(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】多孔性カーボンナノファイバー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D01F 9/22 20060101AFI20220314BHJP
D01D 5/04 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
D01F9/22
D01D5/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020066845
(22)【出願日】2020-04-02
(62)【分割の表示】P 2016536448の分割
【原出願日】2014-08-21
【審査請求日】2020-05-01
(32)【優先日】2013-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508057896
【氏名又は名称】コーネル・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】CORNELL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【氏名又は名称】新免 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】ヨンラク・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ウィリアムズ
【審査官】小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/070893(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0034804(US,A1)
【文献】特開2005-023468(JP,A)
【文献】特表2009-526923(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103225135(CN,A)
【文献】特開2015-030928(JP,A)
【文献】J. Power Sources,2013年02月06日,Vol.235,p289-296
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 9/08-9/32
D01D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第1ポリマー成分と、第1ポリマー成分とは異なる第2ポリマー成分とを含む流体原料を、気体の流れとともに、エレクトロスピニングしてナノファイバーを製造すること;及び
b.ナノファイバーを熱処理して、メソ多孔性カーボンナノファイバーを製造すること
を含むメソ多孔性カーボンナノファイバーの製造方法に基づいて製造され、径が2nm~100nmのメソ孔を含
み、
複数のメソ孔の平均孔径が、20nm~50nmであり、
メソ孔の孔面積が、50m
2
/gから200m
2
/gであり、
カーボンの連続マトリックスを含む、メソ多孔性カーボンナノファイバー。
【請求項2】
ミクロ孔の孔面積は、100m
2/gより小さい、請求項
1に記載のメソ多孔性カーボンナノファイバー。
【請求項3】
直径が2nm~100nmの孔である複数のメソ孔を含
み、
複数のメソ孔の平均孔径が、20nm~50nmであり、
メソ孔の孔面積が、50m
2
/gから200m
2
/gであり、
カーボンの連続マトリックスを含む、メソ多孔性カーボンナノファイバー。
【請求項4】
ミクロ孔の孔面積は、100m
2/gより小さい、請求項
3に記載のメソ多孔性カーボンナノファイバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年8月21日に出願された米国仮出願番号61/868,218の利益を主張する。それは、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ナノテクノロジーは、原子及び分子スケールでの物質の操作であり、多くの異なる構造、技術及び潜在的用途を伴う様々な分野である。それらの中の一つの構造がナノファイバーであり、それは一般的に数ミクロン未満の径(又は直径)を一般的に有し、種々の長さを有し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ナノファイバーを含む、ナノ構造を有する(ナノ構造をした又はナノ構造の)材料は、高性能ろ過、化学センシング、医用生体工学及び再生可能エネルギーを含む広範な種々の分野に応用(又は用途)の可能性を有する。多くのこれらの応用(例えば、不均一触媒)は、材料(例えば、ナノファイバー)の表面を利用し、そして、高い表面積、高い多孔性などを有する材料(例えば、ナノファイバー)から利益を得る。更に、いくつかの応用は、実質的に連続する、長い、密着する、可撓性で、もろくないなどの多孔性(又は多孔質)ナノファイバーから利益を得る。
【0004】
本明細書では、複数の孔(又はポア:pore)を有し、ナノファイバーを含み、ナノ構造を有する材料の製造方法、ナノファイバーを含み、ナノ構造を有する材料を記載する。種々の態様において、孔は、いずれかの適するサイズ(又は寸法)又は形状(外形又は形)である。いくつかの態様において、孔は、「メソ孔(又はメソポア:mesopore)」である又はを含み、メソ孔は2と50nmの間の径(又は直径)を有し、又はそのような孔は2と100nm又は3と100nm、又は3と50nmの間の径を有する(もし、他に特に記載していない場合、本明細書に記載のメソ多孔性(メソ多孔質又はメソポーラス:mesoporous)材料は、いずれかのそのような径の孔を有すると一般的に理解される)。いくつかの態様において、本明細書に記載のナノファイバーは、高い表面積及び/又は比表面積(例えば、ナノファイバーの質量当たりの表面積及び/又はナノファイバーの体積当たりの表面積)を有する。ナノ構造を有する材料(例えば、ナノファイバー)と、ナノ構造を有する材料(例えば、ナノファイバー)の製造方法は、バッテリー(又は電池)、コンデンサ(又はキャパシタ)、電極、太陽電池、触媒、吸収材、フィルター、膜、センサー、布(又は生地)及び/又は組織再生マトリックス(tissue regeneration matrix)を含む、いずれかの適する用途で場合により使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0005】
ある態様において、本明細書では、高表面積カーボンナノファイバーを提供する。より具体的には、本明細書では、メソ多孔性カーボンナノファイバーを提供する。いくつかの態様において、本明細書では、非ミクロ多孔性(例えば、ミクロ孔(又はミクロポア:micropore)は、2又は3nm未満である)の、(例えば、
図5に説明されているように、孔サイズに対する増加(又は増分)孔面積(又はインクレメンタル・ポア・エリア:incremental pore areaをプロットすると)10nmと100nmの間の孔径をおおよそ(又はのあたりを)中心とする孔サイズ分布を有する、メソ多孔性カーボンナノファイバーを提供する。より特定の態様において、非ミクロ多孔性孔サイズ分布は、20nmと50nmの間の孔径をおおよそ中心とする。更により特定の態様において、非ミクロ多孔性孔サイズ分布は、約20nmと約35nmの間の孔径をおおよそ中心とする。いくつかの態様において、本明細書では、10nmと100nmの間の孔径をおおよそ中心とする孔サイズ分布を有するメソ多孔性カーボンナノファイバーを提供する。より特定の態様において、孔サイズ分布は、20nmと50nmの間の孔径をおおよそ中心とする。更により特定の態様において、20nmと35nmの間の孔径をおおよそ中心とする。いくつかの態様において、本明細書では少なくとも50m
2/g、例えば、約50m
2/gから約200m
2/g、約75m
2/gから約150m
2/gなどである、メソ孔の増加孔面積を有するメソ多孔性カーボンナノファイバーを提供する。いくつかの態様において、ナノファイバーの増加孔面積は、少なくとも100m
2/g、少なくとも約250m
2/g、少なくとも500m
2/gなどである。いくつかの態様において、ミクロ孔の増加孔面積は、350m
2/gより小さく、例えば200m
2/gより小さく、100m
2/gより小さいなどである。いくつかの態様において、ナノファイバーは、非ミクロ多孔性孔サイズ分布は、約10nmから約50nm(例えば、約20nmから約35nm)のおおよその孔径に中心があり、少なくとも約50m
2/g(例えば、約75m
2/gから約150m
2/g)の増加(又は増分)メソ孔面積を含む。特定の態様において、そのような大きさ(特に、例えば、孔サイズ分布がおおよそ中心にある場所の決定)は、2と100nmとの間又は3から100nmの間の孔サイズのための増加孔面積を測ることで決められる。
【0006】
いくつかの態様において、本明細書では、メソ多孔性カーボンナノファイバーの製造方法を提供し、その方法は、
a.第1ポリマー成分と第2ポリマー成分を含む流体原料(fluid stock)をエレクトロスピングしてナノファイバーを製造すること;及び
b.ナノファイバーを熱処理して、メソ多孔性カーボンナノファイバーを製造することを含む。
【0007】
いくつかの態様において、第1ポリマー成分は熱処理で炭化し(「炭化ポリマー:carbonizing polymer」)、第2ポリマー成分は犠牲的ポリマー成分である(例えば、熱処理又は(例えば、予めの)化学処理、例えば、第1ポリマー成分が溶けない溶媒(例えば、水、アセトン、炭化水素、ハロゲン化炭素(ジクロロメタン等)、アルコール(エタノール等)又は同様のもの)中に優先的に溶解することで、(例えば、少なくとも部分的に)除去される)。特定の態様において、第2ポリマー成分は、熱処理の間に、犠牲にされる(例えば、分解、昇華などで除去される)。他の態様において、第2ポリマー成分は、炭化の前に優先的に溶かされる(例えば、第1ポリマーは、非水溶性ポリマーであり、第2ポリマーは水溶性ポリマーであり、第2ポリマーは、選択的に溶解されて除去される)。
【0008】
いくつかの態様において、例えば、ナノファイバーを化学的及び/又は熱的に処理することは、ナノファイバーからポリマーの1種を選択的に除去して、多孔性又はメソ多孔性材料を作ることを含み、多孔性ポリマー又はカーボン材料(例えば、ナノファイバー)が、製造される。ある態様において、ポリマーの選択的除去は、いずれかの適切な様式で、例えば、使用されるポリマーに依存して(例えば、加熱することによって、オゾン分解することによって、酸で処理することによって、塩基で処理することによって、溶媒(例えば、アセトン)又は水で処理することによって、ソフト・アンド・ハード(CASH)ケミストリーズ(soft and hard (CASH) chemistries)による組み合わせられるアセンブリ(又は集合:assembly)によって、又はいずれかのそれらの組み合わせによって)達成される。ある態様において、例えば、材料の熱処理は、多孔性又はメソ多孔性カーボン材料を提供し、ポリマーの除去後、多孔性又はメソ多孔性カーボン材料が、製造される。
【0009】
