(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-10
(45)【発行日】2022-03-18
(54)【発明の名称】改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/41 20060101AFI20220311BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
E04B1/41 503G
E04B9/18 K
E04B9/18 B
(21)【出願番号】P 2021539324
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 KR2020005687
(87)【国際公開番号】W WO2020222535
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0050787
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521109084
【氏名又は名称】チャ、ジュ ビョン
【氏名又は名称原語表記】CHA, Ju Byeong
【住所又は居所原語表記】26, Dobong-ro 169ga-gil Dobong-gu Seoul 01305 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ジュ ビョン
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0100095(KR,A)
【文献】特開2003-049815(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0385156(KR,Y1)
【文献】特開2008-185076(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0105242(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/41
E04B 9/00,9/04,9/06,9/18
F16B 13/06
F16B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の先端が尖った突起(612a)が上面に備えられ、上端部から下方に外径が広くなってから再び狭くなって側面が「<>」形状を有する二重段差部(612b)が備えられるアンカー本体(610)と;
上・下側が開放され、前記アンカー本体(610)の下側に外挿され、周りに沿って「Y」字状の第1切開部(622a)が等間隔で備えられ、前記第1切開部の長さ方向に沿って「V」字状の第2切開部(622b)が等間隔で備えられたアンカー外皮(620)と;
内周面に備えられたねじ山を介して前記アンカー本体(610)に螺合され、アンカー本体(610)の二重段差部(612b)が前記アンカー外皮(620)の内側に挿入されて拡張片(622)が拡開されるように締め付け、上端の周りに沿って摩擦力を増大させるための加工部(632)が備えられた締付部材(630)とを含むアンカーボルト組立体であって、
前記アンカー外皮(620)が前記締付部材(630)によって取付孔(H)の最深部に向かって上昇して上がってくるとき、前記アンカー本体(610)の二重段差部(612b)の「<>」形状構造と取付孔(H)の最深部の「∧」形状構造によって前記アンカー外皮(620)の第1切開部(622a)が左右に「<>」形状に拡開されながら、前記アンカー外皮(620)の上部が前記アンカー本体(610)の三角錐突起(612a)側に折られて集まるようになり、この際、取付孔(H)の壁面側に位置する前記アンカー外皮(620)の第2切開部(622b)が釣り針の返し形状を有し、この返し形状部分が取付孔(H)の壁面に食い込んで前記アンカー外皮(620)が壁面に強く固定される、改善されたアンカーボルト組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカーボルト組立体を含み、
全体外周面にねじ山が備えられ、上側が前記アンカーボルト組立体の締付部材(630)に螺合される全ねじボルト(660)と、
前記全ねじボルト(660)の下側に螺合されるハンガー(680)と、
前記ハンガー(680)のハンガーピン(682)とハンガー(680)との間に結合され、一方向に沿って一定の間隔で配置されるチャンネルバー(300)と、
前記チャンネルバー(300)の下部でチャンネルバーと直角に配置され、係止具(420)を介して前記チャンネルバー(300)に結合されるパネル固定バー(400)と、
前後両側から上方に突部(210)が一定の高さで形成され、左右両側から上方に嵌め込み突起(220)が備えられ、前記パネル固定バー(400)に取り付けられて天井表面を遮蔽する仕上げパネル(200)とをさらに含む、天井仕上げパネル固定装置。
【請求項3】
