(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ロボットグリッパ
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20220314BHJP
B25J 15/12 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B25J15/08 D
B25J15/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019188691
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】518426837
【氏名又は名称】アイオロス ロボティクス コーポレーション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AEOLUS ROBOTICS CORPORATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルブライト タッカー
(72)【発明者】
【氏名】ポドナー グレッグ
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
B25J 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部及び第2端部を有する第1リンクと、
第1端部及び少なくとも1つの第2端部を有する第2リンクと、
第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの第3リンクと、
少なくとも1つの第1端部及び第2端部を有する第4リンクと、
前記第1リンクの前記第2端部及び前記第2リンクの前記第1端部の間の第1ジョイントと、
前記第2リンクの前記第2端部及び前記第3リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第2ジョイントと、
前記第3リンクの前記第2端部及び前記第4リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第3ジョイントと、を備え、
前記第1、第2、第3、及び第4リンク並びに前記第1、第2、及び第3ジョイントは、弾性材料からなり、且つ一体形成されて
おり、
前記第1リンクの前記第1端部と前記第4リンクの前記第2端部とは互いに離れて形成されている、ロボット指。
【請求項2】
前記第1リンクの前記第2端部の厚さ及び前記第2リンクの前記第1端部の厚さは、前記第1ジョイントの最小厚さより大きく、
前記第2リンクの前記第2端部の厚さ及び前記第3リンクの前記第1端部の厚さは、前記第2ジョイントの最小厚さより大きく、
前記第3リンクの前記第2端部の厚さ及び前記第4リンクの前記第1端部の厚さは、前記第3ジョイントの最小厚さより大きい、請求項1に記載のロボット指。
【請求項3】
前記第1ジョイントの最小厚さは前記第2ジョイントの最小厚さより大きく、且つ、前記第1ジョイントの最小厚さは前記第3ジョイントの最小厚さより大きい、請求項2に記載のロボット指。
【請求項4】
前記第3リンクは第3端部を有し、前記第3リンクの前記第2端部及び前記第3端部の間の側面
は平坦である、請求項1に記載のロボット指。
【請求項5】
前記第1ジョイントの最小厚さは、前記第2ジョイントの最小厚さの2倍から前記第2ジョイントの最小厚さの5倍までであり、又は、前記第3ジョイントの最小厚さの2倍から前記第3ジョイントの最小厚さの5倍までである、請求項2に記載のロボット指。
【請求項6】
前記第2ジョイントの長さは、前記第2ジョイントの最小厚さの3倍から前記第2ジョイントの最小厚さの6倍までであり、
前記第3ジョイントの長さは、前記第3ジョイントの最小厚さの3倍から前記第3ジョイントの最小厚さの6倍までである、請求項2に記載のロボット指。
【請求項7】
前記第2リンクの幅は、前記第2ジョイントに向かっ
てテーパー状になっており、
前記第2ジョイントの幅は、前記第3リンクに向かっ
てテーパー状になっており、
前記第3リンクの幅は、その前記第3端部に向かっ
てテーパー状になっており、
前記第4リンクの幅は、前記第3ジョイントに向かっ
てテーパー状になっており、
前記第3ジョイントの幅は、前記第3リンクに向かっ
てテーパー状になっている、請求項4に記載のロボット指。
【請求項8】
前記第2リンクは2つの前記第2端部を有し、2つの前記第2端部は、分岐状に突出し、且つ、2つの前記第2ジョイントと接続し、2つの前記第2ジョイントは、それぞれ2つの前記第3リンクの2つの前記第1端部と接続し、
前記第4リンクは2つの前記第2端部を有し、2つの前記第2端部は、分岐状に突出し、且つ、2つの前記第3ジョイントと接続し、2つの前記第3ジョイントは、2つの前記第3リンクの2つの前記第2端部と接続する、請求項1に記載のロボット指。
【請求項9】
前記第1リンクの前記第1端部は第1外部エレメントに設置されるように構成され、前記第4リンクの前記第2端部は第2外部エレメントに設置されるように構成されている、請求項1に記載のロボット指。
【請求項10】
前記第1リンクの前記第1端部が前記第1外部エレメントに設置され、前記第4リンクの前記第2端部が前記第2外部エレメントに設置されているとき、前記第1外部エレメントと前記第2外部エレメントとの間の直線は、前記第2ジョイントと前記第3ジョイントとの間の直線に平行ではなく、前記第1外部エレメントと前記第2外部エレメントとの間の距離は、前記第2ジョイントと前記第3ジョイントとの間の距離よりも大きい、請求項9に記載のロボット指。
【請求項11】
第1端部及び第2端部を有する第1リンクと、
第1端部及び少なくとも1つの第2端部を有する第2リンクと、
第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの第3リンクと、
少なくとも1つの第1端部及び第2端部を有する第4リンクと、
前記第1リンクの前記第2端部及び前記第2リンクの前記第1端部の間の第1ジョイントと、
前記第2リンクの前記第2端部及び前記第3リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第2ジョイントと、
前記第3リンクの前記第2端部及び前記第4リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第3ジョイントと、を備え、
前記第1、第2、第3、及び第4リンク並びに前記第1、第2、及び第3ジョイントは、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成され
、
前記第1リンクの前記第1端部と前記第4リンクの前記第2端部とは互いに離れて形成されている、ロボット指。
【請求項12】
前記第1リンク
の幅はその前記第2端部
に向かってテーパー状になっており、前記第2リンク
の幅はその前記第1端部と前記第2端部
に向かってテーパー状になっており、前記第3リンク
の幅はその前記第1端部と前記第2端部
に向かってテーパー状になっており、及び前記第4リンク
の幅はその前記第1端部
に向かってテーパー状になっている、請求項
11に記載のロボット指。
【請求項13】
前記第1ジョイントの最小厚さは、前記第1リンクの前記第2端部の厚さ及び前記第2リンクの前記第1端部の厚さより小さく、
前記第2ジョイントの最小厚さは、前記第2リンクの前記第2端部の厚さ及び前記第3リンクの前記第1端部の厚さより小さく、
前記第3ジョイントの最小厚さは、前記第3リンクの前記第2端部の厚さ及び前記第4リンクの前記第1端部の厚さより小さい、請求項
12に記載のロボット指。
【請求項14】
前記第1ジョイントの最小厚さは前記第2ジョイントの最小厚さより大きく、且つ、前記第1ジョイントの最小厚さは前記第3ジョイントの最小厚さより大きいであるように、前記第1ジョイントの剛性は前記第2ジョイントの剛性又は前記第3ジョイントの剛性より大きい、請求項
13に記載のロボット指。
【請求項15】
前記第3リンクは第3端部を有し、前記第3リンクの前記第2端部及び前記第3端部の間の側面
は平坦である、請求項
11に記載のロボット指。
【請求項16】
前記第2ジョイントの長さは、前記第2ジョイントの最小厚さの6倍
に等しく、前記第3ジョイントの長さは、前記第3ジョイントの最小厚さの6倍
に等しい、請求項
12に記載のロボット指。
【請求項17】
前記第3リンクの前記第3端部及び前記第1リンクの前記第1端部の間の距離と前記第1リンクの幅との比率は
、3.5から6までである、請求項
15に記載のロボット指。
【請求項18】
前記第2リンクは2つの前記第2端部を有し、2つの前記第2端部は、分岐状に突出し、且つ、2つの前記第2ジョイントと接続し、2つの前記第2ジョイントは、それぞれ2つの前記第3リンクの2つの前記第1端部と接続し、
前記第4リンクは2つの前記第2端部を有し、2つの前記第2端部は、分岐状に突出し、且つ、2つの前記第3ジョイントと接続し、2つの前記第3ジョイントは、2つの前記第3リンクの2つの前記第2端部と接続する、請求項
11に記載のロボット指。
【請求項19】
前記第1リンクの前記第1端部は第1外部エレメントに設置されるように構成され、前記第4リンクの前記第2端部は第2外部エレメントに設置されるように構成されている、請求項11に記載のロボット指。
【請求項20】
前記第1リンクの前記第1端部が前記第1外部エレメントに設置され、前記第4リンクの前記第2端部が前記第2外部エレメントに設置されているとき、前記第1外部エレメントと前記第2外部エレメントとの間の直線は、前記第2ジョイントと前記第3ジョイントとの間の直線に平行ではなく、前記第1外部エレメントと前記第2外部エレメントとの間の距離は、前記第2ジョイントと前記第3ジョイントとの間の距離よりも大きい、請求項19に記載のロボット指。
【請求項21】
第1駆動部、第1
遊び状態の基礎ジョイント(idle ground joint)、第2駆動部、及び第2
遊び状態の基礎ジョイントを有する本体を提供し、
第1ロボット指を提供し、前記第1ロボット指は、
第1端部及び第2端部を有する第1リンクと、
第1端部及び少なくとも1つの第2端部を有する第2リンクと、
第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの第3リンクと、
少なくとも1つの第1端部及び第2端部を有する第4リンクと、
前記第1リンクの前記第2端部及び前記第2リンクの前記第1端部の間の第1ジョイントと、
前記第2リンクの前記第2端部及び前記第3リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第2ジョイントと、
前記第3リンクの前記第2端部及び前記第4リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第3ジョイントと、を備え、
前記第1、第2、第3、及び第4リンク並びに前記第1、第2、及び第3ジョイントは、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されており、
前記第1ロボット指の前記第1リンクの前記第1端部は、前記第1駆動部と前記第1
遊び状態の基礎ジョイントとの一方に設置され、且つ、前記第1ロボット指の前記第4リンクの前記第2端部は、前記第1駆動部と前記第1
遊び状態の基礎ジョイントとの他方に設置され、
第2ロボット指を提供し、前記第2ロボット指は、
第1端部及び第2端部を有する第1リンクと、
第1端部及び少なくとも1つの第2端部を有する第2リンクと、
第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの第3リンクと、
少なくとも1つの第1端部及び第2端部を有する第4リンクと、
