(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20220311BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20220311BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
F16C11/04 F
H05K5/02 V
(21)【出願番号】P 2020030646
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】皆川 和之
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0133619(US,A1)
【文献】特開2012-243111(JP,A)
【文献】特開2016-217491(JP,A)
【文献】特開2012-057748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16
F16C11/04
H05K5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
を備え、
前記ヒンジ装置は、
ヒンジシャフトと、
前記ヒンジシャフトと回転可能に連結され、前記第1筐体に固定される第1取付金具と、
前記ヒンジシャフトと回転不能に固定され、前記第2筐体に固定される第2取付金具と、
を有し、
前記第2取付金具は、
一枚の金属板で形成されると共に、該一枚の金属板に、前記第2筐体に固定される筐体取付部と、前記筐体取付部から曲げ部を介して連続し、前記ヒンジシャフトに固定されるシャフト固定部と、を
設けた構成であり、
前記曲げ部は、前記筐体取付部と前記シャフト固定部との間を90度未満の角度に曲げていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記曲げ部は、前記筐体取付部と前記シャフト固定部との間に1つのみ設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
電子機器であって、
キーボード装置を有する第1筐体と、
ディスプレイを有する第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
を備え、
前記ヒンジ装置は、
ヒンジシャフトと、
前記ヒンジシャフトと回転可能に連結され、前記第1筐体に固定される第1取付金具と、
前記ヒンジシャフトと回転不能に固定され、前記第2筐体に固定される第2取付金具と、
を有し、
前記第2取付金具は、
一枚の金属板で形成されると共に、該一枚の金属板に、前記第2筐体に固定される筐体取付部と、前記筐体取付部から曲げ部を介して連続し、前記ヒンジシャフトに固定されるシャフト固定部と、を
設けた構成であり、
前記曲げ部は、前記筐体取付部と前記シャフト固定部との間に1つのみ設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記曲げ部は、前記筐体取付部と前記シャフト固定部との間を90度未満の角度に曲げていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記曲げ部は、円弧状に湾曲していることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器であって、
少なくとも前記第2取付金具の一部を収納するヒンジカバーをさらに備え、
前記ヒンジカバーは、前記第2筐体に固定され、前記第2取付金具及び前記ヒンジシャフトには直接的に固定されていないことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの筐体間をヒンジ装置で回動可能に連結した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、本体筐体とディスプレイ筐体との間をヒンジ装置によって相対的に回動可能に連結した構成がある。例えば特許文献1には、ヒンジ装置の回転軸(ヒンジシャフト)を本体筐体側に設け、このヒンジシャフトとディスプレイ筐体とを連結する取付金具をヒンジカバー内に収納した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子機器は、筐体間がヒンジ装置のみで連結されている。このため、ヒンジ装置によって連結された筐体間の剛性が低い場合、使用時にディスプレイ筐体が揺れて安定せず、製品品質を低下させる。また、このようにディスプレイ筐体が安定しないと、例えばディスプレイに対するタッチ操作時にディスプレイ筐体が揺れるため、タッチ操作の操作性も低下する。