(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】炭化水素クラッキングのための熱生成触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 37/08 20060101AFI20220311BHJP
B01J 29/48 20060101ALI20220311BHJP
B01J 29/46 20060101ALI20220311BHJP
C10G 11/05 20060101ALI20220311BHJP
C10G 11/10 20060101ALI20220311BHJP
C10G 11/18 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
B01J37/08
B01J29/48 M
B01J29/46 M
C10G11/05
C10G11/10
C10G11/18
(21)【出願番号】P 2018559366
(86)(22)【出願日】2017-05-05
(86)【国際出願番号】 US2017031265
(87)【国際公開番号】W WO2017196660
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-05-01
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アリ,オラ エス
(72)【発明者】
【氏名】アル ヤミ,フセイン
(72)【発明者】
【氏名】カミンスキー,マーク ピー
(72)【発明者】
【氏名】シャイク,ソフェル ケイ
(72)【発明者】
【氏名】シュィ,ウェイ
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1465527(CN,A)
【文献】特開昭55-134642(JP,A)
【文献】特開昭61-157353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 37/08
B01J 29/48
B01J 29/46
C10G 11/05
C10G 11/10
C10G 11/18
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素クラッキングのための熱生成触媒を製造する方法であって、前記方法は、
Si/Alモル比が15以上の少なくとも1つのモルデナイト骨格が反転した(MFI)ゼオライト触媒を提供することと;
硝酸金属塩の水和物である、少なくとも1つの金属酸化物前駆体を提供することと;
前記MFIゼオライト触媒の微細構造の中に前記少なくとも1つの金属酸化物前駆体を分散させることであって、前記金属酸化物前駆体を水に溶解させて、酸性混合物を生成することと、前記酸性混合物を前記MFIゼオライトに滴下することとを含む、前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造の中に前記金属酸化物前駆体を分散させることと;
前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造の中に分散した前記少なくとも1つの金属酸化物前駆体を用い、前記熱生成触媒を焼成し、系中で少なくとも1つの金属酸化物を作成することと;
を含み、
前記少なくとも1つの金属酸化物が、酸化銅を含み、
前記MFIゼオライト触媒と前記金属酸化物との比率が、重量基準で70:30~85:15の範囲である、方法。
【請求項2】
前記金属酸化物前駆体が、硝酸銅三水和物(Cu(NO
3)
2・3H
2O
)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの金属酸化物が、前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造に化学結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記MFIゼオライト触媒が、平均粒径が5~850ナノメートルである粉砕したZSM-5触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ZSM-5触媒が、H-ZSM-5触媒である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱生成触媒が、さらに促進剤を含み、前記促進剤が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、リン、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
炭化水素クラッキングプロセスにおいて熱生成触媒を使用する方法であって、前記方法は、
触媒床反応器を提供することであって、
前記触媒床反応器が、前記触媒床反応器に配置された前記熱生成触媒の触媒床を含み、
前記熱生成触媒は、
Si/Alモル比が15以上の少なくとも1つのモルデナイト骨格が反転した(MFI)ゼオライト触媒と、
前記MFIゼオライト触媒の微細構造の中に分散した少なくとも1つの金属酸化物と、
を含み、
前記少なくとも1つの金属酸化物が、酸化銅を含み、前記MFIゼオライト触媒と前記金属酸化物との比率が、重量基準で70:30~85:15の範囲である、触媒床反応器を提供することと;
前記触媒床反応器に炭化水素原料を導入することと;
前記炭化水素原料をクラッキングし、クラッキング生成物を生成することと;
を含む、方法。
【請求項8】
前記触媒床反応器が、流動床反応器または固定床反応器を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒床反応器が、固定床反応器であり、前記熱生成触媒の前記触媒床が、前記触媒床を通る流動方向に基づいてMFIゼオライト触媒の層の前に配置された前記熱生成触媒の層、前記触媒床を通る流動方向に基づいてMFIゼオライト触媒の層の後に配置された熱生成触媒の層、または前記触媒床を通る流動方向に基づいてMFIゼオライト触媒の少なくとも2つの層の間に配置された熱生成触媒の少なくとも1つの層を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの金属酸化物が、前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造に化学結合している、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記熱生成触媒が、さらに促進剤を含み、前記促進剤が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、リン、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つである、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記MFIゼオライト触媒が、ZSM-5触媒である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願に関する相互参照】
【0001】
