(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】減圧療法を適用するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20220311BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20220311BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20220311BHJP
A61F 13/14 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
A61M27/00
A61F13/00 301C
A61F13/00 301J
A61F13/02 A
A61F13/14 Z
(21)【出願番号】P 2019510935
(86)(22)【出願日】2017-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2017071609
(87)【国際公開番号】W WO2018041805
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-07-13
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ダミアン・フィリップス
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-532504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0320434(US,A1)
【文献】特表2011-514209(JP,A)
【文献】国際公開第2014/194786(WO,A1)
【文献】特開2014-208128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61F 13/00
A61F 13/02
A61F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧を使用する創傷部位の治療のためのシステムであって、
前記創傷部位への陰圧の伝達に適した多孔性パッドと、
前記多孔性パッドの下に位置付けられる排水層であって、前記創傷部位から流体を運ぶように構成される、排水層と、
前記多孔性パッドの上に配置されるように構成される、可撓性のドレープと、
陰圧供給源と、
前記陰圧供給源から前記可撓性のドレープに陰圧を伝達するように構成される、導管と、を備え、
前記排水層が親水性発泡体を含み、
前記親水性発泡体が、上部フィルム層と下部フィルム層との間に挟まれ、前記上部フィルム層および前記下部フィルム層が、それらの端で少なくとも部分的に共に溶接され、
前記上部フィルム層および前記下部フィルム層がスポット溶接され、それによって流体チャネルが生成されてなる、システム。
【請求項2】
前記親水性発泡体が、ポリビニルアルコール(PVA)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記排水層が、前記親水性発泡体の上に上部フィルム層を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記排水層が、前記親水性発泡体の下に下部フィルム層を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記上部フィルム層および前記下部フィルム層の少なくとも一方が、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその混合物を含む群から選択される材料を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
1以上
のフィルム層が、前記排水層の側壁の少なくとも一部分を覆う、請求項2~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
フィルム層が、前記親水性発泡体の下部面および/または上部面の表面積の100%未満を覆う、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
フィルム層が、前記親水性発泡体の下部面および/または上部面の表面積の70%未満を覆う、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
フィルム層が、前記親水性発泡体の下部面および/または上部面の表面積の30%未満を覆う、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記親水性発泡体の層の露出した部分が、星印形状、螺旋形状、クロスハッチ形状、ヒトデ形状および葉形状から成る群より選択される形状である、請求項7~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記排水層は、その幅および長さよりも短い厚さを備え、
前記排水層が、当該排水層の前記厚さの少なくとも一部分を通じて延在する少なくとも一つの切れ目をさらに備え、前記排水層から着脱可能な一セクションを画定して、寸法的に独立した様式で前記排水層のサイズを調整することを可能にし、
前記排水層の前記長さおよび前記幅が、相互に独立して変更可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
器官保護層をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ドレープおよび前記導管内に形成された開口部に取り付け可能なポートをさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、陰圧創傷治療を使用する創傷の治療に一般的に関連し、より詳細には、開放腹部創傷を管理するための改善された装置およびその方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、治癒しない創傷の部位への陰圧の印加による開放創または慢性創傷の治療は、当該技術分野で周知である。現在当該技術分野で公知の陰圧創傷治療システムは、一般に、創傷の上に液体に対して不透過性のカバーを設置することと、創傷を囲む患者の組織に対してカバーを封止する様々な機構を使用することと、陰圧の領域を創傷の領域におけるカバーの真下に作り出すことによって、陰圧供給源(真空ポンプなど)をカバーに接続することとを伴う。
【0003】
本質的に封止されたシステムである陰圧創傷治療システムを腹部に適用するとき、創傷部位から開口部に創傷流体を引き出すシステムの下位層の能力が重要である。そうでない場合、創傷流体の蓄積は、不必要な肉芽組織の形成などの望ましくない合併症を引き起こす場合がある。典型的には、開放腹部に施用される陰圧創傷療法では、疎水性材料が下位層として使用される。疎水性材料は、腹部からの大量の液体のための流体流路に陰圧の良好な分配を提供することができるが、水性液体の流れを許容するそれらの能力は、流体との親和性のそれらの固有の欠如によって制限されうる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される本発明の実施形態は、減圧器具、および減圧器具を使用する治療方法を対象とし、減圧を使用する創傷の治療において有用でありうる。
【0005】
本明細書に記載の器具の一部の実施形態は、排水層または下位層を含みうる。本明細書に記載の排水層または下位層は、創傷部位から離れるように空気および液体などの流体を創傷被覆材の上層に送達することを可能にする。排水層または下位層はまた、被覆材がかなりの量の滲出液を取扱うときでさえ、外気チャネルが、創傷面積全体に陰圧を伝えるように維持されうることを保証する。層は、陰圧創傷療法の間に印加されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきである。層は、創傷部位に対応する領域の上で開放したままであることが好ましく、それによって全体的な創傷部位に均等化された陰圧がかかることを確実にする。
