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  • 特許-充填システム及び充填方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】充填システム及び充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/54 20060101AFI20220314BHJP
   B65B 43/16 20060101ALI20220314BHJP
   B65B 43/46 20060101ALI20220314BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B65B43/54 D
B65B43/16
B65B43/46 A
B65B57/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021107677
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2021-07-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日:令和3年6月29日、展示場所:千葉県佐倉市大崎台1-9-7
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】319004881
【氏名又は名称】株式会社スズキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓右
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-317420(JP,A)
【文献】実開昭50-089769(JP,U)
【文献】特開平08-133237(JP,A)
【文献】特開2012-025419(JP,A)
【文献】実開昭59-016802(JP,U)
【文献】実開昭52-004366(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/54
B65B 43/16
B65B 43/46
B65B 57/00
B65G 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填システムであって、
容器を取り出すように構成された容器取出部と、
前記容器の口部を開口するように構成された容器開口部と、
前記容器に充填物を充填するように構成された充填部と、
前記容器の口部を密封するように構成された容器密封部と、
前記容器を保持するように構成された容器保持部と、
前記充填システムの左右方向に間欠的に前記容器を移送するように構成され、前記容器保持部と連携して動作する容器移送部と、を備え、
前記容器取出部と、前記容器開口部と、前記充填部と、前記容器密封部は、前記左右方向に並んで配置され、
前記容器移送部と前記容器保持部は、前記左右方向に垂直な前記充填システムの上下方向において、互いに対向し、
前記容器移送部は、前記上下方向において、前記容器開口部と、前記充填部と、前記容器密閉部と対向するように前記左右方向に向けて延びており、
前記容器保持部は、前記左右方向において、前記容器開口部と前記容器密閉部との間に配置され、
(i)前記容器保持部は、前記左右方向における第1位置に位置する前記容器の保持を解除する一方で、前記容器移送部は、前記第1位置に位置する前記容器を保持し、
(ii)前記容器移送部は、前記容器を保持した状態で右方向及び左方向のうちの一方の方向に移動することで、前記容器を前記第1位置から第2位置に移送し、
(iii)前記容器移送部は、前記第2位置に位置する前記容器の保持を解除する一方で、前記容器保持部は、前記第2位置に位置する前記容器を保持し、
(iv)前記容器移送部は、前記第2位置に位置する前記容器の保持を解除した状態を維持しながら、前記右方向及び前記左方向のうちの他方の方向に移動し、
前記動作(i)~(iv)が繰り返される、
充填システム。
【請求項2】
前記容器移送部は、右方向への移動と、左方向への移動を交互に繰り返すことで、前記左右方向に間欠的に前記容器を移送するように構成されている、請求項1に記載の充填システム。
【請求項3】
前記容器保持部が前記容器を保持している間に前記容器移送部は前記容器を保持しない一方で、前記容器保持部が前記容器を保持しない間に前記容器移送部は前記容器を保持するように、前記容器保持部と前記容器移送部は互いに連携して動作する、請求項1又は2に記載の充填システム。
【請求項4】
前記容器保持部は、前記左右方向に垂直な前記充填システムの前後方向において、互いに対向する一対の容器保持アームを備え、
前記容器移送部は、前記前後方向において、互いに対向する一対の容器移送アームを備え、
