(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/30 20060101AFI20220311BHJP
B65H 3/48 20060101ALI20220311BHJP
B65H 3/08 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
B65H5/30
B65H3/48 320A
B65H3/08 330
(21)【出願番号】P 2020547526
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 JP2018034698
(87)【国際公開番号】W WO2020059057
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 義人
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-215351(JP,A)
【文献】特開2008-174372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/22
B65H 5/30
B65H 45/00-45/30
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面が形成される原稿載置部材と、
前記載置面に載置される原稿の一部が吸着される吸着面が形成され、前記原稿載置部材と前記吸着面との間に形成される空間から空気を吸引する吸引部と、
前記空間に空気を吹き込む送風部と、
前記載置面に沿う搬送方向に
前記原稿載置部材から前記原稿を搬送する給紙部とを備え、
前記吸引部は、前記給紙部の前記搬送方向の上流側に配置され、
前記吸着面は、前記空間が前記搬送方向の上流側に近付くにつれ狭くなるように、前記載置面に対して傾斜している
原稿搬送装置。
【請求項2】
前記載置面に沿う平面と前記吸着面とがなす角は、60度以上90度未満の範囲に含まれる
請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
載置面が形成される原稿載置部材と、
前記載置面に載置される原稿の一部が吸着される吸着面が形成され、前記原稿載置部材と前記吸着面との間に形成される空間から空気を吸引する吸引部と、
前記空間に空気を吹き込む送風部と、
前記載置面に沿う搬送方向に前記原稿を搬送する給紙部と、
閉鎖位置と開放位置との間で移動可能な開閉ガイドであって、前記閉鎖位置に配置されるときに、前記原稿を前記給紙部に案内し、前記開放位置に配置されるときに、前記原稿の一部が前記吸着面に向かって移動可能となるように退避する開閉ガイドとを備え、
前記吸着面は、前記空間が前記搬送方向の上流側に近付くにつれ狭くなるように、前記載置面に対して傾斜している
原稿搬送装置。
【請求項4】
前記開閉ガイドを前記閉鎖位置または前記開放位置に移動させる駆動部
をさらに備える請求項3に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記送風部は、前記搬送方向の下流側から前記空間に向かって空気を吹き込む下流側送風口を有する
請求項1
から請求項4のいずれか一項に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記下流側送風口は、前記搬送方向に対して垂直な幅方向に離間する複数の送風口を含む
請求項
5に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記送風部は、前記搬送方向に対して垂直な幅方向の両側から前記空間に空気をそれぞれ吹き込む一対の送風口をさらに有する
請求項1
から請求項6のいずれか一項に記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
前記給紙部は、前記原稿が複数の原稿から形成されるときに、前記複数の原稿から分離された1つの原稿を下流側に搬送する
請求項1
から請求項7のいずれか一項に記載の原稿搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Z形に折り曲げられたZ折り原稿を自動的に展開して搬送する原稿搬送装置が知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-174372号公報
【文献】特開平09-258496号公報
【文献】特開平09-304977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような原稿搬送装置は、Z折り原稿を展開して搬送するときに、折り目以外の部分を大きく変形させ、Z折り原稿を座屈させることがある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、折り曲げられた原稿を適切に展開して搬送する原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の態様では、原稿搬送装置は、載置面が形成される原稿載置部材と、前記載置面に載置される原稿の一部が吸着される吸着面が形成され、前記原稿載置部材と前記吸着面との間に形成される空間から空気を吸引する吸引部と、前記空間に空気を吹き込む送風部と、前記載置面に沿う搬送方向に前記原稿を搬送する給紙部と、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能な開閉ガイドであって、前記閉鎖位置に配置されるときに、前記原稿を前記給紙部に案内し、前記開放位置に配置されるときに、前記原稿の一部が前記吸着面に向かって移動可能となるように退避する開閉ガイドとを備え、前記吸着面は、前記空間が前記搬送方向の上流側に近付くにつれ狭くなるように、前記載置面に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0007】
開示の原稿搬送装置は、折り曲げられた原稿を適切に展開して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の原稿搬送装置が設けられた画像読取装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1の原稿搬送装置が設けられた画像読取装置を示す概略側面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施例1の原稿搬送装置の原稿台に載置されるZ折り原稿を示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施例1の原稿搬送装置が設けられる画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、Z折り原稿の先端部と第1折り部との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図7】
図7は、Z折り原稿の第2折り部が吸着ブロアに保持されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図8】
図8は、Z折り原稿の第2折り部が吸着面から離れるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図9】
図9は、2つ折り原稿の先端部と折り部との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図10】
図10は、2つ折り原稿の折り部が吸着面から離れるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図11】
図11は、2つ折り原稿が展開されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図12】
図12は、蛇腹折り原稿の先端部と複数の折り部との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図13】
図13は、蛇腹折り原稿の後端折り部が吸着ブロアに保持されるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図14】
図14は、蛇腹折り原稿の複数の折り部が展開されるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図15】
図15は、複数の折り部のうちの後端折り部を除く部分が展開されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図16】
図16は、蛇腹折り原稿の後端折り部が吸着面から離れるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図17】
図17は、内折り原稿の先端部と複数の折り部との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図18】
