(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】CT撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20220311BHJP
G06T 15/08 20110101ALI20220311BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220311BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220311BHJP
【FI】
G01N23/046
G06T15/08
G06T19/00 A
G06T7/00 612
(21)【出願番号】P 2018042816
(22)【出願日】2018-03-09
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】長野 雅実
(72)【発明者】
【氏名】大門 弘典
(72)【発明者】
【氏名】栗原 則和
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-134528(JP,A)
【文献】特開2011-220982(JP,A)
【文献】特開2008-170303(JP,A)
【文献】特開平02-205986(JP,A)
【文献】特開2001-149366(JP,A)
【文献】特開2008-304422(JP,A)
【文献】特開2015-188574(JP,A)
【文献】国際公開第2004/095378(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0141249(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - A61B 6/14
G01N 23/00 - G01N 23/2276
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 5/50
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06T 9/00 - G06T 9/40
G06T 11/60 - G06T 13/80
G06T 17/05
G06T 19/00 - G06T 19/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する載置台と、
前記被検体を透過するビームを前記被検体に照射して、前記被検体の透過像を出力する撮像部と、
前記ビームの照射中、前記撮像部と前記載置台とを相対的に回転させる回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転により得られた各方向の前記透過像からボリュームデータを再構成する再構成部と、
前記ボリュームデータに基づいて位置指定用画像を作成する位置指定用画像作成部と、
前記位置指定用画像を表示する表示部と、
前記位置指定用画像にユーザが設定したROIを重畳させて前記表示部に表示させるROI設定部と、
ユーザによる入力を受け付ける入力部と、
を備え、
前記入力部は、被検体の断面の入力を受け付け、
前記位置指定用画像作成部は、前記ボリュームデータと前記入力部で入力された前記断面に基づき、前記被検体の投影像に対して前記断面を強調した
前記位置指定用画像を作成
し、
前記入力部は、更に、前記位置指定用画像にROIの設定を受け付けること、
を特徴とするCT撮影装置。
【請求項2】
前記位置指定用画像作成部は、
前記ボリュームデータから前記被検体の投影像を生成するとともに、前記ボリュームデータから前記断面の内部構造の輪郭を抽出し、当該投影像と前記輪郭とを重畳した前記位置指定用画像を作成すること、
を特徴とする請求項1に記載のCT撮影装置。
【請求項3】
前記位置指定用画像作成部は、
前記ボリュームデータから前記被検体の投影像を生成するとともに、前記ボリュームデータから前記断面の断面像を生成し、当該投影像と当該断面像を重畳した前記位置指定用画像を作成すること、
を特徴とする請求項1に記載のCT撮影装置。
【請求項4】
前記位置指定用画像作成部は、前記ユーザが着目したい断面の重みづけを変えて、前記位置指定用画像である投影像を作成すること、
を特徴とする請求項1に記載のCT撮影装置。
【請求項5】
前記撮像部と前記被検体との位置関係を相対的に変更させる移動機
構を備え、
前記入力部は、前記ROIの設定を受け付けるとともに、前記移動機構の操作と再撮影の操作を受け付け、
前記撮像部は、前記再撮影の操作に応じて、前記移動機構により相対的に移動した前記被検体に前記ビームを照射して前記透過像を出力し、
前記再構成部は、前記再撮影の度に新たなボリュームデータを再構成し、
前記位置指定用画像作成部は、前記再撮影の操作の度に新たな前記位置指定用画像を作成し、
前記ROI設定部は、前記ROIと前記位置指定用画像との位置及びサイズの関係を維持するように、前記移動機構の操作に応じて前記ROIの位置及びサイズを変更して前記新たな位置指定用画像に重畳させ、前記表示部に表示させること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のCT撮影装置。
【請求項6】
前記撮像部と前記被検体との位置関係を相対的に変更させる移動機構
と、
前記ROIと前記撮像部の有効視野に基づき、前記撮像部と前記被検体との間の移動量を計算する移動量計算部と、
