IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンファ ケミカル コーポレーションの特許一覧

特許7038821ポリエーテルケトンケトンの製造方法及びそれによって製造されたポリエーテルケトンケトン
<>
  • 特許-ポリエーテルケトンケトンの製造方法及びそれによって製造されたポリエーテルケトンケトン 図1
  • 特許-ポリエーテルケトンケトンの製造方法及びそれによって製造されたポリエーテルケトンケトン 図2
  • 特許-ポリエーテルケトンケトンの製造方法及びそれによって製造されたポリエーテルケトンケトン 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】ポリエーテルケトンケトンの製造方法及びそれによって製造されたポリエーテルケトンケトン
(51)【国際特許分類】
   C08G 67/00 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
C08G67/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020527065
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 KR2018014084
(87)【国際公開番号】W WO2019098744
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2017-0153251
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515358285
【氏名又は名称】ハンファ ケミカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA CHEMICAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、グァン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ ホン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】アン、チョ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ビョン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、サン ヒョン
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-211336(JP,A)
【文献】特開平02-045462(JP,A)
【文献】特開平02-043220(JP,A)
【文献】米国特許第03791890(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00-67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リエーテルケトンケトンの製造方法において、
(a)反応器にdiphenyl oxide(DPO)及び1,4-bis(4-phenoxybenzoyl) benzene (EKKE)の中から選択された少なくとも1種以上をterephthaloyl chloride(TPC)及びisophthaloyl chloride(IPC)と液相の反応媒介体に入れて同時に溶解させて反応溶液を製造するステップ;
(b)前記反応溶液の温度を下げた後、触媒を投入するステップ;及び
(c)前記触媒の投入後、反応溶液内に不活性気体を直接吹き込み攪拌するステップを含み、
前記不活性気体を反応溶液の内部に直接吹き込むノズルが反応器の上部又は下部に形成される
ことを特徴とするポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項2】
前記不活性気体は窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトンの中から選択された少なくとも1種である
請求項1に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項3】
前記攪拌するステップは、複数個の攪拌羽根が形成された攪拌機(stirrer)が回転して投入された不活性気体を分散させる
請求項1に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項4】
前記撹拌機は反応器内に2つ以上具備されて少なくとも2つ以上の方向へ回転して渦流現象を発生させる
請求項3に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項5】
前記(a)ステップで、反応溶液はベンゾイルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、4-クロロビフェニル、4-フェノキシベンゾフェノン、4-(4-フェノキシフェノキシ)ベンゾフェノン及びビフェニル4-ベンゼンスルホニルフェニルフェニルエーテルの中から選択された少なくとも1種以上のキャッピング剤(Capping Agent)を含む
請求項1に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項6】
前記(b)ステップで、反応溶液の温度は-10乃至-5℃である
請求項1に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項7】
