(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】固定具及び容器
(51)【国際特許分類】
B65D 45/02 20060101AFI20220314BHJP
B65D 90/54 20060101ALI20220314BHJP
B65D 88/26 20060101ALI20220314BHJP
B67B 7/12 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B65D45/02
B65D90/54 Z
B65D88/26 Z
B67B7/12
(21)【出願番号】P 2017199853
(22)【出願日】2017-10-13
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】510046309
【氏名又は名称】株式会社キット
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲児▼玉 浩一郎
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-68423(JP,U)
【文献】実開平3-93451(JP,U)
【文献】実開平3-53494(JP,U)
【文献】実開昭64-6293(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 45/02-45/30
B65D 55/02-55/14
B65D 88/00-90/66
B67B 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口に挿入される蓋本体及び当該蓋本体の外周に設けられ前記容器本体の開口から延出して前記容器本体の開口周縁に掛けられるフック部を有する蓋部材を前記容器本体に固定するための固定具であって、
前記容器本体に取り付けられる基部と、
前記基部に回動可能に設けられ、前記容器本体に対する回動に伴って、前記蓋部材を前記容器本体の開口周縁に押圧する押圧位置と、前記容器本体に対する前記蓋部材の押圧を解除する解除位置と、に切り換えられる回動体と、を備え、
前記回動体は、前記蓋本体が前記容器本体の開口周縁に載っている状態において前記解除位置から前記押圧位置に切り換えられる前に前記フック部に当たって前記蓋本体を前記容器本体の開口内に移動させる蓋位置修正部を有することを特徴とする
固定具。
【請求項2】
請求項1に記載の固定具であって、
前記回動体は、
前記基部に回動可能に支持される板部材と、
前記板部材に設けられ、前記押圧位置において前記蓋部材を前記容器本体に押圧する押圧部材と、
前記板部材の回動中心に対して前記押圧部材とは反対側に設けられ、力を受けて前記板部材を回動させるレバーと、を有することを特徴とする
固定具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固定具であって、
前記回動体に設けられ、前記基部の外周に向かって付勢されたプランジャを更に備え、
前記基部の外周には、前記回動体が前記押圧位置と前記解除位置とにあるときに前記プランジャが挿入される凹部が形成されることを特徴とする
固定具。
【請求項4】
容器であって、
容器本体と、
前記容器本体の開口を閉塞する蓋部材と、
前記蓋部材を前記容器本体に固定するための固定具と、を備え、
前記固定具は、
前記容器本体に取り付けられる基部と、
前記基部に回動可能に設けられ、前記容器本体に対する回動に伴って、前記蓋部材を前記容器本体の開口周縁に押圧する押圧位置と、前記容器本体に対する前記蓋部材の押圧を解除する解除位置と、に切り換えられる回動体と、を有し、
前記蓋部材は、
前記容器本体の開口に挿入される蓋本体と、
前記蓋本体の外周に設けられ前記容器本体の開口から延出して前記容器本体の開口周縁に掛けられるフック部と、を有し、
前記回動体は、前記蓋本体が前記容器本体の開口周縁に載っている状態において前記解除位置から前記押圧位置に切り換えられる前に前記フック部に当たって前記蓋本体を前記容器本体の開口内に移動させる蓋位置修正部を有することを特徴とする、
容器。
【請求項5】
請求項4に記載の容器であって、
前記固定具は、前記容器本体の開口周縁に沿って複数設けられることを特徴とする、
