(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2017059507
(22)【出願日】2017-03-24
【審査請求日】2019-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相坂 昌範
(72)【発明者】
【氏名】荒井 孝太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩司
【審査官】進藤 利哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144529(JP,A)
【文献】特開2015-003210(JP,A)
【文献】特開2016-064067(JP,A)
【文献】特開2015-163380(JP,A)
【文献】特開2003-135683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件の成立を契機として当否判定を行う当否判定手段と、
複数の演出要素が順に出力されていく演出であって、ある演出要素が出力された状態から次の演出要素が出力される状態に移行して演出が継続するか否かの分岐となる分岐点が設定される第一演出および第二演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記第一演出および前記第二演出は、いずれも、前記当否判定手段による当否判定結果が当たりである場合には最後の前記演出要素
であって前記第一演出および前記第二演出に共通する態様の最終演出要素が出力される状態まで移行する一方、当否判定結果がはずれである場合には前記最終演出要素が出力される状態まで移行しないものであって、前記最終演出要素の一つ前の前記演出要素である事前演出要素と前記最終演出要素との間に前記分岐点として特定分岐点が設定されたものであり、
前記第一演出は、前記特定分岐点よりも前に前記分岐点が設定されたものであって、前記事前演出要素が出力された状態まで移行するとは限らないものである一方、
前記第二演出は、前記特定分岐点よりも前に前記分岐点は設定されておらず、前記事前演出要素が出力された状態まで移行するものである
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲等を構成する複数の演出要素が順に出力されていく演出を実行することが可能な遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、複数の演出要素が順に出力されていく演出を実行可能な遊技機の趣向性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、複数の演出要素が順に出力されていく演出であって、ある演出要素が出力された状態から次の演出要素が出力される状態に移行して演出が継続するか否かの分岐となる分岐点が設定される第一演出および第二演出を実行する演出実行手段を備え、前記第一演出と前記第二演出とでは、分岐点の設定の態様が異なることを特徴とする。
【0006】
前記第一演出は、演出要素間の全てが前記分岐点として設定されているものであるとよい。
【0007】
前記第二演出は、最終段階の一つ前の演出要素と最終段階の演出要素の間のみが前記分岐点として設定されているものであるとよい。
【0008】
前記複数の演出要素により特定楽曲の少なくとも一部が構成されるとよい。
【0009】
遊技者が当たりの獲得を目指して遊技する遊技状態として、第一遊技状態と当該第一遊技状態とは異なる第二遊技状態が設定されており、前記第一遊技状態においては前記第一演出が発生し、前記第二遊技状態においては前記第二演出が発生するとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の演出要素が順に出力されていく演出を実行可能な遊技機の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる遊技機の正面図である。
【
図2】表示装置(表示領域)に識別図柄が表示された状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0013】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、遊技盤90の後方に設けられており、表示装置91の表示領域911は遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、各図においては、表示領域911を大まかに記載するが、その形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0014】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0015】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0016】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0017】
