(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】収納容器
(51)【国際特許分類】
G21F 9/36 20060101AFI20220311BHJP
G21C 19/32 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
G21F9/36 501J
G21C19/32 110
G21F9/36 501H
(21)【出願番号】P 2018075539
(22)【出願日】2018-04-10
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 温士
(72)【発明者】
【氏名】出田 武臣
(72)【発明者】
【氏名】岩本 浩祐
(72)【発明者】
【氏名】木作 友亮
(72)【発明者】
【氏名】都知木 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝三
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 功
(72)【発明者】
【氏名】中山 壮一郎
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-211856(JP,A)
【文献】特開平10-186092(JP,A)
【文献】特開2003-4891(JP,A)
【文献】特開2002-228793(JP,A)
【文献】特表2014-529737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0037632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/36
G21C 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスクを収納する収納容器であって、
前記キャスクを収納する収納空間と外部とに連通する開口部を有する基台と、
前記収納空間に面する前記基台の上面に脚部を介して設置され、かつ、前記キャスクが載置される放熱板と、を備え、
前記放熱板の面積は、前記キャスクの底面の面積よりも大きく、
前記放熱板は、前記キャスクの前記底面の少なくとも一部が接する中実領域と、該中実領域よりも外周側にある多孔領域とを含む、
収納容器。
【請求項2】
前記中実領域は、前記キャスクの前記底面の全体と接する、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記中実領域は、前記基台に形成されている前記開口部の前記収納空間の側の開口の1つに面する、請求項1又は2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記多孔領域は、前記キャスクが載置される面と、前記基台に対向する面との間を貫通する複数の貫通孔を有する板部である、請求項1~3のいずれか1項に記載の収納容器。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記基台に形成されている前記開口部の前記収納空間の側の開口と同軸上にある、請求項4に記載の収納容器。
【請求項6】
前記放熱板は、前記キャスクが載置される上面に溝部を有し、
前記溝部は、前記中実領域と前記多孔領域とで連続する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の収納容器。
【請求項7】
前記溝部は、前記放熱板の中実領域から多孔領域に向けて放射状に形成される、請求項6に記載の収納容器。
【請求項8】
前記多孔領域は、前記キャスクが載置される側と、前記基台に対向する側との間を貫通する複数の隙間を有する構造部である、請求項1~3のいずれか1項に記載の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャスクを収納する収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済み核燃料集合体を収納するキャスクがある。特許文献1は、このようなキャスクを収納可能とする収納容器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用済み核燃料集合体は、発熱体である。そのため、使用済み核燃料集合体からの熱がキャスクに伝熱し、キャスクの温度は上昇する。よって、キャスクの昇温を抑制するために、キャスクの冷却を行う必要がある。
【0005】