前記液相の反応媒介体はO-dichlorobenzene(ODCB)及びDichloromethaneの中から選択された少なくとも1種以上の溶媒である
請求項1に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項8】
前記触媒はAluminum chloride(AlCl)、Potassium carbonate(KCO)及びIron(III) chloride(FeCl)の中から選択された少なくとも1種以上である
請求項1に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項9】
前記(c)ステップで、攪拌しながら反応器を80℃乃至100℃に昇温させて重合されたPEKKを製造するステップを含む
請求項1に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項10】
前記重合されたPEEKをメタノール(CHOH)、塩酸及びNaOH溶液で洗浄し、脱イオン水(DI water)で3回水洗するステップを含む
請求項9に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項11】
前記水洗するステップの後、170乃至190℃で真空乾燥してPEKK重合レジンパウダーを得るステップをさらに含む
請求項10に記載のポリエーテルケトンケトンの製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の製造方法で製造された
ことを特徴とするポリエーテルケトンケトン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテルケトンケトンの製造方法に関し、さらに詳しくは、重合反応時、従来技術は反応器内部に窒素気体を単に排出(purging)して適用していたことに対して、本発明は液相の反応媒介体の内部に窒素気体を吹き込むと同時に攪拌することによって、反応の途中に発生する副産物である塩酸を速やかに除去し、レジン粒子の凝結現象を防止してスケールの生成を抑制するポリエーテルケトンケトンの製造方法及びそれによって製造されたポリエーテルケトンケトンに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテルケトンは既に公知された産業用樹脂の総称であって、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン及びポリエーテルケトンとポリエーテルケトンケトンの一部が混合された共重合体などがある。
【0003】
下記化学式で示されるポリエーテルケトンケトン(Polyether Ketone Ketone、PEKK)は耐熱性が高く強度に優れるため、エンジニアリングプラスチックとして多く用いられている。エンジニアリングプラスチックは、自動車、航空機、電気電子機構、機械などの分野で用いられており、その適用領域は次第に拡大しつつあるのが現状である。
【0004】
【化1】
【0005】
エンジニアリングプラスチックの適用領域が拡大するとともに、その使用環境は次第に過酷なものになってきており、より改善した物性を示すポリエーテルケトン化合物に対する必要性が存在する。また、重合反応時のコスト節減のために、収率を高めた製造工程への要求がある。
【0006】
PEEKの重合反応に投入されるモノマーはFriedel-Crafts Acylation連鎖反応によって重合される。かかる連鎖反応の効率を増大させるためには、反応物の含量を増やすか、反応温度及び時間の調節、又は触媒量を増加させることもできるが、コストの問題があり得るので、オリゴマー又はスケール生成を抑制する方案が考慮される。
【0007】
実際、PEEK重合反応の途中に副産物として塩酸(HCl)が発生し、レジン粒子間の凝結現象(aggregation)により反応効率が低下する問題がある。よって、塩酸を除去し、反応物の分散力を増加させて反応効率を増加させるための技術が多様に研究されてきた。
【0008】
従来技術には反応器の内部に不活性気体を単に排出(purging)して反応副産物を除去し、適用する技術が公知されているが、かかる工程を通しては塩酸の迅速な除去が難しく、反応物粒子間の凝結現象も発生して高収率のレジンを得ることが難しい問題がある。
【0009】
特許文献1では、特定の金属含有触媒を使用して1,4-ビス(4-フェノキシベンゾイル)ベンゼン(BPBB)を製造する方法が提示されている。過量のジフェニルエーテルを必要とせず、少量の触媒を使用しつつ溶媒を必要としない工程に関し、触媒を使用した後、回収して再使用できるので、コストの損失を防げるBPBBを製造できる方法が開示されている。
【0010】
特許文献2は、モノマー3種であるterephthaloyl chloride(TPC)、isophthaloyl chloride(IPC) 及び1,4-bis(4-phenoxybenzoyl) benzeneを用いてPEKKを重合する工程に関し、AlClを触媒として用いているが、反応の途中に生成される副産物の制御とスケール生成を抑制する行程が提示されていない。
【0011】
よって、PEKK重合反応の途中に発生する副産物である塩酸を速やかに除去し、生成されるオリゴマーの含量を最少化するとともに、レジン粒子の凝結現象を防止してスケール生成を抑制できる工程への要求が存在する。
【0012】
よって、上記問題点を克服し、高分子量のレジンを効率的に収得するためのPEKK製造方法の開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】大韓民国登録特許番号第1995-0000638号