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ヒンジ装置によって連結された筐体間の剛性を高めることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、電子機器であって、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、を備え、前記ヒンジ装置は、ヒンジシャフトと、前記ヒンジシャフトと回転可能に連結され、前記第1筐体に固定される第1取付金具と、前記ヒンジシャフトと回転不能に固定され、前記第2筐体に固定される第2取付金具と、を有し、前記第2取付金具は、前記第2筐体に固定される筐体取付部と、前記筐体取付部から曲げ部を介して連続し、前記ヒンジシャフトに固定されるシャフト固定部と、を有し、前記曲げ部は、前記筐体取付部と前記シャフト固定部との間を90度未満の角度に曲げている。
【0007】
前記曲げ部は、前記筐体取付部と前記シャフト固定部との間に1つのみ設けられた構成としてもよい。
【0008】
本発明の第2態様に係る電子機器は、電子機器であって、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、を備え、前記ヒンジ装置は、ヒンジシャフトと、前記ヒンジシャフトと回転可能に連結され、前記第1筐体に固定される第1取付金具と、前記ヒンジシャフトと回転不能に固定され、前記第2筐体に固定される第2取付金具と、を有し、前記第2取付金具は、前記第2筐体に固定される筐体取付部と、前記筐体取付部から曲げ部を介して連続し、前記ヒンジシャフトに固定されるシャフト固定部と、を有し、前記曲げ部は、前記筐体取付部と前記シャフト固定部との間に1つのみ設けられている。
【0009】
前記曲げ部は、前記筐体取付部と前記シャフト固定部との間を90度未満の角度に曲げている構成としてもよい。
【0010】
前記曲げ部は、円弧状に湾曲した構成としてもよい。
【0011】
少なくとも前記第2取付金具の一部を収納するヒンジカバーをさらに備え、前記ヒンジカバーは、前記第2筐体に固定され、前記第2取付金具及び前記ヒンジシャフトには直接的に固定されていない構成としてもよい。
【0012】
前記第1筐体は、キーボード装置を有し、前記第2筐体は、ディスプレイを有し、前記ヒンジ装置は、前記第1筐体及び前記第2筐体の後端部同士を連結したものであり、前記第1筐体の後端部は、前記キーボード装置側の第1面がその裏側の第2面よりも後方に突出して形成された突出部を有し、前記第2取付金具は、前記筐体取付部から前記シャフト固定部に向かって前記突出部を回り込むように延在している構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様によれば、ヒンジ装置によって連結された筐体間の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1に示す状態からディスプレイ筐体を閉じて収納形態とした状態での要部拡大側面図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aに示す状態からディスプレイ筐体を開いて使用形態とした状態での要部拡大側面図である。
【
図4】
図4は、ディスプレイ筐体に対するヒンジ装置の取付構造を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、一実施形態に係る電子機器10の斜視図である。本実施形態の電子機器10は、ヒンジ装置12によって本体筐体14とディスプレイ筐体16とを相対的に回動可能に連結したノート型PCである。
図2Aは、
図1に示す状態からディスプレイ筐体16を閉じて収納形態とした状態での要部拡大側面図である。
図2Bは、
図2Aに示す状態からディスプレイ筐体16を開いて
図1と同様な使用形態とした状態での要部拡大側面図である。本発明は、2つの筐体間をヒンジ装置によって回動可能に連結した構成を備えたものであれば適用でき、ノート型PC以外、例えばタブレット型PC、スマートフォン、携帯用ゲーム機等にも適用できる。
【0017】
以下、
図1に示す電子機器10について、
図2Aに示すようにディスプレイ筐体16を本体筐体14の上に閉じて収納形態とした姿勢を基準とし、手前側を前、奥側を後、幅方向を左右、厚み方向を上下と呼んで説明する。
【0018】
図1~
図2Bに示すように、電子機器10は、本体筐体14の後端部14aとディスプレイ筐体16の後端部16aとが左右一対のヒンジ装置12,12によって連結されている。
【0019】
本体筐体14は、平板形状に構成された箱体である。本体筐体14の上面14bには、キーボード装置18やタッチパッド19が設けられている。本体筐体14の内部には、図示しない基板、演算装置、メモリ、バッテリ装置等の各種電子部品が収納されている。
【0020】
