(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20220311BHJP
H01R 12/71 20110101ALN20220311BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2020525388
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2019020261
(87)【国際公開番号】W WO2019244549
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2018118613
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 清孝
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 聡一
(72)【発明者】
【氏名】武井 一統
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189244(JP,A)
【文献】特開2013-232372(JP,A)
【文献】特開2015-99694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに着脱自在に嵌合するプラグコネクタおよびレセプタクルコネクタを備える電気コネクタであって、
前記レセプタクルコネクタは、
底壁および該底壁から起立する周壁で区画される凹部の長手方向の一方の端部が第1の凹嵌部となり他方の端部が第2の凹嵌部となる第1のハウジングと、該第1のハウジングの前記第1および第2の凹嵌部間に並置、保持された所要数の第1のコンタクトとを有し、
前記プラグコネクタは、前記第1の凹嵌部に着脱自在に挿入される第1の凸嵌部および前記第2の凹嵌部に着脱自在に挿入される第2の凸嵌部を有する第2のハウジングと、該第2のハウジングの前記第1および第2の凸嵌部間に並置、保持され、前記プラグコネクタおよび前記レセプタクルコネクタの嵌合時に前記第1のコンタクトと接触する所要数の第2のコンタクトとを有し、
前記第1および第2の凹嵌部は互いに異なる形状を有し、
前記レセプタクルコネクタは、前記周壁の、前記第1の凹嵌部を区画する部分を覆う金属製の第1のカバーと、前記周壁の、前記第2の凹嵌部を区画する部分を覆う金属製の第2のカバーとを有
し、
前記第1の凹嵌部の幅寸法が前記第2の凹嵌部の幅寸法よりも大きくなるように、前記周壁の、前記凹部の長手方向に延在し互いに対向する第1および第2の側壁部の、前記第1の凹嵌部に対応する部分の壁厚は、前記周壁の前記第1および第2の側壁部の、前記第2の凹嵌部に対応する部分の壁厚よりも小であることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1のカバーは前記周壁の前記第1および第2の側壁部の、前記第1の凹嵌部に対応する前記部分をその内面および外面の両側から少なくとも部分的に挟み込むように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1および第2の凹嵌部の長さ寸法は互いに異なることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1および第2の凸嵌部は互いに異なる形状を有し、前記プラグコネクタは、前記第1の凸嵌部を覆う金属製の第3のカバーと前記第2の凸嵌部を覆う金属製の第4のカバーとを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第1および第2の凸嵌部の幅寸法および/または長さ寸法が互いに異なることを特徴とする、請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記第1のハウジングは、前記底壁上に前記周壁から離間して形成された隆起部を有し、前記隆起部は前記凹部の長手方向中心に対して非対称に形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとの嵌合高さは0.7mm以下であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに着脱自在に嵌合するプラグコネクタおよびレセプタクルコネクタを備える電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気コネクタとして、従来、レセプタクルコネクタが、周壁および底壁で区画される凹部の長手方向の両端部に凹嵌部がそれぞれ形成された電気絶縁性のハウジングと、該ハウジングの凹嵌部間に並置、保持された所要数のコンタクトとを有し、プラグコネクタが、長手方向の両端部にそれぞれ形成されレセプタクルコネクタの凹嵌部に挿入される凸嵌部を有するハウジングと、該ハウジングの凸嵌部間に並置、保持された所要数のコンタクトとを有するものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の傾向として電気コネクタは小型化され、それに伴い強度が低下している。このような電気コネクタにおいて、プラグコネクタとレセプタクルコネクタの誤った向きによる誤嵌合を防止するためにプラグコネクタおよびレセプタクルコネクタの一方のハウジングにキーを、他方のハウジングに当該キーに適合するキー溝をそれぞれ形成した場合、キー溝を形成した部分において強度がさらに低下し、プラグコネクタおよびレセプタクルコネクタを嵌合させた際に破損しかねない。これを防止するためには、キー溝を形成してもなお所定の強度が得られるようにキー溝を形成する側のハウジングの厚みを初めから大きく設定しておく必要があるが、この場合ハウジングの外形が大きくなり、電気コネクタを小型化しようとする目的に逆行することになる。
