(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】化粧料組成物、ホワイトニングジェル化粧料、目元用クリーム化粧料及びファンデーション用クリーム化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20220314BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20220314BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q19/02
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2021142072
(22)【出願日】2021-09-01
【審査請求日】2021-09-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500094543
【氏名又は名称】新日本製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】野村 知史
(72)【発明者】
【氏名】松本 大志
(72)【発明者】
【氏名】塘口 一光
(72)【発明者】
【氏名】浅田 裕法
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 優
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-189819(JP,A)
【文献】特開昭64-026579(JP,A)
【文献】特開2004-315389(JP,A)
【文献】国際公開第2007/074602(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221245(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/097134(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0257718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00-9/72
A61K47/00-47/69
A61K38/00-38/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含有量が全量基準で0.1~0.5%である人工グアニン結晶を含有する
化粧料組成物。
【請求項2】
含有量が全量基準で0.1~0.5%である人工グアニン結晶を含有する
ホワイトニングジェル化粧料。
【請求項3】
含有量が全量基準で0.1~0.5%である人工グアニン結晶を含有する
目元用クリーム化粧料。
【請求項4】
含有量が全量基準で0.1~0.5%である人工グアニン結晶を含有する
ファンデーション用クリーム化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料組成物、ホワイトニングジェル化粧料、目元用クリーム化粧料及びファンデーション用クリーム化粧料に関する。詳しくは、グアニン結晶を含み、機能性に優れた化粧料組成物、ホワイトニングジェル化粧料、目元用クリーム化粧料及びファンデーション用クリーム化粧料に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧水、乳液、クリーム、ジェル等の化粧料に対して、肌の色味を明るく見せるトーンアップ効果、皮膚の黒化や色素沈着によるしみ、くすみ、または、しわ等を目立たなくするカバー効果やソフトフォーカス効果、また、しみやたるみの予防のための保湿効果等を付与させることが行われており、種々の原料が化粧料に配合されている。
【0003】
ここで、ソフトフォーカス効果に優れた原料を配合して、カバー力、毛穴ぼかし効果、素肌感・透明感、滑らかな密着感において優れた効果を発揮することを試みた化粧料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載の化粧料では、ソフトフォーカス効果に優れた原料として、平均一次粒子径が5μm以下で、全粒子の90体積%以上の粒子の一次粒子径が2~7μmの範囲にあり、球形の最長径と最短径の比率(最長径/最短径)が1.0~2.5の範囲にあり、20質量%のシリコンオイルペーストのヘイズ値が70%以上で、かつ、全透過光率が95%以上である球状セルロース粉体が、化粧料に配合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の化粧料を含め、従前の化粧料では、トーンアップ効果、ソフトフォーカス効果、カバー効果等に改善の余地があった。即ち、これらの化粧料において好ましい効果を、より一層向上させることが望まれている。
【0007】
また、トーンアップ効果等を高めるだけでなく、同時に、しみやたるみの予防のための保湿効果等を担保することも重要である。
【0008】
また、本発明では、生物由来のグアニン結晶が、耐候性、耐熱性に優れ、かつ、無毒性であり、また、高い反射率と透過性を有することに着目し、グアニン結晶を化粧料の原料として活用することにつき、鋭意検討を行った。
【0009】