前記第1リンクの前記第2端部及び前記第2リンクの前記第1端部の間の第1ジョイントと、
前記第2リンクの前記第2端部及び前記第3リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第2ジョイントと、
前記第3リンクの前記第2端部及び前記第4リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第3ジョイントと、を備え、
前記第1、第2、第3、及び第4リンク並びに前記第1、第2、及び第3ジョイントは、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されており、
前記第2ロボット指の前記第4リンクの前記第2端部は、前記第2駆動部と前記第2
遊び状態の基礎ジョイントとの一方に設置され、且つ、前記第2ロボット指の前記第1リンクの前記第1端部は、前記第2駆動部と前記第2
遊び状態の基礎ジョイントとの他方に設置され、
前記第1駆動部と前記第2駆動部とを駆動することにより、前記第1ロボット指と前記第2ロボット指とを作動させ、物体の挟持把持又はなじみ把持を実行する、ロボットグリッパを操作する方法。
【請求項22】
前記第1ロボット指の前記第3リンクは第3端部を有し、且つ、前記第2ロボット指の前記第3リンクは第3端部を有し、前記第1ロボット指の前記第3リンクの第2端部及び第3端部の間の側面と前記第2ロボット指の前記第3リンクの第2端部及び第3端部の間の側面とは
、平坦で且つ相互に平行である、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2ロボット指の前記第2リンクは2つの前記第2端部を有し、2つの前記第2端部は、分岐状に突出し、且つ、2つの前記第2ジョイントと接続し、2つの前記第2ジョイントは、それぞれ前記第2ロボット指の2つの前記第3リンクの2つの前記第1端部と接続し、
前記第2ロボット指の前記第4リンクは2つの前記第2端部を有し、2つの前記第2端部は、分岐状に突出し、且つ、2つの前記第3ジョイントと接続し、2つの前記第3ジョイントと接続し、2つの前記第3ジョイントは、前記第2ロボット指の2つの前記第3リンクの2つの前記第2端部と接続する、請求項
21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1駆動部及び前記第1
遊び状態の基礎ジョイントの間の距離は、前記第1ロボット指の前記第2ジョイント及び前記第3ジョイントの間の距離より大きく、前記第2駆動部及び前記第2
遊び状態の基礎ジョイントの間の距離は、前記第2ロボット指の前記第2ジョイント及び前記第3ジョイントの間の距離より大きい、請求項
21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、挟持把持(pinch grasp)モード及びなじみ把持(conforming grasp)モードを実行するように構成される完全に柔軟な(fully-flexural)ロボットグリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットグリッパは、様々な用途に向けて開発されている。多くのグリッパは、1つの用途だけに向けて設計されている。つまり、特定な種類の物体のみを確実に把持できる。
【0003】
例えば、様々な作動モードの1つ、いわゆる「挟持把持」モードにおいては、グリッパの指の1つの接触面は、グリッパの他の指の他の接触面と実質的に平行になるように構成されることができる。この挟持モードにおいては、各指の平行な面が操作され又は移動されるべき物体に接触する。この挟持モードで動作するグリッパは、比較的に小さい又は軽い物体、及び矩形状の物体を拾い上げることは特に得意である。
【0004】
作動モードの他の例は、なじみモードである。このモードにおいては、少なくとも1つの指は、物体の輪郭になじむように変形することができる。このなじみモードで動作するグリッパは、円筒形の輪郭、球形の輪郭、不規則な輪郭、又は他の特殊な輪郭を有する物体を拾い上げることは特に得意である。
【0005】
グリッパが挟持及びなじみ把持モードの両方を実行するように、ばね、トリガー、又はリンケージを含む劣駆動機械システムをグリッパに統合することができる。例えば、劣駆動をグリッパの指に導入することにより、指のアクチュエータは自由度より比較的に少ないため、劣駆動の特定な設計に応じて、指の付加物(appendages)が平らな表面をしっかり把持したり、または物体の表面を自然になじんで把持したりすることは可能になる。
【0006】
2015年にRobotiq社に権利付与された米国特許第8,973,958号は、挟持把持及び包み囲み把持(encompassing grasp)の両方を実行できるリンケージ駆動のロボットグリッパ指の設計と設計方法を説明した。米国特許第8,973,958号の発明は、様々なカナダの大学の研究者によって執筆され、2004年から2011年までの間に作成された幾つかの論文の学術的教示に基づいた。学術文献「The kinematic preshaping of triggered self-adaptive linkage-driven robotic finger」(Birglen,2011)を言い換えると、各リンクの長さを慎重に選択することにより、「安定した挟持領域(stable pinch region)」を定義できる。この安定した把持領域とプリシェイピングばねとの組み合わせにより、指は、ばねが係合していない時は挟持モードで把持し、係合している時はなじみモードで把持することは可能にする。しかし、米国特許第8,973,958号によって提案された機械システムにはそれ自身の限界がある。それは、従来の劣駆動指設計の欠点の典型的な例として、大量生産の難しさ、部品点数並びに組立てコスト、及び堅牢性を含むが、これらに限定されない。しかし、最も注目すべきなのは、グリッパのコンプライアンス性が2次元(2D)に制限されていることである。機械システムは、1自由度の回転ジョイントである「ピンジョイント」を使用し、すべてが同じ平面に位置するように構成されているため、結果として、コンプライアンス性はその平面内のみに存在し、面外曲げ又は変形はできない。
【0007】
グリッパの全体のコンプライアンス性を改善するため、「i-HYハンド」のようなハンドが開発された。このハンドはiRobot社、イェール大学、及びハーバード大学の間の2012年の共同プロジェクトである。i-HYハンドは、数年前にイェール大学のAaron Dollar教授によって導入された、ロボットグリッパの従来のピンジョイントの代わりに「柔軟ジョイント(flexural joint)」を使用するというコアコンセプトを改善した。柔軟ジョイントは、従来のピンジョイントと異なって、6自由度のジョイントであるため、非線形形式であるが、3軸に沿って回転及び3軸に沿って変形できる。この3次元コンプライアンス性により、指は、基本的な2Dコンプライアンス性を有するグリッパよりも幅広い物体になじむことが可能になる。しかし、米国特許第8,973,958号と同様に、既存の「柔軟」グリッパ指にはそれ自身の欠点がある。それは、一般的にはケーブル駆動であり、組立て時間が長くなる。また、通常はインモールド成形されており、製造コストが高くなる。そして、最も重要なのは、「安定した挟持領域」がないため、なじみ把持モードのみを実現し、本当の挟持把持モードを実行できない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、挟持把持モード及びなじみ把持モードの両方を実行できるロボット指に関し、特に、3次元の物体になじむことができるロボット指に関する。一枚のゴム、プラスチック、又は他の柔軟性の高い材料から作ってもよいため、既存のリンケージ駆動及び柔軟ベース(flexure-based)の劣駆動のグリッパ指より多くの利点がある。
【0009】
ロボット指は単一部品として製造してもよいため、製造及び組立ての両方の時間コストは劇的に削減される。射出成形及び熱圧成形のような製造技術により、部品が比較的に低いコストで大量生産されることは可能になる。
【0010】
ロボット指は1つのエラストマー材料からなってもよいため、本質的に堅牢であり、衝突、振動、及び衝撃に物理的に抵抗力がある。さらに、海洋ロボット環境への要求が高まるため、ロボット指は本質的に防水性がある。なお、ロボットグリッパの掃除はより簡単になる。
【0011】
最も重要なのは、ロボット指は、柔軟指の全ての利点を保持しながら、挟持把持及びなじみ把持の両方の機能を実現することである。指の幾何形状は6軸の力とトルクを考慮して設計されているため、その各ジョイントは、非線形形式であるが、3次元で回転及び3次元で移動できる。同様に、その各リンクは、特定の設計パラメータに応じて、3D空間において剛性リンク(rigid link)と見なすことができる。これにより、既存のリンケージ駆動の劣駆動グリッパ設計と同様に、指は挟持把持モード及びなじみ把持モードの両方を実現できる。さらに、既存の柔軟ジョイント(flexure-jointed)の劣駆動グリッパ設計と同様に、指は3次元におけるコンプライアンス性を有することを実現できる。
【0012】
「ジョイント」領域、「リンク」領域、及びロボットグリッパと指との残りの詳細は、以下のように定義されている。
【0013】
本開示の一の例示的な実施形態によれば、ロボット指は、第1端部及び第2端部を有する第1リンクと、第1端部及び少なくとも1つの第2端部を有する第2リンクと、第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの第3リンクと、少なくとも1つの第1端部及び第2端部を有する第4リンクと、前記第1リンクの前記第2端部及び前記第2リンクの前記第1端部の間の第1ジョイントと、前記第2リンクの前記第2端部及び前記第3リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第2ジョイントと、前記第3リンクの前記第2端部及び前記第4リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第3ジョイントと、を含む。前記第1、第2、第3、及び第4リンク並びに前記第1、第2、及び第3ジョイントは、弾性材料を含み、且つ一体形成されている。上記のように、製造可能性、コスト、及び防水性の利点のため、指は単一部品として製造される。
【0014】
本開示の他の例示的な実施形態によれば、ロボット指は、第1端部及び第2端部を有する第1リンクと、第1端部及び少なくとも1つの第2端部を有する第2リンクと、第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの第3リンクと、少なくとも1つの第1端部及び第2端部を有する第4リンクと、前記第1リンクの前記第2端部及び前記第2リンクの前記第1端部の間の第1ジョイントと、前記第2リンクの前記第2端部及び前記第3リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第2ジョイントと、前記第3リンクの前記第2端部及び前記第4リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第3ジョイントと、を含む。前記第1、第2、第3、及び第4リンク並びに前記第1、第2、及び第3ジョイントは、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されている。上記のように、3次元コンプライアンス性により、グリッパがより幅広い異形の物体を把持すること及び堅牢性を改善することは可能になる。
【0015】
