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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ロボットおよびロボットを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/16 20060101AFI20220314BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B25J9/16
B25J13/08 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019557591
(86)(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018059883
(87)【国際公開番号】W WO2018197295
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2019-12-23
(31)【優先権主張番号】102017003899.6
(32)【優先日】2017-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521181769
【氏名又は名称】フランカ エーミカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】FRANKA EMIKA GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】パルーセル、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ハダディン、サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ベーメ、ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ローカール、ティム
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-060096(JP,A)
【文献】特開2005-268313(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189684(WO,A1)
【文献】特開2011-235423(JP,A)
【文献】特開2014-144522(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0014997(US,A1)
【文献】特開2001-024399(JP,A)
【文献】特開2004-042230(JP,A)
【文献】特開平05-042491(JP,A)
【文献】特開平07-024665(JP,A)
【文献】実開平08-000497(JP,U)
【文献】特開平08-153960(JP,A)
【文献】特開平11-087422(JP,A)
【文献】特開2001-156498(JP,A)
【文献】特開2002-287816(JP,A)
【文献】特開2004-031429(JP,A)
【文献】特開2013-030641(JP,A)
【文献】特開2013-166234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0250757(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/16-19/00
H05K 3/34-13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エフェクタを有するロボットマニピュレータ(101)を備えるロボットであって、
前記ロボットマニピュレータ(101)は、物体を拾い上げ、移動し、解放するよう構成され、制御部(103)によって制御プログラムにしたがって制御/調整され、
前記ロボットは、前記制御プログラムにしたがって前記エフェクタから前記物体を解放した後、前記物体が前記エフェクタに持続的に付着しているか否かおよび付着した物体の位置と向きを判断し、かかる持続的付着が認められる場合には信号Sを生成するよう構成される第1のセンサ手段(105)を備え、
前記制御部(103)は、
・前記信号Sが存在する場合、あらかじめ定義された運動Bを付着した物体の決定された位置と向きに応じて行うよう前記ロボットマニピュレータ(101)を制御し、当該運動Bにおいて、ワイパー部(104)が、前記ワイパー部(104)の表面で前記付着した物体を拭き取るように、前記エフェクタを通過する制御プログラムを実行するよう構成される、ロボット。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットであって、