当否の抽選(当否判定)は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が、
図1に示す始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい)。なお、本実施形態では入賞「口」(入賞した遊技球が内部に取り込まれるもの)であるが、入賞「領域」(入賞した遊技球がそのまま遊技領域902を流下するもの。入賞領域をゲートのような態様としたものが例示できる)であってもよい。始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。また、始動入賞口904は、遊技球の進入が検出されることを契機として所定数の遊技球(いわゆる賞球)が払い出されるものでなくてもよい。
【0018】
当否判定結果が大当たりであるかはずれであるかは、表示装置91の表示領域911に表示される複数種の識別図柄10(
図2参照)の組み合わせによって報知される。具体的には、それぞれが複数種の識別図柄10を含む三つの識別図柄群が変動表示され、各識別図柄群から選択された一つの識別図柄10が停止することにより当該組み合わせが構築される。大当たりを示す組み合わせとしては、同じ識別図柄10の三つ揃いが例示できる。はずれである場合には識別図柄10は大当たりとなる組み合わせ以外の組み合わせで停止する。
【0019】
大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、大入賞口906が頻繁に開放状態となり、遊技者が多くの遊技球(いわゆる出玉)を獲得することができるものである。当該大当たり遊技中には、詳細を後述する複数種の楽曲のいずれかが出力されることになる。なお、上記当否判定や、大当たり遊技における大入賞口906の制御等、いわゆる出玉に直結する制御は、主制御基板に構築された回路によりなされる。一方、詳細を後述する大当たり遊技中に出力される楽曲の制御は、サブ制御基板に構築された回路によりなされる。
【0020】
本実施形態にかかる遊技機1は、演出制御用の基板であるサブ制御基板に構築された回路により、種々の演出が制御される。当該演出の一種として、第一演出31および第二演出32を実行することが可能である。以下、かかる第一演出31および第二演出32について詳細に説明する。
【0021】
第一演出31および第二演出32は、ともに、複数の演出要素が順に出力されていくものであるという点において共通する。本実施形態では、複数の演出要素のそれぞれは、ある楽曲(本発明における特定楽曲に相当する。以下、対象楽曲20と称することもある)の一部である。つまり、第一演出31および第二演出32は、対象楽曲20(同じ楽曲)が音出力手段であるスピーカ92から出力される演出であるということができる。複数の演出要素により、対象楽曲20の少なくとも一部が構成される。なお、本実施形態では対象楽曲20は一種類のみであるが、複数種の楽曲が対象楽曲20として設定されていてもよい。ただし、このように複数種の楽曲が対象楽曲20として設定されている場合であっても、それぞれの楽曲を用いた第一演出31と第二演出32の両方が実行される。つまり、ある楽曲については、第一演出31と第二演出32の一方のみが発生するという構成ではない。
【0022】
図3に示すように、対象楽曲20は、複数の部分に区分けされ、それぞれが演出要素として機能する。本実施形態では、対象楽曲20を構成する楽節が演出要素として設定されている。ここで、「楽節」とは、対象楽曲20をイントロ、Aメロ、Bメロ、サビといった要素に区分けした場合における各部分をいう。つまり、楽曲の歌詞やメロディといったものに基づき、区切の良い個所で区分けした各部分が「楽節」である。本実施形態における対象楽曲20は、イントロ、サビ1、Aメロ、Bメロ、サビ2というように区分けされ、この順で進行するものである。つまり、五つの演出要素から構成されるものとする。以下の説明では、イントロを第一演出要素21、サビ1を第二演出要素22、Aメロを第三演出要素23、Bメロを第四演出要素24、サビ2を第五演出要素25と称する。なお、対象楽曲20を構成する演出要素は、三つ以上であればよい。
【0023】
第一演出31について説明する。
図4に示す第一演出31は、第一演出要素21から順に演出要素が出力されていく演出である。後述するように、かかる点においては、第二演出32も同様である。第一演出31においては、ある演出要素が出力される状態から、次の演出要素が出力される状態に移行して演出が継続するか否かの分岐点が設定される。当該分岐点は、全ての演出要素間に設定される。すなわち、第一演出要素21が出力される状態から、第二演出要素22が出力される状態に移行して演出が継続するか、移行せずに演出が終了するかを示す第一分岐点311、第二演出要素22が出力される状態から、第三演出要素23が出力される状態に移行して演出が継続するか、移行せずに演出が終了するかを示す第二分岐点312、第三演出要素23が出力される状態から、第四演出要素24が出力される状態に移行して演出が継続するか、移行せずに演出が終了するかを示す第三分岐点313、第四演出要素24が出力される状態から、第五演出要素25が出力される状態に移行して演出が継続するか、移行せずに演出が終了するかを示す第四分岐点314が設定される。
【0024】