【0005】
それ故本発明の目的は、電気コネクタの小型化の要求を満たしつつプラグコネクタとレセプタクルコネクタの誤嵌合を防止可能な電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに着脱自在に嵌合するプラグコネクタおよびレセプタクルコネクタを備える電気コネクタであって、前記レセプタクルコネクタは、底壁および該底壁から起立する周壁で区画される凹部の長手方向の一方の端部が第1の凹嵌部となり他方の端部が第2の凹嵌部となる第1のハウジングと、該第1のハウジングの前記第1および第2の凹嵌部間に並置、保持された所要数の第1のコンタクトとを有し、前記プラグコネクタは、前記第1の凹嵌部に着脱自在に挿入される第1の凸嵌部および前記第2の凹嵌部に着脱自在に挿入される第2の凸嵌部を有する第2のハウジングと、該第2のハウジングの前記第1および第2の凸嵌部間に並置、保持され、前記プラグコネクタおよび前記レセプタクルコネクタの嵌合時に前記第1のコンタクトと接触する所要数の第2のコンタクトとを有し、前記第1および第2の凹嵌部は互いに異なる形状を有し、前記レセプタクルコネクタは、前記周壁の、前記第1の凹嵌部を区画する部分を覆う金属製の第1のカバーと、前記周壁の、前記第2の凹嵌部を区画する部分を覆う金属製の第2のカバーとを有し、前記第1の凹嵌部の幅寸法が前記第2の凹嵌部の幅寸法よりも大きくなるように、前記周壁の、前記凹部の長手方向に延在し互いに対向する第1および第2の側壁部の、前記第1の凹嵌部に対応する部分の壁厚は、前記周壁の前記第1および第2の側壁部の、前記第2の凹嵌部に対応する部分の壁厚よりも小である。
【0007】
なお、本発明の電気コネクタにあっては、前記第1のカバーは前記周壁の前記第1および第2の側壁部の、前記第1の凹嵌部に対応する前記部分をその内面および外面の両側から少なくとも部分的に挟み込むように形成されていることが好ましい。
【0008】
また、本発明の電気コネクタにあっては、前記第1および第2の凹嵌部の長さ寸法は互いに異なることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明の電気コネクタにあっては、前記第1および第2の凸嵌部は互いに異なる形状を有し、前記プラグコネクタは、前記第1の凸嵌部を覆う金属製の第3のカバーと前記第2の凸嵌部を覆う金属製の第4のカバーとを有することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の電気コネクタにあっては、前記第1および第2の凸嵌部の幅寸法および/または長さ寸法が互いに異なることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の電気コネクタにあっては、前記第1のハウジングは、前記底壁上に前記周壁から離間して形成された隆起部を有し、前記隆起部は前記凹部の長手方向中心に対して非対称に形成されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の電気コネクタにあっては、前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとの嵌合高さは0.7mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気コネクタによれば、第1の凹嵌部と第2の凹嵌部とが互いに異なる形状を有するので、プラグコネクタとレセプタクルコネクタの誤嵌合を防止することができる。また、第1の凹嵌部と第2の凹嵌部の形状を互いに異ならせる際に第1のハウジングが薄肉化されても、第1のハウジングに比べて剛性の高い金属製の第1および第2のカバーによって第1のハウジングを補強することができるので、第1のハウジングの大型化を回避しつつレセプタクルコネクタの所望の剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の電気コネクタを示し、(a)はその非接続状態を、(b)は接続状態を示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態の電気コネクタを示し、(a)はその非接続状態を、(b)は接続状態を示した斜視図である。
【
図3】
図1,2のレセプタクルコネクタにおける第1のハウジングを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図4】
図1,2のレセプタクルコネクタにおける第1のハウジングを示し、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【
図5】
図1,2のレセプタクルコネクタにおける第1のカバーを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図6】
図1,2のレセプタクルコネクタにおける第2のカバーを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図7】
図1,2のレセプタクルコネクタにおける幅狭タイプの第1のコンタクトを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図8】