ディスプレイ筐体16は、本体筐体14よりも薄い平板形状に構成された箱体である。ディスプレイ筐体16の内面16bには、ディスプレイ20が設けられている。ディスプレイ20は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置である。ディスプレイ筐体16は、ヒンジ装置12を通過したケーブルにより本体筐体14と電気的に接続されている。
【0021】
次に、ヒンジ装置12の具体的な構成例を説明する。
図3Aは、
図2Aに示す電子機器10の内部構造を模式的に示す側面断面図である。
図3Bは、
図2Bに示す電子機器10の内部構造を模式的に示す側面断面図である。
図4は、ディスプレイ筐体16に対するヒンジ装置12の取付構造を示す要部拡大斜視図である。
図5及び
図6は、ヒンジ装置12の拡大図である。
図4~
図6は、右側のヒンジ装置12を代表的に図示しているが、左側のヒンジ装置12は右側のヒンジ装置12と同一構造又は左右対称構造でよいため、具体的な図示は省略している。
【0022】
ヒンジ装置12は、ヒンジシャフト24と、本体側取付金具26と、ディスプレイ側取付金具28と、ヒンジカバー30と、トルク発生器32と、を有する。
【0023】
図2A~
図4に示すように、ヒンジシャフト24は、ヒンジ装置12の回転軸となる金属製の棒状部材である。ヒンジシャフト24は、本体筐体14内の後端部14a付近で左右方向に沿って延在するように配置されている。ヒンジシャフト24の軸中心Oが、本体筐体14とディスプレイ筐体16との間の回動中心となる(
図3A及び
図3B参照)。本実施形態の場合、ヒンジシャフト24の軸中心Oは、本体筐体14の上下方向の厚みの中心Cよりも下方に配置されている(
図3A参照)。
【0024】
図4~
図6に示すように、本体側取付金具26は、シャフト連結部26aと、筐体取付部26bとを有する。
【0025】
シャフト連結部26aは、ヒンジシャフト24の軸方向(軸中心Oの延在方向)と直交する姿勢で配置された金属板である。シャフト連結部26aは、その板厚方向(左右方向)の貫通孔がヒンジシャフト24の外周面に摺動可能に外挿されている。これによりシャフト連結部26a(本体側取付金具26)がヒンジシャフト24と回転可能な状態で連結されている。
【0026】
筐体取付部26bは、本体筐体14の面内方向(前後左右平面)と平行するように設けられた金属板であり、本体筐体14とねじ止め固定される。筐体取付部26bは、シャフト連結部26aと一体に設けられている。これにより筐体取付部26b及び本体筐体14は、ヒンジシャフト24に対して回転可能な状態で連結される。
【0027】
図3A~
図6に示すように、ディスプレイ側取付金具28は、シャフト固定部28aと、筐体取付部28bと、曲げ部28cと、を有する。
【0028】
シャフト固定部28aは、ヒンジシャフト24の軸方向に沿って幅広に形成された金属板である。シャフト固定部28aは、
図3Aに示す収納形態での側面視で、下から上に向かって次第に前から後に傾斜した姿勢で配置される。シャフト固定部28aは、固定具36が嵌挿される貫通孔(取付部37)を有する。固定具36は、例えばリベット等の金属ピンである。
【0029】
ヒンジシャフト24は、円柱状の金属シャフトであるが、トルク発生器32とは逆側の端部に平板部が形成されている。この平板部は、一方の平面がシャフト固定部28aが当接固定される取付面24aとなる。取付面24aには、固定具36が挿通される取付孔が形成されている。固定具36は、その先端が取付面24aの取付孔及び取付部37に嵌挿された状態でかしめ固定される。これによりシャフト固定部28a(ディスプレイ側取付金具28)がヒンジシャフト24と回転不能に固定される。
【0030】
筐体取付部28bは、ディスプレイ筐体16の面内方向(
図2A中で前後左右平面)と平行するように設けられた金属板であり、ディスプレイ筐体16とねじ止め固定されている。筐体取付部28bは、曲げ部24cを介してシャフト固定部28aから連続している。つまりディスプレイ側取付金具28は、筐体取付部28bから曲げ部28cを介してシャフト固定部28aまでが一枚の金属板で形成されている。これにより筐体取付部28b及びディスプレイ筐体16は、ヒンジシャフト24と一体的に回転する。
【0031】
図3A及び
図5に示すように、曲げ部28cは、筐体取付部28bとシャフト固定部28aとの間に1つのみ設けられている。曲げ部28cは、筐体取付部28bとシャフト固定部28aとの間を90度より小さい角度で円弧状に湾曲させている。本実施形態では、筐体取付部28bとシャフト固定部28aとの間が曲げ部28cによって約60度の角度に曲げられている。曲げ部28cは、ある程度尖った鋭角に形成されてもよい。但し、ディスプレイ側取付金具28による筐体14,16間の連結強度を高めるためには、曲げ部28cは
図5に示すような円弧状に形成された方が好ましい。
【0032】
