(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】オレフィンの重合用前駆体および触媒成分
(51)【国際特許分類】
C08F 4/02 20060101AFI20220311BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20220311BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
C08F4/02
C08F4/654
C08F10/00 510
(21)【出願番号】P 2021512878
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2019074766
(87)【国際公開番号】W WO2020069847
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-03-08
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513076604
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ブリタ、ディエゴ
【審査官】佐藤 玲奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-517812(JP,A)
【文献】特表2011-511135(JP,A)
【文献】国際公開第2019/052900(WO,A1)
【文献】特開平03-074341(JP,A)
【文献】特開2003-201310(JP,A)
【文献】特開平04-226108(JP,A)
【文献】特開2003-137919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F4/00-4/82
C08F10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5~100μmの範囲の平均粒径(P50a)を有する式MgCl
2(R
1OH)
n(ここで、R
1はC
1-C
8アルキル基であり、nは0.2~6である)の付加物の別個の粒子と、(b)50重量%超のSiO
2単位を含有し、P50b/P50a比が0.4~1.5の範囲となるように平均粒径(P50b)を有する固体化合物の別個の粒子0.2~5.0重量%((a)+(b)の総量に基づいて)と、の機械的混合物を含む、チーグラ・ナッタ触媒成分の前駆体。
【請求項2】
前記50重量%超のSiO
2単位を含有する固体化合物(b)が、シリカから選択される、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
前記P50b/P50a比が、0.60~1.50の範囲である、請求項1に記載の混合物。
【請求項4】
固体化合物(b)の粒子の量が、(a)+(b)の合計に基づいて0.5~5.0%の範囲である、請求項1に記載の混合物。
【請求項5】
前記固体化合物(b)の粒径が、2~50μmの範囲である、請求項1に記載の混合物。
【請求項6】
式Ti(OR
2)
m-yX
yのチタン化合物(ここで、mはチタンの原子価であり、yは1~mの数であり、R
2はC
1-C
10アルキル基であ
り、XはClである)を、請求項1による固体混合物と反応させることにより得られるオレフィン重合用固体触媒成分。
【請求項7】
(i)請求項6による固体触媒成分と、
(ii)アルキルアルミニウム化合物と、
(iii)任意選択的に、外部電子供与体化合物と、
を接触させることによって得られる生成物を含む、オレフィンCH
2=CHR(ここで、Rは水素、または1~12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである)の(共)重合用触媒システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チーグラ・ナッタ触媒成分の前駆体およびその製造方法に関する。上記前駆体は、改善された流動性を有し、オレフィンの重合用ZN触媒成分の製造に使用される。
【背景技術】
【0002】
チーグラ・ナッタ触媒成分は、プロピレンのようなオレフィンの立体特異的重合に使用され得る。触媒製造は、チタン化合物および任意選択的に内部の電子供与体化合物と反応するために前駆体の使用を含むことができる。
【0003】