前記ロボットマニピュレータ(101)の衝突対象との衝突を判定可能な第2のセンサ手段(106)が設けられ、前記第2のセンサ手段(106)は、前記制御プログラムにしたがって前記エフェクタから前記物体を解放した後の前記ロボットマニピュレータ(101)の運動の際、かかる衝突が判定された場合には信号S1が生成される制御プログラムを実行し、前記制御部(103)は、
・前記信号S1が存在する場合、前記ロボットマニピュレータ(101)があらかじめ定義された運動B1を行うよう制御し、当該運動B1において、前記ワイパー部(104)が、前記付着した物体を前記ワイパー部(104)の表面で拭き取るように、前記エフェクタを通過する制御プログラムを実行するよう構成される、ロボット。
【請求項3】
請求項1から請求項2のいずれか一項に記載のロボットであって、
前記ロボットマニピュレータは、力制御および/またはインピーダンス制御および/またはアドミタンス制御され、前記制御部(103)は、
・前記ワイパー部(104)による拭き取りの間にロボットマニピュレータ(101)に外部から作用する力/モーメントがあらかじめ定義された限界を超える場合、前記ロボットマニピュレータ(101)が、あらかじめ定義された状態となるよう制御される制御プログラムを実行する、ロボット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のロボットであって、
前記ロボットは、データネットワークへのデータインターフェースを有し、前記制御部の前記制御プログラムを前記データネットワークからロードするよう構成される、ロボット。
【請求項5】
請求項4に記載のロボットであって、
前記ロボットは、制御・調整パラメータを前記データネットワークから前記制御プログラムにロードするよう構成される、ロボット。
【請求項6】
請求項に記載のロボットであって、
前記ロボットは、前記制御プログラムおよび/または対応する前記制御・調整パラメータの前記データネットワークからのロードが、同様に前記データネットワークに接続された遠隔基地によって制御されるよう構成される、ロボット。
【請求項7】
請求項6に記載のロボットであって、
前記遠隔基地および/または手動入力インターフェースが、前記制御プログラムおよび/もしくは対応する前記制御・調整パラメータを入力する、ならびに/または複数の利用可能な制御プログラムおよび/もしくは対応する前記制御・調整パラメータから制御プログラムおよび/もしくは対応する前記制御・調整パラメータを選択するよう構成されるヒューマン・マシン・インターフェースを有する、ロボット。
【請求項8】
エフェクタを有するロボットマニピュレータ(101)を備えるロボットを操作する方法であって、
前記ロボットマニピュレータ(101)は、物体を拾い上げ、移動し、解放するよう構成され、制御部(103)によって制御/調整され、
前記制御部(103)は、
・第1のセンサ手段により、前記エフェクタが制御プログラムにしたがって前記物体を解放した後、前記物体が前記エフェクタに持続的に付着しているか否かおよび付着した物体の位置と向きを判断し(201)、
・前記物体の持続的付着が認められる場合には信号Sを生成し(202)、
・前記信号Sが存在する場合、あらかじめ定義された運動Bを付着した物体の決定された位置と向きに応じて、行うよう前記ロボットマニピュレータ(101)を制御し(203)、当該運動Bにおいて、ワイパー部(104)が、前記物体が持続的に付着した前記エフェクタを、前記ワイパー部(104)の表面で前記付着した物体を拭き取るように通過するステップを含む制御プログラムを実行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1のロボットマニピュレータを備えるロボットであって、このロボットマニピュレータがエフェクタを有するロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、ロボットマニピュレータを備えるロボットが知られている。このようなロボットマニピュレータは、通常、制御部により、制御プログラムに基づいて制御および/または調整される。ロボットマニピュレータのエフェクタで、物体、特にねじ等の小さな物体を取り扱う際に、制御プログラムにしたがって、その物体を解除しているにもかかわらずエフェクタがその物体を(完全には)解放せず、物体がエフェクタに付着したままとなる場合がある。例えば、機械的な付着力、磁力、静電気力などによって、物体がエフェクタに持続的に付着することもある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、物体を拾い上げ、移動し、解放するロボットマニピュレータを使用する際の、操作上の安全性と信頼性を向上させることにある。
【0004】
本発明は、主請求項の特徴からもたらされる。好ましいさらなる実施形態、および構成は、従属請求項の主題である。本発明のさらなる特徴、使用可能性、および利点は、図に示す本発明の例示的実施形態についての記載および説明からもたらされる。
【0005】