図1,2のレセプタクルコネクタにおける幅広タイプの第1のコンタクトを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図9】
図1,2の電気コネクタにおけるレセプタクルコネクタを示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)中のA-A線に沿う断面図であり、(c)は(a)中のB-B線に沿う断面図であり、(d)は(a)中のC-C線に沿う断面図であり、(e)は(a)中のD-D線に沿う断面図である。
【
図10】
図1,2のプラグコネクタにおける第2のハウジングを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図11】
図1,2のプラグコネクタにおける第2のハウジングを示し、(a)は平面図であり、(b)は底面図である。
【
図12】
図1,2のプラグコネクタにおける第3のカバーを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図13】
図1,2のプラグコネクタにおける第4のカバーを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図14】
図1,2のプラグコネクタにおける幅狭タイプの第2のコンタクトを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図15】
図1,2のプラグコネクタにおける幅広タイプの第2のコンタクトを示し、(a)は上面側の斜視図であり、(b)は底面側の斜視図である。
【
図16】
図1,2の電気コネクタにおけるプラグコネクタを示し、(a)は底面図であり、(b)は(a)中のE-E線に沿う断面図であり、(c)は(a)中のF-F線に沿う断面図であり、(d)は(a)中のG-G線に沿う断面図であり、(e)は(a)中のH-H線に沿う断面図である。
【
図17】
図1,2の電気コネクタを示し、(a)は側面図であり、(b)は(a)中のI-I線に沿う断面図であり、(c)は(a)中のJ-J線に沿う断面図であり、(d)は(a)中のK-K線に沿う断面図であり、(e)は(a)中のL-L線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電気コネクタの実施形態を図面に基づき詳細に説明する。本発明の一実施形態の電気コネクタは、2つの基板(図示せず)に別々に実装されるレセプタクルコネクタとプラグコネクタとを備え、これらのレセプタクルコネクタおよびプラグコネクタを互いに連結させることで2つの基板間が電気的に接続される基板対基板用コネクタである。基板は、レセプタクルコネクタおよびプラグコネクタを実装可能であればその種類や形態に特に制限はなく、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板(FPC)、リジッドフレキシブル基板(リジッドFPC基板)等であってよい。以下の説明において、レセプタクルコネクタおよびプラグコネクタの底面または下面とは、それぞれ基板に実装される側の面を指し、上面とは底面の反対側の面を指すものとする。また、実装方式は、基板表面に半田付けする表面実装式に限らず、例えば、基板のスルーホールに挿入して半田付けするディップ式や圧入によるプレスフィットでもよい。
【0016】
図1(a)および
図2(a)には、電気コネクタ10を構成するレセプタクルコネクタ20およびプラグコネクタ30が分離された状態(接続解除状態)で示され、
図1(b)および
図2(b)には、プラグコネクタ30およびレセプタクルコネクタ20が嵌合により互いに連結された状態(接続状態)で示されている。レセプタクルコネクタ20およびプラグコネクタ30は相互に着脱自在である。
【0017】
図1および
図2に示すように、レセプタクルコネクタ20は主として、第1のハウジング200と、所要数の第1のコンタクト220と、第1のカバー240と、第2のカバー260とを備える。
【0018】
プラグコネクタ30は主として、第2のハウジング300と、所要数の第2のコンタクト320と、第3のカバー340と、第4のカバー360とを備える。
【0019】
図3~
図9を参照し、レセプタクルコネクタ20の詳細について説明する。
図3および
図4に、説明の便宜のため第1のハウジング200を単体で示す。第1のハウジング200は、電気絶縁性の合成樹脂を材料として射出成形等によって製造される。合成樹脂材料としては、例えば液晶ポリマーやポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。第1のハウジング200の材料は、無機フィラーや補強繊維等を含有していてもよい。
【0020】
第1のハウジング200は、偏平な略直方体状の外形を有する。第1のハウジング200は、底壁201と底壁201の周縁から起立する周壁202とを有する。底壁201および周壁202は上面に開口する凹部203を区画する。第1のハウジング200の凹部203のうち長手方向であるx方向の一方の端部はプラグコネクタ30の後述する第1の凸嵌部300aが挿入される第1の凹嵌部203aとなり、他方の端部はプラグコネクタ30の後述する第2の凸嵌部300bが挿入される第2の凹嵌部203bとなる。第1のコンタクト220は、第1のハウジング200の第1の凹嵌部203aと第2の凹嵌部203bとの間の第1の中間部200aに長手方向を配列ピッチ方向として併設されている。
【0021】
第1の凹嵌部203aと第2の凹嵌部203bとは平面視において互いに異なる形状を有する。