を備え、
前記移動機構は、前記移動量計算部により計算された前記移動量に基づいて前記撮像部と前記被検体との位置関係を相対的に変更させること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のCT撮影装置。
【請求項7】
前記撮像部と前記被検体との位置関係を相対的に変更させる移動機
構を備え、
前記入力部は、前記ROIの設定を受け付けるとともに、前記移動機構の操作と再撮影の操作を受け付け、
前記撮像部は、前記再撮影の操作の度に、又は前記再撮影の操作の後に連続的に、前記移動機構により移動した前記被検体に前記ビームを照射して前記透過像を出力し、
前記ROI設定部は、前記入力部によって設定された前記ROIの位置及びサイズを維持するように、前記移動機構の操作に応じて前記ROIの位置及びサイズを変更して前記透過像に重畳させ、前記表示部に表示させること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のCT撮影装置。
【請求項8】
前記撮像部は、
前記ビームを前記被検体に照射する照射源と、
前記被検体を透過した前記ビームを検出し、前記透過像を出力する検出器と、
を有し、
前記移動機構は、前記被検体と前記照射源、及び前記被検体と前記検出器との相対的な位置関係を変更させること、
を特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載のCT撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、小型電子部品等を高分解能で検査するための産業用のCT撮影装置が広く使用されている。このCT撮影装置は、照射源と、照射源のX線ビームを2次元の分解能で検出する検出器が対向して配置される。この検出器は、このX線ビーム中の被検体の透過像を検出する。断面像を撮影する場合は、回転テーブル上の被検体を1回転させながら多数の透過像を検出する。この多数の透過像をデータ処理して被検体の断面像を得て、表示部に表示する。回転テーブルおよび検出器はシフト機構によりX線管に近づけたり遠ざけたりされ、撮影距離FCDと検出距離FDDが変更でき、目的に応じて撮影倍率(=FDD/FCD)を変え得る。
【0003】
従来の高分解能型CT装置では、X線ビームの検出可能な範囲である有効視野内に被検体が収まるよう回転テーブル上に目測で被検体を固定していた。しかし、高分解能を追求すると撮像領域が小さくなるため、被検体を有効視野内に収めることが難しかった。特に、ユーザが撮影したい被検体の関心領域(ROI)のみを有効視野いっぱいに拡大して良質の画像を得るためには、何度も被検体の位置を修正し、固定し直す必要があった。
【0004】
そこで、CT撮影で得られた断面像又は投影像上でROIを設定し、そのROI内の領域が有効視野と合うように、被検体を自動移動させる技術が知られている。この自動移動技術は、移動量と画素数との関係を予め記憶しておき、ROIが有効視野に収まるための移動量と撮影倍率を計算するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ROI設定のために断面像を表示した場合、ユーザは着目したい箇所にROIを設定することは可能であるが、一方で、被検体の全体像を把握しながらROIを設定することはできなくなる。そうすると、着目したい箇所が有効視野からはみ出る恐れがある。一方、ROI設定のために投影像を位置指定用画像として表示した場合、投影像には投影方向の情報がすべて含まれるため、被検体の全体像を把握しながらROIを設定することができるが、着目したい箇所を投影像から判断することは難しい。
【0007】
本実施形態は、上記課題を解決すべく、被検体の全体像と着目したい箇所を同時に把握することができるCT撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本実施形態に係るCT撮影装置は、被検体を載置する載置台と、前記被検体を透過するビームを前記被検体に照射して、前記被検体の透過像を出力する撮像部と、前記ビームの照射中、前記撮像部と前記載置台とを相対的に回転させる回転テーブルと、前記回転テーブルの回転により得られた各方向の前記透過像からボリュームデータを再構成する再構成部と、前記ボリュームデータに基づいて位置指定用画像を作成する位置指定用画像作成部と、前記位置指定用画像を表示する表示部と、ユーザによる入力を受け付ける入力部と、を備え、前記入力部は、被検体の断面の入力を受け付け、前記位置指定用画像作成部は、前記ボリュームデータと前記入力部で入力された前記断面に基づき、前記被検体の投影像に対して前記断面を強調した位置指定用画像を作成すること、を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係るCT撮影装置の構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態の処理工程を示すフローチャートである。
【
図4】着目したい断面を選択する画面の模式図である。
【
図5】ボリュームデータから輪郭を抽出する模式図である。
【
図7】表示部に表示した位置指定用画像の模式図である。
【
図9】第2の実施形態の処理工程を示すフローチャートである。
【
図10】表示部に表示した位置指定用画像の模式図である。
【
図11】第3の実施形態の位置指定用画像の作成工程を示す模式図である。
【
図12】第3の実施形態の処理工程を示すフローチャートである。