前記仕上げパネル(200)とその隣接する仕上げパネル(200)との間にピース(710)が前記パネル固定バー(400)を貫通して固定され、前記ピース(710)の頭部に磁石(720)が取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の天井仕上げパネル固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置に係り、特に、天井スラブへの結合固定が容易であり、振動によっても固定用アンカーボルトが抜けず、施工時にアンカー本体が空転する現象が防止される一方で、締付部材の締付または緩み作用による施工時間が短縮されるとともに、施工後にアンカー外皮が壁面に強く固定され、アンカー本体の下部が揺れることを防止することができるように構成されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建物の天井には、コンクリートなどの粗い天井表面を遮蔽するか、或いは建物室内の保温のために、または天井に設置された電気配線などが露出しないように仕上げパネルが設置される。
【0003】
前述した仕上げパネルとしては、石膏ボード、合板、石膏セメント天井板、合成樹脂(熱硬化性樹脂)装飾天井板、アルミ仕上げパネル、ステンレス仕上げパネルなどが使用される。
【0004】
仕上げパネルは、建築物の天井基礎コンクリート層の底面部に別途の固定装置を設置して施工されており、このような仕上げパネルの設置及び施工構造は、最近まで様々な方式の技術が多様に提案されて使われている。
【0005】
従来から適用されている天井仕上げパネルの固定装置は、天井スラブの底面部に結合固定される固定用アンカーボルトと、この固定用アンカーボルトに螺合し、一方向に沿って所定の間隔で配置されるチャンネルバーと、底面部に仕上げパネルが取り付けられ、チャンネルバーと90度の角度で所定の間隔を置いて配置されてチャンネルバーに結合されるパネル固定バーとから構成される。
【0006】
この際、従来では、仕上げパネルの下部からピースなどを打ち込んで仕上げパネルをパネル固定バーに固定して取り付けるが、補修のために仕上げパネルをパネル固定バーから分離するときに困難があり、ピースが露出しており美観上良くなく、露出した部分を隠すために仕上げパネルの下部にカバーを形成する場合、その分だけ施工が難しく、時間が多くかかるという問題点があった。
【0007】
また、
図1に示すように、従来技術による固定用アンカーボルトとしてストロングアンカー10を用いて天井スラブ90に結合固定する場合、まず、天井スラブ90に、ストロングアンカー10を挿入することができる取付孔を形成し、円錐状くさび40、スリーブ管30、全ねじボルト20、ナット21、ハンガー110などからなるストロングアンカー10を完全に組み立てる。
【0008】
このような状態で、前述した取付孔に円錐状くさび40、スリーブ管30を挿入した後、全ねじボルト20の下端をハンマーなどで3~4回打撃すると、円錐状くさび40を中心にスリーブ管30が拡開され、取付孔の内壁に密着する拡張片(図示せず)によって固定され、以後、仕上げパネル200をチャネル300とパネル固定バー400に固設する。
【0009】
ところが、このような従来のストロングアンカー10を用いた天井スラブ90の固定構造は、打撃によってスリーブ管30が取付孔に挿入されるとき、前述した拡張片が拡開されることにより、取付孔の内壁を引っ掻きながら挿入されるため、取付孔の端まで入らず途中で止まり、これによりストロングアンカー10が振動によって抜けてしまい天井自体が崩壊するおそれのあるリスクを抱えていた。
【0010】
また、ハンガー110の振動が上部のストロングアンカー10にそのまま伝達されるという問題点があり、特に、全ねじボルト20が長い場合、振動や風圧によって撓んで天井自体が崩壊するおそれのあるリスクも抱えていた。
【0011】
別の従来技術による固定用アンカーボルトとして、セットアンカー(図示せず)は、天井スラブへの施工時に組立部品の解体、打撃パイプによる打撃、解体部品の再組立てなど、作業が煩わしくて不便であるという問題点があった。
【0012】
つまり、従来のセットアンカーを天井スラブに施工する場合、市販のセットアンカーの全ねじボルトからスプリングワッシャーとナットを解体し、全ねじボルトに打撃パイプを嵌めた後、ハンマーなどの別途の打撃手段で打撃パイプを3~4回打撃してセットアンカーを天井に固定し、その後、全ねじボルトから打撃パイプを分離し、スプリングワッシャーとナットを再び嵌めた後、スパナなどでナットを締め付けて完全固定しなければならないので、作業が複雑であり、時間も多くかかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するために創案されたもので、その目的は、組立部品を解体せず、ハンマーなどのツールの使用なしに天井スラブにアンカー本体を簡便に固定することができる、改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、施工時にアンカー本体が空転する現象が防止される、改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、締付部材の締付または緩み作用による施工時間の短縮が可能である、改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、アンカー外皮の拡張片が拡開されながら、切開部が釣り針の返し形状に壁面に食い込んでアンカー外皮が壁面に強く固定されるアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を提供することにある。
