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  • 特許-AMPK活性化剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】AMPK活性化剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/243 20190101AFI20220314BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20220314BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220314BHJP
   A23L 33/10 20160101ALN20220314BHJP
   A61P 3/00 20060101ALN20220314BHJP
   A61K 9/10 20060101ALN20220314BHJP
   A61P 37/02 20060101ALN20220314BHJP
【FI】
A61K33/243
A61K33/24
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P43/00 107
A61P43/00 121
A23L33/10
A61P3/00
A61K9/10
A61P37/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021124108
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2021-07-29
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397046397
【氏名又は名称】株式会社東洋厚生製薬所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100215957
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 明照
(72)【発明者】
【氏名】輪嶋 将一
(72)【発明者】
【氏名】川上 智史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亜由美
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-010954(JP,A)
【文献】国際公開第2004/073722(WO,A1)
【文献】特許第6635319(JP,B1)
【文献】特許第6343851(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、AMPK活性化剤(但し、抗老化剤を除く)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーチュイン遺伝子活性化剤に関する。本発明は、より詳細には、AMPK活性化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
AMPK(AMP-activated protein kinase)は、セリン/スレオニンキナーゼの一種であり、代謝酵素及び栄養トランスポーターをリン酸化する働き、ミトコンドリア新生及びミトコンドリア機能を促進する働き等を有する(非特許文献1)。AMPKが活性化することにより、エネルギー代謝を調節し、エネルギーの恒常性を保つといわれており、2型糖尿病やがんを含む代謝疾患の潜在的な治療効果が期待できるものとして着目されている(非特許文献2)。人間は生きていく上でエネルギーの存在が不可欠となっているが、そのエネルギー源はATP(アデノシン三リン酸)であり、ATPが加水分解され、ADP(アデノシン二リン酸)に変化する際に発生する(非特許文献3)。AMPKはこのATPレベルの調節を行うことで、恒常性を保ち、がんや2型糖尿病、肥満などの代謝疾患に対する効果が期待されている(非特許文献4~6)。さらに、AMPKは、肺炎症を抑え、COPD/肺気腫の治療標的となり得ることも期待されている(非特許文献7~9)。また、AMPKが活性化されることにより、寿命延長作用を有するとされるサーチュイン遺伝子が活性化されることも知られている(非特許文献10)。
【0003】
このような背景の下、AMPKの活性化剤の開発が望まれている。例えば、特許文献1には、5-(3,4,5-トリヒドロキシフェニル)-γ-バレロラクトンを有効成分とするAMPK活性化剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-083769号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Marin, T. L., et al., “AMPK promotes mitochondrial biogenesis andfunction by phosphorylating the epigenetic factors DNMT1, RBBP7, and HAT1.”,Sci Signal. 2018; 10(464): eaaf7478.
【文献】Carling, D., “AMPK signalingin health and disease.”, Curr Opin Cell Biol. 2017; 45: 31-37.
【文献】Boyer, P.D., et al. “Oxidativephosphorylation and photophosphorylation.”, Annu Rev Biochem. 1977; 46: 955-1026.
【文献】Cool, B., et al. “Identificationand characterization of a small molecule AMPK activator that treats keycomponents of type 2 diabetes and the metabolic syndrome.”, Cell Metab. 2006; 3:403-416.
【文献】Giordanetto, F. and Karis D., “DirectAMP-activated protein kinase activators: a review of evidence from the patentliterature.”, Exprt Opin Ther Pat. 2012; 22: 1467-1477.
【文献】Xiao, B., et al., “Structuralbasis of AMPK regulation by small molecule activators.”, Nat Commun. 2013; 4:3017.
【文献】Cheng X. Y. et al., “AMP-activatedprotein kinase reduces inflammatory responses and cellular senescence inpulmonary emphysema.”, Oncotarget. 2017; 8(14): 22513-22523.