つまり、グアニン結晶を、安全性に優れ、化粧料に光コントロール効果等を付与し、トーントーンアップ効果等の好ましい機能を向上させる機能性材料として利用しうると考えた。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、グアニン結晶を含み、機能性に優れた化粧料組成物、ホワイトニングジェル化粧料、目元用クリーム化粧料及びファンデーション用クリーム化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の化粧料組成物は、含有量が全量基準で0.1~0.5%であるグアニン結晶を含有するように構成されている。
【0012】
ここで、グアニン結晶を含有することによって、化粧料において、肌の色味を明るく見せるトーンアップ効果、しみ、くすみ、または、しわ等を覆って目立たなくするカバー効果、しわ等をぼかして、目立たなくするソフトフォーカス効果及び保湿性を向上させることができる。
【0013】
また、グアニン結晶の含有量が全量基準で0.1~0.5%であることによって、化粧料における、トーンアップ効果、カバー効果、ソフトフォーカス効果、及び、保湿性を向上させつつ、グアニン結晶を添加したことによる化粧料の呈色や、粘度の増加を抑えることができる。また、化粧料における伸びを良好なものにし、ぼそぼそした使用感が生じにくくすることができる。
【0014】
ここで、グアニン結晶の含有量が全量基準で0.1%未満である場合には、化粧料に対して、トーンアップ効果、カバー効果、ソフトフォーカス効果、及び、保湿性を充分に付与できなくなってしまう。また、グアニン結晶が、含有量が全量基準で0.5%を超える場合には、化粧料において、グアニン結晶に由来する白色がより強く表れ、薄いピンク色や肌色等、化粧料の種類に応じた所望の色味が維持できない程度に呈色し、化粧料の使用感に影響が表れるほど、粘度が増加してしまう。また、化粧料における伸びが悪くなり、ぼそぼそした使用感が生じてしまう。
【0015】
また、剤形が、化粧水、乳液、クリーム、ジェルのいずれかである場合には、化粧水、乳液、クリーム、ジェルのそれぞれの化粧料に対して、トーンアップ効果、カバー効果、ソフトフォーカス効果、及び、保湿性を向上させることができる。
【0016】
また、グアニン結晶は、平均粒径が5μm以下であり、かつ、d90%が10μm以下で、比表面積が12m2/g以上の大きさである場合には、グアニン結晶を添加したことにより生じる、化粧料におけるざらつき等を低減し、より一層使用感を良好なものにすることができる。なお、ここでいうd90%とは、対象となる数値サイズ以下の粒子の比率が90%である粒径を意味する。
【0017】
また、水と、グリセリンと、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2と、1,3-ブチレングリコールと、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルと、ジメチコンと、シア脂と、ペンチレングリコールと、ヒマワリ種子油と、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーと、ベヘニルアルコールと、アラキジルアルコールと、スクワランと、コメヌカ油脂肪酸フィトステリルと、シリカと、ジメチルシリル化シリカを含有する場合には、目元ケア用の化粧料に対して、トーンアップ効果、カバー効果、ソフトフォーカス効果及び保湿性を、充分に向上させることができる。
【0018】
また、シクロペンタシロキサンと、酸化チタンと、カプリリルメチコンと、酸化亜鉛と、1,3-ブチレングリコールと、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルと、グリセリンと、PEG-10ジメチコンと、PEG/PPG-19/19ジメチコンと、タルクと、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンと、トリエチルヘキサノインと、硫酸マグネシウムとラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンと、シリカと、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジエチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーと、フェノキシエタノールと、メチコンと、硫酸バリウムと、ポリメチルシルセスキオキサンと、アルミナを含有し、グアニン結晶の含有量が全量基準で0.2~0.5%である場合には、ファンデーション用の化粧料に対して、カバー効果、及び、保湿性を充分に向上させることができる。
【0019】
また、水と、無水ケイ酸と、ベヘニルアルコールと、シリル化処理無水ケイ酸と、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリルと、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.)と、スクワランと、濃グリセリンと、1,3-ブチレングリコールと、1,2-ペンタンジオールと、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテルと、メチルポリシロキサンと、サラシミツロウと、モノミリスチン酸デカグリセリルと、親油型モノステアリン酸グリセリルと、粘度調整剤と、天然ビタミンEと、ピロ亜硫酸ナトリウムと、ジエチレントリアミン五酢酸と、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液と、フェノキシエタノールと、アルブチンと、トラネキサム酸を含有する場合には、オールインワンジェル用の化粧料に対して、トーンアップ効果、カバー効果、ソフトフォーカス効果及び保湿性を、充分に向上させることができる。