図18は、内折り原稿の複数の折り部が吸着ブロアに保持されるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図19】
図19は、内折り原稿の複数の折り部のうちの1つの折り部が吸着ブロアから離れたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図20】
図20は、内折り原稿の後端折り部が吸着ブロアから離れたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図21】
図21は、複数枚のZ折り原稿が原稿台に載置されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図22】
図22は、複数枚のZ折り原稿の先端部と第1折り部との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図23】
図23は、複数枚のZ折り原稿の第2折り部が吸着ブロアに保持されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図24】
図24は、複数枚のZ折り原稿の第2折り部が吸着ブロアから離れるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部を示す概略側面図である。
【
図25】
図25は、実施例2の原稿搬送装置が設けられた画像読取装置を示す概略側面図である。
【
図26】
図26は、実施例2の原稿搬送装置の開閉ガイドを示す平面図である。
【
図27】
図27は、開閉ガイドが開放位置に配置されているときの実施例2の原稿搬送装置の展開部を示す斜視図である。
【
図28】
図28は、開閉ガイドが開放位置に配置されているときの実施例2の原稿搬送装置の展開部を示す他の斜視図である。
【
図29】
図29は、開閉ガイドが閉鎖位置に配置されているときの実施例2の原稿搬送装置の展開部を示す斜視図である。
【
図30】
図30は、実施例2の原稿搬送装置が設けられている画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【
図31】
図31は、実施例3の原稿搬送装置が設けられた画像読取装置を示す概略側面図である。
【
図32】
図32は、実施例3の原稿搬送装置が設けられている画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【
図33】
図33は、実施例4の原稿搬送装置の展開部の一部を示す上面図である。
【
図34】
図34は、実施例5の原稿搬送装置の展開部の一部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる原稿搬送装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本発明が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
実施例1の原稿搬送装置は、
図1に示されているように、画像読取装置10に利用されている。
図1は、実施例1の原稿搬送装置が設けられた画像読取装置10を示す斜視図である。画像読取装置10は、画像読取装置本体1と原稿台2とスタッカー3とを備えている。原稿台2には、原稿が載置される載置面4が形成されている。載置面4は、概ね平坦であり、画像読取装置10が設置される設置面に沿う平面に対して概ね平行である。
【0011】
図2は、実施例1の原稿搬送装置が設けられた画像読取装置10を示す概略側面図である。画像読取装置本体1は、搬送路5を有する。搬送路5は、原稿台2とスタッカー3との間に配置され、原稿台2とスタッカー3とを接続する通路を形成している。スタッカー3は、原稿台2より搬送方向6の下流側に配置されている。搬送方向6は、画像読取装置10が設置される設置面に沿う平面に対して概ね平行である。搬送路5は、搬送路5に繰り出された原稿が通路に沿って搬送方向6の下流側に搬送されるように、搬送路5に繰り出された原稿を案内する。
【0012】
画像読取装置10は、展開部11と給紙部12と排紙部14と読取部15とをさらに備えている。展開部11は、原稿台2の上部に配置されている。展開部11は、原稿台2に載置されている原稿が折られているときに、その原稿を概ね平坦に展開する。給紙部12は、搬送路5のうちの原稿台2の側の端に配置されている。給紙部12は、ピックローラ21と分離ローラ22とブレーキローラ23とを備えている。
【0013】
ピックローラ21は、円柱状に形成され、原稿台2の上部に配置されている。ピックローラ21は、荷重モードまたは離間モードに切り替えられる。ピックローラ21は、荷重モードに切り替えられたときに、原稿台2に載置されている原稿に接触するように搬送路5に接近し、正回転(
図2で反時計回り)することにより、原稿台2に載置されている複数の原稿のうちのピックローラ21に接触する原稿を搬送路5に繰り出し、搬送路5に繰り出された原稿を分離ローラ22に接触させる。ピックローラ21は、離間モードに切り替えられたときに、原稿台2に載置されている原稿に接触しないように、原稿台2から退避する。分離ローラ22は、円柱状に形成され、搬送路5の上部のうちのピックローラ21の搬送方向6の下流側に配置されている。分離ローラ22は、正回転(
図2で反時計回り)することにより、分離ローラ22に接触する原稿を搬送方向6の下流側に搬送する。
【0014】
ブレーキローラ23は、搬送路5の下側に配置され、分離ローラ22に接触するように分離ローラ22の下側に配置されている。ブレーキローラ23は、分離ローラ22が正回転している場合で、原稿が分離ローラ22とブレーキローラ23との間に挟まれていないときに、分離ローラ22に追従して正回転(
図2で時計回り)する。ブレーキローラ23は、複数の原稿が分離ローラ22とブレーキローラ23との間に挟まれているときに、逆回転(
図2で反時計回り)することにより、複数の原稿のうちの分離ローラ22に接触していない原稿を搬送方向6の上流側に搬送する。ブレーキローラ23は、分離ローラ22により搬送される原稿に接触しているときに、分離ローラ22により搬送される原稿に追従して正回転する。
【0015】
排紙部14は、搬送路5のうちのスタッカー3の側の端に配置され、すなわち、搬送路5のうちの給紙部12の下流側に配置されている。排紙部14は、給紙部12から供給される原稿をスタッカー3に載置する。読取部15は、搬送路5のうちの給紙部12と排紙部14との間に配置されている。読取部15は、搬送路5のうちの給紙部12と排紙部14との間を搬送される原稿の両面の画像を読み取る。
【0016】
図3は、実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す断面図である。展開部11は、立ち上げブロア31と吸着ブロア32と一対のサイドブロア33とを備えている。立ち上げブロア31は、原稿台2の上部のうちの立ち上げブロア31と吸着ブロア32との間の展開空間34の搬送方向6の下流側に下流側送風口38を有し、その下流側送風口を介して、展開空間34に空気を吹き込む。吸着ブロア32は、平坦な吸着面36に沿って形成された複数の吸気口35を有する。吸着面36は、斜め下向きであり、搬送方向6の下流側に近付くにつれ搬送路5から遠ざかるように、搬送方向6に対して傾斜している。すなわち、展開空間34は、搬送方向6の上流側に近付くにつれ狭くなるように、形成されている。吸着面36は、幅方向に平行である。幅方向は、画像読取装置10が設置される設置面に沿う平面に対して平行であり、かつ、搬送方向6に対して垂直である。載置面4に沿う平面と吸着面36とがなす角は、60度以上90度未満の範囲に含まれる所定の角度に等しい。吸着ブロア32は、複数の吸気口35を介して、展開空間34から空気を吸引する。一対のサイドブロア33は、展開空間34の幅方向の両側にそれぞれ配置され、展開空間34の幅方向の両側から展開空間34に空気をそれぞれ吹き込む。
【0017】
展開部11は、図示されていない原稿検出センサをさらに備えている。原稿検出センサは、原稿台2に原稿が載置されているか否かを検出する。
【0018】
実施例1の原稿搬送装置の原稿台2に載置されるZ折り原稿41は、
図4に示されているように、1枚の用紙から形成され、第1折り目42と第2折り目43とが形成されている。
図4は、実施例1の原稿搬送装置の原稿台2に載置されるZ折り原稿41を示す平面図である。第1折り目42は、Z折り原稿41の先端44と後端45との間の概ね中央に、先端44に沿う直線と概ね平行な他の直線に沿って形成されている。第2折り目43は、第1折り目42と後端45との間の概ね中央に、第1折り目42に沿う直線と概ね平行な他の直線に沿って形成されている。第2折り目43は、第1折り目42と反対向きに折られ、たとえば、第1折り目42が山折であるときに、谷折である。
【0019】
