前側延設部30aの裏面は、
図2の一例によれば、軸筒10の外周面に対し略平行に設けられる。
そして、この前側延設部30aの裏面には、その前後方向の中央部X(詳細には枢支部11a前端部分とクリップ本体30最前端部分との間の中央部分)の前後にわたって軸筒側へ突出する複数の玉部33,34,35が設けられる。
【0025】
これら複数の玉部には、前側延設部30aにおける前後方向の中央部Xよりも前側に位置する前側玉部33と、中央部Xに位置する中央玉部34と、中央部Xよりも後側に位置する後側玉部35とが含まれる。
【0026】
これら複数の玉部33,34,35は、何れも同形状である。そして、各玉部33(34又は35)は、前側延設部30aの裏面から後方斜め軸筒10側へ延設されたガイド傾斜面aと、ガイド傾斜面aの後端部から前側延設部30aの裏面まで延設された掛止面bとを有する側面視三角形状に形成される。
また、各玉部33(34又は35)の突端には、
図3に示すように、軸筒外周面に沿う凹曲面部cが設けられる。
【0027】
ガイド傾斜面aは、クリップ本体30と軸筒10の間に、その前方側から被挟持物Mがスムーズに挟み込まれるように、適宜な傾斜角度に形成される。
また、掛止面bは、図示例によれば、前側延設部30aの裏面から軸筒径方向に沿って直角に突出する面であり、クリップ本体30と軸筒10の間に挟み込まれた被挟持物Mが前方へ外れ難くする。この掛止面bの他例としては、前側延設部30aの裏面から後方斜め軸筒側へ傾斜する面(図示せず)としてもよい。
また、凹曲面部cは、
図3に示す一例によれば、軸筒10の外周面と略同じ曲率の凹曲面状に形成される。この凹曲面部cによれば、クリップ本体30と軸筒10外周面との間に、被挟持物Mが軸筒周方向に沿って挟み込まれる。
【0028】
図示例の各玉部33(34又は35)は、
図4に示すように、クリップ幅方向に間隔を置いた二つの三角片部a1,a1と、これら二つの三角片部a1,a1の後端部を接続する垂直片部b1とから構成され、各三角片部a1の前後にガイド傾斜面aと掛止面bを有し、垂直片部b1の突端に凹曲面部cを有する。
なお、各玉部33(34又は35)は、図示例のものに限定されず、例えば、ガイド傾斜面a、掛止面b及び凹曲面部cを有する三角柱状に形成することも可能である。
【0029】
前側玉部33は、
図2に示すように、前側延設部30aの中央部Xよりも前側に所定間隔を置いて複数(図示例によれば3つ)設けられる。
中央玉部34は、中央部Xの近傍に、単数設けられる。
後側玉部35は、中央部Xよりも後側に所定間隔を置いて複数(図示例によれば2つ)設けられる。
これら前側玉部33,34,35の配置間隔は、図示例によれば一定間隔としているが、適宜に異ならせることも可能である。
【0030】
次に上記構成の筆記具A及び筆記具用クリップ構造1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
操作片部32を軸筒10側へ押動する操作により、前側延設部30aの複数の玉部33,34,35と、軸筒10外周面との間に、被挟持物Mが挟み込まれると、複数の玉部33,34,35がそれぞれ被挟持物Mに圧接される。
特に、後寄りに位置する後側玉部35は、その前側の玉部33,34よりも強く被挟持物Mに圧接される。
すなわち、付勢部材20の付勢力による圧接力は、梃子の原理により、支点部Pからの距離が短いほど強く、支点部Pからの距離が長いほど弱い。このため、後側に位置する玉部の方がその前側に位置する玉部よりも強く軸筒10に圧接される。
【0031】
したがって、後側玉部35と軸筒10外周面との間に被挟持物M(例えば肩のポケット等)を挟んだ状態で、運搬員等が、激しく動いた場合や、筆記具Aを運搬物に接触させた場合等でも、筆記具Aが被挟持物Mから抜け難い。
仮に、筆記具Aが抜けかけて後側玉部35が被挟持物Mに接触しなくなった場合でも、後側玉部35よりも前側に位置する前側玉部33及び中央玉部34等が軸筒10との間に被挟持物Mを挟み込むので、筆記具Aが被挟持物Mから完全に脱落してしまうのを防ぐことができる。
【0032】
次に本発明に係る筆記具用クリップ構造の他例について説明する。以下に示す筆記具用クリップ構造は、上述した筆記具用クリップ構造1の一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、略同様に機能する部分については、同一の符合を付けて重複する詳細説明を省略する。
【0033】
<第2の実施態様>