【0020】
また、シリカの含有量が全量基準で1~5%である場合には、目元ケア用の化粧料に対して、より一層、ソフトフォーカス効果を向上させることができる。また、使用時の感触や滑り感、吸水性、吸油性、及び、香料の徐放性を向上させることができる。
【0021】
また、シリカの含有量が全量基準で0.2~0.7%である場合には、ファンデーション用の化粧料に対して、より一層、ソフトフォーカス効果を向上させることができる。また、使用時の感触や滑り感、吸水性、吸油性、及び、香料の徐放性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る化粧料組成物、ホワイトニングジェル化粧料、目元用クリーム化粧料及びファンデーション用クリーム化粧料は、グアニン結晶を含み、機能性に優れたホワイトニングジェル化粧料、目元用クリーム化粧料及びファンデーション用クリーム化粧料を提供できるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明を適用したホワイトニングジェルにおけるトーンアップ効果の評価結果を示す写真データである。
【
図2】本発明を適用したホワイトニングジェルにおけるソフトフォーカス効果の評価結果を示す写真データである。
【
図3】本発明を適用したホワイトニングジェルにおけるカバー効果の評価結果を示す写真データである。
【
図4】本発明を適用した目元用クリーム化粧料におけるトーンアップ効果の評価結果を示す写真データである。
【
図5】本発明を適用した目元用クリーム化粧料におけるソフトフォーカス効果の評価結果を示す写真データである。
【
図6】本発明を適用した目元用クリーム化粧料におけるカバー効果の評価結果を示す写真データである。
【
図7】本発明を適用したファンデーション用クリーム化粧料におけるカバー効果の評価結果を示す写真データである。
【
図8】(a)は、人工グアニン結晶を顕微鏡により撮影した写真データであり、(b)は、原料グアニン結晶を顕微鏡により撮影した写真データである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用した化粧料組成物の一例であるホワイトニングジェルの組成について説明する。
【0025】
ここで示すホワイトニングジェルは、全量基準で重量比率が、濃グリセリン:5.0%、1,3-ブチレングリコール:3.0%、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:2.5%、メチルポリシロキサン:2.5%、スクワラン:2.25%、1,2-ペンタンジオール:2.0%、モノミリスチン酸デカグリセリル:0.9%、ベヘニルアルコール:0.8%、サラシミツロウ:0.8%、親油型モノステアリン酸グリセリル:0.8%、粘度調整剤:0.61%、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.):0.50%、フェノキシエタノール:0.3%、グアニン結晶:0.1~0.5%、ジエチレントリアミン五酢酸:0.08%、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液:0.05%、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル:0.05%、天然ビタミンE:0.05%、シリル化処理無水ケイ酸:0.04%、無水ケイ酸:0.01%、ピロ亜硫酸ナトリウム:0.01%、アルブチン:適量、トラネキサム酸:適量、精製水:残量、を含む組成を有している。上記組成では、ジェル状の化粧料が得られるものとなる。
【0026】
グアニン結晶は、特徴成分であり、ホワイトニングジェルに対して、トーンアップ効果、カバー効果、ソフトフォーカス効果を付与する、または、これらの好ましい作用を向上させる成分である。また、グアニン結晶は、ホワイトニングジェルに対して、保水性を向上させる成分である。
【0027】
また、グアニン結晶は、平均粒径が5μm以下であり、かつ、d90%が10μm以下で、比表面積が12m2/g以上の大きさである。また、グアニン結晶は、DNA由来のグアニン塩基を溶媒に入れ、再結晶化した人工グアニン結晶である。また、この人工グアニン結晶は、後述する、合成グアニン結晶の製造方法に記載した方法で製造されたものである。
【0028】
また、本発明を適用した化粧料組成物の一例であるホワイトニングジェルに含まれる人工グアニン結晶を顕微鏡により撮影した写真を
図8(a)に示す。また、
図8(b)には、
後述するホワイトニングジェルの組成に含まれるグアニン結晶(人工グアニン結晶)の製造方法の一例において、製造工程に供する前の原料グアニン結晶(例えば、大きさ:5×20μm程度)を顕微鏡により撮影した写真を示す。
【0029】
ここで、必ずしも、本発明を適用した化粧料において、人工グアニン結晶(平均粒径が5μm以下であり、かつ、d90%が10μm以下で、比表面積が12m2/g以上の大きさである)を採用する必要はない。例えば、魚の鱗や皮から抽出した魚由来の天然グアニン結晶(例えば、大きさ:5×20μm程度)を原料として用いることもできる。但し、化粧料におけるざらつき等を低減し、より一層使用感を良好なものにすることができる点から、人工グアニン結晶(平均粒径が5μm以下であり、かつ、d90%が10μm以下で、比表面積が12m2/g以上の大きさである)を採用することが好ましい。
【0030】
精製水は、ホワイトニングジェルの基剤であり、上述した各種成分を含めて、ホワイトニングジェルの全量を100%に調整する。