前記一対の容器保持アームが前記容器を挟んだ状態で、前記容器保持部が前記容器を保持し、
前記一対の容器移送アームが前記容器を挟んだ状態で、前記容器移送部が前記容器を保持する、請求項1からのうちいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項5】
前記容器密閉部と対向するように前記容器移送部上に配置され、前記充填物が充填された前記容器の口部を閉じるように構成された口部閉鎖部をさらに備え、
前記口部閉鎖部は、前記容器を保持した状態で、前記容器移送部に対して、右方向及び左方向のうちの一方の方向に移動することで、前記容器の口部を閉じる、請求項1からのうちいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項6】
請求項1からのうちいずれか一項に記載の充填システムによって実行される充填方法であって、
前記容器取出部によって前記容器を取り出す工程と、
前記容器移送部を左方向及び右方向のうちの一方の方向に移動させることで、前記充填システムの上下方向において前記容器が前記容器開口部に対向するように前記容器を前記一方の方向に移送させる工程と、
前記容器開口部によって前記容器の口部を開口させる工程と、
前記容器移送部を前記一方の方向に移動させることで、前記上下方向において前記容器が前記充填部に対向するように前記容器を前記一方の方向に移送させる工程と、
前記容器保持部によって前記容器を保持した状態で、前記充填部によって前記容器に充填物を充填する工程と、
前記容器移送部を前記一方の方向に移動させることで、前記上下方向において前記容器が前記容器密封部に対向するように前記容器を前記一方の方向に移送させる工程と、
前記容器密封部によって前記容器の口部を密封する工程と、
前記容器を容器排出口に向けて落下させることで、前記容器を前記容器排出口に送り出す工程と、を含む、充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充填システム及び当該充填システムによって実行される充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、充填物を包装袋に充填するための充填システムが開示されている。特許文献1に開示された充填システムでは、包装袋を移送経路に沿って移送するように構成された環状の移送装置が設けられている。また、コンベア、開口吸盤アーム、充填装置、タッピング装置、排出シュート等の各機構が所定の間隔で環状の移送装置の各位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-020716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された充填システムでは、各装置が環状の移送装置の周囲に沿って配置されているため、充填システムを正面から見た場合に各装置の稼働状況を容易に把握することが難しい。例えば、工場管理者は、充填システムの手前側に配置された装置の稼働状況を容易に把握できる一方で、当該充填システムの奥側に配置された装置の稼働状況を容易に把握することは困難となる。このように、従来の充填システムでは、正面から見た場合における充填システムの各装置の視認性の点で課題がある。
【0005】
本開示は、正面から見た場合の充填システムに設けられた各装置の視認性を向上させることを目的とする。また、本開示は、当該充填システムによって実行される充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る充填システムは、
容器を取り出すように構成された容器取出部と、
前記容器の口部を開口するように構成された容器開口部と、
前記容器に充填物を充填するように構成された充填部と、
前記容器の口部を密封するように構成された容器密封部と、
前記容器を保持するように構成された容器保持部と、
前記充填システムの左右方向に間欠的に前記容器を移送するように構成され、前記容器保持部と連携して動作する容器移送部と、
を備える。
前記容器取出部と、前記容器開口部と、前記充填部と、前記容器密封部は、前記左右方向に並んで配置される。
【0007】
上記構成によれば、容器取出部と、容器開口部と、充填部と、容器密封部が、充填システムの左右方向に並んで配置されている。このように、環状の移送装置の周囲に沿って充填部等の各装置が配置された従来の充填システムと比較して、正面から見た場合の充填システムに設けられた各装置の視認性を向上させることが可能となる。特に、工場管理者は、充填システムに設けられた各装置の稼働状況を正面方向から容易に把握することが可能となる。
【0008】
また、前記容器移送部と前記容器保持部は、前記左右方向に垂直な前記充填システムの上下方向において、互いに対向してもよい。