Z折り原稿41は、先端部46と折り部47とを含んでいる。先端部46は、Z折り原稿41のうちの先端44と第1折り目42との間の部分である。折り部47は、Z折り原稿41のうちの第1折り目42と後端45との間の部分である。折り部47は、第1折り部48と第2折り部49とを含んでいる。第1折り部48は、Z折り原稿41のうちの第1折り目42と第2折り目43との間の部分である。第2折り部49は、Z折り原稿41のうちの第2折り目43と後端45との間の部分である。
【0020】
Z折り原稿41は、このように折り畳まれているときに、一部が外部に露出されていない。その一部は、先端部46のうちの第1折り部48に覆われる部分と、第1折り部48のうちの先端部46に覆われる部分と、第1折り部48のうちの第2折り部49に覆われる部分と、第2折り部49のうちの第1折り部48に覆われる部分とを含んでいる。
【0021】
Z折り原稿41は、折り部47が先端部46の上部に配置されるように、すなわち、原稿台2と折り部47との間に先端部46が配置されるように、原稿台2に載置される。折り部47は、Z折り原稿41が原稿台2に載置されるときに、展開空間34に配置される。
【0022】
一対のサイドブロア33は、第1サイドブロア33-1と第2サイドブロア33-2とを備えている。第1サイドブロア33-1は、展開空間34の幅方向50の一方側に配置されている第1サイド送風口37-1を備えており、この第1サイド送風口37-1を介して、展開空間34に向けて空気を吹き込む。第2サイドブロア33-2は、展開空間34の幅方向50の一方側の反対の他方側に配置されている第2サイド送風口37-2を備えており、この第2サイド送風口37-2を介して、展開空間34に向けて空気を吹き込む。
【0023】
Z折り原稿41は、Z折り原稿41が原稿台2に載置されるときに、折り部47のうちの幅方向50の一方側の端面が第1サイドブロア33-1に対向し、折り部47のうちの幅方向50の他方側の端面が第2サイドブロア33-2に対向し、第2折り目43が立ち上げブロア31に対向するように配置される。
【0024】
画像読取装置10は、図示されていない制御部をさらに備えている。制御部は、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)と、記憶装置と、入出力装置と、通信インターフェイスと、メディアインターフェイスとを備えている。CPUは、制御部にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置と入出力装置と通信インターフェイスとメディアインターフェイスとを制御する。CPUは、制御部にインストールされるコンピュータプログラムを実行することにより、さらに、画像読取装置10に設けられる各要素を制御する。記憶装置としては、RAM・ROM等のメモリ、ハードディスクのような固定ディスク装置、SSD(Solid State Drive)が例示される。記憶装置は、制御部にインストールされるコンピュータプログラムを記録し、CPUにより利用される情報を記録する。入出力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をCPUに出力し、CPUにより生成された情報をユーザが認識することができるように出力する。
【0025】
通信インターフェイスは、CPUに制御されることにより、通信回線を介して接続される他のコンピュータから情報を制御部にダウンロードしたり、制御部から他のコンピュータに情報を送信したりする。メディアインターフェイスは、一時的でない有形の記録媒体が装填可能に形成されている。記録媒体としては、半導体メモリ、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクが例示される。メディアインターフェイスは、記録媒体が装填されているときに、CPUに制御されることにより、記録媒体から情報を読み取ったり、記録媒体に情報を記録したりする。なお、制御部にインストールされるコンピュータプログラムは、通信インターフェイスを介して他のコンピュータからダウンロードされたものでもよく、メディアインターフェイスを介して記録媒体から読み取られたものでもよい。
【0026】
[画像読取装置10の動作]
図5は、実施例1の原稿搬送装置が設けられる画像読取装置10の動作を示すフローチャートである。ユーザは、画像読取装置10を用いて複数の原稿から画像を読み取ろうとするときに、複数の原稿を原稿台2に載置し、制御部の入出力装置を操作することにより画像読取装置10を起動する。原稿台2に載置される複数の原稿は、Z折り原稿41を含んでいる。制御部は、画像読取装置10が起動すると、立ち上げブロア31を制御することにより、展開空間34に空気を吹き込み、吸着ブロア32を制御することにより、展開空間34から空気を吸引し、一対のサイドブロア33を制御することにより、幅方向50の両側から展開空間34に空気をそれぞれ吹き込む(ステップS1)。
【0027】
制御部は、立ち上げブロア31と吸着ブロア32と一対のサイドブロア33とが動作を開始したタイミングから所定期間が経過した後のタイミングまで待機する(ステップS2)。所定期間としては、1秒間が例示される。立ち上げブロア31は、所定期間が経過することにより、展開空間34に空気を安定して吹き込むことができる。吸着ブロア32は、所定期間が経過することにより、展開空間34から空気を安定して吸引することができる。一対のサイドブロア33は、所定期間が経過することにより、展開空間34に空気を安定して吹き込むことができる。
【0028】
制御部は、所定期間が経過した後に、分離搬送を開始する。制御部は、分離搬送が開始されると、ピックローラ21を退避モードから荷重モードに切り替える。ピックローラ21は、退避モードから荷重モードに切り替えられることにより、原稿台2に載置されている複数の原稿のうちの一番上に配置される原稿に接触する。制御部は、ピックローラ21を正回転させることにより、原稿台2に載置されている複数の原稿のうちのピックローラ21に接触している原稿を分離ローラ22に接触させる。制御部は、分離ローラ22を正回転させることにより、分離ローラ22に接触する原稿を排紙部14に供給する。制御部は、ブレーキローラ23を逆回転させることにより、分離ローラ22とブレーキローラ23との間に挟まれた複数の原稿のうちの分離ローラ22に接触しない原稿を搬送方向6の上流側に搬送する。
【0029】
展開部11は、Z折り原稿41が給紙部12により搬送方向6の下流側に搬送されるときに、Z折り原稿41を展開する。すなわち、Z折り原稿41の折り部47は、Z折り原稿41が給紙部12により搬送方向6の下流側に搬送されることにより、展開空間34に配置される。Z折り原稿41の折り部47が展開空間34に配置されたときに、
図6に示されているように、立ち上げブロア31から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられる。
図6は、Z折り原稿41の先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。Z折り原稿41は、一対のサイドブロア33から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、さらに、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられる。Z折り原稿41の折り部47は、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられることにより、先端部46に対して立ち上がる(ステップS4)。
【0030】
吸着ブロア32が展開空間34から空気を吸引しているため、Z折り原稿41の折り部47は、先端部46に対して立ち上がったときに、
図7に示されているように、第2折り部49が吸着面36に引き寄せられる。Z折り原稿41の第2折り部49は、吸着面36に引き寄せられた後に、吸着面36に沿うように、吸着ブロア32に保持される(ステップS5)。
図7は、Z折り原稿41の第2折り部49が吸着ブロア32に保持されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。
【0031】
Z折り原稿41の第2折り部49は、吸着ブロア32に保持された後に、Z折り原稿41が給紙部12により搬送方向6の下流側にさらに搬送されることにより、吸着面36から離れる(ステップS6)。
図8は、Z折り原稿41の第2折り部49が吸着面36から離れるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。Z折り原稿41の第2折り部49が吸着面36から離れることにより、Z折り原稿41は、概ね平坦に展開される。このとき、Z折り原稿41は、吸着面36が載置面4に沿う平面に対して所定の角度に傾斜していることにより、第1折り目42および第2折り目43以外の部分が大きく変形することなく、展開される。Z折り原稿41は、展開されるときに、第1折り目42および第2折り目43以外の部分が大きく変形しないことにより、座屈することが防止される。展開されたZ折り原稿41は、給紙部12により排紙部14に供給される。
【0032】