本発明の第1の局面は、エフェクタを有するロボットマニピュレータを備えるロボットであって、このロボットマニピュレータは、物体を拾い上げ、移動し、解放するように構成される。ロボットマニピュレータおよびエフェクタは、制御部によって、好ましくは、制御プログラムにしたがって、制御/調整される。このため、制御部は、制御プログラムにしたがってエフェクタが物体を解放した後、ロボットマニピュレータがあらかじめ定義された運動を行い、当該運動において、ワイパー部が、ワイパー部の表面でエフェクタに付着したままである可能性のある任意の物体を拭き取るように、エフェクタを通過する制御プログラムを実行するように構成される。
【0006】
したがって、この方法によって、制御部の制御プログラムにおける現在のステップに応じて、保持および/または把持される物体がエフェクタから解放されるようにエフェクタが動作されるたびに、エフェクタから(機械的には)解放されているにもかかわらずエフェクタに持続的に付着したままの物体を拭き取る運動が行われる。
【0007】
本明細書において、「解放」という用語は、特に、例えば保持力等の中断/停止による、機械的解放であると理解される。これは、エフェクタが、先に把持された物体が機械的に解放されるよう動作させられることを意味する。エフェクタによって把持された物体は、付着促進物質、磁化作用、静電気力等により、機械的に「解放」されたにもかかわらずエフェクタに付着したままとなることがある。これにより、通常、当該物体はエフェクタ上の元の保持位置に付着し続けることになる。
【0008】
好ましくは、ワイパー部がエフェクタを通過するあらかじめ定義された運動が、エフェクタ上の元の位置にある物体をエフェクタから機械的に分離されるように定義される。このために必要となる運動の構成および定義は、用途、把持される物体の大きさおよび形状ならびにワイパー部の大きさ、形状、および配置によって適切に選択するべきものである。
【0009】
上記の実施形態は、エフェクタから解放された物体が実際に付着しているかどうかとは無関係に拭き取り動作が実行されるため、非常に信頼性が高い。デメリットは、これによってロボットの動作中の時間およびエネルギー必要量が増加することである。したがって、本実施形態は、特に、エフェクタからの物体の解放に関して極めて高い信頼性が要求される用途に適している。
【0010】
代替的な第2の実施形態は、エフェクタを有するロボットマニピュレータを備えるロボットに関し、ロボットマニピュレータは、物体を拾い上げ、移動し、解放するよう構成され、制御部によって制御プログラムにしたがって制御/調整される。ロボットは、エフェクタが制御プログラムにしたがって物体を解放した後、物体がエフェクタに持続的に付着しているか否かを判断し、かかる持続的付着が認められる場合には信号Sを生成するよう構成される第1のセンサ手段を備える。このため、さらに、制御部は、信号Sが存在する場合、あらかじめ定義された運動Bを行うようにロボットマニピュレータを制御し、当該運動において、ワイパー部が、ワイパー部の表面で付着した物体を拭き取るように、エフェクタを通過する制御プログラムを実行するように構成される。
【0011】
よって、本実施形態では、エフェクタにより先に保持/把持された物体が制御プログラムにしたがって「解放」された後、第1のセンサ手段によって、当該物体が実際にエフェクタから機械的に分離/解放されて、もはや付着していないか否かことが判断される。
【0012】
第2の変形例にかかる本ロボットの好ましい別の実施形態は、第1のセンサ手段が、機械的接触センサ、超音波センサ、電磁センサ、光センサ、力センサ、モーメントセンサ、またはこれらの組み合わせを有することに特徴づけられる。上記のセンサ類は、好ましくは、ロボットマニピュレータ、特にエフェクタに配置される。好ましくは、第1のセンサ手段は、さらに、エフェクタに付着した物体の位置および/または方位を特定することができる。さらに好ましくは、第1のセンサ手段は、第1のセンサ手段が対応するセンサのセンサデータの評価によって解放された物体が持続的に付着していると判断した場合には、信号Sが生成される制御プログラムを実行するように構成される。
【0013】
特に好ましくは、第2の変形例にかかるロボットにおいて、実行される運動Bが、エフェクタに付着したままの物体の特定された位置および/または方位によって決定される。これにより、ワイパー部での拭き取りによって持続的に付着した物体がいずれの場合にも確実にエフェクタから機械的に分離されるように、エフェクタに付着したままの物体の特定された位置および/または方位に依存する拭き取り運動を最適に適応させることが可能となる。
【0014】
第1および第2の変形例にかかる本ロボットの好ましい別の実施形態は、ロボットマニピュレータ、特にエフェクタおよび/またはエフェクタの領域のロボットマニピュレータの、環境内の物体またはロボット自身のパーツとの衝突を判定するまたは判定可能な第2のセンサ手段が設けられることに特徴づけられる。第2のセンサ手段は、制御プログラムにしたがってエフェクタが物体を解放した後のロボットマニピュレータの運動の際、かかる衝突が判定された場合には信号S1が生成される制御プログラムを実行するように構成される。また、この別の実施形態において、制御部は、信号S1が存在する場合、ロボットマニピュレータがあらかじめ定義された運動B1を行うよう制御し、当該運動において、ワイパー部が、付着した物体をワイパー部の表面で拭き取るように、エフェクタを通過する制御プログラムを実行するように構成される。
