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特許7038718密度均衡化された、影響力の大きい香料マイクロカプセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】密度均衡化された、影響力の大きい香料マイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20220311BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220311BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220311BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220311BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20220311BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20220311BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20220311BHJP
   D06M 23/12 20060101ALI20220311BHJP
   B01J 13/14 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
C11B9/00 Z
A61K8/49
A61K8/37
A61Q5/02
A61Q19/10
A61Q5/12
A61Q19/00
A61K8/87
A61K8/88
A61K8/81
A61K8/89
A61K8/84
A61K8/73
A61K8/65
C11D3/50
D06M23/12
B01J13/14
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019534255
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2017084032
(87)【国際公開番号】W WO2018115250
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】16206462.0
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エステル ラサ
(72)【発明者】
【氏名】オットー グレーター
(72)【発明者】
【氏名】アルノー ストリュイゥ
(72)【発明者】
【氏名】グレン フェアホフニク
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-510443(JP,A)
【文献】特表2013-530253(JP,A)
【文献】特開2010-155992(JP,A)
【文献】特表2016-513141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/00- 9/02
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
D06M 3/00-15/715
B01J13/02-13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルベースのコアとポリマーシェルとを有する少なくとも1つのマイクロカプセルを含むマイクロカプセルスラリーであって、
前記オイルベースのコアが、
・ Log T(閾値濃度の常用対数)<-4を有する影響力の大きい香料原料を少なくとも15質量%含む香料オイル、25~98質量%、および
・ 1.07g/cm3を上回る密度を有する密度均衡化材料、2~75質量%
を含み、
前記Log T(閾値濃度の常用対数)<-4を有する影響力の大きい香料原料が、以下に記載されるリストから選択され、
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
かつ
前記密度均衡化材料が、ベンジルサリチレート、ベンジルベンゾエート、シクロヘキシルサリチレート、ベンジルフェニルアセテート、フェニルエチルフェノキシアセテート、トリアセチン、メチルおよびエチルサリチレート、ベンジルシンナメートおよびそれらの混合物からなる群の中で選択されることを特徴とする、前記マイクロカプセルスラリー。
【請求項2】
前記香料オイルが、少なくとも30質量%の、Log T(閾値濃度の常用対数)<-4を有する影響力の大きい香料原料を含む、請求項1に記載のマイクロカプセルスラリー。
【請求項3】
前記ポリマーシェルが、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミンウレア樹脂、メラミングリオキサール樹脂、ゼラチン/アラビアゴムシェル壁、およびそれらの混合物からなる群から選択される材料製である、請求項1または2に記載のマイクロカプセルスラリー。
【請求項4】
前記香料オイルが、4-メチル-2-ペンチルピリジンを影響力の大きい香料原料として含む、請求項に記載のマイクロカプセルスラリー。
【請求項5】
前記オイルベースのコアが、25質量%~85質量%の香料オイルと、15質量%~75質量%の密度均衡化材料とを含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載のマイクロカプセルスラリー。
【請求項6】
以下:
(i) 請求項1からまでのいずれか1項に定義された香料マイクロカプセルスラリー、
(ii) 香料担体および香料相互成分からなる群から選択される少なくとも1つの成分、および
(iii) 任意に香料補助剤
を含む芳香組成物。
【請求項7】
液体形態であり、請求項1からまでのいずれか1項に定義されたマイクロカプセルスラリーまたは請求項に定義された芳香組成物を含む消費者製品。
【請求項8】
請求項に記載の消費者製品であって、
a) 前記消費者製品の総質量に対して2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b) 水および/または水混和性の親水性有機溶剤、および
c) 請求項1からまでのいずれか1項に定義されたマイクロカプセルスラリー、または請求項に定義された芳香組成物、
d) 任意にカプセル化されていない香料
を含む、前記消費者製品。
【請求項9】
液体洗剤、布用柔軟剤、液体の香料増強剤、ヘアケア製品またはボディケア製品の形態での液体の透明な等方性消費者製品である、請求項に記載の消費者製品であって、
a) 前記消費者製品の総質量に対して2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b) 水および/または水混和性の親水性有機溶剤、および
c).01~0.3%の量での、請求項1からまでのいずれか1項に定義されたマイクロカプセルスラリーまたは請求項に定義された芳香組成物、
d) 任意にカプセル化されていない香料
を含む、前記消費者製品。
【請求項10】
液体洗剤、布用コンディショナー、液体の香料増強剤、シャンプー、シャワーゲル、液体石鹸、洗い落とすタイプのヘアコンディショナー、ボディローションの形態での、液体の構造化された消費者製品である請求項に記載の消費者製品であって、
a) 前記消費者製品の総質量に対して2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b) 任意に、0.05質量%~8質量%の量での、構造化剤、
c) 水または水混和性の親水性有機溶剤、および
d).01質量%~2.0質量%の量での、請求項1からまでのいずれか1項に定義されたマイクロカプセルスラリーまたは請求項に定義された芳香組成物、
e) 任意にカプセル化されていない香料
を含む、前記消費者製品。
【請求項11】
求項に定義された芳香組成物を含む、粉末化された、または固体の消費者製品。
【請求項12】
請求項11に記載の粉末化された、または固体の消費者製品であって、前記製品は洗剤、香料増強剤、ドライシャンプーまたは石鹸の形態であり、
a) 前記消費者製品の総質量に対して2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、またはポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールであって、室温で固体であるもの、
b)求項に定義された、0.01%~2.0%の量での芳香組成物、
c) 前記マイクロカプセルとは異なる任意の香料または香料粉末
を含む前記消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルベースのコアおよびポリマーシェルを有し、前記オイルベースのコアが影響力の大きい(high impact)香料原料を有する香料オイルと密度均衡化材料とを含む、マイクロカプセルに関する。
【0002】
前記マイクロカプセルを含む芳香組成物および消費者製品、特に、ファイン香料製品、ホームケアまたはパーソナルケア製品の形態の、等方性または構造化された消費者製品も、本発明の一部である。
【背景技術】
【0003】
マイクロカプセル化は、揮発性材料を安定化して、そのような有効な利益材料、例えば香料オイルを様々な表面(布、紙等)の上に、または空気中に効率的に送達するための効率的な技術である。従って、マイクロカプセル、特にオイルベースのコアとポリマーシェルとを含有するいわゆるコアシェル型のものが、現在多くの消費者製品内で使用されている。
【0004】
香料産業が直面する問題の1つは、そのようなマイクロカプセルを、様々な製品ベース(液体洗剤、布用コンディショナー、香料増強剤、食器用洗剤、床用クリーナー、シャンプー、濯ぎ落とすタイプのヘアコンディショナー)中に、経済的な方法で、使用の際に有効成分の測定される性能、例えば香料の場合には嗅覚的影響力に関して効率的に包含できなければならないことである。
【0005】
その結果、香料産業は、改善された嗅覚性能を有するマイクロカプセルを常に探している。
【0006】
マイクロカプセルは従来技術において広範に記載されている。
【0007】
例えば、安定性および/または堆積に関する良好な性能を提供するために高密度化されたマイクロカプセルを開示する、米国特許第9119973号明細書(US9119973)、米国特許出願公開第2010/0190673号明細書(US2010/0190673)および米国特許出願公開第2009/0035365号明細書(US2009/0035365)を挙げることができる。しかしながら、例えば米国特許第9119973号明細書においては、最終製品(等方性液体洗剤)中での効果的な利益をもたらすために、マイクロカプセルは高い供与量で使用されなければならず、そのような非常に高いカプセル供与量は、最終製品の透明性/混濁度に非常に悪い効果を及ぼすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第9119973号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0190673号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0035365号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、改善された経済的な方法で、従来開示されているカプセルよりも少ない供与量ではあるがしかし同等の嗅覚的影響力(例えばブルーミング効果または長続きする効果)を有して使用され得る安定なマイクロカプセルについてのニーズがある。