種々の態様において、ポリマーのいずれかの適する組み合わせが利用される。ある態様において、ポリマーは相互に異なる。いくつかの態様において、ポリマーは、(モノマー残基の質量、数などに基づいて)1:1、1:2、1:3等の、いずれかの適する比で存在する。ある態様において、第1ポリマーと第2ポリマーとの比は、メソ多孔性ナノファイバーを製造するためのいずれかの適する比、例えば、10:1から1:10等である。より特定の態様において、第1ポリマーと第2ポリマーとの比は、10:1から1:4(例えば、4:1から1:4又は4:1から1:2又は2:1から1:2)である。いくつかの態様において、各々のポリマーは、最低限少なくとも10のモノマー残基を有する。より特定の態様において、各々のポリマーは、最低限少なくとも20のモノマー残基、又は少なくとも30のモノマー残基を有する。
【0010】
いくつかの態様において、第1及び第2ポリマーは、それら自身に対する親和性及び/又は相互に反感(又は相互に不溶性)を有する。いくつかの態様において、第1ポリマーは親水性であり、第2ポリマ-は疎水性又は脂肪親和性(又は親油性)である(例えば、第1ポリマーは、第2ポリマーより親水性であり、又は第2ポリマーは第1ポリマーより疎水性であることを含む)。いくつかの態様において、(本明細書に記載するように、例えば、金属前駆体と結合するために-例えば、高前駆体充填(又は担持:loading)及び分散特性を提供するために)、少なくとも1種のポリマーは、(例えば、そのモノマー残基上に)アルコール基、エーテル基、アミン基、又はそれらの組み合わせ(又は他の求核性基)を含む。
【0011】
いくつかの態様において、第1ポリマーは、ポリアクリルアミド(PAN)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース(例えば、セルロース)、ポリアルキレン(例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE))等である。ある態様において、第1ポリマーは、スチレン-co-アクリロニトリル(SAN)、又はm-アラミドである。ある態様において、第2(例えば、犠牲的)ポリマーは、ポリアルキレンオキサイド(例えば、PEO)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、セルロース(例えば、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロース)、ナフィオン、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリアクリレート又はポリアルキルアルカクリレート(polyalkylalkacrylate)(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリフェニレンスルフィド(又はサルファイド)(PPS)等である。いくつかの態様において、第2ポリマーは、スチレン-co-アクリロニトリル(SAN)、ポリスチレン、ポリイミド又はアラミド(例えば、m-アラミド)である。特定の態様において、第2ポリマーは、セルロース、ポリイミド又はアラミドである。一般的に、第1及び第2ポリマーは、異なる。
【0012】
いくつかの態様において、流体原料の加工(又は処理)は、流体原料を第1(前駆体/紡糸したままの)ナノファイバーにエレクトロスピニング(又は電気紡糸:electrospinning)することを含む。いくつかの態様において、流体原料は、単軸で紡糸される(すなわち、一の軸について単一流体エレクトロスピニングされる)。ある態様において、少なくとも一の追加の流体を用いて、同軸で紡糸される(すなわち、共通の軸について少なくとも二つの流体がエレクトロスピニングされる)。いくつかの態様において、流体原料は、ガス(又は気体)を用いて、ガス支援(又はガスアシスト:gas assisted)様式で、紡糸される。いくつかの例では、ガスを用いるエレクトロスピニングは、エレクトロスピニングの処理量とモルフォロジー(又は形態)を向上する。いくつかの特定の形態では、流体原料は、少なくとも一の追加の流体原料とガスを用いて同軸で紡糸される(すなわち、全ての流体は、共通の軸についてエレクトロスピニングされる)。
【0013】
いくつかの態様において、本明細書で提供される方法は、ナノファイバーを熱的に安定化又はアニーリング(アニール又は養生)することを含む。ある態様において、熱的に安定化/アニーリングすることは、材料の化学構造及び/又は内部充填を変える。いくつかの態様において、安定化/アニーリングすることは、材料の充填秩序を増加する。ある態様において、アニーリングすることは、材料の内部構造の秩序(又は配列)の変化(例えば、無秩序(又は無配列)からミセルへ、及び/又はミセルからラメラへ等)を提供する。ある態様において、アニーリングは、球状、円柱状(円筒状又は棒状)、層状、溝状(チャンネル状)、螺旋状(ジャイロイド状:gyroids)又はそれらのいずれかの組み合わせなどを含む秩序を有する(秩序化、配列又は規則化:ordered)相要素を有する材料(例えば、ナノファイバー)を提供する。ある態様において、本明細書で提供する、ポリマーブレンド又はその組み合わせを含むナノファイバーのナノ構造は、ポリマーブレンドをアニーリングするとき、形成されるべき小さな(例えば、ナノスケールの、例えば、1~200nmスケールの、例えば、メソ多孔性等の)構造を提供する。
【0014】
種々の態様において、アニーリングは、いずれかの適する温度で行われる。いくつかの態様において、アニーリングは、室温で行われる。他の態様において、アニーリングは、500℃より低い、100℃から500℃、50℃から300℃、例えば、50℃から200℃の温度で行われる。特定の態様において、アニーリングは、内部構造の組織化又は所望の再組織化を提供するための十分な時間行われる。いくつかの態様において、安定化/アニーリングは、いずれかの適する時間、例えば1~48時間行われる。特定の態様において、安定化/アニーリングは、2~24時間行われる。
【0015】
ある態様において、本明細書では、少なくとも10πrhの表面積を含むナノファイバー(又は少なくとも10πrhの平均の表面積を含む複数のナノファイバー)を提供し、rはナノファイバーの半径であり、hはナノファーバーの長さである。いくつかの態様において、少なくとも10m2/gの(例えば、少なくとも30m2/g、少なくとも100m2/g、少なくとも300m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも700m2/g、少なくとも800m2/g、少なくとも900m2/g、又は少なくとも1000m2/gの、例えば、BETによって測定される)、比表面積を含むナノファイバー(又は平均比表面積を含む複数のナノファイバー)を提供する。ある態様において、本明細書では、少なくとも1μmの長さと少なくとも20%の、(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%の)、多孔率(ポリシティ:porosity)を含むナノファイバー(又は平均多孔率を含む複数のナノファイバー)を提供する。いくつかの態様において、本明細書では、複数のナノ構造の孔を含むナノファイバー(又は複数のナノファイバー)を提供し、その孔は、2-100nm(例えば、3-100nm、2-50nm、3-50nm、5-50nm、2-25nm、3-25nm等)の平均(BJH)孔径を有する。いくつかの態様において、本明細書では、複数の孔と、200nmより小さい(例えば、100nmより小さい、50nmより小さい、25nmより小さい、20nmより小さい、10nmより小さい、7nmより小さい、5nmより小さい)(例えば、BETによって測定される)平均孔径で、最大増加(又は増分)非ミクロ多孔性(例えば、<2nm又は<3nm)孔容積(マキシマム・インクレメンタル・ノンミクロポーラス・ポア・ボリューム:maximum incremental non-microporous pore volume)を含むナノファイバー(又は複数のナノファイバー)を提供する。ある態様において、本明細書では、複数の孔(例えば、ナノスケールの孔)を含むナノファイバー(又は複数のナノファイバー)を提供し、孔は、実質的に均一なサイズを有する(例えば、多孔性増加孔容積(ポーラス・インクレメンタル・ポア・ボリューム:porous incremental pore volume)の少なくとも80%は、最大増加多孔性孔容積(マキシマム・インクレメンタル・ポーラス・ポア・ボリューム:maximum incremental porous pore volume)を有する50nm(又は20nm、10nm、5nm、3nm)の孔径の範囲内の径を有する孔からである)。いくつかの態様において、本明細書において、複数の孔(例えば、メソ孔)を含むナノファイバー(又は複数のナノファイバー)を提供し、孔は、立方晶系タイプの形態、六方晶系タイプの形態、逆六方晶系タイプの形態、ラメラタイプの形態、ジャイロイドタイプの形態、二重連続タイプの形態、らせん状タイプの形態、集合ミセルタイプの形態、又はそれらの組み合わせ等に配列する。
【0016】
一の要旨において、本明細書では、本明細書で記載したいずれかの方法又はステップ(又は工程)によって製造されるナノファイバーを記載する。
【0017】
一の要旨において、本明細書では、本明細書で記載される複数のナノファイバーを含む組成物を記載する。ある要旨において、本明細書では、単一のナノファイバーに対して記載されるいずれかの特性の平均を含む複数のナノファイバーを提供する。
【0018】
一の要旨において、本明細書では、本明細書で記載される複数のナノファイバーを含む組成物を記載し、ナノ構造の材料(例えば、複数のナノファイバー)は、少なくとも10m2/g(例えば、少なくとも100m2/g)の比表面積を含む。特定の要旨において、本明細書では、少なくとも50m2/g(例えば、少なくとも700m2/g)の比表面積を有するナノ構造の材料(例えば、複数のナノファイバー)を提供する。特定の要旨において、本明細書では、少なくとも100m2/g(少なくとも1000m2/g)の比表面積を有するナノ構造の材料(例えば、複数のナノファイバー)を提供する。
【0019】
一の要旨において、本明細書では、本明細書で記載したナノファイバーを含む、バッテリー(又は電池)、コンデンサ、電極、太陽電池、触媒、吸収材、フィルター、膜、センサー、布(又は生地)又は組織再生マトリックスを記載する。
【0020】
本発明の新規な特徴は、添付された特許請求の範囲に特に説明されている。本発明の特徴と長所のよりよい理解は、発明の原理を利用する態様を説明する下記の詳細な説明と添付した図面を参照することで得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、例のポリマー混合物(PAN及びCDA)から製造され収集されたナノファイバーのSEM画像(又はイメージ)を示す(又は説明する)。
【
図2】
図2(パネルA)は、メソ多孔性カーボンナノファイバーのSEM画像を示し、
図2(パネルB)は、メソ多孔性カーボンナノファイバーの軸に沿う断面のTEM画像を示す。その各々は、本明細書で説明される例のポリマー混合物(PAN及びCDA)を含むナノファイバーを炭化して製造される。
【
図3】
図3は、メソ多孔性ポリマーナノファイバーの軸に沿う断面のTEM画像を示す。ナノファイバーは、例のポリマー混合物を含むナノファイバーを製造し、その後選択的に第2ポリマー(CDA)を溶解して、第1ポリマー(PAN)のメソ多孔性ポリマーを残すことで製造される。
【
図4】
図4は、ガス支援エレクトロスピニングを介して多孔性(例えば、メソ多孔性)カーボンナノファイバーを製造するシステム(系又は設備)及び方法の一の態様を示す。
【
図5】