制御部は、原稿が給紙部12から排紙部14に供給されるときに、読取部15を制御することにより、給紙部12から排紙部14に搬送される原稿の両面の画像を読み取り、読み取った画像を記録する(ステップS7)。このとき、読取部15は、Z折り原稿41が展開されていることにより、Z折り原稿41が折り畳まれているときに外部に露出されていなかった部分の画像を読み取ることができ、展開されたZ折り原稿41の両面の画像を読み取ることができる。制御部は、排紙部14を制御することにより、ブレーキローラ23から排紙部14に供給される原稿をスタッカー3に載置する(ステップS8)。
【0033】
制御部は、展開部11の原稿検出センサを制御することにより、原稿台2に原稿が載置されているか否かを検出する(ステップS9)。制御部は、原稿検出センサにより原稿台2に原稿が載置されていないことを検出するまで(ステップS9、No)、ステップS3からステップS9までの処理を繰り返し実行する。画像読取装置10は、このような動作を実行することにより、原稿台2に原稿が載置される複数の原稿の画像をそれぞれ読み取ることができる。
【0034】
ところで、画像読取装置10は、Z折り原稿41を展開して搬送しているが、Z折り以外の折り原稿を展開して搬送することもできる。その折り原稿としては、2つ折り原稿、蛇腹折り原稿、内折り原稿が例示される。
【0035】
2つ折り原稿51は、
図9に示されているように、折り目52が形成され、先端部53と折り部54とを含んでいる。
図9は、2つ折り原稿51の先端部53と折り部54との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。2つ折り原稿51は、折り部54が展開空間34に配置されたときに、立ち上げブロア31から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、先端部53と折り部54との間に空気が吹き入れられる。2つ折り原稿51は、一対のサイドブロア33から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、さらに、先端部53と折り部54との間に空気が吹き入れられる。2つ折り原稿51は、先端部53と折り部54との間に空気が吹き入れられることにより、折り部54が先端部53に対して立ち上がる。
【0036】
吸着ブロア32が展開空間34から空気を吸引しているため、2つ折り原稿51の折り部54は、先端部53に対して立ち上がったときに、吸着面36に沿うように、吸着ブロア32に保持される。2つ折り原稿51の折り部54は、吸着ブロア32に保持された後に、2つ折り原稿51が給紙部12により搬送方向6の下流側にさらに搬送されることにより、
図10に示されているように、吸着面36から離れる。
図10は、2つ折り原稿51の折り部54が吸着面36から離れるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。2つ折り原稿51の折り部54が吸着面36から離れることにより、2つ折り原稿51は、
図11に示されているように、概ね平坦に展開される。
図11は、2つ折り原稿51が展開されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。画像読取装置10は、Z折り原稿41と同様に、折り目52以外の部分を大きく変形させることなく2つ折り原稿51を適切に展開することにより、2つ折り原稿51の座屈を防止することができる。
【0037】
蛇腹折り原稿55は、
図12に示されているように、複数の折り目56が形成され、先端部57と複数の折り部58とを含んでいる。
図12は、蛇腹折り原稿55の先端部57と複数の折り部58との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。複数の折り目56は、交互に形成された複数の谷折と山折とを含む。すなわち、複数の折り目56は、2つの谷折を含むときに、その2つの谷折の間に形成されている山折を含み、2つの山折を含むときに、その2つの山折の間に形成されている谷折を含む。
【0038】
蛇腹折り原稿55は、複数の折り部58が展開空間34に配置されたときに、立ち上げブロア31から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、先端部57と複数の折り部58との間に空気が吹き入れられる。蛇腹折り原稿55は、一対のサイドブロア33から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、さらに、先端部57と複数の折り部58との間に空気が吹き入れられる。蛇腹折り原稿55は、先端部57と複数の折り部58との間に空気が吹き入れられることにより、複数の折り部58が先端部57に対して立ち上がる。
【0039】
吸着ブロア32が展開空間34から空気を吸引しているため、蛇腹折り原稿55の後端折り部59は、複数の折り部58が先端部57に対して立ち上がったときに、
図13に示されているように、吸着ブロア32に保持される。
図13は、蛇腹折り原稿55の後端折り部59が吸着ブロア32に保持されるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。後端折り部59は、複数の折り部58のうちの後端を形成している1つの折り部である。
【0040】
蛇腹折り原稿55の後端折り部59が吸着ブロア32に保持された後に、蛇腹折り原稿55が給紙部12により搬送方向6の下流側に搬送されることにより、
図14に示されているように、複数の折り部58が展開される。
図14は、蛇腹折り原稿55の複数の折り部58が展開されるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。
【0041】
蛇腹折り原稿55が給紙部12により搬送方向6の下流側にさらに搬送されることにより、
図15に示されているように、蛇腹折り原稿55の複数の折り部58のうちの後端折り部59を除く部分が展開される。
図15は、複数の折り部58のうちの後端折り部59を除く部分が展開されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。
【0042】
蛇腹折り原稿55の後端折り部59は、複数の折り部58のうちの後端折り部59を除く部分が展開された後に、蛇腹折り原稿55が給紙部12により搬送方向6の下流側にさらに搬送されることにより、
図16に示されているように、吸着面36から離れる。
図16は、蛇腹折り原稿55の後端折り部59が吸着面36から離れるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。蛇腹折り原稿55は、後端折り部59が吸着面36から離れることにより、概ね平坦に展開される。画像読取装置10は、Z折り原稿41と同様に、複数の折り目56以外の部分を大きく変形させることなく蛇腹折り原稿55を適切に展開することにより、蛇腹折り原稿55の座屈を防止することができる。
【0043】
内折り原稿61は、
図17に示されているように、複数の折り目62が形成され、先端部63と複数の折り部64とを含んでいる。
図17は、内折り原稿61の先端部63と複数の折り部64との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。複数の折り目56は、谷折から形成されている。内折り原稿61は、複数の折り部64が展開空間34に配置されたときに、立ち上げブロア31から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、先端部63と複数の折り部64との間に空気が吹き入れられる。内折り原稿61は、一対のサイドブロア33から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、さらに、先端部63と複数の折り部64との間に空気が吹き入れられる。内折り原稿61は、先端部63と複数の折り部64との間に空気が吹き入れられることにより、複数の折り部64が先端部63に対して立ち上がる。
【0044】
吸着ブロア32が展開空間34から空気を吸引しているため、内折り原稿61の複数の折り部64は、先端部63に対して立ち上がったときに、
図18に示されているように、吸着ブロア32に保持される。
図18は、内折り原稿61の複数の折り部64が吸着ブロア32に保持されるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。
【0045】
内折り原稿61の複数の折り部64のうちの1つの折り部は、吸着ブロア32に保持された後に、内折り原稿61が給紙部12により搬送方向6の下流側に搬送されることにより、
図19に示されているように、吸着面36から離れる。
図19は、内折り原稿61の複数の折り部64のうちの1つの折り部が吸着ブロア32から離れたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。
【0046】
