(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】単焦点眼科用レンズの使用指標値を決定する方法
(51)【国際特許分類】
G02C 7/02 20060101AFI20220311BHJP
G02C 7/00 20060101ALI20220311BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20220311BHJP
G02B 5/23 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
G02C7/02
G02C7/00
G02C7/10
G02B5/23
(21)【出願番号】P 2018518448
(86)(22)【出願日】2016-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2016074084
(87)【国際公開番号】W WO2017060480
(87)【国際公開日】2017-04-13
【審査請求日】2019-10-07
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ユベール
(72)【発明者】
【氏名】カトリーヌ・デルボワ
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・ボワフィエ
(72)【発明者】
【氏名】オード・カレガ
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-518180(JP,A)
【文献】特開2001-027744(JP,A)
【文献】国際公開第99/040526(WO,A1)
【文献】特開2009-230699(JP,A)
【文献】特開2001-318349(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0090623(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0293220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
G02B 5/23
G02B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近視の装用者の視力を矯正するように適応された単焦点眼科用レンズの使用指標値を決定する方法であって、
- 前記単焦点眼科用レンズの光学プロファイルが決定される、光学プロファイル提供ステップ(S1)と、
- 前記単焦点眼科用レンズの材料プロファイルが決定される、材料プロファイル提供ステップ(S2)と、
- 前記光学プロファイル及び材料プロファイルの物理パラメータの中の少なくとも1つの物理パラメータが決定される、物理パラメータ決定ステップ(S3)と、
- 前記少なくとも1つの物理パラメータによってもたらされる少なくとも2つの改善が、前記単焦点眼科用レンズを装用するときの物理的快適さ、視覚的快適さ、観察者から見た眼の外観、審美性、眼精疲労、及び、器具の交換の、前記装用者の不満足の少なくとも6つの評価基準について評価される、改善査定ステップ(S4)と、
- 前記少なくとも
6つの評価基準に関して査定された改善を加算することによって使用指標の値が決定される、使用指標値決定ステップ(S5)と
を含み、
前記物理的快適さは、レンズの少なくとも1つの測定された物理的パラメータであり、
前記視覚的快適さは、視野制限、球面収差、有効な矯正の空間シフトの原因となる、器具上での眼の位置決め不良の少なくとも1つであり、
前記眼の外観は、レンズを通した装用者のこめかみのシフト、着用者の眼の有効な拡大、眼の色、顔面の変形、レンズによって反射される光のレンズ透過率、平均光反射率、色相角、彩度の少なくとも1つであり、
前記審美性は、決められたレンズの基底、フレームの基底、レンズ縁部の厚さを含むレンズの厚さ、レンズの測定された透過及び反射特性、レンズの測定された透明度、測定されたレンズの色相、レンズの測定された帯電防止特性と測定された疎水性の少なくとも1つであり、
前記眼精疲労は、レンズに示される測定された屈折力等高線、測定されたレンズのずれる角度、視野の幅、汚れたレンズのうちの少なくとも1つであり、
前記器具の交換は、測定されたレンズの幾何学形状及びサイズ、及び、制限されたフレームの選択の少なくとも1つである、方法。
【請求項2】
前記使用指標値は、各改善の加重合計として決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの物理パラメータは、前記単焦点眼科用レンズの2つの面の表面の形状、前記単焦点眼科用レンズの光学的視野の幅、可視スペクトルにわたる前記単焦点眼科用レンズの光学透過率、前記単焦点眼科用レンズの縁部厚さ、前記可視スペクトルにわたる前記単焦点眼科用レンズの平均光反射率、前記単焦点眼科用レンズによって反射される光の、15°の入射角で前記単焦点眼科用レンズに到達するときの彩度、前記単焦点眼科用レンズの重量、単焦点眼科用レンズ基板の屈折率、眼鏡フレームに嵌め込むためにエッジングされた状態の前記単焦点眼科用レンズの大きさ、30°以下の入射角での前記単焦点眼科用レンズの色相角の値から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
