(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】キノコ栽培用の菌掻き具
(51)【国際特許分類】
A01G 18/00 20180101AFI20220314BHJP
【FI】
A01G18/00 501
(21)【出願番号】P 2018114083
(22)【出願日】2018-06-15
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】515103445
【氏名又は名称】きのこの森有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】霜鳥 大地
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-41925(JP,A)
【文献】特開平10-234229(JP,A)
【文献】特開2000-316378(JP,A)
【文献】特開平4-278028(JP,A)
【文献】特開2005-73682(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0049408(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 18/00-18/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノコの瓶栽培で、キノコの発芽を促進させるために行われる菌掻き作業に用いられるキノコ栽培用の菌掻き具において、
回転駆動軸に装着されて回転軸心を中心に回転されるように形成された軸状基部と、
該軸状基部の先端に前記回転軸心に直交する左右の両方向へ延長された形状に設けられた横張り基部と、
該横張り基部から先端側へ掻き刃状に突起した形状に設けられると共に、該横張り基部に左右に所要の間隔を置いて設けられた複数の菌掻き刃部とを備え、
前記回転軸心を中心にして、前記横張り基部の左右の両方のそれぞれに複数の前記菌掻き刃部が設けられ、全ての前記菌掻き刃部の先端が前記回転駆動軸の回転方向を向くように、前記横張り基部の左右で、前記菌掻き刃部の先端の曲げ方向が反対となるように屈曲されて設けられ、
前記複数の前記菌掻き刃部のうち前記回転軸心から最も離れた位置の最外位置の菌掻き刃部の先端が、被菌掻き面の外周部をリング帯状により深く掻き取ることができるように、他の菌掻き刃部よりも大きく突起した状態に設けられていることを特徴とするキノコ栽培用の菌掻き具。
【請求項2】
前記複数の菌掻き刃部が、前記回転軸心を中心にして前記横張り基部の左右の両方のそれぞれに二つずつ設けられ、前記左右の一方の内側の菌掻き刃部は前記回転軸心の近傍に配され、前記左右の他方の内側の菌掻き刃部は前記回転軸心から所要の間隔を置いて配されていることを特徴とする請求項1記載のキノコ栽培用の菌掻き具。
【請求項3】
前記菌掻き刃部の先端の屈曲角度が、前記回転軸心の延長方向を基準にして45度プラスマイナス10度であることを特徴とする請求項1又は2記載キノコ栽培用の菌掻き具。
【請求項4】
前記横張り基部及び前記複数の前記菌掻き刃部が板状の部材によって一体的に形成されていることを特徴とする請求項1~3いずれかに記載のキノコ栽培用の菌掻き具。
【請求項5】
隣り合う前記菌掻き刃部の刃の巾よりも、前記菌掻き刃部同士の間隔の方が大きく設けられていることを特徴とする請求項1~4いずれかに記載のキノコ栽培用の菌掻き具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノコの瓶栽培で、キノコの発芽を促進させるために行われる菌掻き作業に用いられるキノコ栽培用の菌掻き具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キノコの一例としての本しめじのビン栽培に関し、本しめじ栽培ビン内の種菌およびきのこ菌糸に施す発芽処理の技術として、本しめじ栽培ビンに種菌を接種し、瓶内培養基に2次菌糸が蔓延して熟成を完了した時期に前記接種された種菌の中心部分を押圧するとともにこの中心部分を残して外周部分について菌床荒らし操作を行なうしめじの栽培方法(特許文献1参照)が提案されている。
【0003】
また、きのこを培養基から均一に且つ密生したきのこから成るブロック状の菌塊を得ることのできるキノコ栽培用の菌掻き具として、きのこ栽培瓶に充填した培地に種菌を植菌し、菌糸を培養して成る培養基の表層部を削り、該培養基の表面を中央部が盛り上がった凸状に形成してきのこを発生させるブロック状きのこ栽培方法、及び前記培養基の表面を中央部が盛り上がった凸状に形成すべく、菌掻きを行う菌掻き刃を具備するブロック状きのこ栽培装置(特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
さらに、菌床シメジの栽培において、培養瓶に充填・殺菌された培養基に、種菌を載せて前記培養瓶の瓶口内に種菌層を形成することで接種し、菌床培養が完了した後、前記種菌層の上面部を水平に薄く除去することで前記瓶口内に発芽面を形成し、次に前記発芽面の中央部を凹球面部材で押圧して凸球面状に形成することで、子実体を個々に分離した状態で綺麗に収穫できるキノコの栽培方法(特許文献3参照)が、本出願人によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭55-48324号公報(第1頁)