本開示の他の例示的な実施形態によれば、ロボットグリッパを操作する方法は、第1駆動部、第1アイドルグラウンドジョイント、第2駆動部、及び第2アイドルグラウンドジョイントを有する本体を提供し、第1ロボット指を提供し、前記第1ロボット指は、第1端部及び第2端部を有する第1リンクと、第1端部及び少なくとも1つの第2端部を有する第2リンクと、第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの第3リンクと、少なくとも1つの第1端部及び第2端部を有する第4リンクと、前記第1リンクの前記第2端部及び前記第2リンクの前記第1端部の間の第1ジョイントと、前記第2リンクの前記第2端部及び前記第3リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第2ジョイントと、前記第3リンクの前記第2端部及び前記第4リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第3ジョイントと、を含み、前記第1、第2、第3、及び第4リンク並びに前記第1、第2、及び第3ジョイントは、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されており、前記第1ロボット指の前記第1リンクの前記第1端部は、前記第1駆動部と前記第1アイドルグラウンドジョイントとの一方に設置され、且つ、前記第1ロボット指の前記第4リンクの前記第2端部は、前記第1駆動部と前記第1アイドルグラウンドジョイントとの他方に設置され、第2ロボット指を提供し、前記第2ロボット指は、第1端部及び第2端部を有する第1リンクと、第1端部及び少なくとも1つの第2端部を有する第2リンクと、第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの第3リンクと、少なくとも1つの第1端部及び第2端部を有する第4リンクと、前記第1リンクの前記第2端部及び前記第2リンクの前記第1端部の間の第1ジョイントと、前記第2リンクの前記第2端部及び前記第3リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第2ジョイントと、前記第3リンクの前記第2端部及び前記第4リンクの前記第1端部の間の少なくとも1つの第3ジョイントと、を含み、前記第1、第2、第3、及び第4リンク並びに前記第1、第2、及び第3ジョイントは、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されており、前記第2ロボット指の前記第4リンクの前記第2端部は、前記第2駆動部と前記第2アイドルグラウンドジョイントとの一方に設置され、且つ、前記第2ロボット指の前記第1リンクの前記第1端部は、前記第2駆動部と前記第2アイドルグラウンドジョイントとの他方に設置され、前記第1駆動部と前記第2駆動部とを駆動することにより、前記第1ロボット指と前記第2ロボット指とを作動させ、物体の挟持把持又はなじみ把持を実行する。
【0016】
本開示をさらに理解するため、以下の実施形態は、本開示を容易に理解するための図面とともに提供されている。しかし、添付の図面は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に参考及び例示のために提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の態様は、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明を読むと容易に理解できる。留意すべきなのは、様々な特徴は縮尺に合わせて描かれていない場合がある。実際、説明を明確にするため、様々な特徴の寸法を任意に拡大又は縮小されることがある。
【0018】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの斜視図である。
【
図2A】本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指の斜視図である。
【
図2B】本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指の上面図である。
【
図2C】本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指の右側面図である。
【
図2D】本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指の左側面図である。
【
図3A】本開示の他の実施形態に係るロボット指の斜視図である。
【
図3B】本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指の上面図である。
【
図3C】本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指の左側面図である。
【
図3D】本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指の右側面図である。
【
図4A】本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの上面模式図である。
【
図4B】ロボット指が開く状態の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの上面模式図である。
【
図4C】ロボット指がほぼ閉じる状態の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの上面模式図である。
【
図5A】本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの上面模式図である。
【
図5B】ロボット指が開く状態の本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの上面模式図である。
【
図5C】ロボット指がほぼ閉じる状態の本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの上面模式図である。
【
図6A-B】ロボットグリッパが正方形の物体を挟持する際の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパを示す。
【
図7A-C】ロボットグリッパが異形の物体を把持する際の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパを示す。
【
図8A】参考のために座標系を追加した、ロボットグリッパが重い物体を持ち上げる際の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパを示す。
【
図8B】参考のために座標系を追加した、ロボットグリッパが重い物体を持ち上げる際の本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパを示す。
【
図9A】参考のために座標系を追加した、ロボットグリッパがマグを把持する際の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパを示す。
【
図9B-C】ロボットグリッパがマグを把持する際の本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの上面模式図である
【
図10A】ロボットグリッパがロッドを把持する際の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパを示す。
【
図10B】ロボットグリッパがロッドを把持する際の本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパの上面模式図である。
【
図11】本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボット指の斜視図である。
【
図12】本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボット指の斜視図である。
【
図13】本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボット指の斜視図である。
【
図14】本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボット指の上面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
前述の図面及び以下の詳細な説明は、本開示の範囲をさらに説明するための例示である。本開示に関する他の目的及び利点は、後続の説明及び添付の図面に示される。
【0020】
以下の開示は、発明対象の異なる特徴を実施するため、多くの異なる実施形態又は実施例として提供された。構成要素及び構成の具体例は以下に説明する。当然、これらは単なる例であり、限定することを意図するものではない。本開示において、明細書における第1特徴は第2特徴の上にある(over又はon)という構成に関する言及は、第1特徴及び第2特徴が直接接触して形成される実施形態を含み、又は、追加の特徴が第1特徴及び第2特徴の間に形成することにより、第1特徴及び第2特徴が間接接触して形成される実施形態を含む。さらに、本開示は、様々な実施例において参照数字及び/又は符号は重複することがある。この重複は、単純性及び明瞭性の目的のためであり、論じられた様々な実施形態及び/又は構成の間の関係を規定しない。
【0021】
図1は、本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパ100の斜視図である。ロボットグリッパ100は、ロボット指1、ロボット指2、及び本体3を含んでもよい。ロボット指1及びロボット指2は、本体3に設置される。
【0022】
図2Aは、本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指1の斜視図である。ロボット指1は、4つのリンク11、12、13及び14、並びに3つのジョイント15、17及び19を含んでもよい。リンク11は、相対する2つの端部111及び112を有してもよい。リンク12は、相対する2つの端部121及び122を有してもよい。リンク13は、3つの端部131、132、及び133を有してもよい。リンク14は、相対する2つの端部141及び142を有してもよい。ジョイント15はリンク11の端部112及びリンク12の端部121と接続してもよく、ジョイント17はリンク12の端部122及びリンク13の端部131と接続してもよく、ジョイント19はリンク13の端部132及びリンク14の端部141と接続してもよい。リンク11、12、13及び14、並びにジョイント15、17及び19は、弾性材料を含んでもよく、且つ一体形成されており、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されている。
【0023】
留意すべきなのは、下記のX、Y、及びZ軸は、3次元デカルト座標系を使用する。Z軸の正方向は、リンク11の端部111からリンク13の端部133までの一般的な方向に延びており、一次リンケージ面において実質的に垂直であると解釈することができる。X軸の正方向は、リンク14の端部142からリンク11の端部112までの一般的な方向に延びており、一次リンケージ面において実質的に水平であると解釈することができる。残りのY軸は、右手の法則を使用して定義する。
[例示的な曲げモードと設計パラメータ]
【0024】
上記のグリッパ指の少なくとも3つの例示的な変形モードを以下に説明する。
【0025】
