(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】形鋼連結部材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20220314BHJP
H02S 20/30 20140101ALI20220314BHJP
【FI】
E04B1/58 506F
H02S20/30 A
(21)【出願番号】P 2020103490
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2020-06-17
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517023666
【氏名又は名称】景欣股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】楊 景隆
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174695(JP,A)
【文献】特開2008-280816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0211177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
H02S 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの形鋼である第一形鋼および第二形鋼の連結に用いられ、第一連結ユニットおよび第二連結ユニットを有する形鋼連結部材であって、
前記第二形鋼は縦軸を有し、
前記第一形鋼は縦軸および一つ以上の位置決め部を有し、一つ以上の前記位置決め部は前記第一形鋼の縦軸に沿って配置され、
前記第一連結ユニットは第一軸を中心に一つの前記第一形鋼の一つ以上の前記位置決め部に回転可能に装着され、
前記第一連結ユニットは前記第一軸を中心に一つの前記第一形鋼の一端に対してスウィングし、
前記第二連結ユニットは第二軸を中心に前記第一連結ユニットに回転可能に装着されるため、前記第一連結ユニットと前記第二連結ユニットとは相対的に旋転でき、
前記第二連結ユニットは固定部を有し、前記固定部は前記第二形鋼を連結し、前記第一形鋼の縦軸と前記第二形鋼の縦軸とを交差させ、
前記第二形鋼は前記第二連結ユニットによって前記第二軸を中心に前記第一連結ユニットに対してスウィングし、
前記第一連結ユニットは頂板および二つの第一側板を有し、前記頂板は穿孔を有し、二つの前記第一側板は前記頂板の相対する両側に配置され、それぞれ穿孔を有し、二つの前記第一側板の前記穿孔の中心軸線は前記第一軸と定義され、前記頂板の前記穿孔の中心軸線は前記第二軸と定義されることを特徴とする形鋼連結部材。
【請求項2】
前記第一形鋼は先端部が前記第一連結ユニットの二つの前記第一側板の間に差し込まれ、
前記第一連結ユニットは前記第一形鋼の一つの前記位置決め部に回転可能に装着されて前記第一軸を中心にして二つの前記形鋼を相対的にスウィングさせることを特徴とする請求項1に記載の形鋼連結部材。
【請求項3】
前記第二連結ユニットは底板および二つの第二側板を有し、二つの前記第二側板は前記底板の相対する両側に配置され、前記底板は前記第二軸を中心にして前記第一連結ユニットに回転可能に装着され、
前記第二形鋼は前記第二連結ユニットの二つの前記第二側板の間に装着されることを特徴とする請求項1に記載の形鋼連結部材。
【請求項4】
前記第二形鋼は前記第二連結ユニットの前記固定部に回転可能に装着され、
前記第二形鋼は前記第二連結ユニットによって前記第二軸を中心にして前記第一連結ユニットに対してスウィングすることを特徴とする請求項3に記載の形鋼連結部材。
【請求項5】
前記第一連結ユニットはガイド溝を有し、
前記第一連結ユニットの前記ガイド溝と一つの前記位置決め部とはボルトによって連結され、前記第一連結ユニットを前記第一形鋼に対してスウィングさせることができ、
前記第一形鋼に対する前記第一連結ユニットのスウィング角度は前記ガイド溝によって限定されることを特徴とする請求項1に記載の形鋼連結部材。
【請求項6】
前記第一連結ユニットはさらにガイド溝を有し、
前記第二連結ユニットはボルトが前記ガイド溝に取り付けられることによって前記第一連結ユニットに対して旋転することができ、
前記第一連結ユニットに対する前記第二連結ユニットのスウィング角度は前記ガイド溝によって限定されることを特徴とする請求項1に記載の形鋼連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造用部材に関し、詳しくは形鋼連結部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工事現場の足場、建造物の骨格または鋼製支柱などの構造体を架設する際、まず長さの異なる形鋼および支柱を揃える。現場の状況に応じて連結部材によって形鋼または支柱を垂直または水平に連結して特定の構造体、即ち後続工程ための構造体を構成する。
【0003】