【0006】
排水層または下位層は、空隙を含んでもよく、または流体を伝達する一つまたは複数の材料を含んでもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。層は、陰圧および好ましくは、液状流体も依然として伝えることができるのであれば、その他の機能的材料を組み込んでもよい。一部の実施形態では、下位または排水層は、創傷滲出物およびその他の組成物を送達する能力を有する。疎水性の下位層の限定的な流体引き出し能力を解決するために、一部の実施形態は、創傷カバーまたはドレープの下にある一つまたは複数の層として親水性材料を使用する陰圧創傷治療システムを提供する。
【0007】
特定の実施形態では、陰圧を使用する創傷部位の治療のためのシステムは、創傷部位への陰圧の伝達に適した多孔性パッドと、多孔性パッドの下に位置付けられる排水層であって、創傷部位から流体を運ぶように構成される排水層と、多孔性パッドの上に配置されるように構成される可撓性のドレープと、陰圧供給源と、その供給源から可撓性のドレープに陰圧を伝達するように構成される導管と、を備える。
【0008】
一部の実施形態では、排水層は、親水性発泡体などの親水性材料を含みうる。親水性発泡体は、ポリビニルアルコール(PVA)を含みうる。特定の実施形態では、排水層は、親水性発泡体の上の上部フィルム層、および/または親水性発泡体の下の下部フィルム層をさらに含みうる。フィルム層は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその混合物を含みうる。特定の実施形態では、フィルム層は、排水層の側壁の少なくとも一部分を覆う。特定の実施形態では、親水性発泡体は、上部フィルム層と下部フィルム層との間に挟まれる。フィルム層は、端で少なくとも部分的に共に溶接されてもよい。特定の実施形態では、フィルム層は少なくともスポット溶接され、それによって流体チャネルが生成される。特定の実施形態では、フィルム層は、親水性発泡体の下部面および/または上部面の表面積の100%、90%、70%、50%、30%、または10%未満を覆う場合がある。親水性発泡体の層の露出した部分は、星印形状、螺旋形状、クロスハッチ形状、ヒトデ形状、または葉形状を持ちうる。特定の実施形態では、親水性発泡体はフィルム層によって完全に包まれる。
【0009】
特定の実施形態では、排水層は、その幅および長さよりも短い厚さを備え、排水層は、排水層の厚さの少なくとも一部分を通じて延在する少なくとも一つの切れ目をさらに備え、それは、排水層から着脱可能な一セクションを画定して、寸法的に独立した様式で排水層のサイズを調整することを可能にし、ここにおいて、排水層の長さおよび幅は、相互に独立して変更されうる。システムは器官保護層をさらに備えてもよい。システムは、ドレープおよび導管内に形成された開口部に取り付け可能なポートをさらに備えうる。
【0010】
本発明の特定の実施形態は、陰圧を用いた腹部創傷または切開を治療する改善された方法を対象とする。例えば、例示的な目的のみにおいて、特定の実施形態では、陰圧を使用して創傷部位を治療する方法は、親水性排水層を創傷部位上に配置することと、多孔性パッドを親水性排水層上に配置することと、創傷の上に位置付けられ、創傷を囲む皮膚に密封されるように構成される可撓性のドレープで創傷部位を密封することと、陰圧供給源から創傷部位に陰圧を印加することであって、陰圧供給源がドレープと陰圧供給源との間に流体接続された導管を通して印加される、印加することと、を含む、方法。親水性排水層は、ポリビニルアルコール(PVA)発泡体を含みうる。一部の実施形態では、親水性排水層は、親水性発泡体に予め取り付けられた器官保護層を含む。特定の実施形態では、親水性排水層の側壁は、創傷部位に接触する。
【0011】
本発明の特定の実施形態は、陰圧を用いた腹部創傷または切開を治療する改善された方法を対象とする。例えば、例示的な目的のために、一部の実施形態は、創傷部位に対するパッドの所望のサイズ調整を許容する着脱可能または切断可能なセクションを有する、多孔性パッドを用いる。発泡体パッドのサイズ調整は、一部の実施形態では、例えば、幅および/または長さが相互に独立して変更されうるように、寸法的に独立した様式で実施されうる。さらなる実施形態はまた、創傷部位と接触して配置される器官保護層も提供し、ここで器官保護層は、創傷部位に最小限に接着性であり、または非接着性であり、また創傷滲出物もしくは液体の除去、および創傷部位への陰圧の印加のためのスリットまたはその他の開口部を備えることが好ましい。
【0012】
特定の実施形態は、創傷の上に配置された器官保護層と、器官保護層の上にサイズ調整および配置されるように構成される多孔性パッドと、創傷の上方に配置されかつ創傷を囲む皮膚に密封されるように構成される可撓性のドレープと、を備え、可撓性のドレープの開口部を通して、かつ多孔性パッドおよび器官保護層を通して創傷に陰圧を送達するように構成される導管をさらに備える、陰圧治療システムを提供する。
【0013】
好ましい実施形態において、陰圧を用いた創傷の治療のために多孔性パッドが提供されており、多孔性パッドは、創傷部位から陰圧供給源に創傷滲出液を運ぶのに適した多孔性材料から成る。多孔性パッドは、その幅および長さ未満の厚さを持つ略平面状の形状を含むことが好ましく、パッドの厚さの少なくとも一部分を通じて延在する少なくとも一つの切れ目を含むことが好ましく、ここにおいて、その切れ目は、パッドのサイズ(例えば、その長さおよび/または幅)の変更を許容するために、パッドの残りの部分から着脱可能なパッドセクションを画定する。特定の実施形態では、切れ目は、弓形および/または楕円形の切れ目から成ってもよく、追加的な内側および外側の切れ目をさらに含んでもよい。さらなる実施形態では、追加的な中間の切れ目がまた、存在してもよい。
【0014】
別の好ましい実施形態では、創傷部位の治療のためのシステムは、創傷滲出液を運び、陰圧を分配するための開口部を備える器官保護層と、創傷部位に陰圧を伝達するのに適し、着脱可能なパッドを画定するためにパッドの厚さの一部分を通じて延在する少なくとも一つの切れ目を備える、一般的に平面の多孔性パッドと、可撓性のドレープと、導管と、創傷部位に導管を通じて陰圧を送達するように構成される陰圧供給源と、を備える。
【0015】
さらに別の好ましい実施形態では、陰圧を使用して創傷部位を治療する方法は、器官保護層を創傷部位上に配置することと、多孔性パッドを器官保護層の上に配置することであって、多孔性パッドが、寸法的に独立した様式でパッドのサイズ調整を許容して、創傷部位に適合するようにパッド部分の除去が可能となるように穿孔される、配置することと、創傷の上に位置付けられ、創傷を囲む皮膚に密封されるように構成される可撓性のドレープで創傷部位を密封することと、陰圧供給源を創傷部位に接続することと、創傷部位が適切に治癒するまで陰圧の印加を維持することと、を含みうる。
【0016】
このセクションまたは本明細書のその他の部分で説明される実施形態における親水性材料または親水性発泡体は、取得分配材料、DryWeb TDL2、SlimCore TL4などの類似した流体引き出し能力を有するその他の材料または構造に置換できることを当業者は理解すべきである。
【0017】
本発明の実施形態の少なくとも一部のさらなる特徴および利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造および動作を、添付図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の実施形態について、添付の図面を参照して、例としてのみ以下に記載する。
【0019】
【
図1】