【
図13】表示部に表示した位置指定用画像の模式図である。
【
図14】第4の実施形態に係る処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図15】ROIを重畳させた位置指定用画像の模式図である。
【
図16】第4の実施形態におけるCT撮影装置の動作手順を示すフローチャートである。
【
図17】第5の実施形態に係る処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図18】第5の実施形態の移動量計算部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係るCT撮影装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係るCT撮影装置1の全体構成を示す図である。CT撮影装置1は、被検体10周りに当該被検体10を透過するビームを照射し、複数ビュー数の透過像からボリュームデータを作成し、更にボリュームデータから被検体10の断面像を作成することで、断面像により被検体10の非破壊検査に供する装置である。透過像は、被検体10の透過過程で減弱したビーム強度の二次元分布データである。ボリュームデータは、基準に対して被検体10の組織密度を相対的に表現したCT値の3次元分布である。断面像は、被検体10の断面の画像である。
【0012】
このCT撮影装置1は、断面像を作成するための本撮影の前に、被検体10の試し撮影を行う。そして、CT撮影装置1は、試し撮影によって、被検体10の位置決めの際に参照される位置指定用画像17を作成する。位置指定用画像17は、被検体10の全体像においてユーザが着目したい断面を強調した画像である。ユーザは、位置指定用画像17を参照して被検体10を移動させ、被検体10又は被検体10の関心領域(ROI)を有効視野(FOV)に収める。有効視野は、ビームの検出可能な範囲である。
【0013】
このCT撮影装置1は、撮像部2、載置台3、回転テーブル6、移動機構7及び処理装置20を備えている。撮像部2は照射源4及び検出器5を有する。処理装置20には、入力部15と表示部16が備え付けられている。
【0014】
照射源4は、例えば、被検体10を透過するビームとしてX線ビーム21を照射する。X線ビーム21は、照射源4の焦点Fを頂点とし、ファン角及びコーン角を有して角錐状に拡がる。この照射源4は、例えば、反射型又は透過型のマイクロフォーカスX線管又はナノフォーカスX線管である。X線管は、フィラメント側の陰極とターゲット側の陽極とを対向に配置し、電圧を印加する。そうすると、フィラメントから電子が放出され、電子はターゲットに向かって加速し、ターゲットに衝突する。この衝突時に、X線が放射される。尚、被検体10を透過するビームとしては、X線に限らない。照射源4は、被検体10を透過するビームとして、例えば、γ線、超音波、マイクロ波などを照射するようにしてもよい。
【0015】
検出器5は、照射源4の焦点Fと対向して配置される。検出器5は、イメージインテンシファイア(I.I.)とカメラにより構成される。この検出器5は、被検体10を透過したX線ビーム21を検出して被検体10の透過像を出力する。この検出器5は、例えば、フラットパネルディテクタ(FPD)であってもよい。
【0016】
載置台3は、照射源4と検出器5の間に配置され、被検体10が載置される。載置台3は、被検体10を載置する載置面を有する。載置面は、照射源4が照射するビームの光軸8と平行な平坦面である。
【0017】
回転テーブル6は、載置台3の下方に設けられ、載置台3を回転軸9周りで回転させる。回転軸9は、載置面と直交する方向に延び、回転の中心となる軸である。この回転テーブル6は、例えば、モータとシャフトを有する。シャフトは、回転軸9と一致して延び、載置台3を軸支し、モータの回転により回転軸9を回転させる。この回転テーブル6は、被検体10にX線ビーム21を照射している間、回転軸9を中心に、載置台3を360度回転させる。
【0018】
尚、回転テーブル6は載置台3を360度、即ち、1回転させたが、これに限定されない。1回転より小さいハーフスキャンでもよいし、1回転より大きいオーバースキャンでもよい。また、回転テーブル6を用いて被検体10を回転させているが、これに限定するものではない。照射源4及び検出器5を回転軸9周りで回転させることで被検体10を撮影してもよい。
【0019】
移動機構7は、XY機構7a、昇降機構7b及びシフト機構7cを備え、被検体10、照射源4及び検出器5を移動させる。この移動機構7は、例えばボールネジ機構で構成される。ボールネジ機構は、位置固定のモータと、モータにより回転するシャフトと、シャフトと螺合して載置台3、照射源4及び検出器5と連結されたスライダとで構成される。
【0020】
XY機構7aは、回転テーブル6の上面に配置される。このXY機構7aは、被検体10を載置する。即ち、XY機構7aは、被検体10を載置する平坦面を有し、載置台3ともなっている。また、XY機構7aは、載置された被検体10をX軸方向及びY軸方向に移動させる。X軸方向は、照射源4が照射するX線ビーム21の光軸8と平行な方向であり、Y軸方向は被検体10の載置面と平行でX軸方向と直交する方向である。昇降機構7bは、載置台3をZ軸方向に移動させる。Z軸方向は、回転テーブル6の回転軸9方向と平行方向、即ち、X軸方向とY軸方向と直交する方向である。XY機構7a及び昇降機構7bが被検体10をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させることで、被検体10又は被検体10内の関心領域を有効視野内に合わせることができる。