【0015】
本ロボットのこの実施形態は、エフェクタに付着する物体に基づいてエフェクタの運動を行うと環境内の物体との望ましくない衝突が起こるような、エフェクタから解放された物体がエフェクタ上の元の保持位置に付着しておらず、例えば周縁部等の別の位置にある場合を全て網羅し、これにより物体がエフェクタの有効な範囲を広げる。したがって、特に第1のセンサ手段がエフェクタへの物体の付着を判断することができないようなケースも、全て含まれている。
【0016】
好ましい別の実施形態において、信号Sは信号S1と同一である。代替的な別の実施形態において、信号Sは信号S1と同一ではない。好ましい別の実施形態において、運動Bは運動B1と同一である。代替的な別の実施形態において、運動Bは運動B1と同一ではない。
【0017】
第2の変形例にかかるロボットの好ましい別の実施形態は、環境内の物体とのロボットマニピュレータの衝突、特にエフェクタの領域における衝突の判定は、第2のセンサ手段により、1以上のセンサの測定データおよび/または当該測定データに適用された少なくとも1のアルゴリズムに基づいて行われることに特徴づけられる。
【0018】
好ましくは、第2のセンサ手段のセンサは、電圧センサ、電流センサ、加速度センサ、モーメントセンサ、力センサ、ひずみセンサから選択される。
【0019】
第1および第2の変形例にかかるロボットの好ましい別の実施形態は、ワイパー部が端部を備え、制御部は、エフェクタがこの端部で付着した物体を拭き取るようロボットマニピュレータを制御する制御プログラムを実行するように構成されることに特徴づけられる。
【0020】
好ましくは、第1のセンサ手段は、エフェクタ上の物体の位置および/または方位を検出する。この場合、運動Bは、この運動によって物体がワイパー部で拭き取られるように、エフェクタ上の物体のそれぞれ特定される位置および/または方位に依存して定義される。好ましくは、エフェクタに付着する物体の様々な位置および/または方位について、対応する運動Bが決定され、あらかじめ定義される。
【0021】
好ましくは、ワイパー部はファネルであって、制御部は、エフェクタがファネルの端部で付着した物体を拭き取ると、当該物体がファネルに落ちるようロボットマニピュレータを制御する制御プログラム実行するように構成される。
【0022】
第1および第2の変形例にかかるロボットの好ましい別の実施形態は、ワイパー部が繊維製品の一種であり、制御部は、エフェクタがこの繊維製品で付着した物体を拭き取るようロボットマニピュレータを制御するように構成されることに特徴づけられる。
【0023】
第1および第2の変形例にかかるロボットの好ましい別の実施形態は、ロボットマニピュレータが力制御および/またはインピーダンス制御および/またはアドミタンス制御され、制御部は、ロボットアームに外部から作用する力/モーメントおよび/またはここから導き出される変数がワイパー部での拭き取り中にあらかじめ定義された限界を超える場合には、ロボットマニピュレータをあらかじめ定義された状態にするおよび/または障害のある位置から正確に取り除かれるように制御する制御プログラムを実行するように構成されることに特徴づけられる。好ましくは、「あらかじめ定義された状態」は待機姿勢であり、すなわち、ロボットマニピュレータが待機姿勢に移動して停止する。
【0024】
本ロボットの好ましい別の実施形態は、ロボットは、データネットワーク(例:インターネット、LAN、ローカルエリアネットワーク)へのデータインターフェースを有し、制御部の制御プログラムをデータネットワークからロードするよう構成されることに特徴づけられる。好ましくは、ロボットは、データインターフェースと、これに対応するプログラムメモリを有する。好ましくは、制御プログラムは、各データネットワークにおいて中央プロバイダにより利用可能である。データネットワークは、好ましくは、有線データネットワーク、無線データネットワーク、またはこれらの組み合わせである。
【0025】
好ましくは、ロボットは、データネットワークから制御プログラムへ制御・調整パラメータをロードするように構成される。制御・調整パラメータは、対応する制御プログラムの具体的な用途を定義する。制御・調整パラメータは、特に、達成するべきタスクに適合する。好ましくは、ロボットは、これに対応するデータメモリを有する。
【0026】
好ましくは、本ロボットは、ロボットの手動入力インターフェース(例えば、ロボット分野で利用可能なヒューマン・マシン・インターフェース)および/またはロボットマニピュレータが手動で誘導する、すなわちユーザによって力を加えることにより移動させられるティーチィング・プロセスを介して、制御部の制御プログラムへ制御・調整パラメータをロードするように構成される。また、ロボットマニピュレータを用いて実行される手動入力インターフェースとティーチィング・プロセスはいずれも、データネットワークからロードされた制御・調整パラメータの修正および/または適応を可能とする。
