(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】金属製コンクリート基礎型枠装置
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20220314BHJP
E04G 9/06 20060101ALI20220314BHJP
E04G 11/06 20060101ALI20220314BHJP
E04G 17/04 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
E02D27/01 C
E04G9/06
E04G11/06 A
E04G17/04 A
(21)【出願番号】P 2017179521
(22)【出願日】2017-08-31
【審査請求日】2020-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517328712
【氏名又は名称】橋爪 啓二
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 啓二
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-035804(JP,U)
【文献】特開平08-291623(JP,A)
【文献】実開昭58-118150(JP,U)
【文献】特開2005-120617(JP,A)
【文献】特開平05-255988(JP,A)
【文献】特開2005-105583(JP,A)
【文献】実開昭58-055141(JP,U)
【文献】特開平08-193415(JP,A)
【文献】特開平08-303003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
E04G 9/00-19/00
25/00-25/08
E04B 2/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
▲1▼金属薄板を折り曲げ加工により、四辺形面板の上下端部及び左右端部を夫々直角に折返して
四辺形面板側が開口する外側コ字型縁部を形成し、且
つ内側の上下及び左右のコ字型縁部の
該夫々の開口が四辺形面板側に同方向となる様、外側コ字型縁部に重畳してスポット溶接される内側の上下及び左右コ字型縁枠とで構成された金属製四辺形枠体と、
▲2▼この金属製四辺形枠体の内側上下コ字型縁枠間で、而も左右内側コ字型縁枠に平行して橋渡しされると共に、その上下端を内側上下コ字型縁枠に溶接された金属製の複数本の縦中桟とで金属製面板型枠を構成し、
▲3▼この金属製面板型枠の四辺形面板を互いにコンクリート打設巾の一定空間で対面させ、更に該金属製四辺形枠体の左右各々のコ字型縁枠に対峙する外側コ字型縁部を有する内外側コーナ連結枠と、
▲4▼更に丸棒軸、この丸棒軸を
一端片に直立させ、且つこの
一端片と一体的に折曲して形成されると共に、コ字型部を有する金属板にて一体的に折曲形成されたホルダーとで成し、
▲5▼而も、前記金属製面板型枠を水平方向に所用枚数配列した際、該隣接する金属製四辺形枠体相互の左右コ字型縁枠の所定高さ位置に設けられた連結小孔に、前記ホルダーの丸棒軸を横方向から挿入して回動すると共に、金属板のコ字型部にて左右コ字型縁枠を挟持することを特徴とした金属製コンクリート基礎型枠装置。
【請求項5】
前記内外側コーナ連結枠は、L字形で、而もその両側端に、金属製四辺形枠体の左右コ字型縁枠の側面と対面するコ字型縁部を形成し、前記金属製四辺形枠体の左右コ字型縁枠の側面と対面する外側面には該金属製四辺形枠体の左右コ字型縁枠の連結小孔に対応する連結小孔を設けており、この両連結小孔にホルダーの丸棒軸を横方向から挿入して回動すると共に、金属板のコ字型部にて直交するコ字型縁枠を夫々挟持することを特徴とした請求項1~4記載の何れか1記載の金属製コンクリート基礎型枠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に戸建住宅、店舗店等の小規模建屋のコンクリート基礎用金属型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