【0021】
シフト機構7cは、照射源4と検出器5を、X線ビーム21の光軸8、即ち、X軸方向に沿って移動させる。シフト機構7cは、照射源4を移動させ、照射源4の焦点Fから回転テーブル6の回転軸9までの距離である撮影距離FCDを変更する。また、シフト機構7cは、検出器5を移動させ、照射源4の焦点Fから検出器5までの距離である検出距離FDDを変更する。シフト機構7cが照射源4及び検出器5を移動させることで、FCD値及びFDD値を変更することができ、撮影倍率(=FDD/FCD)を変更することができる。
【0022】
処理装置20は、XY機構7a、昇降機構7b及びシフト機構7cと信号を送受信可能に接続され、XY機構7a、昇降機構7b及びシフト機構7cに指令を与える制御装置である。即ち、処理装置20は、移動信号をXY機構7a、昇降機構7b及びシフト機構7cに出力し、XY機構7a、昇降機構7b及びシフト機構7cは、移動信号に従って載置台3、照射源4及び検出器5を移動させる。尚、XY機構7aは、スリップリング7dと接続され、スリップリング7dを介して処理装置20から移動信号が送られる。
【0023】
また、処理装置20は、本撮影時、検出器5が出力した透過像から投影像及び断面像を作成するデータ処理装置である。ユーザは、被検体10又は関心領域を有効視野に合わせるために移動機構7によって載置台3、照射源4及び検出器5を移動させる。そのため、処理装置20は、本撮影前の試し撮影時、位置決めの際に参照される位置指定用画像17を作成する。
【0024】
この処理装置20は、所謂コンピュータであり、プログラムに従って命令を実行するCPU、プログラムが展開され、また、命令の実行結果や処理データを記憶するメモリ、プログラムを記憶するストレージ、照射源4、検出器5及び移動機構7と信号及びデータを入出力する入出力インターフェースから構成される。入力部15は、ユーザが着目したい被検体の断面の入力を受け付ける。この入力部15は、例えば、キーボード、マウス又はこれら両方である。この入力部15は、本撮影又は試し撮影のメニュー選択、撮影条件の設定、移動機構の手動操作、透過像の動画表示、撮影の開始、断面像、投影像及び位置指定用画像17の表示などの操作も受け付ける。表示部16は、位置指定用画像17を表示する。この表示部16は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0025】
図2は、プログラム処理による処理装置20の内部構成を示す図である。
図2に示すように、処理装置20は、再構成部11及び位置指定用画像作成部12を有する。再構成部11は、被検体10が360度から撮影され、検出器5が検出した各角度の透過像からボリュームデータを再構成する。この再構成部11は、例えばFeldKampのフィルタ補正逆投影法又はART(Algebraic Reconstruction Technique)の逐次近似法などを使用する。
【0026】
位置指定用画像作成部12は、試し撮影時に再構成部11が作成したボリュームデータ、及び入力部15を用いて入力されたユーザが注目したい断面から、ユーザが着目したい断面を投影像上で強調した位置指定用画像17を作成する。
図3は、この位置指定用画像作成部12の動作を示すフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、まず、ユーザは、試し撮影(1回目のスキャン)をするため、被検体10を載置台3の上に載置し、管電圧、管電流、積分時間、ビュー数などの撮影条件を設定し、試し撮影開始を入力する(ステップS01)。積分時間は、1透過像を検出する時間であり、ビュー数は、回転中の透過像の収集数である。この1回目のスキャンは、試し撮影であるため、積分時間及びビュー数は、撮影時間が短くなるように設定するとよい。また、被検体10が確実に有効領域内に入るように撮影倍率(=FDD/FCD)は小さく設定するとよい。
【0028】
回転テーブル6は、ユーザが試し撮影を開始させると回転し、被検体10はX線ビーム21内で回転し、検出器5は、1回転した被検体10の各方向の透過像をビュー数分検出する(ステップS02)。検出器5は、各方向の透過像を再構成部11に出力する(ステップS03)。再構成部11は、検出器5から送られてきた透過像から、ボリュームデータを再構成する(ステップS04)。
【0029】
位置指定用画像作成部12は、ボリュームデータから3面の投影像19(
図4参照)を作成し、表示部16に表示させる(ステップS05)。ユーザは、表示された投影像19から、入力部15を用いて、着目したい断面を選択する(ステップS06)。尚、ユーザが選択する他、光軸8が通る平面を着目したい断面としてもよい。
【0030】
図4は、ユーザが着目したい断面を選択する画面の模式図である。位置指定用画像作成部12は、ボリュームデータをXY平面、XZ平面及びYZ平面に投影し、3面の投影像19を作成する。表示部16は、この3面の投影像19を並べて表示する。表示部16は、投影像19の表示画面に、入力部15によって操作されるカーソルも表示しておく。ユーザは、入力部15を用いて、表示されている投影像19の着目したい断面にカーソルを合わせクリックする。位置指定用画像作成部12は、クリックされた箇所に選択断面22を表示させる。ユーザが選択断面22を再度クリックすると、位置指定用画像作成部12は、選択断面22を着目したい断面として確定する。