装用者による眼科用レンズの選択を支援する方法であって、前記装用者は、最初に第一の眼科用レンズを含む第一の眼鏡が提供され、前記装用者は、前記第一の眼科用レンズを第二の眼科用レンズに交換することを希望する、方法であって、
- 請求項1~3の何れか一項に記載の方法における使用指標値を決定する方法が前記第一の眼科用レンズに適用される、第一の使用指標の値を決定するステップと、
- 請求項1~3の何れか一項に記載の方法における使用指標値を決定する方法が第二の眼科用レンズに適用される、少なくとも第二の使用指標
の値を決定するステップと、
- 前記第二の眼科用レンズが前記装用者に供給され、前記第二の使用指標の値が前記第一の使用指標
の値より
高い満足の程度、又は、低い不満足の程度を反映する、眼科用レンズを提供するステップと
を含む方法。
【請求項5】
前記第一の眼科用レンズ及び第二の眼科用レンズは、単焦点眼科用レンズである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の眼科用レンズ及び第二の眼科用レンズは、同じマイナス屈折力を有する、請求項4又は5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、装用者の眼の近視矯正専用の単焦点眼科用レンズの使用指標を決定する方法であって、前記使用指標は、レンズを装用するときの装用者の満足を表す、方法と、マイナス屈折力の単焦点眼科用レンズであって、審美性と、特に既知の単焦点眼科用レンズと比較して装用者にとって改善された装用の快適さとを確保する、単焦点眼科用レンズとに関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、後に記載及び/又は特許請求する本発明の様々な態様に関係し得る当技術分野の様々な態様を読者に紹介するためのものである。この説明は、本発明の各種の態様のよりよい理解を促進する背景情報を読者に提供するのに役立つと考えられる。したがって、これらの表明はそれに鑑みて読まれるものとし、先行技術の承認として読まれるべきではないことを理解すべきである。
【0003】
長年にわたり、一部のアジア地域における近視の割合の高さが報告されてきたが、最近の刊行物では、アジア全域だけでなく、米国及び欧州におけるこのような状態の重要性及び増加に強調されている。その結果、近視患者の数は2020年までに世界人口の4分の1を超えると見込まれる。日常生活にさらに影響する視覚の質の喪失は、眼の病気及び視力を失うリスクの増加を伴う近視強度の増大が予想されることから、最大の問題となっている。しかしながら、一部の近視患者は、装用の心地悪さ及び審美性の問題から、矯正レンズを装用しない。
【0004】
近視用レンズが原因となる審美性の問題は多く、例えば、従来の矯正レンズを含む眼鏡を着用している眼科患者の観察者は、こめかみ側のその縁部でレンズを通じて見える像が途中で途切れる(ジャンプする)のがわかる。そうでなければ、マイナス度数のレンズの縁部の厚さは、レンズの光学屈折力と共に急激に増大する。その見た目の悪さの点以外に、厚いレンズはまた、レンズの重量が重いため、快適さの問題の原因ともなる。
【0005】
縁部が厚いレンズにより生じる問題を克服するために、近視患者はサイズの小さいレンズを選択し得る。この場合、近視患者に対してその眼科用具を選択する上で助言を行う当業者は、サイズの小さいレンズと縁部の厚いレンズとの組合せにおいて提案できる眼鏡フレームの種類が制限される。
【0006】
現在、近視の矯正レンズ装用者の40%超が、自らが装用しているレンズに不満足である。本発明による眼科用レンズは、装用者の少なくとも45%を満足させることができる。これは、従来技術のマイナス度数の眼科用レンズに付与される使用指標と比較した、本発明による眼科用レンズに付与される使用指標における改善に反映される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、眼科用レンズを装用するときの近視装用者の満足(不満足)に関する多要素を提供する方法を提供する必要があることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、近視装用者の視力を矯正するように適応された単焦点眼科用レンズの使用指標値を決定するための、コンピュータ手段により実行される方法において、
- 前記眼科用レンズの光学プロファイルが決定される、光学プロファイル提供ステップ(S1)と、
- 前記眼科用レンズの材料プロファイルが決定される、材料プロファイル提供ステップ(S2)と、
- 前記光学プロファイル及び材料プロファイルの物理パラメータの中の少なくとも1つの物理パラメータが決定される、物理パラメータ決定ステップ(S3)と、
- 少なくとも1つの決定された物理パラメータによってもたらされる少なくとも2つの改善が、前記眼科用レンズを装用するときの前記装用者の不満足の少なくとも1つの評価基準について評価される、改善査定ステップ(S4)と、