【0017】
本発明の別の目的は、締付部材に備えられた加工部によって、アンカー本体の下部が揺れることを防止することができる、改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を提供することにある。
【0018】
本発明の別の目的は、全ねじボルトが長くても、振動や風圧によって撓まず、ハンガーの振動が上部のアンカー本体まで伝達されない、改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を提供することにある。
【0019】
本発明の別の目的は、仕上げパネルの施工や解体にかかる時間を短縮し、パネルに仕上げされた天井の外部美観を向上させることができる、改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明は、多数の先端が尖った突起が上面に備えられるアンカー本体;上・下側が開放され、前記アンカー本体の下側に外挿され、周りに沿って「Y」字状の第1切開部が等間隔で備えられ、前記第1切開部の長さ方向に沿って「V」字状の第2切開部が等間隔で備えられたアンカー外皮;及び内周面に備えられたねじ山を介して前記アンカー本体に螺合され、上端の周りに沿って摩擦力を増大させるための加工部が備えられた締付部材とを含む、改善されたアンカーボルト組立体が提供される。
このような本発明において、前記アンカー本体の上端部から下側に外径が広くなってから再び狭くなり、側面が「<>」形状を有する二重段差部が備えられる。
また、このような本発明において、前記アンカー本体の下端部から上側に向かって二重ねじ山が一定の高さで備えられる。
【0021】
一方、前述した本発明の目的を達成するために、多数の先端が尖った突起が上面に備えられるアンカー本体と、上・下側が開放され、前記アンカー本体の下側に外挿され、周りに沿って「Y」字状の第1切開部が等間隔で備えられ、この第1切開部の長さ方向に沿って「V」字状の第2切開部が等間隔で備えられるアンカー外皮と、内周面に備えられたねじ山を介して前記アンカー本体に螺合され、上端の周りに沿って摩擦力を増大させるための加工部が備えられた締付部材と、全体外周面にねじ山が備えられ、上側が前記締付部材に螺合される全ねじボルトと、前記全ねじボルトの下側に螺合されるハンガーとを含むアンカーボルト組立体;前記ハンガーのハンガーピンとハンガーとの間に結合され、一方向に沿って一定の間隔で配置されるチャンネルバー;前記チャンネルバーの下部でチャンネルバーと直角に配置され、係止具を介して前記チャンネルバーに結合されるパネル固定バー;及び前後両側から上方に突部が一定の高さで形成され、左右両側から上方に嵌め込み突起が備えられ、前記パネル固定バーに取り付けられ、天井表面を遮蔽する仕上げパネルとを含む、天井仕上げパネル固定装置が提供される。
【0022】
このような本発明において、上・下側が開放されて前記全ねじボルトの外部を包むことにより、全ねじボルトが撓むことを防止する補強パイプをさらに含む、天井仕上げパネル固定装置が提供される。
また、このような本発明において、前記ハンガーは、ハンガーの振動が上部のアンカー本体まで伝達されないようにハンガーの内側に緩衝材が備えられる。
また、このような本発明において、前記仕上げパネル同士の間には、ピースが前記パネル固定バーを貫通し、このピースの頭部に磁石が取り付けられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置は、次の効果を持つ。
第一に、組立部品を解体することなく、ハンマーなどのツールの使用なしに天井スラブにアンカー本体を簡便に固定することができる。
第二に、アンカー本体の上面に備えられた多数の先端が尖った突起を介して、施工時にアンカー本体が空転する現象が防止される。
第三に、アンカー本体に備えられた二重ねじ山を介して締付部材を少なく回転させても締付または緩み作用による施工時間が短縮される。
第四に、アンカー外皮の拡張片が拡開されながら切開部が釣り針の返し形状に壁面に食い込んでアンカー外皮が壁面に強く固定される。
第五に、締付部材に備えられた凸凹な形状の加工部を介して、アンカー本体の下部が揺れることを防止することができる。
【0024】
第六に、補強パイプを介して、全ねじボルトが振動や風圧によって撓むことを防止し、ハンガーの内側に備えられた緩衝材を介して、ハンガーの振動が上部のアンカー本体にまで伝達されることを防止することができる。
【0025】
第七に、パネル固定バーを貫通するように隣接の仕上げパネル同士の間にピースを固定し、ピースの頭部が露出しないようにピースの頭部に磁石を取り付けることにより、仕上げパネルの施工や解体にかかる時間を短縮することができ、パネル仕上げされた天井の外部美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来技術による天井仕上げパネル固定装置の一例を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る天井仕上げパネル固定装置の設置状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示された天井仕上げパネル固定装置の断面図である。