【文献】Lee, J. S., et al., “Role ofAMP-Activated Protein Kinase (AMPK) in Smoking-Induced Lung Inflammation andEmphysema.”, Tuberc Respir Dis. 2015; 78(1): 8-17.
【文献】Carlos, S. P., et al., “Oxidativedamage induced by cigarette smoke exposure in mice: impact on lung tissue anddiaphragm muscle.”, J Bras Pneumol. 2014; 40(4): 411-420.
【文献】Canto,C., et al., “AMPK regulatesenergy expenditure by modulating NAD+ metabolism and SIRT1 activity.”, Nature 2009; 458: 1056-1060.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新規なAMPK活性化剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、白金コロイドとパラジウムコロイドとを共に用いることでAMPKを活性化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の各発明に関する。
[1]白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、AMPK活性化剤。
[2]白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、長寿延命剤。
[3]白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、抗老化剤。
[4]白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、酵素活性化剤。
[5]白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、細胞周期制御剤。
[6]白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、ミトコンドリア活性化剤。
[7]白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、ATP産生恒常性持続剤。
[8]白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、免疫応答機能調節剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新規なAMPK活性化剤の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】白金パラジウムコロイドの添加後1時間後、12時間後、及び24時間後の各時点におけるAMPK活性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する。当該AMPK活性化剤は、白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する液剤であってよい。
【0013】
白金コロイドは、水にコロイド状に分散する白金粒子である。白金コロイドは、公知の方法(例えば、特公昭57-43125号公報、特公昭59-120249号公報、特公平2-43801号公報、特開平9-225317号公報、特開平10-176207号公報等に記載の方法)により製造することができる。白金コロイドの製造方法としては、薬理学的又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、例えば、沈殿法又は金属塩還元反応法として知られる化学的な方法、あるいは燃焼法として知られる物理的な方法等を利用することができる。白金コロイドの製造方法としては、AMPK活性化作用をより有効に奏するという観点から、燃焼法を用いることが好ましい。
【0014】
燃焼法としては、例えば、塩化白金酸溶液及び低級アルコールの混合溶液、並びに、水素ガスを、それぞれ別の供給系から送出し、燃焼させた水素ガス炎と、上記混合溶液とを混合させ830~870℃で燃焼させ、燃焼火炎をコロイド生成槽中の槽底近くに達する渦流を生じさせた液体分散媒中に吹き込むこと等によって、白金コロイドを製造する方法が挙げられる。
【0015】
AMPK活性化剤が液剤である場合において、白金コロイドの濃度は特に限定されず、使用される白金コロイドの種類、AMPK活性化剤の用途、製剤形態、使用方法等によって適宜設定される。液剤における白金コロイドの濃度は、AMPK活性化作用をより有効に奏するという観点から、液剤全量に対して、0.08~16mMであることが好ましく、0.1~10mMであることが好ましく、0.4~8mMであることがさらに好ましい。
【0016】
パラジウムコロイドは、水にコロイド状に分散するパラジウム粒子である。パラジウムコロイドは、公知の方法(例えば、特公昭57-43125号公報、特公昭59-120249号公報、特公平2-43801号公報、特開平9-225317号公報、特開平10-176207号公報等に記載の方法)により製造することができる。パラジウムコロイドの製造方法としては、薬理学的又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、例えば、沈殿法又は金属塩還元反応法として知られる化学的な方法、あるいは燃焼法として知られる物理的な方法等を利用することができる。パラジウムコロイドの製造方法として、白金の酸化による劣化を防止するという観点から、燃焼法を用いることが好ましい。