- 評価基準に関して査定された改善を加算することによって指標値の値が決定される、使用指標値決定ステップ(S5)と
を含むことを特徴とする方法を提案する。
【0009】
有利には、前記単焦点眼科用レンズは、マイナス屈折力を有し、且つ近視患者の視力を矯正するように適応されている。
【0010】
有利には、前記少なくとも1つの評価基準は、装用者の物理的快適さ、装用者の視覚的快適さ、装用者の外観、装用者の審美性、装用者の眼精疲労、及びレンズ更新要素から選択される。
【0011】
有利には、前記少なくとも1つの物理パラメータは、レンズの2つの面の表面の形状、前記レンズの光学的視野の幅、可視スペクトルにわたるレンズの光学透過率、レンズの縁部厚さ、可視スペクトルにわたるレンズの平均光反射率(Rv)、レンズによって反射される光の、15°の入射角でレンズに到達するときの彩度、前記レンズの重量、レンズ基板の屈折率、眼鏡フレームに嵌め込むためにエッジングされた状態の眼科用レンズの大きさ、30°以下の入射角でのレンズの色相角の値から選択される。
【0012】
前記装用者は、最初に第一の眼科用レンズを含む第一の眼鏡が提供され、前記第一の装用者は、前記第一の眼科用レンズを第二のレンズに交換することを希望している。
【0013】
有利には、装用者による眼科用レンズの選択を支援する方法は、
- 先行する請求項の1つに記載の使用指標値を決定する方法が前記第一のレンズに適用される、第一の使用指標の値を決定するステップと、
- 先行する請求項の1つに記載の使用指標値を決定する方法が第二の眼科用レンズに適用される、少なくとも第二の使用指標を決定するステップと、
- 第二の眼科用レンズが装用者に供給され、前記第二の使用指標の値が前記第一の使用指標の値より大きい、眼科用レンズを提供するステップと
を含む。
【0014】
有利には、前記第一及び第二のレンズは、単焦点眼科用レンズである。
【0015】
有利には、前記第一及び第二のレンズは、同じマイナス屈折力を有する。
【0016】
したがって、本発明の目的は、少なくとも反射防止コーティングを含む有機材料の基板を含む眼科用レンズの開発を追求することにより、上記の欠点を是正することであり、前記反射防止コーティングは、可視領域で非常に良好な反射防止性能を有し、同時に光の入射角に関係なく両方の良好な審美性を確保する。
【0017】
本発明は、したがって、前面と後面とを有する透明基板を含む眼科用レンズに関し、前記面の少なくとも1つは、1.5以上の屈折率を有する少なくとも1つの層と、1.5未満の屈折率を有する少なくとも1つの層とを含む積層体を含む多層反射防止コーティングで被覆され、
- 可視領域における平均光反射率Rvは、35°未満の入射角、典型的に15°の入射角について0.5%以下、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.3%以下であり、
- 彩度C*は、15°の入射角(一般に0°~25°の入射角、特に0°~20°の入射角)について、国際表色系CIE L*a*b*により18以上、好ましくは20以上である。
【0018】
本発明はまた、マイナス屈折力の単焦点眼科用レンズであって、
- 光学プロファイルであって、
- 非球面を有する前面と、
- 非球面を有する後面と
を有する二重非球面レンズを含む光学プロファイルと、
- 材料プロファイルであって、
- 屈折率が1.56以上の基板と、
- 0.5%以下の可視領域における平均光反射率Rvを有する反射防止コーティングと、
- 10nm未満の厚さを有する帯電防止コーティングと、
- 112°より大きい水接触角を有する疎水性コーティングと
を含む材料プロファイルと
を含む単焦点眼科用レンズにも関する。
【0019】
有利には、前記基板の屈折率は1.60以上であり、及び
前記反射防止コーティングは、
- 30°以下の入射角について260°~325°、好ましくは275°~325°、好ましくは290°~310°に含まれる色相角(h)も有し、
前記反射防止コーティングは、
- 15°の入射角でレンズにおいて反射する光が15以上、好ましくは20以上の彩度(C*)を有するようなものである。
【0020】
有利には、前記材料プロファイルは、耐擦傷コーティング層であって、その屈折率が基板の屈折率に合わせて調整される、耐擦傷コーティング層をさらに含む。
【0021】
有利には、前記レンズは、UV光、及び/又は青紫光、及び/又は青色光、及び/又は近赤外光を含む特定の波長範囲を吸収又は発することができる染料、顔料、光学増白剤、及び吸収剤から選択される少なくとも1つの化合物を含む選択的フィルタリング手段をさらに含み、且つ/又は任意選択により、フォトクロミックティント、エレクトロクロミックティント等のパッシブ若しくはアクティブであり得るティント機能、及び/又は任意選択により、偏光機能を含む。
【0022】
有利には、前記レンズの非球面の少なくとも1つは、回転対称を有する。
【0023】
有利には、非球面の少なくとも1つは、それが前記装用者の装用条件に個別に適応されるように決定される。
【0024】
本発明の眼科用レンズにより、使用指標の決定において考慮される評価基準の各々に起因する問題に対する技術的解決策を提供することができる。