この種金属製コンクリートの基礎型枠は、JISにより長さ、高さ寸法の基準が示されており、これをベースにその時代、材料等に応じ、基準の範囲内を対応している。
勿論、この金属製コンクリート基礎型枠を構成する金属材料の板厚までは規定しておらず、現場作業における組立、特に解体時に於いてはバール等にて金属製型枠を強引にこじ開け、使用頻度に比例して変形し、その後の基礎型枠の組み立てに支障が伴うと共に、変形によりコンクリート基礎の仕上げ精度・品質にも影響を及ぼすことは否定できない。
又、金属材料の板厚を厚くすれば、相応の効果が期待できるが、反面重量物としての現場への輸送、現場での重機投入、最終的には作業員の手作業が伴うことからも、より軽量化が望まれ、板厚を極力薄くすることは極めて当然の思いでもある。
【0003】
更に、これに付随して基礎型枠の組立て、解体も今日の労働力不足の社会事情からして当然に希求すべき社会的課題であり、この種金属製基礎型枠としては、多くの周知技術が存在することは否定できず、その一例として下記特許文献1、2、3、4が顕在である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-193334号公報
【文献】特開2004-116135号公報
【文献】特開2011-157778号公報
【文献】特開2019-44558号公報
而して、特許文献1は、確かに金属薄板の上下端を折り曲げ、四辺形面板とし、その上下端部をコ字型に折曲げ、コ字型の左右縦縁枠を配して接合しているが、それら四辺形面板、左右縦縁枠とは別物を夫々接合(溶接と推測)している。特に
図9、
図11の実施例としとは、つぶし曲げ(ヘミング加工)が示されている。
特に、コンクリート基礎の長さに対応してこの金属製面板型枠を水平方向に所要枚数配列することに対応し、該隣接する金属製四辺形枠体相互の左右コ字型縁枠の所要高さ位置に連結小孔を設け、この小孔に対応する小孔を有する縦桟を左右コ字型縁枠に対面して直立させ、両小孔間に丸棒にて形成されたホルダーの軸を挿通すると共に、丸棒のコ字型部をその縦桟と左右コ字型枠間に介在する様、組み込んでいる。
【0005】
即ち、この丸棒ホルダーは金属製面板型枠と一体不可分となっており、分離されないことから、例えば繰り返し使用での破損、特に丸棒ホルダーは保管、或いは輸送中に不用意にスライドして破損する虞があり、破損した丸棒ホルダーは取替不可能なことから、その破損した丸棒ホルダーが邪魔になって金属製面板型枠の水平方向への配列に支障を来す虞がある。
勿論、この特許文献1には、コンクリートの打設高さに対応させて、金属製面板型枠を縦方向に所用枚数積層配列する具体的技術は開示されていない。
【0006】
次に特許文献2は、確かにホルダーは取替え可能にしているが、一方は全体を板材にて形成し、更に他方は丸棒にて一体としたものであって,前者は単に板材のバネ圧のみに頼ることから、長期の使用に耐え得るか疑問が残り、又、丸棒にて一体に形成されているものについては、その板材に比し弾性に劣り、長期使用での問題が危惧される。
特許文献3については、概ね特許文献1に類すると言える。
そこで、更なる技術的課題を克服することを意図した。
即ち、特許文献4は、確かにホルダーを金属製面板型枠と分離させることによって、作業現場への輸送中においてホルダーが邪魔になって破損することがない反面、ホルダーの保管、所要数の把握等に煩わしさが伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ホルダーが金属製面板型枠と一体不可分となっていることから、破損しホルダーが邪魔になって、金属製面板型枠の水平方向への配列に支障を来す虞れがあること、更にはホルダー全体を板材にて形成して挟持にのみ頼ることからの長期使用の信頼性欠如等の課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、金属薄板を折り曲げ加工により、四辺形面板の上下端部及び左右端部を夫々直角に折返して四辺形面板側が開口する外側コ字型縁部を形成し、且つ内側の上下及び左右のコ字型縁部の該夫々の開口が四辺形面板側に同方向となる様、外側コ字型縁部に重畳してスポッ卜溶接される内側の上下及び左右コ字型縁枠とで構成された金属