【0017】
燃焼法としては、例えば、塩化パラジウム溶液及び低級アルコールの混合溶液、並びに、水素ガスを、それぞれ別の供給系から送出し、燃焼させた水素ガス炎と、上記混合溶液とを混合させ630~670℃で燃焼させ、燃焼火炎をコロイド生成槽中の槽底近くに達する渦流を生じさせた液体分散媒中に吹き込むこと等によって、パラジウムコロイドを製造する方法が挙げられる。
【0018】
AMPK活性化剤が液剤である場合において、パラジウムコロイドの濃度は特に限定されず、使用されるパラジウムコロイドの種類、併用される白金コロイドの種類及び濃度、AMPK活性化剤の用途、製剤形態、使用方法等によって適宜設定される。液剤におけるパラジウムコロイドの濃度は、白金の酸化による劣化を防止し、かつ継続投与した場合にも副作用を起こりにくくするという観点から、液剤全量に対して、0.1~30mMであることが好ましく、0.4~16mMであることがより好ましく、0.8~12mMであることがさらに好ましい。
【0019】
パラジウムコロイドに対する白金コロイドのモル比(パラジウムに対する白金のモル比(Pt/Pd))は、特に制限されず、使用される白金コロイド及びパラジウムコロイドの種類及び濃度、該NK細胞活性化剤の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。パラジウムコロイドに対する白金コロイドのモル比は、AMPK活性化作用をより有効に奏するという観点から、好ましくは1/30~10/1であり、より好ましくは1/9~3/1である。
【0020】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、界面活性剤をさらに含有していてもよい。界面活性剤としては、薬理学的又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。本実施形態に係るAMPK活性化剤は、AMPK活性化作用をより有効に奏するという観点から、界面活性剤として、非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0021】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPEOソルビタン脂肪酸エステル;POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル;POE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、プルロニック(登録商標)F127)、POE(200)POP(70)グリコール等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ポリオキシエチレンヒマシ油35、ポリオキシエチレンヒマシ油40、ポリオキシエチレンヒマシ油50、ポリオキシエチレンヒマシ油60等の酸化エチレンの平均付加モル数が30を上回るポリオキシエチレンヒマシ油等が挙げられる。本実施形態に係るAMPK活性化剤において、上記非イオン性界面活性剤を、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、固体(例えば、粉末)、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む。)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤(懸濁液、乳濁液、シロップ等を含む。)、ペースト等の形態であってもよい。これらの各種製剤は、薬理学的又は生理学的に許容されるものであれば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、懸濁化剤等の添加剤を混合し、周知の方法で製造することができる。
【0023】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、医薬品、医薬部外品、食品組成物及び飼料組成物等の製品として、又はこれら製品の成分として使用することができる。当該食品組成物は、例えば、健康食品、機能性表示食品、特別用途食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品であってもよい。食品組成物の具体例としては、例えば、飲料等が挙げられる。上記製品は、AMPK活性化用であってよい。AMPK活性化用製品における白金コロイド及びパラジウムコロイドそれぞれの濃度は、上記例示したとおりであってよい。
【0024】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、ヒトに投与又は摂取されても、非ヒト哺乳動物に投与又は摂取されてもよい。本実施形態に係るAMPK活性化剤の投与量(摂取量)は、白金コロイドの質量に換算して、成人1日あたり、例えば、0.06~6mgであることが好ましく、0.1~4mgであることがより好ましく、0.3~3mgであることがさらに好ましい。投与量は、個体の状態、年齢等に応じて適宜決定することができる。
【0025】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、経口投与(摂取)されてもよく、非経口投与されてもよいが、経口投与されることが好ましい。AMPK活性化剤は、1日あたりの白金コロイドの質量に換算した値が上記範囲内にあれば、1日1回投与されてもよく、1日複数回に分けて投与されてもよい。