【文献】米国登録特許第9,023,468号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述の問題点をすべて解決することを目的とする。
【0015】
本発明の他の目的は、重合反応の副産物である塩酸(HCl)を効率的に除去することによって、高分子量のレジンの収得が可能なポリエーテルケトンケトンの製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、レジン粒子内のオリゴマーを最少化し、レジン粒子の凝結現象(aggregation)を防止してスケール生成を抑制できるポリエーテルケトンケトンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記のような本発明の目的を達成し、後述する本発明の特徴的な効果を実現するための、本発明の特徴的な構成は下記のとおりである。
【0018】
本発明による高分子量のポリエーテルケトンケトンを高収得量で得るポリエーテルケトンケトンの製造方法において、(a)反応器にdiphenyl oxide(DPO)及び1,4-bis(4-phenoxybenzoyl) benzene (EKKE)の中から選択された少なくとも1種以上をterephthaloyl chloride(TPC)及びisophthaloyl chloride(IPC)とともに反応媒介体に入れて同時に溶解させて反応溶液を製造するステップ;(b)前記反応溶液の温度を下げた後、触媒を投入するステップ;及び(c)前記触媒の投入後、反応溶液内に不活性気体を直接吹き込み攪拌するステップを含む。
【0019】
前記不活性気体は窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトンの中から選択された少なくとも1種であることを特徴とする。
【0020】
前記攪拌するステップは、複数個の攪拌羽根が形成された攪拌機(stirrer)が回転して投入された不活性気体を分散させることを特徴とする。
【0021】
前記撹拌機(stirrer)は反応器内に2つ以上具備されて少なくとも2つ以上の方向へ回転して渦流現象を発生させることを特徴とする。
【0022】
前記不活性気体を反応溶液内に直接吹き込むノズルが反応器の上部又は下部に形成されて複数の方向に注入されることを特徴とする。
【0023】
前記(a)ステップで、反応溶液はベンゾイルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、4-クロロビフェニル、4-フェノキシベンゾフェノン、4-(4-フェノキシフェノキシ)ベンゾフェノン及びビフェニル4-ベンゼンスルホニルフェニルフェニルエーテルの中から選択された少なくとも1種以上のキャッピング剤(Capping Agent)を含むことを特徴とする。
【0024】
前記(b)ステップで、反応溶液の温度は-10乃至-5℃であることを特徴とする。
【0025】
前記液相の反応媒介体はO-dichlorobenzene(ODCB)及びDichloromethaneの中から選択された少なくとも1種以上の溶媒であることを特徴とする。
【0026】
前記触媒はAluminum chloride(AlCl)、Potassium carbonate(KCO)及びIron(III) chloride(FeCl)の中から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする。
【0027】
前記(c)ステップで、攪拌しながら反応器を80℃乃至100℃に昇温させて重合されたPEKKを製造するステップを含む。
【0028】
前記重合されたPEEKをメタノール(CHOH)、塩酸及びNaOH溶液で洗浄し、脱イオン水(DI water)で3回水洗するステップを含む。
【0029】
前記水洗するステップの後、170乃至190℃で真空乾燥してPEKK重合レジンパウダーを得るステップをさらに含む。
【0030】
上記製造方法で製造されたポリエーテルケトンケトンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるポリエーテルケトンケトンの製造方法は、重合反応の副産物である塩酸を有効に除去することで、高分子量のレジン収得が可能な効果がある。
【0032】
本発明によるポリエーテルケトンケトンの製造方法は、レジン粒子内のオリゴマーを最少化し、レジン粒子の凝結現象を防止してスケール生成を抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明のポリエーテルケトンケトンの製造方法によって反応溶液内に窒素気体を流すと同時に攪拌できる装置を示す図である。
図2】本発明のポリエーテルケトンケトンの製造方法によって反応溶液内に窒素気体を流すと同時に攪拌できる装置を示す図である。
図3】本発明によって製造されたポリエーテルケトンケトンのGPC結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