図1は、腹部創傷の治療のためのシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、創傷の治療に使用できる多孔性パッドの一実施形態の斜視図を示す。
【
図6】
図6は、器官保護層の異なる実施形態の図を示す。
【
図7】
図7は、器官保護層の異なる実施形態の図を示す。
【
図8】
図8は、器官保護層の異なる実施形態の図を示す。
【
図9】
図9は、器官保護層の異なる実施形態の図を示す。
【
図57】
図57は、腹部創傷の治療のためのシステムの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で開示される好ましい実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関連する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。本明細書で使用される用語「創傷」は、その幅広い通常の意味を有するのに加えて、陰圧を使用して治療されうる、患者のいかなる体の一部を含む。創傷および/または創傷部位には、開放創傷、褥瘡、潰瘍および火傷が含まれるがこれらに限定されない。開放創傷および/または創傷部位はまた、例えば、腹部または腹膜腔内の切開(例えば、腹部切開)もしくはその他の開口、裂傷、または瘻孔を含みうる。そのような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に印加されうる。本明細書に開示する通りの陰圧システムおよび方法は、体の他の一部に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0021】
図1に目を転じると、特定の実施形態における陰圧を用いた創傷の治療では、図に概略的に示すように陰圧治療システム101を使用する。この実施形態では、腹部創傷部位として図に示す創傷部位110は、陰圧による治療から恩恵を受けることができる。そのような腹部創傷部位は、例えば、事故または外科的介入による結果である場合がある。一部の場合、腹部コンパートメント症候群、腹部高血圧、敗血症または水腫などの病状は、腹膜腔を曝露するように、腹壁を通る外科的切開による腹部の除圧を必要とする場合があり、その後、開口部は状態が回復するまで、開放してアクセス可能な状態の維持が必要とされることがある。他の状態もまた、具体的には腹腔などの開口部は、例えば、複数の外科的手技が必要とされる(場合により外傷に付随して起こる)場合、または腹膜炎または壊死性筋膜炎など、病態のエビデンスがある場合、開いたままにしておくことを必要とする場合がある。
【0022】
具体的には腹部などに創傷がある場合、創傷が開いたままであるべきであってもなくとも、または創傷が閉じられるであろう場合には、器官および腹膜腔の曝露に関係する、可能性のある合併症を管理することが望ましい。好ましくは陰圧の印加を使用する療法は、組織生存を促進し、創傷部位から有害な物質を除去しながら、感染のリスクを最小化することを目的としうる。創傷部位への減圧または陰圧の印加は、とりわけ、概してより早い治癒、血流の増大、細菌負荷の減少、肉芽組織形成の速度増大の促進、線維芽細胞増殖への刺激、内皮細胞増殖への刺激、慢性開放創の閉鎖、熱傷の浸透(burn penetration)の阻害、ならびに/または皮弁および移植片の付着強化をもたらすことがわかっている。陰圧の印加による治療への好反応を呈していた創傷には、感染開放創、褥瘡性潰瘍、裂開切開、中間層熱傷および皮弁または移植片を取り付けられた様々な病変を含むことも、報告されている。その結果として、創傷部位110への陰圧の印加は、患者にとって有益でありうる。
【0023】
したがって、特定の実施形態では、創傷部位110の上に設置するように、器官保護層105が提供される。好ましくは、器官保護層105は、薄い可撓性材料であることができ、創傷部位または曝露された内臓にそれほど接近して接着しないであろう。例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはそれらの混合物などのポリマーが、使用されてもよい。一実施形態では、器官保護層は透過性である。例えば、器官保護層105は、創傷部位110からの流体の除去、または創傷部位110への陰圧の伝達を可能にするように、孔、スリットまたはチャネルなどの開口部を備えうる。器官保護層105の追加的な実施形態について、以下にさらに詳細に記載する。
【0024】
陰圧治療システム101の特定の実施形態はまた、器官保護層105の上に配置されうる、多孔性パッド103を使用してもよい。このパッド103は、柔らかく弾性的可撓性があり、概して創傷部位110に適合する、例えば、発泡体といった多孔性材料から構築されうる。そのような発泡体には、例えば、ポリマーから作られる連続気泡型の網状発泡体を含みうる。好適な発泡体には、例えば、ポリウレタン、シリコーンおよびポリビニルアルコールから成る発泡体を含む。このパッド103は、陰圧が創傷に印加されるとき、パッドを通って創傷滲出液および他の流体を導きうることが好ましい。一部のパッド103は、そのような目的で事前に形成されるチャネルまたは開口部を含んでもよい。特定の実施形態では、パッド103は、約1インチと約2インチとの間の厚さを有してもよい。パッドはまた、約16インチと17インチとの間の長さ、および約11インチと12インチとの間の幅を有してもよい。他の実施形態では、厚さ、幅および/または長さは、他の好適な値を有しうる。パッド103のその他の態様については、以下でさらに詳細に説明する。
【0025】
ドレープ107は、創傷部位110を密封するために使用されることが好ましい。ドレープ107は、少なくとも一部の陰圧を創傷部位に維持してもよいように、少なくとも部分的に液体不透過性でありうる。ドレープ107に好適な材料は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリエステル、および他のコポリマー、ならびにそれらの混合物を含む、それほど液体を吸収しない合成ポリマー材料を含むがこれらに限定されない。ドレープに使用される材料は、疎水性または親水性であってもよい。好適な材料の例には、DeRoyalから市販されているTranseal(登録商標)、およびSmith&Nephewから市販されているOpSite(登録商標)を含む。患者の快適性に役立ち、皮膚の浸軟を回避するために、特定の実施形態におけるドレープは、水蒸気が被覆材下に閉じ込められたままにならず通過できるように、少なくとも一部に通気性がある。特定の実施形態では、代わりに別個の接着剤または接着ストリップを使用してもよいものの、接着層には少なくとも一部分上に、ドレープを患者の皮膚に固定するように、ドレープ107の底面を提供してもよい。任意で、放出層は、使用前、接着層を保護し、かつドレープ107の取り扱いを容易にするように、接着層の上に配置されてもよく、一部の実施形態では、放出層は複数セクションから成ってもよい。
【0026】
陰圧システム101は、陰圧供給源、例えば、ポンプ114に接続されうる。好適なポンプの一例は、Smith&Nephewから市販されているRenasys EZポンプである。ドレープ107は、導管112を介して陰圧供給源114に接続されてもよい。導管112は、ドレープ107の開口部109の上に置かれるポート113に接続されてもよく、あるいは、導管112は、ポートを使用せずに開口部109を通って直接接続されてもよい。さらなる代替物において、導管はドレープの下方を通り、ドレープの側面から延在してもよい。2014年7月29日に公布された米国特許第8,791,315号、「SYSTEMS AND METHODS FOR USING NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY TO MANAGE OPEN ABDOMINAL WOUNDS」、および2009年4月28日に公布された米国特許第7,524,315号、「APPARATUS FOR ASPIRING,IRRIGATING AND CLEANSING WOUNDS」は、陰圧システムの他の類似する態様について開示し、参照することによって本明細書によりその全体が援用され、本明細書の一部とみなされるべきである。本明細書で参照される追加的な明細書がまた、本明細書に完全に記載されるように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