【0027】
好ましくは、ロボットは、制御プログラムおよび/または対応する制御調整パラメータのデータネットワークからのロードが、同様にデータネットワークに接続された遠隔基地によって制御されるように構成される。このような遠隔基地は、例えば、タブレット、スマートフォン、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ等であってもよい。好ましくは、遠隔基地は、中央プロバイダによって操作される。
【0028】
好ましくは、本ロボットは、当該ロボットにローカルに利用可能な制御プログラムおよび/または関連付けられた制御・調整パラメータを、データネットワークのユーザからのリクエストに応じて、および/または自律的、例えばあらかじめ定義された条件が存在する場合に、データネットワークの別のユーザに送信するように構成される。このような「ユーザ」は、データ交換をするように構成された任意のコンピュータユニットおよび/または記憶部であってもよい。
【0029】
好ましくは、本ロボットは、同様にデータネットワークに接続された遠隔基地から対応する制御・調整パラメータとともにロボットにローカルにロードされた制御プログラムを開始するように構成される。このような遠隔基地は、例えば、タブレット、スマートフォン、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ等であってもよい。好ましくは、遠隔基地は、中央プロバイダによって操作される。
【0030】
好ましくは、遠隔基地および/またはロボットの手動入力インターフェースが、制御プログラムおよび/もしくは対応する制御調整パラメータを入力する、ならびに/または複数の利用可能な制御プログラムおよび/もしくは対応する制御調整パラメータから制御プログラムおよび/もしくは対応する制御調整パラメータを選択するように構成されるヒューマン・マシン・インターフェースを有する。
【0031】
好ましくは、ヒューマン・マシン・インターフェースは、タッチスクリーンの「ドラッグ・アンド・ドロップ」入力、誘導入力ダイアログ、キーボード、コンピュータマウス、触覚入力インターフェース、バーチャルリアリティ眼鏡、聴覚入力インターフェース、身体追跡を介して、筋電図データや脳波に基づいて、オペレータの脳との神経インターフェース、またはこれらの組み合わせを介して、入力することを可能とする。
【0032】
好ましくは、ヒューマン・マシン・インターフェースは、視聴覚、触覚、嗅覚、触知性、電気的フィードバック、またはこれらの組み合わせを出力するように構成される。
【0033】
本発明の別の局面は、第1の変形例にかかる方法であって、エフェクタを有するロボットマニピュレータを備えるロボットを操作する方法に関し、ロボットマニピュレータは、物体を拾い上げ、移動し、解放するよう構成され、制御プログラムにしたがって、制御部によって制御/調整される。本発明によれば、制御部は、制御プログラムにしたがって、エフェクタが物体を解放した後、ロボットマニピュレータをあらかじめ定義された運動を行うように制御し、当該運動において、ワイパー部が、物体が付着したままである可能性のあるエフェクタを、ワイパー部の表面で付着した物体を拭き取るように通過するステップを含む制御プログラムを実行する。
【0034】
本発明の別の局面は、第2の変形例にかかる方法であって、エフェクタを有するロボットマニピュレータを備えるロボットを操作する方法に関し、ロボットマニピュレータは、物体を拾い上げ、移動し、解放するよう構成され、制御プログラムにしたがって制御部によって制御/調整される。ここで、このロボットマニピュレータは、第1のセンサ手段を備え、これにより、エフェクタが制御プログラムにしたがって、物体を解放した後、物体がエフェクタに持続的に付着しているか否かを判断する。かかる持続的付着が認められる場合には、第1のセンサ手段は信号Sを生成する。制御部は、信号Sが存在する場合、あらかじめ定義された運動Bを行うようにロボットマニピュレータが制御され、当該運動Bにおいて、ワイパー部が、物体が持続的に付着したエフェクタを、ワイパー部の表面で付着した物体を拭き取るように通過するよう構成される。
【0035】
第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、第1のセンサ手段が、機械的接触センサ、超音波センサ、電磁センサ、光センサ、力センサ、モーメントセンサ、またはこれらの組み合わせを有することに特徴づけられる。ここで、センサは、ロボットマニピュレータ、特にエフェクタに配置され、センサ手段は、第1のセンサ手段が対応するセンサのセンサデータの評価によって、解放された物体が持続的に付着していると判断した場合には、信号Sが生成される制御プログラムを実行するように構成される。
【0036】
