(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2017145378
(22)【出願日】2017-07-27
【審査請求日】2020-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅博
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
(72)【発明者】
【氏名】平 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 嵩登
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086980(JP,A)
【文献】特開2015-208346(JP,A)
【文献】特開2016-123748(JP,A)
【文献】特開2012-176025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段にて、複数種の装飾図柄を含む
三つの装飾図柄群が変動表示され、各装飾図柄群から選択されて示される
三つの装飾図柄が
同じ種類のものとなる当たり組み合わせとなるか否かにより当否判定結果を報知する遊技機であって、
前記
三つの装飾図柄群のうちの
二つである所定の装飾図柄群の変動が停止または仮停止し、
当該所定の装飾図柄群のそれぞれから選択されて停止または仮停止した装飾図柄が同じ種類となる状態であって未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残っている
リーチ状態において、当該所定の装飾図柄群から選択されて停止または仮停止した
同じ種類の二つの装飾図柄
であるリーチ図柄が、当該停止または仮停止した時点よりも小さくなった後、当該小さくなった
リーチ図柄が
、前記装飾図柄ではない複数種のキャラクタのうちのいずれかに変化する図柄変化演出が実行可能であり、
前記複数種の装飾図柄のそれぞれは、その種類を互いに区別するための種類要素部を含むものであり、
前記装飾図柄ではない前記キャラクタは、変化前の前記
リーチ図柄が有していた種類要素部を含まないものであり、
前記図柄変化演出にて前記装飾図柄が変化してなる前記キャラクタの種類により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆される
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
リーチ演出中に、当該リーチ状態を構築する図柄(以下、装飾図柄と称する)が表示される遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。つまり、一部の装飾図柄の変動が停止または仮停止し、当否判定結果が当たりとなる可能性が残っている状態において、当該停止または仮停止した装飾図柄を表示し続けるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、停止または仮停止した装飾図柄により遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示手段にて、複数種の装飾図柄を含む複数の装飾図柄群が変動表示され、各装飾図柄群から選択されて示される複数の装飾図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する遊技機であって、前記複数の装飾図柄群のうちの一部である所定の装飾図柄群の変動が停止または仮停止し、未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残っている状態において、当該所定の装飾図柄群から選択されて停止または仮停止した装飾図柄が所定のキャラクタに変化する図柄変化演出が実行可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示装置の表示領域に表示される装飾図柄と保留画像を示した図である。
【
図6】第二具体例(
図4をさらに発展させた例)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、装飾図柄10(
図2参照;詳細は後述)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。
【0015】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(装飾図柄10の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知(装飾図柄10の変動)が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0016】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている当否判定結果の報知が開始されていない取得された数値(当否判定情報)のそれぞれに対応するマークである保留画像70が、表示装置91の表示領域911に表示される(