そこで、本開示は、キャスクを冷却可能な収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る収納容器は、キャスクを収納する収納容器であって、キャスクを収納する収納空間と外部とに連通する開口部を有する基台と、収納空間に面する基台の上面に脚部を介して設置され、かつ、キャスクが載置される放熱板と、を備え、放熱板の面積は、キャスクの底面の面積よりも大きく、放熱板は、キャスクの底面の少なくとも一部が接する中実領域と、該中実領域よりも外周側にある多孔領域とを含む。
【0007】
また、上記の収納容器では、中実領域は、キャスクの底面の全体と接するものとしてもよい。中実領域は、基台に形成されている開口部の収納空間の側の開口の1つに面するものとしてもよい。多孔領域は、キャスクが載置される面と、基台に対向する面との間を貫通する複数の貫通孔を有する板部であるものとしてもよい。貫通孔は、基台に形成されている開口部の収納空間の側の開口と同軸上にあるものとしてもよい。放熱板は、キャスクが載置される上面に、溝部を有し、溝部は、中実領域と多孔領域とで連続するものとしてもよい。溝部は、放熱板の中央部から外縁に向けて放射状に形成され、中実領域で連続するものとしてもよい。多孔領域は、キャスクが載置される側と、基台に対向する側との間を貫通する複数の隙間を有する構造部であるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、キャスクを冷却可能な収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る収納容器の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II断面に相当する収納容器の断面図である。
【
図3】
図2のIII-III断面に相当する基台の第1積層部の断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV断面に相当する基台の第2積層部の断面図である。
【
図5】第1実施形態における放熱板の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図2のVI-VI断面に相当する収納容器の断面図である。
【
図7】第2実施形態における放熱板の構成を示す斜視図である。
【
図8】
図2に対応する第2実施形態に係る収納容器の断面図である。
【
図9】
図8のIX-IX断面に相当する収納容器の断面図である。
【
図10】第3実施形態における放熱板の構成を示す斜視図である。
【
図11】本開示の収納容器を複数含む集積体の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここで、実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は、例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については、図示を省略する。更に、以下の各図では、鉛直方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内において、X軸と、X軸に垂直な方向にY軸とを取る。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る収納容器10の構成を示す斜視図である。
図2は、収納容器10の鉛直方向の断面図である。収納容器10は、キャスクCを収納する。
【0012】
キャスクCは、例えば、使用済み核燃料集合体を収納する金属製の乾式キャスクである。ここで、使用済み核燃料集合体とは、原子炉での反応を終えた複数の使用済み核燃料棒を連結した集合体をいう。なお、各図では、使用済み核燃料集合体を収納しているキャスクCの外形を、概略的に全長LC及び外径DCの円柱で示している。
【0013】
本実施形態に係る収納容器10は、全体として、鉛直軸AXを中心軸とした略6角柱状の外形を有する。収納容器10は、内部に形成されている収納空間S1に、キャスクCを縦置きに収納する。なお、各図では、収納容器10の外形を、全長L1、並びに、水平面上の6角形の寸法である二面幅W1及び対角距離W2の略6角柱で示している。
【0014】
キャスクCを収納した収納容器10は、例えば、屋外の地盤上に設置される。収納容器10を略6角柱状としているため、地盤上への設置時に、複数の収納容器10を外側面同士で近接させて、いわゆるハニカム構造で集積配置させることができる。
【0015】
収納容器10は、筒状体12と、蓋体14と、基台16と、放熱板30とを備える。ここで、キャスクC内の使用済み核燃料集合体からは、微量の中性子線等の放射線が漏出することも懸念される。ただし、微量の放射線の漏出に短期的に暴露されることが問題になることはない。しかし、キャスクCの周辺では、長期的に暴露されることもあり得ることから、キャスクCを収納する容器の材質をコンクリートとする場合がある。そこで、本実施形態では、筒状体12、蓋体14及び基台16を構成する主材料は、コンクリートである。収納容器10は、全体としてコンクリート製となることから、コンクリートオーバパック(COP)とも表現される。