第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、ロボットマニピュレータの環境内の物体との衝突を判定する第2のセンサ手段が設けられることに特徴づけられる。ここで、第2のセンサ手段は、制御プログラムにしたがって、エフェクタが物体を解放した後のロボットマニピュレータの運動B1の際、かかる衝突が判定された場合には、信号S1が生成される制御プログラムを実行するように構成される。
【0037】
第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、環境内の物体またはロボット自身とロボットマニピュレータとの衝突、特に、エフェクタの領域における衝突の判定は、第2のセンサ手段により、1以上のセンサの測定データおよび/または当該測定データに適用された少なくとも1のアルゴリズムに基づいて、行われることに特徴づけられる。好ましくは、1以上のセンサは、ロボットマニピュレータに統合され、対応する測定データを与える。
【0038】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、ワイパー部が端部を備え、制御部は、エフェクタがこの端部で付着した物体を拭き取るようにロボットマニピュレータを制御する制御プログラムを実行するよう構成されることに特徴づけられる。
【0039】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、ワイパー部がファネルであって、制御部は、エフェクタがファネルの端部で付着した物体を拭き取ると当該物体がファネルに落ちるようにロボットマニピュレータを制御する制御プログラム実行することに特徴づけられる。
【0040】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、ワイパー部が繊維製品の一種であり、制御部は、エフェクタが、この繊維製品で付着した物体を拭き取るようロボットマニピュレータを制御する制御プログラムを実行することに特徴づけられる。
【0041】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、ロボットマニピュレータが力制御および/またはインピーダンス制御および/またはアドミタンス制御され、制御部は、ロボットアームに外部から作用する力/モーメントが拭き取り中にあらかじめ定義された限界を超える場合には、ロボットマニピュレータをあらかじめ定義された状態にするように制御する制御プログラムを実行することに特徴づけられる。
【0042】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、ロボットが、データネットワークへのデータインターフェースを有し、装置は、1以上の制御プログラムをデータネットワークからロードするように構成されることに特徴づけられる。
【0043】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、ロボットが、データネットワークへのデータインターフェースを有し、1以上の制御プログラムをデータネットワークからロードするように構成されることに特徴づけられる。
【0044】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、ロボットは、データネットワークから制御プログラムへ制御・調整パラメータをロードすることに特徴づけられる。
【0045】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、本ロボットが、ロボットのローカルな入力インターフェースおよび/またはロボットマニピュレータが手動で誘導されるティーチィング・プロセスを介して、当該ロボットにおいてローカルに利用可能な制御プログラムへ制御・調整パラメータをロードすることに特徴づけられる。
【0046】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、制御プログラムおよび/または対応する制御調整パラメータのデータネットワークからロボットへのロードが、同様にデータネットワークに接続された遠隔基地によって制御されることに特徴づけられる。
【0047】
第1および第2の変形例にかかる方法の好ましい別の実施形態は、制御プログラムが、対応する制御・調整パラメータとともに、同様にデータネットワークに接続された遠隔基地から制御されることに特徴づけられる。
【0048】
本方法の利点および好ましい他の実施形態ならびにこれに関する説明は、本発明にかかるロボットについての記載の類似および対応する移行からもたらされる。
【0049】
本発明の別の局面は、データ処理装置を備えるコンピュータシステムに関し、このデータ処理装置は、上記の方法がデータ処理装置において実行されるよう設計される。
【0050】
本発明のまた別の局面は、電気的に読み取り可能な制御信号を有するデジタル記憶媒体に関し、制御信号は、上記の方法が実行されるよう、プログラム可能なコンピュータシステムと相互作用することができる。
【0051】