前記容器移送部は、前記上下方向において、前記容器開口部と、前記充填部と、前記容器密閉部と対向してもよい。
【0009】
上記構成によれば、正面から見た場合の充填システムに設けられた各装置の視認性が向上する。
【0010】
また、前記容器移送部は、右方向への移動と、左方向への移動を交互に繰り返すことで、前記左右方向に間欠的に前記容器を移送するように構成されてもよい。
【0011】
上記構成によれば、従来の充填システムのように環状の移送装置を設ける必要がないため、正面から見た場合の充填システムに設けられた各装置の視認性を向上させることが可能となる。
【0012】
また、前記容器保持部が前記容器を保持している間に前記容器移送部は前記容器を保持しない一方で、前記容器保持部が前記容器を保持しない間に前記容器移送部は前記容器を保持するように、前記容器保持部と前記容器移送部は互いに連携して動作してもよい。
【0013】
上記構成によれば、容器保持部と容器移送部とが互いに連携して動作することで、容器移送部によって各装置に容器を間欠的に移送することができると共に、容器保持部によって容器を保持することができる。
【0014】
(i)前記容器保持部は、前記左右方向における第1位置に位置する前記容器の保持を解除する一方で、前記容器移送部は、前記第1位置に位置する前記容器を保持してもよい。
(ii)前記容器移送部は、前記容器を保持した状態で右方向及び左方向のうちの一方の方向に移動することで、前記容器を前記第1位置から第2位置に移送してもよい。
(iii)前記容器移送部は、前記第2位置に位置する前記容器の保持を解除する一方で、前記容器保持部は、前記第2位置に位置する前記容器を保持してもよい。
(iv)前記容器移送部は、前記第2位置に位置する前記容器の保持を解除した状態を維持しながら、前記右方向及び前記左方向のうちの他方の方向に移動してもよい。
前記動作(i)~(iv)が繰り返されてもよい。
【0015】
上記構成によれば、容器保持部及び/又は容器移送部によって上記動作(i)~(iv)が繰り返されることで、容器移送部によって各装置に容器を間欠的に移送することができると共に、容器保持部によって容器を保持することができる。
【0016】
また、前記容器保持部は、前記左右方向に垂直な前記充填システムの前後方向において、互いに対向する一対の容器保持アームを備えてもよい。
前記容器移送部は、前記前後方向において、互いに対向する一対の容器移送アームを備えてもよい。
前記一対の容器保持アームが前記容器を挟んだ状態で、前記容器保持部が前記容器を保持してもよい。
前記一対の容器移送アームが前記容器を挟んだ状態で、前記容器移送部が前記容器を保持してもよい。
【0017】
上記構成によれば、一対の容器保持アームの動作を通じて、容器保持部が容器を保持及び保持解除することができる。また、一対の容器移送アームの動作を通じて、容器移送部が容器を保持及び保持解除することができる。
【0018】
また、前記充填システムは、前記容器密閉部と対向するように前記容器移送部上に配置され、前記充填物が充填された前記容器の口部を閉じるように構成された口部閉鎖部をさらに備えてもよい。
前記口部閉鎖部は、前記容器を保持した状態で、前記容器移送部に対して、右方向及び左方向のうちの一方の方向に移動することで、前記容器の口部を閉じてもよい。
【0019】
上記構成によれば、容器の口部を密閉する処理が実行される前に口部閉鎖部によって充填物が充填された容器の口部を閉じることができるため、容器密閉部によって容器の口部を確実に密封することが可能となる。
【0020】
本開示の一態様に係る充填方法は、上記充填システムによって実行され、
前記容器取出部によって前記容器を取り出す工程と、
前記容器移送部を左方向及び右方向のうちの一方の方向に移動させることで、前記充填システムの上下方向において前記容器が前記容器開口部に対向するように前記容器を前記一方の方向に移送させる工程と、
前記容器開口部によって前記容器の口部を開口させる工程と、
前記容器移送部を前記一方の方向に移動させることで、前記上下方向において前記容器が前記充填部に対向するように前記容器を前記一方の方向に移送させる工程と、
前記容器保持部によって前記容器を保持した状態で、前記充填部によって前記容器に充填物を充填する工程と、
前記容器移送部を前記一方の方向に移動させることで、前記上下方向において前記容器が前記容器密封部に対向するように前記容器を前記一方の方向に移送させる工程と、
前記容器密封部によって前記容器の口部を密封する工程と、
前記容器を容器排出口に向けて落下させることで、前記容器を前記容器排出口に送り出す工程と、
を含む。
【0021】