図4(a)に示すように、好ましくは、第1の凹嵌部203aの幅寸法(y方向での寸法)w1と第2の凹嵌部203bの幅寸法(y方向での寸法)w2は互いに異なる。図示例では、第1の凹嵌部203aの幅寸法w1は第2の凹嵌部203bの幅寸法w2よりも大である。好ましくは、第1の凹嵌部203aの長さ寸法(x方向での寸法)l1と第2の凹嵌部203bの長さ寸法(x方向での寸法)l2は互いに異なる。図示例では、第1の凹嵌部203aの長さ寸法l1は第2の凹嵌部203aの長さ寸法l2よりも小である。第1の凹嵌部203aの長さ寸法l1は第2の凹嵌部203bの長さ寸法l2以上でもよい。すなわち、図示例では、第1の凹嵌部203aの幅寸法w1と第2の凹嵌部203bの幅寸法w2、および第1の凹嵌部203bの長さ寸法l1と第2の凹嵌部203bの長さ寸法l2をそれぞれ異ならせることにより、第1の凹嵌部203aおよび第2の凹嵌部203bは互いに異なる形状を有する。
【0022】
周壁202は、長手方向(x方向)に延在し互いに対向する第1および第2の側壁部202a,202bと、長手方向と直交する短手方向(y方向)に延在し第1および第2の側壁部202a,202b間をその長手方向端部にて連結する第1および第2の端壁部202c,202dとを有する。第1および第2の側壁部202a,202bの、第1の中間部200aに対応する部分には、所要数の第1のコンタクト220の外側部分である後述する被保持部225を収容する外側収容溝204が形成されている。外側収容溝204は、第1のハウジング200の高さ方向であるz方向に延在する。外側収容溝204内に第1のコンタクト220が挿入により組み付けられる場合、外側収容溝204は被保持部225に圧接する寸法を有することが好ましい。これに代えて、第1のコンタクト220は第1のハウジング200の射出成形時に一体化することもできる。すなわち、第1のコンタクト220をインサート体として図示しない金型に保持させ、該第1のコンタクト220の周りに第1のハウジング200の合成樹脂材料を射出することで、第1のコンタクト220を第1のハウジング200に固定してもよい。外側収容溝204の凹部203側部分には、開口幅を狭める突起204aが形成されている。これにより第1のコンタクト220の被保持部225が突起204aに係合して、特に実装前における第1のコンタクト220の、外側収容溝204からの離脱はより確実に防止される。
【0023】
第1および第2の側壁部202a,202bの、第1の凹嵌部203aに対応する部分の壁厚t1は、該側壁部202a,202bの、第2の凹嵌部203bに対応する部分の壁厚t2よりも小である。これにより、上述のように第1の凹嵌部203aの幅寸法w1が第2の凹嵌部203bの幅寸法w2よりも大となる。第1の凹嵌部203aの幅寸法w1を第2の凹嵌部203bの幅寸法w2よりも大とするため、第1または第2の側壁部202aまたは202bにおいて、第1の凹嵌部203aに対応する部分の壁厚t1を、該側壁部202aまたは202bの、第2の凹嵌部203bに対応する部分の壁厚t2よりも小としてもよい(図示せず)。
【0024】
また、第1のハウジング200は、底壁201上に周壁202から離間して形成された平面視矩形の隆起部205を有する。これにより凹部203は環状である。隆起部205は、第1のコンタクト220を支持するため第1のハウジング200の第1の中間部200aに対応する領域に形成されている。隆起部205の、第1および第2の側壁部202a,202bに対向する側面には、第1のコンタクト220のy方向の内側部分を収容する内側収容溝206が形成されている。内側収容溝206は、外側収容溝204に対向する位置にてz方向に延在する。内側収容溝206内に第1のコンタクト220が挿入により組み付けられる場合、内側収容溝206は第1のコンタクト220に圧接する寸法を有することが好ましい。
【0025】
図4(a)に示すように、隆起部205は第1のハウジング200の凹部203の長手方向中心c1に対して非対称に形成されるのが好ましい。つまり、隆起部205の長手方向中心c2は凹部203の長手方向中心c1からずらされている。図示例では、隆起部205の長手方向中心c2は凹部203の長手方向中心c1から第1の凹嵌部203a側にずらされている。
【0026】
図3(b)および
図4に示すように、底壁201の、第1のハウジング200の第1の中間部200aに対応する部分には、外側収容溝204および内側収容溝206と連通する開口207が形成されている。第1のコンタクト220を第1のハウジング200に挿入により組み付ける場合には、これらの開口207を通じて第1のコンタクト220を底面側から挿入してもよい。
【0027】
図1および
図2に戻り、第1および第2のカバー240,260は第1のハウジング200の長手方向端部を部分的に覆っている。これにより第1のハウジング200の、第1の凹嵌部203aおよび第2の凹嵌部203bを区画する周壁202の部分は補強されている。第1および第2のカバー240,260は、第1のハウジング200を基板に固定するための固定タブとしても機能する。
【0028】