【0026】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、1週間以上継続して投与されてよく、2週間以上継続して投与(摂取)されてよく、3週間以上継続して投与(摂取)されてよく、4週間以上継続して投与(摂取)されてよい。
【0027】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、AMPKを活性化することができる。そのため、COPD、間質性肺炎、肺気腫等の肺疾患の予防又は治療に有効である。また、がんの抑制又は治療、生活習慣病の予防又は治療、2型糖尿病の予防又は治療、内臓脂肪減少、オートファジーの促進等に有効である(例えば、北田宗弘, 古家大祐., “栄養センシングと細胞機能の制御.”, 化学と生物. 2013; 51(5): 294-301.を参照)。
【0028】
また、本実施形態に係るAMPK活性化剤は、AMPKを活性化するため、酵素(AMPK)を活性化する効果、ミトコンドリア新生及びミトコンドリア機能を活性化する効果、ATP産生の恒常性を持続させる効果、及び長寿遺伝子の一種であるSIRT1等のサーチュイン遺伝子を活性化する効果を有する。つまり、本実施形態に係るAMPK活性化剤は、酵素活性化剤、ミトコンドリア活性化剤、ATP産生恒常性持続剤、又はサーチュイン遺伝子活性化剤でもある。
【0029】
サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子又は抗老化遺伝子とも呼ばれ、サーチュイン遺伝子の活性化により寿命を延長できること、加齢に伴う様々な機能の低下(老化)を抑制できることが知られている(例えば、特開2013-193993号公報、特開2016-204273号公報、特開2019-218296号公報等を参照)。そのため、本実施形態に係るサーチュイン遺伝子活性化剤は、長寿延命剤又は抗老化剤ともいえる。
【0030】
本実施形態に係るAMPK活性化剤は、オートファジーを促進するため、細胞周期制御剤でもある(例えば、Green, D. R., et al., “Metabolic control of cell death.”, Science.2014; 345(6203): 1250256.を参照)。また、本実施形態に係るAMPK活性化剤は、キラーT細胞(CD8+細胞)を活性化させるため、免疫応答機能調節剤でもある(例えば、Pearce, E. L., et al., “Enhancing CD8 T-cell memory by modulatingfatty acid metabolism.”, Nature. 2009; 460(7251): 103-107.を参照)。
【実施例
【0031】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0032】
[白金パラジウムコロイドによるAMPK活性促進効果の検討]
CycLex(登録商標) AMPK Kinase Assay Kit(MBL社製)を用いて、以下の条件で、AMPK活性促進効果を調べた。検体群として、PAPLAL(登録商標)水(6mlの液剤中、白金コロイドを1.2mg、パラジウムコロイドを1.8mg含む。)を1%添加した群を平板法により作製した。具体的には、PAPLAL(登録商標)水を減菌し、培養液で10倍に希釈することにより調製した10%パプラール溶液1mLを、フラスコにて培養した乳がん細胞の培養液9mLに対して添加することにより、検体群を作製した。また、コントロール群としては、PAPLAL(登録商標)水に変えて超純水を1%添加した群を用いた。
使用キット:CycLex(登録商標) AMPK Kinase Assay Kit
使用試薬:Microplate, 10X Wash Buffer, Kinase Buffer, 20X ATP, 20X DTT, Anti-phospho-mouse IRS-1 S789 Monoclonal Antibody(AS-4C4), HRP conjugated Anti-mouse IgG, Substrate Reagent, Stop Solution
使用細胞:ヒト乳がん細胞(MCF-7)5×10
培養条件:37℃、5%COにてインキュベート
【0033】
サンプルを添加してから1時間後、12時間後、及び24時間後の各時点において、吸光度を測定した結果を表1に示す。また、各時点におけるAMPK活性を示したグラフを図1に示す。表1及び図1において、「AMPK活性」は、各時点において、コントロールの吸光度を100としたときの検体の吸光度であり、コントロールを基準とした相対的なAMPK活性を表す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1及び図1のとおり、白金パラジウムコロイドを添加した検体は、超純水を添加したコントロールと比較して吸光度が大きく、AMPK活性が増加していた。なお、全ての群においてF検定を行ったところ、等分散が仮定されなかった。そこでWelchのt検定を行ったところ、全ての群において有意水準1%(信頼率99%)において有意差が認められた。各時点におけるP値は以下の通りである。
1時間後:P=0.00307
12時間後:P=0.00897
24時間後:P=0.0000311
【要約】
【課題】新規なAMPK活性化剤の提供。
【解決手段】白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有する、AMPK活性化剤。
【選択図】なし
図1