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特許7039054アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルならびに超極性電気外科用ブレードアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルならびに超極性電気外科用ブレードアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019547644
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018020469
(87)【国際公開番号】W WO2018160848
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/465,729
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/465,708
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508311248
【氏名又は名称】アイ.シー. メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コスメスク,イアン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-527766(JP,A)
【文献】特表2015-521873(JP,A)
【文献】特開2011-056276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0237982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシルであって、
第1の端部、第2の端部、および内部に収容されたチャネルを有するハンドピース部材と、
前記ハンドピース部材の前記第1の端部内に配置された電気外科用ブレードアセンブリであって、対向する平坦側部および鋭利な切断縁部を備える非導電性平坦部材、一方の対向する平坦側部に位置するリターン電極、他方の対向する平坦側部に位置するアクティブ電極、ならびに前記非導電性平坦部材の上部および前記リターン電極の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材を含む、電気外科用ブレードアセンブリと、
第1の端部および第2の端部を有する第1の導電性中空管であって、前記第1の導電性中空管の少なくとも一部が、前記電気外科用ブレードアセンブリの前記非導電性中空管状部材内に、前記第1の導電性中空管の前記第1の端部が前記非導電性中空管状部材の第1の端部の近傍に配置されるように同心円状に収容されている、第1の導電性中空管と、
前記超極性電気外科用ペンシルの少なくとも一部内に収容された可撓性非導電管であって、前記第1の導電性中空管にガスを提供する可撓性非導電管と、
前記超極性電気外科用ペンシルを作動させるために前記リターン電極、前記アクティブ電極、および前記第1の導電性中空管をRF電気外科発生器に接続するための複数の電気導体と
を備える、超極性電気外科用ペンシル。
【請求項2】
前記第1の導電性中空管が導電性突出部を含み、前記電気外科用ブレードアセンブリの前記リターン電極が導電性突出部を含み、両方の導電性突出部が前記電気外科用ブレードアセンブリの前記非導電性中空管状部材内に収容されている、請求項1に記載の超極性電気外科用ペンシル。
【請求項3】
前記ハンドピース部材が、前記ハンドピース部材の前記第1の端部に接続されたノズル部材を備える、請求項1に記載の超極性電気外科用ペンシル。
【請求項4】
前記ノズル部材が取外し可能である、請求項3に記載の超極性電気外科用ペンシル。
【請求項5】
前記ノズル部材が透明である、請求項3に記載の超極性電気外科用ペンシル。
【請求項6】
前記電気外科用ブレードアセンブリの前記非導電性平坦部材および前記非導電性中空管状部材がセラミック材料を含む、請求項1に記載の超極性電気外科用ペンシル。
【請求項7】
前記第1の導電性中空管が真鍮を含む、請求項1に記載の超極性電気外科用ペンシル。
【請求項8】
前記電気外科用ブレードアセンブリの前記リターン電極が、導電層と、前記導電層から延びる導電性突出部であって、前記非導電性中空管状部材内に位置する導電性突出部とを備える、請求項1に記載の超極性電気外科用ペンシル。
【請求項9】
前記電気外科用ブレードアセンブリが、前記鋭利な切断縁部とは反対側に位置する前記非導電性平坦部材の端部にいずれも取り付けられた、リターン導電性インサートおよびアクティブ導電性インサートをさらに備え、前記リターン導電性インサートが前記リターン電極と連通し、前記アクティブ導電性インサートが前記アクティブ電極と連通する、請求項1に記載の超極性電気外科用ペンシル。
【請求項10】
アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルを提供するために伸縮能力をさらに有する請求項1に記載の超極性電気外科用ペンシルを含むアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルであって、前記ハンドピース部材が中空伸縮部材として機能し、前記アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルが、
第2のチャネルを備える第2のハンドピース部材であって、第1および第2の端部、ならびに対向する接点部材であって、前記第2のチャネルを画定する前記第2のハンドピース部材の内面に位置するように前記第2のハンドピース部材の内法長さに沿って配置された対向する接点部材を有し、前記中空伸縮部材として機能する前記ハンドピース部材の前記第2の端部が前記第2のハンドピース部材内に収容されている、第2のハンドピース部材と、
前記第2のハンドピース部材の前記第2のチャネル内に収容された第2の導電性中空管であって、前記中空伸縮部材として機能する前記ハンドピース部材内に収容された前記第1の導電性中空管と伸縮自在に連通する、第2の導電性中空管と、
前記中空伸縮部材として機能する前記ハンドピース部材の外面に位置するアクティブ摺動式接点部材であって、前記アクティブ電極とも、前記第2のハンドピース部材の前記内面に位置する一方の対向する接点部材とも連通する、アクティブ摺動式接点部材と、
前記中空伸縮部材として機能する前記ハンドピース部材の外面に位置するリターン摺動式接点部材であって、前記リターン電極とも、前記第2のハンドピース部材の前記内面に位置する他方の対向する接点部材とも連通する、リターン摺動式接点部材と
をさらに備える、超極性伸縮電気外科用ペンシル。
【請求項11】
前記可撓性非導電管が前記第2の導電性中空管に接続されている、請求項10に記載の超極性伸縮電気外科用ペンシル。
【請求項12】
前記第1の導電性中空管が導電性突出部を含み、前記電気外科用ブレードアセンブリの前記リターン電極が導電性突出部を含み、両方の導電性突出部が前記電気外科用ブレードアセンブリの前記非導電性中空管状部材内に収容されている、請求項10に記載の超極性伸縮電気外科用ペンシル。