【0025】
有利には、本発明のレンズにおいて使用される技術的手段の適応された組合せは、全体的な使用指標を最適化することにより、近視装用者の期待を満たすことができる。慣習的に、最適なレンズは、使用指標の最も高いレンズに対応すると考えられ得る。使用指標の最高値は、各種の評価基準について考慮された改善間のバランスを考慮することによって到達され得る。
【0026】
本発明は、添付の固有の図面と併せて、決して限定的ではない以下の実施形態及び実施例によってよりよく理解され、且つ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明のある実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、近視装用者の視力を矯正するように適応された眼科用レンズの使用指標を決定するための、例えばコンピュータ手段により実行される方法に関する。眼科用レンズは、典型的に、装用者によって装用される眼鏡フレームに取り付けるように適応された単焦点マイナス屈折力眼科用レンズである。レンズは、眼鏡が装用されたときに装用者の眼の一方の正面に配置される。
【0029】
図1に示されているように、本発明による方法は、少なくとも、
- 光学プロファイル提供ステップS1と、
- 材料プロファイル提供ステップS2と、
- 物理パラメータ測定ステップS3と、
- 改善査定ステップS4と、
- 使用指標値評価ステップS5と
を含む。
【0030】
レンズの光学プロファイルは、光学プロファイル提供ステップ中に提供される。
【0031】
レンズの光学プロファイルは、ある基板屈折率について、そのレンズによってもたらされる視力矯正の適格性を評価する、レンズの少なくとも1つの物理パラメータを含む。
【0032】
ある実施形態において、レンズの光学プロファイルは第一及び第二の形状を含み、第一の形状はレンズの前面の形状であり、第二の形状はレンズの後面の形状である。
【0033】
ある実施形態において、第一の形状は、非球面形状、又は球面形状、又はトーリック形状である。
【0034】
ある実施形態において、第二の形状は、非球面形状、又は球面形状、又はトーリック形状である。
【0035】
ある実施形態において、第一の形状は回転非対称である。
【0036】
ある実施形態において、第二の形状は回転非対称である。
【0037】
レンズの材料プロファイルは、材料プロファイル提供ステップ中に提供される。
【0038】
レンズ材料プロファイルは、レンズ、基板、及びコーティング上にある材料の適格性を評価する少なくとも1つの物理パラメータを含む。
【0039】
ある実施形態において、レンズの材料プロファイルは、
レンズ基板の屈折率の値、及び/又は
レンズ上に配置された反射防止コーティングの可視領域における平均光反射率(Rv)の値、及び/又は
レンズ上に配置された帯電防止コーティングの厚さの値、及び/又は
レンズ上に配置された疎水性コーティングの接触角の値
を含む。
【0040】
前記光学プロファイル及び材料プロファイルの物理パラメータの中の少なくとも1つの物理パラメータは、物理パラメータ測定ステップ中に測定又は決定される。
【0041】
例えば、レンズの重量は直接測定されてもよい。レンズの幾何学形状(エッジング後のレンズの輪郭形状)は、フレーム製造者によって提供されてもよい。
【0042】
少なくとも1つの決定された物理パラメータによってもたらされる少なくとも1つの改善は、改善査定ステップ中、前記眼科用レンズを装用するときの前記装用者の不満足の少なくとも1つの評価基準について評価される。
【0043】
例えば、使用指標は、少なくとも6つの評価基準を評価することによって決定される。
・主として以下の理由による装用者の不満足の原因として表現される物理的快適さ:
〇眼の正面でのレンズの不適当な位置決め、
〇眼の正面に設置されたときのレンズの不安定性(レンズのずれ)、
〇レンズの重量、
・主として以下の理由による装用者の不満足の原因として表現される視覚的快適さ:
〇レンズ及びそれに伴う眼鏡フレームの寸法が小さいことによる装用者の全体的視野の制限、
〇球面収差の存在によるレンズを通じた最適でない視野、
〇有効な矯正の空間シフトの原因となる、器具上での眼の位置決め不良による見づらさ、
・主として以下の理由による装用者の不満の原因として表現される観察者から見た眼の外観:
〇眼の形状、大きさ、及び色の不自然な見え方、
〇レンズのこめかみ側における顔面の不連続性の原因となる、レンズを通して見たときの顔面の変形、
・主として以下の理由による装用者の不満足の原因として表現される審美性:
〇レンズ縁部の厚さ、
〇レンズの基底とフレームの基底との間の適合不良:フレームの基底は典型的に4であり、近視矯正用単焦点レンズのそれらは通常2までである、
〇透明性及び残留反射色、
〇「汚れたメガネ」の印象を与えるレンズ上の埃及び/又は汚れの存在、
・主として以下の理由による装用者の不満足の原因として表現される眼精疲労:
〇屈折力等高線間の視野の幅の減少、
〇装用者の視野を妨害する散乱が残るレンズのクリーニングしにくさ、
・主として装用者に適応されるフレームがないことによる装用者の不満足の原因として表現される器具の交換。
【0044】