【
図5】
図2に示された天井仕上げパネル固定装置の一部分解斜視図である。
【
図6】本発明に係る天井仕上げパネル固定装置におけるアンカーボルト組立体の構成を示す分解斜視図である。
【
図7】
図2に示された天井仕上げパネル固定装置の仕上げパネルを壁面に固定する一実施形態を示す斜視図である。
【
図8】
図2に示された天井仕上げパネル固定装置の仕上げパネルを壁面に固定する他の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る天井仕上げパネル固定装置の一部分解斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る締付部材の平面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る補強パイプの平面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るアンカーボルト組立体を天井に固定するために天井スラブに取付孔を形成するためのハンマードリルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態に係る改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を詳細に説明する。
【0028】
以下で使用された用語や単語は、通常的且つ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0029】
図2は本発明の一実施形態に係る天井仕上げパネル固定装置の設置状態を示す斜視図、
図3は
図2に示された天井仕上げパネル固定装置の断面図、
図4は
図2の「A」部の拡大図である。
【0030】
また、
図5は
図2に示された天井仕上げパネル固定装置の一部分解斜視図、
図6は本発明に係る天井仕上げパネル固定装置におけるアンカーボルト組立体の構成を示す分解斜視図、
図7は
図2に示された天井仕上げパネル固定装置の仕上げパネルを壁面に固定する一実施形態を示す斜視図である。
【0031】
また、
図8は
図2に示された天井仕上げパネル固定装置の仕上げパネルを壁面に固定する他の実施形態を示す斜視図、
図9は本発明の他の実施形態に係る天井仕上げパネル固定装置の一部分解斜視図、
図10及び
図11は本発明の使用状態を示す断面図、
図12は本発明の一実施形態に係る締付部材の平面図、
図13は本発明の一実施形態に係る補強パイプの平面図、
図14は本発明の一実施形態に係るアンカーボルト組立体を天井に固定するために天井スラブに取付孔を形成するためのハンマードリルの写真である。
【0032】
これを参照すると、本発明の一実施形態に係る天井仕上げパネル固定装置は、仕上げパネル200、チャンネルバー300、パネル固定バー400、及びアンカーボルト組立体600を含む。
【0033】
まず、
図3及び
図6を参照すると、アンカーボルト組立体600は、上部が天井スラブに固設され、下部に後述のチャンネル300が結合されるもので、アンカー本体(別名、アンカーボルト)610、アンカー外皮620、締付部材630、全ねじボルト660、補強パイプ670、及びハンガー680を備える。
【0034】
アンカー本体610は、施工時に天井スラブの取付孔(
図10のH)の内部と接触して回転しないように(空転しないように)その上面に多数の三角錐形状の突起612aが90度の間隔を置いてアンカー本体610と一体化されて所定の高さで形成される。これにより、後述する締付部材630の締付時に、突起612aが天井スラブの取付孔Hの最深部に打ち込まれてアンカー本体610の回転(空転する現象)が防止される。
【0035】
本発明の一実施形態では、突起612aが三角錐形状を有するものと示されているが、これに限定されるものではなく、先端が尖った突起形状であれば利用可能である。
【0036】
また、突起612aが備えられたアンカー本体610の上端部から下側に外径が広くなってから再び狭くなり、側面が「<>」形状を有する二重段差部612bが形成され、このような二重段差部612bの下部、すなわちアンカー本体610の胴部の外周面には、締付部材630に螺合されるためのねじ山が形成される。
【0037】
また、アンカー本体610の下端部から上方に向かって二重ねじ山614が一定の高さで形成される。これは、締付部材630を少なく回転させても締付または緩み作用による施工時間を短縮するためである。
【0038】
アンカー外皮620は、上・下側が開放され、アンカー本体610の下側に外挿されるもので、周りに沿って「Y」字状の第1切開部622aが等間隔で形成され、この第1切開部622aの長さ方向に沿って「V」字状の第2切開部622bが等間隔で複数形成されることにより、多数の拡張片622が互いに分離されるように構成される。
【0039】
つまり、拡張片622は、第1、第2切開部622a、622bによって一定の間隔をおいて相互分離されるように構成され、締付部材630の締付作用によってアンカー本体610の二重段差部612bがアンカー外皮620の内側に挿入されるほど拡張片622が拡開される。
【0040】
これにより、
図10及び