【0010】
本発明のマイクロカプセルは、非常に低いマイクロカプセル供与量であっても種々の消費者製品内で高い嗅覚性能を示すので、この問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の概要
従って、本発明の第1の態様は、オイルベースのコアとポリマーシェルとを有する少なくとも1つのマイクロカプセルを含むマイクロカプセルスラリーであって、前記オイルベースのコアが、
・ Log T<-4を有する影響力の大きい香料原料を少なくとも15質量%含む香料オイル、25~98質量%、および
・ 1.07g/cm3を上回る密度を有する密度均衡化材料、2~75質量%
を含むことを特徴とする、前記マイクロカプセルスラリーである。
【0012】
本発明の第2の対象は、上記で定義されたスラリーを乾燥させることによって得られるマイクロカプセル粉末である。
【0013】
第3の対象は、
(i) 上記で定義された香料マイクロカプセルスラリーまたは上記で定義されたマイクロカプセル粉末、
(ii) 香料担体および香料相互成分からなる群から選択される少なくとも1つの成分、および
(iii) 任意に香料補助剤
を含む芳香組成物である。
【0014】
他の対象は、上記で定義されたマイクロカプセルスラリーまたは上記で定義された芳香組成物を含む消費者製品である。
【0015】
定義
「等方性ベース」または「等方性消費者製品」は、透明且つ構造化されていない(ゲルを含む)液体として理解されるべきである。換言すれば、水相(外部の相構造化)または界面活性剤構造(内部の相構造化)中にいかなる構造化剤も含まない。
【0016】
「構造化ベース」または「構造化消費者製品」は、一般に不透明であり、且つ周知の外的な構造化剤、たとえば水素化ヒマシ油、構造化ポリマー、例えばポリアクリレート(およびコポリマー)、キサンタンガム、チロース(ヒドロキシエチルセルロース)によって、または内的に構造化された例えばラメラ相または管状(tubular)相を含む界面活性剤を使用することによって構造化された液体として理解されるべきである。
【0017】
本発明における「マイクロカプセル」またはその類似物は、ミクロン範囲(例えば約1~1000ミクロン、好ましくは1~500ミクロンに含まれる平均直径(d(v,0.5)))の粒径分布を有し、外部の固体のオリゴマーベースのシェルまたはポリマーシェル、および外部のシェルによって取り囲まれた内部の連続油相を含むカプセルを意味する。
【0018】
「影響力の大きい香料原料」は、Log T<-4を有する香料原料と理解されるべきである。化学化合物の臭気閾値濃度は、その形状、極性、部分電荷、および分子量によって部分的に決定される。便宜上、閾値濃度は、閾値濃度の常用対数、つまり、Log[閾値](「Log T」)として示される。
【0019】
「密度均衡化材料」は、1.07g/cm3よりも大きい密度を有し且つ好ましくは低臭または無臭である材料として理解されるべきである。
【0020】
発明の詳細な説明
特段記載されない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の質量%を示すことを意味する。
【0021】
この度、本発明は、影響力の大きい香料原料と高密度材料との間の特定の組み合わせを使用することにより、種々の消費者製品ベース内で、より少ない供与量の水準で使用できる安定且つ高性能マイクロカプセルを提供する方法を決定した。
【0022】
その結果、それらのマイクロカプセルが少ない供与量でも効果的な影響力をもたらすという事実ゆえに、それらは特に等方性のベース(定義によれば、構造化されていないもの)内で、そのベースの透明性を著しく改質することなく有利に使用され得る。
【0023】
実際に今まで先行技術のマイクロカプセルは等方性液体内で使用するために適しておらず、なぜなら、そのようなベースは透明であり、且つ必要な影響力をもたらすために、通常使用される必要とされる供与量のマイクロカプセルが、それらを混濁または不透明にしかねないからである。
【0024】
さらには、本発明によるマイクロカプセルは有利なことに、特にそれらを少ない供与量で使用できるという能力、およびそれらのカプセルの比重が等方性ベースの密度に近いおかげで、(カプセルを懸濁させるために一般には必須であった)構造化剤を添加する必要なく等方性ベース中に安定な方式で懸濁され得ることが判明した。
【0025】
マイクロカプセルスラリー中でマイクロカプセルのサイズはわずかに異なり、且つ平均粒径付近での粒径の狭いガウス分布によって定義されると理解されるべきである。従って、これは、平均カプセル密度周辺でのマイクロカプセル密度のガウス分布が狭いことに言い換えられる。また、この平均カプセル密度が等方性ベースの密度に近いことを確実にすることにより、スラリー中の全てのマイクロカプセルの密度はベースの密度に十分に近くなり、大半のカプセルの長期的に良好な懸濁を確実にする。
【0026】
一般に、界面活性剤を多く含む液体の消費者製品は1.00を著しく上回る密度を有する一方で、カプセルスラリーは1.00のすぐ下または1.00に近い平均密度を有することが多い。従って、カプセルの平均密度を高める必要がある。カプセル壁の密度は一般にコアオイルの密度より高いので、1つの可能性は、所定のカプセルにおいてカプセル壁のコアオイルに対する割合を高めることである。しかしながら、これは嗅覚的には逆効果であり、なぜならカプセルの壁が厚くなるほど、性能は低くなるからである(擦る前後の両方で影響力が小さくなる)。本発明の代替的な解決策は、1.07を上回る密度を有する、ある割合の密度均衡化材料を香料オイルに添加することによりコアオイルの密度を高めると同時に、前記香料オイルを影響力の大きい香料原料で強化して、快い性能を保持することである(そうしなければ前記の快い性能は密度均衡化材料による香料油の希釈によって低減される)。この度、そのように得られたコアオイルは、著しく高い密度を有する一方で、元のオイルの嗅覚的影響力を保持するか、または超えることすらある。
【0027】
当然のことながら、本発明のマイクロカプセルは、高い嗅覚的性能を示すので、他のベース、例えば液体構造化消費者製品、またはさらには固体の消費者製品中で使用するためにも適している。
【0028】
従って、本発明の第1の態様は、オイルベースのコアとポリマーシェルとを有する少なくとも1つのマイクロカプセルを含むマイクロカプセルスラリーであって、前記オイルベースのコアが、
・ Log T<-4を有する影響力の大きい香料原料を少なくとも15質量%含む香料オイル、25~98質量%、および
・ 1.07g/cm3を上回る密度を有する密度均衡化材料、2~75質量%
を含むことを特徴とする、前記マイクロカプセルスラリーである。
【0029】
特定の実施態様によれば、前記オイルベースのコアは、
・ Log T<-4を有する影響力の大きい香料原料を少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも30質量%、より好ましくは少なくとも50質量%含む香料オイル、25質量%~85質量%、および
・ 密度均衡化材料、15~75質量%
を含む。
【0030】
影響力の大きい香料原料
本発明によれば、前記オイルベースのコアは、Log T<-4を有する香料原料を特定の量で含む香料オイルを含む。
【0031】
特定の実施態様によれば、オイルベースのコアはさらに、機能性食品、化粧品、防虫剤および殺生活性物質からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を含む。
【0032】
他の特定の実施態様によれば、オイルベースのコアは香料原料からなる。
【0033】
本願において、「香料原料」または「芳香成分」は、臭いを付与するかまたは調節する主目的のために使用される化合物を意味する。換言すれば、そのような成分は芳香成分であるとみなされ、当業者によって良い方向または心地良い方向で組成物の臭いを少なくとも付与することができるかまたは変化させることができるものであって、臭いを有するだけでないとみなされるべきである。本発明に関しては、香料オイルは芳香成分と、一緒に前記芳香成分の送達を改善、強化または修正する物質、例えば香料前駆体、エマルションまたは分散液との組み合わせ、並びに臭いを修正または付与することを超える追加的な利益、例えば長期持続性、ブルーミング、悪臭の中和、抗菌作用、微生物安定性、防虫を付与する組み合わせも含む。
【0034】
油相中に存在する芳香成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を請け負わず、それはいずれにせよ網羅できず、当業者はその一般的な知識に基づき、且つ、意図される使用または用途および所望の官能効果によって、それらを選択できる。一般的な用語においては、これらの芳香成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油にまでわたる化学的分類に属し、且つ、その香料相互成分は天然または合成由来であってよい。これらの相互成分の多くはいずれにせよ、参考文献、例えばS.Arctanderによる本、Perfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、ニュージャージー、米国、またはそのより最近の版、または同様の性質の他の著作、並びに香料分野における豊富な特許文献内に列記されている。前記の成分は、様々な種類の芳香化合物を制御して放出することが知られている化合物であってよいとも理解される。
【0035】
本発明によれば、前記オイルベースのコアは、Log T<-4を有する影響力の大きい香料原料を少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも30質量%、より好ましくは少なくとも50質量%含む香料オイルを5~98質量%含む。
【0036】