【0016】
筒状体12は、内側の空間を収納空間S1とする6角柱状である。筒状体12は、6角柱の6つの側面からなる外側面12aと、円筒状の内側面12bとを有する。なお、各図では、収納空間S1の形状を、全長L2及び内径D2の円筒で示している。筒状体12の全長L2は、収納空間S1の全長に相当する。キャスクCが筒状体12に対して同軸状に収納空間S1内に配置されているとすると、キャスクCの外壁面と、筒状体12の内側面12bとの間に、間隔Gの隙間空間が生じる。
【0017】
また、筒状体12は、外側面12aを構成する6つの側面上のそれぞれに、水平方向の中央部で鉛直方向に沿って伸びる溝部12cを有する。溝部12cは、複数の収納容器10を上記のようにハニカム構造で集積配置した際に、隣り合う収納容器10同士で互いに向かい合うことで、空気の流路となり得る。つまり、収納容器10をハニカム構造に集積配置した場合、溝部12cは、対面する別の収納容器10の溝部12cと対向する。
【0018】
蓋体14は、筒状体12の鉛直方向上部の開口部を覆う平板である。蓋体14の平面形状は、筒状体12の外側面12aに合わせた6角形である。蓋体14は、不図示のボルト等により、筒状体12の上部に取り付けられる。
【0019】
また、蓋体14は、収納空間S1を流れる空気を収納容器10の外部に排出するための複数の排出口14aを有する。本実施形態の排出口14aは、それぞれ、蓋体14の6つの側面上で、水平方向の中央部で鉛直方向に切り欠かれた切り欠き部である。更に、筒状体12の上端には、蓋体14の排出口14aと連続する切り欠き部12dを有してもよい。なお、排出口14aは、このような切り欠き部で構成されるものではなく、蓋体14の外周部近傍で鉛直方向に沿って貫通する貫通孔で構成されるものでもよい。又は、蓋体14に排出口14aを設けることに代えて、筒状体12の上端部に形成された切り欠き部等の排出口だけが存在するものとしてもよい。
【0020】
また、排出口14aや切り欠き部12dが上記例示した位置に設けられている場合、筒状体12の外側面12aに形成されている複数の溝部12cは、それぞれ、排出口14aや切り欠き部12dと連続するものとしてもよい。これにより、収納容器10の外部と収納空間S1との間で、空気の流通経路が形成されやすくなる。
【0021】
基台16は、筒状体12の下方に配置され、筒状体12を支持する部材である。基台16の全体形状は、筒状体12の外形に合わせた略6角柱である。筒状体12は、不図示のボルト等により、基台16の上面27に取り付けられる。
【0022】
また、基台16は、収納空間S1と外部とに連通する開口部を有する。この開口部の形状に基づいて、基台16は、例えば、第1積層部16aと第2積層部16bとの2つの積層部が鉛直方向に積層された部材であると考えることができる。第1積層部16aの上面は、基台16の上面27に相当する。第1積層部16aの下面は、第2積層部16bの上面と一体化されている。第2積層部16bの下面は、基台16の底面すなわち収納容器10の底面に相当する。
【0023】
図3は、第1積層部16aの水平方向の断面図である。第1積層部16aは、鉛直方向に貫通した、第1貫通孔20aと、6つの第2貫通孔21a~26aとの2種類の貫通孔を有する。第1貫通孔20aは、鉛直軸AXと同軸に形成され、開口径D3を有する。開口径D3は、金属キャスクCの外径DCよりも小さい。第2貫通孔21a~26aは、それぞれ、鉛直軸AXから同一距離で、かつ、鉛直軸AXを基準として等間隔で形成され、開口径D4を有する。本実施形態では、第2貫通孔21a~26aは、それぞれ、鉛直軸AXから基台16の各外側面に向かう方向に合わせて、60°間隔で形成されている。なお、第2貫通孔21a~26aの個数や位置は、上記例示に限らず、適宜変更しても構わない。
【0024】
図4は、第2積層部16bの水平方向の断面図である。第2積層部16bは、鉛直方向に切られた、それぞれ第1連通空間S2を形成する6つの第1開口溝21b~26bと、第2連通空間S3を形成する第2開口溝20bとの2種類の開口溝を有する。第1開口溝21b~26bは、それぞれ、鉛直軸AXから基台16の各外側面に向かう方向に形成され、間隔W3を有する。間隔W3は、例えば、第1積層部16aに形成されている第2貫通孔21a~26aの開口径D4と同一である。つまり、第1開口溝21b~26bは、それぞれ、第2貫通孔21a~26aに連通する。第2開口溝20bは、鉛直軸AXと同軸に形成される。つまり、第2開口溝20bは、第1貫通孔20aに連通する。また、第2開口溝20bは、水平方向で、第1開口溝21b~26bのぞれぞれと連通する。すなわち、第2積層部16bには、中心側に形成された第2連通空間S3と、第2連通空間S3から径方向に外側面まで延伸する第1連通空間S2とが形成されている。