【請求項13】
前記中空伸縮部材として機能する前記ハンドピース部材が、前記中空伸縮部材として機能する前記ハンドピース部材の前記第1の端部に接続されたノズル部材を備える、請求項10に記載の超極性伸縮電気外科用ペンシル。
【請求項14】
前記第1の導電性中空管を前記中空伸縮部材として機能する前記ハンドピース部材の前
記チャネル内に支持するための第1の支持部材と、前記第2の導電性中空管を前記第2のハンドピース部材の前記第2のチャネル内に支持するための第2の支持部材とをさらに備える、請求項10に記載の超極性伸縮電気外科用ペンシル。
【請求項15】
前記第1の支持部材が、前記アクティブ摺動式接点部材および前記リターン摺動式接点部材のうちの少なくとも1つをさらに支持する、請求項14に記載の超極性伸縮電気外科用ペンシル。
【請求項16】
前記電気外科用ブレードアセンブリの前記リターン電極が、導電層と、前記導電層から延びる導電性突出部であって、前記非導電性中空管状部材内に位置する導電性突出部とを備える、請求項10に記載の超極性伸縮電気外科用ペンシル。
【請求項17】
前記電気外科用ブレードアセンブリが、前記鋭利な切断縁部とは反対側に位置する前記非導電性平坦部材の端部にいずれも取り付けられた、リターン導電性インサートおよびアクティブ導電性インサートをさらに備え、前記リターン導電性インサートが前記リターン電極と連通し、前記アクティブ導電性インサートが前記アクティブ電極と連通する、請求項10に記載の超極性伸縮電気外科用ペンシル。
【請求項18】
対向する平坦側部および鋭利な切断縁部を有する非導電性平坦部材と、
一方の対向する平坦側部に位置するリターン電極と、
反対側の平坦側部に位置するアクティブ電極と、
前記非導電性平坦部材の上部および前記リターン電極の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材と
を備える、超極性電気外科用ブレードアセンブリ。
【請求項19】
前記リターン電極が、導電層と、前記導電層から延びる導電性突出部であって、前記非導電性中空管状部材内に位置する導電性突出部とを備える、請求項18に記載の超極性電気外科用ブレードアセンブリ。
【請求項20】
前記鋭利な切断縁部とは反対側に位置する前記非導電性平坦部材の端部にいずれも取り付けられた、リターン導電性インサートおよびアクティブ導電性インサートをさらに備え、前記リターン導電性インサートが前記リターン電極と連通し、前記アクティブ導電性インサートが前記アクティブ電極と連通する、請求項18に記載の超極性電気外科用ブレードアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月6日出願の「Ultrapolar Electrosurgery Blade Assembly And Pencil For Use In ESU Monopolar and Bipolar Modes(ESU単極および双極モードで使用される超極性電気外科用ブレードアセンブリおよびペンシル)」と題する仮特許出願第62/383,855号、および2017年9月6日出願のその関連特許出願第15/697,335号、および2016年10月5日出願の「Ultrapolar Telescopic Electrosurgery Pencil(超極性伸縮電気外科用ペンシル)」と題する仮特許出願第62/404,292号、および2017年10月5日出願のその関連特許出願第15/725,640号に関し、これらは全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、2017年3月1日出願の「Ultrapolar Electrosurgery Pencil With Argon Beam Capability(アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシル)」と題する仮特許出願第62/465,729号、および2017年3月1日出願の「Ultrapolar Telescopic Electrosurgery Pencil With Argon Beam Capability(アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル)」と題する仮特許出願第62/465,708号の優先権を主張し、これらはいずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、切断および凝固のために双極モードで単極エネルギを用いることができ、切断および凝固のためにイオン化ガスをも用いることができる、アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルを対象とする。本発明はまた、アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルの両方に使用される超極性電気外科用ブレードアセンブリをも対象とする。
【背景技術】
【0003】
電気外科手術は、RF電気外科発生器(電気手術器またはESUとしても知られる)、および電極を備えるハンドピースを使用して、生体組織を切断または凝固するために様々な電圧で高周波交流無線周波(RF)電流の入力を与える。ハンドピースは、1つの電極を備える単極の器具または2つの電極を備える双極の器具であり得る。単極の器具を使用する際には、リターン電極板が患者に取り付けられ、高周波電流が発生器から単極の器具へ、患者を通って患者のリターン電極板へ流れて、発生器に戻る。その汎用性および有効性のために、単極電気外科手術が一般に用いられている。しかし、患者の背中に配置されたリターン電極が高電圧および高RFエネルギを患者に通すため、単極電気外科手術で発生する過剰な熱が、過剰な組織損傷およびその組織の壊死を引き起こす恐れがある。
【0004】
双極電気外科手術では、アクティブ電極とリターン電極の両方が双極の器具に収容されているため、アクティブ出力機能と患者リターン機能の両方が手術部位で生じる。したがって、電流の経路は、アクティブ電極とリターン電極との間に位置する生体組織に限定される。双極電気外科手術は、単極電気外科手術よりも低い電圧および少ないエネルギの使用を可能にし、それによって単極電気外科手術に関連する組織損傷およびスパークが起きる可能性を低減または排除するが、広い出血領域を切断および凝固する能力が限られている。
【0005】
電気外科手術中にアルゴンビーム凝固器を用いることも一般的である。アルゴンビーム凝固(ABC)では、イオン化アルゴンガスの有向ビームによって組織に電流が印加されて、均一で浅い凝固表面を生じ、それによって失血を止める。しかし、イオン化アルゴンガスの利用を用いて、アルゴンビームで強化された切断も行い得る。
【0006】
現在のところ、電気外科手術は切断のための最良の方法であることが多く、アルゴンビーム凝固は手術中の出血停止のための最良の方法であることが多い。外科医は、通常、手術中に起きていること、また手術部位における切断、または組織の切開、または止血など、手術の特定の時点で達成する必要があることに応じて、アルゴンビーム凝固モードと電気外科手術モードとを切り替える必要がある。