本発明のまた別の局面は、機械読み取り可能な媒体に記録された記憶コードを有するコンピュータプログラムプロダクトに関し、このプログラムコードは、データ処理装置において実施されると、上記の記載の方法を実行する。
【0052】
本発明のまた別の局面は、プログラムがデータ処理装置において実行されると上記の方法を実行する記憶コードを有するコンピュータプログラムに関する。このため、データ処理装置は、先行技術において知られる任意のコンピュータシステムとして設計することができる。
【0053】
その他の特徴および詳細は、少なくとも1の例示的実施形態を必要に応じて図面を参照して詳細に説明した以下の説明からもたらされる。等価、類似、および/または機能的に等価の部分についは、同じ参照符号で表される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、本明細書で提案するロボットの高度に模式化された構成を示す図である。
図2図2は、本明細書で提案する方法の高度に模式化されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、本明細書で提案するロボットの高度に模式化された構成を示す図であり、このロボットは、エフェクタを有するロボットマニピュレータ101を備え、ロボットマニピュレータ101は、物体を拾い上げて取り扱うよう構成されて、制御部103によって制御プログラムにしたがって、制御/調整され、ロボットは、制御プログラムにしたがって、エフェクタから物体を分離した後、物体がエフェクタに持続的に付着しているか否かを判断し、かかる付着が持続する場合には、信号Sを生成するように構成される第1のセンサ手段105を備え、制御部103は、信号Sが存在する場合、あらかじめ定義された運動を行うようにロボットマニピュレータ101を制御し、当該運動において、ワイパー部104が、物体が持続的に付着した前記エフェクタを、ワイパー部104の表面で付着した物体を拭き取るように通過する制御プログラムを実行するように構成される。この場合、センサ手段105は、機械的接触センサ、超音波センサ、および光センサを有し、これらのセンサがロボットマニピュレータに配置されている。これによって、第1のセンサ手段105は、第1のセンサ手段105が対応するセンサデータの評価によって解放された物体が持続的に付着していると判断した場合には、信号Sを生成するように構成される。
【0056】
また、ロボットは、ロボットマニピュレータ101の環境内の物体との衝突を判定可能な第2のセンサ手段106を備え、第2のセンサ手段106は、制御プログラムにしたがって、エフェクタから物体を分離した後、エフェクタによって、次の物体が拾い上げられる前に、ロボットマニピュレータ101の運動したときに、かかる衝突が判定された場合には、信号Sが生成される制御プログラムを実行するように構成される。
【0057】
図2は、本明細書で提案する方法の高度に模式化されたフローチャートであり、この方法は、エフェクタを有するロボットマニピュレータ101を備えるロボットを操作する方法であって、ロボットマニピュレータ101は、物体を拾い上げ、移動し、解放するよう構成され、制御プログラムにしたがって、制御部103によって制御/調整される。この方法は、以下のステップを含む。ステップ201において、第1のセンサ手段は、制御プログラムにしたがって、エフェクタから物体を分離した後、物体がエフェクタに持続的に付着しているか否かを判断する。次のステップ202において、物体の持続的付着が認められる場合には、信号Sを生成する。次のステップ203において、信号Sが存在する場合、制御部103は、あらかじめ定義された少なくとも1の運動を行うように、ロボットマニピュレータ101を制御/調整し、当該運動において、ワイパー部104が、物体が持続的に付着したエフェクタを、ワイパー部104の表面で付着した物体を拭き取るように通過する。
【0058】
以上、好適な例示的実施形態を用いて本発明をより詳細に説明したが、本発明は開示された例に限定されるものではなく、当業者には、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、その他の変形例を考案することが可能である。したがって、複数の変形例をなし得ることは明らかである。同様に、例示的実施形態は、例にすぎず、本発明の保護の範囲、使用可能性、または構成を制限するものとして解釈されるべきものではないことも明らかである。むしろ、上記の説明および図の説明は、当業者が例示的実施形態を具体的に実施できるようにするためのものであり、開示された発明思想の知識を有する当業者は、例えば例示的実施形態において言及される個々の要素の機能または配置について、請求項および詳細な説明におけるより広範な説明などのその法的等価物によって定義される保護の範囲から逸脱することなく、数多くの変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0059】
101 ロボットマニピュレータ
103 制御部
104 ワイパー部
105 第1のセンサ手段
106 第2のセンサ手段
201~203 方法ステップ
図1
図2