(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】柵における扉取付構造
(51)【国際特許分類】
A01M 29/30 20110101AFI20220314BHJP
E04H 17/16 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A01M29/30
E04H17/16 105A
(21)【出願番号】P 2018058426
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501340052
【氏名又は名称】近江屋ロープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】安丸 象三
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-008299(JP,U)
【文献】実開昭61-203999(JP,U)
【文献】特開2003-092976(JP,A)
【文献】実開昭58-183871(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0224848(US,A1)
【文献】実開平06-023439(JP,U)
【文献】特開平07-091114(JP,A)
【文献】実開昭56-071897(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/00-29/34
E04H 17/16
A01K 1/035
E06B 9/01
E05D 7/04
E05D 1/06
E06B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柵(12)の一部に扉を設けたその扉の取付構造であって、柵の上下方向の支柱(11a)に嵌められた一の支持環(31)と、扉(20)の上下方向の取付杆(21)に嵌められた他の支持環(32)と、前記両支持環(31、32)を連結する連結板とからなり、
上記両支持環(31、32)は、周囲の一部で割られて拡径可能となっているとともに、その両割縁から前方に連結片(34)がそれぞれ突出しており、その各連結片(34)を重ね合わせてボルト・ナット締め(35、36)されて上記連結板が形成され、かつ、前記両支持環(31、32)の一方は、支柱(11a)又は取付杆(21)に固定され、他方は取付杆(21)又は支柱(11a)に回転自在となっている柵における扉取付構造。
【請求項2】
上記両支持環(31、32)の少なくとも一方は、対の半割部材からなって上記一部の割部の反対縁は蝶番(37)で連結されている請求項1に記載の柵における扉取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、獣害防止柵等の柵に設ける扉の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、猪や鹿等の各種の動物の侵入を防止するために、農地や農場等の圃場の周囲に立設される獣害防止柵(フェンス)は、その圃場の周囲の適宜な箇所に、一定間隔で支柱を立て、その支柱の間に、トタン板、格子状の金属網を設けて構成している(特許文献1)。この防止柵には、圃場に出入りするための開閉扉(門扉)を必ず設ける。
その従来の扉は、上記一部の支柱間の柵を欠如し、その間に扉を設置し、その扉は、扉のフレームを支柱に紐や金属線など括り付けて開閉可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記紐等による括り付けは強度が弱く、経年劣化が激しいため、たびたび修理する必要がある。
また、金属蝶番でもって支柱に扉を開閉自在に取り付けることもなされているが、その蝶番の支柱、フレームへの取付には、溶接や孔開けなどが伴い、作業が煩わしく、また、コストの高いものとなっている。
さらに、2重筒による扉開閉構造も考案されているが、その筒の支柱への取付が煩雑である(特許文献1
図5~
図8等参照)。
【0005】
この発明は、以上の実状の下、安価で耐久性のある扉構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、この発明は、柵の一部に扉を設けたその扉の取付構造であって、柵の上下方向の支柱に嵌められた一の支持環と、扉の上下方向の取付杆に嵌められた他の支持環と、前記両支持環を連結する連結板とからなり、前記両支持環は、周囲の一部で割られて拡径可能となっているとともに、その両割縁から前方に連結片がそれぞれ突出しており、その各連結片を重ね合わせてボルト・ナット締結されて前記連結板が形成され、かつ、前記両支持環の一方は支柱又は取付杆に固定され、他方は取付杆又は支柱に回転自在となっている構成としたのである。
【0007】
このようにすれば、両支持環を拡径して柵の支柱及び扉の取付杆に嵌めることができ、その嵌めた状態で、連結片を重ねてボルト・ナット締結すれば、その連結片が連結板を構成して両支持環が一体となって支柱に扉が取り付けられる。その取付状態は、両支持環の少なくとも一方が支柱又は取付杆に回転自在に嵌っているため、扉は支柱又は取付杆に対して回転可能である。このため、扉の開閉を容易に行うことができる。
【0008】
上記構成において、両支持環の少なくとも一方が、対の半割部材からなって上記一部の割部の反対縁は蝶番で連結されている構成とすれば、その蝶番を有する支持環は、蝶番を介して拡径し易いため、支柱又は取付杆により嵌め易くなる。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、以上のように構成したので、安価かつ耐久性の高い扉取付構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明に係る獣害防止柵の一実施形態を
図1~