第1モードは、一次リンケージ面であるX-Z面における指の曲げであってもよい。一次リンケージ面における曲げにより、物体の挟持把持及びなじみ把持が可能になる。指が挟持把持及びなじみ把持の両方をできるようにするには、第1ジョイントのばね強度は、第2ジョイント及び第3ジョイントのばね強度よりかなり大きくする必要がある。しかし、第2ジョイント及び第3ジョイントは、実際的にはあまり細すぎないようにする必要がある。さもないと、グリッパが堅牢でなくなってしまい、又は指先を通して大量の把持力を伝達できなくなってしまう。これらは、一次リンケージ面における設計上の考慮事項のほんの一部である。
【0026】
第2モードは、いわゆる「指先ロール(fingertip roll)」、又はZ軸を中心に指を捻ることであってもよい。指先ロールは、指先の表面を、単純な2D輪郭ではなく、3D表面を有する物体になじむことを可能にする。指先のロールを増加するため、第2ジョイント及び第3ジョイントの長さは、第2ジョイント及び第3ジョイントの厚さよりはるかに大きくしてもよい。しかし、これによる代償が伴い、面外撓み(out of plane deflection)が増加する。要するに、1つの撓みモードを向上するために1つのパラメータを変更すると、他の撓みモードに影響が出てくる。
【0027】
第3モードは、Y軸に沿って撓み、又は、ほぼ同等に、X軸を中心に曲げる「面外曲げ(out-of-plane bending)」であってもよい。この設計空間においては、バランスを取る必要がある。面外曲げが多すぎると、グリッパはひっくり返し、ぐったりしすぎるため、重い物体を持ち上げることはできなくなる。面外曲げが少なすぎると、既存のリンケージ駆動の劣駆動グリッパと同様に、面外の衝撃又は衝突に対して堅牢ではなくなり、破損しやすくなる。
【0028】
臨界モードごとに適切な変形量を実現するには、指の設計パラメータを慎重に検討する必要がある。各モードは全て相互に関連しており、1つの物理パラメータを変更すると、全てモードに異なる影響が出てくる。以下の説明は、我々のユースケースにおいて理論及び経験によって見出された最適なパラメータである。
【0029】
図2Bは、本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指1の上面図である。
図2Bを参照し、リンク11の端部112の厚さ及びリンク12の端部121の厚さは、ジョイント15の最小厚さより大きくてもよい。リンク12の端部122の厚さ及びリンク13の端部131の厚さは、ジョイント17の最小厚さより大きくてもよい。リンク13の端部132の厚さ及びリンク14の端部141の厚さは、ジョイント19の最小厚さより大きくてもよい。すなわち、リンク11、12、13、又は14の厚さは、それと接続するジョイント15、17、又は19の厚さより大きくてもよい。一の実施形態おいて、ジョイント17又はジョイント19の最小厚さは、約2.5mmであってもよい。特に、リンク12の最大厚さはジョイント17の最小厚さの約9倍又はそれ以上であってもよく、リンク14の最大厚さはジョイント19の最小厚さの約9倍又はそれ以上であってもよい。一の実施形態において、リンク12の最大厚さ及びリンク14の最大厚さは、22.5mm又はそれ以上であってもよい。さらに、ジョイント15、17、19の厚さは、リンク11、12、13、14の厚さより実質的に小さくてもよいため、ジョイント15、17、19は、リンク11、12、13、14より柔軟で変形可能である。ジョイント15、17、19は、2つのリンクと接続するジョイントとして機能する。
図2Bを参照し、ジョイント15はリンク11及び12と接続するジョイントとして機能し、ジョイント17はリンク12及び13と接続するジョイントとして機能し、ジョイント19はリンク13及び14と接続するジョイントとして機能する。
【0030】
ジョイント15、17、及び19は、面外軸を中心に回転する際には低いばね定数を有し、面内軸を中心に回転する際には高いばね定数を有するジョイントと考えられてもよい。さらに、リンク11、12、13、及び14は、より剛性が高いであるが(完全剛性ではない)、結合ばね定数より一般的に高い様々なばね定数を有するため、3軸で回転する/曲げることができる。これは、把持される物体になじむ複数のモードを可能にする新しい態様のグリッパ指である。
【0031】
ジョイント15、17、及び19は、弾性材料を含んでもよいため、ジョイント15、17、及び19のばね剛性は、ジョイント15、17、及び19の厚さを選択することによって設計できる。
図2Bに示すように、ジョイント15の最小厚さは、ジョイント17の最小厚さより大きく、且つ、ジョイント19の最小厚さより大きくてもよい。すなわち、ジョイント15のばね剛性は、ジョイント17のばね剛性及びジョイント19のばね剛性より大きくてもよい。さらに、ジョイント15の最小厚さは、ジョイント17の最小厚さの2倍からジョイント17の最小厚さの5倍までであってもよく、又は、ジョイント19の最小厚さの2倍からョイント19の最小厚さの5倍までであってもよい。一の実施形態において、ジョイント15の最小厚さを5mmから12.5mmまでであってもよい。
また、リンク11の幅はその端部112に向かってテーパー状になっており、リンク12の幅はその端部121及び122に向かってテーパー状になっており、リンク13の幅はその端部131及び132に向かってテーパー状になっており、および、リンク14の幅はその端部141に向かってテーパー状になっている。
【0032】
図2A及び
図2Bを参照し、リンク13は端部132及び133の間に側面135を有してもよく、側面135は実質的に平坦であってもよい。
【0033】
図2C及び
図2Dは、それぞれ本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指1の右側面図及び左側面図である。
図2C及び
図2Dに示すように、指1は実質的にテーパ―状にしてもよい。
図2Cを参照し、リンク14の幅はジョイント19に向かって実質的にテーパ―状にしてもよく、ジョイント19の幅はリンク13に向かって実質的にテーパ―状にしてもよく、リンク13の幅はその端部133に向かって実質的にテーパ―状にしてもよい。さらに、
図2Dを参照し、リンク12の幅はジョイント17に向かって実質的にテーパ―状になっており、ジョイント17の幅はリンク13に向かって実質的にテーパ―状になっている。ロボット指1の幅は、ジョイント17の最小厚さの8倍からジョイント17の最小厚さの12倍までであってもよく、又は、ジョイント19の最小厚さの8倍からジョイント19の最小厚さの12倍までであってもよい。一の実施形態において、ロボット指1の幅は、20mmから30mmまでであってもよい。
【0034】
指1の全長、例えば、
図2Dに示すように、リンク11の右側からリンク13の左側までの距離は、ジョイント17の最小厚さの30倍からジョイント17の最小厚さの50倍までであってもよく、又は、ジョイント19の最小厚さの30倍からジョイント19の最小厚さの50倍までであってもよい。一の実施形態において、ロボット指1の全長は、75mmから125mmまでであってもよい。
【0035】
さらに、ジョイント17の長さは、ジョイント17の最小厚さの3倍からジョイント17の最小厚さの6倍までであってもよく、ジョイント19の長さは、ジョイント19の最小厚さの3倍からジョイント19の最小厚さの6倍までであってもよい。一の実施形態において、ジョイント17の長さ及びジョイント19の長さは、7.5mmから15mmまでであってもよい。
【0036】
図3Aは、本開示の他の実施形態に係るロボット指2の斜視図である。ロボット指2は、5つのリンク21、22、23及び24、並びに5つのジョイント25、27及び29を含んでもよい。リンク21は、相対する2つの端部211及び212を有してもよい。リンク22は、1つの端部221及び2つの端部222を有してもよく、2つの端部222は端部221と相対し、且つ、分岐状に突出している。2つのリンク23は、それぞれ3つの端部231、232、及び233を有してもよい。リンク24は、1つの端部242及び2つの端部241を有し、2つの端部241は端部2
42と相対し、且つ、分岐状に突出している。ジョイント25は、リンク21の端部212及びリンク22の端部221と接続してもよい。2つのジョイント27は、それぞれリンク22の端部222及びリンク23の端部231と接続してもよい。2つのジョイント29は、それぞれリンク23の端部232及びリンク24の端部241と接続してもよい。リンク21、22、23及び24、並びにジョイント25、27及び29は、弾性材料を含んでもよく、且つ一体形成されており、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されている。
【0037】
図3Bは、本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指2の上面図である。
図3Bを参照し、リンク21の端部212の厚さ及びリンク22の端部221の厚さは、ジョイント25の最小厚さより大きくてもよい。リンク22の端部222の厚さ及びリンク23の端部231の厚さは、ジョイント27の最小厚さより大きくてもよい。リンク23の端部232の厚さ及びリンク24の端部241の厚さは、ジョイント29の最小厚さより大きい。すなわち、リンク21、22、23、又は24の厚さは、それと接続するジョイント25、27、又は29の厚さより大きくてもよい。一の実施形態おいて、ジョイント27又はジョイント29の最小厚さは、約2.5mmであってもよい。特に、リンク22の最大厚さはジョイント27の最小厚さの約9倍又はそれ以上であってもよく、リンク24の最大厚さはジョイント29の最小厚さの約9倍又はそれ以上であってもよい。一の実施形態において、リンク22の最大厚さ及びリンク24の最大厚さは、22.5mm又はそれ以上であってもよい。さらに、ジョイント25、27、29の厚さは、リンク21、22、23、24の厚さより実質的に小さくてもよいため、ジョイント25、27、29は、リンク21、22、23、及び24より柔軟で変形可能である。
図3Bを参照し、ジョイント25はリンク21及び22と接続するジョイントとして機能し、ジョイント27はリンク22及び23と接続するジョイントとして機能し、ジョイント29はリンク23及び24と接続するジョイントとして機能する。
【0038】
ジョイント25、27、及び29は、面外軸を中心に回転する際には低いばね定数を有し、面内軸を中心に回転する際には高いばね定数を有するジョイントと考えられてもよい。さらに、リンク21、22、23、及び24は、より剛性が高いであるが(完全剛性ではない)、結合ばね定数より一般的に高い様々なばね定数を有するため、3軸で回転する/曲げることができる。これは、把持される物体になじむ複数のモードを可能にする新しい態様のグリッパ指である。
【0039】
ジョイント25、27、及び29は、弾性材料を含んでもよいため、ジョイント25、27、及び29のばね剛性は、ジョイント25、27、及び29の厚さを選択することによって設計できる。
図3Bに示すように、ジョイント25の最小厚さは、ジョイント27の最小厚さより大きく、且つ、ジョイント29の最小厚さより大きくてもよい。すなわち、ジョイント25のばね剛性は、ジョイント27のばね剛性及びジョイント29のばね剛性より大きくてもよい。さらに、ジョイント25の最小厚さは、ジョイント27の最小厚さの2倍からジョイント27の最小厚さの5倍までであってもよく、又は、ジョイント29の最小厚さの2倍からョイント29の最小厚さの5倍までであってもよい。一の実施形態において、ジョイント25の最小厚さを5mmから12.5mmまでであってもよい。
また、リンク21の幅はその端部212に向かってテーパー状になっており、リンク22の幅はその端部221及び222に向かってテーパー状になっており、リンク23の幅はその端部231及び232に向かってテーパー状になっており、および、リンク24の幅はその端部241に向かってテーパー状になっている。
【0040】
図3A及び