図5は、本発明の例の方法に基づいて製造されたメソ多孔性カーボンナノファイバーの孔分布、2つのポリマー成分ナノファイバーから1つのポリマー成分を選択的に溶解して除去することで製造されたメソ多孔性ポリマーナノファイバーの孔分布、及び比較の結果のために単一のポリマーを用いて製造された非メソ多孔性カーボンナノファイバーの孔分布を示す。
【
図6】
図6は、流体原料から製造されたメソ多孔性カーボンナノファイバーの軸に沿う断面のTEM画像及び種々の例となるポリマーの比を有する2成分ポリマーナノファイバーの軸に沿う断面のTEM画像を示す。
【
図7】
図7は、種々の例のポリマー比を有する2成分ポリマーナノファイバーと流体原料から製造されたメソ多孔性カーボンナノファイバーの孔分布及び平均孔幅を示す。
【
図8】
図8は、共通軸(同軸)エレクトロスピニング装置であって、共通軸について同軸に配列された内側ニードルと外側ニードルを有する装置を示す(又は説明する)。いくつかの例では、内側と外側のニードルは、外側ニードルを通ってガスを、内側ニードルを通って流体原料を、同軸でエレクトロスピニングするように作られている。いくつかのそのような例では、内側と外側のニードルは、ガスと一緒に第1流体原料をエレクトロスピニングするように作られている。
【
図9】
図9は、加圧(圧縮又は圧迫)して又は加圧しないで炭化されたメソ多孔性カーボンナノファイバーの増加孔面積(インクレメンタル・ポア・エリア)を示す。
【
図10】
図10は、PANとPEOを組み合わせ、PEOを犠牲にすることからの例の多孔性ポリマーナノファイバーのTEM画像を示す。
【
図11】
図11は、PANとPEOを組み合わせ、PEOを犠牲にし、その後炭化することからの例の多孔性ナノファイバーのTEM画像を示す。
【
図12】
図12は、本明細書で提供された例のポリマーの組み合わせ(PAN/PEO)から製造された炭化ナノファイバーの孔分布を示す。
【
図13】
図13は、PANとナフィオンを組み合わせ、ナフィオンを犠牲にすることからの例の多孔性ナノファイバーのTEM画像を示す。
【
図14】
図14は、本明細書で提供した例のポリマーを組み合わせ(PAN/PEO)、溶解によりPEOを犠牲にすることから製造された、ナノファイバー及びフィルムの孔分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書では、複数の孔(又はポア:pore)を有するナノファイバー(例えば、カーボンナノファイバー)、及び/又は高表面積ナノファイバー(例えば、カーボンナノファイバー)の製造方法及びナノ構造の材料(例えば、ナノファイバー)を記載する。孔は、いずれかの適するサイズ(又は寸法)であり得る。ある態様において、孔は、ナノ構造の孔であり、例えば、約1nmから約500nm、例えば、約1nmから約200nmの径を有する。いくつかの態様において、径は、メソ孔(mesopore)であり、2と50nmの間の径を有する。いくつかの態様において、孔は、ミクロ孔(micropore)であり、2nmより小さい又は3nmより小さい径を有する。更に他の態様では、孔は、マクロ孔(macropore)であり、50nmより大きな径を有する。しかし、いずれかのサイズの孔を有するナノファイバー、及びいずれかのサイズの孔を有するナノファイバーの製造方法は、本明細書に提供した発明の範囲内にある。更なる又は別の態様において、本明細書に記載のナノファイバーは、高い表面積を有する多孔性ナノファイバーである。特定の態様においては、本明細書に記載のナノファイバーは、秩序化(秩序を有する、配列した又は規則化:ordered)孔及び高い表面積を有する多孔性ナノファイバーである。
【0023】
孔
いくつかの態様において、本明細書では、複数の孔(例えば、メソ孔)を含むナノ構造の材料(例えば、ナノファイバー)を記載する。特定の態様において、そのような孔は、秩序化されている(配列されている又は規則化されている:ordered)(例えば、ランダムでない配置でナノファイバー中に存在する)。一の要旨において、孔に不足する、又は秩序化された孔に不足するが、その他は同様又は同じである、ナノ構造の材料(例えば、ナノファイバー)と比較すると、秩序化された孔は、より高い表面積を有するナノ構造の材料(例えば、ナノファイバー)、より連続する(又は切れ目のない)ナノ構造の材料(例えば、ナノファイバー)、より可撓性のナノ構造の材料(例えば、ナノファイバー)、及び/又はより脆弱でないナノ構造の材料(例えば、ナノファイバー)を提供する。
【0024】
いくつかの態様において、孔は、約5nm、約10nm、約25nm、約50nm、約100nm、約200nm、約500nm等の平均の特徴的寸法を有する。いくつかの態様において、孔は、少なくとも2nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも25nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも500nm等の平均の特徴的寸法を有する。いくつかの態様において、孔は、大きくとも10nm、大きくとも25nm、大きくとも50nm、大きくとも100nm、大きくとも200nm、大きくとも500nm等の平均の特徴的寸法を有する。
【0025】
特定の態様において、本明細書で提供されるナノ構造の孔は、2-50nm、又は3nmから50nm(メソ多孔性)の平均径を有する。いくつかの態様において、本明細書で提供されるナノ構造は、複数のメソ多孔性構造を含む。いくつかの態様において、複数のメソ多孔性構造は、2-20nm又は3-20nmの平均径を有する。いくつかの態様において、メソ孔は、50nmより小さい平均孔径にて、最大増加(又は増分)孔容積(maximum incremental pore volume)を有する。いくつかの態様において、メソ孔は、25nmより小さい平均孔径にて、最大増加孔容積を有する。
【0026】
いくつかの態様において、本明細書では、(例えば、BJHにより測定される)少なくとも40m2/gの累積(又は蓄積)孔面積(cummulative pore area)(例えば、累積メソ孔面積:cummulative mesopore area)を有するナノファイバー(例えば、メソ孔を含むナノファイバー)を提供する。特定の態様において、本明細書では、少なくとも50m2/gの累積孔面積(例えば、累積メソ孔面積)を有するナノファイバー(例えば、メソ孔を含むナノファイバー)を提供する。より特定の態様では、本明細書では、少なくとも75m2/gの累積孔面積(例えば、累積メソ孔面積)を有するナノファイバー(例えば、メソ孔を含むナノファイバー)を提供する。より特定の態様では、本明細書では、少なくとも100m2/gの累積孔面積(例えば、累積メソ孔面積)を有するナノファイバー(例えば、メソ孔を含むナノファイバー)を提供する。
【0027】
いくつかの態様において、本明細書では、(例えば、BJHにより測定される)少なくとも0.05m2/gの累積孔容積(又は体積)(cummulative pore volume)(例えば、累積メソ孔容積)を有するナノファイバー(例えば、メソ孔を含むナノファイバー)を提供する。特定の態様において、本明細書では、(例えば、BJHにより測定される)少なくとも0.1m2/gの累積孔容積(例えば、累積メソ孔容積)を有するナノファイバー(例えば、メソ孔を含むナノファイバー)を提供する。特定の態様において、本明細書では、(例えば、BJHにより測定される)少なくとも0.2m2/gの累積孔容積(例えば、累積メソ孔容積)を有するナノファイバー(例えば、メソ孔を含むナノファイバー)を提供する。
【0028】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるナノファイバー(例えば、メソ孔又は秩序化されたメソ孔を含むナノファイバー)は、少なくとも100m2/gの表面積(例えば、BETによって測定される)を有する。特定の態様において、本明細書で提供されるナノファイバー(例えば、メソ孔又は秩序化されたメソ孔を含むナノファイバー)は、少なくとも250m2/gの表面積(例えば、BETによって測定される)を有する。更により特定の態様において、本明細書で提供されるナノファイバー(例えば、メソ孔又は秩序化されたメソ孔を含むナノファイバー)は、少なくとも500m2/gの表面積(例えば、BETによって測定される)を有する。
【0029】
いくつかの態様において、孔径は、いずれかの適する技術を用いて測定される。例示的態様において、表面積、孔サイズ、容積(又は体積)、径(又は直径)等は、透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)によって、ブルナウアー-エメット-テラー(Brunauer-Emmett-Teller:BET)表面積分析法によって、バレット-ジョイナーーハレンダ(Barrett-Joyner-Halenda:BJH)孔サイズ及び容積分析法によってなど、場合によって測定される。
【0030】
ある態様において、ナノ構造は、複数の孔を含み、孔(例えば、非ミクロ孔、又はメソ孔)増加孔容積(pores incremental pore volume)の少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%は、50nm、25nm、10nm、5nm以内の径(又は直径)を有し、孔径の200%、100%、50%等は、最大増加ナノ構造又はメソ多孔性孔容積(maximum incremental nanostructured or mesoporous pore volume)(例えば、BET分布チャートを用いて決められる)を有する。
【0031】
いくつかの態様において、孔は、実質的に均一なサイズを有する。複数の孔(例えば、非ミクロ孔又はメソ孔)は、本明細書で記載したような特徴的な寸法を有する。いくつかの態様において、特徴的な寸法(例えば、径、深さなど)の標準偏差が、特徴的な寸法の平均値の約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約50%、約100%等である場合、孔は、実質的に均一なサイズにある。いくつかの態様において、特徴的な寸法の標準偏差が、特徴的な寸法の平均値の大きくて約5%、大きくて約10%、大きくて約15%、大きくて約20%、大きくて約30%、大きくて約50%、大きくて約100%等である場合、孔は、実質的に均一なサイズにある。いくつかの態様において、孔は、実質的に均一なサイズを有さない。ある態様において、本明細書では、ポリマーの組み合わせを含むナノファイバーを提供する。いくつかの態様において、ポリマーの組み合わせをブレンドし(例えば、混合物を形成しない)、又は第2ポリマーの分離した(別々の又は離散した)ドメインを有する第1ポリマーのマトリックスを含む(そのような第1及び第2ポリマーは、例えば、本明細書で記載したようなものである)。いくつかの態様において、ドメインの特徴(例えば、サイズ、分布など)は、本明細書に記載のメソ多孔性ナノファイバーを提供するために適する。例えば、種々の態様において、分離したドメインは、本明細書に記載の寸法の孔を有する(例えば、犠牲的な除去の際に、本明細書に記載したように、孔は、ポリマー又はカーボンマトリック中に残される)。本明細書で特徴的孔のいずれかの記載は、第1ポリマーマトリックスと第2ポリマー成分の分離したドメインを含むナノファイバーの分離した第2ポリマードメインの説明としても意図される。
【0032】
高い表面積を有するナノファイバー