地面または既存の建造物に形鋼または支柱を架設する際、地面に水平面を保つことが難しいか、現場の架設空間が既存の建造物に制限されるという問題があれば、従来の方法で形鋼の連結部材を順調に組み合わせてまとめることができない。従って、架設工事をスムーズに完成させるには、連結部材を特注することが必要なだけでなく、複雑な組立工程が免れられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は構造体をスムーズに架設し、安定させることができるだけでなく、施工の便をはかり、架設上の柔軟性および使用範囲を増大させることができる形鋼連結部材を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、形鋼連結部材は二つの形鋼を結合させるものである。二つの形鋼である第一形鋼および第二形鋼はそれぞれ縦軸を有する。第一形鋼はさらに一つ以上の位置決め部を有する。一つ以上の位置決め部は縦軸に沿って配置される。形鋼連結部材は第一連結ユニットおよび第二連結ユニットを有する。第一連結ユニットは第一軸を中心に第一形鋼の一つ以上の位置決め部に回転可能に装着され、同時に第一形鋼の一端に対してスウィングする。第二連結ユニットは第二軸を中心に第一連結ユニットに回転可能に装着されるため、第一連結ユニットと第二連結ユニットとは相対的に旋転することができる。第二連結ユニットは固定部を有する。固定部は第二形鋼を連結し、第一形鋼の縦軸と第二形鋼の縦軸とを交差させる。第二形鋼は第二連結ユニットによって第二軸を中心に第一連結ユニットに対してスウィングする。上述した構造特徴により、構造体をスムーズに架設し、安定させることができるだけでなく、施工の便をはかり、架設上の柔軟性および使用範囲を増大させることができる。
【0006】
比較的好ましい場合、第一連結ユニットは頂板および二つの第一側板を有する。頂板は穿孔を有する。二つの第一側板は頂板の相対する両側に配置され、それぞれ穿孔を有する。二つの第一側板の穿孔の中心軸線は第一軸と定義される。頂板の穿孔の中心軸線は第二軸と定義される。
【0007】
比較的好ましい場合、第一形鋼は先端部が第一連結ユニットの二つの第一側板の間に差し込まれる。第一連結ユニットは第一形鋼の一つの位置決め部に回転可能に装着され、第一軸を中心にして二つの形鋼を相対的にスウィングさせる。
【0008】
比較的好ましい場合、第二連結ユニットは底板および二つの第二側板を有する。二つの第二側板は底板の相対する両側に配置される。第二連結ユニットの底板は第二軸を中心にして第一連結ユニットに回転可能に装着される。第二形鋼は第二連結ユニットの二つの第二側板の間に装着される。
【0009】
比較的好ましい場合、第二形鋼は第二連結ユニットの固定部に回転可能に装着される。第二形鋼は第二連結ユニットによって第二軸を中心にして第一連結ユニットに対してスウィングする。
【0010】
比較的好ましい場合、第一連結ユニットはガイド溝を有する。第一連結ユニットのガイド溝と一つの位置決め部とはボルトによって連結され、第一連結ユニットを第一形鋼に対してスウィングさせることができる。第一形鋼に対する第一連結ユニットのスウィング角度はガイド溝によって限定される。
【0011】
比較的好ましい場合、第一連結ユニットはガイド溝を有する。第二連結ユニットはボルトによってガイド溝に装着される。第二連結ユニットは第一連結ユニットに対して旋転する。第二連結ユニットに対する第二連結ユニットのスウィング角度はガイド溝によって限定される。
【0012】
本発明による形鋼連結部材の詳細な構造および特徴は、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。また、以下の詳細な説明および本発明により提示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある人ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による形鋼連結部材、第一形鋼および第二形鋼を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による形鋼連結部材で第一形鋼および第二形鋼を連結した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による形鋼連結部材で第一形鋼および第二形鋼を連結した状態を示す別の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による形鋼連結部材で第一形鋼および第二形鋼を連結したうえで第一連結ユニットをスウィングさせる状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による形鋼連結部材で第一形鋼および第二形鋼を連結したうえで第一連結ユニットをスウィングさせる状態を示す側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による形鋼連結部材で第一形鋼および第二形鋼を連結したうえで第一連結ユニットに対して第二連結ユニットを旋転させる状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による形鋼連結部材で第一形鋼および第二形鋼を連結したうえで第二形鋼を前後にスウィングさせる状態を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による形鋼連結部材で第一形鋼および第二形鋼を連結したうえで第二形鋼を本来の位置に維持し、スウィングさせる状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は形鋼および支柱の架設、用途および使用範囲を限定せず、様々タイプの形鋼および支柱に適用することができる。また本発明は、明細書により掲示された構造、形、方向または配置方式などに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【0015】