図5に第1のカバー240を単体で示す。第1のカバー240は第1のハウジング200の射出成形時に第1のハウジング200と一体化される。すなわち、第1のカバー240をインサート体として図示しない金型に保持させ、該第1のカバー240の周りに第1のハウジング200の合成樹脂材料を射出することで、第1のカバー240は第1のハウジング200に固定される。これに代えて、第1のカバー240は第1のハウジング200の形成後に第1のハウジング200に嵌合および/または接着により固定してもよい。第1のカバー240は、所定形状、寸法にカットした銅または銅合金等の金属製板材を曲げ加工することで形成される。第1のカバー240は、第1のハウジング200の第1の凹嵌部203aを区画する周壁202の部分の上面上に配置される平面視略C字状の第1の頂板241と、第1の頂板241の対向2辺から周壁202の側壁部202a,202bの外面に沿ってそれぞれ下垂して実装時に基板に固定される第1および第2の外側下垂片242,243と、第1の頂板241の残りの1辺から周壁202の第1の端壁部202cの外面に沿って垂下して実装時に基板に固定される第3の外側下垂片244とを有する。第1の頂板241の外面および第1~第3の外側下垂片242~244の外面は、第1のハウジング200の外面と面一である(
図1,2参照)。
【0029】
また、第1のカバー240は、第1および第2の外側下垂片242,243と対向する位置で第1の頂板241からそれぞれ下垂する第1および第2の内側下垂片245,246を有する。これにより、第1の側壁部202aの、第1の凹嵌部203aに対応する部分は、第1の外側下垂片242と第1の内側下垂片245とによって少なくとも部分的に挟まれ、補強される。また、第2の側壁部202bの、第1の凹嵌部203aに対応する部分は、第2の外側下垂片243と第2の内側下垂片246とによって少なくとも部分的に挟まれ、補強される。第1および第2の内側下垂片245,246の外面は、第1のハウジング200の内面(凹部203を区画する面)と面一である。
【0030】
第1のカバー240はさらに、第3の外側下垂片244と対向する位置で第1の頂板241から下垂する第3の内側下垂片247を有する。これにより、周壁202の第1の端壁部202cは第3の外側下垂片244と第3の内側下垂片247とによって少なくとも部分的に挟まれ、補強される。第3の内側下垂片247の外面は、第1のハウジング200の内面(凹部203を区画する面)と面一である。
【0031】
第1のカバー240はさらに、第1のカバー240の面に沿って延出もしくは凹設され第1のハウジング200と係合する少なくとも1つの係合部248を有していてもよい。これにより、第1のカバー240と第1のハウジング200との固着性が向上し、プラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20との嵌合時またはその解除時における第1のハウジング200の位置ずれは抑制される。図示例では、係合部248は、第1の頂板241の、第3の外側下垂片244の側方位置、第1および第2の外側下垂片242,243の側縁、および第3の外側下垂片244の両側縁にそれぞれ形成されている。これに限定されず、係合部248は第1~第3の内側下垂片245~247に形成してもよい。
【0032】
図6に第2のカバー260を単体で示す。第2のカバー260の長さ寸法(x方向の長さ)は、第1のカバー240の長さ寸法(x方向の長さ)よりも大であることを除いて第1のカバー240と同じ構造を有する。第2のカバー260は第1のハウジング200の射出成形時に第1のハウジング200と一体化される。すなわち、第2のカバー260をインサート体として図示しない金型に保持させ、該第2のカバー260の周りに第1のハウジング200の合成樹脂材料を射出することで、第2のカバー260は第1のハウジング200に固定される。これに代えて、第2のカバー260は第1のハウジング200の形成後に第1のハウジング200に嵌合および/または接着により固定してもよい。第2のカバー260は、所定形状、寸法にカットした銅または銅合金等の金属製板材を曲げ加工することで形成される。第2のカバー260は、第1のハウジング200の第2の凹嵌部203bを区画する周壁202の部分の上面上に配置される平面視略C字状の第2の頂板261と、第2の頂板261の対向2辺から周壁202の第1および第2の側壁部202a,202bの外面に沿ってそれぞれ下垂して実装時に基板に固定される第4および第5の外側下垂片262,263と、第2の頂板261の残りの1辺から周壁202の第2の端壁部202dの外面に沿って垂下して実装時に基板に固定される第6の外側下垂片264とを有する。第2の頂板261の外面および第4~第6の外側下垂片262~264の外面は、第1のハウジング200の外面と面一である(
図1,2参照)。
【0033】
また、第2のカバー260は、第4および第5の外側下垂片262,263と対向する位置で第2の頂板261からそれぞれ下垂する第4および第5の内側下垂片265,266を有する。これにより、第2の側壁部202bの、第2の凹嵌部203bに対応する部分は、第4の外側下垂片262と第4の内側下垂片265とによって少なくとも部分的に挟まれ、補強される。また、第1の側壁部202aの、第2の凹嵌部203bに対応する部分は、第5の外側下垂片263と第5の内側下垂片266とによって少なくとも部分的に挟まれ、補強される。第4および第5の内側下垂片265,266の外面は、第1のハウジング200の内面(凹部203を区画する面)と面一である。
【0034】
第2のカバー260はさらに、第6の外側下垂片264と対向する位置で第2の頂板261から下垂する第6の内側下垂片267を有する。これにより、周壁202の第2の端壁部202dは第6の外側下垂片264と第6の内側下垂片267とによって少なくとも部分的に挟まれ、補強される。第6の内側下垂片267の外面は、第1のハウジング200の内面(凹部203を区画する面)と面一である。
【0035】