【0007】
しかし、外科医が現在利用可能な外科用器具および装置は、これらの2つの方法を外科的処置中に切り替えることを必要とするので、外科医または使用者が、手術部位における切断および出血停止に用いられる最良の方法を、これらを別々に用いることができることに加えて、一緒に、または同時に利用することを可能とする外科用装置または器具が必要である。アルゴンビーム機能を有する電気外科用ブレードアセンブリ、ならびにこうした電気外科用ブレードアセンブリを利用するアルゴンビーム機能を有する伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルは、電気外科手術中に組織を切断も凝固もする安全で、効率的、効果的かつ柔軟な方法を使用者または外科医に提供することができる。このタイプの装置では、使用者または外科医は、過剰な組織損傷およびその組織の壊死なしに、切断および凝固のために双極モードで単極エネルギを用いることができ、切断および凝固のためにイオン化ガスをも用いることができる。
【0008】
本発明に関して説明する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルは、単極モードと双極モードの両方で使用でき、それによって外科医または操作者に自由度を与える。本発明に関して説明する超極性伸縮電気外科用ペンシルはまた、使用者または外科医が、ペンシルの伸縮部材およびペンシルの伸縮部材内に配置された電気外科用ブレードを伸長させることにより、視認性の向上に伴ってより容易かつ効率的に手術部位にアクセスすることも可能とする。本発明に関して説明する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルの実施形態はまた、使用者または外科医が、手術部位における正確な切断、ならびに手術部位に位置する組織領域の切断および凝固を行うことができながらも、手術部位から煙および/またはデブリを排出することを可能とする。
【発明の概要】
【0009】
本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルの例示的な実施形態は、使用者または外科医が電気外科用ブレードの鋭利な非導電性切断縁部で切断を行うこと、電気外科用ブレードのアクティブ電極およびリターン電極で切断を行うこと、電気外科用ブレード上のアクティブ電極とリターン電極の両方を使用することによって生体組織の広い領域の凝固を行うこと、ならびに電気外科用ブレードに収容されたリターン電極またはアクティブ電極の上に配置された非導電性中空管状部材から突出するイオン化ガスを用いて組織の切断および凝固を行うことを可能とする。本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルの特に新規かつ革新的な特徴は、使用者または外科医が、電気外科用ブレードに収容されたリターン電極またはアクティブ電極の上に配置された非導電性中空管状部材から突出するイオン化ガスを用いて
組織を凝固しながら、同時に電気外科用ブレードの鋭利な非導電性切断縁部で組織を切断できることである。本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルは、電気外科手術中に組織を切断も凝固もする安全で、効率的、効果的かつ柔軟な方法を使用者または外科医に提供する。本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルは、電気外科手術中に高電圧および高RFエネルギが患者を通る必要がないので、他の電気外科用器具および方法よりも患者にとってはるかに安全である。加えて、本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルの伸縮能力により、使用者または外科医が超極性電気外科用ペンシルの長さを調整して異なる手術部位へのアクセスによりよく対応することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明のアルゴンビーム凝固を用いる超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルは、5~15ワットなどの極めて低い電力で動作することができる。その結果、本発明の超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルでの切断中に組織への側方損傷は最小限であり、本発明の超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルと共に使用される電気外科用ブレードアセンブリの組成は、電気外科的処置中にブレード表面への痂皮および死組織の蓄積を最小限にし、それによって電気外科用ブレードをきれいにするために外科的処置を中断する必要性をなくす。
【0011】
アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルは、電気外科用ブレードを使用して、切断および凝固のために双極モードで単極エネルギを用いることができる。本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルはまた、切断および凝固のためにイオン化ガスをも用いることができ、それによって手術処置中に組織の切断および/または凝固を行う様々な方法を使用者または外科医に提供する。
【0012】
例示的な一実施形態では、本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシル内に収容された超極性電気外科用ブレードアセンブリは、対向する平坦側部および鋭利な切断縁部を有する非導電性平坦部材と、一方の対向する平坦側部に位置するリターン電極と、反対側の平坦側部に位置するアクティブ電極と、非導電性平坦部材の上部およびリターン電極の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材とを含む。リターン電極は、導電性リターン層と、非導電性中空管状部材内に位置する導電性リターン突出部とを含んでもよい。これにより、導電性中空管(本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルに関して後で説明するように、非伸縮電気外科用ペンシルのハンドピース部材内または伸縮電気外科用ペンシルの中空伸縮部材内に収容されたものなど)から非導電性中空管状部材に供給されるガスを、それが導電性中空管から延びる導電性アクティブ突出部およびリターン電極の導電性リターン突出部と接触したときにイオン化することが可能になり、それによって高電圧および高RFエネルギが患者を通ることなく組織の切断と凝固の両方が可能になる。
【0013】
