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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/56 20060101AFI20220311BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20220311BHJP
   B01D 53/70 20060101ALI20220311BHJP
   B01D 53/83 20060101ALI20220311BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20220311BHJP
   B01D 53/68 20060101ALI20220311BHJP
   B01D 53/76 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
B01D53/56 300
B01D53/50 100
B01D53/70 ZAB
B01D53/83
B01D53/86 222
B01D53/68 100
B01D53/76
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018074617
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2019181361
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】福田 尚倫
(72)【発明者】
【氏名】辻 裕介
(72)【発明者】
【氏名】犬束 英二
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-175338(JP,A)
【文献】特開平06-269634(JP,A)
【文献】特開2007-237059(JP,A)
【文献】特開2012-189297(JP,A)
【文献】特開平05-000217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01D 46/00-46/90
F23J 15/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処理炉から導入され且つ窒素酸化物を含むガスに還元剤を供給して、前記ガス中の窒素酸化物を無触媒脱硝するように構成された反応室と、
前記反応室から排出された反応後ガスに随伴する粉粒体を前記反応後ガスから分離するように構成された集塵機とを含み、
前記集塵機は、
入口及び出口を含む筐体と、
前記筐体の集塵室内に配置され且つ前記粉粒体を捕集するように構成された、筒状を呈する複数の集塵フィルタと、
前記筐体の脱硝室内に配置され且つ前記反応後ガス中の窒素酸化物を還元剤と反応させるように構成された脱硝触媒とを含み、
前記脱硝触媒は、前記入口から前記筐体内に導入された前記反応後ガスが前記複数の集塵フィルタを通過した後に前記脱硝触媒を通過するように、前記集塵室と前記脱硝室との間に設けられた仕切壁の開口部を閉塞するように前記開口部に取り付けられている、ガス処理装置。
【請求項2】
前記反応室と前記集塵機との間の前記反応後ガスの流路に消石灰を供給するように構成された供給部をさらに含む、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記集塵機の前記入口から導入される前記反応後ガスの温度が180℃~190℃の範囲内に設定されている、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記反応後ガスの温度を調節可能に構成された温調部と、
前記集塵機の前記入口から導入される前記反応後ガスの温度を測定するセンサと、
前記センサで測定される温度が所定範囲内となるように前記温調部を制御する制御部とをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみなどの廃棄物の処理を行う廃棄物処理設備は、溶融炉や焼却炉などの廃棄物処理炉から排出される排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を除去して、NOx濃度を規制値以下とするための脱硝装置を備える。脱硝装置による脱硝方法としては、触媒を用いない無触媒脱硝(SNCR)と、触媒を用いる触媒脱硝(SCR)とが知られている。