図4に示すように、ヒンジ装置12は、ディスプレイ側取付金具28の筐体取付部28bがディスプレイ筐体16にねじ止めされることで、ディスプレイ筐体16と固定される。具体的には、ディスプレイ筐体16は、ディスプレイ20の裏面及び周囲側面を覆う背面カバー材16cを有する。筐体取付部28bは、例えば4個の貫通孔38が背面カバー材16cの内面で起立したボス部40と重ねて配置され、各貫通孔38を通したねじが各ボス部40に形成された雌ねじ穴に締め付けられる。これにより筐体取付部28bがディスプレイ筐体16に固定される。
【0033】
図3A~
図4に示すように、ヒンジカバー30は、ヒンジ装置12の本体筐体14及びディスプレイ筐体16の外部に露出した部分を覆い隠すカバーである。ヒンジカバー30は、例えば断面略電球形状を成している。本実施形態のヒンジ装置12は、ヒンジシャフト24の一端部、本体側取付金具26、及びトルク発生器32が本体筐体14内に配設され、ディスプレイ側取付金具28の筐体取付部28bがディスプレイ筐体16内に配設される。そこで、ヒンジカバー30は、ヒンジ装置12の本体筐体14及びディスプレイ筐体16の外部に配置された部分、つまりヒンジシャフト24の他端部(取付面24a等)、及びディスプレイ側取付金具28のシャフト固定部28aから曲げ部28cまでの一部を覆っている。
【0034】
ヒンジカバー30は、本体筐体14の後端部14aに形成された切欠状の凹状部14cに配置されている(
図3A及び
図3B参照)。凹状部14cは、上面14bの平面部には形成されず、上面14bの後端に形成された後下がりの傾斜面14dから後端部14aに亘って形成されている。このため、凹状部14cは、本体筐体14の上面14b上で目立たない構造となっている。
図3A及び
図3Bに示すように、本体筐体14の後端部14aには、上面14bが後方に突出した突出部14eが形成されている。突出部14eは、後端部14aにおける凹状部14cに対応する部分に形成されている。
【0035】
図3A~
図4に示すように、ヒンジカバー30は、後カバー部30aと、前カバー部30bとで構成されている。ヒンジカバー30は、略上下左右に沿った平面で2分割した樹脂部品であり、分割された後側半部が後カバー部30aであり、前側半部が前カバー部30bである。
【0036】
後カバー部30aは、背面カバー材16cの内面後縁部に固定される。後カバー部30aは、背面カバー材16cの内面から下方に延在しつつ前側に傾斜している。前カバー部30bは、ディスプレイ筐体16のディスプレイ20の周囲を囲むベゼル材16dの後縁部に固定される。前カバー部30bは、ベゼル材16dの後端面から下方に延在しつつ、一度後側に湾曲した後、今度は前側に湾曲している。カバー部30a,30bは、互いの先端面同士が連結され、これにより筒状のヒンジカバー30を形成する。
【0037】
図4及び
図6に示すように、トルク発生器32は、ヒンジシャフト24と本体側取付金具26との間に回転トルクを付与する部分である。トルク発生器32は、ディスプレイ筐体16と本体筐体14との間に回動トルクを付与し、安定した回動動作を可能としている。
【0038】
以上のように、本実施形態の電子機器10において、ヒンジ装置12のディスプレイ側取付金具28は、ディスプレイ筐体16に固定される筐体取付部28bと、筐体取付部28bから曲げ部28cを介して連続し、ヒンジシャフト24に固定されるシャフト固定部28aと、を有する。そして、曲げ部28cは、筐体取付部28bとシャフト固定部28aとの間を90度未満の角度に曲げている。
【0039】
このように、当該電子機器10は、筐体14,16間に亘って延在し、筐体14,16間を連結するディスプレイ側取付金具28に90度未満の曲げ部28cを設けた構成となっている。すなわち、ディスプレイ側取付金具28は、
図1及び
図34Bに示す使用形態時に、例えばディスプレイ20に対するタッチ操作等によってディスプレイ筐体16が後方に倒される方向の外力を受けた際、曲げ部28cを開く方向の外力を受ける。この際、ディスプレイ側取付金具28は、曲げ部28cが90度未満の角度であるため、上記外力に対して高い剛性で耐えることができる。つまり電子機器10は、ヒンジ装置12によって連結された筐体14,16間の剛性が向上する。その結果、当該電子機器10は、
図1及び
図34Bに示す使用形態時のディスプレイ筐体16の安定性が向上し、製品品質が向上し、さらにディスプレイ20のタッチ操作の操作性も向上する。これに対し、例えば、曲げ部28cが90度以上に形成された構成では、上記外力によって曲げ部28cが開き方向に変形し易く、その結果、ディスプレイ筐体16が安定しない懸念がある。
【0040】