前駆体は、式MgCl2(R1OH)nの付加物を含み得、ここで、RはC1-C8アルキル基、特にエチルであり、nは2~6である。これらの特定の粒径は、約5~約100μmである。これらの固有の特性により、付加物粒子は、流動性を悪化させ、触媒製造中の前駆体粒子の均一な分布を減少させる凝集性問題にさらされる可能性がある。
【0004】
このような問題に対処するため、ステアレートまたはエルカミドなどのスリップ剤の使用が当該技術分野に提案されている。しかしながら、これらの添加剤は、前駆体粒子の流動性の特性を改善していない。米国特許出願公開第2015/0344667号は、触媒または担体粒子をカーボンブラックのような導電材料で製造されたナノ粒子の層でコーティングする方法を提案している。しかしながら、このプロセスは、ナノ粒子を含むゲルを製造するための追加的な別個のステップが実行しなければならないため、負担になる。さらに、追加的な層の存在は、触媒活性金属(複数可)と担体との間の必要な相互作用を妨げ得る。また、水性ベースナノ粒子ゲルの使用を含む手順は、続いてTiベース触媒を不活性化させることができる。
【0005】
EP1666505A1は、最終触媒成分がいくつかの成分を含む反応混合物から沈殿する触媒の製造経路を記述している。シリカが成分の1つであるときに得られる触媒は、狭い粒径分布を有するポリマーが生成できる能力を示す。前駆体の流動性については何の説明も提案もない。
【0006】
したがって、性能を損なうことなく前駆体の流動性を改善する簡単な方法が要求される。
【0007】
驚くべきことに、MgCl2-ROH付加物粒子を特定の組成を有する少量の分離された無機粒子と機械的に混合することにより、流動性が向上した前駆体を得ることができることを見出した。
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、(a)5~100μmの範囲の平均粒径(P50a)を有する式MgCl2(R1OH)n(ここで、RはC1-C8アルキル基、好ましくはエチルであり、nは0.2~6である)の付加物の別個の粒子と;(b)50重量%超のSiO2単位を含有し、P50b/P50a比が0.4~1.5の範囲となるように平均粒径(P50b)を有する固体化合物の別個の粒子0.2~5.0重量%と;の機械的混合物を含むZN触媒成分の前駆体に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
機械的混合物という用語は、付加物の粒子(a)が固体化合物の粒子(b)と区別され、分離されていることを示す。上記付加物の粒子(a)および化合物の粒子(b)は、機械的混合により互いに接触するようになる。
【0010】
好ましくは、本開示の前駆体において、固体化合物(b)は2~50μm、より好ましくは10~40μm、特に15~30μmの範囲の平均粒径(P50b)を有する。
【0011】
好ましくは、50重量%超のSiO2単位を含有する固体化合物(b)は、シリカ、ケイ酸塩および珪藻土から選択される。ケイ酸塩の中でも、タルクのようなフィロケイ酸塩が特に好ましい。
【0012】
シリカは、親水性シリカ(残留ヒドロキシ基を含有する)、またはOH基がSiOR基に置き換えられた疎水性シリカのいずれかであり得る。
【0013】
また、珪藻土の使用が好ましい。それらの中でも、セライト(Celite)(登録商標)という名称で市販されている珪藻土を使用するのが特に好ましい。
【0014】
(P50a)として表される付加物(a)の平均粒径は、好ましくは10~100μm、より好ましくは15~80μm、特に15~60μmの範囲である。
【0015】
P50aおよびP50bの値は、いかなる場合も凝集体を除く粉末サンプルを言及する。凝集体を実質的に含まない粉末サンプルは、実験セクションに説明された手順に従って、粉末を機械的圧延または超音波処理にかけることによって得ることができる。
【0016】
好ましくは、P50b/P50a比は、0.60~1.50、より好ましくは0.75~1.50、特に0.8~1.3の範囲である。
【0017】
好ましくは、固体化合物の粒子(b)の量は、混合物(a)+(b)の総重量に基づいて、0.5~5.0重量%、より好ましくは0.75~4.0重量%、特に1.0~3.0重量%の範囲である。
【0018】