【0003】
無触媒脱硝は、排ガス中に還元剤(例えば、アンモニア、尿素等)を噴霧して窒素酸化物と化学反応させることにより、NOxを窒素と水とに分解して、窒素酸化物濃度を低減させる手法である。この場合、触媒を用いないので設備のコストを抑制できるが、窒素酸化物との反応効率が比較的低い。そのため、NOxと反応しなかったアンモニアが煙突に向けてリークして、酸性ガスと反応し、設備の煙突から煤塵を含む白煙が放出されてしまう場合がある。
【0004】
一方、触媒脱硝は、触媒上で還元剤とNOxとの反応を生じさせることにより、窒素酸化物を窒素と水とに分解して、窒素酸化物濃度を低減させる手法である。この場合、脱硝効率は、反応温度に大きく依存するので、ボイラから排出され且つ触媒に供給される前の排ガスを予め加熱する必要がある。そのため、煙突からの白煙の放出を抑制できるが、再加熱機器の設置のためのコストが生ずる。特に、ボイラで回収された熱エネルギーの一部を排ガスの再加熱に用いる場合には、設備全体としての熱回収効率の低下に繋がりうる。
【0005】
そこで、特許文献1は、無触媒脱硝と触媒脱硝とを組み合わせた排ガス処理装置を開示している。当該排ガス処理装置は、ごみ焼却炉から排出された排ガスに対して尿素水を供給するように構成されたボイラと、ボイラから排出された排ガスに含まれる煤塵を除去するように構成された集塵機と、集塵機から排出された排ガスを、ボイラからのリークアンモニアを利用して触媒上で脱硝するように構成された触媒反応塔とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-269634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、無触媒脱硝と触媒脱硝とを組み合わせた排ガス処理装置においても、依然として、触媒反応塔に導入される排ガスを再加熱していた。
【0008】
そこで、本開示は、白煙の放出を抑制しつつ、再加熱装置及び触媒反応塔を要せずに低コストで窒素酸化物を除去することが可能なガス処理装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例1.本開示の一つの例に係るガス処理装置は、廃棄物処理炉から導入され且つ窒素酸化物を含むガスに還元剤を供給して、ガス中の窒素酸化物を無触媒脱硝するように構成された反応室と、反応室から排出された反応後ガスに随伴する粉粒体を反応後ガスから分離するように構成された集塵機とを含む。集塵機は、入口及び出口を含む筐体と、筐体内に配置され且つ粉粒体を捕集するように構成された集塵フィルタと、筐体内に配置され且つ反応後ガス中の窒素酸化物を還元剤と反応させるように構成された脱硝触媒とを含む。脱硝触媒は、入口から筐体内に導入された反応後ガスが集塵フィルタを通過した後に脱硝触媒を通過するように、集塵フィルタよりも出口側に位置している。
【0010】
この場合、集塵機の上流側の反応室内で無触媒脱硝が行われているので、ガスからある程度の窒素酸化物が除去される。そのため、下流側での触媒脱硝に際して反応後ガスから除去すべき窒素酸化物の量が少なくてすむので、脱硝触媒のサイズを小さくすることができる。これにより、集塵フィルタと同じ集塵機内に脱硝触媒を配置することが実現される。
【0011】
加えて、集塵フィルタと同じ集塵機内で、集塵フィルタの下流側に脱硝触媒が位置している。そのため、集塵機に導入された反応後ガスは、集塵フィルタを通過した後に直ちに脱硝触媒を通過する。従って、集塵フィルタと脱硝触媒との間でガスの温度低下が生じ難い。上記のとおり、触媒脱硝における脱硝効率は反応温度に大きく依存するので、反応後ガスの再加熱のための他の機器を必要とすることなく、脱硝触媒における反応効率を高めることが可能となる。
【0012】
例2.例2の装置は、反応室と集塵機との間の反応後ガスの流路に消石灰を供給するように構成された供給部をさらに含んでいてもよい。この場合、反応後ガスに含まれる酸性ガスが消石灰と反応するので、酸性ガスの濃度を低減することが可能となる。