【文献】特開平05-41925号公報(第1頁)
【文献】特開2016-202005号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キノコ栽培用の菌掻き具に関して解決しようとする課題は、子実体を収穫の際に個々に分離した状態にカットし易くできるように生長させる発芽面を、被菌掻き面に形成すると共に、その被菌掻き面の外周部をリング帯状に深く掻き取る菌掻き作業を、より適切且つより効率良く行うことができるものが提案されていない点にある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、キノコの瓶栽培における菌掻き作業を、子実体を収穫の際に個々に分離した状態にカットし易くできるように生長させる発芽面を適切に形成するように、適切且つ効率良く行うことができるキノコ栽培用の菌掻き具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具の一例によれば、キノコの瓶栽培で、キノコの発芽を促進させるために行われる菌掻き作業に用いられるキノコ栽培用の菌掻き具において、回転駆動軸に装着されて回転軸心を中心に回転されるように形成された軸状基部と、該軸状基部の先端に前記回転軸心に直交する左右の両方向へ延長された形状に設けられた横張り基部と、該横張り基部から先端側へ掻き刃状に突起した形状に設けられると共に、該横張り基部に左右に所要の間隔を置いて設けられた複数の菌掻き刃部とを備え、前記回転軸心を中心にして、前記横張り基部の左右の両方のそれぞれに複数の前記菌掻き刃部が設けられ、全ての前記菌掻き刃部の先端が前記回転駆動軸の回転方向を向くように、前記横張り基部の左右で、前記菌掻き刃部の先端の曲げ方向が反対となるように屈曲されて設けられ、前記複数の前記菌掻き刃部のうち前記回転軸心から最も離れた位置の最外位置の菌掻き刃部の先端が、被菌掻き面の外周部をリング帯状により深く掻き取ることができるように、他の菌掻き刃部よりも大きく突起した状態に設けられている。
【0009】
また、本発明にかかる菌床によるキノコの栽培の一例によれば、前記複数の菌掻き刃部が、前記回転軸心を中心にして前記横張り基部の左右の両方のそれぞれに二つずつ設けられ、前記左右の一方の内側の菌掻き刃部は前記回転軸心の近傍に配され、前記左右の他方の内側の菌掻き刃部は前記回転軸心から所要の間隔を置いて配されていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかる菌床によるキノコの栽培の一例によれば、前記菌掻き刃部の先端の屈曲角度が、前記回転軸心の延長方向を基準にして45度プラスマイナス10度であることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明にかかる菌床によるキノコの栽培の一例によれば、前記横張り基部及び前記複数の前記菌掻き刃部が板状の部材によって一体的に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる菌床によるキノコの栽培の一例によれば、隣り合う前記菌掻き刃部の刃の巾よりも、前記菌掻き刃部同士の間隔の方が大きく設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具によれば、キノコの瓶栽培における菌掻き作業を、子実体を収穫の際に個々に分離した状態にカットし易くできるように生長させる発芽面を適切に形成するように、適切且つ効率良く行うことができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具の形態例を示す斜視図である。
【
図2】本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具の形態例を示す正面図である。
【
図3】本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具の形態例を示す側面図である。
【
図4】本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具の形態例を示す底面図である。
【
図5】キノコ栽培用の種菌が接種されたキノコ栽培瓶の瓶口の状態を示す断面図である。
【
図6】本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具によって、菌掻き作業がなされている状態を示す断面図である。
【
図7】菌掻き作業がなされた後のキノコ栽培瓶の瓶口の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具の形態例を、添付図面(
図1~4)に基づいて詳細に説明する。本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具は、キノコの瓶栽培で、キノコの発芽を促進させるために行われる菌掻き作業に用いられるものである。