種々の要旨において、ナノ構造の材料(たとえば、ナノファイバー)は、高表面積を有し、高表面積を有するナノファイバーの製造方法を記載する。いくつかの例において、孔の秩序化は、高表面積及び/又は比表面積(例えば、ナノファイバーの質量あたりの表面積及び/又はナノファイバーの容積あたりの表面積)を生ずる。例えば、いくつかの例において、ナノファイバーの秩序化は、ナノ構造の材料(例えば、ナノファイバー)中により大きな孔の充填/濃度を可能にする。いくつかの態様において、多孔性ナノファイバーは、少なくとも10m2/g、少なくとも50m2/g、少なくとも100m2/g、少なくとも200m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも1,000m2/g、少なくとも2,000m2/g、少なくとも50,000m2/g、少なくとも10,000m2/g等の比表面積を有する。特定の態様において、多孔性ナノファイバーは、少なくとも100m2/gの比表面積を有する。より特定の態様において、多孔性ナノファイバーは、少なくとも300m2/gの比表面積を有する。更により特定の態様において、多孔性ナノファイバーは、少なくとも500m2/gの比表面積を有する。
【0033】
いくつかの態様において、多孔性ナノファイバーは、円柱状である。円柱の二つの円形末端の面積を無視して、円柱の面積は、2かける数学的定数π(パイ)かける円柱の断面の半径(r)かけるナノファイバーの長さ(h)(すなわち、2πrh)であると推定される。いくつかの態様において、多孔性ナノファイバーの表面積は、2πrhより大きい。いくつかの態様において、多孔性ナノファイバーの表面積は、約4πrh、約10πrh、約20πrh、約50πrh、約100πrh等である。いくつかの態様において、多孔性ナノファイバーの表面積は、少なくとも4πrh、少なくとも10πrh、少なくとも20πrh、少なくとも50πrh、少なくとも100πrh等である。
【0034】
ナノファイバーの長さの測定方法は、顕微法(使用又は検査)、場合により、透過電子顕微鏡法(TEM)又は走査電子顕微鏡法(SEM)を含むが、これらに限定されることはない。ナノファイバーは、いずれかの適する長さを有することができる。ナノファイバーの所望の収集は、種々の長さの分布の繊維を有するナノファイバーを有することが期待される。従って、集団のあるファイバーは、平均長さを超え又は平均長さに届かないかもしれない。いくつかの態様において、ナノファイバーは、少なくとも約1μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約20μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約500μm、少なくとも約1,000μm、少なくとも約5,000μm、少なくとも約10,000μm、少なくとも約50,000μm、少なくとも約100,000μm、少なくとも約500,000μm等の平均長さを有する。いくつかの態様において、ナノファイバーは、本明細書に記載したいずれかの多孔率(ポロシティ:porosity)(例えば、20%)と組み合わせて(又はと一緒に)いずれかのこれらの(又は他の適する)長さを有する。いくつかの態様において、ナノファイバーは、高いアスペクト比、例えば、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも103、少なくとも104、少なくとも105、又はそれより大きい比を有する。
【0035】
一の要旨において、ナノファイバーは、高い多孔率を有し、実質的に連続的である(又は切れ目がない:contiguous)。ナノファイバーの長さに沿って理解するとき、もしファイバー材料が、実質的に全体のナノファイバー長さを超えて少なくともいくつかの隣接するファイバー材料と接触するならば、ナノファイバーは、実質的に連続的である。「実質的に」全体の長さとは、ナノファイバーの長さの少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%が、連続的であることを意味する。いくつかの態様において、ナノファイバーは、本明細書に記載されたいずれかの多孔率(例えば、35%)と組み合わせて、実質的に連続的である。
【0036】
多孔性ナノファイバーの製造方法
本明細書では、多孔性(例えば、メソ多孔性)カーボンナノファイバーの製造方法を記載する。その方法は、少なくとも2つの成分(例えば、少なくとも2つの異なるタイプのポリマー)を含む(前駆体)ナノファイバーを製造すること、(例えば、ナノファイバー内で2つの成分を秩序化するために)、場合によりナノファイバーをアニーリング(annealing)又は(例えば、熱的に)安定化すること場合によりナノファイバーを処理してナノファイバーから少なくとも1つの成分を選択的に除去すること(例えば、ポリマー成分の1を、可用性の溶媒を用いて洗浄することによって);及びナノファイバーを炭化すること(例えば、第1ポリマーを炭化し、第2ポリマーを予め化学処理によって又は炭化処理の間に犠牲的に除去して)を含む。
【0037】
いくつかの例において、ポリマー成分は、自己組織化の能力を有する。しかし、ある例において、最初に製造されたとき(例えば、エレクトロスピナー(electrospinner)からナノファイバーがでてくるとき)、それらは、初めは組織化されていない。いくつかの態様において、ポリマー成分は、製造されたままの材料(例えば、紡糸されたままのナノファイバー)中で、より秩序化された配置に自己組織化し、秩序化された相要素に自己組織化し、又は異なる相要素に再組織化する。いくつかの態様において、アニーリングステップ(又は工程)は、相要素の秩序化又は再秩序化を生ずる。いくつかの例において、アニーリングは、より秩序化の低い状態からより秩序化の高い状態へ、未秩序化の状態からより秩序化された状態へ、又は第1秩序化状態から第2秩序化状態へ、相転移のための活性化エネルギーを克服するために十分なエナルギーを提供する。いくつかの態様において、秩序化は、類似成分に対して類似の成分のそばに存在することをいう(例えば、疎水性ポリマー成分は疎水性相要素に集合する)。
【0038】
いくつかの態様において、ナノファイバーは、アニーリングの前に被覆(又はコート)される(例えば、製造と同時に又は製造に続いて)。いくつかの態様において、コーティングは、ナノファイバーがそのファイバー形態を熱処理の際に維持し、又は他の逆の(又は不利な)効果(例えば、材料/ナノファイバーの膨張)を抑制することを可能にする。いくつかの態様において、コーティングは、本明細書で記載されるように同軸エレクトロスピニングによって適用される。コーティングを適用するために適する他の方法は、例えば、ディッピング(又は浸漬)、スプレー(又は噴霧)、エレクトロデポジション(電着又は電気メッキ)を含む。アニーリングに続いて、コーティングは場合により除去される(例えば、熱的に安定なシリカ-例えば、ポリマー原料の周囲のTEOS系ゾルゲル原料をエレクトロスピニングすることで製造される-は、場合によりNaOHを用いてエッチングすることで除去される)。
【0039】
いくつかの態様において、一又はそれ以上の成分はナノファイバーから選択的に除去されて、例えば、アニーリング後に、秩序化された孔を生ずる。秩序化され(又は配列した)材料(例えば、ナノファイバー)から材料を選択的に除去するための適する方法は、本明細書に記載されている。
【0040】
いくつかの態様において、ポリマータイプの組み合わせ(例えば、PI及びPS、PS及びPLA、PMMA及びPLA、又は本明細書に記載の他のコポリマー)を含む流体原料は、エレクトロスピニングされる。特定の態様において、流体原料は、第2流体原料と同軸でエレクトロスピニングされ、第2流体原料は、キャリア(又は担体)ポリマー又はセラミックゾルゲル前駆体系(又はシステム)等のコーティング材(又はコーティング材前駆体)を含む。いくつかの例では、ポリマーの組み合わせ/ブレンドの内側ジェットが、流体原料から形成され、第2流体原料から外側ジェットが形成され、同軸エレクトロスピニングの結果製造される。一般にナノファイバーは、コレクターに収集される。収集されたナノファイバーは、場合によりアニーリングされ、例えば、ポリマーの組み合わせは秩序化される(例えば、球状、円柱状、穴をあけた層状、ラメラに)。いくつかの例において、1のポリマー(例えば、PI又はPLA、又はCDA)が除去される(例えば、選択的な溶解、オゾン分解又は塩基による処理によって)。更なる又は追加の例では、ナノファイバーの外側層も除去される(一のポリマーを除去する方法と同じ又は異なる方法によって)。いくつかの態様において、そのような方法は、多孔性(例えば、メソ多孔性)ポリマーナノファイバーを生産するために使用される。
【0041】
図4は、本明細書で記載した多孔性(例えば、メソ多孔性)ナノファイバー(例えば、メソ多孔性カーボンナノファイバー)を製造するためのある態様を示す。いくつかの態様において、ポリマーの組み合わせ(すなわち、少なくとも2つの異なるポリマータイプ)1001を、(例えば、水、アルコール又は溶媒等の流体を一緒に)使用して、流体原料1003を製造する1002。流体原料は、エレクトロスピニング装置に(例えば、シリンジ1005を使用して)、供給される1004。いくつかの態様において、流体原料は、ニードル(例えば、同軸ニードル)1006を介して、場合によりガス支援(例えば、同軸ガス支援)を利用して、エレクトロスピニングされる。いくつかの例では、流体原料の内側ジェットは、空気の外側ジェットと共に(例えば、同軸ガス支援)エレクトロスピニングされる。ナノファイバー1008は、一般にコレクター1007に収集される。収集されたナノファイバーは、場合によりアニーリングされる(例えば、ポリマー成分を秩序化するために)。いくつかの態様において、熱的(及び/又は化学的)処理1009は、多孔性(例えば、ナノ構造の又はメソ多孔性)ナノファイバー1010(例えば、メソ多孔性カーボンナノファイバー)を生産する。いくつかの態様では、もし、金属前駆体が流体原料中に供給されたならば、多孔性セラミック又は金属ナノファイバーが場合により得られる。
【0042】
エレクトロスピニングの方法
一の要旨において、本明細書では、少なくとも2つのポリマー成分を含む流体原料をエレクトロスピニングすることを含む多孔性ナノファイバーの製造方法を記載する。いくつかの例では、そのような成分は、明白な相要素を形成し、その少なくとも1種は、本明細書で記載のように(例えば、選択的溶解及び/又は熱処理によって)除去できる(例えば、犠牲にされる)。エレクトロスピニングのためのいずれかの適する方法が使用される。いくつかの態様において、ポリマーメルト又はポリマー溶液(水溶液、アルコール溶液、DMF溶液又は他の溶剤系溶液)エレクトロスピニングを場合により利用する。特定の態様において、水溶液エレクトロスピニングを使用する。他の特定の態様において、アルコール溶液エレクトロスピニングを使用する。ある態様において、同軸エレクトロスピニングを使用する。一般的に、同軸エレクトロスピニングは、共通軸について少なくとも2つの流体のエレクトロスピニングを含むと理解するべきである。いくつかの例では、2、3又は4の流体を、1つの共通の軸についてエレクトロスピニングする。いくつかの態様では、同軸で紡糸される流体の少なくとも一は、ガスである(それによってガス支援エレクトロスピニングを提供する)。いくつかの態様において、共通の軸は、例えば、第1流体の5度以内、3度以内又は1度以内の、第1流体がエレクトロスピニングされる軸と実質的に類似の(又は同じ)軸である。
図8は、同軸エレクトロスピニング装置1100を示す。同軸ニードル装置は、内側ニードル1101及び外側ニードル1102を含み、その両方のニードルは、同じ軸1103の周囲に同軸で配列される。いくつかの態様において、更なる同軸ニードルは、軸1103の周囲に配置される、ニードル1101と1102の周囲、内側又は間に、場合により配置することができる。いくつかの態様において、ニードルの末端は、場合によりオフセット1104である。