【0013】
例3.例2の装置において、集塵機の入口から導入される反応後ガスの温度が180℃~190℃の範囲内に設定されていてもよい。消石灰による酸性ガスの除去効率は、温度が高いほど低下する傾向にある。一方、触媒脱硝における脱硝効率は、温度が高いほど高まる傾向にある。例3における温度範囲によれば、消石灰による酸性ガスの除去と、脱硝触媒における脱硝反応とを共に高効率で行うことが可能となる。
【0014】
例3.例1~例3のいずれかの装置は、反応後ガスの温度を調節可能に構成された温調部と、集塵機の入口から導入される反応後ガスの温度を測定するセンサと、センサで測定される温度が所定範囲内となるように温調部を制御する制御部とをさらに含んでいてもよい。この場合、集塵機に導入される反応後ガスの温度が、制御部により自動的に所定範囲内に制御される。そのため、ガス処理装置の稼働中、脱硝触媒による脱硝効率の変動を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係るガス処理装置及びガス処理方法によれば、白煙の放出を抑制しつつ、再加熱装置及び触媒反応塔を要せずに低コストで窒素酸化物を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る廃棄物処理設備の一例を示す模式図である。
図2図2は、集塵機を一部破断して示す斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
[廃棄物処理設備の全体構成]
まず、図1を参照して、廃棄物処理設備1の全体構成について説明する。廃棄物処理設備1は、ガス化溶融炉10(廃棄物処理炉)と、燃焼室12(反応室;ガス処理装置)と、ボイラ14(ガス処理装置)と、集塵機16(ガス処理装置)と、誘引通風機18と、煙突20とを備える。
【0019】
ガス化溶融炉10は、高温還元雰囲気で廃棄物を処理して、資源化可能な溶融スラグを産出する機能を有する。ガス化溶融炉10は、クレーン22によって塔頂部から投入された廃棄物をコークスと共に乾燥及び熱分解し、熱分解された廃棄物の灰分等を高温で溶融する。熱分解により生じた可燃性ガスは、下流側の燃焼室12に向けて排出される。
【0020】
燃焼室12は、ガス化溶融炉10から排出された可燃性ガスを完全燃焼する機能を有する。これにより、可燃性ガスに含まれるダイオキシン類が分解される。燃焼室12の下流側部分には、還元剤の噴霧装置24が接続されている。噴霧装置24は、還元剤(例えば、尿素、アンモニア水)を燃焼室12内に噴霧するように構成されている。これにより、可燃性ガスに含まれる窒素酸化物が還元剤と化学反応して、窒素酸化物が分解される。すなわち、燃焼室12は、窒素酸化物を無触媒脱硝する機能も有する。還元剤と反応したガス(反応後ガス)は、下流側のボイラ14に向けて排出される。
【0021】
ボイラ14は、燃焼室から排出された反応後ガスの熱エネルギーを回収する機能を有する。ボイラ14には、蒸気発電システム26が設けられている。蒸気発電システム26は、例えば、ボイラ14と、タービン26aと、復水器26bと、発電機26cと、給水源26d(温調部)とを含み、これらが配管で接続されることにより構成されている。当該配管は、一部がボイラ14内を通過し、残部がボイラ14外に位置している。
【0022】
給水源26dから配管に供給された水は、配管を通じてボイラ14内を流通し、ボイラ14内の反応後ガスと熱交換して蒸気となる。蒸気は、配管を通じてタービン26aに導入され、タービン26aを回転させる。これにより、タービン26aに接続された発電機26cにおいて発電が行われる。タービン26aを通過した蒸気は、配管を通じて復水器26bに導入されて水に戻され、再び配管を通じてボイラ14内に導入される。ボイラ14における熱交換により冷却された反応後ガスは、下流側の集塵機16に向けて排出される。
【0023】
集塵機16は、ボイラ14から排出された反応後ガスに随伴する粉粒体を捕集する機能を有する。集塵機16の詳細な構成については、後述する。
【0024】