図3Bを参照し、各リンク23は、端部232及び233の間に側面235を有してもよく、側面235は実質的に平坦である。側面235及びそのリンク23、並びにリンク23と接続するジョイント29及び27は、リンク22及び24とは独立して変形できる。すなわち、リンク23の側面235は、把持されるべく物体の不規則な表面に適応できる。
【0041】
さらに、幾つかの実施形態において、側面235は、同じ形状にしなくてもよく、同じ表面材料も有しなくてもよい。なお、側面235は、異なる幾何形状、幅、長さ、剛性、を有してもよいため、より幅広い把持モードを対応できる。また、リンク及びジョイントの個数は異なってもよい。
【0042】
図3C及び
図3Dは、本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指2の左側面図及び右側面図である。
図3Cに示すように、リンク24は、2つの端部241を有してもよく、2つの端部241は分岐状に突出しており、且つ、それぞれジョイント29と接続する。さらに、各ジョイント29は、リンク23の端部232と接続してもよい。
図3Dに示すように、リンク22は、2つの端部222を有してもよく、2つの端部222は分岐状に突出しており、且つ、それぞれジョイント27と接続する。さらに、各ジョイント27は、リンク23の端部231と接続してもよい。
図3C及び
図3Dを参照し、両ジョイント29の間の距離、両ジョイント27の間の距離、及び両リンク23の間の距離は、リンク22、24からリンク23の先端まで狭くなっている。
【0043】
指2の全長、例えば、
図3Dに示すように、リンク21の右側からリンク23の左側までの距離は、ジョイント
27の最小厚さの30倍からジョイント
27の最小厚さの50倍までであってもよく、又は、ジョイント
29の最小厚さの30倍からジョイント
29の最小厚さの50倍までであってもよい。一の実施形態において、ロボット指2の全長は、75mmから125mmまでであってもよい。
【0044】
さらに、ジョイント27の長さは、ジョイント27の最小厚さの3倍からジョイント27の最小厚さの6倍までであってもよく、ジョイント29の長さは、ジョイント29の最小厚さの3倍からジョイント29の最小厚さの6倍までであってもよい。一の実施形態において、ジョイント27の長さ及びジョイント29の長さは、7.5mmから15mmまでであってもよい。
【0045】
分析的に研究するため、対象の指は簡略化され、5節ピン―リンク機構に近似される。指の3つのジョイント領域は、関連するばね剛性を持つピンに近似される。指の4つのリンク領域は、グラウンドリンクのような、剛性リンクに近似される。
【0046】
Birglen及びGosselinは、論文「Kinetostatic Analysis of Underactuated Fingers」(2004)において、人間の指に似ている5節リンケージ駆動の指の安定性について設計及び分析する方法を提案した。この論文は、「平衡点(equilibrium point)」として定義されているものの両側に線形接触が行われた場合、挟持把持は安定していると結論付けている。「平衡点」については、ここで詳しく説明しない。
【0047】
しかし、この分析方法は、第2及び第3ジョイントのばね剛性がゼロの場合のみに成立する。本開示の場合、第2及び第3ジョイントのばね定数は、第1ジョイントの剛性よりはるかに小さいであるが、無視はできない。従って、第3リンクの把持領域がY-Z面と実質的に平行であることを維持するため、指の運動を修正しなければならない。
【0048】
前述の修正は、例えば、所望の運動のリンケージを本来のリンケージに「重ね合う(superimposing)」ことによって行うことができるが、これに限定されない。修正を行わない場合、第3リンクはワールドフレームに対して回転しすぎてしまい、つまり、他の指に対して回転が不足になってしまう。下記の修正により、第3リンクは、その面を反対側のグリッパ指と平行に保つように、適切な回転量を行う。
【0049】
第1ジョイントのばね強度は、第2及び第3ジョイントのばね強度よりはるかに大きいため、物体に接触していない時は、リンケージを4節リンケージに近似できる。平行リンケージを設計する代わりに、リンケージは、ドライバー(driver)(本開示の指の場合は第1リンク)が反時計回りに回転するたびにカプラー(coupler)(本開示の指の場合は第3リンク)が時計回りに回転するように設計される。
【0050】
実際には、この修正を実施することは、リンク11の端部111からリンク14の端部142までの距離が、ジョイント17からジョイント19までの距離より大きいことを確保することと同様に簡単である。
【0051】
図4Aは、本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパ100の上面模式図である。
図4Aに示すように、ロボットグリッパ100は、本体3と、本体3に設置される2つのロボット指1及び2とを有してもよい。本体は、2つの駆動部及び2つの
遊び状態の基礎ジョイント(idle ground joint;以下、アイドルグラウンドジョイント
と呼ぶこともある。)を有してもよく、エレメント31及び32の一方は駆動部であり、他方はアイドルグラウンドジョイントであり、エレメント33及び34の一方は駆動部であり、他方はアイドルグラウンドジョイントである。ロボット指1のリンク11の端部111は、エレメント31(図示せず)に設置され、ロボット指1のリンク14の端部142は、エレメント32に設置され、それにより、ロボット指1は本体3に設置される。これは、ロボット指1は単一の駆動部によって駆動されることを意味する。駆動部が端部111を駆動してエレメント31を中心に回転させ、又は、端部142を駆動してエレメント32を中心に回転させると、ロボット指1は本体3に対して移動する。また、ロボット指2のリンク24の端部242は、エレメント33に設置され、ロボット指2のリンク21の端部211は、エレメント34に設置され、それにより、ロボット指2は本体3に設置される。これは、ロボット指2は単一の駆動部によって駆動されることを意味する。駆動部が端部242を駆動してエレメント33を中心に回転させ、又は、端部211を駆動してエレメント34を中心に回転させると、ロボット指2は本体3に対して移動する。さらに、
図4Aを参照し、エレメント31の位置はエレメント32の位置より低く、且つ、エレメント34の位置はエレメント33の位置より低いため、エレメント31及び32の間の線とジョイント17及び19の間の線は相互に平行ではなく、エレメント33及び34の間の線とジョイント27及び29の間の線は相互に平行ではない。さらに、エレメント31及び32の間の距離は、ロボット指1のジョイント17及び19の間の距離より大きく、エレメント33及び34の間の距離は、ロボット指2のジョイント27及び29の間の距離より大きい。さらに、ロボット指1の面135と、ロボット指1のジョイント17及び19の間の線とのなす角度は、90度を超える。さらに、ロボット指1の表面135とロボット指2の表面235は、相互に実質的に平行である。
【0052】
図4Bは、ロボット指1及び2が開く状態の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパ100の上面模式図である。
図4Bに示すように、ロボット指1及び2は、互いに離れるように作動される。ロボット指1は、エレメント31及び32の一方によって駆動される。ロボット指1は、弾性材料を含み、且つ一体形成されており、柔軟で変形可能なジョイント15、17、及び19を有するため、ロボット指1は、駆動部がロボット指1を駆動する際に5節リンケージ機構として機能する。
図4Bを参照し、ロボット指1が駆動部によって外側に移動すると、ジョイント15、17、及び19は変形し、リンク11、12、及び13は、ジョイント15、17、及び19を中心に回転する。同様に、ロボット指2は、エレメント33及び34の一方によって駆動される。ロボット指2は、弾性材料を含み、且つ一体形成されており、柔軟で変形可能なジョイント25、27、及び29を有するため、ロボット指2は、駆動部がロボット指2を駆動する際に5節リンケージ機構として機能する。
図4Bを参照し、ロボット指2が駆動部によって外側に移動すると、ジョイント25、27、及び29が変形し、リンク21、22、及び23は、ジョイント25、27、及び29を中心に回転する。
【0053】
また、エレメント31及び32の間の線とジョイント17及び19の間の線とは相互に平行ではなく、エレメント33及び34の間の線とジョイント27及び29の間の線とは相互に平行ではなく、エレメント31及び32の間の距離は、ロボット指1のジョイント17及び19の間の距離より実質的に大きく、エレメント33及び34の間の距離は、ロボット指2のジョイント27及び29の間の距離より実質的に大きい。そのため、ロボット指1及び2の開放動作中に、ロボット指1の側面135及びロボット指2の側面235は、相互に実質的に平行に保たれる。
【0054】
図4Cは、ロボット指1及び2がほぼ閉じる状態の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパ100の上面模式図である。
図4Cに示すように、ロボット指1及び2は、互いに接近するように作動される。上記のように、ロボット指1は、弾性材料を含み、且つ一体形成されており、柔軟で変形可能なジョイント15、17、及び19を有するため、ロボット指1は、駆動部がロボット指1を駆動する際に5節リンケージ機構として機能する。
図4Cを参照し、ロボット指1が駆動部によって内側に移動すると、ジョイント15、17、及び19は変形し、リンク11、12、及び13は、ジョイント15、17、及び19を中心に回転する。さらに、ロボット指2は、弾性材料を含み、且つ一体形成されており、柔軟で変形可能なジョイント25、27、及び29を有するため、ロボット指2は、駆動部がロボット指2を駆動する際に5節リンケージ機構として機能する。
図4Cを参照し、ロボット指2が駆動部によって内側に移動すると、ジョイント25、27、及び29は変形し、リンク21、22、及び23は、ジョイント25、27、及び29を中心に回転する。
【0055】
また、エレメント31及び32の間の線とジョイント17及び19の間の線とは相互に平行ではなく、エレメント33及び34の間の線とジョイント27及び29の間の線とは相互に平行ではなく、エレメント31及び32の間の距離は、ロボット指1のジョイント17及び19の間の距離より実質的に大きく、エレメント33及び34の間の距離は、ロボット指2のジョイント27及び29の間の距離より実質的に大きい。そのため、ロボット指1及び2を閉じる動作中に、ロボット指1の側面135及びロボット指2の側面235は、相互に実質的に平行に保たれる。
【0056】
図5Aは、本開示の他の実施形態に係るロボットグリッパ100’の上面模式図である。
図5Aに示すように、ロボットグリッパ100’は、本体3’と、本体3’に設置される2つのロボット指1’及び2’とを有してもよい。本体3’は、2つの駆動部及び2つのアイドルグラウンドジョイントを有してもよく、エレメント31’及び32’の一方は駆動部であり、他方はアイドルグラウンドジョイントであり、エレメント33’及び34’の一方は駆動部であり、他方はアイドルグラウンドジョイントである。ロボット指1’のリンク11’の端部111’は、エレメント31’に設置され、ロボット指1’のリンク14’の端部142’は、エレメント32’に設置され、それにより、ロボット指1’は本体3’に設置される。これは、ロボット指1’は単一の駆動部によって駆動されることを意味する。駆動部が端部111’を駆動してエレメント31’を中心に回転させ、又は、端部142’を駆動してエレメント32’を中心に回転させると、ロボット指1’は本体3’に相対的に移動する。また、ロボット指2’のリンク24’の端部242’は、エレメント33’に設置され、ロボット指2’のリンク21’の端部211’は、エレメント34’に設置され、それにより、ロボット指2’は本体3’に設置される。これは、ロボット指2’は単一の駆動部によって駆動されることを意味する。駆動部が端部242’を駆動してエレメント33’を中心に回転させ、又は、端部211’を駆動してエレメント34’を中心に回転させると、ロボット指2’は本体3’に相対的に移動する。さらに、