芳香化合物の臭気閾値濃度は、ガスクロマトグラフ(「GC」)を使用して決定される。具体的には、ガスクロマトグラフは、シリンジによって注入された香料オイル成分の正確な体積、正確な分割比、および炭化水素応答を決定するために、既知の濃度および鎖長分布の炭化水素標準を使用して較正される。空気流量は正確に測定され、且つ人間の吸息の時間が12秒間続くと仮定し、採取された体積を計算する。任意の時点での検出器での正確な濃度が既知であるので、吸入された体積当たりの質量がわかり、したがって芳香化合物の濃度がわかる。前記閾値濃度を決定するために、逆算された濃度で溶液をスニフポート(sniff port)に送達する。パネリストはそのGC溶出液の臭いをかぎ、臭いが検知された際にその保持時間を同定する。全てのパネリストにわたる平均が、芳香化合物の臭気閾値濃度を決定する。臭気閾値の決定は、C.Vuilleumier et al.、Multidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development、Perfume&Flavorist、Vol.33、2008年9月、54~61ページ内により詳細に記載されている。
【0037】
1つの実施態様によれば、Log T<-4を有する影響力の大きい香料原料は以下の表1のリストから選択される。
【0038】
【表1-1】
【0039】
【表1-2】
【0040】
【表1-3】
【0041】
1つの実施態様によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
1つの実施態様によれば、Log T<-4を有する香料原料は、アルコール、フェノール、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群の中で選択される少なくとも1つの化合物を、Log T<-4を有する香料原料の総質量に対して好ましくは20~70質量%に含まれる量で含む。
【0043】
1つの実施態様によれば、Log T<-4を有する香料原料は、Log T<-4を有する香料原料の総質量に対して20~70質量%のアルデヒド、ケトンおよびそれらの混合物を含む。
【0044】
特定の実施態様によれば、影響力の大きい香料原料は、4-メチル-2-ペンチルピリジンを含む。
【0045】
1つの実施態様によれば、香料オイルは、
・ 4-メチル-2-ペンチルピリジン、および
・ イソオイゲノール、シンナミルアセテート、フェニルエチルアセテート、インドール、ジヒドロミルセノール、ユーカリプトール、リナロール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、[1-メチル-2-[(1’,2’,2’-トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3’-イル)メチル]シクロプルピル]メチノールからなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む。
【0046】
従って、オイルベースのコア内に含有される残りの香料原料はLog T>-4を有する。
【0047】
Log T>-4を有する香料原料の限定されない例を以下の表1Aに挙げる。
【0048】
【表2-1】
【0049】
【表2-2】
【0050】
【表2-3】
【0051】
密度均衡化材料
本発明によれば、オイルベースのコアは1.07g/cm3を上回る密度を有する密度均衡化材料を2~75質量%含む。
【0052】
成分の密度は、質量と体積との比として定義される(g/cm3)。
【0053】
成分の密度を決定するためにいくつかの方法が利用できる。
【0054】
エッセンシャルオイルのd20密度を測定するために、例えば、ISO 298:1998の方法を参照できる。
【0055】
1つの実施態様によれば、密度均衡化材料は、ベンジルサリチレート、ベンジルベンゾエート、シクロヘキシルサリチレート、ベンジルフェニルアセテート、フェニルエチルフェノキシアセテート、トリアセチン、メチルおよびエチルサリチレート、ベンジルシンナメートおよびそれらの混合物からなる群の中で選択される。
【0056】
特定の実施態様によれば、密度均衡化材料は、ベンジルサリチレート、ベンジルベンゾエート、シクロヘキシルサリチレートおよびそれらの混合物からなる群の中で選択される。
【0057】
香料オイルと密度均衡化材料との間の相対的な割合
影響力の大きい香料原料と本発明内で定義される密度均衡化材料との間の具体的な組み合わせは、最終製品の密度に近い全体的なカプセルの密度をもたらす。
【0058】
従って、香料原料と密度均衡化材料との間の相対的な割合を、目標の最終的な消費者製品の密度に従って最適化できる。
【0059】
典型的には、
・ 1.005g/cm3~1.02g/cm3の密度を有する等方性ベースについては、オイルベースのコアは60~75%の香料オイルおよび25~40%の密度均衡化材料を含む、
・ 1.02g/cm3~1.03g/cm3の密度を有する等方性ベースについては、オイルベースのコアは50~65%の香料オイルおよび35~50%の密度均衡化材料を含む、
・ 1.03g/cm3~1.06g/cm3の密度を有する等方性ベースについては、オイルベースのコアは35~45%の香料オイルおよび55~65%の密度均衡化材料を含む、
・ 1.06g/cm3~1.08g/cm3の密度を有する等方性ベースについては、オイルベースのコアは25~35%の香料オイルおよび65~75%の密度均衡化材料を含む、
・ 構造化されたベースについては、オイルベースのコアは80~95%の香料オイルおよび5~20%の密度均衡化材料を含む。
【0060】
マイクロカプセル
本発明のマイクロカプセルのポリマーシェルの性質は多様であり得る。限定されない例として、シェルはポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリスルホンアミド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミンウレア樹脂、メラミングリオキサール樹脂、ゼラチン/アラビアゴムシェル壁、およびそれらの混合物からなる群から選択される材料製であってよい。
【0061】
シェルはハイブリッド、つまり有機・無機、例えば少なくとも2種の架橋された無機粒子で構成されるハイブリッドシェル、またはポリアルコキシシランマクロモノマー組成物の加水分解および縮合反応から得られるシェルであってもよい。
【0062】
1つの実施態様によれば、シェルはアミノプラストコポリマー、例えばメラミンホルムアルデヒドまたはウレアホルムアルデヒド、または架橋されたメラミンホルムアルデヒドまたはメラミングリオキサールを含む。
【0063】
液体の界面活性剤を多く含む製品中でそれらのカプセルを貯蔵する際のオイルコアの保持が重要であるので、特定の実施態様によれば、コアシェルマイクロカプセルは、以下の段階:
1) 香料オイルを少なくとも2つのイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートと混合して、油相を形成する段階、
2) アミノプラスト樹脂および任意に安定剤を水中に分散または溶解させて水相を形成する段階、
3) 油相を水相に添加して、水中油型の分散液を形成する段階、ここで、油相と水相とを混合することにより、平均液滴サイズは、1~100マイクロメートルに含まれる、
4) 硬化段階を実施して、前記マイクロカプセルの壁を形成する段階、および
5) 最終的な分散液を任意に乾燥させて、乾燥されたコアシェルマイクロカプセルを得る段階
を含む方法によって得られる架橋されたメラミンホルムアルデヒドマイクロカプセルである。
【0064】
この方法は、国際公開第2013/092375号(WO2013/092375)および国際公開第2015/110568号(WO2015/110568)内により詳細に記載され、それらの内容は参照をもって本願内に含まれるものとする。
【0065】
他の実施態様によれば、シェルは、ポリウレア系、例えば限定されずにイソシアネート系のモノマーと、アミン含有架橋剤、例えば炭酸グアニジンおよび/またはグアナゾールとから製造されるものである。好ましいポリウレア系のマイクロカプセルは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を含む少なくとも1つのポリイソシアネートと、アミン(例えば水溶性グアニジン塩およびグアニジン)、コロイド安定剤または乳化剤からなる群から選択される少なくとも1つの反応物質との間の重合の反応生成物であるポリウレア壁、およびカプセル化された香料を含む。しかしながら、アミンの使用は省略してもよい。
【0066】
他の実施態様によれば、シェルは例えば限定されずにポリイソシアネートおよびポリオールから製造されるポリウレタン系、ポリアミド、ポリエステル等である。
【0067】
特定の実施態様によれば、コロイド安定剤は、0.1~0.4%のポリビニルアルコール、0.6~1%のビニルピロリドンおよび四級化ビニルイミダゾールのカチオン性コポリマー(全てのパーセンテージはコロイド安定剤の総質量に対する質量によって定義されている)の水溶液を含む。他の実施態様によれば、乳化剤は、好ましくはポリアクリレート(および特にアクリルアミドとのコポリマー)、アラビアゴム、ダイズタンパク質、ゼラチン、カゼイン酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性または両親媒性バイオポリマーである。
【0068】
特定の実施態様によれば、ポリイソシアネートは、好ましくはフェニル、トルイル、キシリル、ナチフルまたはジフェニル部分を含む、芳香族ポリイソシアネートである。好ましい芳香族ポリイソシアネートはビウレット、およびポリイソシアヌレート類、より好ましくはトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(Bayerから商品名Desmodur(登録商標) RCとして市販)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Bayerから商品名Desmodur(登録商標) L75として市販)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学から商品名Takenate(登録商標) D-110Nとして市販)である。
【0069】
特定の実施態様によれば、ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学から商品名Takenate(登録商標) D-110Nとして市販)である。
【0070】
コアシェルマイクロカプセルの水性分散液/スラリーの調製は当業者に周知である。1つの態様において、前記マイクロカプセル壁の材料は、任意の適した樹脂を含むことができ、特にメラミン、グリオキサール、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等を含む。適した樹脂は、アルデヒドおよびアミンの反応生成物を含み、適したアルデヒドはホルムアルデヒドおよびグリオキサールを含む。適したアミンはメラミン、ウレア、ベンゾグアナミン、グリコールウリルおよびそれらの混合物を含む。適したメラミンは、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミンおよびそれらの混合物を含む。適したウレアは、ジメチロールウレア、メチル化ジメチロールウレア、ウレアレソルシノールおよびそれらの混合物を含む。製造のために適した材料は、以下の会社の1つ以上から得ることができる: Solutia Inc.(St Louis、Missouri、米国)、Cytec Industries(West Paterson、New Jersey、米国)、 Sigma-Aldrich(St.Louis、Missouri、米国)。
