(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】チップ型金属板抵抗器製造方法
(51)【国際特許分類】
H01C 17/00 20060101AFI20220314BHJP
B23K 20/10 20060101ALI20220314BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
H01C17/00 100
B23K20/10
H01C13/00 J
(21)【出願番号】P 2018004411
(22)【出願日】2018-01-15
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390003322
【氏名又は名称】進工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593203103
【氏名又は名称】株式会社中立
(73)【特許権者】
【識別番号】514310464
【氏名又は名称】江口 由夫
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】江指 正夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 広重
(72)【発明者】
【氏名】江口 由夫
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特許第4292711(JP,B2)
【文献】特開2009-244065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0174522(US,A1)
【文献】特開2000-114009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 17/00
B23K 20/10
H01C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する金属板で抵抗体1を成形し、該抵抗体1の、少なくとも、片面の両端にそれぞれ設ける一対の電極2を、前記抵抗体1の電気伝導率と同等または前記抵抗体1の電気伝導率より大きい電気伝導率を有する金属により前記抵抗体1とは別体で形成し、前記電極2は、電極2の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の接合チップ6を当接させて超音波振動させ、電極2と抵抗体1とを固相接合させるチップ型金属板抵抗器製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記抵抗体1の両端に表側から裏側に貫通する透孔15を穿孔し、前記電極2は所定の大きさであって所定形状のフランジ部16と該フランジ部16の所定位置に起立する起立部17とを一体状に成形し、前記抵抗体1の各透孔15に各電極2の起立部17を厚入し、次に、前記電極2のフランジ部16に該フランジ部16の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の接合チップ6を当接させ、この接合チップ6を超音波振動させて前記フランジ部16と前記抵抗体1との当接面を超音波接合面12として固相接合させるチップ型金属板抵抗器製造方法。
【請求項3】
請求項1において、前記電極2を、抵抗体1の一面に当接する表側板部23および抵抗体1の他面に当接する裏側板部24と、該表側板部23と裏側板部24とを連結する連結部25を有して断面コ字形状に、抵抗体1とは別体でそれぞれ成形し、前記各電極2の表側板部23と裏側板部24の間の溝26を、抵抗体1の両端に嵌合させ、次に、各電極2の表側板部23に該表側板部23の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の一方側接合チップ6を当接させ、各電極2の裏側板部24に該裏側板部24の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の他方側接合チップ11を当接させ、一方側接合チップ6と他方側接合チップ11とを同時に超音波振動させて抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24との当接面を超音波接合面12として固相接合するチップ型金属板抵抗器製造方法。
【請求項4】
請求項3において、前記各電極2の表側板部23と裏側板部24とは同じ長さまたは前記各電極2の表側板部23を裏側板部24より長く成形し、あるいは、裏側板部24の厚さを所定厚さとし、該裏側板部24の厚さより表側板部23の厚さを薄くしたチップ型金属板抵抗器製造方法。
【請求項5】
請求項1において、前記電極2を、抵抗体1の一面に当接する表側板部23および抵抗体1の他面に当接する裏側板部24と、該表側板部23と裏側板部24とを連結する連結部25とを有すると共に、前記表側板部23を一対の連結部25を連結するように一枚板状に成形し、この電極2を抵抗体1の外周に密着嵌合させ、次に、表側板部23の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の一方側接合チップ6を各電極2の表側板部23に当接させ、裏側板部24の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の他方側接合チップ11を各電極2の両端の裏側板部24に当接させ、一方側接合チップ6と他方側接合チップ11を同時に超音波振動させて抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24との当接面を超音波接合面12として固相接合するチップ型金属板抵抗器製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の電流値検出等に使用されるチップ型金属板抵抗器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のチップ型金属板抵抗器は、金属板で構成された抵抗体と、この抵抗体の下面の両端部に設けられた金属からなる一対の電極とを備え、この電極は抵抗体に摩擦熱による溶着する構成は、公知である(特許文献1参照)。