第2のカバー260はさらに、第2のカバー260の面に沿って延出もしくは凹設され第1のハウジング200と係合する少なくとも1つの係合部268を有していてもよい。これにより、第2のカバー260と第1のハウジング200との固着性が向上し、プラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20との嵌合時またはその解除時における第1のハウジング200の位置ずれは抑制される。図示例では、係合部268は、第2の頂板261の、第6の外側下垂片264の側方位置、第4および第5の外側下垂片262,263の側縁、および第6の外側下垂片264の両側縁にそれぞれ形成されている。これに限定されず、係合部268は第4~第6の内側下垂片265~267に形成してもよい。
【0036】
第1のコンタクト220は、
図7に示すように幅の狭い信号用コンタクトと、
図8に示すように幅の広い電源用コンタクトとを含んでいてよい。信号用コンタクトと電源用コンタクトは同じ幅でもよい。第1のコンタクト220は導電性金属、例えば銅または銅合金からなる。第1のコンタクト220は、基板に実装される第1の接続部221と、y方向で対向し第2のコンタクト320の後述する第3および第4の接触部322,323を挟み込んで接触するy方向断面で円弧形状の第1および第2の接触部222,223と、第1および第2の接触部222,223を弾性連結する略C字形状の板ばねからなる第1の連結部224と、第1の接続部221および第1の接触部222間にy方向に延び第1のハウジング200の外側収容溝204内に係止される被保持部225とを有する。被保持部225は、外側収容溝204の突起204aとの係合のため他の部分に比べて幅広に形成されている。第1の連結部224は、第2の接触部223の隣接部分に、第1のハウジング200と係合して、第2のコンタクト320の抜去時の浮きを防止する幅広係合部224aを有していてよい。
【0037】
第1の接触部222は、第2のコンタクト320を挿入し易くするとともに弾性変形し易くするため上面側の稜線部に面取り222aが施されている。第2の接触部223も、第2のコンタクト320を挿入し易くするとともに弾性変形し易くするため上面側の稜線部に面取り223aが施されている。なお、第1の連結部224の下面側等にも同様の面取りを施してもよい(図示せず)。
【0038】
なお、
図8に示す幅広の第1のコンタクト220の場合には、第1,2の接触部222,223および第1の連結部224を均一に弾性変形させるため、一つの第1の被保持部225に対して複数の第1,2の接触部222,223および第1の連結部224を設けることが好ましい。
図8の例では、第1のコンタクト220は、一つの第1の被保持部225に対して、各々2つの第1,2の接触部222,223および第1の連結部224を有する。
【0039】
図9に、第1のハウジング200に第1および第2のカバー240,260が一体化されるとともに第1のコンタクト220が組み付けられたレセプタクルコネクタ20を示す。
図9において、(a)はレセプタクルコネクタ20の平面図であり、(b)は(a)中のA-A線に沿う断面図であり、(c)は(a)中のB-B線に沿う断面図であり、(d)は(a)中のC-C線に沿う断面図であり、(e)は(a)中のD-D線に沿う断面図である。
【0040】
図9(b)からは、第1の側壁部202aが第1のカバー240の第1の外側下垂片242と第1の内側下垂片245との間に挟まれるとともに、第2の側壁部202bが第1のカバー240の第2の外側下垂片243と第2の内側下垂片246との間に挟まれていることが視認される。
【0041】
図9(c)からは、第2の側壁部202bが第2のカバー260の第4の外側下垂片262と第4の内側下垂片265との間に挟まれるとともに、第1の側壁部202aが第2のカバー260の第5の外側下垂片263と第5の内側下垂片266との間に挟まれていることが視認される。
【0042】
図9(d),(e)からは、第1のコンタクト220の被保持部225が第1のハウジング200の外側収容溝204内に収容されるとともに、第1のコンタクト220の第2の接触部223の一部および第1の連結部224の一部が第1のハウジング200の内側収容溝206内に収容されていることが視認される。また、第1および第2の接触部222,223が第2のコンタクト320との接触のため、凹部203内に部分的に露出(突出)していることが視認される。
【0043】
次に
図10~
図16を参照し、プラグコネクタ30の詳細について説明する。
図10に第2のハウジング300を単体で示す。第2のハウジング300は、電気絶縁性の合成樹脂を材料として射出成形等で製造される。第2のハウジング300の材料としては、例えば液晶ポリマーやポリフェニレンスルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。第2のハウジング300の材料は、無機フィラーや補強繊維等を含有していてもよい。
【0044】
第2のハウジング300は、第1のハウジング200の凹部203に適合する偏平な略直方体状の外形を有する。第2のハウジング300は、長手方向(x方向)の一方の端部にレセプタクルコネクタ20の第1の凹嵌部203aに挿入される第1の凸嵌部300aが形成され、長手方向の他方の端部にレセプタクルコネクタ20の第2の凹嵌部203bに挿入される第2の凸嵌部300bが形成されている。第1の凸嵌部300aは第1の凹嵌部203aと嵌合する形状を有し、第2の凸嵌部300bは第2の凹嵌部203bと嵌合する形状を有する。
【0045】
第1凸嵌部300aと第2の凸嵌部300bとの間の第2の中間部300cには、長手方向(x方向)に延在し、第1のハウジング200の隆起部205が挿入される凹所301を区画する2つの側壁302a,302bが形成されている。