【0031】
ユーザが着目したい断面を選択すると、位置指定用画像作成部12は、選択断面22に含まれる内部構造の輪郭18(
図5参照)を生成する(ステップS07)。
図5は、位置指定用画像作成部12による輪郭18の生成過程を示す模式図である。
図5の(a)に示すように選択断面22が確定すると、
図5の(b)に示すように、位置指定用画像作成部12は、選択断面22に並ぶCT値をボリュームデータの中から抽出する。そして、位置指定用画像12は、
図5の(c)に示すように、抽出したCT値を二次元状に並べることで、断面像23を作成する。
図5の(d)に示すように、位置指定用画像作成部12は、作成した断面像23を例えば2値化して内部構造の輪郭線を検出し、輪郭18とする。
【0032】
位置指定用画像作成部12は、輪郭18と投影像19とから位置指定用画像17を作成する(ステップS08)。
図6は、位置指定用画像17の模式図である。位置指定用画像作成部12は、ステップS05で作成した投影像19にステップS07で抽出した輪郭18を重畳させる。即ち、投影像19上に断面像23を合成する。例えば、抽出した輪郭18の位置座標に対応する投影像19の位置座標に、当該輪郭18を貼り付ける。即ち、ユーザが着目したい断面を強調した全体像は、ユーザが着目した断面の輪郭18を投影像19に重畳させることで得られる。
【0033】
最後に、位置指定用画像作成部12は、この位置指定用画像17を表示部16に表示させる(ステップS09)。
図7は、表示部16に表示した位置指定用画像17の模式図である。位置指定用画像作成部12は、ボリュームデータをXY平面、XZ平面及びYZ平面に投影した3面の投影像19を並べて表示させる。この3面の投影像19の少なくとも1面に、ユーザが着目したい断面の輪郭18を重畳させて表示する。例えば、XY平面に沿った断面をユーザが選択断面22として設定した場合、XY平面に投影した投影像19に輪郭18を重畳する。XZ平面及びYZ平面の投影像19に対しては、ユーザが着目したい断面の位置をライン等によって表してもよい。
【0034】
ユーザは、被検体10を有効視野に収めたい場合、この位置指定用画像17の投影像19を基準にして、関心領域を設定し、又は被検体10を載置台3に固定する。また、ユーザは、着目したい断面を有効視野に収めたい場合、この位置指定用画像17の輪郭18を基準にして、関心領域を設定し、又は被検体10を載置台3に固定する。このように、CT撮影装置1は、撮像部2と、載置台3と、回転テーブル6と、再構成部11と、位置指定用画像作成部12を備え、位置指定用画像作成部12は、ボリュームデータから被検体10の投影像19を生成するとともに、ボリュームデータからユーザの着目したい断面の内部構造の輪郭18を抽出し、投影像19と輪郭18とを重畳した位置指定用画像17を作成するようにした。
【0035】
これにより、ユーザは、被検体10の全体像と着目したい断面を同時に把握しながら、被検体10の位置決めを行うことができ、被検体10の有効視野からのはみ出しを抑制しつつ、着目したい断面と有効視野とを合わせることができる。
【0036】
なお、ユーザが着目する断面は、厚みを持って指定されてもよい。例えば、XZ平面若しくはYZ平面に投影された投影像19内に、入力部15を用いて、Z軸方向に高さを有する矩形が描かれると、この矩形の高さ分の厚みを持った選択断面22が設定される。位置指定用画像作成部12は、この選択断面22内に収まるCT値の3次元分布を取得し、Z軸方向から各CT値を加算して、XY平面に投影された投影像19を作成する。そして、この投影像19から輪郭抽出を行って輪郭18を取得すればよい。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るCT撮影装置1について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第1の実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0038】
第2の実施形態のCT撮影装置1は、着目したい断面の強調方法として、
図8に示すように、ユーザの着目したい断面の断面像23を生成し、この断面像23を投影像19に重畳した位置指定用画像17を作成する。
【0039】
図8に示すように、位置指定用画像作成部12は、選択断面22に並ぶ各ボクセルのCT値を二次元状に並べる。そして、位置指定用画像作成部12は、このCT値の二次元分布により成る画像データから断面像23を抽出する。例えば、位置指定用画像作成部12は、被検体10の断面周りの背景を表すCT値を有する画素以外を抽出する。そして、位置指定用画像作成部12は、投影像19のうち、抽出した断面像23が存在した座標範囲を断面像23で書き換える。または、各画素に透明度(α値)が含まれる場合、位置指定用画像作成部12は、被検体10の断面周りの背景を表すCT値を有する画素のα値をゼロに設定し、作成された画像データと投影像19とを重ね合わせる。
【0040】
図9は、このような位置指定用画像作成部12の動作処理を示すフローチャートである。なお、ステップS11からステップS16までは、第1の実施形態の動作処理で説明した
図3のステップS01からステップS06までと同様であり、その説明は省略する。
【0041】