また、従来、抵抗体と、一対の電極とを、超音波接合により取付ける構成は、公知である(特許文献2参照)。
この公知例では、電極の上面に所定形状の凹部を形成することを目的とし、この凹部の存在により基板に対する実装強度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-52425号公報
【文献】特開2008-182079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち前者のものは、抵抗体と電極との接合が良好でなく、抵抗値の低いチップ型金属板抵抗器を提供できないという課題がある。
すなわち、前者の公知例の接合方法では、当接面の不純物の除去が十分でないこと、当接面が不均一になって、抵抗体の抵抗とは別に電気の流れに抵抗が生じ、その分、所望の低い抵抗値のチップ型金属板抵抗器が得られないのである。
前記公知例のうち後者のものは、単に、電極に凹部を形成することを目的としているので、抵抗値の低いチップ型金属板抵抗器を提供できないという課題がある。
なお、後者の公知例には、電極と抵抗体との固定手段に、超音波接合を使用する旨が記載されているが、電極と抵抗体との固定手段の一手段に過ぎず、溶接やクラッド接合等であっても良いとの認識であるから、抵抗値の低いチップ型金属板抵抗器を得るための超音波接合という手段を選択するという着想はなく、これを示唆する記載も無い。
また、後者の公知例の凹部は各図に図示されているように、電極の面積に対して小さく、所謂スポット溶接のようであって、電極が全面的に抵抗体に接合していないと思われ、このことから、電極と抵抗体との接合面積も小さく、この点で、電気の流れに抵抗が生じ、その分、所望の低い抵抗値のチップ型金属板抵抗器が得られないという課題がある。
しかし、この超音波接合を有効活用すると、抵抗値の小さいチップ型金属板抵抗器が得られることを知見した。
本願は、チップ型金属板抵抗器の構成を工夫し、0.1ミリオーム以下という小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、導電性を有する金属板で抵抗体1を成形し、該抵抗体1の、少なくとも、片面の両端にそれぞれ設ける一対の電極2を、前記抵抗体1の電気伝導率と同等または前記抵抗体1の電気伝導率より大きい電気伝導率を有する金属により前記抵抗体1とは別体で形成し、前記電極2は、電極2の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の接合チップ6を当接させて超音波振動させ、電極2と抵抗体1とを固相接合させるチップ型金属板抵抗器製造方法としたものである。
請求項2の発明は、前記抵抗体1の両端に表側から裏側に貫通する透孔15を穿孔し、前記電極2は所定の大きさであって所定形状のフランジ部16と該フランジ部16の所定位置に起立する起立部17とを一体状に成形し、前記抵抗体1の各透孔15に各電極2の起立部17を厚入し、次に、前記電極2のフランジ部16に該フランジ部16の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の接合チップ6を当接させ、この接合チップ6を超音波振動させて前記フランジ部16と前記抵抗体1との当接面を超音波接合面12として固相接合させるチップ型金属板抵抗器製造方法としたものである。
請求項3の発明は、前記電極2を、抵抗体1の一面に当接する表側板部23および抵抗体1の他面に当接する裏側板部24と、該表側板部23と裏側板部24とを連結する連結部25を有して断面コ字形状に、抵抗体1とは別体でそれぞれ成形し、前記各電極2の表側板部23と裏側板部24の間の溝26を、抵抗体1の両端に嵌合させ、次に、各電極2の表側板部23に該表側板部23の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の一方側接合チップ6を当接させ、各電極2の裏側板部24に該裏側板部24の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の他方側接合チップ11を当接させ、一方側接合チップ6と他方側接合チップ11とを同時に超音波振動させて抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24との当接面を超音波接合面12として固相接合するチップ型金属板抵抗器製造方法としたものである。
請求項4の発明は、前記各電極2の表側板部23と裏側板部24とは同じ長さまたは前記各電極2の表側板部23を裏側板部24より長く成形し、あるいは、裏側板部24の厚さを所定厚さとし、該裏側板部24の厚さより表側板部23の厚さを薄くしたチップ型金属板抵抗器製造方法としたものである。