上記充填方法によれば、充填システムに設けられた各装置の動作を通じて容器を取り出す工程から容器を容器排出口に送り出す工程までの一連の工程が実行される。また、本充填システムでは、従来の充填システムのように環状の移送装置を設ける必要がないため、正面から見た場合の充填システムに設けられた各装置の視認性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、正面から見た場合の充填システムに設けられた各装置の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態(以下、単に本実施形態という。)に充填システムの外観の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る充填システムによって自動的に実行される一連の工程を説明するためのフローチャートである。
図3A】容器移送部の左右方向への往復移動を通じて、容器が位置P1から位置P2まで間欠的に移送される様子を示す概要図である。
図3B図3Aに示す容器移送部の動作と連携して動作する容器保持部によって容器が保持される様子を概略的に示す図である。
図4】口部閉鎖部の動作を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態に係る充填システム1について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、充填システム1の「上下方向」、「左右方向」及び「前後方向」について言及する。図1では、「前後方向」は図示されていないが、前後方向は、左右方向及び上下方向と直交する方向となる。上下方向、左右方向及び前後方向のうちの一方は、残りの2方向と直交するものとする。上下方向は上方向及び下方向を含み、左右方向は左方向及び右方向を含み、前後方向は前方向と後方向を含むものとする。
【0025】
最初に、図1を参照することで、本実施形態に係る充填システム1の構成について以下に説明する。図1は、正面から見た場合の充填システム1の外観の一例を示す図である。図1に示すように、充填システム1は、容器取出部2と、容器引渡部3と、容器開口部4と、充填部5と、容器密封部6とを備える。充填システム1は、容器保持部8と、容器移送部7と、容器排出口9と、口部閉鎖部30と、制御部10とをさらに備える。
【0026】
充填システム1は、容器20に充填物を充填するように構成されている。充填システム1によって充填物が充填される容器20の種類は特に限定されるものではない。例えば、容器20は、化粧品、薬品若しくは食品用の包装袋(パウチ)であってもよい。図3Aに示すように、容器20は、互いに対向する2つの側面121,122と、2つの側面121,122の一端に接続された図示しない底面と、当該底面と対向すると共に、充填物が充填される口部124(開口部)とを有する。容器20の2つの側面121,122の全体が互いに接触した状態では、容器20の口部124は閉じていると共に、容器20の底面は折り畳まれている。その反対に、容器20の体積が膨張するように2つの側面121,122が互いに離れた状態では容器20の口部124は開口している。また、容器20に充填される充填物も特に限定されるものではなく、液体、顆粒若しくは粉末であってもよい。本実施形態では、充填物は、コーヒー豆等の顆粒充填物とする。容器20は、顆粒充填物用の包装袋とする。
【0027】
容器取出部2は、複数の容器20が平積みの状態で配置された容器供給部12から容器20を取り出すように構成されている。容器取出部2は、旋回アーム25と、旋回アーム25に取り付けられると共に、左右方向に整列した複数の吸着部23を備える。旋回アーム25は、容器供給部12と容器引渡部3との間を旋回移動するように構成されている。各吸着部23は、容器20の一方の側面を吸着するように構成されている。本実施形態では、6つの吸着部23が容器取出部2に設けられており、3つの吸着部23により1つの容器20を吸着保持される。このため、容器取出部2は同時に2つの容器20を容器供給部12から取り出すことが可能となる。
【0028】
容器引渡部3は、容器取出部2によって吸着保持された2つの容器20を容器移送部7に順次引き渡すように構成されている。容器取出部2により吸着保持された容器20の両側面は上下方向に対して垂直となっているが、容器引渡部3によって取り込まれた容器20の両側面は上下方向に対して平行となる。即ち、容器引渡部3によって容器20の側面に垂直な法線ベクトルが90度回転する。また、容器引渡部3は、同時に2つの容器20を保持することが可能な保持機構を有する。
【0029】
容器開口部4は、容器20の口部124を開口するように構成されている。容器開口部4は、上側開口手段4aと、下側開口手段4bとを有する。上側開口手段4aが容器20の上側部分に作用する一方で、下側開口手段4bが容器20の下側部分に作用することで、容器20の体積が膨張し、容器20の口部124が開口する。容器開口部4は、同時に2つの容器20の口部124を開口させることが可能である。また、容器開口部4は、2つの容器20を保持することが可能な保持機構を有する。