多くの適用例では、容器または他の貯蔵ユニット115は、創傷滲出液、および創傷部位から除去された他の流体を、陰圧供給源に進入させることなく貯蔵することが可能になるために陰圧供給源114と導管112との間に置かれてもよい。また、例えば、蠕動ポンプといった、あるタイプの陰圧供給源によっても、容器115をポンプ114の後に設置することが可能になってもよい。一部の実施形態はまた、流体、エアロゾルおよび他の微生物混入物が、容器115を離れ、および/または陰圧供給源114に進入するのを妨げるように、フィルタを使用してもよい。さらなる実施形態はまた、オーバーフローを妨げるように、容器に遮断弁、または閉塞疎水性および/もしくは撥油性フィルタを含んでもよく、他の実施形態は、容器の中の流体のレベルが容量に近づく場合、容量センサなどの感知手段、または陰圧供給源を停止もしくは遮断するように働く、他の流体レベル検出器を含んでもよい。ポンプ排出部に、活性炭キャニスタなどの臭気フィルタを提供しうることがまた好ましい。
【0028】
図3~
図5を参照すると、多孔性パッド103の実施形態の斜視図および上面図が示されている。パッド103は、例えば、弓形切れ目202、204、208、および210に図示したその上に作られた一つまたは複数の穿孔を持つことが好ましい。これらの切れ目は、例えば、切断刃、ダイ切断、または高温ワイヤ切断などを含むがこれらに限定されない任意の適切な機構を使用して、パッド103上に形成されてもよく、これらの切れ目はパッド103の厚さの少なくとも一部分を通じて延在することが好ましい。切れ目は連続的である必要はなく、例えば、複数の小さな穿孔から成ることができる。一実施形態では、穿孔はパッド103の厚さ全体にわたって延在する。パッド103が取り扱いおよび使用中に構造的に無傷のままであることを確実にするために、パッド103を通じて作られる切れ目は、ブリッジ部分206などの一つまたは複数の小さなブリッジ部分を保持することが好ましい。
【0029】
一実施形態では、パッド103は、長軸X、短軸Y、および垂直軸Zの周りに画定される長さL、幅W、および厚さTを有する実質的に矩形の形状を持ち、四つの丸みのある角を持つ。第一の一連の弓形の外側切れ目202は、パッド内で楕円形状に形成されうる。示される実施形態では、主軸および短軸に沿った向かい合った端に位置付けられる四つのブリッジ部分206を有する軸XおよびYによって画定された四分円のうちの一つにそれぞれ位置付けられる、四つの外側切れ目202a、202b、202cおよび202dがある。外側切れ目202より内側には、一連の弓形の外側切れ目202と同様に形成された楕円形状をさらに持つ、一連の弓形の外側切れ目210がある。一実施形態において示すように、主軸および短軸に沿った向かい合った端に位置付けられる四つのブリッジ部分222を有する軸XおよびYによって画定された四分円のうちの一つにまたそれぞれ位置付けられる、四つの内側切れ目210a、210b、210cおよび210dがある。
【0030】
外側切れ目202と内側切れ目210との間には、一連の中間切れ目204および208が位置する。
図3の透視法の上面図から分かるように、上側弓形切れ目204aおよび下側弓形切れ目204bは、パッド103の向かい合った端に位置する短軸Yを中心に対称的に配置される。切れ目204aおよび204bは、長軸Xを中心として対称に一般的にパッドの幅Wにわたって延在し、これらの切れ目204a、204bは、長軸Xの近くで弓形切れ目202よりも大きな曲率半径を持つ。左右の弓形切れ目208は、弓形切れ目204aと204bの間に提供され、パッドにわたって一般的に縦方向に延在する。図に示すように、四つの弓形切れ目208a、208b、208c、208dがあってもよく、それらはそれぞれ、短軸Y上に位置するブリッジ部分220を用いて、それらを囲む弓状切れ目202、210の部分に対して一般的に平行に延在する。切れ目の形状および数が変えられてもよいこと、および内側切れ目210と外側切れ目202との間に二つ以上の一連の中間切れ目があってもよいことは、理解されるであろう。
【0031】
有利なことに、パッド103上に作られた切れ目は、パッド103がその中に配置される創傷部位に対してパッド103を選択的にサイズ設定するために使用できる。例えば、パッド103は、例えば、外側切れ目202を囲む外側セクション218、外側切れ目202と中間切れ目204aおよび204bとの間に位置される内側セクション212a、212b、および外側切れ目202と中間切れ目208との間の内側セクション214a、214bなどのパッド103から着脱可能なセクションを取り除くことによってサイズ設定できる。追加的な切れ目、ならびに切れ目202、204、208、および210と異なる切れ目が、パッド103上に作られてもよいが、これらの切れ目は、寸法的に独立した様式でパッドをサイズ調整するために使用できる切れ目のタイプおよび位置の例を表す。パッド103上で作られうる切れ目のタイプには、例えば、弓形、円形、卵形、ジグザグ、および/または線形の切れ目が含まれる。さらに、ここで示される切れ目はパッドの長さLおよび幅Wに沿っているが、より薄いパッドが創傷部位で使用できるように、類似した切れ目が、パッド103の厚さTに沿って作られてもよい。切れ目はまた、例えば、パッド103にわたって対角線的に、X、YまたはZ軸のいずれにも整列しない角度で作られてもよい。
【0032】
使用時に、パッド103は、創傷部位110に対して大きすぎる場合があり、パッド103の端によって包含される着脱可能な領域218およびその上に作られた切れ目202を除去することによってサイズ調整される必要がありうる。より小さい創傷の場合、着脱可能な領域212a、212b、214a、214bはすべて、着脱可能な領域216および217のみを残すように取り外されてもよい。さらにより小さい創傷では、パッド103の残りの部分は、中央の着脱可能な領域216のみを残すように取り外されてもよい。典型的には、こうしたサイズ調整は、例えば、はさみを使用して手動で実施することができるが、こうした方法は、忙しい手術室における切断用具の操作の困難性、不均一かつ不正確な切れ目、および創傷部位内に異質粒子を落とす可能性などの付随する不利益を受ける。その代わりに、パッド103上に予め作られた切れ目は、手によって、または様々なブリッジ部分206、220、222に沿った最小切断によって取り外されうる。
【0033】
引き続き
図3~
図5を参照すると、特定の実施形態では、寸法的に独立した様式でパッド103のサイズ調整が許容される。ここで、パッド103のセクションは、様々な切れ目、例えば、セクション212a、212bと214a、214bの間の線引きに沿って取り外され、または切断されうる。これらの切れ目204および208は、所望の場合に、創傷部位の実際の寸法をより密接に調整するためのパッド103のサイズ調整を許容する。例えば、左側面の幅が広くかつ右側面の幅が狭い創傷に取り付けるためのパッド103のサイズ調整は、切れ目208a、208bと202a、202bの間に線引きされたパッドセクション214aを除去することによってもたらされうる。別の例では、パッド103が創傷部位110よりもその上部分に沿って長い場合、パッドセクション212a、切れ目202a、202bと204aとの間の線引きが、パッド103の一方の端から取り除かれうる。これらの前述の実施例では、外側の着脱可能な部分218は、すでに取り外されていることが好ましいが、これは必ずしも必要ではない。その結果、パッド103の寸法的に独立したサイズ調整(例えば、パッドの幅を変更することなくパッドの長さを変更すること、その逆もまた可である)は、切れ目204または208によって線引きされた着脱セクション212、214によって達成されうる。パッド103の寸法的に独立したサイズ調整を可能にするための追加的な切れ目によって包含される追加的な着脱可能なセクションが予期されているが、本明細書で示した実施形態に限定されることを意図するものではない。明白には、より小さな創傷部位の場合、パッド103の対称なセクションの除去は依然として有用でありうるが、パッド103の実施形態は、セクション218、217、216としてここで示されるようなセクションを提供しうる。例えば、切れ目202に沿ったパッド103の外側セクション218の取り外しが必要とされうる。同様に、より小さい切開の場合、切れ目210の内側に線引きされた内側セクション216のみが必要とされうる。