【0016】
本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具は、基礎になる構成として、回転駆動軸40に装着されて回転軸心を中心に回転されるように形成された軸状基部31と、その軸状基部31の先端に前記回転軸心に直交する左右の両方向へ延長された形状に設けられた横張り基部32と、その横張り基部32から先端側へ掻き刃状に突起した形状に設けられると共に、その横張り基部32に左右に所要の間隔を置いて、複数の菌掻き刃部33が設けられている。なお、本形態例では、軸状基部31の底面に開口した被挿入装着穴31a(
図4参照)に、回転駆動軸40が挿入され(
図3参照)、ネジ35(
図1参照)が締め付けられることで装着される通常の取り付け構成になっているが、これに限定されることはなく、装着手段は他の既知の固着手段を用いることができるのは勿論である。
【0017】
また、前記回転軸心を中心にして、横張り基部32の左右の両方のそれぞれに複数の菌掻き刃部33が設けられ、全ての菌掻き刃部33の先端が回転駆動軸の回転方向を向くように、横張り基部32の左右で、菌掻き刃部33の先端の曲げ方向が反対となるように屈曲されて設けられている。すなわち、本形態例では、
図2の図面上において、複数の菌掻き刃部33のうち33(a)、33(c)の先端が奥側へ向くように屈曲され、複数の菌掻き刃部33のうち33(b)、33(d)の先端が手前側へ向くように屈曲されている。また、
図2などに示すように、菌掻き刃部33(a)、33(c)は大きさや曲げ方向などが同等の形態に設けられ、菌掻き刃部33(b)は曲げ方向を除いて菌掻き刃部33(a)、33(c)と同等の形態に設けられている。
【0018】
そして、複数の菌掻き刃部33のうち回転軸心から最も離れた位置の最外位置の菌掻き刃部33(d)の先端が、被菌掻き面25(
図5参照)の外周部をリング帯状により深く掻き取ることができるように、他の菌掻き刃部33よりも大きく突起した状態に設けられている。すなわち、本形態例では、複数の菌掻き刃部33のうち33(a)、33(b)、33(c)は、突起した高さ、刃の巾、先端の形状について同等の形状で同等の大きさに形成されているのに対し、菌掻き刃部33(d)については、より大きくてより尖った形状に形成されている。
【0019】
これによれば、被菌掻き面25の中央部から所要の範囲を適切に剥がすように掻き取ることができると同時に、最外位置の菌掻き刃部33(d)によって、被菌掻き面25の外周部をリング帯状により深く適切に掻き取ることができる。すなわち、発芽面25aを適切な形状に効率良く形成できる。このように被菌掻き面25を被菌掻き面25の中央部から所要の範囲を深く削ぎ取ることなく、菌膜を薄く除去するように適切に掻き取ることができるため、キノコの原基を好適に発生させて、キノコの子実体が好適に発芽でき、その子実体を収穫の際に個々に分離した状態にカットし易くできるように生長させることができる。
【0020】
また、本形態例では、複数の菌掻き刃部33が、前記回転軸心を中心にして横張り基部32の左右の両方のそれぞれに二つずつ設けられ、前記左右の一方の内側の菌掻き刃部33(a)は前記回転軸心の近傍に配され、前記左右の他方の内側の菌掻き刃部33(b)は前記回転軸心から所要の間隔を置いて配されている。すなわち、菌掻き刃部33(a)の一方の側辺が回転軸心の軸線に沿って接するように、その菌掻き刃部33(a)が偏位していると共に、回転軸心の中心から33(a)、33(b)、33(c)の順に外側へ等間隔に偏位された状態に配置されている。
【0021】
これによれば、複数の菌掻き刃部33(本形態例では3つ33(a)、33(b)、33(c))によって、被菌掻き面25の中央部から所要の範囲を適切に剥がすように掻き取ることができる。すなわち、菌掻き刃部33(a)が中央部を円形状に掻き取り、菌掻き刃部33(b)がその円形の外側を同心円の軌道を描いてリング状に掻き取り、菌掻き刃部33(c)がさらにその菌掻き刃部33(b)による軌道の外側を同心円の軌道を描いてリング状に掻き取ることができる。さらに、本発明によれば、複数の菌掻き刃部33の先端が、被菌掻き面25に分散した状態(本形態例では3箇所に分かれた状態)で一箇所に強く当たることなく、適切な力関係でバランス良くより分散した状態で接触することができ、適切に菌掻き作業を行うことができる。なお、本形態例のように、複数の菌掻き刃部33が横張り基部32の左右の両方のそれぞれに二つずつ設けられる構成に限定されることはなく、形状が複雑化するが、菌掻き刃部33の数を増やすことも可能である。
【0022】
また、本形態例では、菌掻き刃部33の先端の屈曲角度が、前記回転軸心の延長方向を基準にして45度プラスマイナス10度である形状に形成されている。なお、この菌掻き刃部33の先端の屈曲角度について、より好ましくは、45度プラスマイナス5度とすることができる。
【0023】
これによれば、複数の菌掻き刃部33の先端が、被菌掻き面25に、適切な力関係でバランス良くに接触することができ、種菌層が剥がれて必要以上に深く掻き取られることを防止しつつ、適切に菌掻き作業を行うことができる。すなわち、菌掻き刃部33の先端の曲げ角度が大き過ぎると、その先端が被菌掻き面25に摩擦が大きくなるように接触して食い込み易く、その被菌掻き面25を必要以上に分離させて剥がし易くなり、その曲げ角度が小さ過ぎると、菌掻き作業が十分になされないことになる。