図2参照)。具体的には、当否判定を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留画像70が表示装置91の表示領域911に表示される。本実施形態では、数値が取得されたタイミングが早いものから(いわゆる保留消化が早いものから)順に左から並ぶよう表示される。当否判定結果の報知は完了していないが、既に当否判定結果を報知する演出(装飾図柄10の変動)が開始されているもの(いわゆる当該変動)に対応する保留画像70が表示されるようにしてもよい。保留画像70は、静止画であってもよいし動画であってもよい。保留画像70として、対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が異なる複数種の態様が設定された構成としてもよい。なお、
図3以降の図面においては、保留図柄70の図示を省略する。
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1は、当否判定情報が取得された場合、それに対応する当否判定結果を報知する一連の演出(以下、報知演出と称することもある)が実行される。当該報知演出は、種々の演出(予告)を含む。以下、当該報知演出の一部として発生しうる図柄変化演出(
図3参照)について説明する。
【0018】
当否判定結果は、最終的に装飾図柄10の組み合わせにより報知される。本実施形態では、報知演出の開始により、複数種の装飾図柄10(例えば、1~9の数字のいずれかを含む図柄)を含む装飾図柄10群が変動表示される。そして、最終的に当該装飾図柄10群の変動が停止し、各装飾図柄10群から選択されて停止した装飾図柄10の組み合わせにより当否判定結果が示される(同じ装飾図柄10の三つ揃いで大当たり、それ以外ははずれとなる)こととなる。本実施形態では、基本的には、三つの装飾図柄10群が変動表示される(
図3(a)参照)。このうち、二つの装飾図柄10群(本実施形態では、左の装飾図柄10群と右の装飾図柄10群)の変動が停止または擬似的に停止した状態で大当たりの可能性が残っている状態(
図3(b)参照)をリーチ状態というものとする。つまり、二つの装飾図柄10群から選択されて停止または擬似的に停止した装飾図柄10が同じ図柄である状態をリーチ状態とする。ここで、擬似的に停止(擬似停止)とは、遊技者には変動が停止したように見えるものの、完全には図柄が停止していない(例えば、わずかに揺れ動いている)状態をいう。このような構成とするのは、リーチ状態の成立後や同じ装飾図柄10の三つ揃いが示された後、装飾図柄10の種類が変化しうる余地を残すためである。例えば、遊技者が享受する利益が異なる複数種の大当たりが設定された遊技機において、大当たり当選を示す装飾図柄10の種類により大当たりの種類が示されるものや、リーチ状態を構成する装飾図柄10の種類により信頼度の高低が示されるものに有効である。
【0019】
なお、装飾図柄10群が三つ設定され、そのうちの二つの装飾図柄10群の変動が停止または擬似的に停止することでリーチ状態が構築されるとするのはあくまで一例である。リーチ状態は、当否判定結果を報知するために変動表示される複数種の装飾図柄10群のうち、一部の装飾図柄10群の変動が停止または擬似的に停止した状態で、未だ大当たりとなる可能性が残存している状態をいうものであり、装飾図柄10群の総数やリーチ状態を構成する装飾図柄10に対応する装飾図柄10群の数等は変更可能である。
【0020】
図柄変化演出は、リーチ状態が成立した後発生しうるものである。リーチ状態が成立したということは、当否判定結果が大当たりとなる可能性が残っているということであるため、図柄変化演出は、一部の装飾図柄10群の変動が停止または擬似的に停止し、未だ当否判定結果が大当たりとなる可能性が残っている状態で発生しうるものであるということができる。
【0021】
リーチ状態が成立した場合、報知演出の一部として特定演出が発生しうる(
図3(c)参照)。特定演出は、その結末により当否判定結果を報知するものである。その具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、味方側キャラクタ51と敵側キャラクタ52が戦う演出が特定演出として設定されている。対象の当否判定結果が大当たりとなる場合には味方側キャラクタ51が勝利する(一旦敗北したと見せかけて逆転する態様等を含む)成功結末が実行され、対象の当否判定結果がはずれとなる場合には味方側キャラクタ51が敗北する失敗結末が実行される。特定演出の種類は一種であってもよいし、複数種であってもよい。
【0022】
図柄変化演出は、特定演出の一部として発生しうるものである。少なくとも、特定演出の開始時点においては、リーチ状態を構築する装飾図柄10が表示される(
図3(c)参照)。つまり、停止または擬似停止した二つの同じ装飾図柄10が表示される。装飾図柄10は、特定演出を構成する画像(映像)が見にくくならないよう、表示領域911の隅に小さく表示される。具体的には、特定演出中に表示されるリーチ状態を構築する装飾図柄10は、当該装飾図柄10(当該装飾図柄10が含まれていた装飾図柄10群)が停止または擬似停止した時点よりも小さく表示される。つまり、リーチ状態の成立が示された後、特定演出が実行される場合には、当該リーチ状態を構築する装飾図柄10が小さくなるということである。なお、装飾図柄10の大きさが次第に小さくなっていく過程が示されるようにしてもよいし、示されなくてもよい。後者の場合には、特定演出の開始により場面の切替わり等が発生することになるため、それを契機として装飾図柄10を小さくする。