容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定具及び容器に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体や液体の原料や製品等を貯留する容器として、上部に開口が形成されたドラム本体と、ドラム本体の開口を閉塞可能な上蓋と、を備えるものが知られている。このような容器において、円環状の固定用バンドを用いて上蓋をドラム本体に固定することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示される容器では、ドラム本体の開口周縁は、全周に渡り径方向外側に折り返されている。このドラム本体の開口を閉塞するには、まず、ドラム本体に上蓋を載せ、ドラム本体の開口周縁及び上蓋の外周縁を合わせる。次に、固定用バンドをドラム本体の開口周縁及び上蓋の外周縁に巻き掛ける。次に、固定用バンドに設けられた操作レバーを操作して、固定用バンドを締め付ける。これにより、上蓋がドラム本体に押圧され、容器が密閉される。また、ドラム本体の開口を開放する際には、操作レバーの操作により固定用バンドを緩め、ドラム本体に対する上蓋の押圧を解除してドラム本体から上蓋を取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、上蓋を閉じる際には、固定用バンドをドラム本体の開口周縁及び上蓋の外周縁に対してずれないように巻き掛ける必要がある。また、上蓋を開ける際には、固定用バンドが緩められるため、固定用バンドがドラム本体の開口周縁及び上蓋の外周縁から外れ落下するおそれがある。固定用バンドが落下した場合に上蓋を再び閉じるためには、固定用バンドを拾い上げなければならない。このような固定用バンドの巻き掛けや拾い上げには細かい作業が要求されるため、上蓋の開閉には人が介在する必要があり、上蓋の開閉の自動化が困難である。
【0006】
本発明は、蓋部材の自動開閉に対応可能な固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器本体の開口に挿入される蓋本体及び当該蓋本体の外周に設けられ前記容器本体の開口から延出して前記容器本体の開口周縁に掛けられるフック部を有する蓋部材を前記容器本体に固定するための固定具に係る。固定具は、容器本体に取り付けられる基部と、基部に回動可能に設けられ、容器本体に対する回動に伴って、蓋部材を容器本体の開口周縁に押圧する押圧位置と、容器本体に対する蓋部材の押圧を解除する解除位置と、に切り換えられる回動体と、を備える。回動体は、蓋本体が容器本体の開口周縁に載っている状態において解除位置から押圧位置に切り換えられる前にフック部に当たって蓋本体を容器本体の開口内に移動させる蓋位置修正部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋部材の自動開閉に対応可能な固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る固定具を備える容器の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る固定具を備える容器の平面図であり、蓋部材が固定具により押圧されている状態を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る固定具を備える容器の平面図であり、固定具による蓋部材の押圧が解除されている状態を示す。
【
図4】本発明の実施形態に係る固定具の平面図である。
【
図6】
図5に示すVI-VI線に沿う断面図である。
【
図7】回動体が解除位置にある状態の図であり、
図5に対応して示す。
【
図8】蓋部材の蓋本体が容器本体のリング体に載っている状態の図であり、
図7に対応して示す。
【
図9】本発明の実施形態に係る蓋開閉装置の正面図であり、回転手段が上昇限にある状態を示す。
【
図10】本発明の実施形態に係る蓋開閉装置の正面図であり、回転手段が係合位置にある状態を示す。
【
図11】本発明の実施形態に係る蓋開閉装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る固定具1、容器100及び蓋開閉装置200について説明する。まず、固定具1及び容器100を、
図1から
図7を参照して説明する。
【0011】
容器100は、粉体や液体を貯留するためのものである。
図1及び
図2に示すように、容器100は、開口110aを有する容器本体110と、容器本体110の開口110aを閉塞する蓋部材120と、を備える。容器本体110は、架台130によって開口110aが上方に位置するように支持されている。以下において、開口110aを「上部開口110a」とも称する。容器100に貯留される粉体や液体は、上部開口110aから容器本体110内に投入される。
