(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】レーザクラッディング装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/342 20140101AFI20220314BHJP
【FI】
B23K26/342
(21)【出願番号】P 2018020636
(22)【出願日】2018-02-08
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000212566
【氏名又は名称】中村留精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】上河原 敦
(72)【発明者】
【氏名】益子 直人
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-088154(JP,A)
【文献】特開平04-172193(JP,A)
【文献】特開平02-224884(JP,A)
【文献】特表2016-522312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ照射部と、
前記レーザ照射部の周囲に設けたアシストガスの噴流部と、
前記アシストガスの噴流部の近傍に容器状の粉末供給部とを備え
、
前記容器状の粉末供給部は粉末供給孔を有する密閉状容器であり、
前記粉末供給孔は前記アシストガスの噴流部に位置していることを特徴とする
レーザクラッディング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いた精密肉盛溶接を行うためのレーザクラッディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末状材料をレーザビームによって加熱溶融して肉盛溶接するレーザクラッディング装置は、従来のアーク溶接やプラズマ溶接に比較して入熱が少なく、精密な肉盛溶接が可能である。
レーザクラッディング用のレーザ加工ヘッドとして、これまで提案されているものは、例えば特許文献1~3等に示すようにレーザビームの照射部に粉末材料を供給するための粉末供給装置を加工ヘッドとは別に備えられたものである。
その一般的な構造を
図2に示す。
光学レンズ11等にて集光されたレーザ光112の周囲にアシストガスGを噴流させるとともに、このレーザ光に向けて粉末材料Pが供給され、基材の表面に加熱溶融部Mが形成される。
この粉末材料Pは、加工ヘッドとは別に設けられた粉末供給装置と、この加工ヘッドに設けた粉末供給路101とがフレキシブル配管接続されている。
これでは、粉末の供給経路が複雑になり、高価な装置となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-340583号公報
【文献】特開2005-219060号公報
【文献】特表平10-501463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、レーザヘッドに粉末供給部を搭載可能にしたレーザクラッディング装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るレーザクラッディング装置は、レーザ照射部と、前記レーザ照射部の周囲に設けたアシストガスの噴流部と、前記アシストガスの噴流部の近傍に容器状の粉末供給部とを備えたことを特徴とする。
ここで例えば、容器状の粉末供給部は粉末供給孔を有する密閉状容器であり、前記粉末供給孔は前記アシストガスの噴流部に位置しているものでもよい。
【0006】
本発明において、容器状の粉末供給部は、レーザ照射部を形成するノズルの周囲に搭載することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るレーザクラッディング装置にあっては、容器状の粉末供給部に収容されている粉末材料がアシストガスの流れに沿って供給されることになる。
【0008】
特に密閉状の容器にすると、アシストガスの流れにより、容器内に有するエアーとともに粉末材料が供給され、容器内圧力が低下することになる。
そこで、アシストガス(シールドガス)の噴流量(噴流速度)を可変調整することで、粉末材料の供給量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るレーザクラッディング装置の構造例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るレーザクラッディング装置のヘッド部の構造例を
図1に模式的に示す。
レーザ照射部は、レンズ11等にて集光されたレーザ光が基材1の表面に照射されるようになっている。
このレーザ照射部の周囲にアシストガス(シールドガス)の供給部14を備え、基材1の表面に向けて不活性ガス等のアシストガスGが噴流される。
【0011】
本発明において特徴的なのは、レーザ照射部の近傍に容器状の粉末供給部13を搭載した点にある。
これにより、粉末の供給配管が不要になる。
粉末供給部13は、粉末供給孔13bを有し、それ以外は密閉された密閉状の容器になっている。
この粉末供給孔13bは、アシストガスGが噴流する位置に有し、アシストガスGの流れに沿って、粉末材料が内部のエアー13aとともに吸い込まれ、レーザ光12の集光部に供給される。
噴射された粉末材料Pは、レーザ光によって加熱され、基材1の表面に溶融した溶融プールMを形成し、その後に冷却され、レーザクラッディング層Wが形成される。
【0012】
粉末供給部13の内部に有するエアー13aは、粉末材料Pとともに吸い出され、圧力が低下する。
これにより、アシストガスGの流量を調整することで、粉末材料Pの供給量を調整することができ、アシストガスGの流れを止めると粉末供給孔からエアーが内部に流れ、エアー13aの圧力が回復するようになっている。
【0013】
容器状の粉末供給部13は、カートリッジ式に交換可能になっていてもよく、粉末材料Pをこの容器に手動又は自動で補充できるようにしてもよい。
また、粉末供給部13の内部のエアー圧の調整手段を有していてもよい。
このようにヘッド部に直接、容器状の粉末供給部を搭載したことにより、構造が簡単でコンパクトなレーザクラッディング装置となる。
【符号の説明】
【0014】
1 基材
11 レンズ
12 レーザ光
13 粉末供給部
101 粉末供給路
G アシストガス
M 溶融プール
P 粉末材料