本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシルの例示的な一実施形態では、アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシルは非伸縮式であり、第1の端部、第2の端部、および内部に収容されたチャネルを有するハンドピース部材と、ハンドピース部材の第1の端部内に配置された電気外科用ブレードアセンブリであって、対向する平坦側部および鋭利な切断縁部を備える非導電性平坦部材、一方の対向する平坦側部に位置するリターン電極、他方の対向する平坦側部に位置するアクティブ電極、ならびに非導電性平坦部材の上部およびリターン電極の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材を含む、電気外科用ブレードアセンブリと、第1の端部および第2の端部を有する第1の導電性中空管であって、第1の導電性中空管の少なくとも一部が、電気外科用ブレードアセンブリの非導電性中空管状部材内に、第1の導電性中空管の第1の端部が非導電性中空管状部材の第1の端部の近傍に配置されるように同心円状に収容されている、第1の導電性中空管と、超極性電気外科用ペンシルの少なくとも一部内に収容された可撓性非導電管であって、第1の導電性中空管にガスを提供する可撓性非導電管と、超極性電気外科用ペンシルを作動させるためにリターン電極、アクティブ電極、および第1の導電性中空管をRF電気外科発生器に接続するための複数の電気導体(ワイヤなど)とを含む。
【0014】
本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルの別の例示的な実施形態では、アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシルは伸縮式であり、第1および第2の端部ならびに内部に収容されたチャネルを有するハンドピース部材であって、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材と、ハンドピース部材の第1の端部内に配置された電気外科用ブレードアセンブリであって、対向する平坦側部および鋭利な切断縁部を備える非導電性平坦部材、一方の対向する平坦側部に位置するリターン電極、他方の対向する平坦側部に位置するアクティブ電極、ならびに非導電性平坦部材の上部およびリターン電極の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材を含む、電気外科用ブレードアセンブリと、第1の端部および第2の端部を有する第1の導電性中空管であって、第1の導電性中空管の少なくとも一部が、電気外科用ブレードアセンブリの非導電性中空管状部材内に、第1の導電性中空管の第1の端部が非導電性中空管状部材の第1の端部の近傍に配置されるように同心円状に収容されている、第1の導電性中空管と、超極性電気外科用ペンシルの少なくとも一部内に収容された可撓性非導電管であって、第1の導電性中空管にガスを提供する可撓性非導電管と、超極性電気外科用ペンシルを作動させるためにリターン電極、アクティブ電極、および第1の導電性中空管をRF電気外科発生器に接続するための複数の電気導体(ワイヤなど)と、第2のチャネルを備える第2のハンドピース部材であって、第1および第2の端部、ならびに対向する接点部材であって、第2のチャネルを画定する第2のハンドピース部材の内面に位置するように第2のハンドピース部材の内法長さに沿って配置された対向する接点部材を有し、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材の第2の端部が第2のハンドピース部材内に収容されている、第2のハンドピース部材と、第2のハンドピース部材の第2のチャネル内に収容された第2の導電性中空管であって、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材内に収容された第1の導電性中空管と伸縮自在に連通する、第2の導電性中空管と、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材の外面に位置するアクティブ摺動式接点部材であって、アクティブ電極とも、第2のハンドピース部材の内面に位置する一方の対向する接点部材とも連通する、アクティブ摺動式接点部材と、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材の外面に位置するリターン摺動式接点部材であって、リターン電極とも、第2のハンドピース部材の内面に位置する他方の対向する接点部材とも連通する、リターン摺動式接点部材とを含む。
【0015】
第2の導電性中空管と第1の導電性中空管との伸縮自在な連通により、第2の導電性中空管が第1の導電性中空管内で摺動することが可能となるように、第2の導電性中空管は第1の導電性中空管よりも小さい直径を有することになり得る。あるいは、第2の導電性中空管と第1の導電性中空管との伸縮自在な連通により、第1の導電性中空管が第2の導電性中空管内で摺動することが可能となるように、第1の導電性中空管は第2の導電性中空管よりも小さい直径を有することになり得る。本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルはまた、追加の要素をも含んでもよく、追加の要素としては、第1の導電性中空管を中空伸縮部材として機能するハンドピース部材のチャネル内に保持するための少なくとも1つの支持部材であって、同じ支持部材がさらに、アクティブ摺動式接点部材およびリターン摺動式接点部材を中空伸縮部材の外側に保持し得る少なくとも1つの支持部材、ならびに第2の導電性中空管を第2のハンドピース部材の第2のチャネル内に保持するための少なくとも1つの支持部材が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
電極、接点、および接点部材という用語は、導体素子を指すために本明細書全体にわたって区別なく用いられる。全ての図面に図示されるアクティブおよびリターン電極/接点/接点部材を逆にしてもよいこと、すなわち、アクティブ電極/接点/接点部材として示してある電極/接点/接点部材はリターン電極/接点/接点部材とすることができ、リターン電極/接点/接点部材として示してある電極/接点/接点部材はアクティブ電極/接点/接点部材とすることができることを、当業者なら理解するであろう。電極/接点/接点部材の種類を逆にしても、やはりアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮
電気外科用ペンシルは同じ機能的特徴および利点を有することになる。
【0017】
本発明の伸縮および非伸縮超極性電気外科用ペンシルの両方における超極性電気外科用ブレードアセンブリはまた、鋭利な切断縁部とは反対側に位置する非導電性平坦部材の端部にいずれも取り付けられた、リターン導電性インサートおよびアクティブ導電性インサートをも含んでもよく、リターン導電性インサートはリターン電極と連通し、アクティブ導電性インサートはアクティブ電極と連通する。本発明の超極性伸縮電気外科用ペンシルでは、リターン導電性インサートはリターン摺動式接点部材とも連通し、アクティブ導電性インサートはアクティブ摺動式接点部材とも連通する。
【0018】