【0030】
充填部5は、容器20に充填物(本例では、顆粒充填物)を充填するように構成されている。充填部5は、第1充填部5aと、第2充填部5bとを有し、同時に2つの容器20に充填物を充填することが可能となっている。第1充填部5aと第2充填部5bの各々は、充填固定部53と、上下方向に可動する充填可動部52と、充填可動部52に接続された吐出先端部51とを有する。例えば、第1充填部5aが充填物を容器20に充填する場合、充填可動部52が容器20の口部124(開口部)に近づくように下方向に移動した後に、第1充填部5a内に設けられた充填物が吐出先端部51を介して容器20内に充填される。
【0031】
容器密封部6は、容器20の口部124を密封するように構成されている。容器密封部6は、口部124付近の両側面121,122を熱圧着することで口部124を密封するように構成されている。容器密封部6は、図示しない一対の熱圧着部を有する。熱圧着部の一方が容器20の側面121を押圧すると共に、熱圧着部の他方が容器20の側面122を押圧する。この状態で、口部124付近の両側面121,122が熱圧着されることで、容器20の口部124が密封される。
【0032】
容器保持部8は、左右方向に整列した複数の容器20を保持するように構成されている。特に、容器保持部8は、左右方向において容器開口部4と容器密封部6との間に配置された複数の容器20を保持するように構成されており、左右方向において容器開口部4から容器密封部6にかけて延びている。図3Bに示すように、容器保持部8は、前後方向において互いに対向する一対の容器保持アーム83により構成されている。一対の容器保持アーム83は、前後方向において容器20を挟み込むことで、容器20を保持する。一対の容器保持アーム83の各々は、容器20の側面に当接する複数の突起保持部84を有する。一つの容器20が一対の容器保持アーム83に挟まれた状態で、一対の容器保持アーム83の一方に設けられた2つの突起保持部84が容器20の側面121に当接すると共に、他方の容器保持アーム83に設けられた2つの突起保持部84が容器20の側面122に当接する。
【0033】
容器保持部8が容器20を保持する場合、一対の容器保持アーム83が互いに接触するように前後方向に移動することで、容器20が突起保持部84により挟まれる。その一方で、容器保持部8が容器20の保持を解除する場合、一対の容器保持アーム83が互いに離れるように前後方向に移動することで、突起保持部84による容器20の保持が解除される。
【0034】
容器移送部7は、右方向に複数の容器20を間欠的に移送するように構成されている。この点において、容器移送部7は、右方向への移動と、左方向への移動とを交互に繰り返すことで、左右方向に複数の容器20を間欠的に移送するように構成されている。ここで、「間欠的に移送」とは、「連続的に移送」とは明らかに異なる概念となる。例えば、容器20がベルトコンベア装置によって移送される場合には、容器20は時間軸上において連続的にベルトコンベア装置によって移送される。一方、本実施形態では、容器20は容器移送部7によって時間軸上において間欠的(ステップ状)に容器移送部7によって移送される。後述するように、容器移送部7は、容器保持部8と連携して動作することで容器20を間欠的に移送する。
【0035】
容器移送部7は、左右方向において容器引渡部3から右方向に向かって延びている。容器移送部7は、上下方向において、容器保持部8と、容器開口部4と、充填部5と、容器密封部6と、容器排出口9とに対向している。特に、容器移送部7と容器保持部8は、左右方向において互いに平行となるように配置されている。
【0036】
図1及び図3Aに示すように、容器移送部7は、旋回軸70と、一対の旋回アーム71と、一対のリンク72と、一対の容器移送アーム73とを備える。一対の旋回アーム71は、旋回軸70に接続されており、旋回軸70を中心に右方向への旋回又は左方向への旋回を繰り返すように構成されている。一対のリンク72の各々は、一対の旋回アーム71のうちの対応する一つ及び一対の容器移送アーム73のうちの対応する一つにそれぞれ接続されている。一対の容器移送アーム73は、前後方向において互いに対向しており、旋回アーム71の旋回動作に応じて左右方向への往復動作を繰り返すように構成されている。特に、一対の容器移送アーム73は、旋回アーム71の右旋回に応じて右方向に直線移動する一方、旋回アーム71の左旋回に応じて左方向に直線移動する。
【0037】