遊技者の視点でいえば、第一分岐点311~第四分岐点314というクリアすべきハードルが順に訪れ、全てをクリアした場合に最後まで第一演出31が継続する(完走する)という演出形態となる。各分岐点において実行される演出はどのようなものであってもよい。また、発生する演出がその都度異なりうるものであってもよい。本実施形態では、各分岐点において、演出が継続するかどうかを煽るような映像(例えば、明度の上昇、低下を繰り返すような映像)が出力された上で、次の演出要素が出力される状態に移行するか、暗くなって終了するかのいずれかの事象が発生する。押しボタン等の操作手段93(
図1参照)の操作を促し、演出が継続するか否かが示される態様であってもよい。
【0025】
本実施形態における第一演出31は、その結末により対象の当否判定結果を報知する演出である。本実施形態では、第四分岐点314を経て第五演出要素25が出力される状態(
図4(e)に示す状態)まで第一演出31が継続したことをもって対象の当否判定結果が大当たりであることが報知される。それ以外の場合、すなわち第五演出要素25が出力される状態まで移行しなければ終了となって(
図4(f)参照)はずれであることが報知される。つまり、第一分岐点311~第四分岐点314のいずれで演出が終了した場合であっても対象の当否判定結果がはずれであるということに変わりはないのであるから、遊技者が得る利益という観点からいえばどの段階で演出が終了したとしても差はないといえる。ただし、これはあくまで一例である。第一演出31が、対象の当否判定結果を報知するものではなく、対象の当否判定結果が当たりとなる蓋然性(以下、単に(大当たり)信頼度ということもある)を示唆するに留まるものとしてもよい。この場合には、どの段階まで第一演出31が進行するか(どの演出要素が出力される状態まで演出が進行するか)に応じて、信頼度が示唆されるようにすることもできる。
【0026】
第二演出32について説明する。
図5に示す第二演出32は、第一演出31と同様に、第一演出要素21から順に演出要素が出力されていく演出である。また、第二演出32においても、ある演出要素が出力される状態から、次の演出要素が出力される状態に移行して演出が継続するか否かの分岐点が設定される。ただし、第一演出31とは異なり、第二演出32において設定される当該分岐点は一つである(以下、当該分岐点を単一分岐点と称することもある)。本実施形態では、第四演出要素24と第五演出要素25の間に第二演出32の単一分岐点321が設定される。つまり、第二演出32は、最終段階の一つ前の演出要素と最終段階の演出要素の間のみが分岐点(単一分岐点321)として設定されている。換言すれば、第二演出32は、第一演出要素21~第四演出要素24における演出要素間には分岐点が設定されていないということであるから、第一演出要素21から出力される状態から始まり、第二演出要素22が出力される状態および第三演出要素23が出力される状態を経て、第四演出要素24が出力される状態までは必ず進行する(
図5(a)~(d)の態様は必ず発生する)。そして、第五演出要素25が出力される状態(
図5(e)に示す状態)まで第一演出31が継続したことをもって対象の当否判定結果が大当たりであることが報知される。第五演出要素25が出力される状態まで移行しなければ終了となって(
図5(f)参照)はずれであることが報知される。上記第一演出における各分岐点と同様に、単一分岐点321において実行される演出はどのようなものであってもよい。
【0027】
第一演出31と第二演出32は、分岐点の設定の態様が異なる(設定された分岐点の位置および数が全く同じものを「態様が同じ」とし、異なるものを「態様が異なる」とする)。このような構成とすることの利点は次の通りである。第一演出31と第二演出32は、第一演出要素21~第五演出要素25が出力される可能性があるという点において共通する。つまり、全く同じ楽曲(対象楽曲20)の同じ部分を利用しているという点において共通する。例えば、第一演出31が第四演出要素24または第五演出要素25が出力される状態まで進行したときのそれぞれと、第二演出32が第四演出要素24または第五演出要素25が出力される状態まで進行したときのそれぞれを比較すると、演出を構成する一つである「音」という側面においては、両演出は同じである。このような同じ楽曲を用いると、遊技者の感覚(本実施形態では「楽曲」であるため、聴覚ということになる)に訴える内容が全く同じであるため、遊技者はあたかも同じ演出であるかのように感じてしまう蓋然性が高い。
【0028】
しかし、本実施形態では、第一演出31と第二演出32とでは、演出が継続するか否かを煽る分岐点の設定の態様が異なる。したがって、遊技者が、第一演出31および第二演出32の両方に接したとしても、両演出が異なる演出であるかのような印象を受けることになる。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、同じ楽曲を用いているにも拘わらず、異なる印象を与える複数種の演出を実行することが可能なものである。
【0029】
特に、本実施形態ように、一方の演出(第一演出31)が演出要素間の全てに分岐点が設定され、他方の演出(第二演出32)が演出要素間の一部に分岐点が設定された構成とすれば、両演出の違いが強調されることになる。