本出願は、本明細書に参考として組み込まれる、2016年5月12日に出願された米国仮出願第62/335,213号の利益を請求する。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、一般的に、炭化水素クラッキングのための熱生成触媒に関し、具体的には、熱生成触媒を製造する方法、炭化水素クラッキングプロセスにおいて熱生成触媒を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軽質オレフィン(例えば、エチレンおよびプロピレ)を生産するための現行の商業的技術は、熱クラッキングまたは蒸気クラッキングと、触媒クラッキングを含む。蒸気クラッキングは、非触媒的なプロセスであり、約850℃の高い反応温度で行われ、選択率を制御し、許容範囲のループ寿命(loop life)を維持するために、蒸気による希釈を必要とする。蒸気クラッキングは、今日までに、化学業界で最もエネルギーを消費するプロセスである。ナフサ蒸気クラッカーのみの熱分解領域は、全プロセスエネルギーの約65%を消費し、これは全エネルギー損失の約75%を占めることがわかった。さらに、このプロセスは、原料の変動にきわめて影響を受けやすく、いくつかの環境上の問題もある。このプロセスは、エチレンが主な生成物として生成し、プロピレンとエチレンの比(P/E)をほとんど制御することができないため、プロピレンの予想される成長要求を満たすには適していない。これとは対照的に、触媒クラッキング、特に、固体酸触媒を用いる流動触媒クラッキング(FCC)は、比較的高いP/E比を有する生成物を生成し、500~650℃の低い温度で操作する。FCCプロセスでは、触媒は、流動床の中の原料炭化水素の上昇する流れに懸濁する。前もって加熱した炭化水素原料を、原料ノズルを介して、円錐/ライザーの底部に噴霧し、熱い流動触媒と500~650℃で接触させる。熱い触媒は、原料を蒸発させ、クラッキング反応を触媒し、高分子量の分子を、液体石油ガス(LPG)、ガソリンおよびディーゼルを含むもっと軽質の構成要素に破壊する。次いで、「使用済」触媒を流動床再生器に流し、空気、またはある場合には空気と酸素を使用し、コークスを燃焼し尽くして触媒活性を回復させ、次の反応サイクルに必要な熱も与える。次いで、「再生した」触媒を、ライザーの底部に流し、サイクルを繰り返す。
【0004】
炭化水素クラッキング産業は、収率および転化率を犠牲にすることなく、吸熱反応である炭化水素変換プロセス(特にクラッキング)のエネルギー効率を最大にするために、顕著な努力をはらってきた。例えば、FCCは、理想的には熱的にニュートラルであり、再生器中のコークス燃焼は、吸熱のクラッキング反応の燃料となる。しかし、現実には、コークス燃焼から発生する熱は、特に、水素/炭素(H/C)比が高い軽質原料にとっては不十分なことが多い。エネルギー不足を克服するために、完全な燃焼を促進するために過剰な空気を注入するなど、いくつかの技術が既に使用されてきた。しかし、過剰な空気を注入すると、副反応が顕著に増え、操作費用および資本費が顕著に増える。または、計算した量の芳香族重質燃料(トーチ油として知られる)を再生領域に注入することによって、さらなる熱エネルギーを与えるようと企てる。この方法は、効率的ではあるが、通常、酸化されないクラック生成物が生成する。酸化されないクラック生成物は、触媒床においてホットスポットを生成する場合があり、蒸気存在下、触媒床を不活性化し、局所的に永久的な損傷を与え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上に提示した背景の観点で、クルード油をクラッキングし、エチレン、プロピレン、ブテン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン、および他の炭化水素、例えば、ガソリン、蒸発軽油(ago)および真空軽油(vgo)を含む高需要の石油化学ビルディングブロックを得るための効率的で経済的な経路の開発が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、吸熱反応である炭化水素クラッキングのエネルギー要求を満たすために、炭化水素クラッキングプロセスにおいて熱生成触媒を製造し、使用する方法に関する。本開示の方法には、産業上の利用可能性があり、具体的には、従来から炭化水素クラッキングに必要な高エネルギーコストに起因して、油産業およびガス産業における利用可能性がある。理論によって制限されないが、本開示の熱生成触媒を加え、炭化水素クラッキングプロセスをエネルギー的にニュートラルにするか、またはエネルギー的にニュートラルに近づけるのに役立ち、それによって、炭化水素クラッキングに関連する全体的なエネルギー費用を下げる。
【0007】
一実施形態によれば、炭化水素クラッキングのための熱生成触媒を製造する方法が提供される。この方法は、Si/Alモル比が15以上の少なくとも1つのモルデナイト骨格が反転した(MFI)ゼオライト触媒を提供することと、少なくとも1つの金属酸化物前駆体を提供することとを含む。さらに、本方法は、少なくとも1つの金属酸化物前駆体を、MFIゼオライト触媒の微細構造内に分散させることを含む。その後、本方法は、金属酸化物前駆体を含浸したMFIゼオライト触媒を焼成し、熱生成触媒を作成することを含む。MFIゼオライト触媒と金属酸化物との比率は、重量基準で50:50~95:5の範囲である。触媒は、バインダー、クレイ、分散剤および他の添加剤でさらに改質されてもよい。
【0008】
別の実施形態によれば、炭化水素クラッキングプロセスにおいて熱生成触媒を使用する方法が提供される。この方法は、触媒床反応器内に配置された熱生成触媒の触媒床を含む、触媒床反応基を与えることを含む。熱生成材料は、Si/Alモル比が15以上の少なくとも1つのモルデナイト骨格が反転した(MFI)ゼオライト触媒と、MFIゼオライト触媒の微細構造の中に分散した少なくとも1つの金属酸化物とから作られる。本方法は、さらに、触媒床反応器に炭化水素原料を導入することと、炭化水素原料をクラッキングし、クラッキング生成物を生産することを含む。少なくとも1つの実施形態によれば、クラッキング生成物は、軽質C1-C4炭化水素を含む。
【0009】
記載の実施形態のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な記載に示され、一部には、この記載から当業者には容易に明らかであるか、または以下の詳細な記載を含めた本記載の実施形態、特許請求の範囲および添付の図面を実施することによって認識される。
【0010】
上の一般的な記載および以下の詳細な記載が、両方とも、種々の実施形態を記載しており、特許請求の範囲に記載した特定事項の性質および特徴を理解するための概要または骨格を与えることを意図していることを理解すべきである。添付の図面は、種々の実施形態をさらに理解するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、種々の記載される実施形態を示し、本記載と共に、特許請求の範囲に記載される特定事項の原理および操作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態に従って操作するためのラボスケールの反応システムの模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の1つ以上の実施形態に係るCuO/H-ZSM-5触媒の反射電子型走査型電子顕微鏡画像である。
【
図3】
図3は、アルミナに担持された20%CuOに関する温度プログラム型還元試験である。
【
図4】
図4は、単位時間当たりの重量空間速度3.5hr