【0031】
濃グリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール及びグリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテルは、湿潤剤及び保湿剤である。本発明を適用したホワイトニングジェルでは、湿潤剤及び保湿剤として、上記の成分以外にも、例えば、ジグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0032】
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、スクワラン、ベヘニルアルコール、及び、サラシミツロウは、保湿効果を有し、エモリエント剤として用いられる成分である。本発明を適用したホワイトニングジェルでは、エモリエント剤として、上記の成分以外にも、例えば、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、水添ポリイソブテン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸セチル等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0033】
また、本発明を適用したホワイトニングジェルでは、サラシミツロウ以外にも、エモリエント剤として、例えば、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、モンタンワックス、オゾケライト等を採用、または、追加で配合することも可能である。また、ベヘニルアルコール以外にも、エモリエント剤として、例えば、高級アルコールであるステアリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ミリスチルアルコール等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0034】
メチルポリシロキサンは、消泡作用を持つシリコーンの1種であり、化粧料の感触改良剤となる。本発明を適用したホワイトニングジェルでは、メチルポリシロキサン以外にも、シリコーンとして、例えば、シクロペンタシロキサン、トリシロキサン、ジメチコノール、フェニルトリメチコン、ジメチコン等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0035】
モノミリスチン酸デカグリセリル、及び、親油型モノステアリン酸グリセリルは、界面活性剤である。
【0036】
また、本発明を適用したホワイトニングジェルでは、界面活性剤として、上記の成分以外にも、例えば、レシチン誘導体として、レシチン、水添レシチンを、プロピレングリコール脂肪酸エステルとして、ステアリン酸PG(SE)、ステアリン酸PGを、グリセリン脂肪酸エステルとして、ミリスチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ソルビタン、オレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリルを、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、ステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、リノール酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-10を、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとして、ステアリン酸PEG-5グリセリル、ステアリン酸PEG-15グリセリル、オレイン酸PEG-5グリセリル、オレイン酸PEG-15グリセリル、鶏イソステアリン酸PEG-20グリセリルを、ソルビタン脂肪酸エステルとして、ヤシ脂肪酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンを、ポリオキシエチレンソルビタン酸脂肪酸エステルとして、PEG-20ソルビタンココエート、ポリソルベート40、ステアリン酸PEG-6ソルビタン、ポリソルベート65、イソステアリン酸PEG-20ソルビタン、ポリソルベート80、オレイン酸PEG-6ソルビタン、ポリソルベート85を、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとして、ラウリン酸ソルベス-6、テトラステアリン酸ソルベス-60、テトラオレイン酸ソルベス-6、テトラオレイン酸ソルベス-30、テトラオレイン酸ソルベス-40、テトラオレイン酸ソルベス-60、テトライソステアリン酸ソルベス-30ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、水素添加ステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを、それぞれ採用、または、追加で配合することも可能である。
【0037】
粘度調整剤は、ホワイトニングジェルに適度な粘性を付与するものとなる。粘度調整剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、アクリレーツコポリマーNa、アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー、天然高分子(増粘剤)のカラギーナン、寒天、ローカストビーンガム、キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム、ジェランガム、タマリンドガム等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0038】