ボイラ14と集塵機16とを接続するガスの流路Dには、温度センサ28(センサ)が設置されている。温度センサ28は、流路Dを流通するガスの温度を測定するように構成されている。温度センサ28において測定された温度データは、コントローラ30(制御部)に送信される。コントローラ30は、当該温度データが所定の範囲内にあるか否かを判定し、その判定結果に基づいてバルブ32(温調部)の開度を制御する。
【0025】
バルブ32の開度に応じて、蒸気発電システム26を循環する水の量が増加又は減少すると、それに伴い、ボイラ14における反応後ガスの冷却量が減少又は増加する。すなわち、集塵機16に導入される反応後ガスの温度が調節される。集塵機16に導入される反応後ガスの温度は、コントローラ30によるバルブ32の開度制御により、例えば、180℃~190℃の範囲内となるように調節されてもよいし、180℃~185℃の範囲内となるように調節されてもよい。
【0026】
ボイラ14と集塵機16とを接続するガスの流路Dには、消石灰の供給装置34(供給部)が接続されている。供給装置34は、流路Dに消石灰を供給するように構成されている。この消石灰は、反応後ガスに随伴する酸性ガス(例えば、HClガス及びSOxガス)の除去に供される。
【0027】
誘引通風機18は、集塵機16において除塵された反応後ガスを煙突20に向けて送気し、煙突20から排ガスとして外部に放出する。
【0028】
[集塵機の構成]
続いて、図2及び図3を参照して、集塵機16の詳細な構成について説明する。集塵機16は、筐体36と、ホッパ38と、集塵フィルタ40と、脱硝触媒42とを含む。
【0029】
筐体36は、略直方体形状を呈しており、底壁36aと、天壁36bと、前壁36cと、後壁36dと、側壁36e,36fとを含む。筐体36内には、仕切壁W1~W5が配置されており、これらの仕切壁W1~W5により前室R1と、集塵室R2と、中間室R3と、脱硝室R4とが区画されて設けられている。
【0030】
前室R1は、底壁36aと、前壁36cと、側壁36eと、仕切壁W1,W2とで画定されている。仕切壁W1は、底壁36aから上方に向けて、側壁36e,36fと略平行に延びている。仕切壁W2は、側壁36eから仕切壁W1の上端に向けて、底壁36a及び天壁36bと略平行に延びており、仕切壁W1の上端と接続されている。前室R1を構成する側壁36eには、流路Dが接続されている。そのため、ボイラ14から排出された反応後ガスは、集塵機16に送気されると、まず前室R1に入る(図2の矢印Ar1参照)。
【0031】
集塵室R2は、後壁36dと、側壁36e,36fと、仕切壁W3,W4とで画定されている。仕切壁W3は、仕切壁W2と略同等の高さ位置において、天壁36bと略平行に延びている。仕切壁W3の周縁は、後壁36d、側壁36e,36f、仕切壁W1の上端及び仕切壁W2の後端と接続されている。仕切壁W4は、側壁36fから仕切壁W1の後端に向けて、前壁36c及び後壁36dと略平行に延びており、仕切壁W1の後端と接続されている。
【0032】
一方、集塵室R2と前室R1との間には、これらを閉塞する壁が設けられていない。そのため、前室R1から集塵室R2へと反応後ガスが流通可能である(図3の矢印Ar2参照)。集塵室R2の下端には、当該下端を閉塞する壁に代えて、ホッパ38が設けられている。そのため、集塵室R2はホッパ38と連通している。ホッパ38は、集塵フィルタ40から払い落とされた煤塵を貯留する機能を有する。
【0033】
中間室R3は、天壁36bと、後壁36dと、側壁36e,36fと、仕切壁W3,W5とで画定されている。仕切壁W5は、仕切壁W3の前縁から天壁36bへと、前壁36c及び後壁36dと略平行に延びている。仕切壁W5の一部には、開口部W5aが設けられている(図3参照)。開口部W5aは、仕切壁W5に対応する領域に位置している。そのため、反応後ガスは、開口部W5aを通じて中間室R3から脱硝室R4へと流通可能である(図2及び図3の矢印Ar3参照)。
【0034】
脱硝室R4は、天壁36bと、側壁36e,36fと、仕切壁W1,W2,W4,W5とで画定されている。すなわち、脱硝室R4は、正面から見て略L字状を呈している。脱硝室R4の下端は、下方に向けて開放された出口であり、誘引通風機18を介して煙突20に接続されている。そのため、反応後ガスは、脱硝室R4の出口から集塵機16の外部に排出され、煙突20へと流通可能である(図2の矢印Ar4,Ar5)。
【0035】