-1、初期温度550°CでのCuO/H-ZSM-5および未改質H-ZSM-5の触媒床温度プロファイルである。
【
図5】
図5は、単位時間当たりの重量空間速度8.4hr
-1、初期温度550°CでのCuO/H-ZSM-5および未改質H-ZSM-5の触媒床温度プロファイルである。
【
図6】
図6は、単位時間当たりの重量空間速度8.4hr
-1、初期温度550°CでのCuO/H-ZSM-5の触媒床温度プロファイルと、単位時間当たりの重量空間速度8.4hr
-1、初期温度588°CでのCuO/H-ZSM-5の触媒床温度プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、炭化水素クラッキングのための熱生成触媒を製造する方法および本発明の熱生成触媒を用いた炭化水素原料の改良されたクラッキングのための実施形態を詳細に参照する。既に述べたように、炭化水素クラッキングは、吸熱プロセスである。クラッキング触媒と、熱生成金属酸化物とを組み合わせることによって、従来の吸熱炭化水素クラッキングプロセスは、熱的にニュートラルなものとすることができるか、または熱的にニュートラルなものに近づけることができる。具体的には、クラッキング触媒全体に分散した金属酸化物は、本開示の炭化水素クラッキングプロセスに含まれると、反応器内での還元反応の間ずっと、発熱による熱を生成する。この発熱による熱が、吸熱炭化水素クラッキングプロセスに必要なさらなる熱を与えるだろう。さらに、再生器中の酸化反応は、還元された触媒が酸化状態にさらされると、さらなる熱を生成する。再生器において酸化反応から生成した熱は、熱生成触媒の温度を上げ、ひいては、熱生成触媒が反応器にリサイクルされて戻されたときに、炭化水素原料の転化率を高める。
【0013】
炭化水素クラッキングのための熱生成触媒を製造する方法が提供される。クラッキング触媒と、少なくとも1つの金属酸化物前駆体とを一緒に合わせる。具体的には、少なくとも1つの金属酸化物前駆体は、クラッキング触媒の微細構造内に分散する。少なくとも1つの金属酸化物前駆体が、クラッキング触媒の微細構造の中に分散した状態で、熱生成触媒を焼成し、少なくとも1つの金属酸化物前駆体を、少なくとも1つの金属酸化物に変換する。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、熱生成触媒におけるMFIゼオライト触媒と金属酸化物との比率は、重量基準で50:50~95:5である。触媒の割合と金属酸化物の割合は、トレードオフの関係にある。具体的には、金属酸化物の重量パーセントが増加すると、還元反応中にさらなる熱生成金属酸化物が与えられ、この酸化物が、さらに熱く、またはさらに長く続く熱生成を可能にする。しかし、金属酸化物のパーセントが増加すると、MFIゼオライト触媒の触媒活性が低下する場合がある。種々のさらなる実施形態では、熱生成触媒におけるMFIゼオライト触媒と金属酸化物との比率は、重量基準で70:30~85:15、重量基準で70:30~80:20、重量基準で75:25~85:15である。少なくとも1つの実施形態では、熱生成触媒におけるMFIゼオライト触媒と金属酸化物との比率は、重量基準で79:21~81:19である。理論によって束縛されることを望まないが、熱の生成に加え、クラッキング活性に影響を与え得る様式で、金属酸化物が、MFIゼオライトの酸部位を改変してしまう場合があると考えられる。酸部位の改変は、最終的には、MFIゼオライト触媒の触媒活性を増加させるか、または低下させ、生成物の流れに対して得られる種の選択率を調節するだろう。酸部位の改変は、金属酸化物、MFIゼオライト、熱生成触媒でそれぞれ利用される量に依存する。
【0015】
クラッキング触媒のための種々の構成要素が想定される。1つ以上の実施形態では、クラッキング触媒は、アルミノシリケートゼオライト、シリケート(例えば、シリカライト)またはチタノシリケートを含んでいてもよい。さらなる実施形態では、固体酸クラッキング触媒は、モルデナイト骨格が反転した(MFI)構造を有するアルミノシリケートゼオライトである。例えば、限定されないが、MFIゼオライト触媒は、ZSM-5触媒であってもよい。さらなる実施形態では、ZSM-5触媒は、ZSM-5触媒のイオン交換部位の少なくとも一部がH+イオンによって占められている、H-ZSM-5触媒であってもよい。さらに、MFIゼオライト触媒(例えば、H-ZSM-5触媒)は、Si/Alモル比が少なくとも15であってもよい。さらなる実施形態では、MFIゼオライト触媒は、Si/Alモル比が少なくとも20、または少なくとも35、または少なくとも45であってもよい。さらに、MFIゼオライト触媒は、用途に応じて変動し得る平均粒径を有していてもよい。例えば、MFIゼオライト触媒は、流動触媒用途で使用されるときは平均粒径が50~120マイクロメートル(μm)であってもよく、または固定床用途で使用されるときは、1/16インチ~1/4インチまでであってもよい。
【0016】
さらに、金属酸化物前駆体は、クラッキング触媒の微細構造の中に分散し、これを系中で焼成し、金属酸化物前駆体を金属酸化物に変換する。少なくとも1つの金属酸化物前駆体が、クラッキング触媒の微細構造の中に分散すると、クラッキング触媒の吸熱性のクラッキング部位に近接したところに金属酸化物が与えられ、これにより、熱生成触媒の熱生成態様がさらに効率的になる。少なくとも1つの金属酸化物前駆体が、クラッキング触媒の微細構造の中に分散することは、クラッキング触媒と金属酸化物とを単に物理的に混合することとは対照的である。物理的な混合だけでは、クラッキング触媒の粒子表面付近で、クラッキング触媒の吸熱性クラッキング部位に対して金属酸化物が与えられ、クラッキング触媒の微細構造の中のさらなる吸熱性クラッキング部位の付近には与えられない。クラッキング触媒の微細構造全体に金属酸化物前駆体が分散すると、クラッキング触媒と金属酸化物を単に物理的に混合することから生じ得る、触媒床における温度勾配と、触媒床の中のホットスポットを避けるのに役立つ。熱生成触媒が、還元された形態の金属酸化物前駆体と共に炭化水素クラッキングシステムに与えられ、その後、炭化水素クラッキングシステムの操作中に再生器を一回通過することによって金属酸化物へと酸化されてもよいことが理解されるだろう。
【0017】
種々の実施形態では、少なくとも1つの金属酸化物前駆体が、湿式含浸、乾式含浸、初期湿式含浸、沈殿、イオン交換、電気分解、堆積、堆積-沈殿、化学蒸着および火炎式噴霧熱分解のうち少なくとも1つによって、クラッキング触媒の微細構造の中に分散する。それぞれの方法によって、金属酸化物前駆体を、クラッキング触媒の微細構造全体に分散させることができ、これは、単なる物理的な混合では不可能である。種々の実施形態では、金属酸化物は、クラッキング触媒の微細構造全体に分散する。1つ以上の実施形態では、金属酸化物前駆体を、クラッキング触媒の微細構造全体に分散させることは、金属酸化物前駆体を有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたは水)に溶解する工程と、得られた熱生成触媒を撹拌しつつ、クラッキング触媒に滴下する工程とを含む。さらなる実施形態では、本方法は、さらに、クラッキング触媒を、クラッキング触媒の微細構造の中に分散した金属酸化物前駆体と共に乾燥させることを含む。乾燥手順は、90℃~120℃で少なくとも1時間乾燥させることを含む。さらなる実施形態は、90℃~120℃で少なくとも3時間乾燥させることと、95℃~115℃で少なくとも3時間乾燥させることと、98℃~112℃で少なくとも3時間乾燥させることとを含む。