図6に示し、この実施形態は、猪A等の獣が出没する農地の回りにその防止柵10を設けたものである。
その防止柵10は、支柱11を地盤Gに一定間隔に建て、その各支柱11、11間に四角状柵12を設け、その一部の支柱11a、11a間を農地への出入り口とし、その出入り口に扉20を設けたものである。各支柱11(11a、11a)は、杭状として地盤Gに打ち込んで倒れないようにする。
【0012】
柵12は、四角状の枠(フレーム)12aに、金属線からなる縦線12bと横線12cを格子状に配置すると共にその接点を溶接して構成されている。
支柱11は各柵12毎に設けなくても、柵12が針金などの括りで一体化できれば、各柵12、12間の支柱11は適宜に省略できる。すなわち、数個の柵12毎でも良い。柵12の縦線12bは地盤Gに届く長さとすることができる。特に、柵12、12間の支柱11を省略した場合には、縦線12bを地盤Gに届くようにすると柵12が地盤G上で安定する。
【0013】
扉20は、観音開きとなって、対の扉20a、20bからなる。この扉20の位置する支柱11aは他の支柱11より太くて強度の高い物としている。
扉20(20a、20b)は、柵12と同様に、四角状のフレーム枠の取付杆21に、金属線からなる縦線21bと横線21cを格子状に配置すると共にその接点を溶接して構成されている。
この支柱11aに扉20を取り付けた構造がこの発明の特徴であり、扉20は柵12の支柱11aに開閉機構30を介して開閉自在となっている。
【0014】
その開閉機構30は、
図2~
図6に示すように、柵12の支柱11aに取り付ける支柱側の一の支持環31と、扉20のフレーム枠の取付杆21に取り付ける扉側の他の支持環32とからなる。
両支持環31、32は、それぞれ円筒状の一部を縦方向(筒軸方向)に割った拡径可能なものであり、幅方向中央全周にリブ33を設けて補強されている。その両支持環31、32の割縁にそれぞれ連結片34が一体に突出して設けてある。この4枚の各連結片34は重ねてボルト35を貫通させてナット36により締結して連結板を構成する。
支柱11a側の一の支持環31は、上記割縁の反対側も割られて蝶番37によって連結されて連結片34が開閉自在となっている。
両支持環31、32及び連結板(連結片34)は、防錆処理がなされた金属板からなる。
【0015】
この実施形態の扉の取付構造は以上の通りであり、
図6鎖線で示すように、両支持環31、32の連結片34を開いて支柱11a及び扉20の取付杆21に各支持環31、32を嵌めた後、
図2~
図5に示すように、両支持環31、32の連結片34を重ねてボルト35、ナット36で締結する。この締結により、前記両支持環31、32の一方は支柱11a又は取付杆21に固定され、他方は取付杆21又は支柱11aに回転自在となる。
【0016】
この実施形態における一の実施例は、
図3に示すように、支持環31が支柱11aに固定され、扉20側の支持環32が取付杆21に回転自在となっている。このため、開閉機構30によって支柱11aに取り付けられた扉20は、
図3の実線から鎖線又はその逆のように、取付杆21に対して開閉機構30を介して矢印のように動くため、農地への出入りが容易である。
一方、
図4に示す他の実施例は、同図に示すように、支持環32が取付杆21に固定され、支柱11a側の支持環31がその支柱11aに回転自在となっている。このため、開閉機構30によって支柱11aに取り付けられた扉20は、同図の実線から鎖線又はその逆のように、支柱11aに対して開閉機構30を介して矢印のように動くため、農地への出入りが容易である。
【0017】
支持環31、32の支柱11a、取付杆21への取付位置(上下方向)は、
図1に示すように、扉20の開閉が円滑に行い得るように上下の適宜な箇所とする。このとき、固定側の支持環31、32が上記ボルト・ナット35、36の締結によって支柱11a又は取付杆21に上下移動不能に固定されるため、開閉機構30は上下方向に移動しないが、固定側の支持環31又は32は柵12又は扉20の横線12c、21cの端に載せたり(
図2の横線12c参照)、支柱11a又は取付杆21にその下方向へのストッパ片を溶接等で固定したりすることが好ましい。一方、回転側の支持環31、32は扉20又は柵12の横線21c、12cの下側に当接するようにすることが好ましい(
図2の横線21c参照)。
【0018】
この実施形態は、支柱11a側の支持環31を蝶番37により拡径可能としたが、取付杆21側の支持環32も蝶番により拡径自在とすることもできる。すなわち、両支持環31、32の少なくとも一方を蝶番により拡径自在とすることができる。しかし、蝶番でなくても、割縁があれば、支持環31、32は拡径が可能であるため(
図6参照)、必ずしも蝶番37を設けなくても良い。
この実施形態においては、溶接や割ピンの装着等の作業はなく、両支持環31、32の嵌め込み及びボルト・ナット締めによって扉20の開閉機構30を構成するため、その扉20の取付作業性が良い。
【0019】
この実施形態の扉20は観音開きであったが、片開きでも良いことは勿論である。
また、柵12は、上記縦横の金属線12b、12cからなる四角枠の格子状の形状に限らず、トタン板等の周知の態様を適宜に採用できることは言うまでもない。
実施形態は獣害防止柵に係るものであったが、この発明は、獣害防止柵以外の他の柵、例えば、家畜用柵、太陽光発電施設周辺柵等においても、その門扉を設ける場合に採用できる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0020】
11、11a 支柱
12 柵
12a 柵の枠(フレーム)
12b 柵の縦金属線
12c 柵の横金属線
20、20a、20b 扉
21 取付杆
21b 扉の縦金属線
21c 扉の横金属線
30 扉の開閉機構
31 一の支持環
32 他の支持環
34 連結片
35 締結ボルト
36 締結ナット
37 蝶番(ヒンジ)
A 獣(猪)
G 地盤