ステップS16で、ユーザが着目したい断面を選択すると、位置指定用画像作成部12は、着目したい断面の断面像23をボリュームデータから生成する(ステップS17)。即ち、着目したい断面を含むMPR画像をボリュームデータから生成し、断面像23を切り出したり、断面像23以外の背景部分はα値をゼロにしたりする。位置指定用画像作成部12は、この断面像23と投影像19とを重畳し、位置指定用画像17を作成する(ステップS18)。このように、ユーザが着目した断面を強調した全体像は、ユーザが着目した断面の断面像23を投影像19に重畳させることで得られる。
【0042】
位置指定用画像作成部12は、投影像19に断面像23を重畳した位置指定用画像17を表示部16に表示させる(ステップS19)。
図10は、表示部16が表示した位置指定用画像17の模式図である。位置指定用画像作成部12は、ボリュームデータをXY平面、XZ平面及びYZ平面に投影した3面の投影像19を並べて表示させ、この3面の投影像19のうち少なくとも1面の投影像19に断面像23を重畳させて表示させる。
【0043】
第2の実施形態のCT撮影装置1の位置指定用画像作成部12は、ボリュームデータからユーザが着目したい断面の断面像23を作成し、投影像19に断面像23を重畳した位置指定用画像17を作成するようにした。これにより、第1の実施形態では、断面像23を生成した上で更に断面像23の輪郭18を抽出する工程を経ていたが、係る工程を経る必要ないので処理工程数を削減するとともに、ユーザは、被検体10の全体像と着目したい断面を同時に把握しながら、被検体10の位置決めを行うことができ、被検体10の有効視野からのはみ出しを抑制しつつ、着目したい断面と有効視野とを合わせることができる。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るCT撮影装置1について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。この第3の実施形態のCT撮影装置1は、着目したい断面の強調方法として、
図11に示すように、ユーザの着目したい断面の重み付け値を大きくしてボリュームレンダリングを行い、位置指定用画像17を作成する。
【0045】
図11に示すように、位置指定用画像作成部12は、視点からXY平面の方向に延びるレイと交差する各ボクセルのCT値を加算し、レイと投影面とが交差する画素の値を加算値とする。このとき、ユーザの着目したい断面とレイとの交点については、重み付け値WによってCT値を大きくして加算する。または、各ボクセルに透明度(α値)を設定する場合、ユーザの着目したい断面とレイとの交点については、透明度を他のボクセルよりも大きくし、即ち他のボクセルよりも不透明に近づけ、当該透明度を加算する。
【0046】
図12は、このような位置指定用画像作成部12の動作処理を示すフローチャートである。なお、ステップS21からステップS26までは、第1の実施形態の動作処理で説明した
図3のステップS01からステップS06までと同様であり、その説明は省略する。
【0047】
ステップS26で、ユーザが着目したい断面を選択すると、位置指定用画像作成部12は、ボリュームデータから、ユーザが着目したい断面の重み付け値Wを高くしてボリュームレンダリングを行い、投影像19を生成する(ステップS27)。これにより、ユーザが着目したい断面が色濃く反映された投影像19である位置指定用画像12が作成される(ステップS28)。そして、位置指定用画像作成部12は、
図13に示すように、位置指定用画像17を表示部16に表示させる(ステップS29)。
【0048】
本実施形態のCT撮影装置の位置指定用画像作成部12は、ユーザが着目したい断面の重みづけを変えた投影像19である位置指定用画像17を作成させるようにした。これにより、第1及び第2の実施形態では、ボリュームデータから断面像23を生成していたが、本実施形態では、断面像23を生成する工程が必要ないので、処理工程数を削減するとともに、ユーザは、被検体10の全体像と着目したい断面を同時に把握しながら、被検体10の位置決めを行うことができ、被検体10の有効視野からのはみ出しを抑制しつつ、着目したい断面と有効視野とを合わせることができる。
【0049】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るCT撮影装置1について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第1から第3の実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図14は、第4の実施形態の係る処理装置20の内部構成を示すブロック図である。この処理装置20は、第1の実施形態の構成に加えて、ROI設定部13を更に備える。
【0050】
図15は、ROI24を重畳させた位置指定用画像17の模式図である。
図15に示すように、ROI設定部13は、ユーザが設定したROI24を位置指定用画像17に重畳させて、表示部16に表示させる。ROI24は、ユーザが撮影したい被検体10の関心領域である。ROI24を設定した後、移動機構7によって被検体10が移動し、再度の試し撮影が行われると、この再度の試し撮影に応じて新たに作成された位置指定用画像17にもROI24を表示する。このROI設定部13は、ROI24を設定した時の位置指定用画像17との位置及びサイズの関係を維持するように、ROI24の位置及びサイズも変更して、新たな位置指定用画像17に重畳する。
【0051】
このROI設定部13の動作手順について、図面を参照しつつ説明する。