【0025】
このような基台16の形状によれば、
図2を参照すると、6つの第1開口溝21b~26bの外部に面する開口から流入した空気は、第1連通空間S2を通過して、そのうち一方の空気は、第2貫通孔21a~26aに導かれて、収納空間S1内に流入する。また、第1連通空間S2を通過したうちの他方の空気は、更に第2連通空間S3を通過して第1貫通孔20aに導かれて、収納空間S1内に流入する。つまり、ここでいう収納空間S1と外部とに連通する開口部とは、第1貫通孔20a、第2貫通孔21a~26a、第1開口溝21b~26b及び第2開口溝20bを含む一連の開口部をいう。
【0026】
図5は、放熱板30の構成を示す斜視図である。
図6は、収納空間S1内に放熱板30が設置されている状態を示す収納容器10の水平方向の断面図である。
【0027】
放熱板30は、収納空間S1に面する基台16の上面27に、脚部34を介して設置されている。放熱板30の上面30aには、キャスクCが載置される。放熱板30は、金属製の円板状部材である。放熱板30の外径D5は、キャスクCの外径DCよりも大きく、筒状体12の内径D2よりも小さい。つまり、放熱板30の面積は、キャスクCの底面の面積よりも大きい。なお、放熱板30は、基台16に対して略同軸に設置されるものとする。また、キャスクCは、放熱板30に対して略同軸に載置されるものとする。放熱板30の厚さTは、キャスクCの荷重に耐え得る寸法を有する。
【0028】
脚部34は、例えば、放熱板30の下面30bの外周部に、鉛直軸AXを基準として等間隔で配置される部材である。つまり、脚部34は、複数ある。なお、本実施形態では、脚部34は、6つある。本実施形態では、脚部34は、放熱板30が基台16の上面27上に設置された際には、それぞれ、基台16に形成されている第2貫通孔21a~26aの位置を避けて、上面27と接触する。また、脚部34が存在することにより、放熱板30が基台16の上面27上に設置された際には、放熱板30の上面30aは、基台16の上面27から高さHの位置となる。高さHを、放熱板30の厚さTよりも大きく設定することにより、放熱板30の下面30bと基台16の上面27との間には、隙間が生じる。また、脚部34の長手方向の幅W4は、例えば、キャスクCの荷重に耐え得ることや、第2貫通孔21a~26aの開口を塞がないことなどを条件として決定される。
【0029】
また、放熱板30は、キャスクCの底面の少なくとも一部が接する中実領域R1と、中実領域R1よりも外周側にある多孔領域R2とを含む。多孔領域R2は、複数の貫通孔32が形成されている領域である。これに対して、中実領域R1は、貫通孔が形成されていない領域である。なお、
図6では、中実領域R1と多孔領域R2との境界線BLが二点鎖線で表されている。
【0030】
中実領域R1は、本実施形態では、放熱板30の中央部にある。また、中実領域R1の平面形状は、本実施形態では、キャスクCの底面形状に合っている。つまり、基台16の形状を規定した鉛直軸AXを基準とすると、放熱板30の中心軸が鉛直軸AX上にあるならば、中実領域R1の中心軸も鉛直軸AX上にある。この場合、境界線BLは、互いの中心軸を鉛直軸AXに合わせてキャスクCが放熱板30上に載置されたときにキャスクCの底面の外形と同等となる円形となる。中実領域R1がこのような形状を有する場合、キャスクCの底面全体が中実領域R1への伝熱面となる。また、中実領域R1は、基台16に形成されている開口部の収納空間S1の側の開口の1つ、すなわち、第1貫通孔20aの開口に面する。
【0031】
多孔領域R2は、円板状の中実領域R1の外縁に内縁側で連接する環状の板部である。多孔領域R2は、キャスクCが載置される面である上面30aと、基台16に対向する面である下面30bとの間を貫通する複数の貫通孔32を有する。貫通孔32の貫通方向は、本実施形態では鉛直軸AXの延伸方向と平行であるが、鉛直軸AXに対して若干傾斜するものとしてもよい。また、貫通孔32の形成数は、例えば、数十から数千である。
【0032】
貫通孔32の形成例として、本実施形態では、複数の貫通孔32の開口径D6は、すべて同一である。また、多孔領域R2は、環状である外形の中心軸、例えば鉛直軸AXを基準とすると、鉛直軸AXから同一距離で、かつ、隣り合うもの同士が等間隔で並ぶ貫通孔群を、内周側から外周側に向かって複数配列している。
【0033】
具体的には、