【0030】
また、本実施形態では、第一演出31に設定された分岐点の数(四つ)は、演出要素の数(五つ)からして設定しうる最大数である。一方、第二演出32に設定された分岐点の数(一つ)は当然ではあるが最小数である。つまり、設定された分岐点の数の差が最も大きい(三つ)であるため、両演出の違いがより強調されることになる。
【0031】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、各具体例を用いて説明する技術思想を複数適用した構成としてもよい。
【0032】
・第一具体例
上記実施形態では、第一演出31は各演出要素間の全てに分岐点(第一分岐点311~第四分岐点314)が設定され、第二演出32は最終段階の一つ前の演出要素と最終段階の演出要素間に分岐点(単一分岐点321)が設定されていることを説明したが、分岐点の設定の態様を異ならせる方法はこれに限られるわけではない。上記実施形態とは異なる例として、以下のような構成が考えられる。
【0033】
第一演出31において設定される分岐点のいずれもが、第二演出32において設定される分岐点と重複しないようにする。例えば、第一演出31は第一演出要素21と第二演出要素22間、および第三演出要素23と第四演出要素24間に分岐点を設定する(
図6(a)参照)一方、第二演出32は第二演出要素22と第三演出要素23間、第四演出要素24と第五演出要素25間に分岐点を設定する(
図6(b)参照)。このように、両演出において設定される分岐点のいずれもが重複しないようにすることで、両演出の違いがより強調されることになる。
【0034】
・第二具体例
上記実施形態では、同じ楽曲(対象楽曲20)を用いた第一演出31および第二演出32が実行可能であることを説明したが、同じ楽曲を用いた三種以上の演出が実行可能であってもよい。三種以上の演出は、互いに分岐点の設定の態様が異なっていればよい。例えば、上記実施形態にて説明した全ての演出要素間に分岐点が設定された第一演出31(
図7(a)参照)、および第四演出要素24と第五演出要素25の間に分岐点が設定された第二演出32(
図7(b)参照)に加え、第一演出要素21と第二演出要素22の間、および第四演出要素24と第五演出要素25の間に分岐点が設定された第三演出(
図7(c)参照)が発生しうる構成とする。
【0035】
・第三具体例
第一演出31および第二演出32はいずれも、最終段階の演出要素(上記実施形態では第五演出要素25)が出力される状態に移行することが、遊技者にとって最も喜ばしい状況として設定されている。したがって、最終段階の演出要素が出力される状態に移行した後は、演出の内容に遊技者はそれほど関心を示さないことが考えられる。そのため、両演出における最終段階の演出要素の内容は完全に同じでなくてもよい(換言すれば、両演出における最終段階以外の演出要素は同じであるということである)。具体的には、第一演出31の最終段階の演出要素と、第二演出32の最終段階の演出要素は、最初からある時点までの所定期間は同じ態様であるが、それ以降の態様を異ならせてもよい。例えば、第一演出31の最終段階の演出要素と第二演出32の最終段階の演出要素を出力する時間を異ならせること(上記実施形態に則していえば「サビ2」の部分を出力する時間を異ならせること)(
図8参照)が考えられる。
【0036】
・第四具体例
第一演出31と第二演出32が発生しうる状態を限定する。遊技者が大当たりに当選することを目指して遊技する遊技状態として、第一遊技状態と当該第一遊技状態とは異なる第二遊技状態が設定されているとする。この場合に、第一遊技状態と第二遊技状態の一方の遊技状態においては、第一演出31は発生しうるものの、第二演出32が発生することはない設定とするとともに、他方の遊技状態においては、第二演出32は発生しうるものの、第一演出31が発生することはない設定とする。このように、第一演出31および第二演出32のそれぞれを遊技状態に対応した演出とすれば、同じ楽曲を用いた演出であることがより分かりにくくなる。
【0037】
・第五具体例(第四具体例をさらに発展させた例)
第一遊技状態として、大当たり抽選に当選する確率が低い低確率状態(通常遊技状態)が設定され、第二遊技状態として、大当たり抽選に当選する確率が高い高確率状態(確率変動状態)が設定されているとする。そして、低確率遊技状態と高確率遊技状態の一方の遊技状態においては、第一演出31は発生しうるものの、第二演出32が発生することはない設定とするとともに、他方の遊技状態においては、第二演出32は発生しうるものの、第一演出31が発生することはない設定とする。
【0038】
第一演出31と第二演出32とで、設定された分岐点の数が異なる場合には、低確率遊技状態においては設定された分岐点の数が多い方の演出が発生(分岐点の数が少ない方の演出は非発生)、高確率遊技状態においては設定された分岐点の数が少ない方の演出が発生(分岐点の数が多い方の演出は非発生)する設定とすることが好ましい。上記実施形態に沿っていえば、低確率遊技状態においては第一演出31(分岐点の数=4)が、高確率遊技状態においては第二演出32(分岐点の数=1)が発生する設定とする。高確率遊技状態は、大当たりに当選しやすい状態であるため、分岐点の数を少なくしてもあまり影響がない。一方、低確率遊技状態は、大当たりに当選しにくい状態であって、はずれを報知するケースが多いため、分岐点の数を多くして、演出のバリエーションを広げることが重要となる(分岐点が多くなれば、はずれを報知する演出のバリエーションが増加する)。