図16は、ROI設定部13の動作手順を示すフローチャートである。ユーザは、被検体10の関心領域であるROI24を設定すると(ステップS31)、ROI設定部13は、ROI24が位置指定用画像17に重畳するよう表示部16に表示させる(ステップS32)。尚、ユーザが設定するROI24は、長方形形状としたが、円形状、正方形状であってもよい。
【0052】
ユーザは、このROI24と有効視野とを所望の関係に合わせるべく、入力部15の操作により移動機構7に移動量を入力し、被検体10、照射源4、検出器5を移動させる(ステップS33)。ROI設定部13は、ユーザが設定したROI24の縦及び横の画素数、ROI24の座標のうち少なくとも1点を記憶しておく(ステップS34)。ユーザが入力部15によって再撮影を入力すると、移動した位置において被検体10の再撮影が行われる(ステップS35)。再撮影が行われると、再構成部11は、再撮影により検出器5が出力した透過像から新たにボリュームデータを再構成し、位置指定用画像作成部12は、新たに再構成されたボリュームデータから新たに位置指定用画像17を作成する(ステップS36)。
【0053】
ROI設定部13は、被検体10、照射源4及び検出器5の移動量に基づき、ROI24の位置及びサイズを計算する(ステップS37)。典型的には、処理装置20のメモリには、実空間における距離と画素数の関係について予め記憶されている。例えば、処理装置20のメモリには、実空間の1センチメートルは10画素に相当することを示す情報が記憶されている。この情報を用いて、ROI設定部13は、被検体10がX軸方向に1センチメートル移動すると、ROI24は記憶した1点の座標位置からX軸方向に10画素分移動させる。また、例えば、撮影倍率を2倍にした場合、ROI24の位置を変えずに、ROI24の縦及び横の画素数が2倍とする。ROI設定部13は、計算後の位置及びサイズのROI24を新たに作成された位置指定用画像17に重畳させる(ステップS38)。
【0054】
ユーザが新たに移動機構7の移動量を入力し、被検体10の撮影を行った場合には(ステップS39のYES)、ステップ34に戻り、ステップS34以下の工程を繰り返す。一方、ユーザが新たに移動機構7の移動量を入力せず、被検体10の撮影を行わなかった場合には(ステップS39のNO)、処理装置20の動作は終了する。
【0055】
このように、本実施形態の処理装置20は、ROI設定部13を更に備え、ROI設定部13は、入力部15によって設定されたROI24と位置指定用画像17との位置及びサイズの関係を維持するように、移動機構7の操作に応じてROI24の位置及びサイズを変更して新たな位置指定用画像17に重畳させ、表示部16に表示させるようにした。これにより、ユーザが手動でROI24を有効視野に合わせる場合でも、撮影する度に移動先におけるROI24の位置及びサイズを把握することができるので、効率よく、かつ、簡便にROI24を所望の位置に合わせることができる。
【0056】
(変形例)
次に、第4の実施形態の変形例について説明する。CT撮影装置1は、2度目の試し撮影は、CTスキャンは行わず、一方向からX線ビーム21を照射し続け、透過像を連続撮影するようにしてもよい。即ち、回転テーブル6は被検体10を回転させずに停止させておく。位置指定用画像作成部12は、再度の試し撮影に対しては、検出器5が出力した透過像の動画を表示部16に表示させる。ROI設定部13は、この透過像の動画に第1回目の試し撮影の際に設定されたROI24を透過像上での位置・サイズに変換し、重畳する。試し撮影中、被検体10、照射源4及び検出器5が移動すると、位置指定用画像作成部12は、この移動量に従ってROI24の位置及びサイズを計算し、計算した位置及びサイズでROI24を透過像に重畳させる。
【0057】
このように、2度目の試し撮影ROI設定部13は、被検体10、照射源4及び検出器5の移動量に応じて、ROI24の位置及びサイズを変えながら、透過像の動画に重畳して表示されるようにした。これにより、ユーザは、被検体を移動させた都度、被検体10の撮影を行うことなく、有効視野を把握しながら移動機構7を操作することができるので、効率よく、かつ、簡便にROI24を所望の位置に合わせることができる。
【0058】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係るCT撮影装置1について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、第1から第4の実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図17は、第5の実施形態に係る処理装置20の内部構成を示すブロック図である。この処理装置20は、第4の実施形態の構成に加えて、移動量計算部14を更に備える。
【0059】
移動量計算部14は、ユーザが設定したROI24が、有効視野に合うよう移動機構7の移動量を計算し、計算した移動量を移動機構7に出力する。即ち、移動量計算部14は、ROI24の中心を有効視野の中心に一致させるための被検体10の移動量を計算する。そして、移動機構7は、移動量計算部14が計算した移動量に従って、照射源4、検出器5及び載置台3を移動させる。さらに、ROI24と有効視野との大きさを合致させる撮影倍率を算出し、照射源4及び検出器5の移動量を計算する。
【0060】
図18は、移動量計算部14の処理手順の一例を示すフローチャートである。この例では、位置指定用画像17と有効視野の大きさが同一である。まず、ユーザがROI24を設定すると(ステップS41)、移動量計算部14は、ROI24及び位置指定用画像17の縦横の画素数及び中心座標を算出する(ステップS42)。