これらの6つの基準は、近視装用者のフレームに嵌め込まれることが意図されるレンズの光学プロファイル及び材料プロファイルの物理パラメータに関連付けることができる。
【0045】
物理的快適さは、レンズの重量、レンズの位置及び大きさ等のレンズの測定可能な物理パラメータの直接的な結果であってもよい。例えば、レンズが重いほど、物理的不快の改善は低くなる。
【0046】
レンズの装用者の正面にいる観察者から見た眼の外観は、レンズを通した装用者のこめかみのシフトと、その眼の有効な拡大とによって評価されてもよい。レンズの透明度は、特に指定の入射角でレンズによって反射される光のレンズ透過率(Tv)、平均光反射率(Rv)、彩度(C*)、及び色相角(h)を測定することにより適格性が評価されてもよい。例えば、平均光反射率の値が高いほど、外観の改善は低くなる。
【0047】
審美性は、レンズの基底、フレームの基底、レンズ縁部の厚さを含むレンズの厚さの測定を通じて、且つレンズの透過及び反射特性(Tv、Rv、C*、h)並びに帯電防止特性(導電性)及び疎水特性(水接触角等)の尺度の測定値により測定されてもよい。例えば、平均光反射率の値が高いほど、審美性の改善は低くなる。
【0048】
眼精疲労は、特にレンズ上に示される屈折力等高線から測定可能であり、レンズのクリーニングの難しさによる視覚的疲労の認識の原因となり得る視覚的不快は、レンズのずれる角度の測定により適格性が評価されてもよい。例えば、屈折力等高線が近いほど、眼精疲労の改善は低くなる。
【0049】
最後に、フレーム選択幅の減少を含む関係器具の更新は、レンズの幾何学形状及び大きさを介して直接測定される。この基準に関して理解すべき点として、レンズの大型化は、それが物理的快適さの基準(特にレンズの重量に関連付けられる)等の不満足の他の基準の増大の原因になる場合、実現すべきではない。
【0050】
最後に、使用指標値は、使用指標値評価ステップ中、評価基準について査定された改善を加算することによって決定される。
【0051】
この使用指標値は、例えば、査定された改善の加重合計として表現される。評価基準に付与される重みは、装用者の1つの特定の評価基準に対する感度を考慮して個人化されてもよい。自らの見た目に特に関心のある装用者の場合、眼精疲労の重みが0.1であるとき、審美性及び外観の重みは例えば0.3であってもよい。
【0052】
上述の方法は、装用者が自らに最もよく適合するレンズを選択する際に支援を提供するのに特に有益である。
【0053】
近視装用者が、アイケア専門(ECP)店又はインターネット上のウェブサイトで自らの視力矯正のための1つのレンズをその中から選択した3種類のレンズ(以下、第一、第二、及び第三のレンズという)を考える。本発明による方法を第一のレンズ、第二のレンズ、及び第三のレンズについて連続的に実行することにより、3つのレンズの各々の使用指標値が提供される。次に、使用指標値に基づいて、装用者は自らのニーズに最もよく適合するレンズを容易に特定できる。構成により、これは使用指標がより高いレンズである。
【0054】
この方法はまた、レンズ交換時にも有益である。装用者はまず、自らの現在のレンズの使用指標を決定してもよい。次に、利用可能なレンズの中から、使用指標の値がより高い次のレンズを選択してもよい。
【0055】
本発明を説明するために本発明による眼科用レンズ又は従来の単焦点眼鏡レンズの何れかを含む眼鏡器具が装用者試験で評価される。試験を行う装用者は、最後に、上述の6つの基準に従って各被検レンズを評価することにより、上述の使用指標を付与しなければならない。このような多要素評価の結果の例を下表に示す。
【0056】
第三の欄の枠内の「+」の数が多いほど、それに対応する基準の不満足の改善がより重要である。
【0057】
【0058】
各下位基準について「+」の数がカウントされ、したがって、それに対応する使用指標の値は以下のようになる:
UILens1=(2+2+3+2+3+2+2+2+3+2+2+3+3+3+3)=37。
【0059】
本発明による方法の第二の例を以下に説明する。ごく簡単に言えば、これは、上述の例から、各基準が事前に重み付けされ、上述の列の各行の「+」の合計も装用者にとっての基準の各々の相対的重要性を考慮に入れるように重み付けされるという点で異なる。これらの重みを付与する方法は、Patrice Temblay及びBenjamin Beauregardによる論文:<<Application du modele Tetraclasse aux resultatsde sondage d’un organime public:le cas de la regie des rentes au Quebec>>Sept.2006 Regie des rentes du Quebec Centre d’expertise des grands organismesからわかる。この論文は、顧客満足測定ツールの利用方法を示しており、モデルテトラは1997年にSylvie Llosaにより初めて提示された。このモデルの実践上の根拠は、満足に対する要素の非対称的貢献の理論に基づいている。非対称モデルは、従来のモデル(すなわち、対称)と比較して有利であり、これは、特にそれらによって満足又は不満足に対する特定の次元の影響を明確にできるからである。