【0043】
いずれかの適するエレクトロスピニング技術を場合により使用する。例えば、高温エレクトロスピニングが、2004年10月18日出願のUS Patent No. 7,326,043;2011年2月28日出願のUS Patent Application No. 13/036,441;2008年1月10日出願のUS Patent No. 7,901,610に記載されており、それらは、そのような記載によって本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、エレクトロスピニングは、2011年2月15日出願のPCT特許出願PCT/US11/24894に記載されるように、ガス支援され、そては、そのような記載によって本明細書に組み込まれる。簡潔にいえば、ガス支援エレクトロスピニングは、流体原料と一緒に(例えば、流体原料の内側の又は流体原料の周囲のストリームとして)高速度でガスのストリームを放出することを含む。いくつかの例において、ガス支援エレクトロスピニングは、エレクトロスピニング法の処理量、得られるナノファイバーの形態などを向上する。
【0044】
いくつかの態様において、その方法は、第2流体原料とともに第1流体原料を同軸エレクトロスピニングして、第1ナノファイバーを製造することを含む。例示的な同軸エレクトロスピニング技術は、2011年2月15日に出願されたPCT特許出願PCT/US11/24894に記載されており、そのような記載のために、本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、第1流体原料は、少なくとも2種のポリマー成分を含み(例えば、少なくとも2種の異なるタイプのポリマーを含み)、第2流体原料はコーティング材を含み、第1ナノファイバーは、第1層(例えば、コア)と第1層を少なくとも部分的に被覆する第2層(例えば、被覆又はコート)を含む。更に、第1及び第2流体原料と、ガスを、場合により同軸エレクトロスピニングする。
【0045】
いくつかの態様において、本明細書では、ノズル部品(部分又は要素)に電圧を供給するように(例えば、ポリマー液体-例えば、ポリマー溶液又はポリマーメルト-からナノファイバーをエレクトロスピニングするために十分な電力を供給するように)作られる電力供給装置(又は電源)を提供する。いくつかの態様において、ノズル部品に供給される電圧は、いずれかの適する電圧であり、例えば、約10kVから約50kVである。より特定の態様において、供給される電圧は、約20kVから約30kV、例えば、約25kVである。いくつかの態様において、流体原料は、いずれかの適する粘度を有し、例えば、約10mPa.sから約10,000mPa.s(1/s、20℃にて)、又は約100mPa.sから約5000mPa.s(1/s、20℃にて)、又は約1500mPa.s(1/s、20℃にて)の粘度を有する。ある態様において、流体原料は、いずれかの適する流速でノズルに供給される。特定の態様において、流速は、約0.01から約0.5mL/分である。より特定の態様において、流速は、約0.05から約0.25mL/分である。更により特定の態様において、流速は、約0.075mL/分から約0.125mL/分であり、例えば、約0.1mL/分である。いくつかの態様において、少なくとも1のマニフォールド・サプライ・チャンバー(manifold supply chamber)は、ガス(例えば、空気)で本質的に構成される流体を含む。ある態様において、ガスのノズル速度は、いずれかの適する速度、例えば、約0.01m/秒以上である。特定の態様において、ガスのノズル速度は、約1m/sから約300m/sである。ある態様において、(例えば、マニフォールド入り口又はノズルに)供給されるガスの圧力は、いずれかの適する圧力、例えば、約1psiから50psi等である。特定の態様において、圧力は、約2psiから約20psiである。
【0046】
流体原料
種々の態様において、本明細書に記載された流体原料から第1材料(製造されたままの)を製造するために、種々の方法が利用される。いくつかの要旨において、本明細書に記載された方法は、流体原料をエレクトロスピニングすることを含む。他の例では、本明細書に記載された流体原料は、場合によりキャスト、スピンコート等されて、本明細書に記載された方法に基づいてナノ構造を有する材料に変換され得る第1材料を製造する。いくつかの態様において、エレクトロスピニングされる流体原料のエレクトロスピニングは、ナノファイバーを製造する。
【0047】
いくつかの態様において、流体原料は、溶剤系(例えば、ヘキサン等の有機溶剤を含む)又は水系(すなわち、水に基づく又は水含有)である。特定の態様において、金属、セラミック、合金、又はそれらのいずれかの組み合わせ(例えば、ハイブリッド/複合物ナノファイバー)を製造するために適する流体原料は、水溶性ポリマー及び前駆体分子を含む。特定の例において、そのような組み合わせは、(例えば、前駆体とモノマー残基との間の、縮合反応等の、会合(又は結合)を介して)他方のポリマー成分にわたって一のポリマー成分に関して実質的に均一に分布される。そのような会合は、2012年8月30日に出願された国際特許出願PCT/US12/53097、2012年4月20日に出願されたUS Patent Application 13/451,960、2012年11月8日に公開されたUS2012/0282484、及び2011年8月30日に出願された米国仮出願61/528,895に、より完全に記載されており、そのような記載及び種々の金属前駆体の記載のために、本明細書に組み込まれる。
【0048】
特定の態様において、流体原料は、少なくとも2つのポリマー成分を含む。より特定の態様において、流体原料は、少なくとも2種のポリマーと前駆体を含む。更により特定の態様において、流体原料は、少なくとも2種のポリマーと金属前駆体を含む。更により特定の態様において、流体原料は、疎水性ポリマー(例えば、他のポリマーより疎水性である)、親水性ポリマー(例えば、他のポリマーより親水性である)、及び金属前駆体を含む。いくつかの態様において、流体原料は、少なくとも2種のポリマー成分とゾルゲルシステム(又は系)(例えば、TEOS、エタノール及びHCl(aq)の組み合わせにより製造されるもの)を含む。特定の態様において、流体原料は、(i)少なくとも2種のポリマー、(ii)ゾルゲル前駆体(例えば、TEOS)、(iii)アルコール又は水、及び(iv)オプションの酸(例えば、HCl水溶液)の組み合わせを含む又は組み合わせによって製造される。
【0049】
いくつかの態様において、前駆体は、紡糸されたままの又はアニーリングされた材料の処理のさいに、他の材料に場合により変えられる材料を含む。例えば、いくつかの例において、前駆体は、金属前駆体(それは、金属、金属酸化物、セラミック等に変換し得る)、セラミック(ゾルゲル)前駆体、カーボン前駆体、又はそれらのいずれかの組み合わせ(種々の態様における)である。いくつかの態様において、カーボン前駆体は、ポリマー(例えば、ポリアクリロニトリル又は本明細書に記載の他のキャリア(又は担体)ポリマー)であり、エレクトロスピニングされた流体原料の熱処理は、カーボン前駆体を連続カーボンマトリックス(例えば、カーボンナノファイバー)に変換することができる。
【0050】
いくつかの態様において、本明細書に記載の流体原料は、場合により、ナノ粒子(例えば、いずれかの適する形状の)を含む。いくつかの態様において、そのようなナノ粒子は、金属成分ナノ粒子、金属ナノ粒子(例えば、単一金属又は合金)、金属酸化物ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ナノクレー ナノ粒子等を含む。いくつかの例において、そのような金属成分、金属、金属酸化物、セラミック等は、場合により、本明細書に記載の前駆体又はナノ構造の材料(例えば、多孔性ナノファイバー)のために記載された、いずれかのそのような金属成分、金属、金属酸化物、セラミック等である。更に、2005年5月10日出願の米国特許US Patent No. 7,083,854に記載のナノクレーは、場合により、使用される。2007年3月30日に出願された米国特許出願11/694,435又は2010年5月18日に出願されたPCT特許出願PCT/US10/35220に記載されたような、流体原料の成分は、本明細書の流体原料中に場合により使用される。これらの文献は、そのような記載のために、本明細書に組み込まれる。
【0051】
いくつかの態様において、本明細書に記載の流体原料は、金属前駆体(例えば、メソ多孔性セラミック又は金属ナノファイバーが製造される方法にて)又はポリマー及び金属前駆体の組み合わせ(その金属前駆体は、ポリマー溶液と組み合わせて、ポリマーと分離又は再会合し得る)を含む。いくつかの態様において、金属前駆体は、熱処理(例えば、か焼又は加熱還元法)の際に、金属又はセラミック材料に変換され得る金属塩(会合又は非会合(又は分離)形状にある)である。いくつかの態様において、前駆体は、金属カルボキシレート(例えば、金属アセテート)、金属アルコキサイド(例えば、エトキサイド)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化物)、金属ジケトン(例えば、アセチルアセトン)、又はそれらの組み合わせである。いずれかの適する金属(シリコン等のメタロイドを含む)が、場合により、使用され、例えば、アルミニウム、鉄、コバルト、銅、亜鉛、チタン、ジルコニウム等又はそれらの組み合わせ等を例示できる。いくつかの態様において、前駆体は、ようやく又は優先的にポリマー成分の1種に溶け、いくつかの例において、それは、好ましいポリマー成分の自己組織化によって形成される相要素中に、極めて高濃度の前駆体を生ずる。いくつかの態様において、ナノファイバーのか焼は、前駆体を、ナノファイバーのある部分中にナノファイバー材料のみに変換し、多孔性(例えば、メソ多孔性)セラミック又は金属ナノファイバーを生ずる。
【0052】
ポリマー
いくつかの態様において、流体原料及び/又はエレクトロスピニングされる前駆体ナノファイバーは、少なくとも2種のポリマー成分(例えば、第1及び第2ポリマー)を含む。いくつかの態様において、ポリマーは異なるタイプである。特定の態様において、本明細書で提供されるポリマーの組み合わせは、それらと優先的に混和するポリマー、又は相互に相溶しない(例えば、相互に混和しない)ポリマーを含む。ある例では、そのよう優先性及び/又は非相溶性のために、本明細書で提供されるミクロ相分離が生ずる。
【0053】
いくつかの態様において、適するポリマーの組み合わせは、第1ポリマーと第2ポリマーを含み、第1ポリマーと第2ポリマーは、それらに対する親和性及び/又は相互の反感(又は相互に不溶性)を有する。いくつかの態様において、適するポリマーの組み合わせは、第1ポリマーと第2ポリマーを含み、第1ポリマーは親水性であり、第2ポリマーは疎水性又は親油性(例えば、第1ポリマーは第2ポリマーより親水性であり、又は第2ポリマーは、第1ポリマーより疎水性であることを含む)である。