図5Aを参照し、エレメント31’、32’、33’、及び34’は、エレメント31’及び32’の間の線とジョイント17’及び19’の間の線とは相互に平行であるよう、且つ、エレメント33’及び34’の間の線とジョイント27’及び29’の間の線とは相互に平行であるように位置する。さらに、エレメント31’及び32’の間の距離は、ロボット指1’のジョイント17’及び19’の間の距離と実質的に等しく、エレメント33’及び34’の間の距離は、ロボット指2’のジョイント27’及び29’の間の距離と実質的に等しい。従って、この状態においては、ロボット指1及び2の表面135’及び235’は、相互に実質的に平行に保たれない場合がある。
図5Aに示すように、表面135’及び235’は外側に傾斜していてもよい。
【0057】
図5Bは、ロボット指1’及び2’が開く状態の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパ100’の上面模式図である。
図5Bに示すように、ロボット指1’及び2’は、互いに離れるように作動される。ロボット指1’は、エレメント31’及び32’の一方によって駆動される。ロボット指1’は、弾性材料を含み、且つ一体形成されており、柔軟で変形可能なジョイント15’、17’、及び19’を有するため、ロボット指1’は、駆動部がロボット指1’を駆動する際に5節リンケージ機構として機能する。
図5Bを参照し、ロボット指1’が駆動部によって外側に移動すると、ジョイント15’、17’、及び19’は変形し、リンク11’、12’、及び13’は、ジョイント15’、17’、及び19’を中心に回転する。同様に、ロボット指2’は、エレメント33’及び34’の一方によって駆動される。ロボット指2’は、弾性材料を含み、且つ一体形成されており、柔軟で変形可能なジョイント25’、27’、及び29’を有するため、ロボット指2’は、駆動部がロボット指2’を駆動する際に5節リンケージ機構として機能する。
図5Bを参照し、ロボット指2’が駆動部によって外側に移動すると、ジョイント25’、27’及び29’が変形し、リンク21’、22’、及び23’は、ジョイント25’、27’、及び29’を中心に回転する。
【0058】
また、エレメント31’及び32’の間の線とジョイント17’及び19’の間の線とは相互に実質的に平行であり、エレメント33’及び34’の間の線とジョイント27’及び29’の間の線とは相互に実質的に平行であり、 エレメント31’及び32’の間の距離は、ロボット指1’のジョイント17’及び19’の間の距離と実質的に等しく、エレメント33’及び34’の間の距離は、ロボット指2’のジョイント27’及び29’の間の距離と実質的に等しい。そのため、ロボット指1及び2の開放動作中に、ロボット指1’の側面135’及びロボット指2’の側面235’は、相互に実質的に平行に保たれない。
図5Bに示すように、表面135’及び235’は外側に傾斜している。
【0059】
図5Cは、ロボット指1’及び2’が実質的に閉じた状態の本開示の幾つかの実施形態に係るロボットグリッパ100’の上面模式図である。
図5Cに示すように、ロボット指1’及び2’は、互いに接近するように作動される。上記のように、ロボット指1’は、弾性材料を含み、且つ一体形成されており、柔軟で変形可能なジョイント15’、17’、及び19’を有するため、ロボット指1’は、駆動部がロボット指1’を駆動する際に5節リンケージ機構として機能する。
図5Cを参照し、ロボット指1’が駆動部によって内側に移動すると、ジョイント15’、17’、及び19’は変形し、リンク11’、12’、及び13’は、ジョイント15’、17’、及び19’を中心に回転する。さらに、ロボット指2’は、弾性材料を含み、且つ一体形成されており、柔軟で変形可能なジョイント25’、27’、及び29’を有するため、ロボット指2’は、駆動部がロボット指2’を駆動する際に5節リンケージ機構として機能する。
図5Cを参照し、ロボット指2’が駆動部によって内側に移動すると、ジョイント25’、27’、及び29’は変形し、リンク21’、22’、及び23’は、ジョイント25’、27’、及び29’を中心に回転する。
【0060】
また、エレメント31’及び32’の間の線とジョイント17’及び19’の間の線とは実質的に相互に平行であり、エレメント33’及び34’の間の線とジョイント27’及び29’の間の線とは相互に実質的に平行であり、 エレメント31’及び32’の間の距離は、ロボット指1’のジョイント17’及び19’の間の距離と実質的に等しく、エレメント33’及び34’の間の距離は、ロボット指2’のジョイント27’及び29’の間の距離と実質的に等しい(
図5Aを参照)。そのため、ロボット指1及び2を閉じる動作中に、ロボット指1’の側面135’及びロボット指2’の側面235’は、相互に実質的に平行に保たれない。
図5Cに示すように、側面135’及び235’は内側に傾斜している。
【0061】
上記のことから、
図5Aの示すように、エレメント31’及び32’の間の線とジョイント17’及び19’の間の線とは相互に実質的に平行であり、且つ、エレメント33’及び34’の間の線とジョイント27’及び29’の間の線とは相互に実質的に平行であり、且つ、 エレメント31’及び32’の間の距離は、ロボット指1’のジョイント17’及び19’の間の距離と実質的に等しく、且つ、エレメント33’及び34’の間の距離は、ロボット指2’のジョイント27’及び29’の間の距離と実質的に等しいであれば、ロボット指1’の側面135’及びロボット指2’の側面235’は、ロボット指1’及び2’を開放及び閉じる動作中に、相互に実質的に平行に保たれない。
図5B及び
図5Cに示すように、ロボット指1’及び2’が開くと、側面135’及び235’は外側に傾斜し、ロボット指1’及び2’が閉じると、側面135’及び235’は内側に傾斜する。ロボット指1’の側面135’及びロボット指2’の側面235’は、ロボット指1’及び2’の開放及び閉じる動作中に、相互に実質的に平行に保たれないため、ロボットグリッパ
100’は、物体を正確且つスムーズに挟持できない。特に、ロボットグリッパ
100 ’は、小さな物体又はペンなどの小径の物体をほとんど挟持できない。
【0062】
図6A及び6Bは、ロボットグリッパ100が正方形の物体の挟持把持を実行できることを示す。
図6Aを参照し、ロボットグリッパ1
00は、2つの実質的に平坦且つ実質的に平行な表面511及び512を有する物体51を挟持する。
エレメント31、32、33、及び34は、ロボット指1及び2を内側に移動するように駆動する。上記のように、ロボット指1及び2を閉じる動作中に、ロボット指1の側面135及びロボット指2の側面235は、相互に実質的に平行に保たれる。従って、側面135及び側面235は、物体51の側面511及び512に接触するまで、相互に実質的に平行である。
図6Bに示すように、物体51の側面511及び512は相互に平行であるため、平行な表面135及び235は物体51を直接に挟持できる。そして、ロボット指1及び2は、物体51を把持し、持ち上げることができる。
【0063】
上記のように、ジョイント15のばね剛性は、ジョイント17のばね剛性及びジョイント19のばね剛性より実質的に大きく、ジョイント25のばね剛性は、ジョイント27のばね剛性及びジョイント29のばね剛性より実質的に大きい。ジョイント15及び25のより大きなばね剛性は、ロボット指1及び2を閉じる動作中に側面135及び235を相互に実質的に平行に保ち、且つ、ロボット指1及び2に物体51をしっかり挟持するのに十分な強度を有することに役に立つ。ジョイント15及び25のばね剛性が弱すぎると、ロボット指1及び2を閉じる動作中、側面135及び235は、相互に実質的に平行であることを維持できなくなり、ロボット指1及び2は物体51を挟持できない。ばね剛性の弱いジョイント15及び25を有するロボット指1及び2が物体51を挟持できたとしても、ロボット指1及び2は物体51をしっかり挟持するのに十分な強度を有しない。従って、好ましくは、ジョイント15の最小厚さは、ジョイント17の最小厚さの少なくとも2倍であり且つジョイント19の最小厚さの少なくとも2倍であり、ジョイント25の最小厚さは、ジョイント27の最小厚さの少なくとも2倍であり且つジョイント29の最小厚さの少なくとも2倍である。
[なじみモードの例示的な実施形態]
【0064】
図7A、7B、及び7Cは、ロボットグリッパ100が異形の物体を把持することを示す。
図7Aを参照し、ロボットグリッパ100は、ボール52のような異形の物体を把持する。駆動部31、32、33、及び34は、ロボット指1及び2を内側に移動するように駆動する。上記のように、ロボット指1の側面135及びロボット指2の側面235は、ロボット指1及び2を閉じる動作中に、相互に実質的に平行に保たれる。従って、側面135及び側面235は、ロボット指1及び2がボール52の外面に接触するまで、相互に実質的に平行である。
図7Bに示すように、ロボット指1及び2はボール52の外面に接触し、側面135及び235は相互に実質的に平行である。
【0065】
ロボット指1及び2がボール52の外面に接触した後でも、駆動部31、32、33、及び34は依然としてロボット指1及び2を駆動して内側に移動する。しかし、ボール52は、ロボット指1のリンク14及びロボット指2のリンク24の間に把持されているため、リンク14及び24は、内側に移動し続けない。従って、駆動部31、32、33、及び34は、ジョイント15、17、19、25、27、及び29をさらに変形させる。このようにして、
図7Cに示すように、リンク13及び23は、それぞれジョイント19及び29を中心にさらに回転し、内側に移動し続ける。最後に、ロボット指1及び2はボール52になじんで、ロボットグリッパがボール52を把持し、持ち上げることができる。
【0066】
さらに、上記のように、ロボット指1及び2が物体をしっかり把持するのに十分な強度を有するように、ジョイント15、25のばね剛性は十分に強くなければならない。しかし、ジョイント15、25のばね剛性が強すぎると、ロボット指1及び2がボール52に接触した後、ジョイント15及び25はさらに変形することがなくなり、一方で駆動部31、32、33、及び34は依然としてロボット指1及び2を内側に移動するように駆動する。すなわち、リンク13及び23は、それぞれジョイント19及び29を中心にさらに回転しなくなり、且つ、内側に移動しなくなる。その結果、ロボット指1及び2は、ボール52になじまない。
[なじみモードの他の例示的な実施形態]
【0067】
先ず、
図8A及び
図8Bに示すX、Y、及びZ軸は、3次元デカルト座標系を使用する。Z軸の正方向は、リンク11の端部111からリンク13の端部133までの一般的な方向に延びており、一次リンケージ面において垂直であると解釈することができる。X軸の正方向は、リンク14の端部142からリンク11の端部112までの一般的な方向に延びており、一次リンケージ面において水平であると解釈することができる。残りのY軸は、右手の法則を使用して定義する。
【0068】
図8Aは、ロボットグリッパ100が重い物体53を持ち上げることを示す。ロボットグリッパ100が重い物体53を持ち上げると、望ましくない方向にたわむことがある。
図8Aに示すように、物体はロボット指1及び2の表面に摩擦力を及ぼしてもよい。ロボット指1及び2は重力によって、Y軸の負方向又はX軸を中心に曲げる。従って、ロボット指1、2は、本