【0012】
容器本体110は、下方に向かって縮径された漏斗状に形成され、容器本体110の下部には開口(以下、「下部開口」と称する)110bが形成されている。容器本体110の下部にはバタフライ弁140が取り付けられており、バタフライ弁140によって下部開口110bが開閉される。
【0013】
バタフライ弁140を閉じた状態では、容器本体110内に粉体や液体が貯留される。バタフライ弁140を開くことによって、容器本体110に貯留された粉体や液体が下部開口110bから排出される。したがって、別の容器(図示省略)を容器本体110の下方に配置してバタフライ弁140を開くことによって、容器本体110に貯留された粉体や液体を別の容器に移し替えることができる。
【0014】
蓋部材120は、容器本体110とは別体に形成され、上部開口110aの周縁に押圧されることで上部開口110aを封止する。蓋部材120によって上部開口110aが封止されバタフライ弁140によって下部開口110bが封止されることによって、容器100は密閉される。
【0015】
容器本体110には、蓋部材120を容器本体110に固定するための4つの固定具1が取り付けられる。固定具1は、蓋部材120を容器本体110の上部開口110aの周縁に押圧することにより、蓋部材120を容器本体110に固定する。
【0016】
図1及び
図2は、蓋部材120が固定具1により容器本体110に押圧された状態を示しており、
図3は、固定具1による蓋部材120の押圧が解除されている状態を示す。つまり、
図3に示す状態では、蓋部材120は容器本体110に固定されておらず、蓋部材120を移動させて容器本体110の上部開口110aを開放することができる。
【0017】
以下、
図4乃至
図7を参照して、固定具1、容器本体110及び蓋部材120の構造を詳述する。
【0018】
図5に示すように、容器本体110は、貫通孔111aを有する上壁111と、上壁111の内周から上方に延びる筒状部112と、筒状部112の上端に固定されるリング体113と、を有する。リング体113によって、容器本体110の上部開口110aの周縁が形成される。
【0019】
蓋部材120は、上部開口110aを塞いだ状態において筒状部112内に配置される蓋本体121と、蓋本体121の周縁に設けられるフック部122と、を有する。フック部122は、上部開口110aから延出してリング体113に掛けられるように形成される。フック部122の内側には、シリコーンからなるシール部材123が充填されている。フック部122が固定具1によりリング体113に押圧されると、シール部材123がリング体113に密着し、上部開口110aが封止される。
【0020】
4つの固定具1は、容器本体110の上部開口110aの周縁に沿って設けられる(
図2及び
図3参照)。そのため、フック部122の4個所をリング体113に押圧することができ、蓋部材120の封止性を高めることができる。4つの固定具1は、等間隔に設けられることが好ましく、この場合には、フック部122の4個所を均等にリング体113に押圧することができ、蓋部材120の封止性を高めることができる。
【0021】
固定具1は、容器本体110に取り付けられる基部10と、基部10に回動可能に設けられる回動体20と、を備える。回動体20は、容器本体110に対して回動することにより、フック部122をリング体113に押圧する押圧位置(
図2参照)と、リング体113に対するフック部122の押圧を解除する解除位置(
図3参照)と、に切り換えられる。
図4、
図5及び
図6は、回動体20が押圧位置にある状態を示し、
図7は、回動体20が解除位置にある状態を示している。
【0022】
固定具1では、回動体20の回動によって、蓋部材120が容器本体110に押圧された状態とその押圧が解除された状態とが切り換えられる。換言すれば、蓋部材120を開閉する際には、回動体20を把持して回動体20を回動させればよい。したがって、蓋部材120の自動開閉に容易に対応させることができる。
【0023】
図5及び
図6に示すように、基部10は、容器本体110の上壁111と筒状部112とに溶接により固定されるリブ114に、ボルト11及びナット12を用いて取り付けられる。基部10には穴10aが形成されており、穴10aに軸体13が挿入されている。軸体13の外周面には凹部13aが形成されており、凹部13aに挿入されるピン14によって、軸体13が穴10a内に保持されている。
【0024】