内折り原稿61の1つの折り部が吸着ブロア32から離れたときに、展開空間34に空気が吹き込まれることにより、1つの折り部に対して複数の折り部64のうちの1つの折り部より後端側の折り部が立ち上がる。吸着ブロア32が展開空間34から空気を吸引しているため、内折り原稿61の後端側の折り部は、立ち上がったときに、吸着ブロア32に保持される。このようにして、複数の折り部64の各々が吸着ブロア32に保持されたり吸着ブロア32から離れたりすることにより、内折り原稿61の複数の折り部64が展開される。
【0047】
内折り原稿61の複数の折り部64のうちの後端が形成される折り部65は、吸着ブロア32に保持された後に、内折り原稿61が給紙部12により搬送方向6の下流側に搬送されることにより、吸着ブロア32から離れる。
図20は、内折り原稿61の後端折り部65が吸着ブロア32から離れたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。内折り原稿61は、後端折り部65が吸着面36から離れることにより、概ね平坦に展開される。画像読取装置10は、Z折り原稿41と同様に、複数の折り目62以外の部分を大きく変形させることなく内折り原稿61を適切に展開することにより、内折り原稿61の座屈を防止することができる。
【0048】
ところで、画像読取装置10は、折り目が形成される1枚の折り原稿を展開しているが、複数の用紙が重なった状態のまま折り畳まれた複数枚の折り原稿を展開することもできる。その折り原稿としては、複数枚のZ折り原稿が例示される。
【0049】
複数枚のZ折り原稿71のうちの一番上のZ折り原稿72は、
図21に示されているように、Z折り原稿41と同様に、2つの折り目が形成され、先端部73と第1折り部74と第2折り部75とを含んでいる。
図21は、複数枚のZ折り原稿71が原稿台2に載置されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。複数枚のZ折り原稿71のうちのZ折り原稿72と異なる複数のZ折り原稿76は、Z折り原稿72と同様に、2つの折り目が形成され、先端部77と第1折り部78と第2折り部79とを含んでいる。先端部77と先端部73が重なっており、第1折り部78と第1折り部74が重なっており、第2折り部79と第2折り部75が重なっている。
【0050】
複数枚のZ折り原稿71は、立ち上げブロア31から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、先端部73と第1折り部74との間に空気が吹き入れられ、
図22に示されているように、第2折り部75が先端部73に対して立ち上がる。
図22は、複数枚のZ折り原稿71の先端部73と第1折り部74との間に空気が吹き入れられたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。複数枚のZ折り原稿71は、さらに、一対のサイドブロア33から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、Z折り原稿72と複数のZ折り原稿76との間に空気が吹き入れられる。複数枚のZ折り原稿71は、Z折り原稿72と複数のZ折り原稿76との間に空気が吹き入れられることにより、Z折り原稿72が複数のZ折り原稿76から分離されやすくなる。
【0051】
吸着ブロア32が展開空間34から空気を吸引しているため、複数枚のZ折り原稿71の第2折り部75は、
図23に示されているように、吸着ブロア32に保持される。
図23は、複数枚のZ折り原稿71の第2折り部75が吸着ブロア32に保持されたときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。Z折り原稿72は、分離ローラ22とブレーキローラ23とにより、複数のZ折り原稿76から分離され、搬送方向6の下流側に搬送される。
【0052】
第2折り部75は、Z折り原稿72が搬送方向6の下流側に搬送されることにより、
図24に示されているように、吸着ブロア32から離れる。
図24は、複数枚のZ折り原稿71の第2折り部75が吸着ブロア32から離れるときの実施例1の原稿搬送装置の展開部11を示す概略側面図である。Z折り原稿72は、第2折り部75が吸着ブロア32から離れることにより、概ね平坦に展開されて、給紙部12により排紙部14に供給される。
【0053】
複数枚のZ折り原稿76のうちの一番上のZ折り原稿は、Z折り原稿72と同様に、展開され、給紙部12により排紙部14に供給される。すなわち、複数枚のZ折り原稿71は、複数枚のZ折り原稿71の各々がZ折り原稿72と同様に展開されて搬送されることにより、一枚ずつ給紙部12により排紙部14に供給される。画像読取装置10は、Z折り原稿41と同様に、折り目以外の部分を大きく変形させることなくZ折り原稿72を適切に展開して搬送することにより、Z折り原稿72の座屈を防止することができる。このため、画像読取装置10は、複数枚のZ折り原稿71を一枚ずつ展開して搬送するときに、複数枚のZ折り原稿71の各々の座屈を防止することができる。
【0054】
[実施例1の原稿搬送装置の効果]
実施例1の原稿搬送装置は、原稿台2と、吸着ブロア32と、立ち上げブロア31と、一対のサイドブロア33と、給紙部12とを備えている。原稿台2には、載置面4が形成されている。吸着ブロア32は、原稿台2と吸着面36との間に形成される展開空間34から空気を吸引し、載置面4に載置される原稿の一部を吸着面36に保持する。立ち上げブロア31と一対のサイドブロア33とは、展開空間34に空気を吹き込む。給紙部12は、載置面4に沿う搬送方向6の下流側に原稿を搬送する。このとき、吸着面36は、展開空間34が搬送方向6の上流側に近付くにつれ狭くなるように、載置面4に対して傾斜している。
【0055】
このような原稿搬送装置は、Z折り原稿41の第2折り部49が吸着面36に保持された後に、第2折り部49が吸着面36から離れるように、Z折り原稿41の先端部46を搬送方向6の下流側に搬送することにより、Z折り原稿41を展開することができる。原稿搬送装置は、吸着面36が載置面4に対して傾斜していることにより、Z折り原稿41を展開するときの、Z折り原稿41の折り目以外の部分の変形の程度を低減することができる。原稿搬送装置は、Z折り原稿41の変形の程度を低減することにより、折り原稿41が座屈することを防止し、Z折り原稿41を適切に展開して搬送することができる。
【0056】
また、実施例1の原稿搬送装置は、搬送方向6の下流側から展開空間34に向かって空気を吹き込む下流側送風口38を有する。このような原稿搬送装置は、Z折り原稿41の先端部46と第1折り部48との間に空気を高効率に吹き入れることができ、第2折り部49を吸着面36に近付け、第2折り部49を吸着面36に沿うように適切に保持することができる。
【0057】
また、実施例1の原稿搬送装置の給紙部12は、原稿台2に複数の原稿が載置されるときに、複数の原稿から分離された1つの原稿を下流側に搬送する。このような原稿搬送装置は、複数のZ折り原稿71を1つずつ展開して搬送方向6の下流側に搬送することができる。
【0058】
また、実施例1の原稿搬送装置は、搬送方向6に対して垂直な幅方向50の両側から展開空間34に空気をそれぞれ吹き込む第1サイド送風口37-1と第2サイド送風口37-2とをさらに備えている。このような原稿搬送装置は、Z折り原稿41の先端部46と第1折り部48との間に空気を高効率に吹き入れることができる。このような原稿搬送装置は、さらに、複数のZ折り原稿71のZ折り原稿72と複数のZ折り原稿76との間に空気を高効率に吹き入れることができ、複数のZ折り原稿71を1つずつ適切に展開して搬送方向6の下流側に適切に搬送することができる。
【実施例2】
【0059】
図25は、実施例2の原稿搬送装置が設けられた画像読取装置を示す概略側面図である。実施例2の原稿搬送装置は、既述の実施例1の原稿搬送装置と同様に、画像読取装置に利用され、
図25に示されているように、原稿台2とスタッカー3と搬送路5とを備えている。実施例2の原稿搬送装置は、第1給紙部81と、処理部82と、搬送機構84と、第2給紙部85と、展開部86と、排紙部87と、読取部88とを備えている。第1給紙部81は、搬送路5のうちの原稿台2の側の端に配置されている。第1給紙部81は、原稿台2に原稿が載置されているか否かを検出する。第1給紙部81は、原稿台2に複数の原稿が載置されているときに、原稿台2に載置される複数の原稿のうちの一番上側に配置される1つの原稿を搬送路5に繰り出し、原稿台2から搬送路5に繰り出された原稿を処理部82に供給する。第1給紙部81は、原稿台2に1つの原稿が載置されているときに、その原稿を搬送路5に繰り出し、原稿台2から搬送路5に繰り出された原稿を処理部82に供給する。
【0060】
処理部82は、搬送路5のうちの第1給紙部81の下流側に配置され、すなわち、搬送路5のうちの第1給紙部81とスタッカー3との間に配置されている。処理部82は、第1給紙部81から供給された原稿が一枚原稿であるか綴じ原稿であるかを検出する。一枚原稿は、1枚の用紙から形成されている。綴じ原稿は、複数の用紙が綴じ部材により綴じられることにより形成される。綴じ部材としては、ステープルが例示される。