後述する本発明に対する説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として図示する添付の図面を参照する。これらの実施例は当業者が本発明を十分に実施できるように十分に詳細に説明される。本発明の様々な実施例は、互いに異なるが相互排他的である必要はない。例えば、本明細書に記載される特定の形状、構造及び特性は一実施例に関連して本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施例として具現され得る。また、各々の開示された実施例内の個別構成要素の位置又は配置は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更され得る。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとするものでなく、本発明の範囲は、適切に説明された場合、その請求項らが主張するものと均等な全ての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。図面において類似した符号は複数の側面にわたって同じ又は類似した機能を示す。
【0035】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例に関して添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
本発明では、ポリエーテルケトンケトン(Poly Ether Ketone Ketone、PEKK)重合に投入されるモノマーのFriedel-Crafts Acylation連鎖反応を促進させてオリゴマー含量とスケール生成を最少化するための技術を提示する。
【0037】
従来では、反応器の内部にN窒素気体を単に排出(purging)して適用する工程により重合反応の副産物として塩酸(HCl)が発生しやすく、反応物粒子の低い分散力によってスケールが生成される問題があった。
【0038】
しかし、本発明では、液相の反応媒介体の内部に不活性気体を直接吹き込み、反応の途中に発生する副産物である塩酸(HCl)を速やかに除去するとともに、レジン粒子の凝結現象(aggregation)を防止してスケール生成を抑制できる製造方法を提供する。
【0039】
本発明による高分子量のポリエーテルケトンケトンを高収得量で得るポリエーテルケトンケトンの製造方法は、反応器にdiphenyl oxide(DPO)及び1,4-bis(4-phenoxybenzoyl) benzene (EKKE)の中から選択された少なくとも1種以上をterephthaloyl chloride(TPC)及びisophthaloyl chloride(IPC)とともに液相の反応媒介体に入れて同時に溶解させて反応溶液を製造するステップ;前記反応溶液の温度を下げた後、触媒を投入するステップ;及び前記触媒の投入後、反応溶液内に不活性気体を直接吹き込み、同時に攪拌するステップを含む。
【0040】
ポリエーテルケトンケトンは下記化学構造1で示されるTerephthaloylと下記化学構造2で示されるIsophthaloylが連鎖的に重合されて生成される高分子であって、その比率によって特性が決定される。Terephthaloyl moietyは直線型で固い硬性を示し、そこにIsophthaloyl moietyがその曲がった構造により構造的多様性を与えるが、Isophthaloylは高分子鎖の柔軟性、流動性及び結晶化特性に影響を及ぼす。
【0041】
【化2】
【0042】
【化3】
【0043】
ここで、前記不活性気体は窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトンの中から選択された少なくとも1種であることを特徴とする。前記不活性気体は重合反応の過程中に単独又は混合して使用できる。
【0044】
前記攪拌するステップは、複数個の攪拌羽根が形成された攪拌機(stirrer)が回転して投入された不活性気体を分散させることを特徴とし、前記攪拌機(stirrer)は反応器内に2つ以上具備されて少なくとも2つ以上の方向へ回転して渦流現象を発生させることができる。前記攪拌機の回転軸が正方向と逆方向とに交互に所定の角度ずつ回転するように具備され得る。また、前記攪拌羽根が回転軸と所定の角度をなすように形成されて反応器内の組成物の分散力を高めることができる。
【0045】
図1及び図2は、本発明のポリエーテルケトンケトンの製造方法によって反応溶液内に窒素気体を流すと同時に攪拌できる装置を示す図である。図1及び図2を参照すると、本発明によるPEKK製造方法は、前記不活性気体を反応溶液内に直接吹き込むノズルが反応器の上部又は下部に形成されて複数の方向に注入され得る。それにより、不活性気体による塩酸の除去をより迅速かつ有効に起こすことができる。
【0046】
前記モノマー3種を液相の反応媒介体に入れて溶解させる時、同時にキャッピング剤(Capping Agent)を入れてともに溶解させることができる。この時、キャッピング剤は重合反応媒質に添加されて重合体鎖の少なくとも1つの末端で重合体をキャッピング化させる役割を担う。それにより、鎖の持続的な延長を終結し、重合された高分子の分子量を調節する。好ましいキャッピング剤として、ベンゾイルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、4-クロロビフェニル、4-フェノキシベンゾフェノン、4-(4-フェノキシフェノキシ)ベンゾフェノン、ビフェニル4-ベンゼンスルホニルフェニルエーテルなどが用いられ得る。
【0047】
本発明による製造方法で、触媒投入時、反応溶液の温度を下げてから投入することになるが、この時、温度は触媒によって異なる場合があるが、-10乃至-5℃であることが好ましい。
【0048】
前記触媒はAluminum chloride(AlCl)、Potassium carbonate(KCO)及び Iron(III) chloride(FeCl)の中から選択された1種以上であり得るが、これに限定されず、Friedel-Crafts Acylation重合反応の触媒として通常的に用いられるものであれば可能である。