【0039】
・第六具体例(第四具体例をさらに発展させた、第五具体例とは異なる例)
いわゆる一種・二種混合機である遊技機において、第一演出31、第二演出32が発生する構成とする。当該一種・二種混合機の遊技領域の一例を
図9に示す。
【0040】
第一遊技状態として、遊技者が、特
図1始動口41(本発明における第一入球領域に相当する。なお始動口は、入球した遊技球が内部に取り込まれる態様のものであってもよいし、そのまま遊技領域を流下する態様(ゲートのような態様)のものであってもよい。後述する特
図2始動口42についても同じ)に遊技球を入球させるように遊技する状態(本実施形態では「左打ち」を行う遊技状態)であって、当該特
図1始動口41に遊技球が入球することを契機として実行される当否抽選に当選することによる大当たりの獲得を目指す遊技状態が設定された構成とする。つまり、第一遊技状態における遊技は、所定の領域への遊技球の入球を契機とした当否抽選に当選することを目指すものであって、いわゆる「一種」タイプの遊技である。
【0041】
一方、第二遊技状態として、遊技者が、上記特
図1始動口41とは異なる特
図2始動口42(本発明における第二入球領域に相当する)に遊技球を入球させるように遊技する状態(本実施形態では「右打ち」を行う遊技状態)であって、当該特
図2始動口42に遊技球が入球することを契機として実行される開放抽選に当選することで開放される(開閉部材44が閉位置から開位置に変位することで解放される)当たり領域43に遊技球が入球することによる大当たりの獲得を目指す遊技状態が設定された構成とする。つまり、第二遊技状態における遊技は、即大当たりに繋がる領域への遊技球の入球を目指すものであって、いわゆる「二種」タイプの遊技である。なお、特
図2始動口42に遊技球が入球することを契機として当否抽選(特
図1始動口41に遊技球が入球することを契機とした当否抽選と同じ当選確率の抽選)も実行されるが、上記開放抽選に当選する確率は(当否抽選に当選する確率に比して)極めて高いため、第二遊技状態においては、ほとんどのケースで当たり領域43への遊技球の入球により、大当たりを獲得することになる。本実施形態では、当否抽選に当選する確率は約1/200であり、開放抽選に当選する確率は約1/9とされている。開放抽選に当選した場合には、遊技を継続している(「右打ち」を継続している)限り、開放された当たり領域43に遊技球が入球する。つまり、第二遊技状態においては、実質的には約1/9の確率で大当たりに当選するということになる。
【0042】
このような第一遊技状態および第二遊技状態が設定された構成において、一方の遊技状態においては第一演出31が発生(第二演出32は非発生)し、他方の遊技状態においては第二演出32が発生(第一演出31は非発生)するものとする。つまり、第一遊技状態と第二遊技状態は、大当たりを獲得するためのルートが大きく異なるものであるから、同じ演出を両遊技状態に適用することは困難であるため、一方の遊技状態のときには第一演出31が発生し、他方の遊技状態のときには第二演出32が発生するようにする。つまり、同じ材料(対象楽曲20)を用いた演出を、遊技状態に合わせて適用する。
【0043】
特に、第一遊技状態(「一種」の遊技性)においては分岐点が多い演出が、第二遊技状態(「二種」の遊技性)においては分岐点が少ない演出が発生するようにすることが好ましい。上記実施形態に沿っていえば、第一遊技状態においては第一演出31(分岐点の数=4)が、第二遊技状態においては第二演出32(分岐点の数=1)が発生するようにすることが好ましい。第一遊技状態は、当否抽選(1/200)による大当たりを目指す遊技状態であって、はずれを報知するケースが多くなるため、分岐点の数を多くして、演出のバリエーションを広げることが重要となる(分岐点が多くなれば、はずれを報知する演出のバリエーションが増加する)。一方、第二遊技状態は、実質的には開放抽選(1/9)に当選することにより大当たりを獲得することができる遊技状態であってはずれを報知するケースがそれほど多くないから、分岐点の数を少なくして演出をシンプルにするとよい。
【0044】
・第七具体例
第一演出31および第二演出32は、演出を構成する一要素である、出力される「楽曲」(音)が全く同じものであるが、演出を構成する他の要素は同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、出力される映像は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図4および
図5に示した第一演出31および第二演出32は、出力される映像が異なる態様のものである。
【0045】
ただし、出力される映像を異なるものとすれば、第一演出31と第二演出32の差がより明確になるという利点がある。つまり、第一演出31と第二演出32は、同じ楽曲を用いたものであるにも拘わらず、遊技者には全く別の演出であるような印象を与えるという効果を高めることが可能となる。