集塵フィルタ40は、集塵室R2を流通する反応後ガスに随伴する粉粒体を捕集するが、反応後ガス自体は流通するように構成されている。集塵フィルタ40は、例えば、バグフィルタであってもよいし、セラミックフィルタであってもよい。図2及び図3は、集塵フィルタ40がバグフィルタである形態を例示している。この場合、有底円筒状の多数のバグフィルタの上部が、仕切壁W3に設けられている多数の貫通孔に一つずつ固定される。すなわち、多数のバグフィルタが、仕切壁W3から吊り下げられるように仕切壁W3に取り付けられる。
【0036】
脱硝触媒42は、反応後ガス中の窒素酸化物を還元剤との反応により脱硝する機能を有する。脱硝触媒42では、燃焼室12からのリークアンモニアが還元剤として利用される。脱硝触媒42は、脱硝室R4内において、開口部W5aを閉塞するように設けられている。
【0037】
[作用]
上記の本実施形態では、集塵機16の上流側の燃焼室12内で無触媒脱硝が行われているので、ガスからある程度の窒素酸化物が除去される。そのため、下流側での触媒脱硝に際して反応後ガスから除去すべき窒素酸化物の量が少なくてすむので、脱硝触媒42のサイズを小さくすることができる。これにより、集塵フィルタ40と同じ集塵機16内に脱硝触媒42を配置することが可能となる。
【0038】
上記の実施形態では、集塵フィルタ40と同じ集塵機16内で、集塵フィルタ40の下流側に脱硝触媒42が位置している。そのため、集塵機16に導入された反応後ガスは、集塵フィルタ40を通過した後に直ちに脱硝触媒42を通過する。従って、集塵フィルタ40と脱硝触媒42との間でガスの温度低下が生じ難い。この場合、触媒脱硝における脱硝効率は反応温度に大きく依存するので、反応後ガスの再加熱のための他の機器を必要とすることなく、脱硝触媒42における反応効率を高めることが可能となる。
【0039】
上記の実施形態では、集塵フィルタ40と同じ集塵機16内で、集塵フィルタ40の下流側に脱硝触媒42が位置している。そのため、集塵フィルタ40を通過することで流速が遅くなった状態の反応後ガスが脱硝触媒42に到達する。従って、反応後ガスが脱硝触媒42に接触する時間が十分に確保されるので、脱硝触媒42における反応効率をさらに高めることが可能となる。
【0040】
上記の実施形態では、供給装置34が、燃焼室12と集塵機16との間の反応後ガスの流路Dに消石灰を供給するように構成されている。そのため、反応後ガスに含まれる酸性ガスが消石灰と反応するので、触媒の被毒原因となる酸性ガスの濃度を低減することが可能となる。
【0041】
上記の実施形態では、コントローラ30によるバルブ32の開度制御により、集塵機16の入口から導入される反応後ガスの温度が所定範囲内となるよう調節している。すなわち、反応後ガスの温度調節が自動化される。そのため、廃棄物処理設備1の稼働中、脱硝触媒42による脱硝効率の変動を抑制することが可能となる。
【0042】
ところで、消石灰による酸性ガスの除去効率は、温度が高いほど低下する傾向にある。一方、脱硝触媒42における脱硝効率は、温度が高いほど高まる傾向にある。そのため、集塵機16の入口から導入される反応後ガスの温度が例えば180℃~190℃の範囲内に設定されてもよい。この場合、消石灰による酸性ガスの除去と、脱硝触媒42における脱硝反応とを共に高効率で行うことが可能となる。
【0043】
[変形例]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、集塵機16内において、脱硝触媒42は集塵フィルタ40の下流側に配置されていればよい。すなわち、集塵フィルタ40を通過した反応後ガスが全て脱硝触媒42に導かれるのであれば、集塵フィルタ40、脱硝触媒42、各仕切壁及び筐体36内の各室の位置関係は上記の実施形態に限られない。
【符号の説明】
【0044】
1…廃棄物処理設備、10…ガス化溶融炉(廃棄物処理炉)、12…燃焼室(反応室;ガス処理装置)、14…ボイラ(ガス処理装置)、16…集塵機(ガス処理装置)、26…蒸気発電システム、26d…給水源(温調部)、28…温度センサ(センサ)、30…コントローラ(制御部)、32…バルブ(温調部)、34…供給装置(供給部)、36…筐体、40…集塵フィルタ、42…脱硝触媒、D…流路。
図1
図2
図3