【0049】
また、前記液相の反応媒介体はO-dichlorobenzene(ODCB) 及びDichloromethaneの中から選択された少なくとも1種以上の溶媒であり得るが、これに限定されず、Friedel-Crafts Acylation重合反応の触媒として通常的に用いられるものであれば可能である。
【0050】
前記不活性気体を投入した後、攪拌しながら反応器を80℃乃至100℃に昇温させてPEKKを重合する。本発明による重合反応は多様な反応器で行われ得るが、好ましくは、連続槽型反応器(CSTR)又はループ反応器内で行われ得る。
【0051】
本発明によるPEKK製造方法は、重合されたPEKKをメタノール3回、塩酸とNaOH溶液で洗浄し、脱イオン水(DI water)で3回水洗するステップをさらに含む。
【0052】
前記水洗するステップの後、170乃至190℃で真空乾燥してPEKK重合レジンパウダーを得るステップをさらに含むことができる。
【0053】
前記製造方法で製造されたポリエーテルケトンケトンは、従来技術によって製造されたポリエーテルケトンケトンに比べて改善された物性を示す。また、本発明によって反応媒介体の内部に窒素気体を吹き込むと同時に攪拌することによって、反応副産物である塩酸を迅速に除去し、レジン粒子間の凝結現象を防止してスケール生成を抑制することによって、高分子量のポリエーテルケトンケトンを高収率で得られることを特徴とする。
【0054】
以下、本発明の好ましい実施例によって本発明の構成及び作用をより詳細に説明する。ただし、これは本発明の好ましい例示として提示されたものであって、いかなる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈されることはできない。
【0055】
ここに記載していない内容は当該技術分野における熟練者であれば十分に技術的に類推できるものであるので、その説明を省略する。
【実施例
【0056】
<実施例>
実施例1
反応器にモノマーであるdiphenyl oxide(DPO)及び1,4-bis(4-phenoxybenzoyl)benzene(EKKE)の中から選択された1種をterephthaloyl chloride(TPC)及びisophthaloyl chloride(IPC)とCapping AgentであるBenzoyl chlorideを反応溶媒であるO-dichlorobenzene(ODCB)に入れると同時に溶解した後、反応器の温度を-10乃至-5℃に下げた。溶液温度を-10乃至-5℃に一定に維持しながら触媒であるAlClを投入する。触媒投入が終わった後、溶液内にNを吹き込むと同時に溶液をstirringしながら反応器を90℃に昇温させてPEKKを重合する。重合されたレジンはメタノール3回、1M塩酸と0.5M NaOH溶液で洗浄し、DI water3回水洗及び180℃真空乾燥してPEKK重合レジンを得た。
【0057】
比較例1
触媒投入が終わった後、反応器内にNを排出しながら(purging)溶液をstirringしたことを除けば実施例1と同じ方法でPEKK重合レジンを得た。
【0058】
<実験例>GPC分析(Gel permeation chromatography)
Waters GPC System (1515 isocratic pump, 2414 RI detector)とAgilent PLgel 10μm MIXED-B Columnを用いてchloroformとdichloroacetic acidの比率をそれぞれ9/1で混合したSolventに試料を溶解した後、1分あたり1mlで40分間流す方式でGPC分析を実施して本発明によって製造されたPEKKレジンの分子量及び分布度を測定した。.
【0059】
下記の表1では実施例1と比較例1の引張強さ物性を示した。
【0060】
【表1】
【0061】
上記表1に記載のように、本発明によって製造された実施例1のPEKKは従来の窒素気体注入技術によって製造された比較例1に比べて高い引張強さを示すことを確認した。
【0062】
また、図3のGPC分析結果によって本発明によって製造された実施例1のPEKKはオリゴマーがほぼなく、高分子量のレジン収得が可能であることを確認した。
【0063】
これにより、本発明による製造方法によって重合されたPEKKは改善された物性を示し、レジン粒子内のオリゴマーを最少化することができ、収率を上げられる効果を持つことを確認した。
【0064】
本発明によるポリエーテルケトンケトンの製造方法は重合反応の副産物である塩酸(HCl)を有効に除去することで、高分子量のレジン収得が可能な効果がある。
【0065】
また、本発明によるポリエーテルケトンケトンの製造方法は、レジン粒子内のオリゴマーを最少化し、レジン粒子の凝結現象(aggregation)を防止してスケール生成を抑制できる効果がある。
【0066】
以上、本発明の具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施例及び図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明が上記実施例らに限定されるわけではなく、本発明の属する分野における通常の知識を持つ者であれば、かかる記載から多様な修正及び変形を図ることができる。
【0067】
よって、本発明の思想は上記説明された実施例に限られて定められてはならず、後述する特許請求の範囲のみならず、その特許請求の範囲と均等又は等価的に変形されたあらゆるものは本発明の思想の範疇に属すると言える。
図1
図2
図3