【0054】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるポリマーの組み合わせは、炭化ポリマー(例えば、高温で炭化するポリマー)である第1ポリマーを含む。ある態様では、本明細書で提供されるポリマーの組み合わせは、犠牲的ポリマー(例えば、高温で(例えば、少なくとも部分的に)除去されるポリマー-例えば、分解、昇華等、又は溶媒(例えば、第1ポリマー成分が溶けない溶媒)中に優先する等-)である第2ポリマーを含む。ある態様では、本明細書で提供される、前駆体ナノファイバー中の第1ポリマー成分の炭化及び第2ポリマー成分の犠牲は(例えば、単一の熱処理ステップ(又は工程)、第2ポリマーの優先的な溶解及びその後の第1ポリマーの炭化を含む2ステップのプロセス(処理又は方法)は)、本明細書で提供されるメソ多孔性カーボンナノファイバーを生ずる。優先的な溶解性は、いずれかの適する方法によって決められる。例えば、第1及び第2ポリマーのバルク材料のサンプルの処理は、既知の溶解性の表などを用いて、その溶解性のための溶媒中で別個に試験すること(例えば、所定の時間の後溶解しなかったポリマーを測ること)ができる。同様に、適する材料及び温度が、いずれかの適する方法、例えば、第1及び第2ポリマーの熱重量分析(TGA)及び/又は示差走査熱量測定(DSC)を使用して、場合により特定の温度及び条件で炭化し及び/又は犠牲にされるポリマーを決めることによって、また既知の分解及び炭化パラメーター等を使用することで、決められる。
【0055】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるポリマーの組み合わせは、第1及び第2ポリマーを含む。いくつかの態様では、第2ポリマーは、第1ポリマーと異なって可溶性である。例示的態様では、第1ポリマーは、水溶性でなく(例えば、UHMWPE、PANなど)及び第2ポリマーは水溶性である(例えば、PEO、PVA、PVP等)、又は第1ポリマーはアセトンに可溶性でなく(例えば、UHMWPE、PANなど)、第2ポリマーはアセトンに可溶性である(例えば、CDA)。いくつかの態様において、第1及び第2ポリマーは、別個に(又は異なって)熱的に分解可能であり、第1ポリマーは特定の温度で炭化し、第2ポリマーは同じ温度で(例えば、昇華、劣化、分解等によって)除去される。いずれかの適する分子量、例えば、20,000g/molから1,000,000g/mol、又は10,000,000g/molまで(例えば、UHMWPEに対する範囲の高分子量端)が、場合により利用される。
【0056】
いくつかの態様において、第1ポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース(例えば、セルロース)、ポリアルキレン(例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE))等である。ある態様において、第2(例えば、犠牲的)ポリマーは、ポリアルキレンオキサイド(例えば、PEO)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、セルロース(例えば、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、HEC))、ナフィオン、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリアクリレート又はポリアルキルアルカクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等である。一般的に、第1及び第2ポリマーは、相違する。
【0057】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニルピリジン又はいずれかのそれらの組み合わせを含む。ある態様において、本明細書で提供されるポリマーは、(例えば、疎水性又は親油性ポリマー)ポリイミド、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリスチレン(PS)、ナイロン、ポリアクリレート(例えば、ポリアクリル酸、ポリアルキルアルカクリレート-例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアルキルアクリレート、ポリアルカクリレート)、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、又はいずれかのそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、本明細書で提供されるポリマーは、熱的に又は化学的に分解可能なポリマー、例えば、ポリイソピレン(PI)、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド(PAA)又はいずれかのそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、本明細書で提供されるポリマーは、熱的に又は化学的に安定なポリマー、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、又はいずれかのそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、ポリマーの組み合わせは、化学的又は熱的条件下で分解可能なポリマーと、そのような条件下で分解しない第2ポリマーを含む。
【0058】
特定の態様において、第1ポリマーは、PANであり、第2ポリマーはCDA、CTA、ナフィオン、又はPEOである。より特定の態様において、ポリマーの組み合わせは、PAN及びCDA又はPAN及びナフィオンである。特定の態様において、本明細書で記載のポリマーの組み合わせは、PI及びPEO、PAN及びPEO、PVA及びPS、PEO及びPPO、PPO及びPEO、PVA及びPEO、PVA及びPAN、PVA及びPPO、PI及びPS、PEO及びPS、PI及びPS、PVA及びPMMA、PVA及びPAA、PEO及びPMMA、又はそれらの組み合わせ、である又は含む。より特定の態様において、ポリマーの組み合わせは、PI及びPS、PS及びPLA、PMMA及びPLA、PI及びPEO、PAN及びPEO、PVA及びPS、PEO及びPPO及びPEO、又はPPO及びPEOを含む。
【0059】
ナノファイバーコーティング
いくつかの態様において、記載されたナノ構造の材料(例えば、秩序化された多孔性ナノファイバー等の多孔性ナノファイバー)の製造方法は、第1ナノファイバーを被覆する(又はコーティングする)ことを含み、第1ナノファイバーはポリマーブレンドを含む。本明細書のある態様で記載したように、ポリマーはミクロ相分離をして、秩序化された構造を作る。いくつかの態様において、ミクロ相分離のために要する時間は、本明細書に記載するように第1ナノファイバーをアニーリングすることによって減ずることができる。いくつかの態様において、コーティングは、第1ナノファーバーを保護し及び/又はアニーリング条件下(例えば、高温条件下又は化学薬品との接触条件下)での第1ナノファイバーの形態(又はモルフォロジー)(例えば、ナノファイバーのサイズ及び形状)を維持することを助ける。いくつかの態様において、コーティングは、ポリマーブレンドのミクロ相分離のためのタイムスケール(又は時間スケール)を、第1流体原料を第1ナノファイバーにエレクトロスピニングするためのタイムスケールと一致させることを可能にする。コーティングは、いずれかの適する厚さを有する。
【0060】
コーティング及び/又はコーティング材(すなわち、コーティングを含む材料)は、いずれかの適する材料を含む。いくつかの態様において、コーティングは熱安定性である。いくつかの態様において、コーティング材は、シリカ、熱安定性ポリマー(例えば、PS、PMMA又はPAN)又はそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの態様において、コーティング材は、いずれかの他の適する材料に溶解される及び/又は組み合わされる、例えば、エレクトロスピニング可能な流体原料中に溶解される及び/又は組み合わされる。いくつかの態様において、コーティングは、第1ナノファイバーを少なくとも部分的に囲む。いくつかの態様において、第1ナノファイバーは、コーティング材で囲まれる。
【0061】
コーティングは、いずれかの適する様式(又は方法)で適用される。いくつかの態様において、第1ナノファイバーは、コーティング材中に浸される(例えば、漬けられる又は沈められる)。いくつかの態様において、コーティング材は、第1ナノファイバーにスプレー(又は噴霧)される。より更なる態様において、コーティング材は、第1ナノファイバーに電着される。
【0062】
いくつかの態様において、ポリマーの組み合わせを含む第1流体原料は、第2流体原料と同軸エレクトロスピニングされ、第2流体原料は、コーティング材を含む。同軸エレクトロスピニングするための方法とデバイス(機器又は装置)は、2011年2月15日に出願されたPCT特許出願PCT/US11/24894に記載されている。第2流体原料は、いくつかの態様において、第1流体原料を囲む。
【0063】
ナノファイバーのアニーリング
いくつかの態様において、秩序化された多孔性ナノファイバーの製造方法が記載され、その方法は、ナノファイバーをアニーリングすることを含む。いくつかの態様において、ナノファイバーは、ミクロ相分離可能な少なくとも2種のポリマー成分(例えば、ポリマーの組み合わせ)を含む。いくつかの態様において、本明細書で記載されるように、アニーリングステップが、ポリマーの組み合わせの明瞭な(別々の又は)相要素への自己組織化を容易にし、及び/又は明瞭な相要素を安定化する。
【0064】
いくつかの態様において、ナノファイバーは、ポリマーの組み合わせを明瞭な相要素に形成又は安定化することを可能にする十分な条件で加熱される。加熱は、いずれかの適する時間いずれかの適する温度で行われる。いくつかの態様において、ナノファイバーは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも80℃、少なくとも100℃、少なくとも200℃、50℃から500℃、100℃から300℃等の温度に加熱される。いくつかの態様において、ナノファイバーは、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも20分間、少なくとも60分間、1-48時間、2~24時間等、アニーリング温度で維持される。
【0065】
ナノファイバーコーティングの任意の除去
いくつかの態様において、第2層(すなわち、コーティング)は、第1ナノファイバーから場合により除去され、第2ナノファイバーを製造する。コーティングは、場合によりアニーリングの後除去され、第2ナノファイバーは、相要素に秩序化されたポリマーの組み合わせを含む。
【0066】
コーティングは、いずれかの適する方法によって除去される。いくつかの態様において、コーティングは熱によって除去される。いくつかの態様において、コーティングを除去するために要する熱は、ナノファイバーをアニーリングするために要する熱より大きい。加熱は、いずれかの適する時間いずれかの適する温度で行われる。例えば、第2ナノファイバーは、約40℃、約50℃、約60℃、約80℃、約100℃、約200℃等の温度に加熱される。いくつかの態様において、第2ナノファイバーは、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、少なくとも約100℃、少なくとも約200℃等の温度に加熱される。いくつかの態様において、第2ナノファイバーは、約1分間、約5分間、約20分間、約60分間等、昇温(又は高温)で維持される(又は加熱される)。いくつかの態様において、第2ナノファイバーは、少なくとも約1分間、少なくとも約5分間、少なくとも約20分間、少なくとも約60分間等、昇温(又は高温)で維持される(又は加熱される)。
【0067】