図5に示すように、複数の貫通孔32は、多孔領域R2の内周側から外周側に向かって順に、第1貫通孔群32a、第2貫通孔群32b、第3貫通孔群32c、第4貫通孔群32d及び第5貫通孔群32eを含む。この場合、第1貫通孔群32a、第3貫通孔群32c及び第5貫通孔群32eは、それぞれに含まれる貫通孔32が、鉛直軸AXを中心として放射状に整列するものとしてもよい。同様に、第2貫通孔群32b及び第4貫通孔群32dは、それぞれに含まれる貫通孔32が、鉛直軸AXを中心として放射状に整列するものとしてもよい。このとき、第2貫通孔群32b及び第4貫通孔群32dの整列群は、第1貫通孔群32a、第3貫通孔群32c及び第5貫通孔群32eの整列群に対して、周方向で、隣り合う貫通孔32同士の間隔の半分だけずれる配置としてもよい。また、最外周に位置する貫通孔群である第5貫通孔群32eは、多孔領域R2の外周端、すなわち放熱板30の外縁30cには形成されていない。つまり、外縁30cは、鉛直方向から見て曲率半径が急変動する部分を含まない滑らかな形状を有する。
【0034】
このような条件に従えば、複数の貫通孔32は、多孔領域R2の全面に対して一様に、つまり、多孔領域R2において空隙率がほぼ一様となるように形成される。
【0035】
次に、本実施形態による作用及び効果について説明する。
【0036】
本実施形態に係るキャスクCを収納する収納容器10は、キャスクCを収納する収納空間S1と外部とに連通する開口部を有する基台16と、放熱板30とを備える。放熱板30は、収納空間S1に面する基台16の上面27に脚部34を介して設置されている。また、放熱板30には、キャスクCが載置される。放熱板30の面積は、キャスクCの底面の面積よりも大きい。放熱板30は、キャスクCの底面の少なくとも一部が接する中実領域R1と、中実領域R1よりも外周側にある多孔領域R2とを含む。
【0037】
ここで、基台16が有する開口部とは、上記の例では、第1貫通孔20a、第2貫通孔21a~26a、第1開口溝21b~26b及び第2開口溝20bを含む。また、中実領域R1がキャスクCの底面の少なくとも一部に接するとは、本実施形態では、
図6において例示したような境界線BLがキャスクCの底面の外形と同程度であることに限定されないことを意味する。例えば、境界線BLの大きさは、キャスクCの底面の外形よりも小さくてもよい。つまり、放熱板30にキャスクCが載置されたときに、キャスクCの底面の一部に面する領域にまで多孔領域R2が存在するものとしてもよい。
【0038】
まず、キャスクCは、放熱板30に載置されているので、放熱板30には、キャスクCの熱が伝達する。ここで、
図2を参照すると、基台16内の第1連通空間S2を通過して第2貫通孔21a~26aに導かれた空気は、収納空間S1に流入する。そして、そのうちの一部の空気は、放熱板30の多孔領域R2に形成されている貫通孔32に導入されて、整流される。収納空間S1内の空気は、キャスクCの外壁面に沿いながら、収納空間S1内の隙間空間を下方から上方に通過し、最終的に蓋体14に形成されている排出口14a、又は、筒状体12に形成されている切り欠き部12dから外部に排出される。このような空気の流れは、キャスクCの冷却に寄与する。このとき、多孔領域R2は、収納空間S1に流入した空気が偏った方向に流れづらくなるように、つまり、キャスクCの外壁面の一部の領域に偏って向かわないように整流することができる。したがって、このような収納容器10によれば、キャスクCを効率よく冷却させることができる。
【0039】
また、基台16内の第2連通空間S3を通過して第1貫通孔20aに導かれた空気は、放熱板30の下面30bと基台16の上面27との間の隙間を通過して、収納空間S1内の隙間空間を下方から上方に通過する空気の流れに合流する。つまり、収納空間S1に流入した空気のうち、貫通孔32を流通する以外の空気は、多孔領域R1に沿って外周側に広がって流れる。したがって、キャスクCからの熱の伝達を受けた放熱板30の多孔領域R1は、貫通孔32を流通する空気の流れに加え、多孔領域R2に沿って外周側に広がる空気の流れにより冷却される。
【0040】
また、放熱板30にキャスクCが載置されると、キャスクCの底面の少なくとも一部が中実領域R1に接するので、キャスクCと放熱板30とが接触する面積が、中実領域R1全体にまで複数の貫通孔が形成されている場合よりも増える。したがって、キャスクCの熱は、放熱板30に、より伝達しやすくなるので、放熱板30に伝達した熱を上記のような空気の流れにより放出することで、より効率よくキャスクCを冷却することができる。
【0041】
このように、収納容器10によれば、キャスクCを冷却することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る収納容器10では、中実領域R1は、キャスクCの底面の全体と接するものとしてもよい。
【0043】