回動体20は、基部10に支持される板部材21と、板部材21の一端に取り付けられる押圧部材22と、板部材21の他端に取り付けられるレバー23と、を有する。板部材21には軸体13が挿通しており、板部材21は軸体13を中心に回動可能である。板部材21と基部10との間にはワッシャ24が設けられており、ワッシャ24の枚数又は厚みを変えることによって、板部材21の高さを調整することができる。
【0025】
押圧部材22は、回動体20が押圧位置にある状態において、蓋部材120のフック部122を容器本体110のリング体113に押圧する。押圧部材22は、ボルト25及びナット26を用いて板部材21に取り付けられており、板部材21から取り外し可能である。押圧部材22と板部材21との間にはスペーサ27が設けられており、スペーサ27の枚数又は厚みを変えることで、押圧部材22とリング体113との間隔を調整することができる。これにより、押圧力を調整することができる。
【0026】
図7に示すように、押圧部材22には、板部材21の回動方向に対して傾斜して延びる傾斜面22aが形成されている。そのため、回動体20を解除位置(
図3参照)から押圧位置(
図2参照)に切り換える際には、傾斜面22aにフック部122が当たって傾斜面22aをスライドして押圧される。したがって、解除位置から押圧位置への切り換え時に押圧部材22によりフック部122が回動方向に押されて移動するのを防ぐことができ、蓋部材120をより容易に押圧することができる。
【0027】
図5に示すように、レバー23は、レバー23の先端と軸体13との間の寸法が押圧部材22と軸体13との間の寸法よりも大きくなるように形成される。したがって、レバー23を把持して回動体20に力を加えることにより、回動体20を容易に回動させることができ、押圧位置と解除位置とを容易に切り換えることができる。
【0028】
板部材21は、その他端が軸体13に沿って延びるように断面L字状に形成されている。板部材21の他端には、基部10の外周に向かって付勢されたプランジャ28がレバー23と共に取り付けられている。
【0029】
図4、
図5及び
図6に示すように、基部10の外周には、回動体20が押圧位置と解除位置とにあるときにプランジャ28が挿入される凹部10b,10cが形成されている。したがって、回動体20に加えられる外力によって回動体20が意図せずに押圧位置又は解除位置から回動するのを防止することができ、蓋部材120が押圧された状態又はその押圧が解除された状態を保持することができる。
【0030】
また、板部材21の一端には、蓋部材120の位置を修正する蓋位置修正部40が取り付けられる。蓋位置修正部40による蓋部材120の位置の修正ついて、
図8を参照して説明する。
図8は、回動体20が解除位置にありかつ蓋部材120の蓋本体121が容器本体110のリング体113に載っている状態の図であり、
図7に対応して示す。
【0031】
図8に示す状態において、蓋位置修正部40の高さは、フック部122の高さと略一致している。また、蓋位置修正部40は、回動体20が解除位置から押圧位置に切り換えられる際に押圧部材22よりも先にフック部122に達するように、板部材21から回動方向に突出している。そのため、
図8に示す状態において、回動体20が解除位置から押圧位置に切り換えられる際には、回動体20が押圧位置に達する前に蓋位置修正部40がフック部122に当たって蓋部材120が押される。したがって、蓋本体121を容器本体110の筒状部112内に移動させてフック部122をリング体113に掛けることができる(
図7参照)。
【0032】
このように、固定具1では、蓋部材120をリング体113に載置する際に所望の位置からずれたとしても、回動体20が押圧位置に達する前に蓋位置修正部40により蓋部材120の位置を修正することができる。したがって、蓋部材120を容易に閉じこることができる。
【0033】
次に、容器100の蓋部材120を開閉する蓋開閉装置200について、
図9乃至
図11を参照して説明する。
【0034】
蓋開閉装置200は、固定具1のレバー23に係合可能な係合部としての係合ピン210と、係合ピン210を回動させて回動体20を容器本体110に対して回動させる回動手段としての回動装置220と、を備える。
【0035】
回動装置220は、フレーム230に鉛直方向に移動可能に設けられている。具体的には、フレーム230には、鉛直方向に延びるボールネジ231が回転可能に支持されており、ボールネジ231と螺合する移動子232にアーム233,234,235を介して回動装置220が取り付けられている。ボールネジ231はモータ236の出力軸に連結されており、モータ236の駆動に伴って回転する。これにより、移動子232が回動装置220と共に鉛直方向に移動する。