また、本実施形態の電子機器10において、ディスプレイ側取付金具28の曲げ部28cは、筐体取付部28bとシャフト固定部28aとの間に1つのみ設けられている。すなわち、仮に、筐体14,16間を連結するディスプレイ側取付金具28に2個の曲げ部28cが形成された構成を考える。この構成では、ディスプレイ筐体16に上記外力が付与された際、ディスプレイ側取付金具28は全体として2個の曲げ部28cの開き方向の変形量の合計量分変形する。その結果、ディスプレイ側取付金具28の全体としての開き方向の変形量が増大し、ヒンジ装置12によって連結された筐体14,16間の剛性が低下する懸念がある。この点、当該電子機器10は、筐体取付部28bとシャフト固定部28aとの間に1つのみ曲げ部28cを設けているため、高い剛性で筐体14,16間が連結される。また、曲げ部28cが1つのみであることで、複数回曲げた構成に比べ、ディスプレイ側取付金具28の製造コストを低減できる。
【0041】
当該電子機器10は、少なくともディスプレイ側取付金具28の一部を収納するヒンジカバー30を備える。そして、このヒンジカバー30は、ディスプレイ筐体16に固定され、ディスプレイ側取付金具28やヒンジシャフト24等のヒンジ装置12の他の要素には直接的に固定されていない。このため、例えば
図1等に示す使用形態時にユーザがディスプレイ筐体16のみを把持して電子機器10を持ち上げた場合に、本体筐体14の重量によりディスプレイ側取付金具28が背面カバー材16cから浮き上がる方向の外力を受ける。この際、仮にヒンジカバー30がディスプレイ側取付金具28やヒンジシャフト24に固定されていると、ヒンジカバー30もディスプレイ側取付金具28と共に背面カバー材16cから浮き上がる方向の外力を受ける。その結果、ヒンジカバー30と背面カバー材16cとの間に隙間が形成され、外観品質を低下させる。この点、当該電子機器10は、ヒンジカバー30がディスプレイ筐体16(背面カバー材16c)に固定されているため、上記隙間の発生による外観品質の低下を抑制できる。
【0042】
当該電子機器10は、本体筐体14の後端部14aの上面14b側に後方への突出部14eを有する。そして、ディスプレイ側取付金具28は、筐体取付部28bからシャフト固定部28aに向かって突出部14eを回り込むように延在している(
図3A及び
図3B参照)。これにより、本体筐体14は、その後端部14aにヒンジ装置12の配置用の切欠きがないフラットなデザインとなり、外観品質が向上する。この際、ヒンジ装置12は、ディスプレイ側取付金具28が突出部14eを回り込むような配置となることで、筐体14,16間の円滑な回動動作を確保している。
【0043】
当該電子機器10では、シャフト固定部28aがヒンジシャフト24の軸方向に沿って幅広に構成することでその強度を確保している。このため、ヒンジカバー30の前後方向の厚みは、シャフト固定部28aの板厚分のみを収納できればよいため、幅狭に構成できる。このため、ヒンジカバー30が分厚くなって電子機器10の外観上で目立つことがなく、当該電子機器10の外観品質を一層向上させることができる。
【0044】
当該電子機器10では、ヒンジシャフト24の軸中心Oが本体筐体14の上下方向の厚みの中心Cよりも下方に配置されている(
図3A参照)。このため、
図3Bに示すように、当該電子機器10の使用時にディスプレイ筐体16を開くと、ディスプレイ側取付金具28やこれを収納するヒンジカバー30が本体筐体14の後方且つ下方へと一層大きく移動する。その結果、正面から電子機器10を見ているユーザからは、ヒンジカバー30が一層見え難くなり、当該電子機器10の外観品質がより一層向上する。
【0045】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0046】
上記では、曲げ部28cを90度未満に形成し、且つ曲げ部28cを1つのみ設けた構成を例示した。しかしながら、筐体14,16間に要求される剛性等に応じて、90度未満の曲げ部28cを2つ設けた構成や、90度以上の曲げ部28cを1つのみ設けた構成等としてもよい。
【0047】
上記では、ヒンジシャフト24を本体筐体14側に設けた構成を例示したが、ヒンジシャフト24はディスプレイ筐体16側に設けられてもよい。この構成とした場合、本体側取付金具26については、上記したディスプレイ側取付金具28のシャフト固定部28aと同様な構成でヒンジシャフト24に対して回転不能に固定され、さらにヒンジカバー30に収納されればよい。その際、ディスプレイ側取付金具28については、上記した本体側取付金具26のシャフト連結部26aと同様な構成でヒンジシャフト24に対して回転可能に連結されればよい。
【符号の説明】
【0048】
10 電子機器
12 ヒンジ装置
14 本体筐体
14e 突出部
16 ディスプレイ筐体
24 ヒンジシャフト
26 本体側取付金具
26a シャフト連結部
26b,28b 筐体取付部
28 ディスプレイ側取付金具
28a シャフト固定部
28c 曲げ部
30 ヒンジカバー