一対の容器移送アーム73は、前後方向において容器20を挟み込むことで、容器20を保持する。一対の容器移送アーム73の各々は、容器20の側面に当接する複数の突起保持部74を有する。一つの容器20が一対の容器移送アーム73に挟まれた状態で、一対の容器移送アーム73の一方に設けられた2つの突起保持部74が容器20の側面121に当接すると共に、他方の容器移送アーム73に設けられた2つの突起保持部74が容器20の側面122に当接する。容器移送部7が容器20を保持する場合、一対の容器移送アーム73が互いに接触するように前後方向に移動することで、容器20が突起保持部74により挟まれる。その一方で、容器移送部7が容器20の保持を解除する場合、一対の容器移送アーム73が互いに離れるように前後方向に移動することで、突起保持部74による容器20の保持が解除される。
【0038】
さらに、一対の容器移送アーム73が容器20を保持した状態で、一対の旋回アーム71が右方向に旋回することで、一対の容器移送アーム73によって容器20が右方向に移送される。その一方で、一対の容器移送アーム73が容器20から離れた状態で、一対の旋回アーム71が左方向に旋回することで、容器20は移送されずに一対の容器移送アーム73のみが左方向に直線移動する。このように、容器移送部7の左右方向における往復動作が繰り返されることで複数の容器20が間欠的に右方向に移送される。
【0039】
尚、図1では、一対の旋回アーム71が右方向に旋回した状態での容器移送部7が図示されている。一対の旋回アーム71が左方向に旋回した状態では、一対の容器移送アーム73の左端部は上下方向において容器引渡部3に対向する。この状態において、一対の容器移送アーム73の左端部は、容器引渡部3によって保持された容器20を容器開口部4に移送する。
【0040】
容器排出口9は、容器密封部6により口部が密封された容器20が最終的に排出される場所となる。制御部10は、充填システム1が自動的に各容器20に充填物を充填するように充填システム1の各装置の動作を制御するように構成されている。口部閉鎖部30は、充填物が充填された容器20の口部124を閉じるように構成されており、容器密封部6に対向するように容器移送部7上に配置されている(図1及び図4参照)。図4に示すように、口部閉鎖部30は、一対の可動部31と、一対の保持突起部32とを備える。一対の可動部31の各々は、一対の容器移送アーム73の一つに摺動可能に配置されている。一対の保持突起部32の各々は、一対の可動部31のうちの一つに設けられている。一対の保持突起部32が容器20を保持した状態で、可動部31が容器移送アーム73に対して相対的に右方向に移動することで、容器20の口部124が閉じられる。
【0041】
制御部10は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)として構成されている。制御部10は、1以上のプロセッサと、1以上のメモリと、入力インターフェース回路と、出力インターフェース回路とを含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。制御部10は、充填システム1の所定の場所に配置されている。また、充填システム1には、操作者による入力操作を受け付ける操作パネル13が設けられている。
【0042】
本実施形態に係る充填システム1によれば、容器取出部2と、容器開口部4と、充填部5と、容器密封部6が、左右方向に並んで配置されている。このように、環状のベルトコンベア装置の周囲に沿って充填部5等の各装置が配置された従来の充填システムと比較して、正面から見た場合の充填システム1に設けられた各装置の視認性を向上させることが可能となる。特に、工場管理者は、充填システム1に設けられた各装置の稼働状況を正面方向から容易に把握することが可能となる。
【0043】
尚、本実施形態に係る充填システム1では、容器20に充填物を充填する一連の処理を高速化する観点より、容器取出部2と、容器引渡部3と、容器開口部4と、充填部5と、容器密封部6は、2つの容器20に対して所定の処理を同時に実行するように構成されている。しかしながら、これらの装置は、同時に2つの容器20に対して所定の処理を実行可能でなくてもよい。例えば、これらの装置が同時に処理可能な容器20の個数は1つであってもよい。また、本実施形態では、複数の容器20が右方向に向かって間欠的に移送されているが、容器が移送される方向は左方向であってもよい。この場合、容器取出部2が充填システム1の右端に配置されると共に、容器密封部6が充填システム1の左端に配置される。
【0044】
(充填システム1によって自動的に実行される一連の工程)
次に、図2を参照することで充填システム1によって自動的に実行される一連の工程について以下に説明する。尚、制御部10がメモリに記憶された制御プログラムに従って充填システム1の各装置の動作を制御することで、これらの一連の工程が人手を介さずに充填システム1によって自動的に実行されるものとする。図2は、本実施形態に係る充填システム1によって自動的に実行される一連の工程を説明するためのフローチャートである。
【0045】