【0061】
次に、移動量計算部14は、ROI24の中心座標が位置指定用画像17の中心座標と一致するよう、被検体10の移動量を計算する(ステップS43)。即ち、ROI24の中心と位置指定用画像17の中心とが合致一致するために、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向へそれぞれ何画素分移動させるか算出する。算出した各方向の画素分を、予め処理装置20のメモリが記憶している実空間の距離と画素数の関係に基づいて、被検体10の移動量を計算する。
【0062】
また、移動量計算部14は、ROI24のサイズと位置指定用画像17のサイズとを合わせるための照射源4及び検出器5の移動量を計算する(ステップS44)。即ち、移動量計算部14は、ROI24の中心と位置指定用画像17の中心とが一致した状態から、ROI24の縦横の画素数が位置指定用画像17の縦横の画素数とを一致させるための比率、換言すれば、撮影倍率を(=FDD/FCD)算出する。撮影倍率が算出できれば、FDD値及びFCD値を算出できる。そして、算出したFDD値及びFCD値に基づいて、照射源4及び検出器5の移動量を算出する。
【0063】
最後に、移動量計算部14は、算出した被検体10、照射源4及び検出器5の移動量を移動機構7に送信し(ステップS45)、移動機構7は、受信した移動量に基づき、被検体10、照射源4及び検出器5を移動させる(ステップS46)。
【0064】
以上のように、第5の実施形態では、移動量計算部14を更に備え、移動機構7は、移動量計算部14により計算された移動量に基づいて、被検体10、照射源4及び検出器5を移動させるようにした。これにより、ユーザは、ROI24を設定することのみで、ROI24を簡便かつ正確に有効視野の範囲に一致させることができる。
【0065】
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0066】
例えば、位置指定用画像作成部12は、画像を画像処理して異物及びボイドを抽出し、また抽出した異物及びボイドを計測し、抽出及び計測結果を位置指定用画像17と共に表示させてもよい。抽出された異物及びボイドは位置指定用画像17上で強調表示し、計測結果はアノテーション情報として位置指定用画像17上に表示させてもよい。強調表示としては、抽出された異物及びボイドの画像の重畳、異物及びボイドの画像の輪郭強調等が挙げられる。アノテーション情報は、異物及びボイドの長さ、面積、体積又はこれらの複数の文字情報である。
【0067】
典型的には、位置指定用画像作成部12は、異物及びボイドの無い被検体10の投影像19を参照画像として予め記憶しておく。そして、位置指定用画像作成部12は、撮像部2で撮像されて再構成された投影像19と参照画像とを差分することで異物及びボイドを抽出する。また、位置指定用画像作成部12は、抽出された異物及びボイドが及ぶ画素数をカウントし、予め記憶している実空間上の長さと画素数の関係とから、異物及びボイドの実空間上の長さを測定する。
【0068】
また、このCT撮影装置1では、位置指定用画像17として、X、Y及びZ軸方向からの直交する3方向からの投影像19を並べて表示した。これに限らず、任意の1方向、2方向、又は4方向から投影して得た投影像19を位置指定用画像17として並べて表示してもよい。尚、複数の投影像19は互いに直交する関係である必要はない。
【0069】
また、このCT撮影装置1では、位置指定用画像17として、X、Y及びZ軸方向からの直交する3方向からの投影像19を並べて表示した。これに限らず、任意の1方向は投影像19、それ以外の方向については断面像23を用いてもよい。尚、投影像19、及び、断面像23は、互いに直交する関係である必要はない。
【0070】
また、位置指定用画像17は、ユーザが着目したい断面が強調された投影像19であればよく、例えば、着目したい断面の色を変えた投影像19のように、着目したい断面と他の部分を区別できるのであれば、種々の方法を用いることができる。
【0071】
移動量計算部14は、ROI24をZ軸方向に分割し、分割した各ROI24の中心が回転軸9と光軸8の交点と一致させるための移動量を計算してもよい。この場合には、分割したROI24毎に、移動量を算出し、被検体10を移動させ撮影し、次の分割されたROIの移動量を算出すると、これを順次分割したROI24の分だけ繰り返す。これにより、被検体10の高さが高い場合でも、高倍率で撮影することができる。
【0072】
また、移動量計算部14は、ROI24を位置指定用画像17、即ち、有効視野内いっぱいに拡大するようにしたが、これに限るものでではなく、ユーザが設定した位置及び大きさにROI24を移動させるため、被検体10、照射源4及び検出器5の移動量を計算してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 CT撮影装置
2 撮像部
3 載置台
4 照射源
5 検出器
6 回転テーブル
7 移動機構
7a XY機構
7b 昇降機構
7c シフト機構
7d スリップリング
8 光軸
9 回転軸
10 被検体
11 再構成部
12 位置指定用画像作成部
13 ROI設定部
14 移動量計算部
15 入力部
16 表示部
17 位置指定用画像
18 輪郭
19 投影像
20 処理装置
21 X線ビーム
22 選択断面
23 断面像
24 ROI