【0060】
本出願人の目的のために、上の第一の欄に挙げられたすべての基準は4つのグループに分けられる。各グループには、2つの直交軸に沿った同程度の重要性を有する基準がまとめられる。例えば、第一の(例えば、垂直)軸は、「その基準が満足に与える影響」を示し、第二の(例えば、水平)軸は、「その基準が不満足に与える影響」を示す。この表現に従い、平面を4つのセクタに分けてもよく、基準をこの平面上で、大規模な定性的装用者調査に従ってこれらの軸に関して位置付けてもよい。考慮すべき第一のグループは、満足に対する影響がより高く、且つ不満足に対する影響がより高い基準のグループである。考慮すべき第二のグループは、満足に対する影響がより低く、且つ不満足に対する影響がより高い基準のグループである。考慮すべき第三のグループは、満足に対する影響がより高く、且つ不満足に対する影響がより低い基準のグループである。考慮すべき第四のグループは、満足に対する影響がより低く、且つ不満足に対する影響がより低い基準のグループである。
【0061】
第一のグループに属する基準に関する下位基準のすべてに重み4を、第二のグループに属する基準に関するすべての下位基準に重み3を、第三のグループに属する基準に関するすべての下位基準に重み2を、第四のグループに属する基準に関するすべての下位基準に重み1を付与することにより、装用者のニーズをよりよく表す使用指標が得られる。
【0062】
例えば、「物理的快適さ」に重み4が付けられ、視覚的快適さに重み4が付けられ、審美性には重み3が付けられ、「視覚的疲労」に重み2が付けられた場合、これらの対応する重みを考慮することによって計算される使用指標は、2種類のレンズ、例えば従来のレンズ及び後述の本発明のレンズの1つを容易に、より正確に比較できる。これは、特定の人々のニーズ及び希望に適応された多要素指標を提供する、この方法の驚くべき利点である。
【0063】
本発明のレンズは、
・従来技術のレンズより薄型であり、したがってより軽量であり、より平坦であり、また球面収差のより小さいレンズを実現できる二重非球面レンズ(第一及び第二の形状は非球面計状である)、
・従来技術のレンズより軽量であり、より薄型のレンズを実現する、1.56以上、又は1.6以上、好ましくは1.67以上の屈折率を有するレンズ基板
を含む。
【0064】
本発明による眼科用レンズは、装用者の視覚的認識を改善し、及び/又は視覚的快適さを改善するために使用できる。
【0065】
重量及び厚さの面のよりよい性能により、したがって、上で考慮された6つの評価基準の各々に影響を与えることによって使用指標の改善を生じさせる。
【0066】
このようなレンズはまた、装用者の顔によりよくフィットする。ずれが限定され、したがって物理的及び視覚的快適さが改善される。レンズ位置の安定性は、有効な矯正の空間的オフセットを限定し、したがって、装用者がそのレンズを通して見たときに正面を見るための屈折力を有する。
【0067】
このような重量及び厚さの改善により、より大型のレンズの製作を考えことが可能となり、これらのグラスを受けることのできる利用可能なフレームの範囲が広がる。提供範囲が広いことは、レンズの回転率を高めることに関係する要素を表し、それは装用者にとって直接的な利益を有する。
【0068】
本願において、基板/コーティングの「上」にあるか、又は基板/コーティングの「上」に堆積されている、以下に該当するコーティングはコーティングと定義される:
(i)基板/コーティングの上方に位置付けられ、
(ii)基板/コーティングと必ずしも接触しておらず、すなわち、基板/コーティングと対象のコーティングとの間に1つ又は複数の中間コーティングがあってもよい(前記基板/コーティングと接触していることが好ましい)。
【0069】
「層1が層2の下に示されている」とき、層2は基板から層1より遠くにあることが理解される。同様に、「外側の」と呼ばれる層は、基板から「内側の」と呼ばれる層より遠くにある。
【0070】
反射防止コーティングは、製品の表面上に堆積され、最終製品の反射防止特性を改善するコーティングと定義される。これは、可視スペクトルの比較的広い部分にわたり、製品-空気界面への光の反射を低減させることができる。好ましくは、光の平均反射率Rvは片面あたり2.5%未満である。
【0071】
RvはISO 13666:1998標準で定義され、ISO 8980-4に従って(17°未満、典型的に15°未満の光の入射角について)測定される。Rvは、好ましくは2%未満であり、ほとんどのRvは1.5%未満であり、さらによりよいRvは1%未満である。よく知られているように、反射防止コーティングは、典型的に誘電材料の単層又は多層積層物を含む。これらは、好ましくは、高屈折率(HI)の層及び低屈折率(BI)の層を含む多層コーティングである。このようコーティングの形成、その厚さ、及び堆積方法は、特に特許出願国際公開第2010/109154号パンフレットに記載されている。
【0072】
レンズ後面で反射され、装用者の眼に到達し得る光線は、30°~45°の範囲の狭い入射角範囲を有する(斜入射)と認められる。
【0073】