図2に示すように、容器取出工程S1において、容器取出部2は、容器供給部12から平積み状態で積層された複数の容器20を順次取り出す。次に、容器引渡部3が、容器取出部2によって吸着保持された容器20を取り出した上で、容器20を容器移送部7に引き渡す。ここで、容器取出部2から容器引渡部3に容器20が移送される過程において、容器20の側面に垂直な法線ベクトルが90度回転し、容器20の両側面が上下方向に対して平行となる。容器移送工程S2において、容器移送部7は、一対の容器移送アーム73の左右方向への往復動作によって、容器引渡部3によって保持された容器20が上下方向において容器開口部4に対向するように容器20を右方向に移送する。
【0046】
次に、口部開口工程S3において、容器開口部4の上側開口手段4aと下側開口手段4bとの連携動作を通じて容器20の口部124が開口される。次に、容器移送工程S4において、容器移送部7は、容器開口部4によって保持された容器20が上下方向において充填部5に対向するように容器20を右方向に移送する。容器20が上下方向において充填部5に対向した状態で、容器20は容器保持部8によって保持される。充填工程S5において、充填部5によって容器20に充填物(本例では、顆粒充填物)が充填される。特に、第1充填部5aが上下方向において第1充填部5aに対向する容器20に充填物を充填すると共に、第2充填部5bが上下方向において第2充填部5bに対向する容器20に充填物を充填する。このように、充填システム1に2つの充填部5a,5bが設けられているため、単一の充填部を備えた充填システムと比較して、容器20の移送速度を速くすることができ、充填システム1によって実行される一連の製造処理を高速化することが可能となる。
【0047】
次に、容器移送工程S6において、容器移送部7は、上下方向において充填部5に対向した容器20が上下方向において容器密封部6に対向するように容器20を右方向に順次移送する。容器20が上下方向において容器密封部6に対向した状態で、容器20は容器密封部6によって保持される。ここで、容器移送部7は、左右方向への往復移動(以下、単に往復移動という。)を繰り返すことで間欠的に容器20を右方向に移送している。本例では、上下方向において第1充填部5aに対向した容器20は、容器移送部7の4回の往復移動(即ち、容器移送部7の往復移動の4周期分に相当する時間)を通じて、容器密封部6に到達する。また、上下方向において第2充填部5bに対向した容器20は、容器移送部7の3回分の往復移動(即ち、容器移送部7の3周期分に相当する時間)を通じて、容器密封部6に到達する。
【0048】
図3A及び図3Bを参照して、容器移送部7の左右方向への往復移動を通じて、1つの容器20がどのように左右方向における位置P1(第1位置の一例)から位置P2(第2位置の一例)まで間欠的に移送されるかについて以下に説明する。図3Aは、容器移送部7の左右方向への往復移動を通じて、1つの容器20が位置P1から位置P2まで間欠的に移送される様子を示す概要図である。図3Bは、図3Aに示す容器移送部7の動作と連携して動作する容器保持部8によって1つの容器20が保持される様子を概略的に示す図である。尚、実際には、図1に示すように、左右方向に配列された複数の容器20が容器移送部7によって順次移送されるが、説明の便宜上、図3A及び図3Bでは、1つの容器20のみが図示されている。
【0049】
図3Aに示すように、容器移送部7の一対の容器移送アーム73は、左右方向における移動と前後方向における移動を交互に繰り返すように構成されている。このように、一対の容器移送アーム73は、容器20を左右方向に間欠的に移送することができると共に、容器20を保持する又は保持解除することができる。一方、容器保持部8の一対の容器保持アーム83は、図3Bに示すように、左右方向には移動しないものの、前後方向における移動を交互に繰り返すことで、容器20を保持する又は保持解除することができる。
【0050】
具体的には、図3Aの動作(i)において、一対の容器移送アーム73は、左右方向において位置P1に位置する容器20を挟み込むことで容器20を保持する。一方で、図3Bの動作(i)において、一対の容器保持アーム83は、互いに離れており、位置P1に位置する容器20の保持を解除している。尚、図3Aの動作(i)~(iv)の時間軸と、図3Bの動作(i)~(iv)の時間軸はそれぞれ一致しているものとする。
【0051】
図3Aの動作(ii)において、一対の容器移送アーム73は、容器20を保持した状態で右方向に直線移動することで、容器20を位置P1から位置P2に移送する。一方で、図3Bの動作(ii)において、一対の容器保持アーム83は、互いに離れた状態を維持している。
【0052】
図3Aの動作(iii)において、一対の容器移送アーム73は、互いに離れるように前後方向に移動することで、位置P2に位置する容器20の保持を解除する。一方で、図3Bの動作(iii)において、一対の容器保持アーム83は、互いに接触するように前後方向に移動することで、位置P2に位置する容器20を保持する。