【0018】
既に示したように、クラッキング触媒を、触媒の微細構造の中に分散した金属酸化物前駆体と共に焼成し、系中で金属酸化物を作成する。1つ以上の実施形態では、クラッキング触媒と、クラッキング触媒の微細構造全体に分散した金属酸化物前駆体とを含む熱生成触媒の焼成は、空気中、400℃~800℃で達成される。焼成手順は、系中で金属酸化物前駆体を金属酸化物に変換するのに十分な時間、典型的には3時間以上延長される。さらなる実施形態は、700℃~800℃で少なくとも3時間焼成させることと、550℃~650℃で少なくとも4時間焼成させることと、600℃~700℃で少なくとも3時間乾燥させることとを含む。
【0019】
金属酸化物前駆体から金属酸化物への変換は、金属酸化物の還元反応の結果として、熱生成のためのクラッキング触媒の微細構造全体に分散した部位を与える。少なくとも1つの特定の実施形態では、生成する金属酸化物は、酸化銅である。種々の実施形態では、金属酸化物は、鉄、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、バナジウム、セリウム、マンガン、ビスマス、銀、コバルト、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、マグネシウム、およびこれらの組み合わせの酸化物のうち少なくとも1つである。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、金属酸化物前駆体は、硝酸金属塩の水和物である。非限定的な例としては、硝酸銅三水和物(Cu(NO3)2・3H2O)、硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO3)2・6H2O)および硝酸クロム(III)九水和物(Cr(NO3)3・9H2O)が挙げられる。
【0021】
クラッキング触媒の微細構造の中に分散した少なくとも1つの金属酸化物は、微細構造に化学結合している。含浸または他の分散技術は、金属酸化物前駆体をクラッキング触媒の微細構造の内側へと押し込み、これとは対照的に、単に物理的に混合すると、クラッキング触媒と金属酸化物粒子は、完全に分離したまま保たれる。さらに、含浸によって、触媒表面および内側の孔の官能基に金属酸化物が化学結合してもよい。また、クラッキング触媒の微細構造の中に分散させると、金属酸化物が触媒中の活性部位の近くに配置され、これとは対照的に、物理的に混合すると、金属酸化物と、触媒中の活性部位は離れたまま保たれる。
【0022】
1つ以上の実施形態では、熱生成触媒は、さらに促進剤を含む。促進剤の非限定的な例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、リン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
炭化水素クラッキングのために生成した熱生成触媒を、炭化水素酸化クラッキングプロセスにおいて、炭化水素クラッキングシステムで利用してもよい。
図1の炭化水素クラッキングシステムは、以下の本発明の記載のために与えられる実験室での設定である。しかし、本発明のシステムおよび方法は、大規模および工業プロセスのスキームを含む他の構成を包含することが理解されるべきである。
【0024】
図1の実施形態を参照すると、炭化水素原料4をクラッキングするための少なくとも1つの触媒床反応器10を備えるラボスケールの炭化水素クラッキングシステム100が示されている。具体的には、炭化水素クラッキングシステム100は、炭化水素原料4の触媒炭化水素クラッキングを行い、既に述べた熱生成触媒は、触媒床反応器内で触媒床を生成する。
【0025】
炭化水素原料4は、石油、石炭液化油または生体材料から誘導される任意の炭化水素源を指していてもよい。炭化水素源の例としては、全範囲のクルード油、蒸留クルード油、石油残留物、トップドクルード油、液化石油ガス(LPG)、ナフサ、軽油、油精錬からの生成物流、蒸気クラッキングプロセスからの生成物流、液化石炭、油またはタールサンドから回収した液体生成物、ビチューメン、オイルシェール、バイオマス炭化水素などが挙げられる。以下の段落で記載される具体的な例では、炭化水素原料4は、n-ヘキサン、ナフサ、混合ブテンおよびエチレンを含んでいてもよい。再クラッキングするために、また、このような構成要素が増えることが望ましい場合には、価値を付け加える構成要素を生じさせるために、C4-C5、C9およびC9+炭化水素が含まれていてもよい。n-ヘキサンは、長鎖炭化水素のほんの一例であり、現在、少なくとも6個の炭素を含む炭化水素炭素鎖であると定義される。
【0026】
図1を再び参照すると、炭化水素クラッキングシステム100は、少なくとも1つの触媒床反応器10と、場合により、さらなる反応器およびユニットを有する反応システムを備えていてもよい。例えば、これらのさらなる任意要素のユニットとは、少なくとも1つの触媒床反応器10およびさらなるヒーターまたは熱交換器18に接続したプレヒーター12を含んでいてもよい。
【0027】
示されているように、触媒床反応器10は、触媒床反応器10に配置された熱生成触媒の触媒床14を含んでいてもよい。既に述べたように、触媒床反応器10を操作すると、炭化水素原料4のクラッキングが起こり、クラッキング生成物40が生成し、ここで、クラッキング生成物40は、軽質C1-C4炭化水素(例えば、エチレンおよびプロピレン)と、重質C5+炭化水素とを含む。クラッキング生成物40は、BTX芳香族(ベンゼン、トルエンおよびキシレン異性体)も含んでいてもよい。クラッキング生成物40の構成要素の比率は、原料の種類、反応パラメータ、触媒パラメータに依存して変わる。触媒床反応器10の触媒床14として熱生成触媒を利用すると、触媒床反応器10におけるさらなる熱エネルギー投入要求が減るか、またはなくなる。具体的には、熱生成触媒は、金属酸化物が還元されるにつれて、触媒床反応器10において、発熱反応を受け、これが吸熱性クラッキングプロセスを相殺し、熱的にニュートラルな全体的な炭化水素クラッキング操作が得られる。さらに、1つ以上の実施形態では、還元された金属酸化物が、酸化雰囲気下で再生し、さらなる熱放出が発生するだろう。
【0028】
さらに、還元反応の結果としての金属酸化物による水素の脱離は、水素移動反応を制限し、その結果、軽質オレフィンに向かう炭化水素クラッキングを促進する。生成物流からの水素の除去も、得られる軽質オレフィンを水素から分離する高価で困難なプロセスをなくす。
【0029】
1つ以上の実施形態では、触媒床反応器10は、固定床反応器、流動床反応器、スラリー反応器または移動床反応器であってもよい。具体的な実施形態では、触媒床反応器10は、固定床反応器である。固定床反応器を用いる実施形態では、触媒床反応器10における炭化水素原料4と熱生成触媒流2を合わせた滞留時間は、0.05秒~1時間の範囲である。例えば、滞留時間は、液体原料をディーゼル水素処理する場合には1時間に近い場合があり、FCC用途では、一般的に0.1~5秒の範囲である。このように、種々の実施形態では、触媒床反応器10における滞留時間は、0.1秒~5秒間、または5分間~1時間である。最適な炭化水素クラッキングのための合わせた炭化水素原料4の固定床反応器における所望な滞留時間は、操作温度と、熱生成触媒および炭化水素原料4の両方の組成に依存する。さらに、1つ以上の実施形態では、床の空隙率は、空隙によって占められる体積分率を表し、0.2~1.0である。さらなる実施形態では、床の空隙率は、0.3~0.8である。