いくつかの態様において、コーティングは、オゾン分解(例えば、オゾンと接触させること)によって除去される。オゾン分解は、いずれかの適する時間いずれかの適する方法で行われる。いくつかの態様において、コーティングは、水で処理することによって除去される(例えば、コーティングが水溶性の場合)。いくつかの態様において、コーティングは、酸(例えば、塩酸、酢酸、硫酸等)で処理することによって除去される。酸は、いずれかの適する濃度にある。いくつかの態様において、コーティングは、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)で処理することによって除去される。いくつかの態様において、コーティングは、「コンバインド・ソフト・アンド・ハード(combined soft and hard)」(CASH)ケミストリーズ((CASH) chemistries)によって除去される。
【0068】
ナノファイバー材料の選択的除去
一の要旨において、ナノファイバーが記載され、ナノファイバーの少なくとも一部が除去され、多孔性ナノファイバー(例えば、メソ多孔性カーボンナノファイバー)を生ずる。いくつかの態様において、本明細書で提供されるいずれかのナノファイバーは、第1及び第2ポリマーを含む(例えば、ナノファイバーは、第1ポリマーのマトリックスと第2ポリマーの分離した(又は別々の)ドメインを含む)。いくつかの態様において、第2ポリマーは、(例えば、PEO、PPO、PVA等の水溶性ポリマーに対しては水を用いて、又は例えばCDA等のアセトン可溶性ポリマーに対してはアセトンを用いて)第2ポリマーを選択的に溶解することで除去される。他の態様においては、第2ポリマーは、ナノファイバーの熱による(加熱)炭化の間に除去される(例えば、第1ポリマーは炭化され、第2(犠牲的)ポリマーは、昇華、分解等によって除去される)、又はナノファイバーの低温度での熱によるアニーリングの間に除去される。優先的な溶解性は、いずれかの適する方法によって決められる。例えば、第1及び第2ポリマーのバルク材料のサンプルの処理は、それらの溶解性に対する溶媒中で(例えば、所望の時間の後溶解しないポリマーを測ることで)、既知の溶解性の表などを用いて、個々に試験される。同様に、適する材料と温度は、いずれかの適する方法で、例えば、第1及び第2ポリマーの熱重量分析(TGA)及び/又は示差走査熱量分析(DSC)等を使用して、場合により特定の温度及び条件で炭化する及び/又は犠牲にされるポリマーを決めるために、既知の分解及び炭化パラメーター等を使用して、決められる。
【0069】
ある態様において、第1ポリマーを炭化するための(及び、例えば、先の処理でもし除去されないのであれば、犠牲的ポリマーを除去するために)ナノファイバーの熱処理は、本明細書に記載の方法に基づいて決められるようないずれかの適する温度で達成される。いくつかの態様において、熱処理は、(もしアニーリングステップが行われるならば)アニーリング温度より高い温度で起こる。ある態様において、熱処理は、300℃より高い温度で起こる。より特定の態様において、熱処理は、500℃より高い温度で起こる。更により特定の態様において、熱処理は、750℃より高い温度で起こる。いくつかの態様において、熱処理は、約500℃から約2000℃、例えば、約500℃から約1500℃、又は約500℃から約1000℃、又は約800℃から約1200℃で起こる。ある態様において、熱処理は、不活性な条件で、例えば、窒素又はアルゴン下等で行われる。
【0070】
ある態様において、ナノファイバーは、熱処理の間、加圧(圧縮又は圧迫)される。
図9に示すように、そのような加圧は、ミクロ多孔性ドメインの制御を容易にする。ある例において、ミクロ孔は、多くの用途のためにそれらの構造は小さすぎるので、高表面積カーボンに有用ではない。いくつかの態様において、加圧は、いずれかの適する圧力、例えば、15psiより大きい、20psiより大きい圧力等で生じる。加圧は、いずれかの適する方法、例えば、加圧されたガス又は機械的な力等によって場合により達成される。
【0071】
いくつかの態様において、除去されるポリマー成分は、明瞭な(又は別個の)相要素の少なくとも1種である。いくつかの態様において、ナノファイバーの少なくとも一部の除去は、選択的である(すなわち、分解可能及び/又は除去可能ポリマーを除去するが、分解可能及び/又は除去可能ポリマーを分解する及び/又は除去するために適する条件下で分解しないポリマーを除去しない)。そのような熱的条件の例示的記載は、本明細書に記載されているが、それらに限定されるものではない。
【0072】
いくつかの態様において、一又はそれ以上のポリマーが、オゾン分解によって(例えば、オゾンと接触することによって)、除去される。オゾン分解は、いずれかの適する時間、いずれかの適する方法で行われる。いくつかの態様において、ポリマーは、(例えば、コーティングが水溶性の場合)水を用いて除去される。いくつかの態様において、一又はそれ以上のポリマーは、酸(例えば、塩酸、酢酸、硫酸等)を用いて処理することによって除去される。酸は、いずれかの濃度である。いくつかの態様において、一又はそれ以上のポリマーは、塩基(例えば、水酸化ナトリム)を用いて処理することによって除去される。いくつかの態様において、一又はそれ以上のポリマーは、「コンバインド・ソフト・アンド・ハード(combined soft and hard)」(CASH)ケミストリーズ((CASH) chemistries)によって除去される。
【0073】
いくつかの態様において、一又はそれ以上のポリマーは、同時に除去される、又は追加の(任意の又はオプションの)コーティングを除去することができる条件と同じ条件で除去される。いくつかの態様において、一又はそれ以上のポリマーを除去する前に、追加のコーティングは除去される。いくつかの態様において、追加のコーティングは、一又はそれ以上のポリマーを除去した後で除去される。いくつかの態様において、追加のコーティングを除去するために使用される条件は、一又はそれ以上のポリマーを除去するために使用される条件と異なる。種々の態様において、一又はそれ以上のポリマーは、アニーリングする前に(すなわち、第1ナノファイバーから)除去される、又はアニーリングした後に(すなわち、第2ナノファイバーから)除去される。種々の態様において、一又はそれ以上のポリマーが、エレクトロスピニングされた流体原料のナノファイバーへの転化の前に(すなわち、か焼の前に)又はか焼の後に除去される。
【0074】
例示的組成物、システム及び秩序化された多孔性ナノファイバー
一の要旨において、本明細書に記載のいずれかの方法によって製造される秩序化された(配列された又は規則化された:ordered)多孔性ナノファイバーは、本発明の範囲内に含まれる。いくつかの態様において、本明細書に記載のように製造されたナノファイバーは、(すなわち、本明細書に記載された複数のナノファイバーを含む組成物に)収集される(又はまとめられる)。
【0075】
いくつかの態様において、ナノファイバー組成物は、高い表面積を有する。いくつかの態様において、孔の秩序化は、高い表面積及び/又は比表面積(例えば、ナノファイバーの質量当たりの表面積及び/又はナノファイバーの容積当たりの表面積)を有するナノファイバーの収集物を生ずる。表面積及び/又は比表面積は、いずれかの適する値にある。いくつかの態様において、多孔性ナノファイバーの収集物は、約10m2/g、約50m2/g、約100m2/g、約200m2/g、約500m2/g、約1,000m2/g、約2,000m2/g、約5,000m2/g、約10,000m2/g等の比表面積を有する。いくつかの態様において、多孔性ナノファイバーの収集物は、少なくとも約10m2/g、少なくとも約50m2/g、少なくとも約100m2/g、少なくとも約200m2/g、少なくとも約500m2/g、少なくとも約1,000m2/g、少なくとも約2,000m2/g、少なくとも約5,000m2/g、少なくとも約10,000m2/g等の比表面積を有する。
【0076】
一の要旨において、秩序化されたメソ多孔性ナノファイバーの製造に適するシステム(系又は設備)が、本明細書に記載されている。システムは、ポリマーの組み合わせを含む流体原料を含む。システムは、エレクトロスピナー(electrospinner)、ナノファイバー収集モジュール及びヒーターも含む。システムは、場合により、コーティング材を含む第2流体原料も含む。いくつかの態様において、エレクトロスピナーは、ガス支援されるように作られる(例えば、2011年2月15日に出願されたPCT特許出願PCT/US11/24894に記載されている)。いくつかの態様において、システムの種々の要素は、秩序化された(又は秩序化)多孔性ナノファイバーを製造するために作用する(又は作用することができる)。例えば、セラミック前駆体及び/又は金属及びポリマーの組み合わせ(例えば、少なくとも2種の異なる種類のポリマー)を含む流体原料は、コーティング材を含む第2流体原料を用いて同軸エレクトロスピニングされる。この例において、システムの生産性は、エレクトロスピナー(すなわち、ガス支援された)から流体原料とともにガスのストリーム(又は流れ)を発することによっても増加される。ヒーターは、エレクトロスピニングされたナノファイバーをアニーリングする及び/又は炭化することができる。
【0077】
本明細書に記載された秩序化された多孔性ナノファイバー(及び/又はナノファイバーを含む組成物)は、いずれかの適するデバイス、生産物、方法等に組み込まれる又は組み込まれることができる。例えば、本発明は、本発明に記載したナノファイバーを含む、バッテリー(又は電池)、コンデンサ(又はキャパシタ)、電極、太陽電池、触媒、吸収材、フィルター、膜、センサー、布(又は生地)及び/又は組織再生マトリックス(tissue regeneration matrix)を含む。更に、本発明に記載した秩序化多孔性ナノファイバーを含む、バッテリー、コンデンサ、電極、太陽電池、触媒、吸収材、フィルター、膜、センサー、布及び/又は組織再生マトリックスの製造方法も含む。
【0078】
いくつかの定義
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、制限するものではない。「the method(その方法)」は、その用語の意味の広範な定義を含み、それは、二以上の方法であり得る。本明細書では、「a material(材料)」の参照は、複数のそのような材料の記載を含む。更に、「a material」に対して特徴を言及した場合、本発明は、記載した特徴の平均を有する複数のそのような材料(例えば、ナノファイバー)への開示を含む。
【0079】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、単独で又は組み合わせて、場合により置換された直鎖、又は場合により置換された枝分かれした飽和又は不飽和炭化水素基である。その例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-アミル及びヘキシル、及びヘプチル、オクチル等のより長いアルキル基を含むが、それらに限定されるものではない。アルキルが本明細書に現れたときはいつでも、アルキルの記載は、C1-C6アルキルの記載を含み、「C1-C6アルキル」等の数値範囲は、いくつかの態様においては、アルキル基は、1つの炭素原子で;いくつかの態様では、2つの炭素原子で;いくつかの態様では、3つの炭素原子で;いくつかの態様では、4つの炭素原子で;いくつかの態様では、5つの炭素原子で;いくつかの態様では、6つの炭素原子で;できている。数値範囲が指定されていない場合、本定義は、用語「アルキル」の存在もカバーする。ある例において、本明細書で記載された「アルキル」基は、直鎖状の及び枝分かれ状のアルキル基、飽和及び不飽和アルキル基、及び環状及び非環式アルキル基を含む。