【0071】
特定の実施態様によれば、コアシェルマイクロカプセルはホルムアルデヒド不含のカプセルである。アミノプラストホルムアルデヒド不含のマイクロカプセルスラリーの典型的な調製方法は、以下の段階:
1) 下記a)~c)の反応生成物を含む、または下記a)~c)を一緒に反応させることにより得られるオリゴマー組成物を調製する段階:
a) メラミンの形態、またはメラミンと、2つのNH2官能基を含む少なくとも1つのC1~C4-化合物との混合物の形態のポリアミン成分、
b) グリオキサール、C4~C6-2,2-ジアルコキシエタナールおよび任意にグリオキサレートの混合物であって、グリオキサール/C4~C6-2,2-ジアルコキシエタナールのモル比が1/1~10/1に含まれる前記混合物の形態でのアルデヒド成分、および
c) プロトン酸触媒、
2) 水中油型分散液を調製する段階、ここで液滴のサイズは1~600μmに含まれ、且つ
i. オイル、
ii. 水媒体、
iii. 段階1で得られた少なくとも1つのオリゴマー組成物、
iv. 下記:
A) C~C12-芳香族または脂肪族ジイソシアネートまたはトリイソシアネート、およびそれらのビウレット、トリウレット、トリマー、トリメチロールプロパン付加物、およびそれらの混合物、および/または
B) 式
A-(オキシラン-2-イルメチル)n
[前記式中、nは2または3を意味し、且つAは任意に2~6個の窒素原子および/または酸素原子を含むC2~C6-基を表す]
のジオキシランまたはトリオキシラン、
から選択される少なくとも1つの架橋剤、
v. 任意に、2つのNH2官能基を含むC1~C4-化合物
を含む、
3) 前記分散液を加熱する段階、
4) 前記分散液を冷却する段階
を含む。
【0072】
この方法は、国際公開第2013/068255号(WO2013/068255)内により詳細に記載され、その内容は参照をもって本願内に含まれるものとする。
【0073】
他の実施態様によれば、マイクロカプセルのシェルは、ポリウレア系またはポリウレタン系である。ポリウレア系またはポリウレタン系マイクロカプセルスラリーの調製方法の例は、例えば国際公開第2007/004166(WO2007/004166)、欧州特許第2300146号明細書(EP2300146)、欧州特許第2579976号明細書(EP2579976)内に記載され、その内容は参照をもって本願内に含まれるものとする。典型的には、ポリウレア系またはポリウレタン系マイクロカプセルスラリーの調製方法は、以下の段階:
a) 少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートをオイル中に溶解して、油相を形成する段階、
b) 乳化剤またはコロイド安定剤の水溶液を調製して水相を形成する段階、
c) 前記油相を前記水相に添加して、水中油型分散液を形成する段階、ここで、平均液滴サイズは1~500μm、好ましくは5~50μmに含まれる、
d) 界面重合を引き起こすために十分な条件を印加し、スラリーの形態でマイクロカプセルを形成する段階
を含む。
【0074】
本発明によれば、カプセル化の後、マイクロカプセルの性質がどうであろうと、カプセルの内部コアは、香料オイルおよび本発明内で定義される高密度均衡化材料で構成されるコアオイルのみで構成されていることが理解されるべきである。
【0075】
マイクロカプセル粉末
本発明の他の対象は、上記で定義されたマイクロカプセルスラリーを乾燥させることによって得られるマイクロカプセル粉末である。
【0076】
特定の実施態様によれば、前記スラリーを担体エマルション内で、遊離したオイルのエマルションと混合し、次いで乾燥することにより、ハイブリッドマイクロカプセルが得られる。
【0077】
当業者に公知の任意の乾燥方法を使用でき、特にスラリーを噴霧乾燥、好ましくはポリマーの担体材料、例えばポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または化工デンプン、植物ガム、ペクチン、キサンタン、アルギネート、カラギーナンまたはセルロース誘導体の存在下で噴霧乾燥させて、粉末形態のマイクロカプセルをもたらすことができる。
【0078】
芳香組成物
本発明の他の対象は、
(i) 上記で定義された香料マイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル粉末、ここで、オイルベースのコアが香料を含む、
(ii) 香料担体、香料相互成分、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分、
(iii) 任意に少なくとも1つの香料補助剤
を含む芳香組成物である。
【0079】
特定の実施態様によれば、芳香組成物が香料マイクロカプセルスラリーを含む場合、前記芳香組成物を乾燥に供することができる。
【0080】
液体の香料担体としては、限定されない例として、乳化系、即ち、溶剤および界面活性剤系、または香料において一般に使用される溶剤を挙げることができる。香料において一般に使用される溶剤の性質および種類の詳細な説明は、網羅できない。しかしながら、限定されない例として、溶媒、例えばジプロピレングルコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリスタート、ベンジルベンゾエート、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノールまたはクエン酸エチルを挙げることができ、これらが最も一般的に使用されている。香料担体と香料相互成分との両方を含む組成物について、先に特定されたものの他の適した香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標Isopar(登録商標)(製造元: Exxon Chemical)として公知のもの、またはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えば商標Dowanol(登録商標)(製造元: Dow Chemical Company)として公知のものであってもよい。本願において「香料相互成分」とは、快い効果を付与するために芳香調製物または組成物に使用される化合物を意味し、それは上記に定義されたマイクロカプセルではない。換言すれば、そのような相互成分は芳香性のものであるとしてみなされ、当業者によって、良い方向にまたは心地よく、組成物の臭いを付与または修正でき、且つ、単に臭いを有するだけではないとして認識されなければならない。
【0081】
芳香組成物中に存在する香料相互成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を請け負わず、それはいずれにせよ網羅できず、当業者はその一般的な知識に基づき且つ意図される使用または用途および所望の官能効果に従って、それらを選択することができる。一般的な用語においては、これらの香料相互成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物および精油にまでわたる化学的分類に属し、且つ、前記の香料相互成分は天然または合成由来であってよい。これらの相互成分の多くはいずれにせよ、参考文献、例えばS.Arctanderによる本、Perfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、ニュージャージー、米国、またはそのより最近の版、または同様の性質の他の著作、並びに香料分野における豊富な特許文献内に列記されている。前記の相互成分は、様々な種類の芳香化合物を制御して放出することが知られている化合物であってもよいとも理解される。
【0082】
「香料補助剤」は本願において、追加的に加えられる利益、例えば色、特定の耐光性、化学的安定性などを付与できる成分を意味する。香料ベース中で一般に使用される補助剤の性質および種類の詳細な説明は網羅できないが、しかし、前記の成分は当業者には周知であることに言及しなければならない。
【0083】
好ましくは、本発明による芳香組成物は、0.05~30質量%、好ましくは0.1~30質量%の上記で定義されたマイクロカプセルを含む。
【0084】
消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、その高い嗅覚性能のおかげで、多くの用途分野において、および消費者製品内で有利に使用され得る。
【0085】
従って、マイクロカプセルは、様々な液体の消費者製品(等方性または構造化された消費者製品)に適用可能な液体の形態で、並びに粉末化されたまたは固体の消費者製品に適用可能な粉末または固体の形態で使用され得る。
【0086】
本発明の製品は特に、着香された消費者製品、例えばファイン香料または「機能性」香料に属する製品内で使用され得る。機能性香料は特に、ヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケア、並びに洗濯物のケアおよび空気ケアを含むホームケア製品を含むパーソナルケア製品を含む。従って、本発明の他の対象は、上記で定義されたマイクロカプセルまたは上記で定義された芳香組成物を芳香成分として含む着香された消費者製品からなる。前記消費者製品の香料の成分は、上記で定義された香料マイクロカプセルと、遊離しているかまたはカプセル化されていない香料、並びに本願に開示されるものとは異なる種類の香料マイクロカプセルとの組み合わせであってよい。
【0087】
明確化のために、「着香消費者製品」とは、様々な利益の中でも芳香効果を、それが適用される表面(例えば肌、髪、布、紙または家財の表面)または空気(空気清浄剤、脱臭剤等)に送達することが期待されている消費者製品を意味することに言及しなければならない。換言すれば、本発明による着香消費者製品は、利益剤と共に「ベース」とも称される機能性配合物を含み、その中に効果的な量の本発明によるマイクロカプセルを有する生産品である。
【0088】
着香消費者製品の他の成分の性質および種類は、ここではより詳細な説明を請け負わず、いずれにせよそれは網羅できず、当業者はその一般的な知識に基づき、且つ前記の製品の性質および所望の効果によってそれらを選択できる。本発明のマイクロカプセルが混合され得る消費者製品のベース配合物を、そのような製品についての豊富な文献内で見つけることができる。それらの配合物はここで詳細な説明を請け負わず、いずれにせよそれは網羅できない。そのような消費者製品を配合する当業者は、一般的な知見および入手可能な文献に基づき、適した成分を完全に選択できる。
【0089】