【0030】
さらに、固定床反応器を用いる1つ以上の実施形態では、熱生成触媒の触媒床14は、熱生成触媒の層を含み、この層は、クラッキング触媒と、未改質のクラッキング触媒の層の前に配置された微細構造の中に配置された金属酸化物とを含む。さらなる実施形態では、熱生成触媒の触媒床14は、熱生成触媒の層を含み、この層は、クラッキング触媒と、未改質のクラッキング触媒の層の後に配置された微細構造の中に配置された金属酸化物とを含む。さらなる実施形態では、熱生成触媒の触媒床14は、熱生成触媒の層を含んでいてもよく、この層は、クラッキング触媒と、未改質のクラッキング触媒の少なくとも2つの層の間に配置された微細構造の中に配置された金属酸化物とを含む。
【0031】
さらに、流動床反応器を用いる1つ以上の実施形態では、触媒床14は、熱生成触媒とクラッキング触媒の混合物を含み、その微細構造の中に分散した金属酸化物を含まない。
【0032】
さらに、触媒床14は、前もって加熱されていてもよい。1つ以上の実施形態では、触媒床14は、触媒床反応器10を通って流れる管の中の蒸気または熱い気体を使用して加熱される。さらなる実施形態では、触媒床14は、流動床を加熱するのに十分な流速で、加熱した窒素6と酸素を含む気体流であらかじめ加熱される。あらかじめ加熱される気体流または流れは、450℃~650℃、または475℃~525℃、または種々の実施形態では490℃~510℃まで加熱される。
【0033】
図1を再び参照すると、本方法は、さらに、触媒床反応器10の上流にある炭化水素原料4を前もって加熱することを含んでいてもよい。この炭化水素原料4を前もって加熱することは、プレヒーター12内で達成されてもよい。示されているように、炭化水素原料4は、窒素6および空気8の存在下で加熱されてもよい。さらに、炭化水素原料4は、蒸気、水素、空気、酸素またはこれらの組み合わせの存在下で加熱されてもよい。一実施形態では、プレヒーター12は、触媒床反応器10に供給される炭化水素原料の温度を少なくとも200℃まで上げてもよい。原料プレヒーターは、冷たい原料で触媒床反応器10の上部が冷却されるのを軽減するのに役立ち、ひいては、触媒性能に影響を与えるだろう。
【0034】
1つ以上の実施形態では、炭化水素クラッキングシステム100は、プレヒーター12の上流に配置された少なくとも1つの炭化水素プレヒーター18も備えていてもよい。炭化水素プレヒーターまたはプレヒーター18は、
図1に示されるように、少なくとも1つのプレヒーター12に供給される炭化水素原料の温度を上げる。さらなる実施形態では、炭化水素プレヒーター18は、少なくとも1つのプレヒーター12に供給される炭化水素原料の温度を少なくとも100℃まで上げる。炭化水素プレヒーター18は、当業者が訳知っている熱交換器または同様のヒーターデバイスを含んでいてもよい。
【0035】
炭化水素クラッキングシステム100は、示されている他の加熱構成要素も含んでいてもよい。例えば、炭化水素クラッキングシステム100は、触媒床反応器10、プレヒーター12および炭化水素プレヒーター18の周囲に、反応乾燥器20または加熱ボックス22を含んでいてもよい。反応乾燥器20は、実験室スケールまたはパイロット単位で、触媒床反応器10およびプレヒーター12の温度を維持するのに役立つだろう。同様に、加熱ボックス22は、熱損失を減らすように、触媒床反応器10、プレヒーター12および炭化水素プレヒーター18の周囲の熱を保持するのに役立つ。
【0036】
図1を再び参照すると、クラッキング生成物40は、種々の軽質C
1-C
4炭化水素と、重質C
5+炭化水素とを含んでいてもよい。1つ以上の実施形態では、クラッキング生成物40は、具体的には、プロピレン、ブテン(例えば、2-trans-ブテン、n-ブテン、iso-ブテンおよび2-cis-ブテン)、C
5オレフィン、芳香族、メタン、エタン、プロパン、ブタンおよびペンタンを含む。クラッキング生成物40の構成要素は、炭化水素原料4の構成要素、クラッキング触媒と金属酸化物の両方の特性に依存する。
【0037】
クラッキング生成物40中の軽質炭化水素を重質炭化水素から分離するために、炭化水素クラッキングシステム100は、少なくとも1つの液体/気体セパレーター24も備えていてもよい。液体/気体セパレーター24は、フラッシュドラムなどを備えていてもよく、クラッキング生成物40の個々の構成要素の沸点に基づき、クラッキング生成物40を複数の生成物流に分離する。具体的には、液体/気体セパレーター24において、軽質炭化水素流42は、気相の軽質炭化水素として液体/気体セパレーター24の上部から蒸発してもよく、一方、液相の重質炭化水素流44は、液体/気体セパレーター24の底部から放出される。
【0038】
軽質炭化水素流42から、所望のプロピレンおよびエチレンを分離するために、さらなる反応が想定される。例えば、軽質炭化水素流42を冷却し、液体炭化水素生成物として集めてもよい。この時点で、プロピレンおよびエチレンを、蒸留または抽出の方法論によって分離してもよい。
【0039】
さらなる実施形態では、蒸気を炭化水素クラッキングシステム100にさらに供給し、反応の空間速度を制御する。複数の実施形態では、脱イオン水をエバポレーターまたはスーパーヒーターを通り、触媒床反応器10の中で直接的に原料流に流す。このような配置は、触媒床反応器10に400℃までの超加熱された蒸気を与えるだろう。単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)は、1時間(hr)あたりに入る原料の重量を触媒の重量で割ったものであると定義される。種々の実施形態では、この反応のWHSVは、1~100時間-1(hr-1)、3~9hr-1、3~4hr-1、8~9hr-1であり、触媒される反応の種類に依存して変わる。
【0040】
熱生成触媒を用いる反応時間の律速因子は、金属酸化物の担持量である。具体的には、金属酸化物の還元から生成する熱は、クラッキング触媒の不活性化の前に低下する。このように、少なくとも1つの実施形態では、還元する金属酸化物がクラッキング触媒の活性部位にさらなる熱を与える前の期間に、水素または他の燃焼性種を別個の容器で選択的に燃やし、さらなる熱を生成し、これを吸熱性炭化水素クラッキング反応の燃料としてもよい。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は、本実施形態の具体例であり、本開示の記載されている実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。
【0042】
実施例1-CuO/H-ZSM-5触媒:
【0043】
Si/Al重量比が38のH-ZSM-5触媒に、約20重量%の酸化銅(II)を担持させたものを調製した。Sigma-Aldrichから入手可能な硝酸銅三水和物(Cu(NO
3)
2・3H
2O)は、金属酸化物前駆体として与えられた。11.4グラム(g)の硝酸銅三水和物を、3.7gの脱イオン水に完全に溶解させた。その後、脱イオン水に溶解させた硝酸銅三水和物を、15gの軽く砕いたZSM-5に撹拌しつつ滴下した。得られた固体を、110℃の乾燥機で4時間乾燥させ、次いで、空気中、650℃で4時間かけて焼成した。