請求項5の発明は、前記電極2を、抵抗体1の一面に当接する表側板部23および抵抗体1の他面に当接する裏側板部24と、該表側板部23と裏側板部24とを連結する連結部25とを有すると共に、前記表側板部23を一対の連結部25を連結するように一枚板状に成形し、この電極2を抵抗体1の外周に密着嵌合させ、次に、表側板部23の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の一方側接合チップ6を各電極2の表側板部23に当接させ、裏側板部24の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の他方側接合チップ11を各電極2の両端の裏側板部24に当接させ、一方側接合チップ6と他方側接合チップ11を同時に超音波振動させて抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24との当接面を超音波接合面12として固相接合するチップ型金属板抵抗器製造方法としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、電極2の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の接合チップ6を超音波振動させて抵抗体1と電極2とを接合するので、抵抗体1と電極2との固相接合部分の面積を大きく(広く)でき、これにより電気が流れる際の電気抵抗を少なくし、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tを提供することができる。
請求項2の発明では、電極2のフランジ部16の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の接合チップ6を超音波振動させて抵抗体1と電極2とを接合するので、抵抗体1と電極2との固相接合部分の面積を大きく(広く)でき、これにより電気が流れる際の電気抵抗を少なくし、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tを提供することができ、また、抵抗体1の透孔15に電極2の起立部17を圧入しているので、取付強度を向上させることができる。
請求項3の発明では、抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24のそれぞれとの当接面を超音波接合面12として固相接合するので、抵抗体1に対する電極2の容積比率を大きくでき、より一層、低い抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tを提供できる。
請求項4の発明では、抵抗体1に対する電極2の容積比率を簡単に大きくでき、より一層、低い抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tを提供でき、また、裏側板部24の厚さを表側板部23の厚さより厚くすると、抵抗板1の下面と基板Kとの間の空間を大きくすることができ、基板Kへの実装を容易にすることができる。
請求項5の発明では、電極2の表側板部23は連結部25を連結するように一枚板状に成形しているので、抵抗体1に対する電極2の容積比率を簡単に大きくでき、より一層、低い抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tを提供でき、しかも、抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24との当接面を超音波接合面12として固相接合する抵抗体1と電極2との固相接合部分の面積を大きく(広く)でき、これにより電気が流れる際の電気抵抗を少なくし、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】チップ型金属板抵抗器の平面図および正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の方法を実施しうる実施形態を図面を用いて説明する。1はチップ型金属板抵抗器の抵抗体であり、銅ニッケル合金、ニッケルクロム合金あるいは銅マンガンニッケル合金等からなる板状あるいは帯状の金属体を、切断、打ち抜き加工およびプレス加工等をして、体積抵抗率、断面積および長さから求められる所望の抵抗値を有する板状の所定形状に形成する。
【0009】
また、本発明の要件ではないが、この抵抗体1の全面または一部にはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の絶縁材からなる保護膜(図示省略)を形成してもよい。
また、抵抗体1には抵抗値調整用の切欠き(図示省略)を形成してもよい。
【0010】
なお、理解を容易にするために、表裏・左右・上下等の方向を便宜的に用いて説明するが、製造工程やチップ型金属板抵抗器Tが装着された基板Kの向き、あるいは、基板Kの装着される製品の向きにより、方向は相対的に変化するものであり、方向を用いた以下の説明により、本発明の構成は限定されない(
図1における抵抗体1の長さ方向を左右方向として説明している。)。
【0011】
抵抗体1の片面の左右両側(両端)には、一対の電極2を取付ける。電極2は抵抗体1の電気伝導率と同等または抵抗体1の電気伝導率より大きい電気伝導率を有する銅、銀、金、アルミニウム、銅ニッケルあるいは銅亜鉛等の金属からなる板状あるいは帯状の金属体を、切削、鋳造、鍛造、プレス加工、引き抜き加工等して、抵抗体1とは別体で形成する。
【0012】
前記電極2は、少なくとも、前記抵抗体1の左右両側の片面(上面)に載置した状態で(
図7)、電極2の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の接合チップ6を電極2に当接させて超音波振動させて、電極2と抵抗体1とを固相接合させる。
【0013】