適した着香消費者製品の限定されない例は、香料、例えばファイン香料、コロンまたはアフターシェーブローション; 布用ケア製品、例えば液体または固体洗剤、錠剤およびポッド、布用柔軟剤、ドライヤーシート、布用リフレッシャー、香料増強剤、アイロン水または漂白剤; ボディケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、染色用調製物またはヘアスプレー)、化粧品(例えばバニシングクリーム、ボディローションまたは消臭剤または制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば着香石鹸、シャワーまたはバスフォーム、ボディウォッシュ、オイルまたはジェル、バスソルト、または衛生製品); 空気ケア製品、例えばエアフレッシュナーまたは「すぐ使用できる」粉末化エアフレッシュナー; またはホームケア製品、例えば多目的クリーナー、液体または粉末または錠剤の食器洗浄製品、トイレ用洗剤または様々な表面を洗浄するための製品、例えば布または硬質表面(床、タイル、石敷等)の処理およびリフレッシュのために意図されるスプレーおよびワイプ、衛生用品、例えば生理用ナプキン、おむつ、トイレットペーパーであってよい。
【0090】
本発明の他の対象は、液体形態、好ましくはホームケア製品、ヘアケア製品またはボディケア製品の形態の消費者製品であって、上記で定義されたマイクロカプセルスラリーまたは上記で定義された芳香組成物を含む、前記消費者製品である。
【0091】
1つの実施態様によれば、前記消費者製品は、
a) 前記消費者製品の総質量に対して2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b) 水および/または水混和性の親水性有機溶剤、および
c) 上記で定義されたマイクロカプセルスラリー、または上記で定義された芳香組成物、
d) 任意にカプセル化されていない香料
を含む。
【0092】
特定の実施態様によれば、前記消費者製品は、好ましくは液体洗剤、布用柔軟剤、液体の香料増強剤、ヘアケア製品またはボディケア製品の形態での、液体の透明な等方性消費者製品である。
【0093】
実際に、本発明のマイクロカプセルは、等方性の消費者製品のために特に適していることが示されており、なぜなら、それらは非常に少ない供与量で使用され得るので、最終的な製品の透明性に及ぼす影響は非常に少ないからである。
【0094】
1つの実施態様によれば、前記消費者製品は、液体洗剤、布用柔軟剤、液体の香料増強剤、ヘアケア製品またはボディケア製品の形態での液体の透明な等方性消費者製品であって、
a) 前記消費者製品の総質量に対して2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b) 水および/または水混和性の親水性有機溶剤、および
c) 好ましくは前記消費者製品の総質量に対して0.01~0.3%、好ましくは0.01~0.15%、最も好ましくは0.01~0.1%の量の上記で定義されたマイクロカプセルスラリーまたは上記で定義された芳香組成物
d) 任意にカプセル化されていない香料
を含む。
【0095】
実際に、本発明のマイクロカプセルは、等方性の消費者製品のために特に適していることも示されており、なぜなら、それらは非常に少ない供与量で使用され得るので、製品の混濁に非常にわずかな影響しか及ぼさず、且つ最終製品を経済的にするからである。
【0096】
この実施態様、つまり等方性の消費者製品についての実施態様によれば、オイルベースのコアは25~75%の香料オイルと、25~75%の密度均衡化材料とを含む。
【0097】
典型的には、
・ 1.005~1.02の密度を有する等方性ベースについては、オイルベースのコアは60~75%の香料オイルおよび25~40%の密度均衡化材料を含む、
・ 1.0~1.03の密度を有する等方性ベースについては、オイルベースのコアは50~65%の香料オイルおよび35~50%の密度均衡化材料を含む、
・ 1.03~1.06の密度を有する等方性ベースについては、オイルベースのコアは35~45%の香料オイルおよび55~65%の密度均衡化材料を含む、
・ 1.06~1.08の密度を有する等方性ベースについては、オイルベースのコアは25~35%の香料オイルおよび65~75%の密度均衡化材料を含む。
【0098】
等方性の消費者製品について、香料オイルは、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%の、Log T<-4を有する影響力の大きい香料原料を含むことが好ましい。
【0099】
この実施態様によれば、つまり等方性消費者製品についての実施態様によれば、平均粒径100μm未満、好ましくは50μm未満、最も好ましくは25μm未満を有するマイクロカプセルが好ましく、なぜなら、これは、単独の粒径が長期的な懸濁を確実にするために充分ではない場合であっても、経時的な懸濁を助けるからである。
【0100】
他の実施態様によれば、前記消費者製品は、好ましくは液体洗剤、布用コンディショナー、液体の香料増強剤、シャンプー、シャワーゲル、液体石鹸、洗い落とすタイプのヘアコンディショナー、ボディローションの形態での、液体の構造化された消費者製品である。
【0101】
1つの実施態様によれば、液体洗剤または布用コンディショナーは、水分の少ない液体洗剤または布用コンディショナーのユニドース/ポッド(シングルまたはマルチチャンバ)の形態である。
【0102】
実際に、本発明のマイクロカプセルは、構造化された消費者製品のために特に適していることも示されており、なぜなら、それらは非常に少ない供与量で使用され得るので、最終製品を経済的にするからである。
【0103】
他の実施態様によれば、前記消費者製品は、好ましくは液体洗剤、布用コンディショナー、液体の香料増強剤、シャンプー、シャワーゲル、液体石鹸、洗い落とすタイプのヘアコンディショナー、ボディローションの形態での、液体の構造化された消費者製品であって、
a) 前記消費者製品の総質量に対して2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、
b) 任意に、好ましくは、0.05質量%~8質量%、最も好ましくは0.1質量%~5質量%の量での、構造化剤、
c) 水または水混和性の親水性有機溶剤、および
d) 前記消費者製品の総質量に対して好ましくは0.01質量%~2.0質量%、好ましくは0.1質量%~1質量%の量での、上記で定義されたマイクロカプセルスラリーまたは上記で定義された芳香組成物、
e) 任意にカプセル化されていない香料
を含む前記消費者製品も本発明の一部である。
【0104】
構造化剤は、流体の粘度を高めるために適した任意の物質として定義される。例えば、アクリレート(コ)ポリマーおよび架橋されたアクリレートポリマー、構造化ガム(アガーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、キシログルカン、ゲランガム、ペクチン、アルギネート、カラギーナンガム、グアーおよび変性グアー、ラムザンガム、フルセラランガム)、デンプンおよびデンプン誘導体、変性セルロースポリマー、例えばメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(特にヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピルセルロース)、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、変性ポリエーテルを挙げることができる。
【0105】
この実施態様、つまり構造化された消費者製品についての実施態様によれば、オイルベースのコアは80~95%の香料オイルと、5~20%の密度均衡化材料とを含む。
【0106】
この実施態様によれば、平均直径500μm未満、好ましくは100μm未満を有するマイクロカプセルが好ましい。
【0107】
本発明の他の対象は、好ましくは粉末洗剤、固体の香料増強剤、ドライシャンプーまたは石鹸の形態での、粉末化された、または固体の消費者製品であって、上記で定義されたマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル粉末または上記で定義された芳香組成物を含む前記消費者製品である。
【0108】
好ましくは洗剤、香料増強剤、ドライシャンプーまたは石鹸の形態での、粉末化された、または固体の消費者製品であって、
a) 前記消費者製品の総質量に対して2~65質量%の少なくとも1つの界面活性剤、またはポリエチレンまたはポリプロピレングリコールであって、室温で固体であるもの、
b) 好ましくは、0.01%~2.0%、好ましくは0.1%~1%の量での、上記で定義されたマイクロカプセル粉末または上記で定義された芳香組成物、
c) 前記マイクロカプセルとは異なる任意の香料または香料粉末
を含む前記消費者製品も本発明の一部である。
【0109】
本発明のカプセルは、著しい量の界面活性剤を含有する消費者製品中で特に且つ有利に安定であることが証明されている。
【0110】
さらには、供与量が少ないにもかかわらず、それらは種々の消費者製品(等方性および構造化されたベース)中で非常に良好な嗅覚的性能も実証されている。
【0111】
本発明をここで、実施例によってさらに詳細に説明する。特許請求される発明は、それらの実施例によってどのようにも限定されないことが意図されていると理解される。
【実施例
【0112】
本発明によるマイクロカプセルの合成(カプセルAおよびB)
【表3】
【0113】
1) Takenate(登録商標) D110N(酢酸エチル中で75%の活性溶液)
2) Ciba製のAlcapsol、水中で20%の溶液
3) Cytec製のCymel 385とCymel 9370との90/10のブレンド、両方とも水中で70%の溶液
4) Ciba製のSalcare SC60、水中で3%の溶液
5)=純粋なメラミン/ホルムアルデヒド樹脂(2)で使用された量の70%)/香料オイルの量。
【0114】
ポリイソシアネート(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、Takenate(登録商標) D-110N、製造元: 三井化学)を、香料オイル(下記の表2参照)と高密度均衡化材料とで構成されるコアオイルと混合することによって油相を調製した。前記油相は2%のTakenate(登録商標) D-110Nと、98%のコアオイルとからなった。カプセル化し、Takenate D-110Nを使用してメラミンホルムアルデヒド壁を架橋させた後、未反応のポリイソシアネートがコアオイル中に残留する水準は非常に低かったので、カプセルの内部コアは、香料オイルおよび高密度均衡化材料で構成されるコアオイルのみで構成されていた。
【0115】
カプセルスラリーを製造するために、アクリルアミドおよびアクリル酸コポリマー、および2つのメラミンホルムアルデヒド樹脂のブレンドを、水中で溶解して水相を形成した。次いで、香料プレミックスオイルをこの溶液に添加し、酢酸を用いてpHを5に調節した。温度を2時間、90℃へと高めて、カプセルを硬化させた。この時点で、カプセルは形成され、架橋され、且つ安定であった。次いで、Salcare SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー)の水中で3%の溶液を前記混合物中に90℃で添加して、1時間、90℃で反応させた。次いで、通常行われるとおり残留する遊離ホルムアルデヒドを捕捉するための薬剤としてのアミノプラストカプセルと共に、エチレン尿素の溶液(水中で50質量%)を添加した。最終的なスラリーは、該スラリーの質量に対して約3%(質量/質量)のエチレン尿素を含有し、前記混合物を室温に冷却させた。水酸化ナトリウムを用いて最終的なpHを7に調節した。