図5及び
図6に示す筆記具用クリップ構造2は、上記筆記具用クリップ構造1における複数の玉部33,34,35を、複数の玉部36に置換してクリップ本体30’を構成している。
【0034】
複数の玉部36のうち、前側に位置する玉部36は、その後側に位置する玉部36よりも、クリップ本体30’の裏面からの突出高さhが大きい。
すなわち、複数の玉部36は、前に位置するものほど突出高さhが大きくなっている。
そして、突出高さhの高さが異なる複数の玉部36は、それぞれ、上述した玉部33,34,35と同様に、ガイド傾斜面a,掛止面b,凹曲面部c等を有する。
【0035】
複数の玉部36は、被挟持物を挟まない状態では、
図5に示すように、最前側の玉部36のみが軸筒10の外周面に接触し、この玉部36よりも後側の玉部36は軸筒10の外周面から離れている。
そして、複数の玉部36は、
図6に示すように、特定の厚みを有する被挟持物M’を挟んだ際に、全ての玉部36の突端が被挟持物M’の表面に接触するように、その突出高さhがそれぞれ設定されている。
被挟持物M’は、比較的厚みが大きいものを想定しており、例えば、運送業者運搬員の作業着のポケット等とする。
【0036】
よって、上記筆記具用クリップ構造2を備えた筆記具によれば、被挟持物M’を挟持した際に、全ての玉部36を略均等に被挟持物M’に圧接させることができ、ひいては、筆記具が被挟持物M’から外れてしまうのを効果的に防ぐことができる。
【0037】
<第3の実施態様>
図7に示す筆記具用クリップ構造3は、上記筆記具用クリップ構造1において、軸筒10を軸筒10’に置換したものである。
軸筒10’は、その外周面に、複数の玉部33,34,35に対しそれぞれ嵌り合う複数の凹部11を有する。
複数の凹部11は、複数の玉部33,34,35と同ピッチとなるように、軸筒軸方向に間隔を置いて設けられる。
【0038】
各凹部11は、対応する玉部33(34又は35)に嵌り合うように、軸筒10’の周方向において部分的に設ければよいが、軸筒10’の全周に設けることも可能である。
各凹部11の底面は、周方向において、各玉部33(34又は35)の凹曲面部cに沿う凸曲面状に形成されている。
【0039】
よって、筆記具用クリップ構造3を備えた筆記具によれば、挟持される被挟持物が、各玉部33(34又は35)と、対応する各凹部11との間に挟まれて、湾曲に撓む。このため、筆記具が被挟持物M’から外れてしまうのを、より効果的に防ぐことができる。
【0040】
なお、上記実施の形態によれば、特に好ましい一例として中央部Xの前後にわたって複数の玉部33,34,35を設けたが、他例としては、中央部Xの前側と後側にそれぞれ単数の玉部を設けた態様や、中央部Xの前側に単数の玉部を設けるとともに同中央部Xの後側には複数の玉部を設けた態様、中央部Xの前側に複数の玉部を設けるとともに同中央部Xの後側には単数の玉部を設けた態様等とすることも可能である。
【0041】
また、上記実施の形態によれば、クリップ本体30(又は30’)を、軸筒(10又は10’)に対し、凹凸状に嵌め合わせて枢支したが、クリップ本体の支持構造は上記したものに限定されず、例えば、軸部材を用いてクリップ本体30を回動させる態様等とすることが可能である。
【0042】
また、上記実施の形態によれば、U字板バネ状の付勢部材20によりクリップ本体30を閉鎖方向へ付勢したが、他例としては、クリップ本体30における支点部Pよりも後側を圧縮コイルバネ状の付勢部材により径方向外側へ付勢する態様や、クリップ本体30における支点部Pよりも前側を引張コイルバネ状の付勢部材により径方向内側へ付勢する態様等とすることも可能である。
【0043】
また、上記筆記具用クリップ構造2(
図5及び
図6参照)によれば、玉部36を中央部Xの前後にわたって複数設けたが、他例としては、中央部Xの前側又は後側のみに突出高さhが前方へゆくにしたがって高くなる突出高さhを設けた態様とすることも可能である。このようにした場合でも、複数の玉部36を略均等に被挟持物に圧接させるという作用効果を得ることができる。
【0044】
また、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
1,2,3:筆記具用クリップ構造
30,30’:クリップ本体
20:付勢部材
10,10’:軸筒
30a:前側延設部
33,34,35,36:玉部
A:筆記具
P:支点部
M,M’;被挟持物
X:中央部
a:ガイド傾斜面
b:掛止面
c:凹曲面部
h:突出高さ