【0061】
処理部82は、第1給紙部81から供給された原稿が一枚原稿であると検出したときに、その一枚原稿をそのまま搬送機構84に供給し、綴じ原稿であると検出したときに、綴じ原稿から綴じ部材を除去することにより複数の一枚原稿を生成し、その生成された複数の一枚原稿を搬送機構84に供給する。処理部82は、綴じ原稿から綴じ部材を除去することができないことがある。処理部82は、綴じ部材が綴じ原稿から適切に除去されたか否かを検出し、綴じ原稿から綴じ部材が除去されていないことを検出したときに、その綴じ原稿をそのまま搬送機構84に供給する。
【0062】
搬送機構84は、搬送路5のうちの処理部82の下流側の領域に配置され、すなわち、搬送路5のうちの処理部82とスタッカー3との間に配置されている。搬送機構84は、処理部82から供給された原稿を第2給紙部85に供給する。
【0063】
第2給紙部85は、搬送路5のうちの搬送機構84の下流側に配置され、すなわち、搬送路5のうちの搬送機構84とスタッカー3との間に配置されている。第2給紙部85は、既述の給紙部12のブレーキローラ23が他のブレーキローラ91に置換され、原稿検出センサ92が追加され、他の部分は既述の給紙部12と同じである。第2給紙部85のピックローラ21は、荷重モードまたは離間モードに切り替えられる。ピックローラ21は、荷重モードに切り替えられたときに、回転することにより、搬送機構84から供給される複数の原稿のうちのピックローラ21に接触する原稿を分離ローラ22に接触させる。ピックローラ21は、離間モードに切り替えられたときに、搬送機構84から供給される原稿に接触しないように、原稿台2から退避する。第2給紙部85の分離ローラ22は、回転することにより、分離ローラ22に接触する原稿を搬送方向6の下流側に搬送する。
【0064】
ブレーキローラ91は、搬送路5のうちのピックローラ21の下流側に配置され、すなわち、搬送路5のうちのピックローラ21とスタッカー3との間に配置されている。ブレーキローラ91は、分離力ありモードまたは分離力なしモードに切り替えられる。ブレーキローラ91は、分離力ありモードに切り替えられた場合で、1枚の原稿が分離ローラ22とブレーキローラ23との間に挟まれているときに、1枚の原稿が分離ローラ22により搬送されることに追従して正回転する。ブレーキローラ91は、分離力有モードに切り替えられた場合で、複数枚の原稿が分離ローラ22とブレーキローラ23との間に挟まれているときに、逆回転する。ブレーキローラ91は、分離力なしモードに切り替えられた場合で、原稿が分離ローラ22とブレーキローラ23との間に挟まれているときに、その原稿が分離ローラ22により搬送されることに追従して正回転する。
【0065】
原稿検出センサ92は、搬送路5のうちのピックローラ21と分離ローラ22との間に配置されている。原稿検出センサ92は、搬送路5のうちのピックローラ21と分離ローラ22との間の所定の位置に媒体が配置されているか否かを検出する。
【0066】
展開部86は、既述の実施例1の原稿搬送装置の展開部11に開閉ガイド93と開閉ガイド駆動部94とが追加され、他の部分は既述の実施例1の原稿搬送装置の展開部11と同じである。開閉ガイド93は、開放位置または閉鎖位置に配置されるように、回転軸99を中心に回転可能に支持されている。回転軸99は、幅方向50に対して平行である。開閉ガイド駆動部94は、回転軸99を中心に開閉ガイド93を回転させる。
【0067】
図26は、実施例2の原稿搬送装置の開閉ガイド93を示す平面図である。開閉ガイド93は、概ね平坦な板状に形成されている。開閉ガイド93は、複数の切欠き96を有する。
【0068】
搬送路5は、
図27に示されているように、原稿載置部材97を備えている。
図27は、開閉ガイド93が開放位置に配置されているときの実施例2の原稿搬送装置の展開部86を示す斜視図である。原稿載置部材97には、概ね平坦な載置面95が形成されている。原稿載置部材97は、原稿載置部材97と展開部86との間に搬送路5が形成されるように、展開部86の下部に配置されている。原稿載置部材97は、さらに、載置面95に沿う平面が搬送方向6および幅方向50に対して平行となるように、かつ、載置面95が展開部86の展開空間34に対向するように、配置されている。
【0069】
開閉ガイド93は、開放位置に配置されているときに、吸着ブロア32の近傍に配置されている。
図28は、開閉ガイド93が開放位置に配置されているときの実施例2の原稿搬送装置の展開部86を示す他の斜視図である。複数の切欠き96は、開閉ガイド93が開放位置に配置されているときに、吸着ブロア32の複数の吸気口35にそれぞれ嵌合している。開閉ガイド93は、複数の切欠き96が複数の吸気口35にそれぞれ嵌合するため、吸着ブロア32の複数の吸気口35より搬送方向6の上流側に配置することができ、すなわち、吸着面36より搬送方向6の上流側に配置することができる。開閉ガイド93が吸着面36より搬送方向6の上流側に配置されていることにより、開閉ガイド93に接触することなく、搬送路5を搬送される折り原稿を展開部86の展開空間34で展開することができる。
【0070】
図29は、開閉ガイド93が閉鎖位置に配置されているときの実施例2の原稿搬送装置の展開部86を示す斜視図である。開閉ガイド93は、閉鎖位置に配置されているときに、開閉ガイド93に沿う平面が搬送方向6および幅方向50に対して平行となるように、原稿載置部材97の載置面95の近傍に配置される。すなわち、開閉ガイド93は、閉鎖位置に配置されているときに、搬送路5により形成される原稿の通路と展開空間34とを隔てる。
【0071】
図30は、実施例2の原稿搬送装置が設けられている画像読取装置の動作を示すフローチャートである。ユーザは、その画像読取装置を用いて複数の原稿から画像を読み取ろうとするときに、複数の原稿を原稿台2に載置し、画像読取装置の制御部の入出力装置を操作することにより画像読取装置を起動する。原稿台2に載置される複数の原稿は、一枚原稿または綴じ原稿を含んでいる。一枚原稿は、Z折りされているZ折り原稿であることがある。制御部は、画像読取装置が起動すると、初期動作を開始する(ステップS11)。制御部は、初期動作が開始されると、立ち上げブロア31と吸着ブロア32と一対のサイドブロア33との動作を停止させ、さらに、開閉ガイド駆動部94を制御することにより、開閉ガイド93を閉鎖位置に配置する。
【0072】
制御部は、初期動作が実行された後に、第1給紙部81を制御することにより、原稿台2に原稿が載置されているか否かを検出する。制御部は、原稿台2に原稿が載置されていることを検出したときに、第1給紙部81を制御することにより、原稿台2に載置される複数の原稿のうちの一番上に配置される1つの原稿を搬送路5に繰り出し、繰り出された原稿を処理部82に供給する(ステップS12)。
【0073】
制御部は、さらに、処理部82を制御することにより、第1給紙部81から供給された原稿が綴じ原稿であるか一枚原稿であるかを検出する。制御部は、第1給紙部81から供給された原稿が綴じ原稿であると検出したときに、処理部82を制御することにより、綴じ原稿から綴じ部材を除去する。制御部は、さらに、処理部82を制御することにより、綴じ部材が綴じ原稿から適切に除去されたか否かを検出し、綴じ部材が綴じ原稿から適切に除去されたときに、処理部82を制御することにより、綴じ部材が適切に除去された複数の一枚原稿を搬送機構84に供給し、綴じ部材が綴じ原稿から適切に除去されないときに、処理部82を制御することにより、綴じ原稿をそのまま搬送機構84に供給する。制御部は、第1給紙部81から供給された原稿が一枚原稿であると検出したときに、処理部82を制御することにより、その一枚原稿をそのまま搬送機構84に供給する。
【0074】
制御部は、処理部82の動作に応じて分離モードまたは非分離モードに切り替える(ステップS13)。すなわち、制御部は、処理部82が綴じ原稿から綴じ部材を適切に除去したときに、または、第1給紙部81から処理部82に一枚原稿が供給されたときに、分離モードに切り替え、処理部82が綴じ原稿から綴じ部材を適切に除去しなかったときに、非分離モードに切り替える。
【0075】
制御部は、分離モードに切り替えられたときに(ステップS13、分離)、原稿検出センサ92を制御することにより、ピックローラ21とブレーキローラ91との間の所定の位置に原稿が配置されているか否かを検出する。制御部は、ピックローラ21とブレーキローラ91との間の所定の位置に原稿が配置されていることを検出したときに、搬送機構84を制御することにより、原稿の搬送を停止する(ステップS14)。制御部は、原稿の搬送が停止した後に、開閉ガイド駆動部94を制御することにより、開閉ガイド93を開放位置に配置する(ステップS15)。制御部は、原稿の搬送が停止した後に、さらに、立ち上げブロア31を制御することにより、展開空間34に空気を吹き込み、一対のサイドブロア33を制御することにより、幅方向50の両側から展開空間34に空気をそれぞれ吹き込み、吸着ブロア32を制御することにより、展開空間34から空気を吸引する(ステップS16)。