【0116】
本発明によるマイクロカプセル(カプセルC)の合成
丸底フラスコ内で、メラミン(0.91g)、2,2-ジメトキシエタナール(水中で60質量%、1.37g)、グリオキサール(水中で40質量%、1.73g)、および2-オキソ酢酸(水中で50質量%、0.58g)を、水(1.48g)中に室温で分散させた。分散液のpH値を、水酸化ナトリウム(水中で30質量%、pH=9.5)を用いて調節した。反応混合物を45℃で25分間加熱して、溶液をもたらした。次いで、水(6.31g)を添加し、樹脂を45℃で5分間撹拌した。
【0117】
樹脂を200mLのビーカー内に移した。グアナゾール(0.60g)をAmbergum 1221の溶液(水中で2質量%、27.04g)中に溶解させた。得られる溶液を前記ビーカーに導入した。Takenate D-110N(2.15g)の油溶液、および影響力の大きい香料と高密度/低~無臭の有機材料との混合物(29.56g)を前記水溶液中に添加した。二相の反応混合物を、Ultra-turraxを用いて21500rpmで2分間せん断した。酢酸を添加して重縮合を開始させた(pH=5.35)。エマルションの品質は光学顕微鏡によって管理された。エマルションを200mLのSchmizo反応器内に移し、45℃で1時間、次いで60℃で1時間、そして最後に80℃で2時間加熱した。次いで、第1のカチオン性コポリマーの溶液、つまりアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー(Salcare SC60、製造元: BASF)(20g、水中で3質量%)、および第2のカチオン性コポリマー、例えばポリクオタニウム-16(Luviquat(登録商標) FC550、製造元: BASF、ドイツ)(水中で1質量%)を添加し、その反応混合物を80℃で30分間加熱した。尿素溶液(6.25g、水中で50質量%)を最後に反応混合物に添加し、それを80℃で30分間加熱した。
【0118】
【表4】
【0119】
1) 表2Aを参照
2) 表2Bを参照
3) 表2Cを参照
4) 表2Dを参照
5) 表2Eを参照
6) 表2Fを参照
7) 表2Gを参照。
【0120】
【表5-1】
【0121】
【表5-2】
【0122】
1) Neobutenone(登録商標)、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
3) Bourgeonal(登録商標)、製造元:Givaudan SA、ヴェルニエ、スイス
4) Bactanol(登録商標)、製造元:International Flavors&Fragrances、米国
5) 3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
6) 1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、製造元: International Flavors&Fragrances、米国
7) Hedione(登録商標)、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
8) Habanolide(登録商標)、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス。
【0123】
【表6】
【0124】
1) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) ROMANDOLIDE(登録商標)、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス。
【0125】
【表7】
【0126】
1) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
3) トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス。
【0127】
【表8】
【0128】
1) Neobutenone(登録商標)、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
3) ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
4) (-)-(8R)-8,12-エポキシ-13,14,15,16-テトラノルラブダン、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス。
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】
1) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) 製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
3) (+-)-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[G]イソクロメン、製造元: International Flavors&Fragrances、米国
4) Verdox(商標)、製造元:International Flavors&Fragrances、米国。
【0132】
【表11】
【0133】
1) 1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2) (+)-(1’S,2S,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
3) (+)-(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、製造元: Firmenich SA、ジュネーブ、スイス。
【0134】
混濁度測定
試料中のNTU値での混濁度を、ポータブルマイクロプロセッサ混濁度計Hanna HI 93703において、必要な濃度のカプセルを含有する約10mLのベースの試料を使用することにより測定した。
【0135】
Aの部: 等方性ベース中での例
例1
等方性液体洗剤(d=1.025g/cm3)中での本発明によるマイクロカプセルの貯蔵安定性
プロトコル
本発明によるカプセルの安定性を液体洗剤中で調査した。使用されたモデルの液体洗剤ベースはUltra Purex Free&Clear(d=1.025g/cm3)であり、且つ水、アルコールエトキシスルフェート、炭酸ナトリウム、直鎖のアルキルベンゼンスルホネート、塩化ナトリウム、アルコールエトキシレート、ポリアクリル酸ナトリウム、脂肪酸、二ナトリウムジアミノスチルベンジスルホン酸、四ナトリウムEDTA、メチルイソチアゾリノンで構成されていた。
【0136】
前記液体洗剤ベース中でのカプセル化された香料スラリーの濃度は、0.15%に等しかった。
【0137】
カプセルから漏出した香料の量を測定した。
【0138】
結果
結果を表3に要約する。
【0139】
【表12】
【0140】
結論
界面活性剤を多く含む洗剤中での貯蔵に際するカプセルからの香料の漏出は、40℃での高負荷の貯蔵条件下であっても、非常に限定されていると結論付けることができる。
【0141】
例2
等方性液体洗剤(d=1.025g/cm3)中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
組成
Ultra Purex Free&Clear(d=1.025g/cm3)は、水、アルコールエトキシスルフェート、炭酸ナトリウム、直鎖のアルキルベンゼンスルホネート、塩化ナトリウム、アルコールエトキシレート、ポリアクリル酸ナトリウム、脂肪酸、二ナトリウムジアミノスチルベンジスルホン酸、四ナトリウムEDTA、メチルイソチアゾリノンで構成される。
【0142】
プロトコル
布(2.7kgの綿パイル地タオル)を標準的なアメリカの縦軸機(MAYTAG 頼れるケア+ヘビーデューティ、4つのスピード選択、超大容量)内で、「低~中水量レベル、温、スピン 通常/速、普通のライトニットプログラム」を使用して洗濯した。新たに調製された液体洗剤47gを、洗濯の開始時に、洗剤投入口を通じて投入した。洗濯後、布をタンブル乾燥(MAYTAG 頼れるケアの乾燥機内で50分乾燥)または終夜吊り干しした後、綿タオルの臭いの強度を20人の訓練されたパネリストのパネルによって評価した。パネリストらは、手で布を優しく擦った後のタオルの臭いの強度を、1~7の尺度(1は無臭に対応し、7は非常に強い臭いに対応する)で格付けすることが求められた。
【0143】
結果
結果を下記の表4に示す。
【0144】
【表13】
【0145】
結論
吊り干し条件(最も強い影響)とタンブル乾燥(遙かに強い乾燥条件)との両方の乾燥後、本発明によるマイクロカプセルを含む液体洗剤は、非常に少ない供与量(0.06%)であっても、カプセルを有さないか、または本発明の範囲外の比較用香料Fを有するカプセルを有する液体洗剤よりも著しく良好な嗅覚的性能を示す。
【0146】
影響力の大きい原料を高濃度で含むマイクロカプセルで最良の結果が得られることがわかる。
【0147】
さらには、該マイクロカプセルは等方性ベース中で、非常に少ない供与量の水準で使用され得るので、製品の透明性に著しく影響しない(0.06%のカプセルスラリーの添加は、測定される混濁度を約45NTUしか高めない)。
【0148】
例3
等方性液体洗剤(d=1.05g/cm3)中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
等方性液体洗剤ベースの組成
Persil Universal Gel(d=1.05)は、水; アルコール、C12~C14、エトキシル化、スルフェート、ナトリウム塩; ベンゼンスルホン酸、C10~C13 アルキル誘導体、ナトリウム塩; アルコール、C12~C18、エトキシル化; メタホウ酸ナトリウム無水物; 酵素で構成される。
【0149】
プロトコル(洗濯条件)
布(2.0kgの綿パイル地タオル)を40℃で、標準的なヨーロッパの水平軸機(Miele Novotronic W 900-79 CH)内で洗濯した。Persil Universal Gel (Henkel、ドイツ)の等方性液体洗剤75gを、洗濯の開始時に、洗剤投入口を通じて投入した。洗濯後、布を終夜吊り干しした後、綿タオルの臭いの強度を20人の訓練されたパネリストのパネルによって評価した。パネリストらは、手で布を優しく擦った後のタオルの臭いの強度を、1~7の尺度(1は無臭に対応し、7は非常に強い臭いに対応する)で格付けすることが求められた。結果を下記の表5に示す。
【0150】
【表14】
【0151】
結論