そのため、抵抗体1と電極2との固相接合部分の面積を十分に確保でき、これにより電気が流れる際の電気抵抗を少なくし、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tを提供することができる。
【0014】
すなわち、電極2は抵抗体より電気伝導率の高い一般に導電性にすぐれている金属を使用するので、チップ型金属板抵抗器Tの抵抗値を低くするためには、電極2に対する抵抗体1の容積比を大きくする手法がとられるが、本発明では、電極2に対する抵抗体1の容積比を確保しつつ、併せて、固相接合面積も十分に確保することにより、電極2から抵抗体1に電気が流れる際の電気抵抗を少なくして、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tとしている。
【0015】
電極2を超音波接合させる超音波溶接機5の構成は任意であるが、一例を示すと、
図6(A)のように、超音波溶接機5の接合チップ6をリード7に取付け、リード7はウェッジ8により振動させる構成としている。ウェッジ8はトランスデューサ9により振動が付与される。10はリード7の基部の振動を吸収するマスである。
【0016】
具体的には、
図1、2に示すように、抵抗体1の左右両側に上下に貫通する透孔15を形成し、各透孔15に前記電極2を取付ける。電極2は下部に所定形状のフランジ部16を設け、フランジ部16の略中央に上方に起立する起立部17を一体状に形成し、抵抗体1とは別体で形成する。
なお、起立部17は複数設けてもよい。
【0017】
電極2は、
図7のように、任意の手段により抵抗体1の透孔15に上から挿入し、電極2のフランジ部16の下面と起立部17の上面とを所謂カシメ固定する。18は抜け止め用のカシメ固定部であり、抵抗板1と電極2との固定強度を向上させられる。
次に、抵抗体1に電極2を嵌めた状態で、フランジ部16と抵抗体1との当接面を超音波により接合する。
【0018】
すなわち、任意の方法で抵抗体1の各透孔15に、電極2の起立部17をそれぞれ圧入させ、抵抗体1から電極2が外れない状態とし、
図7のように、電極2のフランジ部16が上側となるようにして、超音波溶接機5の固定具18により抵抗体1の片面となる上面(一方面1A)と下面(他方面1B)が開放された固定状態となるように装着し、次に、電極2のフランジ部16にフランジ部16の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の接合チップ6を上方から当接させ、この接合チップ6を超音波振動させて前記フランジ部16(起立部17の部分を除いたフランジ部16の全面)と抵抗体1との当接面を超音波接合面12として固相接合する。
【0019】
すると、電極2のフランジ部16と抵抗体1との当接面の油・被膜・汚れが除去され、金属分子が現れて原子運動を盛んにし、拡散による金属原子を移動させ、金属原子相互間が結びつき、抵抗体1と電極2と違う薄い金属層が形成された固相接合となる。
そのため、基板Kに実装する際には、抵抗体1と電極2のフランジ部16とは超音波接合により電気抵抗が生じない電気的に結合し、これにより、これにより電気が流れる際の電気抵抗を少なくし、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tとすることができる。
【0020】
また、この場合のチップ型金属板抵抗器Tは、電極2が抵抗体1の下面側(一方面1A)に設けられたフランジ部16となるので、製品に実装する場合、抵抗体1の上面側に電極2を設けられない制約がある場合有利である。
また、電極2は抵抗体1にカシメ固定されるので、実装された製品が振動環境にあっても安定して作動させられる。
なお、抵抗体1と電極2の固定作業順序は任意であり、超音波接合工程とカシメ工程との順序は反対であってもよい。
【0021】
また、フランジ部16は抵抗体1の前後幅より狭い前後幅を有するものでもよいが、本実施形態では、フランジ部16は抵抗体1の前後幅と同一の前後幅を有して形成する。
そのため、電極2は抵抗板1に対する容積を大きくでき、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tとすることができる。
【0022】
なお、上記抵抗板1の形状は任意であり、抵抗板1の左右幅よりも前後幅を大きくしてもよく、また、抵抗板1の厚さを厚くあるいは薄くしても良く、また、フランジ部16の厚さを厚くしてもよい。
また、電極2の形状も任意であり、フランジ部16の所定位置に起立部17があればよい。
【0023】
図8~
図12はチップ型金属板抵抗器Tの他の実施形態を示し、一対の各電極2を、抵抗体1の上面(一方面1A)に当接する表側板部23および抵抗体1の下面(他方面1B)に当接する裏側板部24と、該表側板部23と裏側板部24とを連結する連結部25を有して断面コ字形状に、抵抗体1とは別体でそれぞれ成形し、表側板部23と裏側板部24の間に溝26を形成する(
図8)。
なお、この実施形態では、抵抗板1の表面側を一方面1Aとし、抵抗板1の裏面側を他方面1Bとしており、表側板部23と裏側板部24の何れかが基板Kに固定されることになり、基板Kに固定された抵抗体1の面が電極2を設けた片面となる。
【0024】
前記各電極2の表側板部23と裏側板部24の間の溝26を、抵抗体1の両端に嵌合させ、この状態で、各電極2の表側板部23に表側板部23の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の一方側接合チップ6(
図7(B)、