このような収納容器10によれば、放熱板30とキャスクCの底面との接触面積が広くなるので、放熱板30がキャスクCからの熱を受けやすくなる。
【0044】
また、本実施形態に係る収納容器10では、中実領域R1は、基台16に形成されている開口部の収納空間S1の側の開口の1つに面するものとしてもよい。
【0045】
ここで、基台16に形成されている開口部の収納空間S1の側の開口の1つとは、上記の例では、第1貫通孔20aに相当する。
【0046】
このような収納容器10によれば、第1貫通孔20aから導かれて収納空間S1に流入した空気を、放熱板30の中実領域R1の下面30bに衝突させ、その後、放熱板30の多孔領域R2の下面30bに沿って放射状に分散させることができる。したがって、放熱板30の場所によって放熱にムラが生じることを抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る収納容器10では、多孔領域R2は、キャスクCが載置される面と、基台16に対向する面との間を貫通する複数の貫通孔32を有する板部であるものとしてもよい。
【0048】
このような収納容器10によれば、放熱板30を製造するに際しては、例えば、予め準備された板材にドリル等を用いて複数の貫通孔32を形成させるなど、公知の方法により製作できる。したがって、放熱板30の製造が容易となる。また、放熱板30の形状も簡易的となるため、製造コストを抑える点でも有利となる。
【0049】
なお、上記説明では、多孔領域R2に形成されている複数の貫通孔32のそれぞれの開口径D6がすべて同一であるものとした。また、多孔領域R2では、内周側から外周側まで貫通孔32が一様に形成されているものとした。しかし、多孔領域R2に形成されている複数の貫通孔32のそれぞれの開口径D6は、互いに異なっていてもよい。また、多孔領域R2では、内周側から外周側まで貫通孔32が一様に形成されていない、すなわち、空隙率が一様ではないものとしてもよい。この場合、多孔領域R2は、例えば、内周側から外周側に向けて複数の貫通孔32の密度が増大する、又は、反対に、外周側から内周側に向けて複数の貫通孔32の密度が増大するものとしてもよい。
【0050】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る収納容器について説明する。
図7は、本実施形態に係る収納容器40が備える放熱板50の構成を示す斜視図である。
図8は、収納容器40の鉛直方向の断面図である。なお、
図8は、第1実施形態に関する
図2に準じて描画されている。
図9は、収納空間S1内に放熱板50が設置されている状態を示す収納容器40の水平方向の断面図である。なお、
図9は、第1実施形態に関する
図6に準じて描画されている。
【0051】
第1実施形態に係る収納容器10は、複数の貫通孔32が形成されている放熱板30を備える。これに対して、収納容器40は、放熱板30に代えて、キャスクCが載置される面である上面30aに溝部54を有する放熱板50を備える。なお、本実施形態に係る収納容器40の例では、第1実施形態に係る収納容器10とは放熱板の構成のみが異なる。そこで、収納容器40のおいては、以下、収納容器10と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
放熱板50は、まず、第1実施形態における放熱板30と同様に、キャスクCの底面の少なくとも一部が接する中実領域R1と、中実領域R1よりも外周側にある多孔領域R2とを含む。ただし、本実施形態における多孔領域R2は、第1実施形態における多数の貫通孔32に代えて、6つの貫通孔52a~52fを有する。貫通孔52a~52fは、それぞれ、鉛直軸AXから同一距離で、かつ、鉛直軸AXを基準として等間隔である60°間隔で形成されている。貫通孔52a~52fは、それぞれ、第1実施形態における貫通孔32の開口径D6よりも大きい開口径D7を有する。なお、貫通孔52a~52fの大きさ、個数又は位置等は、一例であり、適宜変更しても構わない。
【0053】
ここで、貫通孔52a~52fのそれぞれの少なくとも一部は、鉛直方向視で、基台16に形成されている開口部の収納空間S1の側の開口、すなわち、第2貫通孔21a~26aの開口と重なるものとしてもよい。本実施形態では、
図9に示すように、貫通孔52a~52fと、第2貫通孔21a~26aの開口とは、それぞれ同軸上にある。
【0054】
また、放熱板50は、溝部54として、6つの溝部54a~54fを有する。溝部54a~54fは、それぞれ、幅W5の直線状に形成され、中実領域R1と多孔領域R2との間で連続する。溝部54a~54fは、それぞれ、鉛直軸AXを基準として等間隔に、鉛直軸AXから放射状に放熱板50の外縁50cまで延びている。つまり、溝部54a~54fは、中実領域R1において連続する。また、放熱板50にキャスクCが載置されている状態では、溝部54a~54fの一部は、キャスクCの底面に対向し、溝部54a~54fの他の一部は、多孔領域R2において収納空間S1に向かって開放される。