図8は、回動装置220が上昇限に位置している状態を示している。
【0036】
係合ピン210は回動装置220に支持されており、回動装置220と共に鉛直方向に移動する。容器100が回動装置220の下方に配置された状態(
図9参照)で回動装置220が下方に移動すると、
図10に示すように、係合ピン210は、固定具1のレバー23と係合する。このように、回動装置220は、係合ピン210がレバー23に係合する係合位置(
図10参照)と、係合ピン210とレバー23との係合が解除された解除位置(
図9参照)と、に移動可能である。
【0037】
蓋開閉装置200では、
図11に示すように、係合ピン210は8つ設けられており、2つの係合ピン210が1つの固定具1のレバー23を挟むことによって係合ピン210とレバー23とが互いに係合する。この形態に限られず、例えば、レバー23に形成された穴に係合ピン210を挿入することによってレバー23と係合ピン210とを互いに係合させてもよい。
【0038】
係合ピン210がレバー23と係合した状態で回動装置220が駆動すると、係合ピン210は、容器本体110に対して回動する。これにより、押圧部材22が容器本体110に対して回動し、押圧位置又は解除位置に選択的に切り換えられる。
【0039】
図9及び
図11に示すように、回動装置220は、アーム235に回転不能に取り付けられるベース部240と、ベース部240に回転可能に支持される回転体250と、回転体250を回転させるアクチュエータ260と、を備える。アクチュエータ260は、例えばモータシリンダや流体圧シリンダであり、伸縮することによって回転体250を回転させる。
【0040】
ベース部240には、回転体250の回転軸に対して放射状に延びる4つのベース板241が取り付けられている。ベース板241の先端には、回転体250の回転軸に沿って延びる軸体242が取り付けられている。
【0041】
係合ピン210は、軸体242を中心に回動可能にベース板241に支持されている。具体的には、係合ピン210は、クランク状に曲げられた保持板211の一端に保持されており、軸体242が保持板211の中間部を挿通している。
【0042】
保持板211の他端には長穴212(
図11参照)が形成されており、保持板211は、長穴212に挿入される252を介して回転体250と連結されている。具体的には、回転体250には、回転体250の回転軸に対して放射状に突出する4つの突出部251が形成されており、突出部251の先端にピン252が取り付けられている。回転体250がベース部240に対して回転すると、ピン252が長穴212をスライドしつつ保持板211を軸体242を中心に回動させる。これにより、係合ピン210が、軸体242を中心に回動する。
【0043】
回転体250の回転時には、4つの保持板211が同時に回動する。したがって、8つの係合ピン210を同時に回動させて4つの固定具1の回動体20を同時に回動させることができる。これにより、複数の固定具1を同時に押圧位置に切り換えることができ、複数の固定具1にかかる負担を中和することができる。
【0044】
軸体242は、固定具1の軸体13(
図5等参照)の延長上に配置される。つまり、固定具1のレバー23の回動中心と、保持板211の回動中心と、は略一致する。したがって、回動装置220により係合ピン210を回動させてレバー23を回動させる際に、係合ピン210がレバー23に対してスライドすることがなく、容易にレバー23を回動させることができる。
【0045】
また、蓋開閉装置200は、蓋部材120を保持可能な保持部としての吸着パッド280を備える。吸着パッド280は、ベース部240に取り付けられており、ベース部240の昇降に伴って昇降する。そのため、吸着パッド280により保持した蓋部材120をベース部240と共に昇降させることができる。したがって、蓋部材120を容器本体110に載置した直後に回動手段20によりレバー23を回動させて蓋部材120を容器本体110に固定できる。同様に、回動手段20によりレバー23を回動させて固定具1による蓋部材120の固定を解除した直後に回動手段20を上昇させて蓋部材120を容器本体110から離間させることができる。
【0046】