付加物(a)は、アルコールと塩化マグネシウムとを付加物とは不混和性の不活性炭化水素の存在下で混合し、付加物の溶融温度(100~130℃)で攪拌条件下で作動させることにより、適切に製造され得る。次いで、エマルジョンが急速にクエンチングされ、それによって付加物は、球状粒子の形態で固化される。これら球状付加物を製造する代表的な方法は、例えば米国特許第4,469,648号、米国特許第4,399,054号、国際公開WO98/44009号、および国際公開WO02/051544号に報告されている。球状化に使用可能な別の方法としては、例えば米国特許第5,100,849号および第4,829,034号に記述された噴霧冷却法が挙げられる。
【0019】
MgCl2(EtOH)m付加物が特に興味深く、ここでmは0.15~1.5であり、粒径は10~100μmの範囲であり、これはより高いアルコール含量を有する付加物を、アルコール含量が上記の値に減少するまで50~150℃の間に含まれる温度で窒素流動中で行われる熱的脱アルコール化プロセスにかけることで得られる。このような類型のプロセスは、EP395083に記述されている。
【0020】
また、脱アルコール化は、付加物と、アルコール基と反応可能な化合物とを接触させることで化学的に行うことができる。
【0021】
脱アルコール化された付加物はまた、半径1μm以下の空隙による多孔性(水銀法によって測定)が0.15~2.5cm3/g、好ましくは0.25~1.5cm3/gの範囲であることを特徴としてよい。
【0022】
好ましくは、本開示によれば、付加物粒子(a)は、優勢な球状を有する。特に、これらは、0.60超、好ましくは0.70超の球形度係数(sphericity factor)を特徴とすることができる。球形度係数は、本出願の特性化セクションに記載されている画像分析技術を用して計算する。
【0023】
付加物の別個の粒子(a)と固体化合物の別個の粒子(b)との乾燥混合物を含む前駆体は、いくつかのブレンディング方法で製造することができ、その中で望ましいのは、適切な装置で2つの固体を乾式ブレンディングする段階を含む。好ましくは、ドライブレンドは、窒素環境において、0.2~20時間、好ましくは0.5~15時間、より好ましくは0.5~5時間の範囲の時間、室温で実行される。
【0024】
また、粒子(a)および(b)の液体炭化水素スラリーを攪拌し、その後で液相を除去した後、粒子を乾燥させて乾燥前駆体を製造することができる。
【0025】
実施例から分かるように、このようにして得られた前駆体は、そのような付加物粒子(a)に対して、減少された破壊およびアバランシェエネルギー(avalanche energy)を示す。改善は、0.8以上のP50b/P50a比の使用と組み合わせるときに、特に顕著である。破壊およびアバランシェエネルギーは、粉末の流動性に反比例する特性である。このような特性の値が低いほど、より高い流動性を示す。流動性が改善された前駆体により、固体触媒成分の製造段階での粉末の移動および投与は容易になる。一般に、前駆体は、付加物自体の粒子(a)に対して10%以上、好ましくは20%以上、特に30%超の破壊エネルギー面における改善の百分率を示す。さらに、前駆体は、付加物自体の粒子(a)に対して25%以上、好ましくは50%以上、特に60%超のアバランシェエネルギー面における改善の百分率を示す。破壊およびアバランシェエネルギー面における改善の百分率の合計は、35%以上、好ましくは60%以上、特に80%超である。
【0026】
このようにして得られた前駆体を使用して、固体触媒成分を製造することができる。好ましい方法によれば、固体触媒成分は、式Ti(OR2)m-yXy(ここで、mはチタンの原子価であり、yは1~mの数であり、R2はC1-C10アルキル基)のチタン化合物を、本開示の個体混合物と反応させることにより製造され得る。Ti化合物は、好ましくは、TiCl4である。Ti化合物との反応は、冷たいTiCl4(約0℃)中に個体混合物を懸濁させることにより実行することができ;次いで、混合物を80~130℃まで加熱し、その温度で0.5~2時間保持させる。TiCl4を用いた処理は、1回以上実行され得る。電子供与体化合物は、好ましくは、TiCl4での処理中に添加される。球形形態の触媒成分の製造は、例えば、ヨーロッパ特許出願EP-A-395083号、EP-A-553805号、EP-A-553806号、EPA601525号および国際特許出願公開WO98/44009号に記載されている。
【0027】
この方法に従って製造する場合、固体触媒成分は、固体触媒成分の総重量に基づいて8~30%、より好ましくは10~25重量%のMgを含むことができる。好ましくは、Tiの量は、固体触媒成分の総重量に基づいて0.1~8重量%、より好ましくは0.5~5重量%、さらにより好ましくは0.7~3重量%の範囲である。
【0028】