加えて、アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルにおける電気外科用ブレードアセンブリのリターン電極は、導電性リターン層と、導電性リターン層から延びる導電性リターン突出部であって、電気外科用ブレードアセンブリの非導電性中空管状部材内に位置する導電性リターン突出部を備えてもよく、第1の導電性中空管は、電気外科用ブレードアセンブリの非導電性中空管状部材内に収容された第1の導電性中空管の端部から延びる導電性アクティブ突出部を含んでもよい。この構成により、第1の導電性中空管および非導電性中空管状部材を通過したアルゴンガスなどのガスが、第1の導電性中空管の導電性アクティブ突出部およびリターン電極の導電性リターン突出部によってイオン化されることになり、それによって組織を切断または凝固するためのイオン化ガスを提供することになる。
【0019】
電気外科用ブレードアセンブリの非導電性中空管状部材および非導電性平坦部材は、それぞれセラミックを含んでもよい。第1の導電性中空管および第2の導電性中空管は、真鍮からなってもよい。さらに、電気外科用ブレードアセンブリの非導電性中空管状部材は、非伸縮ペンシル実施形態ではハンドピース部材の、または伸縮ペンシル実施形態では中空伸縮部材として機能するハンドピース部材の第1の端部の外側に配置されてもよい。加えて、第1の導電性中空管および第2の導電性中空管の一方または両方は、それらの外面付近で絶縁されていてもよい。さらに、本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルはまた、非伸縮ペンシル実施形態ではハンドピース部材の第1の端部に、伸縮ペンシル実施形態では中空伸縮部材として機能するハンドピース部材の第1の端部に組み込まれてもよい、ノズル部材をも含んでもよい。さらに、ノズル部材は着脱可能および/または透明であってもよい。
【0020】
伸縮ペンシル実施形態におけるリターン電極が、組み込まれた仮特許出願第62/404,292号および特許出願第15/725,640号の図3および図4に示されるように、第2のハンドピース部材内の中実導電性ロッドと伸縮自在に係合する、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材内の導電管に接続されてもよいことも、当業者なら理解するであろう。本発明はまた、本発明を構成するそれらの要素と同様の機能を持つ、特許出願第62/404,292号および第15/725,640号の図3および図4に示される要素の他の実施形態を組み込んでもよく、かつ/または置き換えてもよい。第62/404,292号および第15/725,640号の図5に示される要素の実施形態も組み込まれてもよく、かつ/または同様の機能を持つ本発明に含まれる要素の他の実施形態と置き換えられてもよい。
【0021】
中空伸縮部材として機能するハンドピース部材のチャネルおよび/または第2のハンドピース部材のチャネル内に収容されたまたは部分的に収容された機能要素(電気外科用ブレードアセンブリを含む)が、真空源にさらに接続された排出管に、ハンドピース部材もしくは第2のハンドピース部材の第2の端部を接続することによって、または旋回部材を接続することによって、手術部位で発生する煙およびデブリを、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材のチャネルおよび第2のハンドピース部材のチャネルの内側を通っ
て排出することを可能にするように配置できることも、当業者なら理解するであろう。したがって、アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルはまた、手術部位から煙およびデブリを排出する能力をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の超極性電気外科用ブレードアセンブリの例示的な実施形態の透視図である。
図2図2は、超極性電気外科用ブレードの両側に位置するアクティブ電極およびリターン電極を示すために、図1の超極性電気外科用ブレードアセンブリを180度回転させて示した例示的な実施形態の透視図である。
図3図3は、本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシルの例示的な実施形態の透視図であり、電気外科用ペンシルの内部要素と、旋回部材であって、旋回部材に真空管を取り付けることによってペンシルを通って手術部位から離れる方向に煙およびデブリを排出しながらのペンシルの使用を容易にするために超極性電気外科用ペンシルの端部に接続されてもよい旋回部材とを示す。
図4図4は、アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシルに使用される電気外科用ブレードアセンブリの、電気外科用ブレードアセンブリの両側に位置するアクティブ電極およびリターン電極を示すために、図3に図示したアルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシルを180度回転させて示した例示的な実施形態の透視図である。
図5図5は、本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルの例示的な実施形態の分解透視図であり、電気外科用ペンシルの内部要素を示す。
図6図6は、アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルに使用される電気外科用ブレードアセンブリの、電気外科用ブレードアセンブリの両側に位置するアクティブ電極およびリターン電極を示すために、図5に図示したアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシルを180度回転させて示した例示的な実施形態の分解透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
電気手術器(ESU)単極および双極モードで使用される本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルの例示的な実施形態は、使用者または外科医がペンシルの電気外科用ブレードの鋭利な非導電性先端部で切断を行うこと、および電気外科用ブレードの電気接点を使用することによって生体組織の広い領域の凝固を行うことを可能とする。本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルはまた、電気外科用ブレードのアクティブ電極およびリターン電極でも切断を行い得る。加えて、使用者または外科医は、イオン化アルゴンガスなどのイオン化ガスを用いて組織を切断および凝固するために、本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルを使用することができる。さらに、使用者または外科医は、イオン化ガスを用いて組織を凝固しながら同時に電気外科用ブレードの鋭利な非導電性切断縁部で組織を切断するために、本発明の超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルを使用することができる。
【0024】