【0034】
図6~
図56は、器官保護層105のいくつかの異なる実施形態および図を示す。前述のように、こうした器官保護層105は、創傷部位に最小限に接着するよう設計および構築されることが好ましく、創傷部位に対して非接着性であることがより好ましい。腹部創傷の場合、器官保護層105は、露出した内臓およびその他の内部臓器に対して最小限に接着する、または非接着であることが好ましい。器官保護層105は、例えば、ポリウレタン(エラストラン(登録商標)を含む)、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその混合物などのポリマーなどの可撓性材料から構築されることがより好ましい。
【0035】
器官保護層105は、発泡体パッド103より大きいことが好ましいので、使用時に、器官保護層105は創傷部位の周り、およびその中に押し込まれてもよい。例えば、腹部創傷で使用される場合、器官保護層105は、腸の間の腹腔内に挿入されることが好ましい。器官保護層105は、パッド103が腹部内臓およびその他の内部臓器に接触するのを防止するように配置されるが、腹部切開の端との接触は許容されうることが好ましい。
【0036】
上述のシステムを使用する治療過程では、器官保護層105は、例えば、穴、スリットまたはチャネルなどの開口部を備えて透過性であることが好ましい。これらの開口部は、特に腹部区画症候群の治療において有用であることができ、これらの開口部を使用して、生成されうる頻繁な多量の滲出液およびその他の流体を運ぶことができる。創傷部位からの滲出物およびその他の流体の除去を助けることに加えて、開口部は、陰圧を創傷部位に送達および分配するのに有用である。開口部は、組織の内殖を防止するのに十分に小さいが、閉塞を防止するのに十分に大きいことが好ましい。さらに、器官保護層105の一部の実施形態は、極小に穿孔された器官保護層を備えうる。器官保護層105の異なる実施形態(例えば、
図6、
図11、
図16、
図21、
図26、
図32、
図37、
図42、
図47、
図52に示すような)はまた、製造の容易さなどの製造中の利点を与えうる。器官保護層105の製造は、例えば、ダイもしくはダイカットナイフ、ロータリー穿孔器、水噴射、レーザー切断、または超音波処理などを用いて、切断スリットまたは穴を作ることができる。
【0037】
陰圧による創傷の治療は、一般的に、創傷が、医学的に許容可能な様式で洗浄され、いくつかの種類の創傷包装材料(発泡体など)で随意的に充填され、ドレープで密封され、さらに陰圧供給源に接続されることが必要である。内部臓器、血管および神経を露出する創傷の治療、特に腹腔内でのその治療は、特定の考慮事項を必要としうる。第一に、発泡体またはガーゼなどの典型的な創傷包装材料は、これらの材料が望ましくなく内臓に接着するため、腸または胃などの腹部内臓と直接接触するように置かれないことが望ましい場合がある。その代わりに、前述した非接着のまたは最小限に接着する器官保護層105は、腹腔内または創傷部位110に配置されることが好ましい。この器官保護層105は、サイズ調整するために切断され(必要に応じて)、内臓と腹筋膜との間に押し込まれることが好ましく、いくつかの余分な材料は、いくつかの腹部内容物を取り出すことを避けるためにその上に折り畳まれる。その後、上述のようにサイズ調整された後の発泡体パッド103は、器官保護層の上に、好ましくは創傷部位110の中央の方に配置される。さらに上述の通り、ドレープ107は、サイズ調整するために切断され(必要に応じて)、創傷部位110を囲む健康な皮膚の少なくとも一部分上に重なるように配置されることが好ましい。一部の場合に、一つのドレープ107が不十分である場合、追加的なドレープが提供されてもよく、これらは少なくとも部分的に重なり合うことが好ましく、これによって確実な密封を作ることが可能になる。ドレープ107は、その下側に接着層を備えることが好ましく、それは裏層によって保護されうる。こうした裏層は、ドレープ107が創傷部位を取り囲む皮膚だけでなく発泡体パッド103にも接着することができるように、使用前に取り除かれることが好ましい。次に、開口部109がドレープ107を通じて作られうるが、一部の実施形態には、一つまたは複数の予め作られた開口部または開口部109を有して供給されるドレープ107が含まれうる。次に、陰圧供給源に接続される導管112は、開口部109、または一部の実施形態では、ドレープ107の側面の下に接続されてもよく、そのため創傷部位110と陰圧供給源との間の流体接続が形成される。流体接続は、創傷部位110への陰圧の治療学的印加を許容し、また創傷部位110が望ましいレベルの治癒に達するまで、または別の外科的介入が必要とされるまで、必要に応じて適用されうる。
【0038】
図57~
図63の排水層
典型的には、開放腹部に適用される陰圧創傷治療(NPWT)では、疎水性発泡体および/または疎水性器官保護層が下位層として使用される。市販の器官保護層は、RENASYS(登録商標)ブランド下のSmith&Nephew,Inc.およびKinetic Concepts Inc.の両方で販売されている。しかし、当業者により理解されるように、器官保護層(典型的には、フィルム)は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン(エラストラン(登録商標)を含む)、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその混合物などのこのセクションまたは本明細書のその他の部分で開示されるいくつかの材料で構成されてもよい。疎水性材料は、陰圧の良好な分配とともに腹部からの液体のための流体経路を提供することを可能にする。
【0039】
しかし、水性液体の流れを許容する疎水性材料の能力は、流体との親和性の固有の欠如によって制限されうる。その代わりに、親水性材料は、本明細書の他の部分に記述されるような上にある吸引導管に対する毛細管作用(また「ウィッキング流体」としても知られる)を介して水性流体の流れを吸収しかつ直接的に流すそれらの能力によって、疎水性材料を通じて創傷部位の外へ液体を引き出す利点を提供しうる。発泡体などの多孔性構造の場合、圧縮された小さな空孔を通る水性流体の効果的な流れが、陰圧創傷治療(NPWT)における創傷流体を効果的に除去するために必要であり、毛細管力は空孔を通る液体の自然発生的な流れを至らせる。こうした現象はウィッキングと呼ばれる。親水性材料は、疎水性材料よりも優れた湿潤能力と毛細管作用を有する。したがって、一部の実施形態における親水性材料で作られた多孔性構造は、疎水性材料で作られた類似した構造よりも、陰圧に基づく小さな相互接続された空孔のシステムを通じる液体のウィッキングにおいてより効果的でありうる。親水性材料に加え、取得分配材料、DryWeb TDL2、SlimCore TL4などを含む材料は、ウィッキング流体と類似した特性を有することができ、陰圧を伝える間に液体を輸送する能力を有することができる。毛細管作用によって、こうした材料はさらに、陰圧を必要とせずに組織部位から流体を引き出すこともできる。