【0053】
図3Aの動作(iv)において、一対の容器移送アーム73は、容器20の保持を解除した状態を維持しながら、左方向に移動する。この結果、一対の容器移送アーム73は、動作(iv)に示す状態から動作(i)に示す状態に再び戻る。一方で、図3Bの動作(iv)において、一対の容器保持アーム83は、容器20を保持した状態を維持する。このように、図3A及び図3Bに示す動作(i)~(iv)が繰り返されることで、容器移送部7と容器保持部8の連携動作を通じて容器20が間欠的に右方向に移送される。
【0054】
図2に戻ると、容器密封工程S7において、容器密封部6によって容器20の口部124が密封される。最初に、口部閉鎖部30によって充填物が充填された容器20の口部124が閉じられる(図4参照)。その後、容器密封部6が口部124の付近の容器20の両側面121,122を熱圧着することで容器20の口部124を密封する。
【0055】
次に、図4を参照して口部閉鎖部30の動作について以下に説明する。図4に示すように、動作(1)において、口部閉鎖部30は、左右方向における位置P3に位置する容器20の右端部を保持する。具体的には、一対の容器移送アーム73が互いに接触するように前後方向に移動することで、一対の容器移送アーム73上に配置された口部閉鎖部30が容器20の右端部を保持する。動作(2)において、口部閉鎖部30は、容器20の保持を維持しながら、一対の容器移送アーム73に対して右方向にスライド移動する。この結果、容器20の口部124が閉じられる。次に、動作(3)において、口部閉鎖部30は容器20の保持を解除する。具体的には、一対の容器移送アーム73が互いに離れるように前後方向に移動することで、口部閉鎖部30が容器20の保持を解除する。最後に、動作(4)において、口部閉鎖部30は、容器20の保持解除を維持した状態で、一対の容器移送アーム73に対して左方向にスライド移動する。このように、口部閉鎖部30は、上記動作(1)~(4)を繰り返すことで、容器密封部6に移送された各容器20の口部124を順次閉じるように構成されているため、容器密封部6によって各容器20の口部124を確実に密封することが可能となる。
【0056】
図2に戻ると、送出工程S8において、容器20の口部124が密封された後に、容器移送部7は、容器20が上下方向において容器排出口9に対向するように、容器密封部6によって保持された容器20を右方向に移送する。その後、容器移送部7は容器20の保持を解除することで、容器20を容器排出口9に向けて落下させる。このように、口部124が密封された容器20が容器排出口9に送出される。尚、容器排出口9は、上下方向において容器密封部6に対向していてもよい。この場合、容器密封部6が容器20の保持を解除することで、容器20が容器排出口9に向けて落下する。
【0057】
本実施形態に係る充填方法によれば、充填システム1に設けられた各装置の動作を通じて、容器取出工程S1から送出工程S8までの一連の工程が実行される。また、本実施形態に係る充填システム1では、従来の充填システムのように環状のベルトコンベア装置を設ける必要がないため、充填システム1を正面から見た場合の充填システム1に設けられた各装置(特に、容器取出部2と、容器引渡部3と、容器開口部4と、充填部5と、容器密封部6)の視認性を向上させることが可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0059】
1:充填システム
2:容器取出部
3:容器引渡部
4:容器開口部
4a:上側開口手段
4b:下側開口手段
5:充填部
5a:第1充填部
5b:第2充填部
6:容器密封部
7:容器移送部
8:容器保持部
9:容器排出口
10:制御部
12:容器供給部
13:操作パネル
20:容器
23:吸着部
30:口部閉鎖部
31:可動部
32:保持突起部
70:旋回軸
71:旋回アーム
72:リンク
73:容器移送アーム
74:突起保持部
83:容器保持アーム
84:突起保持部
【要約】
【課題】正面から見た場合の充填システムに設けられた各装置の視認性を向上させる。
【解決手段】充填システム1は、容器20を取り出すように構成された容器取出部2と、容器20の口部を開口するように構成された容器開口部4と、容器20に充填物を充填するように構成された充填部5と、容器20の口部を密封するように構成された容器密封部6と、容器20を保持するように構成された容器保持部8と、充填システム1の左右方向に間欠的に容器20を移送するように構成され、容器保持部8と連携して動作する容器移送部7と、を備える。容器取出部2と、容器開口部4と、充填部5と、容器密封部6は、左右方向に並んで配置される。
【選択図】図1
図1
図2
図3A
図3B
図4