上記の結果は、カプセルを有さないリファレンスまたは本発明の範囲外の比較用香料Fを有するカプセルを有するリファレンスに対するカプセルの明らかな効果を強調する。
【0152】
擦る際の性能に関して最も満足な結果は、影響力の大きい材料を高濃度で有するマイクロカプセル(たとえそれらがベース中で非常に少ない供与量で使用されたとしても)を用いて得られる。
【0153】
さらには、該マイクロカプセルは等方性ベース中で、非常に少ない供与量で使用され得るので、製品の透明性に著しく影響しない(0.05%のカプセルスラリーの添加は、測定される混濁度を約35NTUしか高めない)。
【0154】
例4
等方性液体布用柔軟剤(d=1.007g/cm3)中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
(EC) No 648/2004によるVernel Soft&Oils Goldの組成
水、プロピレングリコール、ポリエタンアミニウムエステルおよび酸メチル硫酸塩、PEG40 水素化ヒマシ油、香料、イソプロピルアルコール、カチオン性ポリアクリレート、ベンゾイソチアゾリノン、着色剤。
【0155】
成分は供与量の降順であり、且つ水を除き5%未満である。
【0156】
洗濯および濯ぎのプロトコル
綿パイル地タオル(20枚、18cm×18cm、各々約30g)を、無着香の洗剤30gを用いて、欧州の洗濯機(Miele Novotronic W300-33CH)内、40℃でショートサイクルプログラムを使用して洗濯した。その洗濯後、900rpmで、12.7gのVernel Soft&Oils Gold等方性布用柔軟剤(Henkel、ドイツ)を用いて濯いだ。次いで、そのパイル地タオルを24時間吊り干しした後、20人の訓練されたパネリストのパネルが評価した。パネリストらは、手で布を優しく擦った後のタオルの臭いの強度を、1~7の尺度(1は無臭に対応し、7は非常に強い臭いに対応する)で格付けすることが求められた。
【0157】
結果
結果を下記の表6および7に示す。
【0158】
【表15】
【0159】
結論
上記の結果は、カプセルのないリファレンスに対するカプセルの明らかな効果を示す。
【0160】
さらには、擦る際の性能に関する本発明によるカプセルについての結果は、本発明の範囲外のカプセルを含むベースに比してより良好である。
【0161】
擦る際の性能に関して最も満足な結果は、影響力の大きい材料を高濃度で有するマイクロカプセル(たとえそれらがベース中で非常に少ない供与量で使用されたとしても)を用いて得られる。
【0162】
さらには、該マイクロカプセルは等方性ベース中で、非常に少ない供与量の水準で使用され得るので、製品の透明性に著しく影響しない(0.03%のカプセルスラリーの添加は、測定される混濁度を約25NTUしか高めない)。
【0163】
【表16】
【0164】
結論
擦る際の性能に関する本発明によるカプセルについての結果は、本発明の範囲外のカプセルを含むベースに比してより良好である。
【0165】
さらには、マイクロカプセルを等方性ベース中で非常に少ない供与量の水準で使用できる。従って、それは製品の透明性に著しく影響しない(0.03%のカプセルスラリーの添加は、測定される混濁度を約25NTUしか高めない)。
【0166】
例5
等方性布用柔軟剤(d=1.02g/cm3)中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
Excelia等方性布用柔軟剤の組成(MSDSに基づく)
水、1~<5%の非イオン性界面活性剤、1~<5%のジ四級化ポリジメチルシロキサン、0.1~<1%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、香料、ベンゾイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン。
【0167】
洗濯および濯ぎのプロトコル
綿パイル地タオル(20枚、18cm×18cm、各々約30g)を、無着香の洗剤30gを用いて、欧州の洗濯機(Miele Novotronic W300-33CH)内、40℃でショートサイクルプログラムを使用して洗濯した。洗濯後、900rpmで、12.7gのExelia等方性布用柔軟剤(Migros、スイス)を用いて濯いだ。次いで、そのパイル地タオルを24時間吊り干しした後、20人の訓練されたパネリストのパネルが評価した。パネリストらは、手で布を優しく擦った後のタオルの臭いの強度を、1~7の尺度(1は無臭に対応し、7は非常に強い臭いに対応する)で格付けすることが求められた。
【0168】
結果
結果を下記の表8に示す。
【0169】
【表17】
【0170】
結論
洗濯され本発明によるマイクロカプセルで処理された布は、乾燥後、非常に少ない供与量(0.05%)であっても、擦る際の非常に強い効果をもたらす。
【0171】
さらには、該マイクロカプセルは等方性ベース中で、非常に少ない供与量で使用され得るので、製品の透明性に著しく影響しない(0.05%のカプセルスラリーの添加は、測定される混濁度を約40NTUしか高めない)。
【0172】
例6
等方性液体シャンプー(d=1.03g/cm3)中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
組成
モデルの等方性シャンプーベース(表9参照)を調製し、髪の上のカプセルを試験した。
【0173】
【表18】
【0174】
シャンプーでの洗浄プロトコル
a) カプセルを必要な供与量でシャンプーベースに混合する、
b) 髪の見本を温水下で湿らせた後、髪の見本ごとにシャンプーを適用する(1gの髪に対して製品0.1g)、
c) それらの髪の見本を温水中に3回浸けた後、流れる水道水の下で30秒間、それらを濯ぐことによってしっかりと濯ぐ、
d) 残った水を絞り落とした後、髪の見本を乾燥棚上で空気乾燥させる、
e) 24時間後、髪が完全に乾いた際に評価する。
【0175】
髪の上での評価
髪を梳かす前に、髪の見本の香りの強度を以下の香りの強度の尺度に従って評価した: 1-感知できない、2-わずかに感知可能、3-弱い、4-中程度、5-持続する、6-強力、7-非常に強力。髪の見本を、櫛の薄い部分を用いて3回梳かした。髪を梳かした直後の香りの強度を、同じ尺度に従って評価した。髪の見本が触れられ、擦られるか、または梳かされると、「梳かす前」の段階について再度評価を行うことはできない。従って、少なくとも2つのセットの髪の見本を製造した。一方は決して梳かされず、「梳かす前」の段階のためにのみ使用された。他方のセットは「梳かした後」の段階のために、最大10人のパネリストによって梳かされた。10人より多いパネリストが必要とされた場合は、「梳かした後」の段階のために、髪の見本の他のセットが製造された。洗浄プロトコル全体にわたって、手を手袋で保護した。
【0176】
結果
結果を下記の表10に示す。
【0177】
【表19】
【0178】
結論
本発明によるカプセルを用いて洗浄し且つ処理された全ての髪の見本は、非常に少ない供与量であっても芳香の増強をもたらす。
【0179】
これは、影響力の大きい香料Gが装填されたカプセルでは0.02%だけで達成され得るが、本発明の範囲外の比較用香料Fを有するカプセルでは遙かに高い供与量である0.07%が要される。
【0180】
例11
等方性のユニットドース/ポッド(d=1.0579g/cm3)中、0.1%で本発明による香料Dを含有するマイクロカプセルAの嗅覚的性能
組成
ユニドースポッド用の水が少ない液体洗剤組成物は、C12~C15 パレス7、水添ヤシ脂肪酸MEA、MEA-ドデシルベンゼンスルホネート、プロピレングリコール、グリセリン水、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンテレフタレート ポリオキソエチレンテレフタレート、ソルビトール、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸ナトリウム、MEA-スルフェート、亜硫酸カリウム、エチノールアミン、ペプチド塩、グリコール、サブチリシン、香料、ジスチリルビフェニル二スルホン酸二ナトリウム、タルク、アミラーゼ、塩化ナトリウム、デナトニウムベンゾエート、二置換アラニンアミド、染料、マンナナーゼで構成された。
【0181】
範囲内で、この組成物は5~15%のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、石鹸、および5%未満の酵素蛍光増白剤、香料、ホスホネートを含有する。
【0182】
プロトコル
布(2.0kgの綿パイル地タオル)を40℃で、標準的なヨーロッパの水平軸機(Miele Novotronic W 900-79 CH)内で洗濯した。25gの新たに調製された上記の液体洗剤組成物(0.1%のカプセルAを有するかまたは有さない)をポリビニルアルコールパウチに添加することによってポッドを製造した。そのポッドを洗濯の開始時に洗濯機のドラム内に入れた。洗濯後、布を終夜吊り干しした後、綿タオルの臭いの強度を20人の訓練されたパネリストのパネルによって評価した。パネリストらは、手で布を優しく擦った後のタオルの臭いの強度を、1~7の尺度(1は無臭に対応し、7は非常に強い臭いに対応する)で格付けすることが求められた。
【0183】
結果
結果を下記の表11に示す。
【0184】
【表20】
【0185】
結論
乾燥後、本発明による38%の香料Dおよび62%のシクロヘキシルサリチレートで構成されるコアオイルを有するマイクロカプセルAの非常に少ない供与量(0.1%)を含むユニットドースの液体洗剤は、カプセルを有さないかまたは本発明の範囲外の香料Fを含有するカプセルAを0.1%有する液体洗剤のユニットドースを凌いでいる。
【0186】
例12
等方性液体洗剤中での本発明によるマイクロカプセルの懸濁
組成
ベースAは、水、5~15%の非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、5%未満の石鹸、ホスホネート、酵素、蛍光増白剤、香料で構成される。
【0187】
ベースBは、水、5~15%のアニオン性界面活性剤、5%未満の非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、石鹸、ホスホネート、ポリカルボキシレート、酵素、メチルイソチアゾリノン、香料で構成される2イン1型の液体洗剤である。
【0188】
ベースCは、水、石鹸ベース(植物由来)、界面活性剤、キレート剤、補助洗剤、香料で構成される。
【0189】
ベースDは、水、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、C12~C15 パレス-7、水添ヤシ脂肪酸ナトリウム、エトキシ化アジリジンホモポリマー、アクリレートコポリマー、香料、プロピレングリコール、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸ナトリウム、水添ヤシ脂肪酸TEA、TEA、1,4-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ジメチルエステル、ポリマー1、硫酸ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ベンゾイソチアゾリノン、たんぱく質分解酵素、水酸化ナトリウム、ペプチド、塩、発酵からの糖(sugar from fermentation)、ボロン酸、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、染料で構成される。