図2は、CuO/H-ZSM-5触媒の反射電子型走査型電子顕微鏡(BSE-SEM)からの出力画像を示す。さらに、誘導結合プラズマ(ICP)分析から、最終的にゼオライト触媒に19.9%の酸化銅が担持されたことを確認した。
【0044】
図3を参照すると、アルミナに担持された20%CuOについての温度プログラム型還元(TPR)試験が与えられている。アルミナに担持されたCuOのサンプルをこの試験のために調製し、銅の還元挙動を1つずつ決定した。TPR試験から、350℃を超える反応温度で、CuOが還元され、熱を生成することができることを確認している。
【0045】
実施例2-FeO/H-ZSM-5触媒:
【0046】
Si/Al重量比が38のH-ZSM-5触媒に、混合鉄(II価およびIII価)を担持させたものを調製した。15gの混合鉄(II価およびIII価)酸化物を、15gのH-ZSM-5と、バインダーとしての20gのα-アルミナに加えた。その後に、シリンジを通って容易に押し出すことができる稠度を作り出すために、30gの水を加えた。次いで、混合物を押出成形し、100℃で一晩乾燥させた。乾燥させた後、混合物を空気下、750℃で4時間(hr)焼成した。
【0047】
実施例3-CoO/H-ZSM-5触媒:
【0048】
Si/Al重量比が38のH-ZSM-5触媒に、約20重量%の酸化コバルトを担持させたものを調製した。硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO3)2・6H2O)は、金属酸化物前駆体として与えられた。14.6グラム(g)の硝酸コバルト(II)六水和物を、4.57gの脱イオン水に完全に溶解させた。その後、脱イオン水に溶解させた硝酸コバルト(II)六水和物を、15gの軽く砕いたZSM-5に撹拌しつつ滴下した。得られた固体を、110℃の乾燥機で4時間乾燥させ、次いで、空気中、650℃で4時間かけて焼成した。
【0049】
実施例4-CrO/H-ZSM-5触媒:
【0050】
Si/Al重量比が38のH-ZSM-5触媒に、約20重量%の酸化クロムを担持させたものを調製した。硝酸クロム(III)九水和物(Cr(NO3)3・9H2O)は、金属酸化物前駆体として与えられた。22.1グラム(g)の硝酸クロム(III)九水和物を、13.9gの脱イオン水に完全に溶解させた。その後、脱イオン水に溶解させた硝酸クロム(III)九水和物を、15gの軽く砕いたZSM-5に撹拌しつつ滴下した。得られた固体を、110℃の乾燥機で4時間乾燥させ、次いで、空気中、650℃で4時間かけて焼成した。
【0051】
炭化水素原料4および軽質オレフィン(例えば、エチレンおよびプロピレン)の転化収率の向上は、実験的な試験を用いて検証される。ゼオライト触媒を金属酸化物を用いて改質する高価を示すために、実験データを得た。流動床の流動反応システムと流動ライザーシミュレーターで、触媒反応を行った。固定床の実験では、種々の条件下、炭化水素クラッキングシステム100の実験設定に、ヘキサンが与えられた。
【0052】
実施例1に従って調製した触媒を反応器に入れた。各サンプルについて、Si/Al重量比が38のゼオライト触媒H-ZSM-5は、Nankai University Catalyst Companyから得た。このゼオライト触媒は、30重量%のガンマアルミナをバインダーとして含んでいる。比較となる未改質触媒試験のための未改質触媒は、Si/Al比が38のH-ZSM-5であり、これを粉砕し、粒径が5~850ナノメートル(nm)または250~850nmまたは425~850nmになるようにふるい分けした。さらに、水素原料のためのN-ヘキサンは、Sigma-Aldrichから得て、これは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードであった。
【0053】
固定床の流動反応システムは、2つの管状反応器が直列に接続したものである。試験のための触媒、例えば、実施例1のCuO/H-ZSM-5触媒を、第2の反応器に入れ、一方、第1の反応器を利用し、ヘキサン原料を反応温度まであらかじめ加熱しておいた。原料プレヒーターは、プロセスのエネルギー効率を改善する。さらに、冷たい原料を触媒床に直接導入すると、触媒床の上側領域を冷やし、反応器の性能を下げ、転化率および選択率に影響を与えるだろう。新しい触媒は、まず、0.154リットル/分(L/min)の空気流の下、550℃で1時間活性化させた。所望な反応温度で、n-ヘキサンを反応器に導入し、反応を開始させた。反応を550℃、WHSV 3.5hr-1で、希釈剤として窒素を用いて行った。
【0054】
図4を参照すると、反応時間が進むのに伴う触媒床温度プロファイルの比較が与えられている。触媒床温度を、触媒床の内側に設置された3点熱電対で測定した。反応を550℃、WHSV 3.5hr
-1で、希釈剤として窒素を用いて行った。未改質H-ZSM-5触媒について、触媒床温度は、反応温度550℃で一定に保たれた。これとは対照的に、実施例1に従って調製した改質CuO/H-ZSM-5触媒では、明確な発熱反応が得られた。触媒床温度は、開始時の反応温度である550℃から597℃まで急に上昇し、これは、反応が進むにつれて温度が低下する前の反応の発熱性を示している。初期の急上昇の後に触媒床温度が一定レベルで低下しているのは、酸化した金属種が還元されるにつれて、酸化した金属種が消滅し、さらなる熱の生成が減った結果であると考えられる。この改質触媒は、選択した反応条件で、触媒床温度をほぼ50℃上昇させた発熱反応を生じた。コントローラーの影響をなくすために、乾燥器の温度を、特定の温度に設定し、窒素を流しつつ、触媒床を550℃に維持した。このようにして、原料を導入すると、何らかの温度上昇または温度低下は、反応に起因するものであり、コントローラーの影響によるものではない。
【0055】
発熱性クラッキング反応中の触媒床温度を維持するために、固定床反応システムの外部からの加熱機能の要求は、反応器を流れる炭化水素原料の流速が大きくなるにつれて、大きくなる。
図5を参照すると、反応時間が進むのに伴う触媒床温度プロファイルの比較が与えられている。反応を550℃、WHSV 8.4hr
-1で、希釈剤として窒素を用いて行った。反応パラメータは
図4と同じであったが、WHSVは、8.4hr
-1に変えた。反応器を流れる炭化水素の流速が大きくなると、実施例1に従って調製された改質CuO/H-ZSM-5触媒は、触媒床の床温度を実質的に550℃の一定に保つ。これとは対照的に、未改質H-ZSM-5触媒は、初期の触媒床温度である550℃から触媒床温度が525℃まで低下した。空間速度および炭化水素と触媒との比率を変えると、実施例1に従って調製した改質CuO/H-ZSM-5触媒について、熱的にニュートラルな反応が得られた。
【0056】
初期の触媒床温度も、改質H-ZSM-5触媒からの熱の生成に影響を与える。
図6を参照すると、異なる初期触媒床温度を用い、反応時間が進むのに伴う触媒床温度プロファイルの比較が与えられている。反応を588℃、WHSV 8.4hr
-1で、希釈剤として窒素を用いて行った。反応パラメータは
図5と同じであったが、初期触媒床温度を550℃から588℃まで上げた。初期の触媒床温度を上げると、実施例1に従って調製した改質CuO/H-ZSM-5触媒は、初期にさらなる熱を生成し、触媒床温度は588℃から625℃を超える温度まで急上昇した。これとは対照的に、改質CuO/H-ZSM-5触媒を初期触媒床温度550℃で反応させると、一定の触媒床温度550℃が得られ、実質的な急上昇はなかった。従って、より高い触媒床温度で生成する熱は、これらの反応条件下で所望な炭化水素クラッキングプロセスに燃料を与えるよりも十分に高い。熱的にニュートラルなプロセスは、これらの反応条件では550℃で達成することができ、熱的に陽性のプロセスは、これらの条件では588℃で達成することができる。