図11)を当接させ、各電極2の裏側板部24に該裏側板部24の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の他方側接合チップ11を当接させ、一方側接合チップ6と他方側接合チップ11を同時に超音波振動させて抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24との当接面を超音波接合面12として固相接合する。
【0025】
そのため、抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24の全面との当接面が超音波接合面12となって固相接合部分となるので、これにより電気が流れる際の電気抵抗を少なくし、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tとすることができる。
この場合、前記一方側接合チップ6と他方側接合チップ11とは、同時に互いに反対方向に振幅させる。
これにより、電極2の表側板部23および裏側板部24と抵抗板1との上下2カ所の超音波接合を同時に行える。
【0026】
また、第一実施形態に比し、電極2が表側板部23と裏側板部24を有して、抵抗体1の上下両面に設けられるので、抵抗体1に対する電極2の容積率を増加させることができ、一層、抵抗値の小さいチップ型金属板抵抗器Tを提供できる。
また、この実施形態では、抵抗体1の上下両側に表側板部23と裏側板部24とがそれぞれ電極2として存在するので、チップ型金属板抵抗器Tの電極2の上下位置を考慮せずに、基板Kに実装でき、基板Kへの実装作業を容易にする。
【0027】
また、
図8~
図10では、電極2の表側板部23と裏側板部24を同じ左右長さに形成しているが、
図13は表側板部23を裏側板部24より長く形成している。
そのため、抵抗体1に対する電極2の容積率を増加させることができ、一層、抵抗値の小さいチップ型金属板抵抗器Tとすることができる。
また、
図14、15では、裏側板部24の厚さを所定厚さとし、裏側板部24の厚さより表側板部23の厚さを薄く形成する。
そのため、図示は省略するが、抵抗板1の下面と基板Kとの間の空間を大きくすることができ、基板Kへの実装を容易にする。
【0028】
また、裏側板部24の厚さを表側板部23の厚さよりも厚く形成することにより(
図8、
図15)、抵抗体1に対する電極2の容積率を増加させることができ、一層、抵抗値の小さいチップ型金属板抵抗器Tとすることができる。
なお、この各実施形態において、上記抵抗板1の形状は任意であり、抵抗板1の左右幅よりも前後幅を大きくしてもよく、また、抵抗板1の厚さを厚くあるいは薄くしてもよい。
また、電極2の形状も任意であり、表側板部23と裏側板部24と連結部25の、厚さ・左右長さ・前後長さを、抵抗板1に対して相対的にどのように変更させてもよい。
【0029】
図16~
図21はチップ型金属板抵抗器Tの他の実施形態を示し、前記電極2を、抵抗体1の一方面1Aに当接する表側板部23および抵抗体1の他方面1Bに当接する裏側板部24と、該表側板部23と裏側板部24とを連結する連結部25とを有すると共に、前記表側板部23を一対の連結部25を連結するように一枚板状に成形する。
なお、この実施形態では、抵抗板1の裏面側を一方面1Aとし、抵抗板1の表面側を他方面1Bとしており、抵抗板1の裏面側の一方面1Aに設けた裏側板部24が電極2となって基板Kに固定されることになるので、抵抗板1の裏面側の一方面1Aが抵抗体1の片面となる。
【0030】
この電極2を抵抗体1の外周に嵌合させて、この電極2を抵抗体1の外周に密着嵌合させ、次に、表側板部23の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の一方側接合チップ6を各電極2の表側板部23に当接させ、裏側板部24の面積と同一またはそれ以上の面積を有する超音波溶接機5の他方側接合チップ11を各電極2の裏側板部24に当接させ、一方側接合チップ6と他方側接合チップ11を同時に超音波振動させて抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24との当接面を超音波接合面12として固相接合する。
【0031】
そのため、一方側接合チップ6と他方側接合チップ11を同時に振動させているので、抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24との上下両側を同時に超音波接合して電気的に結合させ、抵抗体1と電極2の表側板部23および裏側板部24の全面との当接面が超音波接合面12となって固相接合部分となるので、これにより電気が流れる際の電気抵抗を少なくし、小さい低抵抗値のチップ型金属板抵抗器Tとすることができる。
【0032】
また、
図8の実施形態に比し、電極2の表側板部23が一枚板状に形成しているので、抵抗体1に対する電極2の容積率を増加させることができ、一層、抵抗値の小さいチップ型金属板抵抗器Tを提供できる。
なお、上記抵抗板1の形状は任意であり、抵抗板1の左右幅よりも前後幅を大きくしてもよく、また、抵抗板1の厚さを厚くあるいは薄くしてもよい。
また、電極2の形状も任意であり、表側板部23と裏側板部24と連結部25の、厚さ・左右長さ・前後長さを、抵抗板1に対して相対的にどのように変更させてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…抵抗体、2…電極、5…超音波溶接機、6…一方側接合チップ、7…リード、8…ウェッジ、9…トランスデューサ、10…、11…他方側接合チップ、15…透孔、16…フランジ部、17…起立部、18…固定具、23…表側板部、24…裏側板部、25…連結部、26…溝。