加えて、レンズの曲率及び入射の数値に応じて、各レンズの多層反射防止コーティングの残留反射色は、レンズの表面全体にわたる色が均一でないように見える(「カメレオン効果」)。レンズの左右部分間の異なる残留反射色、例えば異なる色相「h」の色勾配(例えば、青から赤への色変化が同じでない)又は異なる色強度の色勾配(例えば、飽和色からより飽和度の低い色への変化又はその逆)は、入射角θに応じて観察者により見られ得る。したがって、例えば、レンズ装用者を見ている観察者にとって、レンズ表面の残留反射色が均一に認識されるようにすることにより、このようなレンズの審美的外観を改善することが望ましいであろう。
【0074】
したがって、先行技術の反射防止コーティングに対して、少なくとも可視領域と、場合によりUVA及びUVBバンド内で非常によい反射防止特性とを有し、同時に入射角に関係なく堅牢特性及び審美的外観を有する新規な反射防止コーティングを提供することが依然として必要である。
【0075】
何れの理論にも拘束されることなく、本発明による反射防止コーティングは、十分な飽和色である残留反射色を有し、それにより、製造工程中、特に産業規模で発生し得る2枚のレンズ(前記反射防止コーティングを有する)間の(見ている観察者により)認知される前記反射防止コーティングの残留反射色のばらつきを克服すると思われる。
【0076】
好ましくは、多層反射防止コーティングの色相(h)は、35°未満、好ましくは30°未満、特に25°未満、典型的に20°以下の入射角について、国際標準表色系CIE L*a*b*により275°~325°、好ましくは280~320°、より好ましくは290°~318°、典型的に295°~315°、特に298°~314°、例えば300°~305°である。
【0077】
したがって、本発明の反射防止コーティングは、入射角に応じてスムーズに認識される残留色変化を示す。
【0078】
以下の例に示されるように、反射防止コーティングの色相hは実質的に一定であり、すなわち、0°~30°で変化するに入射角について典型的に280°~320°、特に295°~315°である。実際に、入射角が0°~30°で変化するときの認識される残留反射色は、正常な視力を有する観察者にとって「同じ」である。反射防止コーティングの色相が30°より高い入射角について変化し始めた場合、彩度C*は非常に低く(11以下)、すなわち、認識される残留反射色は非常に薄く、それによって残留反射色は観察者にとって認識されず、ほとんど気付かれない。そのため、本発明によるレンズの反射防止コーティングの残留反射色は、入射角に関係なく均一である。したがって、これは良好な審美的性能(入射角に応じたスムーズな色変化)を有する。
【0079】
本発明の光学製品は、製品の表面にある積層物中に少なくとも1つの電荷放散導電層を組み込むことにより、帯電防止加工がなされてもよく、すなわち、実質的な正電荷を保持及び/又は発生させないようにしてもよい。
【0080】
本明細書で使用されるかぎり、「導電層」又は「帯電防止層」とは、非帯電防止基板(すなわち、その放電時間が500ms以上)の表面上にそれが存在することにより、正電荷がその表面に印加された後の放電時間が500m以下となるようにすることができる層を意味するものとする。典型的に、本発明によれば、本発明の眼科用は、好ましくは反射防止コーティングに組み込まれた帯電防止層を含む。有利には、帯電防止層はSnO2又はITO(インジウム・錫・酸化物)の層であり、層の厚さは10nmである。
【0081】
帯電防止層は、好ましくは、反射防止コーティングの2層間に配置され、及び/又はこのような反射防止コーティングの高屈折率層に隣接している。好ましくは、帯電防止層は、反射防止コーティングの低屈折率層の直下に配置され、最も好ましくは反射防止コーティングの低屈折率外側層の直下に配置されることにより、反射防止コーティングの下から2番目の層となる。
【0082】
特定の実施形態において、帯電防止層は、厚さ60nm以下、好ましくは30nm以下の、低屈折率層及び前記帯電防止層からなる二層の一部であり、前記帯電防止層は、反射防止コーティングの低屈折率外側層と直接接触する。
【0083】
典型的に、反射防止コーティングは、任意選択により1つ又は複数の機能コーティングで被覆され、好ましくは100~200nmの厚さの、好ましくはシリカの下地層で被覆された基板の表面から始まり、厚さ14~22nmの好ましくはジルコニアの高屈折率層、厚さ27~32nmの好ましくはシリカの低屈折率層、厚さ68~100nmの好ましくはジルコニアの高屈折率層、任意選択により、厚さ4~8nmの導電層、及び厚さ87~95nmの好ましくはシリカの低屈折率層を含む。光学的機能を有さず、機械的機能のみを有する下地層は、シリカの単層を含んでいてもよく、又は低屈折率層と高屈折率層とが交互になった複数の層を含んでいてもよい。このような場合、下地層は、例えば、シリカの第一の薄い層(50nm未満)、次にジルコニアの第二の薄い層(15nm未満)、次にシリカの厚い層(80n~130nm)を含んでいてもよい。
【0084】