製四辺形枠体と、この金属製四辺形枠体の内側上下コ字型縁枠間で、而も左右内側コ字型縁枠に平行して橋渡しされると共に、その上下端を内側上下コ字型縁枠に溶接された金属製の複数本の縦中桟とで金属製面板型枠を構成し、この金属製面板型枠の四辺形面板を互いにコンクリート打設巾の一定空間で対面させ、更に該金属製四辺形枠体の左右各々のコ字型縁枠に対峙する外側コ字型縁部を有する内外側コーナ連結枠と、更に丸棒軸、この丸棒軸を一端片に直立させ、且つこの一端片と一体的に折曲して形成されると共に、コ字型部を有する金属板にて一体的に折曲形成されたホルダーとで成し、而も、前記金属製面板型枠を水平方向に所用枚数配列した際、該隣接する金属製四辺形枠体相互の左右コ字型縁枠の所定高さ位置に設けられた連結小孔に、前記ホルダーの丸棒軸を横方向から挿入して回動すると共に、金属板のコ字型部にて左右コ字型縁枠を挟持することを特徴とするものである。
【0009】
更に本発明は、金属製面板型枠は、コンクリートの打設高さに対応させて、縦方向に所用枚数積層配列した際、該上下に隣接する金属製四辺形枠体相互の上下コ字型縁枠の所定位置に設けられた連結小孔に、ホルダーの丸棒軸を縦方向から挿入すると共に、金属板のコ字型部にて上下コ字型縁枠を挟持することを特徴とするものである。
【0010】
更に本発明は、内外側コーナ連結枠は、金属製四辺形枠体の左右コ字型縁枠の連結小孔に対応して連結小孔を設けており、この両連結小孔にホルダーの丸棒軸を横方向から挿入して回動すると共に、ホルダーのコ字型部にて隣接するコ字型縁枠を夫々挟持することを特徴とするものである。
【0011】
又本発明は、金属製面板型枠は、上下コ字型縁枠間に橋渡しされた複数本の縦中桟枠に複数個のナットを装備し、金属製面板型枠が上下に積層された際、その上下に亘って連結杆を橋渡しすると共に、該連結杆にボルトを挿通して前記ナットとで連結杆と縦中桟とを締結したことを特徴するものである。
【0012】
又本発明は、内外側コーナ連結枠は、L字形で、而もその両側端に、金属製四辺形枠体の左右コ字型縁枠の側面と対面するコ字型縁部を形成し、前記金属製四辺形枠体の左右コ字型縁枠の側面と対面する外側面には該金属製四辺形枠体の左右コ字型縁枠の連結小孔に対応する連結小孔を設けており、この両連結小孔にホルダーの丸棒軸を横方向から挿入して回動すると共に、金属板のコ字型部にて直交するコ字型縁枠を夫々挟持するとを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1により、従来の様にホルダーが金属製面板型枠と一体不可分となっていることからの問題点、即ち破損したホルダーがそのまま残存し、邪魔になって金属製面板型枠の配列に支障が来たす様なことがなく、而も金属製面板型枠と部品としてホルダーとを個々に分離保管管理、更には輸送できるから、金属製面板型枠の側部からホルダーが食み出さず、整然と積み重ねられ、特に作業現場での整理整頓にも繋がると共に、施工性に優れる。
更にホルダーは回転機能部分と、金属製面板型枠相互を保持する機能部分とに区分したことにより、それぞれの機能に応じ長期間の使用に耐えられ、且つ金属製面板型枠相互を保持する機能部分は、板状のためバネ性に富み、ホルダー全体を丸棒にて一体に形成するものに比し、金属製面板型枠相互をそのバネ力にて、より的確に連結保持し、長期使用の信頼性に応える。
【0014】
(2)請求項2により、上記横方向への基礎構築に加え、コンクリートの打設高さに対応させて縦方向に所用枚数積層配列する際、該上下に隣接する金属製四辺形枠体相互の上下コ字型縁枠の所定位置に設けられた連結小孔に、同一のホルダーを使用して丸棒軸を縦方向から挿入して上下金属製面板型枠相互を積層連結できるから、ホルダーは一種類でよく、縦方向構築用と横方向構築用とに別々とするものに比し、制作、保管が容易となる。
【0015】
(3)請求項3により、同一のホルダーを使用して、更に内外側コーナ連結枠をも連結できる。
【0016】
(4)請求項4により、所望により基礎を高くする場合は、金属製面板型枠を積層すると共に、その縦中桟枠にボルトを締め付けて固定することによって、同一金属製面板型枠を用いて対応でき、形状の異なる金属製面板型枠を個々に制作、保管するものに比し製造上、在庫管理上等からも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】金属製コンクリート基礎型枠の概略を示す平面図