【0023】
特定演出が開始されてからの所定の期間中は、リーチ状態を構築する装飾図柄10が表示され続ける。当該所定の期間中は、図柄変化演出が発生しない。なお、当該所定の期間は、常に一定の長さであってもよいし、その都度変化しうるものであってもよい。
【0024】
所定の期間が経過すると、図柄変化演出が発生する。具体的には、リーチ状態を構築する装飾図柄10が、演出図柄20に変化する(
図3(d)参照)。演出図柄20の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、特定演出において敵側キャラクタ52と戦っている味方側キャラクタ51を応援するようなキャラクタ(応援キャラクタA)が演出図柄20として表示される。リーチ状態を構築する複数(本実施形態では二つ)の装飾図柄10は全て演出図柄20に変化する。つまり、複数の演出図柄20が表示される。なお、本実施形態における演出図柄20は、味方側キャラクタ51を応援するようなキャラクタであるから、当該演出図柄20に対応する画像は「動画」である。ただし、静止画とすることを否定するわけではない。
【0025】
特定演出が終了した後は、再び装飾図柄10が表示される。上述したように、特定演出の結末により当否判定結果が報知されるのであるから、特定演出の結末が成功結末となる場合には大当たりを示す組み合わせ(同じ図柄の三つ揃い)で装飾図柄10が表示される(
図3(e-1)参照)。特定演出の結末が失敗結末となる場合にははずれを示す組み合わせ(リーチ状態を構築する二つの装飾図柄10とそれとは別の装飾図柄10からなる組み合わせ)で装飾図柄10が表示される(
図3(e-2)参照)。
【0026】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、一部の装飾図柄10群の変動が停止または擬似的に停止し、未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残されている状態において、当該停止または擬似的に停止した装飾図柄10が演出図柄20に変化するという面白みのある演出を実行することが可能である。
【0027】
いわゆるスーパーリーチ演出等の演出中に、停止または擬似的に停止した装飾図柄10が小さく表示されるのは公知であるところ、図柄変化演出は小さく表示された後の装飾図柄10を演出図柄20に変化させるものであるため、遊技者にはあまり目立たない「隠れ演出」のように機能させることができる。また、リーチ状態が構築されたことは、装飾図柄10が大きく表示されている段階で明確に示しているため、その後小さく表示された装飾図柄10を演出図柄20に変化させたとしても、遊技者が遊技の進行の程度を把握することができないといった不都合が生じるおそれは低い。
【0028】
また、本実施形態における図柄変化演出は、複数の演出図柄20が表示されるものであるため、演出が面白みのあるものとなる。
【0029】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0030】
○第一具体例
演出図柄20として表示されうる図柄が複数種設定された構成とする。上記実施形態に則していえば、味方側キャラクタ51を応援するキャラクタとして表示されうるキャラクタが複数種設定された構成(例えば、
図4に示すようにキャラクタA、B、Cが設定された構成とする)とする。
【0031】
この場合、演出図柄20として表示されるキャラクタが複数種のキャラクタのうちのいずれが表示されるかに応じて、対象の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)が異なるものとなるように設定されるとよい。このようにすれば、遊技者は表示される演出図柄20の種類にも注目することになるため、演出の趣向性をさらに向上させることが可能となる。
【0032】
○第二具体例
上記実施形態のように、図柄変化演出において複数の演出図柄20が表示される構成において、当該複数の演出図柄20の態様が常に一定でない設定とする。つまり、複数の演出図柄20のうち、ある演出図柄20と他の演出図柄20が、互いに態様が異なるものとなりうる設定とする。例えば、ある演出図柄20として表示されるキャラクタと、他の演出図柄20として表示されるキャラクタが、動きが異なるものとなりうる設定とすることが考えられる(
図5(a)参照。左側のキャラクタの動きと右側のキャラクタの動きが異なる)。また、ある演出図柄20として表示されるキャラクタの種類と、他の演出図柄20として表示されるキャラクタの種類が異なるものとなりうる設定とすることが考えられる(
図5(b)参照。左側のキャラクタと右側のキャラクタの種類が異なる)。このようにすることで、表示される演出図柄20の態様に対する遊技者の注目の度合を高めることが可能となる。
【0033】