本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルの例示的な実施形態は、対向する平坦側部および鋭利な切断縁部を有する非導電性平坦部材と、一方の対向する平坦側部に位置するリターン電極と、反対側の平坦側部に位置するアクティブ電極と、非導電性平坦部材の上部およびリターン電極の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材とを有する、超極性電気外科用ブレードアセンブリを含む。リターン電極は、導電性リターン層と、非導電性中空管状部材内に位置する導電性リターン突出部とを含んでもよく、これにより、導電性中空管から供給されて非導電性中空管状部材に入るガスを、それが導電性中空管から延びる導電性アクティブ突出部およびリターン電極の導電性リターン突出部と接触したときにイオン化することが可能になる。非導電性平坦部材の切断縁部は、生体組織を切断するための鋭利な非導電性切断縁部を形成することができ、一方、非導電性平坦部材の対向する平坦側部に位置するアクティブ電極およびリターン電極は、生体組織の凝固および切断を行うために使用することができる。
【0025】
図1および図2に示す参照符号に関する要素/特徴の識別情報は以下のとおりである。
10 電気外科用ブレードアセンブリ
12 非導電性平坦部材
14 対向する平坦側部
16 鋭利な切断縁部
18 アクティブ電極
20 リターン電極
22 非導電性中空管状部材
24 リターン導電性インサート
26 アクティブ導電性インサート
28 鋭利な切断縁部とは反対側の非導電性平坦部材の端部
【0026】
図3および図4に示す参照符号に関する要素/特徴の識別情報は以下のとおりである。
100 アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシル
110 電気外科用ブレードアセンブリ
112 非導電性平坦部材
114 対向する平坦側部
116 鋭利な切断縁部
118 アクティブ電極
120 リターン電極
121 (リターン電極上の)導電層
122 非導電性中空管状部材
123 (リターン電極上の)導電性突出部
124 (ブレードアセンブリでの切断およびガスのイオン化のために電気外科用ブ
レードアセンブリをRF発電機[電気手術器またはESUとしても知られる]に接続するための)リターン導電性インサート
126 (超極性電気外科用ペンシル100を作動させるために電気外科用ブレードアセンブリを、RF発電機にさらに接続された回路基板に接続するための)アクティブ導電性インサート
128 鋭利な切断縁部とは反対側の非導電性平坦部材の端部
130 ハンドピース部材
132 チャネル
134、136 (ハンドピース部材130の)第1および第2の端部
137 ノズル部材(ハンドピース部材の第1の端部に接続され、取外し可能および/または透明であることができる)
138 第1の導電性中空管
140、142 (第1の導電性中空管138の)第1および第2の端部
146 導電性突出部(非導電性中空管状部材122内に収容された第1の導電性中空管138の端部から延びる;導電性突出部123と導電性突出部146との間でガス(たとえばアルゴンガス)がイオン化される)
148 第1の導電性中空管138にガス(たとえばアルゴンガス)を供給するための可撓性非導電管(たとえばプラスチック)
150 (アルゴンガスなどのガスのイオン化のために)可撓性非導電管148を通って延び、第1の導電性中空管138に接続された、RF電気外科発生器からのアクティブワイヤ
152 (アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシル100を作動させるための)回路基板
154 電気外科用ブレードアセンブリ110のアクティブ電極118を回路基板152に接続するためのアクティブワイヤ
155 回路基板152をRF電気外科発生器に接続するためのアクティブワイヤ
156 (ハンドピース部材130の第2の端部136に接続された)旋回部材
【0027】
図5および図6に示す参照符号に関する要素/特徴の識別情報は以下のとおりである。
200 アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル
210 電気外科用ブレードアセンブリ
212 非導電性平坦部材
214 対向する平坦側部
216 鋭利な切断縁部
218 アクティブ電極
220 リターン電極
221 (リターン電極上の)導電層
222 非導電性中空管状部材
223 (リターン電極上の)導電性突出部
224 (ブレードアセンブリでの切断およびガスのイオン化のために電気外科用ブレードアセンブリをRF発電機[電気手術器またはESUとしても知られる]に接続するための)リターン導電性インサート
226 (超極性伸縮電気外科用ペンシル200を作動させるために電気外科用ブレードアセンブリを、RF発電機にさらに接続された回路基板に接続し、様々な動作の中でもとりわけ低電力を用いたブレードアセンブリでの切断を可能にするための)アクティブ
導電性インサート
228 鋭利な切断縁部とは反対側の非導電性平坦部材の端部
230 第2のハンドピース部材
232 第2のチャネル
234、236 (第2のハンドピース部材230の)第1および第2の端部
238、240 (第2のハンドピース部材230の反対側の内側長さに沿って位置する)対向する接点部材
242 第2の導電性中空管
244 中空伸縮部材として機能するハンドピース部材
245 チャネル
246、248 (中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244の)第1および第2の端部
250 中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244のノズル部材(取外し可能および/または透明であることができる)
252 アクティブ摺動式接点部材(ブレードアセンブリ上のアクティブ電極用;対向する接点部材238内でおよび/またはこれに沿って摺動する)
254 リターン摺動式接点部材(ブレードアセンブリ上のリターン電極用;対向する接点部材240内でおよび/またはこれに沿って摺動する)
256 第1の導電性中空管(中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244内に収容され、少なくとも一部が電気外科用ブレードアセンブリ210の非導電性中空管状部材内に収容される)
258 導電性突出部(非導電性中空管状部材222内に収容された第1の導電性中空管256の端部から延びる;導電性突出部223と導電性突出部258との間でガス(たとえばアルゴンガス)がイオン化される)
260 第1の導電性中空管256用の第1の支持部材(アクティブ摺動式接点部材252およびリターン摺動式接点部材254をも支持し得る)
262 第2の導電性中空管242用の第2の支持部材
264 (第2のハンドピース部材230の第2の端部236に接続された)旋回部材
266 (アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル200を作動させるための)回路基板