【0057】
CREC(Chemical Reactor Engineering Centre at University of Western Ontario)ライザーシミュレーターバッチユニットにおいて、実施例1、3および4に従って調製した触媒と、未改質H-ZSM-5触媒を用い、その後の実験データを得た。CRECライザーシミュレーターバッチユニットは、工業的な連続した「ライザー」および「ダウナー」ユニットの反応条件を良く再現し、新しい触媒プロセスの費用対効果の高い研究開発を可能にするバッチ反応器である。CRECライザーシミュレーターバッチユニットは、Reactor Engineering and Catalytic Technologies Inc.による排他的なライセンスの元で商業化されている。(ロンドン、オンタリオ、カナダ。)クラッキング反応を、0.4gを固定担持した反応触媒と共に、滞留時間5秒で行った。さらに、全ての試験を550℃で行い、油に対する触媒の比率が0.7、滞留時間5秒で行った。
【0058】
同じパラメータで、CRECライザーシミュレーターバッチユニットにおける、実施例1、3および4の試験と、未改質H-ZSM-5触媒の試験によって、実施例1、3および4の改質と、未改質H-ZSM-5触媒とを直接的に比較することができる。各サンプルについて、炭化水素原料の転化率およびC
2およびC
3の収率は、以下の表1に与えられている。既に示したように、ヘキサンは、実験設定のための原料炭加水素であった。転化率および収率は、重量パーセントに基づく。具体的には、ヘキサンの転化率は、式[1]として与えられ、個々の生成物の収率は、式[2]として与えられる。
【数1】
【0059】
【0060】
表1に与えられるCRECライザーシミュレーターバッチユニットにおける、実施例1、3および4と、未改質H-ZSM-5触媒の試験結果は、H-ZSM-5触媒を改質すると、エチレンおよびプロピレンなどの軽質オレフィンの収率が増加することを示す。さらに、20%の金属酸化物を担持した場合であっても、実施例1、3および4では、炭化水素原料の全体的な転化率の低下は顕著なものではない。実施例1の銅改質した触媒は、最も高いオレフィン収率の向上がみられ、その後に、コバルトとクロムが続いていた。
【0061】
炭化水素クラッキングのための熱生成触媒を製造するための方法の種々の態様を記載し、このような態様を、種々の他の態様と組み合わせて利用してもよいことが理解されるべきである。
【0062】
第1の態様では、本開示は、炭化水素クラッキングのための熱生成触媒を製造する方法を提供する。本方法は、Si/Alモル比が15以上の少なくとも1つのモルデナイト骨格が反転した(MFI)ゼオライト触媒を提供することと、少なくとも1つの金属酸化物前駆体を提供することと;MFIゼオライト触媒の微細構造の中に少なくとも1つの金属酸化物前駆体を分散させることと;MFIゼオライト触媒の微細構造の中に分散した少なくとも1つの金属酸化物前駆体を用い、前記熱生成触媒を焼成し、系中で少なくとも1つの金属酸化物を作成することとを含む。さらに、MFIゼオライト触媒と金属酸化物との比率は、重量基準で50:50~95:5の範囲である。
【0063】
第2の態様では、本開示は、湿式含浸、沈殿、電気分解、堆積、堆積-沈殿、化学蒸着および火炎式噴霧熱分解のうち少なくとも1つによってMFIゼオライト触媒の微細構造の中に少なくとも1つの金属酸化物前駆体が分散している、第1の態様の方法を提供する。
【0064】
第3の態様では、本開示は、少なくとも1つの金属酸化物が、鉄、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、バナジウム、セリウム、マンガン、ビスマス、銀、コバルト、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、マグネシウム、およびこれらの組み合わせの酸化物のうち少なくとも1つである、第1および第2の態様の方法を提供する。
【0065】
第4の態様では、本開示は、少なくとも1つの金属酸化物が酸化銅を含む、第3の態様の方法を提供する。
【0066】
第5の態様では、本開示は、金属酸化物前駆体は、硝酸金属塩の水和物である、第1~第4の態様のいずれかの方法を提供する。
【0067】
第6の態様では、本開示は、金属酸化物前駆体が、硝酸銅三水和物(Cu(NO3)2・3H2O)、硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO3)2・6H2O)または硝酸クロム(III)九水和物(Cr(NO3)3・9H2O)である、第1~第5の態様のいずれかの方法を提供する。
【0068】
第7の態様では、本開示は、MFIゼオライト触媒の微細構造の中に金属酸化物前駆体を分散させることが、金属酸化物前駆体を水に溶解することと、MFIゼオライトに滴下することとを含む、第1~第6の態様のいずれかの方法を提供する。
【0069】
第8の態様では、本開示は、少なくとも1つの金属酸化物が、MFIゼオライト触媒の微細構造に化学結合している、第1~第7の態様のいずれかの方法を提供する。
【0070】
第9の態様では、本開示は、MFIゼオライト触媒が、平均粒径が5~850ナノメートルである粉砕したZSM-5である、第7の態様の方法を提供する。
【0071】
第10の態様では、本開示は、ZSM-5触媒が、H-ZSM-5触媒である、第9の態様の方法を提供する。
【0072】
第11の態様では、本開示は、金属酸化物前駆体を系中で金属酸化物に変換するのに十分な時間、空気中、400℃~800℃で熱生成触媒の焼成を行う、第1~第10の態様のいずれかの方法を提供する。
【0073】
第12の態様では、本開示は、熱生成触媒が、促進剤をさらに含む、第1~第11の態様のいずれかの方法を提供する。
【0074】
第13の態様では、本開示は、促進剤が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、リン、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つである、第12の態様の方法を提供する。
【0075】
第14の態様では、本開示は、炭化水素クラッキングプロセスにおいて熱生成触媒を使用する方法を提供する。本方法は、触媒床反応器を提供することと、触媒床反応器に炭化水素原料を導入することと、炭化水素原料をクラッキングし、クラッキング生成物を生産することとを含む。触媒床反応器は、触媒床反応器に配置された熱生成触媒の触媒床を含む。熱生成触媒は、Si/Alモル比が15以上の少なくとも1つのモルデナイト骨格が反転した(MFI)ゼオライト触媒と、MFIゼオライト触媒の微細構造の中に分散した少なくとも1つの金属酸化物とを含む。
【0076】
第15の態様では、本開示は、触媒床反応器が、流動床反応器または固定床反応器を含む、第14の態様の方法を提供する。
【0077】
第16の態様では、本開示は、触媒床反応器が、固定床反応器であり、熱生成触媒の触媒床が、MFIゼオライト触媒の層の前に配置された熱生成触媒の層、MFIゼオライト触媒の層の後に配置された熱生成触媒の層、またはMFIゼオライト触媒の少なくとも2つの層の間に配置された熱生成触媒の少なくとも1つの層を含む、第14~15の態様のいずれかの方法を提供する。