体3から少し距離を置いた所に力が作用する片持ち梁として設計されるべきである。ロボット指1及び2を片持ち梁として設計するため、指1及び2のY軸方向の幅は増加する必要がある。さらに、
図2Cを参照し、リンク13の端部133及びリンク11の端部111の間の距離と第1リンク11の幅との比率は、実質的に3.5から6までである。
【0069】
図8Bは、他のロボットグリッパ100”が重い物体53を持ち上げることを示す。ロボット指1”、2”は、
本体3”から少し距離を置いた所に力が作用する片持ち梁として設計されていない。すなわち、指1”及び2”の幅はロボット指1”及び2”の長手方向軸に沿って変化しない、従って、指1”及び2”はテーパー状になるように構成されていない。このような状況においては、ロボットグリッパ100”が重い物体53を持ち上げると、指1”及び2”が法線方向(Z軸)に曲げる及び/又は変形することがある。
【0070】
この実施形態に関して、指がZ軸を中心に捻ることを示す。
図9Aに示すX、Y、及びZ軸は、3次元デカルト座標系を使用する。Z軸の正方向は、リンク1
1の端部111からリンク1
3の端部133までの一般的な方向に延びており、一次リンケージ面において垂直であると解釈することができる。X軸の正方向は、リンク14の端部142からリンク11の端部112までの一般的な方向に延びており、一次リンケージ面において水平であると解釈することができる。残りのY軸は、右手の法則を使用して定義する。
【0071】
ロボット指1及び2は、弾性材料を含むため、ほとんどの形状に簡単になじむことができる。ロボット指1及び2は、それぞれの長手方向軸に沿って捻ることができるため、ロボット指1及び2の接触面は、それらが把持する物体の外面
の法線に対して実質的に垂直になるように変形できる。
図9Aを参照し、ロボット指1及び2は、それらのZ軸を中心に捻ることによって変形できる。特に、ジョイント15、17、19、25、27、29は、それらの長手方向軸に沿って捻れるように構成される。ジョイント17の長さは、ジョイント17の最小厚さの3倍からジョイント17の最小厚さの6倍までであってもよく、ジョイント19の長さは、ジョイント19の最小厚さの3倍からジョイント19の最小厚さの6倍までであってもよく、ジョイント27の長さは、ジョイント27の最小厚さの3倍からジョイント27の最小厚さの6倍までであってもよく、ジョイント29の長さは、ジョイント29の最小厚さの3倍からジョイント29の最小厚さの6倍までであってもよい。
図9Aに示すように、ロボットグリッパ100がマグ54の円筒面を把持すると、ロボット指1のリンク13の表面135及びロボット指2のリンク23の表面235がマグ54の外面
の法線と垂直になるように、ロボット指1及び2は捻る。このようにして、ロボット指1及び2はマグ54の外面になじんでいるため、ロボットグリッパ100は、マグ54を安定な状態で把持できる。
【0072】
図9B及び
図9Cは、ロボットグリッパ100の把持動作を示す上面模式図である。
【0073】
図9Bを参照し、マグ54を把持する前に、ロボット指2の表面235を実質的に平坦にすることができる。1つのロボット指2の表面235は、他のロボット指2の表面235と実質的に整列させることができる。1つのロボット指2の表面235は、他のロボット指2の表面235と実質的に平行にすることはできる。 ロボット指1の表面135は、ロボット指2の表面235と実質的に平行にすることはできる。ロボット指2の側面237を実質的に平坦にすることができる。1つのロボット指2の表面237は、他のロボット指2の表面237と実質的に整列させることができる。1つのロボット指2の表面237は、他のロボット指2の表面237と実質的に平行にすることはできる。
【0074】
図9Cを参照し、マグ54を把持する際、弾性又は柔軟材料を含んでもよいロボット指1は、長手方向軸(例えば、
図9Aに示すZ軸)に対して捻ることができる。ロボット指1の側面135は、ロボットグリッパ100の把持操作中に、マグ54の内面になじむように変形できる。ロボット指1の側面135は、ロボットグリッパ100の把持操作中に、マグ54の内面にしっかりと押し付けることができる。ロボット指1の側面135の一部は、ロボットグリッパ100の把持操作中に、マグ54の内面にしっかりと押し付けることができる。
【0075】
1つのロボット指2の表面235は、他のロボット指2の表面235と実質的に整列させなくてもよい。1つのロボット指2の表面235は、他のロボット指2の表面235と実質的に平行でなくてもよい。ロボット指1の表面135は、ロボット指2の表面235と実質的に平行でなくてもよい。ロボット指2の側面237を実質的に平坦でなくてもよい。1つのロボット指2の表面237は、他のロボット指2の表面237と実質的に整列でなくてもよい。1つのロボット指2の表面237は、他のロボット指2の表面237と実質的に平行でなくてもよい。
【0076】
さらに、弾性又は柔軟材料を含むことができるロボット指2は、長手方向軸(例えば、
図9Aに示すZ軸)に対して捻ることができる。ロボット指2の側面235は、ロボットグリッパ100の把持操作中に、マグ54の外面になじむように変形できる。ロボット指2の側面235の一部は、ロボットグリッパ100の把持操作中に、マグ54の外面になじむことができる。ロボット指2の側面235は、ロボットグリッパ100の把持操作中に、マグ54の外面にしっかりと押し付けることができる。ロボット指2の側面235は、ロボットグリッパ100の把持操作中に、マグ54の外面にしっかりと押し付けることができる。ロボット指2の側面235の一部は、ロボットグリッパ100の把持操作中に、マグ54の外面にしっかりと押し付けることができる。
[なじみモードの他の例示的な実施形態]
【0077】
図10A及び
図10Bは、ロボットグリッパ100が比較的小さい直径又は幅(例えば、ほうきの柄)を有する棒状物体55を把持することを示す。ロボット指2のリンク22は、2つの端部222を有し、2つの端部222は、それぞれ2つのリンク23と接続する。さらに、ロボット指1のリンク13、ロボット指2の両リンク23の間のスペースに対応するように構成されている。従って、ロボットグリッパ1
00が長くて小さな直径を有する棒状物体55を把持する際、ロボット指1のリンク13は、ロボット指2の両リンク23の間のスペースに通過するため、長くて小さな直径を有する棒状物体55は、ロボットグリッパ100によって固定的に把持できる。
【0078】
図10Aに示すように、ロボットグリッパ1
00が棒状物体55を把持する際、ロボット指1のリンク13の端部133は、ロボット指2の両リンク23の端部233の間のスペースを通過している。
【0079】
図10Bを参照し、ロボット指1のリンク13及びロボット指2の両リンク23は互いに組み合わせているため、棒状物体55がロボット指1及び2によって保持されることができる。
[ロボット指の他の実施形態]
【0080】
図11は、本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボット指6の斜視図である。ロボット指6は、5つのリンク61、62、63、64及び65、並びに4つのジョイント661、662、663及び664を含んでもよい。リンク61は、相対する2つの端部611及び612を有してもよい。リンク62は、相対する2つの端部621及び622を有してもよい。リンク63は、3つの端部631、632、及び633を有してもよい。リンク64は、相対する2つの端部641及び642を有してもよい。リンク65は、相対する2つの端部651及び652を有してもよい。ジョイント661はリンク61の端部612及びリンク62の端部621と接続してもよく、ジョイント662はリンク62の端部622及びリンク63の端部631と接続してもよく、ジョイント663はリンク63の端部632及びリンク64の端部641と接続してもよく、ジョイント6
64はリンク64の端部642及びリンク65の端部651と接続してもよい。リンク61、62、63、64及び65、並びにジョイント661、662、663及び664は、弾性材料を含んでもよく、且つ一体形成されており、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されている。
【0081】
さらに、リンク61の端部612の厚さ及びリンク62の端部621の厚さは、ジョイント661の最小厚さより大きくてもよい。リンク62の端部622の厚さ及びリンク63の端部631の厚さは、ジョイント662の最小厚さより大きくてもよい。リンク63の端部632の厚さ及びリンク64の端部641の厚さは、ジョイント663の最小厚さより大きくてもよい。リンク64の端部642の厚さ及びリンク65の端部651の厚さは、ジョイント664の最小厚さより大きくてもよい。すなわち、リンク61、62、63、64、65の厚さは、それぞれと接続するジョイント661、662、663、664の厚さより大きくてもよい。ジョイント661、662、663、664はより小さい厚さを有してもよいため、ジョイント661、662、663、664は、リンク61、62、63、64、65より柔軟で変形可能である。従って、ジョイント661、662、663、664は、リンク61、62、63、64及び65と接続するジョイントとして機能する。すなわち、リンク61、62、63、64及び65は、ジョイント661、662、663、及び664を中心に回転できる。
【0082】
図12は、本開示の他の幾つかの実施形態に係るロボット指7の斜視図である。ロボット指7は、6つのリンク71、72、73、74、75及び76、並びに6つのジョイント771、772、773、774、775及び776を含んでもよい。ジョイント771は、リンク71の端部711と接続してもよい。ジョイント772は、リンク72の端部722及びリンク73の端部731と接続してもよい。ジョイント773は、リンク73の端部732及びリンク74の端部741と接続してもよい。ジョイント774は、リンク74の端部742及びリンク75の端部751と接続してもよい。ジョイント775は、リンク75の端部752及びリンク76の端部762と接続してもよい。ジョイント776は、リンク72の端部723及びリンク76の端部761と接続してもよい。リンク71、72、73、74、75及び76、並びにジョイント771、772、773、774、775及び776は、弾性材料を含んでもよく、且つ一体形成されており、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されている。
【0083】
さらに、リンク71の端部711の厚さ及びリンク72の端部721の厚さは、ジョイント771の最小厚さより大きくてもよい。リンク72の端部722の厚さ及びリンク73の端部731の厚さは、ジョイント772の最小厚さより大きくてもよい。リンク73の端部732の厚さ及びリンク74の端部741の厚さは、ジョイント773の最小厚さより大きくてもよい。リンク74の端部742の厚さ及びリンク75の端部751の厚さは、ジョイント774の最小厚さより大きくてもよい。リンク75の端部752の厚さ及びリンク76の端部762の厚さは、ジョイント775の最小厚さより大きくてもよい。リンク72の端部723の厚さ及びリンク76の端部761の厚さは、ジョイント776の最小厚さより大きくてもよい。すなわち、リンク71、72、73、74、75、76の厚さは、それぞれと接続するジョイント771、772、773、774、775、776の厚さより大きくてもよい。ジョイント771、772、773、774、775、776はより小さい厚さを有してもよいため、ジョイント771、772、773、774、775、776は、リンク71、72、73、74、75、76より柔軟で変形可能である。従って、ジョイント771、772、773、774、775、及び776は、リンク71、72、73、74、75、及び76と接続するジョイントとして機能する。すなわち、リンク71、72、73、74、75、及び76は、ジョイント771、772、773、774、775、及び776を中心に回転できる。