また、ある演出図柄20と他の演出図柄20が、互いに態様が同じであることもあれば、互いに態様が異なることもある構成にしてもよい。この場合には、「態様が同じである」場合と「態様が異なる」場合とでは、対象の当否判定結果が大当たりとなる信頼度が異なるものとすればよい。このようにすることで、表示される演出図柄20の態様に対する遊技者の注目の度合をさらに高めることが可能となる。
【0034】
上記「態様が異なる」形態の演出は、図柄変化演出を通じて(最初から最後まで)態様が異なるような設定としてもよいし、
図6に示すように図柄変化演出の当初は態様が同じであるものの(
図6(a)参照)、途中で「態様が異なる」ものとなる(
図6(b)参照)ような設定としてもよい。後者のような設定とするのであれば、途中で態様の相違が生じるか否か(最後まで態様が同じであり続けるか否か)が信頼度に影響を与えるものとなるため、表示される演出図柄20の態様に対する遊技者の注目の度合をさらに高めることが可能となる。
【0035】
○第三具体例
上記実施形態では特定演出の途中で装飾図柄10が演出図柄20に変化することを説明したが、特定演出発生時に装飾図柄10が演出図柄20に変化すること(図柄変化演出が発生すること)(
図3参照)もあれば、変化せずに装飾図柄10が表示され続けること(図柄変化演出が発生しないこと)(
図7参照)もある設定とする。
【0036】
この場合、図柄変化演出の発生の有無により、信頼度が示唆されるものとすればよい。好ましくは、図柄変化演出が発生した場合(応援するキャラクタが表示された場合)の方が、図柄変化演出が発生しなかった場合(応援するキャラクタが表示されなかった場合)よりも信頼度が高くなる設定(図柄変化演出がいわゆるチャンスアップ演出である設定)とするとよい。このようにすることで、特定演出発生時に装飾図柄10の演出図柄20への変化が生じるか否かに対して遊技者が注目することになり、演出の趣向性が高まることになる。
【0037】
○第四具体例
上記実施形態では、図柄変化演出発生時には複数の装飾図柄10の全部が演出図柄20に変化することを説明したが、複数の装飾図柄10のうちの一部のみが演出図柄20に変化し、他は演出図柄20に変化しないケースが発生しうるものとしてもよい。上記実施形態に則していえば、リーチ状態を構築する二つの装飾図柄10のうち、一つのみが演出図柄20に変化し、もう一つは装飾図柄10のままとなるケース(
図8参照)が発生しうるものとする。
【0038】
このような構成とする場合、装飾図柄10から演出図柄20に変化したものの数により信頼度が示唆されるようにするとよい。具体的には、装飾図柄10から演出図柄20に変化したものの数が多いほど(応援するキャラクタが多いほど)、信頼度が高くなるように設定するとよい。上記実施形態に則していえば、二つの装飾図柄10の両方ともが演出図柄20に変化したケースの方が、二つの装飾図柄10のうちの一つが演出図柄20に変化したケースよりも信頼度が高いものとする。上記第三具体例にて説明したように、装飾図柄10が演出図柄20に変化しないこともある設定とするのであれば、二つの装飾図柄10のうちの一つが演出図柄20に変化したケースの方が、二つの装飾図柄10の両方ともが演出図柄20に変化しなかったケースよりも信頼度が高いものとする。
【0039】
○第五具体例
上記実施形態では、特定演出の開始時には装飾図柄10が表示されており、特定演出の途中で装飾図柄10が演出図柄20に変化すること(図柄変化演出が発生すること)を説明したが、
図9(a)に示すように装飾図柄10が演出図柄20に変化しうるタイミングが複数(
図9(a)においてはP1~P4の四つ)設定されたものとする。そして、かかるタイミングにより信頼度が示唆されるものとする。
【0040】
例えば、装飾図柄10が演出図柄20に変化するタイミングが早いほど信頼度が高くなる設定とすることが考えられる(
図9(b)参照)。演出図柄20は味方側キャラクタ51を応援するキャラクタであるから、当該応援するキャラクタが早く表示されるほど、味方側キャラクタ51が勝利する蓋然性が高くなる設定とすることが考えられる。
【0041】
これとは逆に、装飾図柄10が演出図柄20に変化するタイミングが遅いほど信頼度が高くなる設定とすることが考えられる(
図9(c)参照)。このような構成とすれば、装飾図柄10が演出図柄20に変化しないことを願いつつ、遊技者が特定演出を見守るという面白みのある演出となる。さらに、このような設定とする場合には、第三具体例として説明したように、図柄変化演出が発生しないこともある設定とするとよい。演出図柄20が表示されるタイミングが遅いほど遊技者にとっては好ましい状況であるものの、特定演出の経過とともに特定演出を通じて演出図柄20が表示されない(遊技者にとっては最も好ましくない状況である)、すなわち装飾図柄10が表示され続ける蓋然性が次第に高まっていくことになる。つまり、特定演出の経過とともに、演出図柄20が表示されたときの利益は大きいが、演出図柄20が表示されない蓋然性が高まるという遊技者にとっては複雑な状況に推移していく演出態様となる。
【0042】
○第六具体例
上記実施形態では、装飾図柄10は数字を含む図柄であることを説明したが、数字とともにキャラクタを含む図柄とする。各数字には、異なる種類のキャラクタが対応づけられたものとする(
図10(a)参照)。そして、装飾図柄10が演出図柄20に変化する図柄変化演出が発生する場合には、リーチ状態を構築する装飾図柄10が含むキャラクタが演出図柄20として表示される構成とする(