【0078】
第17の態様では、本開示は、少なくとも1つの金属酸化物が、MFIゼオライト触媒の微細構造に化学結合している、第14~第16の態様のいずれかの方法を提供する。
【0079】
第18の態様では、本開示は、熱生成触媒が、促進剤をさらに含む、第14~第17の態様のいずれかの方法を提供する。
【0080】
第19の態様では、本開示は、促進剤が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、リン、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つである、第14~第18の態様のいずれかの方法を提供する。
【0081】
第20の態様では、本開示は、MFIゼオライト触媒が、ZSM-5触媒である、第14~第19の態様のいずれかの方法を提供する。
【0082】
第21の態様では、本開示は、ZSM-5触媒が、H-ZSM-5触媒である、第20の態様の方法を提供する。
【0083】
特許請求の範囲に記載した特定事項の精神および範囲から逸脱することなく、ここに記載した実施形態に対して種々の改質および改変を行ってもよいことが、当業者には明らかなはずである。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある改質および改変を与えるような、ここに記載した種々の実施形態の改質および改変を包含することを意図している。
【0084】
本開示全体で、範囲が提供されている。その範囲に包含されるそれぞれの別個の値も含まれると考える。さらに、明確に開示されている範囲に包含されるそれぞれの別個の値によって作られ得る範囲も等しく想定される。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
炭化水素クラッキングのための熱生成触媒を製造する方法であって、前記方法は、
Si/Alモル比が15以上の少なくとも1つのモルデナイト骨格が反転した(MFI)ゼオライト触媒を提供することと;
少なくとも1つの金属酸化物前駆体を提供することと;
前記MFIゼオライト触媒の微細構造の中に前記少なくとも1つの金属酸化物前駆体を分散させることと;
前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造の中に分散した前記少なくとも1つの金属酸化物前駆体を用い、前記熱生成触媒を焼成し、系中で少なくとも1つの金属酸化物を作成することとを含み、
前記MFIゼオライト触媒と前記金属酸化物との比率が、重量基準で50:50~95:5の範囲である、方法。
実施形態2
湿式含浸、沈殿、電解堆積、堆積-沈殿、化学蒸着および火炎式噴霧熱分解のうち少なくとも1つによって前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造の中に前記少なくとも1つの金属酸化物前駆体が分散している、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記少なくとも1つの金属酸化物が、鉄、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、バナジウム、セリウム、マンガン、ビスマス、銀、コバルト、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、マグネシウム、およびこれらの組み合わせの酸化物のうち少なくとも1つである、実施形態1に記載の方法。
実施形態4
前記少なくとも1つの金属酸化物が、酸化銅を含む、実施形態3に記載の方法。
実施形態5
前記金属酸化物前駆体が、硝酸金属塩の水和物である、実施形態1に記載の方法。
実施形態6
前記金属酸化物前駆体が、硝酸銅三水和物(Cu(NO
3
)
2
・3H
2
O)、硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO
3
)
2
・6H
2
O)または硝酸クロム(III)九水和物(Cr(NO
3
)
3
・9H
2
O)である、実施形態5に記載の方法。
実施形態7
前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造の中に前記金属酸化物前駆体を分散させることが、前記金属酸化物前駆体を水に溶解することと、前記MFIゼオライトに滴下することとを含む、実施形態5に記載の方法。
実施形態8
前記少なくとも1つの金属酸化物が、前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造に化学結合している、実施形態1に記載の方法。
実施形態9
前記MFIゼオライト触媒が、平均粒径が5~850ナノメートルである粉砕したZSM-5触媒である、実施形態7に記載の方法。
実施形態10
前記ZSM-5触媒が、H-ZSM-5触媒である、実施形態9に記載の方法。
実施形態11
前記金属酸化物前駆体を系中で金属酸化物に変換するのに十分な時間、空気中、400℃~800℃で前記熱生成触媒の焼成を行う、実施形態1に記載の方法。
実施形態12
前記熱生成触媒が、さらに促進剤を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態13
前記促進剤が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、リン、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つである、実施形態12に記載の方法。
実施形態14
炭化水素クラッキングプロセスにおいて熱生成触媒を使用する方法であって、前記方法は、
触媒床反応器を提供することを含み、前記触媒床反応器が、前記触媒床反応器に配置された前記熱生成触媒の触媒床を含み、
前記熱生成触媒は、
Si/Alモル比が15以上の少なくとも1つのモルデナイト骨格が反転した(MFI)ゼオライト触媒と;
前記MFIゼオライト触媒の微細構造の中に分散した少なくとも1つの金属酸化物とを含み、
前記触媒床反応器に炭化水素原料を導入することと;
前記炭化水素原料をクラッキングし、クラッキング生成物を生成することとを含む、方法。
実施形態15
前記触媒床反応器が、流動床反応器または固定床反応器を含む、実施形態14に記載の方法。
実施形態16
前記触媒床反応器が、固定床反応器であり、前記熱生成触媒の前記触媒床が、MFIゼオライト触媒の層の前に配置された前記熱生成触媒の層、MFIゼオライト触媒の層の後に配置された熱生成触媒の層、またはMFIゼオライト触媒の少なくとも2つの層の間に配置された熱生成触媒の少なくとも1つの層を含む、実施形態15に記載の方法。
実施形態17
前記少なくとも1つの金属酸化物が、前記MFIゼオライト触媒の前記微細構造に化学結合している、実施形態14に記載の方法。
実施形態18
前記熱生成触媒が、さらに促進剤を含む、実施形態14に記載の方法。
実施形態19
前記促進剤が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属、リン、およびこれらの組み合わせのうち少なくとも1つである、実施形態18に記載の方法。
実施形態20
前記MFIゼオライト触媒が、ZSM-5触媒である、実施形態14に記載の方法。