【0040】
さらに、親水性材料は、望ましくない肉芽組織の形成なしに、下にある器官上に直接的に配置されうる。組織に直接接触する能力は、複数の利点をもたらす。例えば、発泡体は、創傷組織の形状およびサイズに従って直接的に切断されうる。さらに、発泡体と組織との間の直接接触は、液体経路接触への親密な液体を提供する。
【0041】
特定の実施形態では、
図57に示されるように、排水層300は、
図1で説明した構成要素の多くを使用する一般的なNPWTセットアップの最下層として下にある臓器に対して直接的に配置されうる。一部の実施形態では、排水層は、ポリビニルアルコール(PVA)発泡体などの親水性発泡体であってもよい。こうした発泡体は、一般的に、「ブラック発泡体」と呼ばれる典型的な疎水性発泡体とは対照的に、ホワイト発泡体としても知られている。一部の実施形態では、
図57に示すような排水層は、
図6~
図56および本明細書のその他の部分に示される器官保護層と類似した器官保護層と取り替えられてもよい。別の方法として、排水層300は、
図6~
図56および本明細書のその他の部分に示される器官保護層と類似した別個の器官保護層の上および/または下に配置されてもよい。排水層が器官保護層の上方および下方の両方にある実施形態では、一つまたは複数の排水層が使用されうる。一部の実施形態では、排水層は、発泡体(親水性または疎水性)の層に適用されるフィルム層を含みうる。こうしたフィルムは、
図6~
図56などのこのセクションまたは本明細書のその他の部分で説明した器官保護層105と同一であってもよい。例えば、フィルム層は、創傷部位に最小限に接着するまたは非接着性であるように構成されてもよく、ポリウレタン(エラストラン(登録商標)を含む)、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその混合物などの可撓性材料から構築されてもよい。フィルム層は、
図6~
図56に関連して説明したような穴、スリット、またはチャネルなどの開口部を持ちうる。特定の実施形態では、フィルムは、
図6~
図56に示されていないパターンおよび形状を含みうる。
【0042】
排水層300は、このセクションまたは本明細書のその他の部分で説明したような変化する属性を有する種々の適切な材料で作られうる。例えば、一部の実施形態では、排水層は、低い破砕性と相まる高い引張強度を有するように作られうる。排水層が医師によって形成されるときに、低い破砕性は、腹部内への切れ目微粒子の脱落を減少できるので望ましい。さらに、高い機械的強度により、排水層の配置を容易にする非常に薄い排水層の使用が可能になる。当業者であれば、このセクションおよび本明細書のその他の部分で説明される排水層は任意の適切な様式で形成されうることをさらに理解するであろう。例えば、排水層は、楕円形および/または眼球形形状などの創傷の形状およびサイズにより良く適合する形状であってもよい。
【0043】
ことセクションに記載の発泡体層および/または排水層は、このセクションまたは
図2~
図5などの本明細書のその他の部分で説明した任意の発泡体層および/または排水層の形状および破砕性を持ちうる。例えば、一部の実施形態では、排水層は、その幅および長さよりも小さい厚さを備える。当業者によってさらに理解されるように、発泡体層に対する器官保護層および/またはフィルム層の任意の構成が、発泡体層および/または端の一方または両側に適用されうる。一部の実施形態では、フィルム層は、発泡体層の下部に適用されてもよく、その結果、発泡体が筋膜と直接的に接触することができる。その他の実施形態では、フィルム層は、発泡体の上部のみ、または上部と下部および/または端の両方に適用されてもよい。一部の実施形態では、フィルム層は発泡体層に予め取り付けられてもよい。さらなる実施形態では、フィルム層は、臨床結果に応じて術者により容易に分配されるように構成される。一部の実施形態では、排水層は、このセクションまたは
図2~
図3などの本明細書のその他の部分で説明される一つまたは複数の穿孔を含んでもよい。一部の実施形態では、排水層はフィルム層を含み、このような穿孔はフィルム層の厚さにわたって延在しうる。
【0044】
一部の実施形態では、
図58~
図60に示されるような排水層は、フィルム層の間に挟まれた発泡体層を含みうる。
図58は、PVA発泡体301の薄層が二つのフィルム層302の間に挟まれた実施形態の斜視図を示す。
図59は、この実施形態の側面図を示す。一部の実施形態では、上部および下部フィルム層302は相互に封止されてもよく、また内側の親水性発泡体301の層は、こうした実施形態の断面図を示す
図60に示されるようにフィルム層302によって完全に包まれてもよい。実施形態において、フィルム層302は、端で部分的に共に溶接されてもよい。一部の実施形態では、フィルム層302は一緒にスポット溶接されてもよく、それによって流体チャネルを生成する。溶接は、フィルムの端にのみ、またはフィルムの中へと延在する場合があり、それによって
図61に関連して以下に示されるような内側に延在するチャネルが生成される。こうしたチャネルはまた、中央開口部と結合されてもよく、それによって、溶接されたフィルムサンドイッチの端から中央へと流体を運び、ここにおいて、流体は、陰圧によって離れて導管内へと引き出されうる。
【0045】
排水層の一部の実施形態では、発泡体層の上方または下方のフィルム層は、発泡体表面全体を完全に覆わない場合がある。例えば、フィルム層は、下部表面の表面積および/または親水性発泡体の上部面の100%、90%、70%、50%、30%または10%未満を覆う場合がある。
図61は、
図58~
図60に上述した排水層と同様の排水層400の実施形態の上面図を示す。
図61のフィルム層402は、およそ星印の形状のチャネルを形成する露出した発泡体401を残して発泡体層の部分を覆う。
図61によって示される実施形態の排水層は円形であるが、一部の実施形態では、排水層400は楕円形であってもよく、またはその他任意の適切な形状を有してもよい。
図61の実施形態は三つのチャネルを持つが、一部の実施形態は4、5、6、7、8つ以上のチャネルを持ちうる。特定の実施形態では、チャネルは、螺旋状、クロスハッチまたはヒトデなどの異なるパターンで、排水層の表面を交差してもよい。
【0046】
しかし、パターンはこうした形状に限定されず、フィルムは所望の使用のために任意の適切な形状で発泡体層を露出させてもよい。例えば、
図62は、排水層500の「葉状の」実施形態を示し、ここにおいて、発泡体層501の葉はフィルム502によって露出される。排水層が腹部臓器の上に配置されたとき、葉形状の露出した部分501は、発泡体が結腸傍溝などの腹腔内に容易に到達して、そこに重なる腹腔液に直接接触して吸収することを可能にし、一方で、フィルム502によって覆われた部分は、肉芽組織の形成を防ぐこと、および葉状から流体がそこで陰圧を介して離れて導管内に引き出されうる中央内へと流体を運ぶことを助ける。
図62の実施形態は円形であるが、排水層は、創傷部位により良好に適応する種々の形状を持っていてもよい。例えば、一部の実施形態では、排水層500は、露出した部分501が主軸の対向する端にあるように、左右に楕円形状であってもよい。その他の実施形態では、排水層500は、覆われた部分502が主軸の対向する端上にあるように、上下に楕円形状であってもよい。
【0047】
図61~
図62のフィルム層402または502は、親水性の発泡体層がフィルム層によって部分的に覆われる排水層の実施形態に関するいくつかのパターンを示さないが、フィルム層は、
図6~
図56または本明細書のその他の部分に関連して説明したような穴、スリット、またはチャネルなどの開口部を持っていてもよい。一部の実施形態では、親水性発泡体のそれぞれの表面を部分的に覆う親水性発泡体の上部および下部上のフィルム層は同一のパターンである。フィルム層は、親水性発泡体の側壁に封止または包まれうる。その他の実施形態では、親水性発泡体の上部面または下部面のうちの一つのみが、フィルム層によって部分的に覆われてもよく、一方で親水性発泡体のその他の表面が、完全に覆われてもよく、または完全に露出されてもよい。親水性発泡体の側壁は、十分に完全に覆われてもよく、完全に露出されてもよく、または部分的に覆われてもよい。