【0046】
上述のようにレセプタクルコネクタ20の第1の凹嵌部203aと第2の凹嵌部203bとが互いに異なる形状を有するのに対応して、第1の凸嵌部300aと第2の凸嵌部300bは互いに異なる形状を有する。これにより、プラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20の誤った方向での接続、つまり誤嵌合は防止される。好ましくは、
図11に示すように、第1の凸嵌部300aの幅寸法(y方向での寸法)w3と第2の凸嵌部300bの幅寸法(y方向での寸法)w4は互いに異なる。図示例では、第1の凸嵌部300aの幅寸法w3は第2の凸嵌部300bの幅寸法w4よりも大である。好ましくは、第1の凸嵌部300aの長さ寸法(x方向での寸法)l3と第2の凸嵌部300bの長さ寸法(x方向での寸法)l4は互いに異なる。図示例では、第1の凸嵌部300aの長さ寸法l3は第2の凸嵌部300bの長さ寸法l4よりも小である。第1の凸嵌部の長さ寸法は第2の凸嵌部の長さ寸法以上でもよい。すなわち、図示例では、第1の凸嵌部300aの幅寸法w3と第2の凸嵌部300bの幅寸法w4、および第1の凸嵌部300aの長さ寸法l3と第2の凸嵌部300bの長さ寸法l4をそれぞれ異ならせることにより、第1の凸嵌部300aおよび第2の凸嵌部300bは互いに異なる形状を有する。
【0047】
図1および
図2に戻り、第3および第4のカバー340,360はそれぞれ、第2のハウジング300の長手方向端部を部分的に覆っている。これにより第2のハウジング300の長手方向端部は補強される。第3および第4のカバー340,360は、第2のハウジング300を基板に固定するための固定タブとしても機能する。
【0048】
図12に第3のカバー340を単体で示す。第3のカバー340は第2のハウジング300の射出成形時に一体化される。すなわち、第3のカバー340をインサート体として図示しない金型に保持させ、該第3のカバー340の周りに第2のハウジング300の合成樹脂材料を射出することで、第3のカバー340は第2のハウジング300に固定される。これに代えて、第3のカバー340は第2のハウジング300の形成後に第2のハウジング300に嵌合および/または接着により固定してもよい。
【0049】
第3のカバー340は、所定形状、寸法にカットした銅または銅合金等の金属製板材を曲げ加工することで形成される。第3のカバー340は、第2のハウジング300の第1の凸嵌部300aを5面(上面、底面、右側面、左側面及び長手方向端面)で覆うように形成される。第3のカバー340は、第2のハウジング300の上面上に形成される第1の上板341と、第1の上板341の両側方から垂下して第2のハウジング300の側面上に形成される第1および第2の垂下舌片342,343と、第1の上板341の、凹所301側とは反対側の端から垂下して第2のハウジング300の垂直端面上に形成される第1の端片344と、第1の端片344の下端から凹所301側へ延出し実装時に基板に固定される、平面視略L字形状の第1および第2の固定板345,346とを有する。第1および第2の固定板345,346は第2のハウジング300内に部分的に埋め込まれる。
【0050】
図13に第4のカバー360を単体で示す。第4のカバー360は第2のハウジング300の射出成形時に一体化される。すなわち、第4のカバー360をインサート体として図示しない金型に保持させ、該第4のカバー360の周りに第2のハウジング300の合成樹脂材料を射出することで、第4のカバー360は第2のハウジング300に固定される。これに代えて、第4のカバー360は第2のハウジング300の形成後に第2のハウジング300に嵌合および/または接着により固定してもよい。
【0051】
第4のカバー360は、所定形状、寸法にカットした銅または銅合金等の金属製板材を曲げ加工することで形成される。第4のカバー360は、第2のハウジング300の第2の凸嵌部300bを5面で覆うように形成される。第4のカバー360は、第2のハウジング300の上面上に形成される第2の上板361と、第2の上板361の両側方から垂下して第2のハウジング300の側面上に形成される第3および第4の垂下舌片362,363と、第2の上板361の、凹所301側とは反対側の端から垂下して第2のハウジング300の垂直端面上に形成される第2の端片364と、第2の端片364の下端から凹所301側へ延出し実装時に基板に固定される、平面視略L字形状の第3および第4の固定板365,366とを有する。第3および第4の固定板365,366は第2のハウジング300内に部分的に埋め込まれる。第2の上板361の幅寸法(y方向の長さ)は、第1の上板341の幅寸法(y方向の長さ)よりも小である。また、第2の上板361の長さ寸法(x方向の長さ)は第1の上板341の長さ寸法(x方向の長さ)よりも大である。
【0052】
第2のコンタクト320は、
図14に示すように幅の狭い信号用コンタクトと、
図15に示すように幅の広い電源用コンタクトとを含んでいてよい信号用コンタクトと電源用コンタクトは同じ幅でもよい。第2のコンタクト320は導電性金属、例えば銅または銅合金からなる。第2のコンタクト320は、基板に実装される第2の接続部321と、第2の接続部321から立ち上がり、第1のコンタクト220の第2の接触部223と接触可能な第3の接触部322と、第3の接触部322との間に第2のハウジング300の側壁302a,302bを挟み込むように形成され、第1のコンタクト220の第1の接触部222と接触可能な第4の接触部323と、第3および第4の接触部322,323を弾性連結する略C字形状の板ばねからなる第2の連結部324とを有する。