本開示の好ましい態様において、このようにして得られた触媒成分は、電子供与体化合物(内部供与体)をさらに含む。好ましくは、これは、エステル、エーテル、アミン、シラン、カルバメートおよびケトン、またはこれらの混合物から選択される。
【0029】
内部供与体は、好ましくは、例えば、安息香酸およびフタル酸のエステル、ならびにマロン酸、グルタル酸、マレイン酸およびコハク酸から選択される脂肪族酸のエステルのような任意選択的に置換された芳香族モノまたはポリカルボン酸のアルキルおよびアリールエステルからなる群から選択される。このようなエステルの具体例は、フタル酸n-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ-n-オクチル、安息香酸エチルおよびp-エトキシ安息香酸エチルである。また、WO2010/078494号および米国特許第7,388,061号に開示されたジエステルを使用することができる。このクラスの中で、2,4-ペンタンジオールジベンゾエート誘導体および3-メチル-5-t-ブチルカテコールジベンゾエートが特に好ましい。また、内部供与体は、ジカルバメート、モノエステルモノカルバメートおよびモノエステルモノカーボネートの中から選択されたジオール誘導体の中から選択され得る。さらに、下記式の1,3ジエーテルも、有利に使用することができる:
【化1】
式中、R、R
I、R
II、R
III、R
IVおよびR
Vは、互いに等しいかまたは異なり、水素、または1~18個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、R
VIおよびR
VIIは、互いに等しいかまたは異なり、それらが水素であり得ないことを除いてはR-R
Vと同じ意味を有し;R-R
VII基のうちの1つまたは複数は連結されてサイクルを形成することができる。1,3-ジエーテルが(R
VIおよびR
VIIが、C
1-C
4アルキルラジカルから選択される)特に好ましい。
また、上述の供与体の混合物を使用することができる。特定の混合物は、WO2011/061134号に開示されているようなコハク酸のエステルおよび1,3ジエーテルで構成されたものである。
【0030】
エチレン/α-オレフィンコポリマーを製造する場合のように、ポリマー鎖内でオレフィンコモノマーを分布させる触媒の能力を増加させることが望ましい場合、単官能性供与体、特にエーテルおよびエステルの中から電子供与体を選択することが好ましい。好ましいエーテルは、C2-C20脂肪族エーテル、特に好ましくはテトラヒドロフランおよびジオキサンのような3~5個の炭素原子環状エーテルを有する環状エーテルである。好ましいエステルは、エチルアセテートおよびメチルホルミエートのような脂肪族モノカルボン酸のC1-C4アルキルエステルである。テトラヒドロフランおよびエチルアセテートが最も好ましい。
【0031】
一般に、固体触媒成分中の最終的な電子供与体化合物の量は、0.5~40重量%の範囲、好ましくは1~35重量%の範囲であり得る。
【0032】
その後、固体触媒成分は、それらを有機アルミニウム化合物と反応させることにより、オレフィン重合用触媒に変換され得る。有機アルミニウム化合物は、好ましくはアルキル-Al化合物から選択され、特に、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物から選択される。アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムハイドライドまたはアルキルアルミニウムセスキクロライド、例えば、AlEt2ClおよびAl2Et3Cl3を、可能には、上記で引用されたトリアルキルアルミニウムとの混合物として使用することができる。Al/Ti比は、1よりも高く、好ましくは50~2000に含まれる。
【0033】
触媒は、ケイ素化合物、エーテル、エステル、アミン、複素環化合物および特に2,2,6,6-テトラメチルピペリジンならびにケトンの中から選択され得る外部供与体をさらに含むことができる。好ましくは、これは、式(R6)a(R7)bSi(OR8)cのケイ素化合物から選択され、ここで、aおよびbは0~2の整数であり、cは1~4の整数であり、合計(a+b+c)は4であり;R6、R7、およびR8は、任意選択でヘテロ原子を含有する1~18個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリールラジカルである。特に、ケイ素化合物(ここで、aが1であり、bが1であり、cが2であり、R6およびR7のうちの少なくとも1つが任意選択的にヘテロ原子を含有する3~10個の炭素原子を有する分岐状アルキル、シクロアルキルまたはアリール基から選択され、R8がC1-C10アルキル基、特にメチルである)が特に好ましい。このような好ましいケイ素化合物の例は、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(C供与体)、ジフェニルジメトキシシラン、メチル-t-ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)、ジイソプロピルジメトキシシラン、(2-エチルピペリジニル)t-ブチルジメトキシシラン、(2-エチルピペリジニル)テキシルジメトキシシラン、(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)(2-エチルピペリジニル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシランである。さらに、ケイ素化合物(ここで、aが0であり、cが3であり、R7が任意選択的にヘテロ原子を含有する分岐状アルキルまたはシクロアルキル基であり、R8がメチルである)も好ましい。このような好ましいケイ素化合物の例は、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシランおよびテキシルトリメトキシシランである。
【0034】
電子供与体化合物(iii)は、0.1~500、好ましくは1~300、より好ましくは3~100の有機アルミニウム化合物と上記電子供与体化合物(iii)との間のモル比を提供する量で使用され得る。
したがって、本開示のさらなる目的は、
(i)本開示の固体触媒成分と、
(ii)アルキルアルミニウム化合物と、
(iii)任意選択的に、電子供与体化合物(外部供与体)と、
の間の反応生成物を含む触媒の存在下で実行されるオレフィンCH2=CHR(ここで、Rは水素、または1~12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである)の(共)重合プロセスである。
【0035】
重合プロセスは、種々の技術、例えば、不活性炭化水素溶媒を希釈剤として使用するスラリー重合、または液体モノマー(例えばプロピレン)を反応媒体として使用するバルク重合によって実行され得る。さらに、1つまたは複数の流動式または機械攪拌式床反応器で気相作動する重合プロセスを実行することができる。
【0036】
重合は、20~120℃、好ましくは40~80℃の温度で実行され得る。重合が気相で実行される場合、作動圧力は0.5~5MPaの範囲、好ましくは1~4MPaの範囲である。バルク重合においで、作動圧力は1~8MPaの範囲、好ましくは1.5~5MPaの範囲であり得る。
【0037】
下記実施例は、主題を制限することなく、よりよく例示するために提供される。
【0038】
特性決定
平均粒径
「マルバーンインストルメント2000(Malvern Instruments 2000)」装置を使用して単色レーザー光の光学回折原理に基づいた方法で決定した。平均の大きさは、P50として提供される。P10およびP90も、このような方法で決定する。
【0039】
マルバーンマスターサイザー2000(Malvern Mastersizer 2000)粒径分析器は、下記の3つのユニットに分けられる:
【0040】
1)光学グユニット;2つのレーザー光源:赤色He/Neレーザー、出力5mw、波長633nm、青色(ダイオード)レーザー、波長450nmを装備した、0.02~2000μの範囲の大きさの固体を測定するための光学コアグユニット。
【0041】
2)サンプリングユニット;内部キャパシティー、遠心ポンプ、攪拌器および40W出力の超音波プローブで作動する、50~120mlの体積のヒドロ2000S自動サンプリングユニット(Hidro 2000S automatic Sampling Unit)。
【0042】
3)PCコンソール;ウインドウ2000またはNT用のマルバーン・プロフェッショナルソフトウェアを使用するポータブルLGペンチウム・シリーズ(Portable LG Pentium series)。ミー(Mie)光学理論を利用したデータ精巧化方法(サンプルの屈折率=1.596;n-ヘプタンの屈折率=1.39)。
【0043】
方法説明
【0044】
本願に記載された測定のために、n-ヘプタン(+2g/lの帯電防止スパン80)が分散剤として使用される。
【0045】