【0076】
制御部は、立ち上げブロア31と吸着ブロア32と一対のサイドブロア33と開閉ガイド駆動部94とが動作を開始したタイミングから所定期間が経過した後のタイミングまで待機する(ステップS17)。所定期間としては、1秒間が例示される。立ち上げブロア31は、所定期間が経過することにより、展開空間34に空気を安定して吹き込むことができる。吸着ブロア32は、所定期間が経過することにより、展開空間34から空気を安定して吸引することができる。一対のサイドブロア33は、所定期間が経過することにより、展開空間34に空気を安定して吹き込むことができる。開閉ガイド駆動部94は、所定期間が経過することにより、開閉ガイド93を開放位置に確実に配置させることができる。
【0077】
制御部は、所定期間が経過した後に、分離搬送を開始する(ステップS18)。制御部は、分離搬送が開始されると、搬送機構84を離間モードに切り替え、ピックローラ21を荷重モードに切り替え、ブレーキローラ91を分離力ありモードに切り替える。制御部は、ピックローラ21を正回転させることにより、ピックローラ21に接触している原稿が分離ローラ22とブレーキローラ91との間に挟まれるように、搬送方向6の下流側に搬送する。制御部は、分離ローラ22を正回転させることにより、分離ローラ22とブレーキローラ91との間に挟まれる複数の原稿のうちの一番上に配置される原稿を排紙部87に供給する。
【0078】
ブレーキローラ91は、分離力ありモードに切り替えられた場合で、1枚の原稿が分離ローラ22とブレーキローラ91との間に挟まれているときに、1枚の原稿が搬送されることに追従して正回転して1枚の原稿をそのまま排紙部87に搬送し、複数枚の原稿が分離ローラ22とブレーキローラ91との間に挟まれているときに、逆回転することにより、分離ローラ22に接触していない原稿を搬送方向6の上流側に搬送する。すなわち、第2給紙部85は、分離搬送が開始されると、搬送機構84から供給された複数の原稿を一枚ずつ排紙部87に供給する。
【0079】
展開部86は、折り原稿が搬送路5のうちの搬送機構84と第2給紙部85との間を搬送されるときに、既述の実施例1の原稿搬送装置の展開部11と同様に、その折り原稿を展開する。たとえば、Z折り原稿41は、折り部47が展開空間34に配置されたときに、立ち上げブロア31から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられる。Z折り原稿41は、一対のサイドブロア33から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、さらに、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられる。Z折り原稿41は、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられることにより、折り部47が先端部46に対して立ち上がる(ステップS19)。
【0080】
吸着ブロア32が展開空間34から空気を吸引しているため、Z折り原稿41の第2折り部49は、折り部47が先端部46に対して立ち上がったときに、吸着面36に沿うように、吸着ブロア32に保持される(ステップS20)。Z折り原稿41の第2折り部49は、吸着ブロア32に保持された後に、Z折り原稿41が第2給紙部85により搬送方向6の下流側にさらに搬送されることにより、吸着面36から離れる(ステップS21)。Z折り原稿41は、第2折り部49が吸着面36から離れることにより、概ね平坦に展開される。このとき、展開部86は、既述の実施例1の原稿搬送装置の展開部11と同様に、Z折り原稿41の座屈を防止することができる。
【0081】
制御部は、原稿が第2給紙部85から排紙部87に供給されるときに、読取部88を制御することにより、第2給紙部85から排紙部87に搬送される原稿の両面の画像を読み取り、読み取った画像を記録する(ステップS22)。制御部は、排紙部87を制御することにより、ブレーキローラ91から排紙部87に供給される原稿をスタッカー3に載置する(ステップS23)。
【0082】
制御部は、原稿検出センサ92を制御することにより、ピックローラ21とブレーキローラ91との間の所定の位置に原稿が配置されているか否かを検出する(ステップS24)。制御部は、ピックローラ21とブレーキローラ91との間の所定の位置に原稿が配置されていることを検出したときに(ステップS24、Yes)、ステップS18からステップS24までの処理を繰り返し実行する。処理部82により綴じ原稿から綴じ部材が除去されることにより生成された複数の一枚原稿は、ステップS18からステップS24までの処理が繰り返し実行されることにより、1枚ずつ展開され、画像が読み取られ、スタッカー3に載置される。
【0083】
制御部は、非分離モードに切り替えられたときに(ステップS13、非分離)、非分離搬送を開始する(ステップS25)。制御部は、非分離搬送が開始されると、搬送機構84が荷重モードに切り替えられたまま、かつ、開閉ガイド93が閉鎖位置に配置されたまま、ピックローラ21を離間モードに切り替え、ブレーキローラ91を分離力なしモードに切り替える。制御部は、搬送機構84を制御することにより、処理部82から搬送機構84に供給された綴じ原稿を第2給紙部85に供給する。
【0084】
綴じ原稿は、開閉ガイド93が閉鎖位置に配置されていることにより、綴じ原稿の先端が展開空間34に進入することなく、第2給紙部85に適切に供給される。原稿搬送装置は、綴じ原稿が第2給紙部85に供給される場合で、綴じ原稿の先端が展開空間34に進入するときに、展開部86の部材等に先端が引っ掛かることにより、綴じ原稿が破損したり、ジャムが発生したりする不具合を発生することがある。原稿搬送装置は、開閉ガイド93が設けられていることにより、綴じ原稿を第2給紙部85に適切に案内することができ、このような不具合の発生を防止することができる。
【0085】
綴じ原稿は、開閉ガイド93が閉鎖位置に配置されていることにより、かつ、立ち上げブロア31と吸着ブロア32と一対のサイドブロア33とが動作していないことにより、折られている場合でも、展開部86で展開されずに第2給紙部85に供給される。綴じ原稿は、開閉ガイド93に案内されることにより、分離ローラ22とブレーキローラ91との間に挟まれるように、第2給紙部85に供給される。分離ローラ22とブレーキローラ91との間に挟まれた綴じ原稿は、ブレーキローラ91が分離力なしモードに切り替えられていることにより、分離ローラ22が正回転するときに、分離されることなく、排紙部87に供給される。
【0086】
制御部は、綴じ原稿が第2給紙部85から排紙部87に供給されるときに、読取部88を制御することにより、綴じ原稿の両面の画像を読み取り、読み取った画像を記録する(ステップS26)。制御部は、排紙部87を制御することにより、綴じ原稿をスタッカー3に載置する(ステップS27)。
【0087】
制御部は、綴じ原稿がスタッカー3に載置された後に、第1給紙部81を制御することにより、原稿台2に原稿が載置されているか否かを検出する(ステップS28)。制御部は、ピックローラ21とブレーキローラ91との間の所定の位置に原稿が配置されていないことを検出したときも(ステップS24、No)、同様に、原稿台2に原稿が載置されているか否かを検出する。制御部は、原稿台2に原稿が載置されていることを検出したときに(ステップS28、Yes)、ステップS11からステップS28の処理を繰り返し実行する。原稿台2に載置されている複数の原稿は、ステップS11からステップS28までの処理が繰り返し実行されることにより、画像が読み取られ、スタッカー3に載置される。
【0088】
[実施例2の原稿搬送装置の効果]
実施例2の原稿搬送装置は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能な開閉ガイド93を備えている。開閉ガイド93は、閉鎖位置に配置されるときに、原稿を第2給紙部85に案内し、開放位置に配置されるときに、原稿の一部が吸着面36に向かって移動可能となるように退避する。このような原稿搬送装置は、綴じ原稿が展開部86を通過するときに、開閉ガイド93が閉鎖位置に配置されることにより、綴じ原稿が破損したり、ジャムが発生したりする不具合の発生を防止することができる。
【0089】
また、実施例2の原稿搬送装置は、開閉ガイド93を閉鎖位置または開放位置に移動させる開閉ガイド駆動部94をさらに備えている。このような原稿搬送装置は、開閉ガイド93を閉鎖位置に自動的に配置したり、開閉ガイド93を開放位置に自動的に配置したりすることができる。
【0090】
ところで、実施例2の原稿搬送装置は、開閉ガイド駆動部94を備えているが、開閉ガイド駆動部94が省略されてもよい。この場合、開閉ガイド93は、展開部86により媒体が展開されるときに、ユーザにより開放位置に配置され、展開部86により媒体が展開されないときに、ユーザにより閉鎖位置に配置される。このような原稿搬送装置も、開閉ガイド93が開放位置に配置されるときに、既述の実施例の原稿搬送装置と同様に、折り曲げられた原稿を適切に展開して搬送することができる。