図11に示すように、アンカー外皮620が取付孔Hの最深部に向かって上昇して上がってくるとき、アンカー本体610の二重段差部612bの「<>」形状構造と取付孔Hの最深部の「∧」形状構造によってアンカー外皮620の第1切開部622aが左右に「<>」形状に拡開されながらアンカー外皮620の上部がアンカー本体の三角錐突起612a側に折られて集まるようになる。このとき、取付孔Hの壁面側に位置するアンカー外皮620の第2切開部622bが釣り針の返し形状を有し、このような返し形状の部分が取付孔Hの壁面に食い込んでアンカー外皮620が壁面に強く固定される。
【0041】
図14を参照すると、取付孔Hの最深部の「∧」形状構造は、取付孔H形成用ハンマードリル800の尖端部の中央に形成されている「∧」形状の尖端突起810に起因する。
【0042】
これにより、従来とは異なり、アンカーボルト組立体を構成する部品を解体することなく、ハンマーなどのツールの使用なしに締付部材630の締付作用によって天井スラブにアンカーボルト組立体を簡便に固定することができ、作業時間も短縮され、施工後に振動などによってアンカーボルト組立体が天井スラブから離脱することを防止することができる。
【0043】
本発明の一実施形態に係るアンカー本体610とアンカー外皮620を天井スラブ90に固定施工するときは、アンカー本体610の上端部の突起612aによってアンカー本体610の上端部が天井スラブ90に打ち込まれてインパクトドリル(図示せず)でアンカー本体610の下側に螺合された締付部材630を押しながら右に回転させるとき、アンカー本体610は回転せず、アンカー外皮620のみ締付部材630によって締め付けられることによりアンカー外皮620が開かれてアンカー本体610とアンカー外皮620が天井スラブ90に固定される。
【0044】
図6及び
図12を参照すると、締付部材630は、全体的にナット形状であって、内周面に備えられたねじ山を介してアンカー本体610に螺合されるもので、上端の周りに沿って摩擦力を増大させるために加工部632が形成されている。つまり、締付部材630が回転しながら天井スラブ90の取付孔Hに近接するとき、凸凹な形状を有する加工部632が取付孔Hの入口に緊密に密着することにより、アンカー本体610の下部が揺れることを防止することができる。
加工部632は、ローレット加工(knurling)または直線かさ歯車(bevel gear)の歯車形状を持つように構成することができる。
【0045】
全ねじボルト660は、頭部なしでボルトの全体外周面にねじ山が形成される。このような全ねじボルト660の上側が締付部材630の下側に螺合され、締付部材630の上側にアンカー本体610の下側が螺合される。
【0046】
図13を参照すると、角パイプ形状を有する補強パイプ670は、上・下側が開放されて全ねじボルト660、特に長さの長い全ねじボルト660の外部を包むことにより、全ねじボルト660が撓むことを防止する。
【0047】
ハンガー680は、上端の水平折曲部に備えられる上・下1対のナット640によって全ねじボルト660の下側に螺合され、下端は断面「L」字状に二重折曲されて後述のチャンネルバー300に結合される。
【0048】
前記二重折曲されたハンガー680部分は、ハンガーピン682が水平に挿入されて二重折曲された部分を保持し、ハンガーピン682とハンガー680との間に断面「コ」字状のチャンネルバー300が結合される。
【0049】
図3乃至
図5を参照すると、チャンネルバー300は、パネル固定バー400の上部で一方向に沿って一定の間隔を置いて長く配置されるもので、パネル固定バー400に両端部が係止される係止具420によって抜けないように結合される。
【0050】
図3及び
図4に示すようにチャンネルバー300、パネル固定バー400、係止具420が接触する部分はピース710で連結することにより、係止具420が抜けた場合、パネル固定バー400がチャンネルバー300から離脱しないようにする。
【0051】
また、ハンガー680の内側には緩衝材684が取り付けられることにより、ハンガーの振動が他の部品を介して上部のアンカー本体610にまで伝達されないようにする。
【0052】
図2乃至
図4を参照すると、パネル固定バー400は、略逆三角形の形状を備えるが、上部の左右頂点部分は、互いに重畳した状態で外側端が下方に折り曲げられ、この折曲部位に係止具420の両端部が係止され、下部中央の頂点部分は凹凸形状に突き合わせられ、隣接する仕上げパネル200の端部に形成された嵌め込み突起220が前記凹凸形状の頂点に嵌め込まれる。
【0053】
図8及び
図9に示すように、隣接する仕上げパネル200同士の間には、ピース710がパネル固定バー400を貫通するように連結された状態で、ピース710の下部に磁石720を当てて(付着させて)、ピース710の頭部が見えないようにする。これにより、仕上げパネル200の交換時に分解及び設置を従来のカバー使用時よりも容易にすることができ、
パネル仕上げされた天井の外部美観も向上する。
【0054】
パネル固定バー400は、チャンネルバー300の下部でチャンネルバーと直角で長く配置され、前述したように、係止具420を介してチャンネルバー300に結合される。また、