【0055】
このような収納容器40によれば、放熱板50に形成されている溝部54a~54fでは、キャスクCの底面の一部が中実領域R1から離隔する。そのため、溝部54a~54fでは、キャスクCの底面からの熱の多くが、放熱板50自体に伝達するよりも、溝部54a~54fを流通する空気に伝達される。このキャスクCから熱を受けた空気は、溝部54a~54fを通じて、多孔領域R2の上面50aに面する収納空間S1内に放出される。つまり、放熱板50は、キャスクCの底面側の熱を、放熱板50自体の伝熱だけでなく、流体媒体である空気によっても外部に放出させることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る収納容器10では、溝部54a~54fは、放熱板50の中実領域R1から多孔領域R2に向けて放射状に形成されるものとしてもよい。
【0057】
このような収納容器10によれば、キャスクCの底面からの入熱で暖められた溝部54a~54fにある空気は、溝部54a~54fの出口であるキャスクCの外周方向に流れる。つまり、流れ出た空気の分だけ、溝部54a~54fの放熱板50の側から冷たい空気が流入することとなる。そのため、キャスクCの底面と接する放熱板50の上面50aにおいて、放熱板50の中実領域R1から多孔領域R2に向かう空気の流れを生じさせることができる。これにより、放熱板50に整流作用を付加させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る収納容器10では、貫通孔52a~52fは、基台16に形成されている開口部の収納空間S1の側の開口と同軸上にあるものとしてもよい。
【0059】
ここで、基台16に形成されている開口部の収納空間S1の側の開口とは、上記の例では、第2貫通孔21a~26aに相当する。
【0060】
このような収納容器10によれば、第2貫通孔21a~26aから収納空間S1内に流入した空気は、直接的に放熱板50の貫通孔52a~52fに向けて導かれる。したがって、放熱板50に伝達された熱を、放熱板50の多孔領域R2側から、より効率よく収納空間S1内に放出することができる。特に、貫通孔52a~52fと、基台16に形成されている開口部の収納空間S1の側の開口とが同軸上にあれば、より効率性が増す。
【0061】
なお、上記説明では、放熱板50は、それぞれ鉛直軸AXから同一距離の貫通孔52a~52fを有するものとした。しかし、放熱板50は、多孔領域R2に形成されるのであれば、例えば、更に鉛直軸AXからの距離が異なる別の複数の貫通孔を有するものとしてもよい。この場合、貫通孔の配列ごとに開口径D7を異ならせてもよい。また、溝部54a~54fがそれぞれ直線状であるものとしたが、例えば曲線状であってもよい。また、放熱板50が6つの溝部54a~54fを有するものとしたが、1つ、又は、6つ以外の複数有するものとしてもよい。また、上記説明では、放熱板50の上面50aにおいて、6つの溝部54a~54fが、鉛直軸AXを基準として6つの貫通孔52a~52fとは30°ずれる位置に配置されるものとした。しかし、厳密には、6つの溝部54a~54fと6つの貫通孔52a~52fとは、鉛直軸AXを基準として必ずしも等間隔でずれる必要はなく、又は、6つの溝部54a~54fが、それぞれ6つの貫通孔52a~52fに連通するものとしてもよい。
【0062】
また、例えば、溝部54a~54fの交わる位置に、空気を連通させるべく、開口部を設けてもよい。また、溝部54a~54fの交わる位置に限らず、溝部54a~54fのそれぞれに開口を設けてもよい。
【0063】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る収納容器について説明する。
図10は、本実施形態に係る収納容器が備える放熱板60の構成を示す斜視図である。第1実施形態における放熱板30では、多孔領域R2に複数の貫通孔32が形成されている。これらの貫通孔32は、上記のとおり、例えば、予め準備された板材にドリル等を用いて形成されたものである。これに対して、本実施形態に係る収納容器は、放熱板30に代えて、多孔領域R2がドリル等で形成される貫通孔とは異なる複数の隙間を有する構造部である放熱板60を備える。なお、本実施形態に係る収納容器の例では、第1実施形態に係る収納容器10とは放熱板の構成のみが異なる。放熱板60の全体寸法は、第1実施形態における放熱板30と同等である。また、放熱板60に設置されている脚部34は、放熱板30に設置されているものと同一である。