【0084】
図13は、本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指8の斜視図である。ロボット指8は、7つのリンク81、82、83、84、85、86及び87、並びに7つのジョイント881、882、883、884、885、886及び887を含んでもよい。ジョイント881は、リンク81の端部811と接続してもよい。ジョイント882は、リンク82の端部822及びリンク83の端部831と接続してもよい。ジョイント883は、リンク83の端部832及びリンク84の端部841と接続してもよい。ジョイント884は、リンク84の端部842及びリンク85の端部851と接続してもよい。ジョイント885は、リンク85の端部852及びリンク86の端部861と接続してもよい。ジョイント886は、ジョイント882及びリンク87の端部871と接続してもよい。ジョイント887は、ジョイント885及びリンク87の端部872と接続してもよい。リンク81、82、83、84、85、86及び87、並びにジョイント881、882、883、884、885、886及び887は、弾性材料を含んでもよく、且つ一体形成されており、3次元におけるコンプライアンス性を有するように構成されている。
【0085】
さらに、リンク81の端部811の厚さ及びリンク82の端部821の厚さは、ジョイント881の最小厚さより大きくてもよい。リンク82の端部822の厚さ及びリンク83の端部831の厚さは、ジョイント882の最小厚さより大きくてもよい。リンク83の端部832の厚さ及びリンク84の端部841の厚さは、ジョイント883の最小厚さより大きくてもよい。リンク84の端部842の厚さ及びリンク85の端部851の厚さは、ジョイント884の最小厚さより大きくてもよい。リンク85の端部852の厚さ及びリンク86の端部861の厚さは、ジョイント885の最小厚さより大きくてもよい。リンク87の端部871の厚さは、ジョイント886の最小厚さより大きくてもよい。リンク87の端部872の厚さは、ジョイント887の最小厚さより大きくてもよい。すなわち、リンク81、82、83、84、85、86、87の厚さは、それぞれと接続するジョイント881、882、883、884、885、886、887の厚さより大きくてもよい。ジョイント881、882、883、884、885、886、887はより小さい厚さを有してもよいため、ジョイント881、882、883、884、885、886、887は、リンク81、82、83、84、85、86、87より柔軟で変形可能である。従って、ジョイント881、882、883、884、885、886、887は、リンク81、82、83、84、85、86、及び87と接続するジョイントとして機能する。すなわち、リンク81、82、83、84、85、86、及び87は、ジョイント881、882、883、884、885、886、及び887を中心に回転できる。
【0086】
図14は、本開示の幾つかの実施形態に係るロボット指9の上面模式図である。ロボット指9は、4つのリンク91、92、93、及び94を含んでもよい。リンク91は、接続ジョイント95によってリンク92と枢結される。リンク92は、接続ジョイント96によってリンク93と枢結される。リンク94は、接続ジョイント97によってリンク93と枢結される。リンク91、92、93、94、並びにジョイント95、96、97は、一体形成されていなく、且つ異なる材料で形成されることができる。従って、ロボット指9は、一回の射出成形で作られないため、製造コストは高くなる。
【0087】
本明細書で使用される「下(beneath/below/lower)」、「上(above/upper)」、「左(left)」、「右(right)」などのような空間的に相対的な用語は、図に示すように、1つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を容易に説明するために使用される。空間的に相対的な用語は、図に示す方向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる方向を包含することを意図している。装置は他の方向に向けることができ(90度又は他の方向に回転)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様にそれに応じて解釈される。要素が他の要素と「接続される(connected to)」又は「結合される(coupled to)」と書かれている場合、それは他の要素と直接に接続又は結合され、又は、介在する要素が存在することを理解される。
【0088】
本明細書で使用される「ほぼ(approximately)」、「実質的に(substantially)」、「実質的(substantial)」、及び「約(about)」という用語は、小さな変動を説明するために使用される。イベント又は状況に関連して使用される場合、これらの用語は、イベント又は状況が正確に発生する事例、及びイベント又は状況が近似的に発生する事例を示すことができる。本明細書で所定の値又は範囲に関して使用される場合、「ほぼ」、「実質的に」、「実質的」、及び「約」という用語は、一般には、所定の値又は範囲の±10%、±5%、±1%、又は±0.5%以内を意味する。本明細書において、範囲は、1つ端点から他の端点まで、又は2つの端点の間を表すことができる。本明細書に開示されるすべての範囲は、特に指定しない限り、端点を含む。イベント又は状況と併せて使用される場合、これらの用語は、イベント又は状況が正確に発生する事例、及びイベント又は状況が近似的に発生する事例を示すことができる。例を挙げると、数値と併せて使用される場合、これらの用語は、その数値の±10%以下の変動範囲、例えば、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下、を示すことができる。例を挙げると、第1数値が第2数値の±10%以下の変動範囲内にある場合、例えば、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下、第1数値は、第2数値と「実質的に」同じ又は等しいと見なすことができる。例を挙げると、「実質的に」垂直は、90°に対する角度の変動範囲は±10°以下、例えば、±5°以下、±4°以下、±3°以下、±2°以下、±1°以下、±0.5°以下、±0.1°以下、±0.05°以下、を示すことができる。
【0089】
2つの表面の間の変位が5μm以下、2μm以下、1μm以下、又は0.5μm以下の場合、2つの表面は同一平面又は実質的に同一平面であると見なすことができる。表面の最高点と最低点との間の変位が5μm以下、2μm以下、1μm以下、又は0.5μm以下の場合、表面は実質的に平坦であると見なすことができる。
【0090】
本明細書で使用される単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含んでもよい。
【0091】
本明細書で使用される「伝導性(conductive)」、「導電性(electrically conductive)」、及び「電気伝導率(electrically conductivity)」という用語は、電流を輸送する能力を示す。導電性材料は、通常、電流の流れに対する抵抗が小さい又はない材料を示す。電気伝導率の尺度の1つは、ジーメンス毎メートル(S/m)です。典型的には、導電性材料は、約104S / mを超える、例えば、少なくとも105S / m又は少なくとも106S / m、伝導性を有するものである。材料の電気伝導率は、温度によって変化する場合がある。特に指定しない限り、材料の電気伝導率は室温で測定される。
【0092】
さらに、量、比率、及びその他の数値は、本明細書では範囲形式で提示される場合がある。そのような範囲形式は、便利且つ簡潔のために使用されていることを理解され、且つ、範囲の限界として明示的に指定された数値を含むだけでなく、各数値及び副範囲が明示的に指定されているように、その範囲内に含まれるすべての個々の数値又は副範囲を含むように柔軟に理解される。
【0093】
本開示は、特定の実施形態を参照して説明及び図示されたが、これらの説明及び図示は、限定するものではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を加える及び同等のものを置き換えることができることを当業者に理解される。図面は、必ず縮尺に合わせて描かれているとは限らない。製造プロセス及び公差のため、本開示における芸術的表現と実際の装置との間には、区別があってもよい。具体的に図示されていない本開示の他の実施形態が存在してもよい。明細書及び図面は、限定的ではなく例示的なものと見なされる。特定の状況、材料、物質の組成、方法、又はプロセスを、本開示の目的、精神、及び範囲に適合させるために変更を加えてもよい。このような変更はすべて、本明細書に添付された特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に開示される方法は、特定の順序で実行される特定の操作を参照して説明されたが、これらの操作は、本開示の教示から逸脱することなく、同等の方法を形成するために、組み合わされ、細分され(sub-divided)、又は再順序付け(re-ordered)されてもよい。従って、本明細書で特に示されない限り、操作の順序及び組み分け(grouping)は、本開示を限定するものではない。
【0094】
さらに、本開示のロボットグリッパがはるかに大きい又は小さい縮尺である場合、リンク及びジョイントの厚さの比率と指の長さ及び幅とは、使用されるエラストマー材料、及び正方形のジョイントの断面(ばね定数と剛性の両方に影響する)は、立方体のリンクの体積(その質量に影響する)に伴って変化するという事実によって実質的に異なることがある。
【0095】
上記の概要は、本開示の幾つかの実施形態及び詳細な態様を特徴としている。本開示に記載される実施形態は、本明細書に導入される実施形態の同じ又は類似な目的を成し遂げる及び/又は同じ又は類似な利点を実現するための他のプロセス及び構造を設計又は修正するための基礎として容易に使用してもよい。例えば、上記の数値、比率、幾何学的記述(例えば、形状又は輪郭)は、本明細書に導入される実施形態の同じ又は類似な目的を成し遂げる及び/又は同じ又は類似な利点を実現するための他のプロセス及び構造を設計又は修正するための基礎として容易に使用することができる。そのような同等の構成は、本開示の精神及び範囲から逸脱するものではない。上記の実施形態に、本開示の精神及び範囲から逸脱するものではない。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変更を行うことができる。
【0096】
上記の実施形態は、本開示を限定する意図はなく、単に本開示の原理及び効果を説明するものである。従って、当業者は、本開示の精神から逸脱することなく、上記の実施形態に修正及び変化を加えることができる。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0097】
100 ロボットグリッパ
1,2 ロボット指
3 本体
11,12,13,14 リンク
15,17,19 ジョイント
111,112,121,122 端部
131,132,133,141,142 端部
135 側面
21,22,23,24 リンク
25,27,29 ジョイント
211,212,221,222 端部
231,232,233,241,242 端部
235 側面
31,32,33,34 エレメント