図2に示すように、パネル固定バー400を補強するために、パネル固定バーの内側にパネル固定バーのような形状、すなわち逆三角形状のジョイント430をさらに備えることができる。
【0055】
図8に示すように、パネル固定バー400に取り付けられる仕上げパネル200は、不燃鉄板、アルミ板、熱硬化性樹脂板またはPVC系の板からなり、前後両側から上方に突部210が一定の高さで形成され、左右両側から上方に嵌め込み突起220が形成される。
仕上げパネル200の嵌め込み突起220は、パネル固定バー400の下部中央の頂点部分に挿入された状態で抜けないように上部を太く形成する。
【0056】
図5および
図9に示すように、突部210は、終端部に行くほど高さが低くなって左右両端部にパネル固定バー400が位置する半溝214が形成され、この半溝は、隣接する他の仕上げパネル200の半溝と一緒に完全な溝を形成する。
【0057】
突部210には長孔の係止孔212が形成され、隣接する仕上げパネル200の突部210同士の間の溝にパネル固定バー400が置かれた状態で、一つの仕上げパネル200の係止孔212に係止具410の一端が係止され、その係止具410がパネル固定バー400の上部を対角線に横切って他の仕上げパネル200の係止孔212に係止されることにより、パネル固定バー400に仕上げパネル200が取り付けられるので、仕上げパネル200の下部では係止具410が露出しない。
【0058】
また、
図5に示すように、仕上げパネル200の上部に断熱材または吸音溝502付き吸音材500を結合させることができる。断熱材または吸音材500は、再生紙にパルプや不織布を合わせて板状に作ることができる。
【0059】
図7を参照すると、仕上げパネル200を天井スラブに固定するときに最外側に位置した仕上げパネル200の側端部を一側壁面に固定し、他側壁面に向かって上述の装置と方式を用いて仕上げパネル200を固定する。
【0060】
他側壁面に至った場合、仕上げパネル200が他側壁面に当接すれば、関係がないが、所定の大きさに一括製造される仕上げパネル200が他側壁面に当接しなければ、仕上げパネル200を一部切断して他側壁面に固定しなければならない。
【0061】
このように仕上げパネル200を切断する場合、
図7に示すように、アルミニウムやPVC、鉄材料でできた「コ」字状のモールディング130を壁面に取り付け、切断された仕上げパネル200を「コ」字状のモールディング130の床上に位置させるが、PVC系の弾性があるホールドダウンクリップ140を用いて上方から押して動かないようにする。
【0062】
ホールドダウンクリップ140には、スリット(
図7の142)が形成されて「コ」字状のモールディング130の上部に嵌合された状態で仕上げパネル200を安定的に押す。
【0063】
図8を参照すると、仕上げパネル200を切断しない場合は、図示の如く、アルミニウムでできた「コ」字状のモールディング130を壁面120に取り付け、仕上げパネル200を「コ」字状のモールディング130の間に挟む。
【0064】
図9を参照すると、パネル固定バー400が仕上げパネル200の突部210の半溝214に装着された状態で、ピース710がパネル固定バー400を貫通した後、磁石720が取り付けられる。
【0065】
図10及び
図11を参照すると、コンクリート天井スラブ90の下部に、例えばスチロフォーム材質の断熱材150が施工されている場合、断熱材150の厚さよりも長いアンカー外皮620をアンカー本体610に嵌めて締付部材630を締め付けて施工する。特に湿気の多い屋内プールや浴場、サウナなどの天井には、錆がつかない材質のアンカーボルト組立体600を使用する。
【0066】
これまで本発明に係る改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置を図面を参照して説明したが、本明細書に開示された実施形態と図面によって本発明が限定されず、発明の技術思想の範囲内で当業者によって様々な変形が行われ得るのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る改善されたアンカーボルト組立体及びこれを含む天井仕上げパネル固定装置は、コンクリートなどの粗い天井表面を遮蔽するか、或いは建物室内の保温のために、または天井に設置された電気配線などが露出しないように仕上げ処理するのに必要なものであって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0068】
90 天井スラブ
120 壁面
130 モールディング
140 ホールドダウンクリップ
142 スリット
150 断熱材
200 仕上げパネル
210 突部
212 係止孔
214 半溝
220 嵌め込み突起
300 チャンネルバー
400 パネル固定バー
410、420 係止具
430 ジョイント
500 吸音材
502 吸音溝
600 アンカーボルト組立体
610 アンカー本体
612a 突起
612b 二重段差部
614 二重ねじ山
620 アンカー外皮
622 拡張片
622a 第1切開部
622b 第2切開部
630 締付部材
632 加工部
640 ナット
660 全ねじボルト
670 補強パイプ
680 ハンガー
682 ハンガーピン
684 緩衝材
710 ピース
720 磁石
800 ハンマードリル
810 尖端突起