268 RF電気外科発生器から(アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル200を作動させるための)回路基板へのアクティブワイヤ
269 リターン電極220に接続された、RF電気外科発生器からのワイヤ
270 (アルゴンガスなどのガスのイオン化のために)第1の導電性中空管256にさらに接続された第2の導電性中空管242に接続された、RF電気外科発生器からのアクティブワイヤ
272 第1の導電性中空管256にさらに接続された第2の導電性中空管242にガス源からガス(アルゴンガスなど)を供給するための可撓性非導電管
【0028】
図1および図2は、本発明の超極性伸縮および非伸縮電気外科用ペンシルの一部を構成する超極性電気外科用ブレードアセンブリ10の例示的な実施形態の相反する透視図である。電気外科用ブレードアセンブリ10は、対向する平坦側部14および鋭利な切断縁部16を有する非導電性平坦部材12と、一方の対向する平坦側部14に位置するリターン電極20と、反対側の平坦側部14に位置するアクティブ電極18と、非導電性平坦部材12の上部およびリターン電極20の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材22とを含む。図3および図5に示すように、リターン電極20は、導電層121、221と、非導電性中空管状部材122、222内に位置するように導電層121、221から延びる導電性突出部123、223とを含む。超極性電気外科用ブレードアセンブリ10はまた、リターン導電性インサート24およびアクティブ導電性インサート26をも含み、これらは、リターン導電性インサート24がリターン電極20と連通し、アクティブ導電性インサート26がアクティブ電極18と連通するように、鋭利な切断縁部16とは反対側に位置する非導電性平坦部材12の端部28にいずれも取り付けられている。
【0029】
図3は、本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシル100の例示的な実施形態の透視図であり、電気外科用ペンシルの内部要素と、旋回部材156であって、旋回部材156に真空管を取り付けることによってペンシルを通って手術部位から離れる方向に煙およびデブリを排出しながらのペンシルの使用を容易にするために超極性電気外科用ペンシル100の端部136に接続されてもよい旋回部材156とを示す。図4には、アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシル100に使用される電気外科用ブレードアセンブリの、電気外科用ブレードアセンブリの両側に位置するアクティブ電極およびリターン電極118、120を示すために、図3に図示したアルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシル100を180度回転させて示した例示的な実施形態の透視図が示してある。
【0030】
アルゴンビーム機能を有する超極性電気外科用ペンシル100は非伸縮式であり、第1の端部134、第2の端部136、および内部に収容されたチャネル132を有するハンドピース部材130と、ハンドピース部材130の第1の端部134内に配置された電気外科用ブレードアセンブリ110であって、対向する平坦側部114および鋭利な切断縁部116を備える非導電性平坦部材112、一方の対向する平坦側部114に位置するリターン電極120、他方の対向する平坦側部114に位置するアクティブ電極118、ならびに非導電性平坦部材112の上部およびリターン電極120の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材122を含む、電気外科用ブレードアセンブリ110と、第1の端部140および第2の端部142を有する第1の導電性中空管138であって、第1の導電性中空管138の少なくとも一部が、電気外科用ブレードアセンブリ110
の非導電性中空管状部材122内に、第1の導電性中空管138の第1の端部140が非導電性中空管状部材122の第1の端部の近傍に配置されるように同心円状に収容されている、第1の導電性中空管138と、超極性電気外科用ペンシル100の少なくとも一部内に収容された可撓性非導電管148であって、第1の導電性中空管138にガスを提供する可撓性非導電管148と、超極性電気外科用ペンシル100を作動させるためにリターン電極120、アクティブ電極118、回路基板152、および第1の導電性中空管138をRF電気外科発生器に接続するための複数の電気導体(ワイヤ150、154、155など)とを含む。
【0031】
第1の導電性中空管138は導電性突出部146を含み、リターン電極120は導電性突出部123を含み、両方の導電性突出部123、146は超極性電気外科用ブレードアセンブリ110の非導電性中空管状部材122内に収容されている。リターン電極は導電層121を含んでもよく、導電層121から導電性突出部123が延び、導電性突出部123は非導電性中空管状部材122内に位置している。超極性電気外科用ブレードアセンブリ110は、リターン導電性インサート124およびアクティブ導電性インサート126を含み、これらは、鋭利な切断縁部116とは反対側に位置する非導電性平坦部材112の端部128にいずれも取り付けられており、リターン導電性インサート124はリターン電極120と連通し、アクティブ導電性インサート126はアクティブ電極118と連通する。
【0032】
ハンドピース部材130は、ハンドピース部材130の第1の端部134に接続されたノズル部材137を含んでもよく、ノズル部材137は取外し可能および/または透明であってもよい。超極性電気外科用ブレードアセンブリ110の非導電性平坦部材112および非導電性中空管状部材122はセラミック材料製であってもよく、一方、第1の導電性中空管138は真鍮製であってもよい。
【0033】
図5は、本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル200の例示的な実施形態の分解透視図であり、電気外科用ペンシルの内部要素を示す。図6は、アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル200に使用される電気外科用ブレードアセンブリ210の、電気外科用ブレードアセンブリ210の両側に位置するアクティブ電極およびリターン電極218、220を示すために、図5に図示したアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル200を180度回転させて示した例示的な実施形態の分解透視図である。
【0034】
アルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル200は、第1および第2の端部246、248ならびに内部に収容されたチャネル245を有するハンドピース部材244であって、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244と、ハンドピース部材244の第1の端部246内に配置された電気外科用ブレードアセンブリ210であって、対向する平坦側部214および鋭利な切断縁部216を備える非導電性平坦部材