【0053】
第2のコンタクト320は、第2のハウジング300の射出成形時に第2のハウジング300と一体化される。すなわち、第2のコンタクト320をインサート体として図示しない金型に保持させ、該第2のコンタクト320の周りに第2のハウジング300の合成樹脂材料を射出することで、第2のコンタクト320は第2のハウジング300に固定される。
【0054】
第2のコンタクト320は、第1のコンタクト220との良好な接触状態を維持するため、第3および第4の接触部322,323の表面に段差を介して窪み325が形成されている。
【0055】
図16に、第2のハウジング300に第3,4のカバー340,360および第2のコンタクト320が一体化されたプラグコネクタ30を示す。
図16において、(a)はプラグコネクタ30の底面図であり、(b)は(a)中のE-E線に沿う断面図であり、(c)は(a)中のF-F線に沿う断面図であり、(d)は(a)中のG-G線に沿う断面図であり、(e)は(a)中のH-H線に沿う断面図である。
【0056】
図16(b)からは、第2のハウジング300の上面、底面および両側面が第4のカバー360によって覆われていることが視認される。
【0057】
図16(c)からは、第2のハウジング300の上面、底面および両側面が第3のカバー340によって覆われていることが視認される。
【0058】
図16(d),(e)からは、第2のコンタクト320の第3の接触部322と第4の接触部323との間が第2のハウジング300の樹脂で満たされていることが視認される。また、第3の接触部322と第4の接触部323の表面の窪み325が視認される。
【0059】
図17にプラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20とが接続された状態にある電気コネクタ10を示す。(a)は側面図であり、(b)は(a)中のI-I線に沿う断面図であり、(c)は(a)中のJ-J線に沿う断面図であり、(d)は(a)中のK-K線に沿う断面図であり、(e)は(a)中のL-L線に沿う断面図である。
【0060】
図17(b)からは、第2の凸嵌部300bが第2の凹嵌部203b内に嵌入されて、第4のカバー360が第2のカバー260に嵌合および接触していることが視認される。
【0061】
図17(c),(d)からは、第1のコンタクト220の第1の接触部222と第2の接触部223との間に、第2のコンタクト320の第3,4の接触部322,323および第2の連結部324が圧入され、第1の接触部222が第4の接触部323の窪み325に弾性接触するとともに、第2の接触部223が第3の接触部322の窪み325に弾性接触していることが視認される。
【0062】
図17(e)からは、第1の凸嵌部300aが第1の凹嵌部203a内に嵌入されて、第3のカバー340が第1のカバー240に嵌合および接触していることが視認される。
【0063】
上記構成を備える電気コネクタ10によれば、第1の凹嵌部203aと第2の凹嵌部203bとが互いに異なる形状を有するので、プラグコネクタとレセプタクルコネクタの誤嵌合を防止することができる。また、第1の凹嵌部203aと第2の凹嵌部203bの形状を互いに異ならせる際に薄肉化された第1のハウジング200の周壁202は、第1のハウジング200に比べて剛性の高い金属製の第1および第2のカバー240,260で覆われ、補強されているので、第1のハウジング200の大型化を回避しつつレセプタクルコネクタ20の所望の剛性を確保することができる。
【0064】
特に、第1の凹嵌部203aの幅寸法w1が第2の凹嵌部203bの幅寸法w2よりも大きくなるように周壁が部分的に薄肉化され、その薄肉化された部分を第1のカバー240でその内面および外面の両側から挟み込むようにした場合には、高い補強効果が得られる。
【0065】
また、第1および第2の凹嵌部203a,203bの長さ寸法を互いに異ならせた場合には、誤嵌合の防止効果はさらに高まる。
【0066】
また、第1のハウジング200が、底壁201上に隆起部205を有し、隆起部205が凹部203の長手方向中心c1に対して非対称に形成されている場合には、誤嵌合の防止効果はさらに高まる。
【0067】
さらに、プラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20の接続時に第1のカバー240と第3のカバー340、および第2のカバー260と第4のカバー360とが接触、嵌合するように構成することで、接続安定性を維持しつつ嵌合高さを低くすることができ、ひいてはプラグコネクタ30およびレセプタクルコネクタ20の低背化が可能であり、例えば嵌合高さh(
図17(b)参照)を0.7mm以下とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、電気コネクタの小型化の要求を満たしつつプラグコネクタとレセプタクルコネクタの誤嵌合を防止可能な電気コネクタを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
10 電気コネクタ
20 レセプタクルコネクタ
200 第1のハウジング
203 凹部
203a 第1の凹嵌部
203b 第2の凹嵌部
205 隆起部
220 第1のコンタクト
240 第1のカバー
260 第2のカバー
30 プラグコネクタ
300 第2のハウジング
301 凹所
300a 第1の凸嵌部
300b 第2の凸嵌部
320 第2のコンタクト
340 第3のカバー
360 第4のカバー