【0080】
本発明の好ましい態様は、本明細書に示され記載されているが、そのような態様は例としてのみ提供されていることが、当業者であれば明らかであろう。数値の変動、変化、置換は、当業者であれば、本発明から離れることなく、気付くであろう。本明細書に記載された発明の態様に対する種々の選択肢を、本発明を行うときに用いることができることは理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定すること及びこれらの特許請求の範囲の範囲内の構造及び方法及びそれらの均等物はそれによってカバーされることが意図される。
【実施例】
【0081】
例1-流体原料の製造
流体原料は、CDA(シグマアルドリッチ製:Mn=50,000;置換度=2.4又は39.7wt%アセチル)とPAN(ポリサイエンス製:Mw=150,000)を組み合わせ、1:1のPAN:CDAの質量比及び13wt%ポリマーの濃度でジメチルホルミアミドに溶解して、製造される。
【0082】
例2-エレクトロスピニング
ガス支援エレクトロスピニング用ガスを供給する同心外側管を有する中央管(20ゲージ)で、(例えば、0.02mL/分の流速を用いて)、流体原料をエレクトロスピニングする。(例えば、約10~20kVの)電圧を、(例えば、約10~20cmの先端からコレクターの距離で)印加する。PANとCDAの組み合わせを含むナノファイバーを収集する。
図1は、収集されたナノファイバーのSEM画像を示す。
【0083】
例3-直接熱処理によるメソ多孔性カーボンナノファイバー
例2に基づいて製造されるナノファイバーは、収集され、(1℃/分で270℃に加熱されて)、270℃で0.5~3時間熱的にアニーリングされ、(10℃/分で270℃から1000℃に加熱されて)、1000℃で15~60分間窒素下で熱的に炭化される。得られる炭化されたナノファイバーは、メソ多孔性カーボンマトリックスを含む。
図2(パネルA)は、炭化ナノファイバーのSEM画像を示し、
図2(パネルB)は、ナノファイバーの軸に沿う断面のTEM画像を示す。TEM画像に示すように、ナノファイバーは高い多孔性の内部構造を含む。
【0084】
例4-選択的溶解によるメソ多孔性ナノファイバー
例2に基づいて製造されるナノファイバーは、収集され、アセトンで洗浄される。第2ポリマー成分(CDA)が選択的に溶解され、メソ多孔性PANナノファイバーを提供する。
図3は、ナノファイバーの軸に沿う断面のTEM画像を示す。TEM画像に示すように、ナノファイバーは高い多孔性の構造を含む。
【0085】
図5は、この例4の選択的に溶解された多孔性ポリマーナノファイバーの孔分布と比較して、例3に基づいて製造された炭化ナノファイバー、及び(第2ポリマーが存在することなく)これらの例に基づいて製造された炭化PANナノファイバーの(BJH法を用いて測定された)孔分布を示す。例3及び4の両方に基づいて製造されたこれらのナノファイバーのメソ多孔性は、明らかである。
【0086】
この例4の選択的に溶解される多孔性PANナノファイバーは、その後例3に記載の方法を用いて炭化される。
【0087】
例5-ポリマー成分の濃度変化
2:1及び1:2のPANとCDAとの質量比を有する、流体原料を、例1に基づいて製造する。原料をその後例2に基づいてエレクトロスピニングして、例3に基づいて炭化する。
図6(パネルA)は、2:1のPAN:CDA質量比を用いて製造されたメソ多孔性カーボンナノファイバーの軸に沿う断面のTEM画像を示し、
図6(パネルB)は、1:2のPAN:CDA質量比を用いて製造されたメソ多孔性カーボンナノファイバーの軸に沿う断面のTEM画像を示す。
図7は、炭化されたナノファイバーの平均孔幅(average pore width)及び孔分布(pore distribution)は、犠牲ポリマー(CDA)の濃度増加とともに、増加する。
【0088】
例6-炭化の間の加圧(圧縮又は圧迫)
1:1のPANとCDAとの質量比を有する、流体原料を例1に基づいて製造した。その後流体原料を例2に基づいてエレクトロスピニングし、炭化の間にナノファイバーに圧力/圧縮(又は圧迫)を加えながら、例3に記載の方法と同様にして炭化した。
図9は、インクレメンタル・ポア・エリア(incremental pore area:増加(又は増分)孔面積)は、加圧して、650m
2/gから140m
2/gに減少するが、その減少は主にミクロ孔面積における減少によるものである。見られるように、メソ孔の増加孔面積は、ほぼ同様に残る。
【0089】
例7-ポリマーの変化
CDAの代わりに、多くの犠牲的ポリマーを用いて、種々の流体原料を、例1と同様に製造する。例2と3に基づいて、ポリマーの組み合わせのエレクトロスピニングと炭化も、例1(CDA)の犠牲的ポリマーを、PEO、PVA、三酢酸セルロース、セルロース、ナフィオン、PVP、m-アラミド、及びSANで別々に置き換えることで、行った。他の犠牲的ポリマーは、ポリカーボネート、PMMA、PET、ナイロン、及びPPS等を含むが、これらに限定されるものではない。種々の例において、同様に、例1の第1(炭化)ポリマーを、m-アラミド、PVA、PVP、セルロース、又はUHMWPEで置き換える。
【0090】
例えば、
図10は、第1ポリマーとしてのPANと、第2(犠牲的)ポリマーとしてのPEO(本明細書ではポリエチレングリコールと交換可能に使用される)を組み合わせて(1:1wt比のPAN:PEOの13wt%のポリマー原料から)エレクトロスピニングし、水洗することによって製造されるメソ多孔性ポリマーナノファイバーのTEM画像を示す。
図11は、炭化後のそのようなポリマーのTEM画像を示す。
図12は、(安定化後、及び洗浄なしで)炭化中に加圧及び非加圧技術を用いて、そのようなPAN:PEOの組み合わせから製造された炭化ナノファイバーの孔分布を示す。これらのナノファイバーのメソ多孔性は、明らかであり、3~100nmの径の範囲で、加圧されながら炭化されたナノファイバーは、増加した孔の濃度を示す。
【0091】
図13は、PANとナフィオンを組み合わせてエレクトロスピニング(3:2wt比のPAN:ナフィオンの10wt%ポリマー原料からエレクトロスピニング)し、水/エタノール混合物で洗浄して製造された多孔性ナノファイバーのTEM画像を示す。
【0092】
例8-ファイバーとフィルム
比較のために本明細書で使用したポリマーブレンドをフィルムに形成した。例えば、例7で記載したPAN/PEOの組み合わせ(1:1wt比で、流体原料中に10ポリマーwt%)を溶液キャスト及びエレクトロスピニングし、水(95℃)で洗浄した。
図14に示すように、得られたナノファイバーは、3~100nmの範囲で高濃度の孔を示したが、フィルムは示さなかった。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
a.第1ポリマー成分と第2ポリマー成分を含む流体原料をエレクトロスピニングしてナノファイバーを製造すること;及び
b.ナノファイバーを熱処理して、メソ多孔性カーボンナノファイバーを製造すること
を含む、メソ多孔性カーボンナノファイバーの製造方法。
(態様2)
第1ポリマー成分は熱処理で炭化し、第2ポリマー成分は犠牲的ポリマー成分である、態様1に記載の製造方法。
(態様3)
第1ポリマー成分は熱処理で炭化し、第2ポリマー成分は熱処理で犠牲にされる、態様1又は2に記載の製造方法。
(態様4)
流体原料中に存する第1ポリマーと第2ポリマーとの質量比は、10:1から1:10である、態様1~3のいずれかに記載の製造方法。
(態様5)
流体原料中に存する第1ポリマーと第2ポリマーとの質量比は、10:1から1:4である、態様4に記載の製造方法。
(態様6)
ナノファイバーを熱処理することは、少なくとも500℃(例えば、少なくとも800℃、少なくとも900℃、約1000℃など)の温度でナノファイバーを熱処理することを含む、態様1~5のいずれかに記載の製造方法。
(態様7)
ナノファイバーを熱処理することは、50℃と500℃の間の温度で(例えば維持される)第1熱処理(例えば、熱安定化工程)及び少なくとも500℃(例えば、少なくとも800℃)の温度で第2熱処理(例えば、熱炭化工程)を含む、態様1~6のいずれかに記載の製造方法。
(態様8)
ナノファイバーを熱処理する前に、ナノファイバーを化学処理して、第2(例えば犠牲的)ポリマー成分を除去することを更に含む、態様1に記載の製造方法。
(態様9)
ナノファイバーを化学処理することは、(例えば、溶媒(例えばアセトン又は水)を用いて選択的に溶解することによって)ナノファイバーから第2ポリマー成分を選択的に除去することを含む、態様1~8のいずれかに記載の製造方法。
(態様10)
第1及び第2ポリマー成分は、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを含む、態様1~9のいずれかに記載の製造方法。
(態様11)
第1ポリマーは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース、又は超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む、態様1~10のいずれかに記載の製造方法。
(態様12)
第2ポリマーは、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロース、ナフィオン、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、又はポリエチレンスルフィド(PPS)を含む、態様1~11のいずれかに記載の製造方法。
(態様13)
第1及び第2ポリマー成分は、各々、PAN及びPEO、PAN及びCDA、PAN及びPVA、PAN及びナフィオン、又はPAN及びPVPを含む、態様1~12のいずれかに記載の製造方法。
(態様14)
第1及び第2ポリマー成分は、各々、UHMWPE及びPEO、UHMWPE及びCDA、UHMWPE及びPVA、UHMWPE及びナフィオン、又はUHMWPE及びPVPを含む、態様1~13のいずれかに記載の製造方法。
(態様15)
エレクトロスピニングは、同軸ガス支援される、態様1~14のいずれかに記載の製造方法。
(態様16)
熱処理の間、ナノファイバーを加圧することを更に含む、態様1~15のいずれかに記載の製造方法。
(態様17)
流体原料は、金属、セラミック、又は金属酸化物ナノ粒子を更に含む、態様1~16のいずれかに記載の製造方法。
(態様18)
態様1~17のいずれかに記載の製造方法に基づいて製造されるナノファイバー。
(態様19)
10nmと100nmの間の孔径のあたりに中心のある(例えば、非ミクロ多孔性-例えば、2又は3nmより小さい)孔サイズ分布を有するメソ多孔性カーボンナノファイバー。
(態様20)
サイズ分布は、20nmと50nmの間の孔径のあたりに中心のある、態様19に記載のメソ多孔性カーボンナノファイバー。
(態様21)
メソ孔の増加孔面積は、約50m
2
/gから約200m
2
/gである、態様19又は20に記載のメソ多孔性カーボンナノファイバー。
(態様22)
ミクロ孔の増加孔面積は、100m
2
/gより小さい、態様19又は20に記載のメソ多孔性カーボンナノファイバー。
(態様23)
態様19~22のいずれかに記載の孔サイズ分布及び/又は増加孔面積を有するメソ多孔性カーボンナノファイバー。
(態様24)
(i)第1ポリマー成分を含むマトリックス材料、及び
(ii)第2ポリマー成分を含む分離したドメイン
を含むポリマーナノファイバー。
(態様25)
第1ポリマー成分及び第2ポリマー成分は、態様2~5又は10~14のいずれかに記載された通りである態様24に記載のナノファイバー。