測定セルには、分散剤がローディングされる一方、ポンプ/攪拌器速度は2205RPM以下に設定される。次いで、バックグラウンド測定(background measurement)が実行される。次に、固体またはスラリー専用ローディング手段を使用してサンプルをローディングする。その時点で、PS決定をする前に、サンプルを30秒間超音波処理する。その後に、測定が実行される。
【0046】
破壊エネルギーおよびアバランシェエネルギーの決定
【0047】
レボルーションパウダーアナライザー(Revolution Powder Analyzer)(Mercury Scientific Inc.,Newtown,CT,USA)で測定を実行した。具体的な測定条件は、2014年8月30日に改訂されたユーザーマニュアルに提供されている。
【0048】
球形度係数の決定
【0049】
統計的に代表的な数の粒子を含むように触媒粒子の平均サイズに基づいて寸法が選択されるSEM写真で構成された画像のソースに適用されるアルゴリズムを使用して、粒子の球形度を記述する画像分析器用商用ソフトウェアであるアナリシスプロ(Analysis Pro)3.2を使用して測定が実行された。70μmの平均粒径を有する触媒サンプルの場合、写真のサイズは2.5×2.5mmであった。例えば、約9μmの粒径を有する触媒サンプルの場合、写真のサイズは150μm×150μmであった。
【0050】
開始MgCl
2
-EtOH粒子(固体混合物の成分(a)
3つの異なるロットの微小球状MgCl2・2.8C2H5OHは、以下のP50を有するWO02/051544号に記述された方法に従って製造した:
-ロットA28μm。
-ロットB34μm。
-ロットC20μm
【0051】
化合物(b)
以下の化合物を使用した:
-セライト(登録商標)、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich社から市販されている、22μmのP50を有する珪藻土);
-0.9μmの平均粒子を有するシリカS5631(フルカ(Fluka)社から市販);
-ガシル(Gasil)AB200DFは、PQコポーレーション(PQ corporation)社によって市販されている。これは、8μmのP50の大きさを有する非晶質シリカである;
-ガシルAB735は、PQコポーレーション社によって市販されている。これは、24μmのP50の大きさを有する非晶質シリカである;
-シリカH30は、ワッカー・ケミー社(Wacker Chemie AG)によって市販されている。これは22μmのP50の大きさを有する;
-シリカT30は、ワッカー・ケミー社によって市販されている。これは23μmのP50の大きさを有する;
-シリカT40は、ワッカー・ケミー社によって市販されている。これは33μmのP50の大きさを有する;
【0052】
実施例
【0053】
実施例1~2および比較例1
【0054】
固体付加物のロットAを、表1に報告された特定の量のセライト(登録商標)と乾式混合することにより、一連の3つの混合物を製造した。ブレンディングは、下記のように実行した。100グラムの固体触媒成分を1Lのガラス瓶に入れた後、表1に報告された量のセライト(登録商標)をまた添加した。
上記瓶を60rpmで1時間タンブリングして固体を混合した。生成された混合物を、エネルギー破壊およびアバランシェエネルギーの決定にかけ、その結果が表1に報告されている。
【0055】
実施例3~6および比較例2~7
【0056】
実施例1~2に記載されたように混合物を製造したが、ただし、表1に報告された化合物(b)を使用した。生成された混合物を、エネルギー破壊およびアバランシェエネルギーの決定にかけ、その結果が表1に報告されている。
【0057】
実施例7~13および比較例C8~C10
【0058】
実施例1~2に記載されたように混合物を製造したが、ただし、実施例の付加物(a)のロットBをロットAの代わりに使用し、表1に報告されたSiO2系単位化合物をセライト(登録商標)の代わりに使用した。生成された混合物を、エネルギー破壊およびアバランシェエネルギーの決定にかけ、その結果が表1に報告されている。
【0059】
実施例14~24および比較例C11
【0060】
実施例1~2に記載されたように混合物を製造したが、ただし、付加物(a)のロットCをロットAの代わりに使用し、表1に報告されたSiO
2系単位化合物をセライト(登録商標)の代わりに使用した。生成された混合物を、エネルギー破壊およびアバランシェエネルギーの決定にかけ、その結果が表1に報告されている。
【表1-1】
【表1-2】