【0048】
一部の実施形態では、
図63に示されるような排水層600は、創傷に置かれたときに
図58~
図62の実施形態から90度方向付けられうる。
図63では、発泡体層601の側壁は下にある組織610に直接接触し、それによって発泡体層が組織部位から離れるように流体611を引き出すための垂直チャネルとしての機能することを可能にする。一部の実施形態では、発泡体層601はまた、フィルム層602によって両側を囲まれてもよい。フィルム層602は、本セクションまたはその他の部分で説明した任意の方法で、発泡体層601の面を完全にまたは部分的に覆ってもよい。一部の実施形態では、フィルム層602は発泡体層601を完全に覆い、その結果、発泡体層の側壁のみが露出し、また発泡体層は下にある組織610とのみ直接接触する。一部の実施形態では、フィルム層は、創傷組織上に重なる創傷流体611が発泡体層601に直接接触し、発泡体によって吸収されうるように、発泡体層601の面を部分的に露出しうる。
【0049】
このセクションまたは本明細書のその他の部分で説明される実施形態における親水性材料または親水性発泡体は、取得分配材料、DryWeb TDL2、SlimCore TL4などの類似した流体引き出し能力を有するその他の材料または構造に置換できること、またはそれらと相まることを当業者は理解すべきである。さらに、取得分配材料は、複数の繊維タイプから構成されてもよく、構造および設計で複雑であってもよい。取得分配材料は、実質的に水平または垂直な繊維質ネットワーク内に配置されうる複数のゆるく包まれた繊維を含みうる。一部の実施形態では、取得分配材料は、二つの繊維タイプの混合から成りうる。取得分配材料は、セルロース系材料、ポリエチレン(PE)タイプ材料、ポリエチレンテレフタラート(PET)、またはそれらの混合物を含みうる。PE/PET繊維は、滑らかな表面形態を持ちうる一方で、セルロース繊維は比較的粗い表面形態を持ちうる。いくつかの実施形態では、取得分配材料は、約60%~約90%のセルロース繊維、例えばおよそ75%のセルロース繊維を含んでもよく、約10%~約40%のPE/PET繊維、例えば約25%のPE/PET繊維を含んでもよい。
【0050】
さらに、このセクションまたは本出願のその他の部分で説明される排水層は、複数の内層を含みうる。例えば、特定の実施形態では、排水層の内層は、有利には垂直な芯流体に構築されてもよく、一方でその他の内層は、有利には水平な芯流体に構築されてもよい。一部の材料では、複数の内層は、異なる材料から構築されうる。
【0051】
前述の説明は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができる本発明の特定の特徴、態様および利点である。さらに、本明細書に開示される陰圧治療システムは、上述の物体、利点、特徴および態様のすべてを特徴とする必要はない。当業者であれば、本明細書に教示または示唆されうるものとして他の物体または利点を必ずしも達成する必要はなく、本明細書に教示されるように、本発明が一つの利点または利点の群を達成または最適化する方法で具体化または実行できることを認識するであろう。例えば、一部の実施形態では、パッド103は、器官保護層105および/またはドレープ107なしに使用できる。加えて、本発明の多数の変形が示され、詳細に記述されてきたが、本発明の範囲内である他の修正および使用方法が、本開示に基づいて当業者にとって容易に明らかであろう。これらの特定の特徴および実施形態の態様の様々な組み合わせまたは副組み合わせが作製され、さらに本発明の範囲内にあることが予期される。したがって、開示された実施形態の様々な特徴および態様を、考察した陰圧治療システムの様々なモードを形成するために、互いに組み合わせるかまたは置換できることを理解すべきである。
【0052】
本開示は特定の実施形態について説明するが、本開示で示され説明された方法および装置の多くの態様は、さらなる実施形態または容認できる実施例をさらに形成するために異なって組み合わされうるおよび/または変更されうることが当業者によって理解されるであろう。こうしたすべての修正および変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図される。実際に、幅広い設計および手法が実行可能であり、それらは本開示の範囲内である。本明細書に開示される特徴、構造、または工程は本質的であるか、または不可欠である。さらに、例示的な実施形態が本明細書に記述されているが、等価物、修正、省略、(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)組み合わせ、置換、応用および/または変更を有する任意およびすべての実施形態の範囲が、本開示に基づいて当業者によって理解されるであろう。特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。
【0053】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、このセクションまたは本明細書におけるその他の部分に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。(あらゆる特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)本明細書において開示されるすべての特徴、および/またはそのように開示されるあらゆる方法もしくはプロセスのすべての工程は、そのような特徴および/または工程のうち少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特徴のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及び、または同様に開示される任意の方法またはプロセスの工程のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0054】
さらに、個々の実装の文脈において本開示で説明される特定の特徴がまた、単一の実装で組み合わせて実施されうる。逆に言えば、単一の実装の文脈で説明される様々な特徴がまた、複数の実装で別々に、または任意の適切な副組み合わせで実施されうる。さらに、特定の組み合わせに作用するように特徴を上述することができるが、一部の場合に、主張されうる組み合わせからの一つまたは複数の特徴は、組み合わせから切り離されることができ、組み合わせは、副組み合わせまたは副組み合わせの変形として主張されうる。
【0055】
さらに、動作が図面に示され、または特定の順序で本明細書で記述されうる一方で、こうした動作は、所望の結果を達成するために、示される特定の順序でまたは連続的な順序で実行される、またはすべての動作が実施される必要はない。示されていない、または説明されていないその他の動作は、例示的な方法およびプロセスに組み込まれうる。例えば、いずれかの説明された動作の前、後、同時に、またはその間で一つまたは複数の追加的動作が実施されうる。さらに、動作は、他の実装で再構成または並べ替えられてもよい。一部の実施形態では、図示および/または開示されたプロセスにおいて実施される実際の工程は、図に示された工程とは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述した工程のうちの特定の工程が除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、そのすべてが本開示の範囲内に収まることになる。また、上述の実装における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装においてこうした分離を必要とするものと理解されるべきではなく、記述された構成要素およびシステムが一般的に単一製品で一体化されるか、または複数の製品に包装されうることが理解されるべきである。