図10(b)参照。本図においては数字4とキャラクタDを含む装飾図柄10によりリーチ状態が構築されているため、演出図柄20はキャラクタDとなる)。つまり、演出図柄20は、変化する前の装飾図柄10が含む図柄の一部が基となって構成されるものとする。このようにすれば、図柄変化演出前に表示される装飾図柄10に応じた演出図柄20が表示されることになるため、図柄変化演出前の装飾図柄10の種類(リーチ状態を構築する装飾図柄10の種類)に注目させることが可能となる。
【0043】
○第七具体例
図柄変化演出が発生し、装飾図柄10が演出図柄20に変化した場合、装飾図柄10の代わりの図柄(以下、代替図柄30と称することもある)が表示されるようにしてもよい(
図11(特に
図11(d)参照))。つまり、図柄変化演出が発生したときには、装飾図柄10が演出図柄20に変化して、装飾図柄10は視認できない状態となるから、それに代わるものとして代替図柄30を表示する。代替図柄30は、装飾図柄10と同じ態様のものであるとよい。このようにすれば、装飾図柄10が演出図柄20に変化した後も、リーチ状態が構築されている状況を遊技者が把握することが可能となる。代替図柄30の態様を装飾図柄10の態様と同じとするのであれば、図柄変化演出の発生を契機として、装飾図柄10の表示される位置が変化した(装飾図柄10が移動した)とみることもできる。
【0044】
図示しないが、代替図柄30は、装飾図柄10と態様が異なるものであってもよい。演出図柄20に変化した装飾図柄10に代わる図柄であるということが遊技者に把握されるものであればよい。例えば、「数字」の値は同じであるが、当該数字を表す図柄の態様が異なる、といったものとしてもよい。このように、装飾図柄10と代替図柄30の態様を異なるものとすれば、図柄変化演出発生後は装飾図柄10と全く同じ態様の図柄が表示されていない状態となるため、装飾図柄10が演出図柄20に変化したということ(装飾図柄10は表示されていないこと)を明確にすることが可能である。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0046】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0047】
・手段1
表示手段にて、複数種の装飾図柄を含む複数の装飾図柄群が変動表示され、各装飾図柄群から選択されて示される複数の装飾図柄の組み合わせにより当否判定結果を報知する遊技機であって、
前記複数の装飾図柄群のうちの一部である所定の装飾図柄群の変動が停止または仮停止し、未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残っている状態において、当該所定の装飾図柄群から選択されて停止または仮停止した装飾図柄が演出図柄に変化する図柄変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、一部の装飾図柄群の変動が停止または擬似的に停止し、未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残されている状態において、当該停止または擬似的に停止した装飾図柄が演出図柄に変化するという面白みのある演出を実行することが可能である。
【0048】
・手段2
前記演出図柄として表示されうる複数種の図柄が設定されており、当該演出図柄の種類によって当否判定結果が当たりとなる蓋然性である信頼度が示唆されることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすれば、遊技者は表示される演出図柄の種類にも注目することになるため、演出の趣向性を向上させることが可能である。
【0049】
・手段3
前記所定の装飾図柄群の変動が停止または仮停止し、当該停止または仮停止した装飾図柄の大きさが小さくなった後、当該装飾図柄が前記演出図柄に変化しうることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このように、小さく表示された後の装飾図柄を演出図柄に変化させるようにすれば、遊技者にはあまり目立たない「隠れ演出」のように機能させることができる。
【0050】
・手段4
前記図柄変化演出は、複数の演出図柄が表示されるものであることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
・手段5
前記図柄変化演出は、リーチ状態を構成する二つの同じ装飾図柄のそれぞれが演出図柄に変化するものであることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
このようにすることで、演出が面白みのあるものとなる。
【0051】
・手段6
前記図柄変化演出において表示される複数の演出図柄が、互いに態様が異なるものとなる場合があることを特徴とする手段4または手段5に記載の遊技機。
このようにすることで、表示される演出図柄の態様に対する遊技者の注目の度合を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1 遊技機
10 装飾図柄
20 演出図柄
91 表示装置
911 表示領域