【0024】
また、本形態例では、横張り基部32及び複数の前記菌掻き刃部33が板状の部材によって一体的に形成されている。さらに、本形態例では、横張り基部32及び複数の前記菌掻き刃部33が、一枚の金属材を適宜にカット(切断)して曲げ加工することで適切に形成される形状に設けられており、合理的且つ容易に製造することができる。
【0025】
また、本発明にかかる菌床によるキノコの栽培の一例によれば、隣り合う菌掻き刃部33の刃の巾よりも、菌掻き刃部33同士の間隔の方が大きく設けられている。これによれば、隣り合う菌掻き刃部33同士によって、被菌掻き面25に接触する部分が重複することを防止でき、掻き取る作用が大きくなり過ぎることを防止できる。すなわち、被菌掻き面25を掻き取って形成される表面である発芽面に必要以上に強く接して、その発芽面を潰し過ぎることを防止でき、キノコの原基の形成及び子実体の発芽を好適に促すことができる。
【0026】
次に、本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具30によって行われる菌掻き作業を、ブナシメジの栽培方法を例として説明する。
ブナシメジの栽培方法では、
図5に示すように、培養瓶10に充填・殺菌された培養基20に、ブナシメジの種菌を載せて培養瓶10の瓶口内12に種菌層22を形成することで接種する。すなわち、培養瓶10に、オガ粉やコーンコブなどの基材と、コヌカやフスマなどの栄養材を混合したものを充填して培養基20とし、殺菌後、培養基20にブナシメジの種菌を投入してブナシメジの種菌層22を形成するように接種を行うことで、良質な菌床を培養することができる。
【0027】
そして、前述の菌床培養が完了した後、
図6に示すように、培養瓶10を逆さまにして、本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具30を、下方を向いた瓶口内12に挿入して回転駆動軸40の駆動によって回転させ、菌掻きの作業を行う。なお、回転方向を、
図4に矢印で示している。これによって、種菌層22の上面部を水平に薄く除去することで瓶口内12に、ブナシメジの発芽面25aを形成すると共に、菌掻き刃部33(d)によって外周部25bを形成する。なお、ブナシメジの種菌層22の上面部を薄く除去する深さは、1mm~3mm程度であって、平均的には2mm程度が望ましい。但し、対象となるキノコの種類などや栽培条件によっては、これに限定されることがないのは勿論である。
【0028】
これによれば、種菌層22の表層の劣化した部分の菌膜を薄く剥がすように適切に除去することができ、新鮮な発芽面25aとすることができるため、子実体同士の癒着を防止できる。従って、収穫の際に子実体を個々に分離した状態で綺麗にカットして収穫できるようになる。また、発芽面25が新鮮で綺麗な面となるため、子実体に菌膜や培地による汚れも着きにくく、品質を向上できる。
【0029】
なお、本形態例のキノコ栽培用の菌掻き具30では、
図1などに示すように、菌掻き刃部33(d)が、外周部25bを発芽面25aよりも深く掻き取るため、先端が尖った形状となっており、それに比較して、菌掻き刃部33(a)、33(b)、33(c)の各先端形状は、強く掻き過ぎないように丸められた形状になっている。なお、この菌掻き刃部33の先端形状については、キノコの種類などの使用条件に対応させて、適宜選択的に形成できるのは勿論である。
【0030】
また、本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具によれば、発芽面25aを形成する作業を行うと同時に、中央部から所定の範囲となる部分を除いた被菌掻き面25の外周部25bをリング帯状に掻いて除去する山掻き作業を、一つの工程で行うことができ、作業性を高めることができる(
図6、7参照)。また、この菌掻き作業によって、発芽面25aを限定し、外周部25bからの発芽防止することができるため、子実体が均一に形良く生長した品質のよいキノコを生産できる。なお、この菌掻きの工程は、掻き取られたものが下方に落下できるように、
図6に示すように、培養瓶10を逆さまにして行われる。
【0031】
また、本発明にかかるキノコ栽培用の菌掻き具によって菌床瓶栽培の菌掻き工程ができるキノコとしては、エノキ、ブナシメジ、ヒラタケ、エリンギなど多々あるが、中でもブナシメジの栽培において、優れた効果を発揮する。
【0032】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0033】
10 培養瓶
12 瓶口内
20 培養基
22 種菌層
25 被菌掻き面
25a 発芽面
25b 外周部
30 キノコ栽培用の菌掻き具
31 軸状基部
31a 被挿入装着穴
32 横張り基部
33 菌掻き刃部
33(a) 菌掻き刃部
33(b) 菌掻き刃部
33(c) 菌掻き刃部
33(d) 最外位置の菌掻き刃部
35 ネジ
40 回転駆動軸