【0056】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記載される。必ずしもそのような利点はすべて、任意の特定の実施形態に従って達成されうるわけではない。従って、例えば、当業者であれば、本明細書に教示または示唆されうるものとして必ずしも他の利点を達成することなく、本明細書に教示されるように、本開示が一つの利点または一群の利点を達成する方法で具現化または実施されうることを認識するであろう。
【0057】
「しうる(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、および/または工程を含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、および/もしくは工程が一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、および/もしくは工程が特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザー入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0058】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に用いられる文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくとも一つのXと、少なくとも一つYと、少なくとも一つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0059】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味しうる。別の例として、特定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、0.1度以下または別途ずれている値、量、または特性を意味する。
【0060】
本開示の範囲は、本節におけるまたは本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節においてまたは本明細書の他の箇所において提示されているか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって画定されうる。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
陰圧を使用する創傷部位の治療のためのシステムであって、
前記創傷部位への陰圧の伝達に適した多孔性パッドと、
前記多孔性パッドの下に位置付けられる排水層であって、前記創傷部位から流体を運ぶように構成される、排水層と、
前記多孔性パッドの上に配置されるように構成される、可撓性のドレープと、
陰圧供給源と、
前記供給源から前記可撓性のドレープに陰圧を伝達するように構成される、導管と、を備え、
前記排水層が親水性発泡体を含む、システム。
[付記項2]
前記親水性発泡体が、ポリビニルアルコール(PVA)を含む、付記項1に記載のシステム。
[付記項3]
前記排水層が、前記親水性発泡体の上に上部フィルム層を含む、付記項1または2に記載のシステム。
[付記項4]
前記排水層が、前記親水性発泡体の下に下部フィルム層を含む、付記項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項5]
前記フィルム層または複数のフィルム層が、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはその混合物を含む群から選択される材料を含む、付記項2~4のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項6]
フィルム層または複数のフィルム層が、前記排水層の側壁の少なくとも一部分を覆う、付記項2~5のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項7]
前記親水性発泡体が、上部フィルム層と下部フィルム層との間に挟まれ、前記上部フィルム層および前記下部フィルム層が、それらの端で少なくとも部分的に共に溶接される、付記項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項8]
前記上部フィルム層および前記下部フィルム層がスポット溶接され、それによって流体チャネルが生成される、付記項7に記載のシステム。
[付記項9]
フィルム層が、前記親水性発泡体の下部面および/または上部面の表面積の100%未満を覆う、付記項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項10]
フィルム層が、前記親水性発泡体の前記下部面および/または前記上部面の前記表面積の70%未満を覆う、付記項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項11]
フィルム層が、前記親水性発泡体の前記下部面および/または前記上部面の前記表面積の30%未満を覆う、付記項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項12]
前記親水性発泡体の層の露出した部分が、星印形状、螺旋形状、クロスハッチ形状、ヒトデ形状および葉形状から成る群より選択される形状である、付記項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項13]
前記排水層は、その幅および長さよりも短い厚さを備え、前記排水層の前記厚さの少なくとも一部分を通じて延在する少なくとも一つの切れ目をさらに備え、それは、前記排水
層から着脱可能な一セクションを画定して、寸法的に独立した様式で前記排水層のサイズを調整することを可能にし、ここにおいて、前記排水層の前記長さおよび前記幅が、相互に独立して変更されうる、付記項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項14]
器官保護層をさらに含む、付記項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項15]
前記ドレープおよび前記導管内に形成された開口部に取り付け可能なポートをさらに備える、付記項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項16]
陰圧を使用して創傷部位を治療する方法であって、前記治療が、
親水性排水層を前記創傷部位上に配置することと、
多孔性パッドを前記親水性排水層上に配置することと、
前記創傷の上に位置付けられ、前記創傷を囲む皮膚に密封される可撓性のドレープで前記創傷部位を密封することと、
陰圧供給源から前記創傷部位に陰圧を印加することであって、前記陰圧供給源が、前記ドレープと前記陰圧供給源との間に流体接続された導管を通じて印加される、印加することと、を含む、方法。
[付記項17]
前記親水性排水層が、ポリビニルアルコール(PVA)発泡体を含む、付記項16に記載の方法。
[付記項18]
前記治療が、器官保護層を前記創傷部位上に配置することをさらに含む、付記項16または17に記載の方法。
[付記項19]
前記親水性排水層が、親水性発泡体に予め取り付けられた器官保護層を含む、付記項16~18のいずれか一項に記載の方法。
[付記項20]
前記親水性排水層の側壁が、前記創傷部位上に接触する、付記項16~19のいずれか一項に記載の方法。
[付記項21]
実質的に示されおよび/または説明されたような装置。
[付記項22]
実質的に示されおよび/または説明されたような方法。
[付記項23]
実質的に示されおよび/または説明されたようなシステム。