212、一方の対向する平坦側部214に位置するリターン電極220、他方の対向する平坦側部214に位置するアクティブ電極218、ならびに非導電性平坦部材212の上部およびリターン電極220の少なくとも一部の上に配置された非導電性中空管状部材222を含む、電気外科用ブレードアセンブリ210と、第1の端部および第2の端部を有する第1の導電性中空管256であって、第1の導電性中空管256の少なくとも一部が、電気外科用ブレードアセンブリ210の非導電性中空管状部材222内に、第1の導電性中空管256の第1の端部が非導電性中空管状部材222の第1の端部の近傍に配置されるように同心円状に収容されている、第1の導電性中空管256と、超極性伸縮電気外科用ペンシル200の少なくとも一部内に収容された可撓性非導電管272であって、第1の導電性中空管256にガスを提供する可撓性非導電管272と、超極性伸縮電気外科用ペンシル200を作動させるためにリターン電極220、アクティブ電極218、および第1の導電性中空管256をRF電気外科発生器に接続するための複数の電気導体(ワイヤ268、269、270など)とを含む。超極性伸縮電気外科用ペンシル200は、第2のチャネル232を備える第2のハンドピース部材230であって、第1および第2の端部234、236、ならびに対向する接点部材238、240であって、第2のチャネル232を画定する第2のハンドピース部材230の内面に位置するように第2のハンドピース部材230の内法長さに沿って配置された対向する接点部材238、240を有する、第2のハンドピース部材230をさらに含む。中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244の第2の端部248は、第2のハンドピース部材230内に収容されている。第2のハンドピース部材230の第2のチャネル232内には第2の導電性中空管242が収容されており、第2の導電性中空管242は、中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244内に収容された第1の導電性中空管256と伸縮自在に連通する。中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244の外面にはアクティブ摺動式接点部材252が位置し、アクティブ摺動式接点部材252は、アクティブ電極218とも、第2のハンドピース部材230の内面に位置する一方の対向する接点部材238とも連通する。中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244の外面にはリターン摺動式接点部材254が位置し、リターン摺動式接点部材254は、リターン電極220とも、第2のハンドピース部材230の内面に位置する他方の対向する接点部材240とも連通する。
【0035】
第2の導電性中空管242と第1の導電性中空管256との伸縮自在な連通により、第2の導電性中空管242が第1の導電性中空管256内で摺動することが可能となるように、第2の導電性中空管242は第1の導電性中空管256よりも小さい直径を有することになり得る。超極性電気外科用ブレードアセンブリ210は、鋭利な切断縁部216とは反対側に位置する非導電性平坦部材212の端部228にいずれも取り付けられた、リターン導電性インサート224およびアクティブ導電性インサート226を含む。リターン導電性インサート224は、リターン電極220およびリターン摺動式接点部材254と連通し、アクティブ導電性インサート226は、アクティブ電極218およびアクティブ摺動式接点部材252と連通する。
【0036】
本発明のアルゴンビーム機能を有する超極性伸縮電気外科用ペンシル200はまた、第1の導電性中空管256を中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244のチャネル245内に保持するための第1の支持部材260をも含み、第1の支持部材260はさらに、アクティブ摺動式接点部材252およびリターン摺動式接点部材254を中空伸縮部材244の外側に保持する。超極性伸縮電気外科用ペンシルはまた、第2の導電性中空管242を第2のハンドピース部材230の第2のチャネル232内に保持するための第2の支持部材262をも含む。可撓性非導電管272は第2の導電性中空管242に接続されており、第2の導電性中空管242は第1の導電性中空管256にさらに接続されている。
【0037】
第1の導電性中空管256は導電性突出部258を含み、リターン電極220は導電性突出部223を含み、両方の導電性突出部223、258は超極性電気外科用ブレードアセンブリ210の非導電性中空管状部材222内に収容されている。リターン電極は導電層221を含んでもよく、導電層221から導電性突出部223が延び、導電性突出部223は非導電性中空管状部材222内に位置している。中空伸縮部材として機能するハンドピース部材244は、ハンドピース部材244の第1の端部246に接続されたノズル部材250を含んでもよく、ノズル部材250は取外し可能および/または透明であってもよい。超極性電気外科用ブレードアセンブリ210の非導電性平坦部材212および非導電性中空管状部材222はセラミック材料製であってもよく、一方、第1および第2の導電性中空管256、242は真鍮製であってもよい。
【0038】
本発明の例示的な実施形態についての上記の説明は、本発明の様々な例示的な実施形態を示す。これらの例示的な実施形態およびモードは、当業者が本発明を実施することを可
能とするために十分詳細に説明および図示されており、本発明の範囲、適用性、または構成をいかなる形でも限定することを意図するものではない。むしろ、本開示は、例示的な実施形態およびモードの実施と、当業者に知られているかまたは明らかな任意の同等のモードまたは実施形態の両方を教示することを意図するものである。さらに、含まれる全ての例は、例示的な実施形態およびモードの非限定的な例示であり、同様に、当業者に知られているかまたは明らかな任意の同等のモードまたは実施形態に役立つものである。
【0039】
具体的に記載されていないものに加えて、本発明の実施において用いられる構造、配置、用途、割合、要素、材料、または構成部品の他の組合せおよび/または修正は、本発明の範囲から逸脱することなく、変更するか、そうでない場合には、特定の環境、製造仕様、設計パラメータ、または他の動作要件に特に適合させることができ、また本開示に包含されることを意図するものである。
【0040】
特に断りのない限り、明細書および特許請求の範囲における単語および語句が、一般に認められている一般的な意味、または当業者によって用いられる通常の慣習的な意味を与えられることを本出願人は意図している。これらの意味が異なる場合、明細書および特許請求の範囲における単語および語句は可能な限り広い一般的な意味を与えられるべきである。任意の他の特別な意味が任意の単語または語句について意図される場合、本明細書はその特別な意味を明確に記述および定義することにする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6