【0190】
範囲内で、この組成物は5~15%のアニオン性界面活性剤および5%未満の非イオン性界面活性剤、蛍光増白剤、香料、ホスホネート、石鹸、ベンゾイソチアゾリノンを含有する。
【0191】
ベースEは、水、5~10%のアルコール C12~C18 7EO、1~5%のベンゼンスルホン酸のナトリウム塩 C10~C13 アルキル誘導体、1-5%の炭酸ナトリウム、1~5%のアルコール C12~C18 7EO、1~5%の塩化ナトリウム、酵素、香料で構成される。
【0192】
【表21】
【0193】
プロトコル
3つの異なる粒径のバッチ(5、10または25μm)を有する本発明からのカプセル(38%の香料Dおよび62%のシクロヘキシルサリチレートで構成されるコアオイルを有する、SG=1.0346)を、0.05%で、様々な密度および粘度を有する上述の全てのベースに適用した。懸濁特性を、室温で2週間の間、視覚的に監視した。
【0194】
結果
様々な世界的な等方性液体洗剤中での本発明のマイクロカプセルの懸濁は、室温で2週間の貯蔵後に有望な結果を示している。予測されるとおり、本発明のカプセルのコアオイルの密度は1.0346で非常に高いので、より高い密度の等方性液体洗剤配合物(SG=1.03~1.07)、より具体的にはより高い密度のベース(ベースE SG=1.06)中でも、わずかに低い密度(ベースC SG=1.037)であるがより高い粘度プロファイルを有するベース中でも、最良の結果が達成される。より低い密度および粘度の配合物であるベースA中でも、わずかな沈降しか検知されなかった。これに対し、香料Dのみを含有するカプセルは、それら全てのベース中で、より高い粘度のベース中であっても、数時間/数日程度で分離する。
【0195】
【表22】
【0196】
例13
等方性液体洗剤(1.0351のSG)中での本発明によるマイクロカプセルの懸濁
組成
ベースは、水、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、C12~C15 パレス-7、水添ヤシ脂肪酸ナトリウム、エトキシ化アジリジンホモポリマー、アクリレートコポリマー、香料、プロピレングリコール、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸ナトリウム、水添ヤシ脂肪酸TEA、TEA、1,4-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ジメチルエステル、ポリマー1、硫酸ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ベンゾイソチアゾリノン、たんぱく質分解酵素、水酸化ナトリウム、ペプチド、塩、発酵からの糖、ボロン酸、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、染料で構成される。
【0197】
プロトコル
本発明からのカプセル(Encap)(38%の香料Dおよび62%シクロヘキシルサリチレートで構成されるコアオイルを有する、SG=1.0346)を、ベース中に0.05%で適用し、2リットルのパッケージで2ヶ月間、室温と37℃との両方で貯蔵した。そのボトルを棚に置き、分析するまで触れないようにした。毎日、液体洗剤の一部(洗濯1回あたり75g)をボトルから注いで、これを27日間、ボトルが空になるまで、消費者の自宅で起きることを模倣した。いくつかの部分を選択して分析し、クリーミングまたは沈降のいずれかの兆しを記載して、ボトル内で濃度勾配があるかどうか、または製品中に均質に分散したカプセルをまだ有するかどうかを測定した。
【0198】
カプセル化されたオイルの量を、各々の部分中で、溶媒抽出およびGS/MS分析によって測定した。混濁度の測定も実施した。
【0199】
結果
本発明からのマイクロカプセル(38%の香料Dおよび62%のシクロヘキシルサリチレートで構成されるコアオイルを有する)は、この等方性液体洗剤(1.0351のSG)中で、室温または37℃で2ヶ月の貯蔵後であっても良好な懸濁特性を示した。分析された部分のいずれも、カプセル不含のものはなかった。室温で1ヶ月後、最後の1つを除く全ての部分は多かれ少なかれ、同量のマイクロカプセルを含有し、得られる供与量は目標の供与量に非常に近い。これは、この1ヶ月の貯蔵にわたって、分離が非常に限定的であったことを確認する。NTU値は、分析の知見と非常に良好に相関する。
【0200】
37℃で2ヶ月の加速試験ですら、分析された各々の部分内にマイクロカプセルが検出されるが、室温で見られたよりも低い濃度であった。ここでもまた、カプセル濃度について様々な部分の間の違いは比較的限定的であり、且つ最後の部分だけはカプセルが明らかに濃縮されているように見えた。NTU値も良好に揃っていた。
【0201】
【表23】
【0202】
Bの部: 構造化ベース中での例
例14
濃縮された構造化液体柔軟剤中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
組成
無着香の濃縮布用柔軟剤ベースを、表15に列記された成分を示された量で混合することによって調製した。パーセンテージは、無着香の布用柔軟剤ベースの総質量に対する質量によって定義されている。
【0203】
【表24】
【0204】
1) 製造元: Stepan
2) 製造元: Avecia。
【0205】
柔軟剤の総質量に対して0.45質量%のカプセルを、表11の無着香の柔軟剤ベース中に穏やかに振盪しながら添加することにより、柔軟剤を調製した。
【0206】
洗濯および濯ぎのプロトコル
綿パイル地タオル(20枚、18cm×18cm、各々約30g)を、無着香の洗剤30gを用いて、欧州の洗濯機(Miele Novotronic W300-33CH)内、40℃でショートサイクルプログラムを使用して洗濯した。洗濯後、900rpmで、12.7gの上記の濃縮布用柔軟剤を用いて濯いだ。次いで、そのパイル地タオルを24時間吊り干しした後、20人の訓練されたパネリストのパネルが評価した。パネリストらは、手で布を優しく擦った後のタオルの臭いの強度を、1~10の尺度(1は無臭に対応し、10は非常に強い臭いに対応する)で格付けすることが求められた。
【0207】
結果
結果を下記の表16に示す。
【0208】
【表25】
【0209】
結論
乾燥後、洗濯し且ついずれかのカプセルで処理された布は、乾燥布の強い香りの増強をもたらす。このことは、影響力の大きい香料CおよびDが装填されたカプセルでは0.08%だけで、または香料Aのカプセルでは0.25%で達成され得る。
【0210】
実施例15
濃縮された構造化液体洗剤中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
【表26】
【0211】
洗濯条件
布(2.0kgの綿パイル地タオル)を40℃で、標準的なヨーロッパの水平軸機(Miele Novotronic W 900-79 CH)内で洗濯した。新たに調製された液体洗剤75gを、洗濯の開始時に、洗剤投入口を通じて投入した。洗濯後、布を終夜吊り干しした後、綿タオルの臭いの強度を20人の訓練されたパネリストのパネルによって評価した。パネリストらは、手で布を優しく擦った後のタオルの臭いの強度を、1~7の尺度(1は無臭に対応し、7は非常に強い臭いに対応する)で格付けすることが求められた。
【0212】
結果
結果を下記の表17に示す:
【表27】
【0213】
結論
乾燥後、洗濯し且ついずれかのカプセルで処理された布は、乾燥布の強い香りの増強をもたらす。このことは、影響力の大きい香料CおよびDが装填されたカプセルでは0.07%だけで、または香料Aのカプセルでは0.20%で達成され得る。
【0214】
例16
濃縮されたパールシャンプー(構造化されたベース)中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
【表28】
【0215】
最終的な粘度は25%のNaCl溶液で調節する。
【0216】
粘度: 1500~2500cPs(sp5/50RPM)
0.7%の香料
pH: 5.5~6.0。
【0217】
シャンプーでの洗浄プロトコル
a) カプセルを必要な供与量でシャンプーベースに混合する、
b) 髪の見本を温水下で湿らせた後、髪の見本ごとにシャンプーを適用する(1gの髪に対して製品0.1g)、
c) それらの髪の見本を温水中に3回浸けた後、流れる水道水の下で30秒間、それらを濯ぐことによってしっかりと濯ぐ、
d) 残った水を絞り落とした後、髪の見本を乾燥棚上で空気乾燥させる、
e) 24時間後、髪が完全に乾いた際に評価する。
【0218】
24時間乾燥した髪における嗅覚的性能
【表29】
【0219】
結論
本発明によるカプセルを用いて洗浄し且つ処理された全ての髪の見本は、非常に少ない供与量であっても芳香の増強をもたらす。さらに、これは、影響力の大きい香料Gが装填されたカプセルでは0.3%だけで達成され得るが、本発明の範囲外の比較用香料Fを有するカプセルでは遙かに高い供与量である0.8%が要される。
【0220】
例17
濃縮された濯ぎ落とすタイプのヘアコンディショナー(構造化されたベース)中での本発明によるマイクロカプセルの嗅覚的性能
配合
【表30】
【0221】
手順
1/相A、
2/相B: 相Bの全ての成分を合わせて70~75℃で溶融する、
3/40℃に冷却するまで混合を継続し、撹拌しながら相Cを添加する。
【0222】
洗い流すタイプのヘアコンディショナーの洗浄プロトコル
a) カプセルを必要な供与量で洗い流すタイプのヘアコンディショナーに混合する、
b) 髪の見本を温かい水道水で濯ぎ、余分な水を絞り落とす、
c) 着香されていないシャンプーを適用し(1gの髪に対して0.1g)、30秒間洗浄する、
d) 流れる温かい水道水で入念に濯ぎ、余分な水を絞り落とす、
e) 洗い流すタイプのヘアコンディショナーを適用する(1gの髪に対して製品0.1g)、
f) それらの髪の見本を温水中に3回浸けた後、流れる水道水の下で30秒間、それらを濯ぐことによってしっかりと濯ぐ、
g) 残った水を絞り落とした後、髪の見本を乾燥棚上で空気乾燥させる、
h) 24時間後、髪が完全に乾いた際に評価する。
【0223】
結果
結果を下記の表21に示す。
【0224】
【表31】
【0225】
結論
本発明によるカプセルを用いて洗浄し且つ処理された全ての髪の見本は、非常に少ない供与量であっても芳香の増強をもたらす。これは、影響力の大きい香料Gが装填されたカプセルでは0.3%だけで達成され得るが、本発明の範囲外の比較用香料Fを有するカプセルでは遙かに高い供与量である0.8%が要される。