【0064】
本実施形態では、多孔領域R2には、
図10に示すように、縦横一定の開口寸法を有する複数の隙間62が形成されている。ここで、縦横一定とは、例えば、X方向に沿って平行な辺と、Y方向に沿って平行な辺との組み合わせで構成され、X方向の長さとY方向の長さとがおおよそ同一であることをいう。なお、
図10では、隙間62の開口幅をW6と表記している。これらの隙間62は、キャスクCが載置される側と、基台16に対向する面との間を貫通する。ここで、多孔領域R2の具体的な構造としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
【0065】
まず、複数の隙間62は、予め準備された放熱板60全体の大きさに合わせた板材に対して切削加工等により形成されてもよい。この場合、隙間62の開口幅W6の寸法を容易に変更可能である。また、隙間62の開口寸法の縦横比、すなわち、X方向の開口幅W6とY方向の開口幅W6とを互いに異ならせることも容易となる。
【0066】
又は、多孔領域R2は、当初、中実領域R1とは別の構造体として準備されてもよい。多孔領域R2に相当する部分としては、例えば、X方向に沿って延伸する複数の長板部材と、Y方向に沿って延伸する複数の長板部材とを互いに一定間隔で組み合わせることで、開口幅W6を有する複数の隙間62を形成するものとしてもよい。なお、この場合も、隙間62の開口寸法の縦横比、すなわち、X方向の開口幅W6とY方向の開口幅W6とを互いに異ならせることで、隙間62の開口形状を、いわゆるスリット状としてもよい。このようにして製造された多孔領域R2と、予め準備された円板状の中実領域R1とが、ボルト等により連結されることで、最終的な放熱板60が製造される。
【0067】
更に、多孔領域R2は、複数の長板部材を組み合わせて構成される上記のような構造体に代えて、複数の金属製の針金を編み込んで形成された金網状の構造体としてもよい。この場合、金網に形成されている複数の隙間が、空気を流通させる隙間62に相当する。多孔領域R2を構成する金網として例えば既製品を用いることで、放熱板60の製造コストを抑えることができる。
【0068】
なお、上記の各実施形態では、放熱板30等の各放熱板の全体形状を、キャスクCの水平方向の断面形状、又は、円筒状の内側面12bの形状に合わせて、円板状としている。しかし、各放熱板の全体形状は、これに限られるものではなく、収納容器10等内に収納するキャスクCの形状、又は、筒状体12の内側面12bの形状によっては、円板状以外の板状部材であってもよい。
【0069】
(集積体)
次に、一実施形態に係る集積体について説明する。
図11は、本実施形態に係る集積体100の構成を示す斜視図である。
【0070】
集積体100は、上記の各実施形態に係る複数の収納容器10等を地盤上に集積して配置した収納容器群である。例えば、集積体100は、複数の収納容器10を備える場合、互いに隣り合う、第1キャスクを収納する第1収納容器10aと、第2キャスクを収納する第2収納容器10bと、第3キャスクを収納する第3収納容器10cとを含む。第1収納容器10a、第2収納容器10b及び第3収納容器10cは、全体形状が略6角柱状である。そのため、集積体100では、第1収納容器10aが備える筒状体12、第2収納容器10bが備える筒状体12、及び、第3収納容器10cが備える筒状体12は、それぞれ、他の2つの筒状体12に対面し、ハニカム状に配置される。
【0071】
上記のとおり、収納容器10において、蓋体14は複数の排出口14aを有し、筒状体12は外側面12aに溝部12cを有する。そのため、複数の収納容器10が、
図11に示すように互いに近接して集積配置された場合でも、隣り合う収納容器10同士の溝部12cが互いに対向し、空気の流路FPが形成される。
【0072】
このような集積体100によれば、複数の収納容器10を外側面同士で近接させて、ハニカム構造で集積配置させることができるので、より少ない占有スペースで多くの収納容器10を配置することができる。
【0073】
また、集積体100によれば、キャスクCを冷却可能な収納容器10を集積するので、集積体100全体として複数の収納容器10を集積させても、キャスクCを冷却するのに有利となり得る。
【0074】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
10,40 収納容器
12 筒状体
16 基台
20a 第1貫通孔
20b 第2開口溝
21a~26a 第2貫通孔
21b~26b 第1開口溝
27 上面
30,50,60 放熱板
30a 上面
32 貫通孔
52a~52f 貫通孔
54a~54f 溝部
62 隙間
C キャスク
R1 中実領域
R2 多孔領域