【実施例3】
【0091】
ところで、既述の実施例1の原稿搬送装置は、原稿台2に載置された複数の原稿を給紙部12で互いに分離しているが、複数の原稿を分離しなくてもよい。実施例3の原稿搬送装置は、
図31に示されているように、既述の実施例1の原稿搬送装置の給紙部12が他の給紙部101に置換され、他の部分は既述の実施例1の原稿搬送装置と同じである。
図31は、実施例3の原稿搬送装置が設けられた画像読取装置を示す概略側面図である。給紙部101は、一対の搬送ローラ102と原稿検出センサ103とを備えている。一対の搬送ローラ102は、一対の搬送ローラ102の間に原稿が挟まれるように、互いに近接している。一対の搬送ローラ102は、原稿が一対の搬送ローラ102の間に挟まれているときに、回転することにより、その原稿を排紙部14に供給する。原稿検出センサ103は、一対の搬送ローラ102の間に原稿が配置されているか否かを検出する。
【0092】
図32は、実施例3の原稿搬送装置が設けられている画像読取装置の動作を示すフローチャートである。ユーザは、その画像読取装置を用いてZ折り原稿41から画像を読み取ろうとするときに、まず、画像読取装置の制御部の入出力装置を操作することにより画像読取装置を起動する。実施例3の原稿搬送装置の制御部は、画像読取装置が起動すると、初期動作を開始する(ステップS31)。制御部は、初期動作が開始されると、立ち上げブロア31と吸着ブロア32と一対のサイドブロア33とを動作させ、一対の搬送ローラ102を回転させる。ユーザは、初期動作が実行された後に、Z折り原稿41の折り部47が展開空間34に配置されるように、かつ、Z折り原稿41の先端が給紙部101の一対の搬送ローラ102に挟まれるように、Z折り原稿41を原稿台2に載置する(ステップS32)。
【0093】
Z折り原稿41は、折り部47が展開空間34に配置されたときに、立ち上げブロア31から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられる。Z折り原稿41は、一対のサイドブロア33から展開空間34に空気が吹き込まれることにより、さらに、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられる。Z折り原稿41は、先端部46と第1折り部48との間に空気が吹き入れられることにより、折り部47が先端部46に対して立ち上がる(ステップS33)。
【0094】
吸着ブロア32が展開空間34から空気を吸引していることにより、Z折り原稿41の第2折り部49は、折り部47が先端部46に対して立ち上がったときに、吸着面36に沿うように、吸着ブロア32に保持される(ステップS34)。Z折り原稿41の第2折り部49が吸着ブロア32に保持された後に、Z折り原稿41が給紙部101により搬送方向6の下流側にさらに搬送されることにより、第2折り部49が吸着面36から離れる(ステップS35)。Z折り原稿41は、第2折り部49が吸着面36から離れることにより、概ね平坦に展開される。
【0095】
制御部は、原稿が給紙部101から排紙部14に供給されるときに、読取部15を制御することにより、給紙部101から排紙部14に搬送される原稿の両面の画像を読み取り、読み取った画像を記録する(ステップS36)。制御部は、排紙部14を制御することにより、給紙部101から排紙部14に供給される原稿をスタッカー3に載置する(ステップS37)。
【0096】
ユーザは、Z折り原稿41と異なる他のZ折り原稿から画像を読み取ろうとするときに、一対のサイドブロア33の間からZ折り原稿41が抜けたタイミングから一定時間内に、そのZ折り原稿を原稿台2に載置する。制御部は、原稿検出センサ103を制御することにより、一対のサイドブロア33の間からZ折り原稿41が抜けたタイミングから一定時間内に、一対の搬送ローラ102の間に原稿が配置されるか否かを検出する(ステップS38)。制御部は、一定時間内に一対の搬送ローラ102の間に原稿が配置されたことを検出したときに(ステップS38、Yes)、ステップS32からステップS38までの処理を繰り返し実行する。
【0097】
実施例3の原稿搬送装置は、既述の実施例1の原稿搬送装置と同様に、Z折り原稿41を展開して搬送するときのZ折り原稿41の座屈を防止することができる。実施例3の原稿搬送装置は、既述の実施例1の原稿搬送装置と同様に、Z折り原稿41以外の折り原稿を展開して搬送することができ、その折り原稿を展開して搬送するときの折り原稿の座屈を防止することができる。
【実施例4】
【0098】
図33は、実施例4の原稿搬送装置の展開部の一部を示す上面図である。実施例4の原稿搬送装置の展開部は、既述の実施例1の原稿搬送装置の展開部11の一対のサイドブロア33が省略され、他の部分は既述の実施例1の原稿搬送装置の展開部11と同じである。実施例4の原稿搬送装置は、既述の実施例1の原稿搬送装置と同様に動作することにより、既述の実施例1の原稿搬送装置と同様に、折り原稿を展開して搬送するときの折り原稿の座屈を防止することができる。実施例4の原稿搬送装置は、一対のサイドブロア33が省略されていることにより、既述の実施例1の原稿搬送装置に比較して、製造コストを低減することができる。
【0099】
実施例4の原稿搬送装置は、一対のサイドブロア33が省略されていることにより、立ち上げブロア31によりZ折り原稿41の先端部46と第1折り部48との間に吹き入れられた空気が幅方向50の端から多く排出される。既述の実施例1の原稿搬送装置は、実施例4の原稿搬送装置に比較して、Z折り原稿41の先端部46と第1折り部48との間に吹き入れられた空気が排出され難く、折り部47を高効率に立ち上げることができ、Z折り原稿41を高効率に展開させることができる。
【実施例5】
【0100】
図34は、実施例5の原稿搬送装置の展開部の一部を示す上面図である。実施例5の原稿搬送装置は、既述の実施例4の原稿搬送装置の立ち上げブロア31が第1立ち上げブロア111-1と第2立ち上げブロア111-2とに置換され、他の部分は既述の実施例4の原稿搬送装置と同じである。第1立ち上げブロア111-1は、展開空間34の下流側のうちの幅方向50の一方側に配置されている第1下流側送風口112-1を備えており、この第1下流側送風口112-1を介して展開空間34のうちの幅方向50の中央に向かって空気を吹き込む。第2立ち上げブロア111-2は、展開空間34の下流側のうちの幅方向50の一方側に配置されている第2下流側送風口112-2を備えており、この第2下流側送風口112-2を介して展開空間34のうちの幅方向50の中央に向かって空気を吹き込む。
【0101】
実施例5の原稿搬送装置は、既述の実施例4の原稿搬送装置と同様に動作する。このとき、第1下流側送風口112-1から吹き出される空気と、第2下流側送風口112-2から吹き出される空気とは、Z折り原稿41の先端部46と第1折り部48との間のうちの幅方向50の中央で衝突する。このため、先端部46と第1折り部48との間に吹き入れられた空気は、先端部46と第1折り部48との間から排出され難い。実施例5の原稿搬送装置は、Z折り原稿41の先端部46と第1折り部48との間から空気が排出され難いことにより、既述の実施例4の原稿搬送装置に比較して、折り部47を高効率に立ち上げることができ、Z折り原稿41を高効率に展開させることができる。
【0102】
ところで、既述の実施例の原稿搬送装置の展開部11、86は、複数のブロアが設けられているが、1つのブロアに置換されてもよい。たとえば、原稿搬送装置は、下流側送風口と第1サイド送風口37-1と第2サイド送風口37-2と複数の吸気口35とをそれぞれ開閉する複数のシャッタが設けられている。下流側送風口と第1サイド送風口37-1と第2サイド送風口37-2と複数の吸気口35とは、その1つのブロアに接続されている。このような原稿搬送装置は、複数のシャッタを開閉することにより、既述の実施例の原稿搬送装置と同様に動作することができ、折り原稿を展開して搬送するときの折り原稿の座屈を防止することができる。原稿搬送装置は、既述の実施例の原稿搬送装置に比較して、製造コストを低減することができる。
【0103】
ところで、既述の実施例の原稿搬送装置は、画像読取装置に利用されているが、他の装置に利用されてもよい。その装置としては、プリンタが例示される。たとえば、原稿搬送装置は、プリンタに利用されるときに、読取部15が印刷装置に置換される。原稿搬送装置は、画像読取装置と異なる装置に利用された場合でも、折り曲げられた原稿を適切に展開して搬送することができる。
【0104】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0105】
6 :搬送方向
11 :展開部
12 :給紙部
31 :立ち上げブロア
32 :吸着ブロア
33 :一対のサイドブロア
34 :展開空間
36 :吸着面
86 :展開部
93 :開閉ガイド
94 :開閉ガイド駆動部