(一実施形態)
図1から
図3に示すように、本発明の一実施形態による形鋼連結部材は二つの形鋼、即ち第一形鋼30および第二形鋼40を結合させるものである。本実施形態において、第一形鋼30および第二形鋼40はC字型またはコ字型の形鋼である。第一形鋼30は第一縦軸32および一つ以上の位置決め部34を有する。一つ以上の位置決め部34は第一縦軸32に沿って配置される。第二形鋼40は第二縦軸42を有する。本実施形態において、第一形鋼30は真っ直ぐ立つように装着される。位置決め部34は第一形鋼30の先端の両側面に間隔を置いて同軸配置された複数の穿孔からなる。
【0016】
形鋼連結部材は第一連結ユニット10および第二連結ユニット20を有する。本実施形態において、第一連結ユニット10は頂板12および二つの第一側板14を有する。頂板12は穿孔16および円弧状のガイド溝18を有する。二つの第一側板14は頂板12の相対する両側に配置され、位置が相互に対応する穿孔16および円弧状のガイド溝18を有する。二つの第一側板14の穿孔16の中心軸線は第一軸11と定義される。頂板12の穿孔16の中心軸線は第二軸13と定義される。
【0017】
第一形鋼30は先端部が第一連結ユニット10の二つの第一側板14の間に差し込まれる。ボルトは第一連結ユニット10の二つの第一側板14の穿孔16を貫通して第一形鋼30の一つの位置決め部34に取り付けられるため、第一連結ユニット10は第一軸11を中心にして第一形鋼30の先端部に装着されると同時に第一形鋼30の先端部に対してスウィングできる。
図3から
図5に示すように、別のボルトは第一連結ユニット10の二つの第一側板14のガイド溝18を貫通して第一形鋼30の別の一つの位置決め部34に取り付けられる。本実施形態において、ガイド溝18は円弧状である。第一連結ユニット10は第一形鋼30に対してスウィングする角度が第一側板14のガイド溝18によって限定される。
【0018】
第二連結ユニット20は底板22および二つの第二側板24を有する。二つの第二側板24は底板22の相対する両側に配置される。ボルトは第二連結ユニット20の底板22を貫通して第一連結ユニット10の頂板12の穿孔16に取り付けられるため、第二連結ユニット20は第二軸13を中心にして第一連結ユニット10に回転可能に装着される。第一連結ユニット10と第二連結ユニット20とは相対的に旋転することができる。
図6および
図7に示すように、別のボルトは第二連結ユニット20の底板22を貫通して第一連結ユニット10の頂板12のガイド溝18に取り付けられる。第二連結ユニット20が第一連結ユニット10に対して旋転する際、第一連結ユニット10と第二連結ユニット20との間の相対角度は頂板12のガイド溝18によって限定される。
【0019】
第二形鋼40は所定の角度で第二連結ユニット20の二つの第二側板24の間に横向きに装着される。第二連結ユニット20は第二形鋼40を連結するための固定部26を有する。本実施形態において、固定部26は二つの第二側板24に配置された穿孔からなる。ボルトは第二連結ユニット20の第二側板24の固定部26および第二形鋼40を貫通するため、第二形鋼40は第二連結ユニット20に回転可能に装着される。第一形鋼30の第一縦軸32と第二形鋼40の第二縦軸42は交差する。
図6および
図7に示すように、第二形鋼40は第二連結ユニット20によって第二軸13を中心に第一連結ユニット10(即ち第一形鋼30)に対して前後にスウィングする。
図8に示すように、第二形鋼40は本来の位置を維持したうえで固定部26を中心にして第一形鋼30に対して旋転する。
【0020】
図5、
図7および
図8に示すように、本発明による形鋼連結部材は第一連結ユニット10および第二連結ユニット20によって第一軸11、第二軸13および固定部26の中心軸28を中心にして第一形鋼30および第二形鋼40のスウィング角度および設置方向を調整することができる。詳しく言えば、
図5に示すように、第一連結ユニット10は第一軸11を中心にして第一形鋼30に対してスウィングするとともに第二形鋼40を第一形鋼30に対して前後にスウィングさせる。
図7に示すように、第二連結ユニット20は本来の位置を維持したうえで第二軸13を中心にして第一連結ユニット10に対して旋転するとともに第二形鋼40を本来の位置に維持して第一形鋼30に対して同調旋転させる。
図8に示すように、第二形鋼40は本来の位置を維持したうえで固定部26の中心軸28を中心にして傾いて旋転する。上述した構造特徴により、第一形鋼30および第二形鋼40を架設する際、現場の状況に応じて全体構造体の向きおよび架設方式を柔軟に調整することができる。現場の地面に起伏があるか水平面を維持できない場合であっても、本発明は第一連結ユニット10および第二連結ユニット20の相対角度を変えることによって第一形鋼30と第二形鋼40とを連結して安定性の高いフレームを組み立て、施工の便をはかることができるため、架設上の柔軟性および使用範囲を増大させる。また、本発明はガイド溝18の大きさを変えることによって第一形鋼30と第二形鋼40の間のスウィング角度を調整することができるため、実用性を増大させる。
【符号の説明】
【0021】
10:第一連結ユニット
11:第一軸
12:頂板
13:第二軸
14:第一側板
16:穿孔
18:ガイド溝
20:第二連結ユニット
22:底板
24:第二側板
26:固定部
28:中心軸
30:第一形鋼
32:第一縦軸
34:位置決め部
40:第二形鋼
42:第二縦軸