【0046】
・第八具体例
第一演出31および第二演出32は、演出を構成する一要素である、出力される「楽曲」(音)が全く同じものであることを説明したが、遊技者が同じ楽曲であることを認識可能な程度に相違していてもよい。例えば、第一演出31および第二演出32の一方にて出力される対象楽曲20のテンポが、他方にて出力される対象楽曲20のテンポと異なっていてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態(および具体例)について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、回動式遊技機等の他の遊技機に対し同様の技術思想を適用することが可能である。
【0049】
また、上記実施形態は、複数の演出要素によって構成されるものが「楽曲」であること、すなわち第一演出31と第二演出32の演出を構成する要素として両演出において同じ態様のものが「楽曲」であることを説明したが、両演出において同じ態様とされるものは演出を構成する要素であれば「楽曲」(音)に限られるものではない。例えば、表示装置91を通じて出力される映像等を複数の演出要素とすることもできる。すなわち、第一演出31や第二演出32において出力される映像等の設定について同様の技術思想を適用することも可能である。
【0050】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0051】
・手段1
複数の演出要素が順に出力されていく演出であって、ある演出要素が出力された状態から次の演出要素が出力される状態に移行して演出が継続するか否かの分岐となる分岐点が設定される第一演出および第二演出を実行する演出実行手段を備え、
前記第一演出と前記第二演出とでは、分岐点の設定の態様が異なることを特徴とする遊技機。
このような構成とすることで、同じ複数の演出要素を用いた演出であるにも拘わらず、第一演出と第二演出とでは分岐点の設定の態様が異なるため、両演出が同じような演出である印象を低減することが可能となる。つまり、同じ材料を用いて演出の幅を広げることができるため、遊技の趣向性が向上する。
【0052】
・手段2
前記第一演出は、演出要素間の全てが前記分岐点として設定されているものであることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
・手段3
前記第二演出は、演出要素間の一部が前記分岐点として設定されているものである
ことを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このような構成とすることで、第一演出と第二演出の違いがより強調されることになる。
【0053】
・手段4
前記第二演出は、最終段階の一つ前の演出要素と最終段階の演出要素の間のみが前記分岐点として設定されているものであることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
これにより、第二演出をシンプルで分かりやすいものとすることが可能である。
【0054】
・手段5
前記複数の演出要素により特定楽曲の少なくとも一部が構成されることを特徴とする手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機。
・手段6
前記分岐点は、前記特定楽曲の楽節間に設定されることを特徴とする手段5に記載の遊技機。
このように、複数の演出要素により構成されるもの(演出の構成要素)として、「楽曲」(音)を例示することができる。
【0055】
・手段7
遊技者が当たりの獲得を目指して遊技する遊技状態として、第一遊技状態と当該第一遊技状態とは異なる第二遊技状態が設定されており、
前記第一遊技状態においては前記第一演出が発生し、前記第二遊技状態においては前記第二演出が発生することを特徴とする手段1から手段6のいずれかに記載の遊技機。
このように、第一演出および第二演出を遊技状態に対応づけたものとすることで、両演出が同じ材料を用いた演出であることがより分かりにくくなる。
【0056】
・手段8
前記第一遊技状態は、遊技者が、第一入球領域に遊技球が入球することを契機として実行される当否抽選を経た当たりの獲得を目指す遊技状態であり、
前記第二遊技状態は、遊技者が、第二入球領域に遊技球が入球することを契機として実行される開放抽選に当選することで開放される当たり領域に遊技球が入球することによる当たりの獲得を目指す遊技状態である
ことを特徴とする手段7に記載の遊技機。
第一遊技状態は、当否抽選による大当たりを目指す遊技状態であって、はずれを報知するケースが多くなるため、分岐点の数を多くして、演出のバリエーションを広げることが重要となる。一方、第二遊技状態は、開放抽選の当選を経て当たり領域に遊技球が入球することにより大当たりを獲得することを目指す遊技状態であるから、分岐点の数を少なくして演出をシンプルにするとよい。
【符号の説明】
【0057】
1 遊技機
20 対象楽曲
21~25 第一演出要素~第五演出要素
31 第一演出
311~314 第一分岐点~第四分岐点
32 第二演出
321 単一分岐点
91 表示装置
911 表示領域
92 スピーカ