【
図4】同上のホルダーにより縦方向に積層された拡大断面図
【
図5】同上の上下基礎型枠間に連結杆を橋渡した拡大断面図
【
図6】同上の上下基礎型枠間へのホルダー装着前の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を実施形態の図面に基づいて説明する。
図1は、金属製コンクリート基礎型枠装置の概略を示す平面図であって、内側金属製四辺形枠体1と外側金属製四辺形枠体1とを対面させ、セパレータSによって所望のコンクリート打設巾Tとなる様、一定空間を構築する。
而して、この内外側金属製四辺形枠体1は、
図4に示す如く、以下の様に構成される。
即ち、金属薄板を折り曲げ加工により四辺形面板2の上下端部2a、2b及び左右端部2c、2dを夫々直角に折返して四辺形面板2側が開口3aする外側コ字型縁部3を形成し、且つ該外側コ字型縁部3の開口3aとコ字型縁枠4の開口4aとを同方向となる様、
図4に示す如く、重畳してスポット溶接Spする。
【0019】
更に
図3及び
図4示す如く、内側及び外側の金属製四辺形枠体1は、上下に積層されたコ字型縁枠4及び左右に配列された左右コ字型縁枠4にて四辺形に形成して構成しており、所望により基礎を高くする場合は、金属製面板型枠Pを積層して、その縦中桟枠5に橋渡された連結杆6を縦中桟枠5にボルト7に固定する。ナット8が縦中桟枠5に備えられている。
【0020】
この金属製面板型枠Pの四辺形面板2が互いにコンクリート打設巾となる一定空間Tで対面させ、該金属製四辺形枠体1の左右各々のコ字型縁枠4に対峙する内外側コーナ連結枠9を夫々対峙させており、内外側コーナ連結枠9の外側面には該金属製四辺形枠体1の左右コ字型縁枠4の連結小孔10に対応する連結小孔10を設けている。
【0021】
図9は、内外側金属製四辺形枠体1を相互に、更には内外側連結枠9との連結用ホルダーHを示し、金属製の丸棒軸11を一端片12に直立させ、且つこの一端片12と一定間隔Cを介して平行対面する他端片13及び両片12、13を連ねると共に、丸棒軸11と平行する連結片14とでコ字型部15を形成しており、この金属製の両片12、13の間隔は金属板の撓みによりバネ性を発揮することとなる。
更に、連結片14には連結用のホルダーHの取り外しに際し、バールBの差込のガイドとなる凹部16が形成されており、この連結用のホルダーHは、
図6~
図8に示す順序で、隣接する金属製四辺形枠体1相互を連結する。
【基礎施工順序】
【0022】
次に本発明金属製コンクリート基礎型枠装置に係る基礎型枠の施工順序を説明すると、先ず
図1は金属製コンクリート基礎型枠の概略を示す平面図であって、所望の設定されたコンクリート打設巾Tに適応するセパレータSによって内側金属製四辺形枠体1と外側金属製四辺形枠体1とを仮設置する。
続いて、
図2に示す外側コーナ連結枠9、更には内側コーナ連結枠9(対称形のため図示せず)と内外側金属製四辺形枠体1、2とを対面させ、夫々の左右コ字型縁枠4、4と外側コーナ連結枠9とを仮設置すると共に、
図6、7、8に示す順序
にて連結用のホルダーHの金属製の丸棒軸11を夫々の連結小孔10に挿入して連結する。
【0023】
この連結は連結用のホルダーHのコ字型部15は板状のため、その弾性にて左右コ字型縁枠4、4と外側コーナ連結枠9とは堅固に連結される。
勿論、その後の解体に於いては、
図9に示す如く、バールBをコ字型部15に差込み抉じ開ける。
更に、所望により基礎を高くする場合は、
図3に示す如く金属製面板型枠Pを積層すると共にその縦中桟枠5に橋渡された連結杆6を縦中桟枠5にボルト7を締め付けて固定する。
【符号の説明】
【0024】
S セパレータ
T コンクリート打設巾
C 一定間隔
H ホルダー
P 金属製面板型枠
B バール
1 金属製四辺形枠体
2 四辺形面板
3 外側コ字型縁部
4 上下コ字型縁枠
5 縦中桟
6 連結杆
7 ボルト
8 ナット
9 内外側連結枠
10 連結小孔
11 丸棒軸
12 一端片
13 他端片
14 連結片
15 コ字型部
16 凹部