また、吸着パッド280は、係合ピン210に対して相対移動可能である。具体的には、吸着パッド280はベース部240に取り付けられる一方で、係合ピン210は回転体250に連結されており、吸着パッド280の移動を拘束した状態で係合ピン210を軸体242を中心に回動させることができる。そのため、蓋部材120を吸着パッド280により吸着した状態で回動装置220により係合ピン210を回動させて固定具1のレバー23を回動させることができる。蓋部材120を吸着することにより蓋部材120の重みで蓋開閉装置200が安定するので、蓋開閉装置200をより安定させた状態で係合ピン210を回動させることができ、蓋部材120を安定して開閉することができる。
【0047】
さらに、吸着パッド280が係合ピン210に対して相対移動可能であるため、吸着パッド280により蓋部材120を吸着しつつ固定具1の回動体20を押圧位置又は解除位置に選択的に切り換えることができる。したがって、蓋部材120の吸着と回動体20の切り換えとを同時に行うことができ、蓋部材120の開閉に要する時間を短縮することができる。
【0048】
以上の本実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0049】
固定具1及び容器100では、蓋部材120を開閉する際には、回動体20を回動させることにより、蓋部材120が容器本体110に押圧された状態とその押圧が解除された状態とが切り換えられる。したがって、蓋部材120の自動開閉に容易に対応させることができる。
【0050】
また、回動体20にレバー23が設けられるので、レバー23を把持して回動体20に力を加えることにより、回動体20を容易に回動させることができる。したがって、押圧位置と解除位置とを容易に切り換えることができる。
【0051】
また、基部10の外周には、回動体20が押圧位置と解除位置とにあるときにプランジャ28が挿入される凹部10b,10cが形成されている。したがって、回動体20に加えられる外力によって回動体20が意図せずに押圧位置又は解除位置から回動するのを防止することができ、蓋部材120が押圧された状態又はその押圧が解除された状態を保持することができる。
【0052】
また、蓋部材120をリング体113に載置する際に所望の位置からずれたとしても、回動体20が押圧位置に達する前に蓋部材120の位置を修正することができる。したがって、蓋部材120を容易に閉じこることができる。
【0053】
固定具1は、容器本体110の上部開口110aの周縁に沿って複数設けられる。そのため、フック部122の複数個所をリング体113に押圧することができ、蓋部材120の封止性を高めることができる。
【0054】
また、回動体20は、回動装置220が係合ピン210を容器本体110に対して回動させることにより、押圧位置又は解除位置に選択的に切り換える。したがって、巻き掛けや拾い上げといった作業なしで蓋部材120を開閉することができ、人が固定具1を直接操作することなく蓋部材120を開閉することができる。
【0055】
また、回動装置220は、係合ピン210を回動させて複数の固定具1の回動体20を同時に回動させる。したがって、複数の固定具1を同時に押圧位置に切り換えることができ、複数の固定具1にかかる負担を中和することができる。
【0056】
また、蓋部材120を吸着パッド280により吸着した状態で回動装置220により係合ピン210を回動させることができる。蓋部材120を吸着することにより蓋開閉装置200が安定するので、蓋開閉装置200をより安定させた状態で係合ピン210を回動させることができ、蓋部材120を安定して開閉することができる。
【0057】
また、蓋部材120を容器本体110に対して回動させることなく固定具1のレバー23を回動させることができるので、蓋部材120の吸着と回動体20の切り換えとを同時に行うことができる。したがって、蓋部材120の開閉に要する時間を短縮することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0059】
本実施形態に係る蓋開閉装置200は、粉体や流体を容器100に投入する工程だけでなく、容器100を洗浄する工程にも適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・固定具
10・・・基部
10b・・・凹部
10c・・・凹部
20・・・回動体
21・・・板部材
22・・・押圧部材
23・・・レバー
28・・・プランジャ
40・・・蓋位置修正部
100・・・容器
110・・・容器本体
110a・・・上部開口(開口)
113・・・リング体(周縁)
120・・・蓋部材
121・・・蓋本体
122・・・フック部
200・・・蓋開閉装置
210・・・係合ピン(係合部)
220・・・回動手段
280・・・吸着パッド(保持部)