疎水性表面コーティングは、主として、少なくとも1種のフッ素化化合物、より好ましくは少なくとも1種のシラン化合物の性質、及び/又は1種又は複数のフッ素基、特にフッ素化炭化水素基、パーフルオロカーボン、フッ素化ポリエーテル基、例えばF3C(OC3F6)24-O-(CF2)2-(CH2)2-O-CH2-Si(OCH3)3又はパーフルオロポリエーテルを有するシラザンを含む重合性組成物から得られる。
【0085】
疎水性コーティングの製作のための市販の組成物は、信越化学が販売する組成物KY130(登録商標)(特開2005-187936号公報の調合)及びKP 801M(登録商標)、オプトロンが販売するOF210及びOF110(商標)、並びにダイキン工業が販売する組成物OPTOOL DSX(登録商標)(米国特許第6,183,872号明細書の調合を有するパーフルオロプロピレン基を含むフッ素化樹脂)である。組成物OPTOOL DSX(登録商標)は、好ましい汚れ防止コーティングの組成物である。
【0086】
本発明の眼科用レンズは、前記レンズの耐傷及び耐衝撃性を改善できる耐擦傷層を含む。有利には、耐擦傷層は、基板の反射率に近い屈折率を示してもよく、これは、例えば、屈折率が少なくとも1.6の基板の場合、前記耐擦傷層の屈折率が1.6となることを意味する。このような耐擦傷層は先行技術にとってよく知られており、例えば、本発明に特に適した耐擦傷は、欧州特許第0614957号明細書及び国際公開第2013/004954号パンフレットに記載されている。他の実施形態において、本発明は、有利には、基板と耐擦傷層との間に挟まれた1/4波長板を含み、このような1/4波長板は、一般に基板及び耐擦傷層が同じ屈折率を有さないときに生じる干渉縞を最小限にすることができる。このような1/4波長板は、特に米国特許出願公開第2004/0074261号明細書に記載されている。
【0087】
以下では、レンズ1及びレンズ2は、本発明によるレンズの2つの例である。
【0088】
レンズ1及びレンズ2は、二重非球面単焦点レンズを含み、屈折力が-0.25ディオプトリ以下の光学プロファイルを有する。
【0089】
レンズ1の材料プロファイルは、Stylis(登録商標)材料内の基板も含み、その屈折率は1.67、Tv=96%、Rv=0.49%、C*=10.5、h=260°、前面の水接触角112°である。
【0090】
レンズ1のAR層は、
幅137.9nmのSiO2の下地層と、
幅17.1nmのZrO2の第一の層と、
幅28.3nmのSiO2の第二の層と、
幅96.5nmのZrO2の第三の層と、
幅6.5nmのITOの帯電防止層と、
幅91.0nmのSiO2の第四の層と
を含む。
【0091】
レンズ2の材料プロファイルは、Stylis(登録商標)材料中の基板を含み、その屈折率は1.67、Tv=96%、Rv=0.3%、C*=24.8、h=300°、水接触角:114°である。
【0092】
レンズ2のAR層は、
幅150nmのSiO2の下地層と、
幅12.2nmのZrO2の第一の層と、
幅28.76nmのSiO2の第二の層と、
幅87.98nmのZrO2の第三の層と、
幅6.5nmのITOの帯電防止層と、
幅89.32nmのSiO2の第四の層と
を含む。
【0093】
平均反射率の値は前面のそれである。反射率Rvは、入射角15°について提供され、国際色表系標準CIE L*a*b*における本発明の光学製品の測色係数は、観察者(標準的観察者)及び標準光源D65、C*での入射角15°、30°以下のhを考慮して380~780nmで計算される。
【0094】
【0095】
理解すべき点として、本発明の図面及び説明は、本発明を明確に理解することに関係する要素を説明するために簡略化されており、明瞭さを期し、典型的なデジタルマルチメディアコンテンツ配信方法及びシステムで見られる他の多くの要素が取り除かれている。しかしながら、このような要素は当技術分野でよく知られているため、ここではこのような要素は詳しく説明しない。本明細書の開示は、当業者に知られているような変形形態及び改良形態のすべてに関する。
【0096】
以上、全体的な発明概念を限定することなく、実施形態を利用して本発明を説明した。
【0097】
他の多くの改良形態及び変更形態は、当業者に対する例として示されているにすぎず、付属の特許請求の範囲によってのみ決定される本発明の範囲を限定することが意図されない上述の例示的実施形態を参照することで自ずと明らかになるであろう。
【0098】
特許請求の範囲において、「含む」という単語は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除しない。様々な特徴が相互に異なる従属請求項に記されていることのみでは、これらの特徴の組合せを有利に使用できないことを示さない。特許請求の範囲内の参照符号は、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【0099】
本明細書における「1つの実施形態」又は「ある実施形態」とは、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実装形態に含まれる可能性があることを意味する。本明細書中の異なる箇所で「1つの実施形態において」という語句が用いられた場合、これらは必ずしもすべて同じ実施形態を指すわけではなく、また必ずしも別の又は代替的な実施形態が相互に他の実施形態を排除するわけではない。