また、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.)は、保湿剤となる。ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.)は、水溶性の油分であり、オリーブ油、油脂や、スクワレン、ワセリン等の油性基剤に比べて、配合しても使用感を損ないにくい性質を有している。また、水、アルコール、油脂、エステル油などとも相溶性がある成分である。
【0039】
フェノキシエタノールは、防腐剤である。本発明を適用したホワイトニングジェルでは、フェノキシエタノール以外にも、防腐剤として、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0040】
ジエチレントリアミン五酢酸、及び、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液は、キレート剤である。本発明を適用したホワイトニングジェルでは、上記の成分以外にも、例えば、エチドロン酸、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、L-アスパラギン酸二酢酸、ニトリロ三酢酸又はその塩、L-グルタミン酸二酢酸等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0041】
天然ビタミンE、及び、ピロ亜硫酸ナトリウムは、安定化剤であり、酸化防止剤として機能するものである。本発明を適用したホワイトニングジェルでは、上記の成分以外にも、例えば、dl-α‐トコフェロール、ビタミンC(アスコルビン酸)、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、システアミンHCl、システイン等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0042】
シリル化処理無水ケイ酸は、体質顔料の一種であるシリカ表面の水シラノール基(親水性)の一部を、トリメチルシリル基(疎水性)に置換した疎水性シリカ誘導体である。シリル化処理無水ケイ酸は、疎水性増粘や充填(製品の機能や効果に変化を与えることなく容量を増すために添加される物質)機能を有する基材である。本発明を適用したホワイトニングジェルでは、シリル化処理無水ケイ酸以外にも、疎水性増粘の基材として、例えば、クオタニウム-18ベントナイト(ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト)、ステアラルコニウムベントナイトを採用、または、追加で配合することも可能である。また、充填の基材として、例えば、メタクリル酸メチルクロスポリマー(ポリアクリル酸アルキル)、ポリメタクリル酸メチル(ポリアクリル酸アルキル)を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0043】
無水ケイ酸は、ベアリング効果及びチキソトロピー性による感触改良、光散乱によるソフトフォーカス効果、遊色効果、表面処理、スクラブ、抗炎症作用機能を有する基材である。本発明を適用したホワイトニングジェルでは、無水ケイ酸以外にも、ソフトフォーカス効果用の基材として、例えば、ポリメチルシルセスキオキサン(メチルシロキサン網状重合体)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(架橋型メチルポリシロキサン)を採用、または、追加で配合することも可能である。また、表面処理用の基材として、ラウロイルリシン、テトラデセンを採用、または、追加で配合することも可能である。さらに、スクラブ用の基材であれば、ポリエチレン(ポリエチレンワックス)、ヒドロキシプロピルセルロース等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0044】
アルブチン、及び、トラネキサム酸は、美白作用を付与する特徴成分の1つである。また、トラネキサム酸は、抗炎症作用も付与するものである。
【0045】
また、本発明を適用したホワイトニングジェルでは、アルブチン以外にも、美白の特徴成分として、例えば、エラグ酸、カミツレエキス、コウジ酸、トラネキサム酸、ビタミンC誘導体、プラセンタエキス、ルシノール、リノール酸、t-シクロアミノ酸、4-メトキシサリチル酸カリウム塩等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0046】
また、本発明を適用したホワイトニングジェルでは、トラネキサム酸以外にも、美白の特徴成分または抗炎症作用を付与する成分として、例えば、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム等を採用、または、追加で配合することも可能である。
【0047】
また、ここで示すホワイトニングジェルの組成は、化粧料組成物の一例に過ぎず、その他の成分や異なる配合量を適宜設定することが可能である。例えば、上記以外に、製剤の種類、用途に合わせて、キレート剤(金属イオン封鎖剤)、収れん剤、殺菌剤、皮膚賦活剤(ビタミン類、アミノ酸及びアミノ酸誘導体)、消炎剤、美白剤(ビタミンC誘導体等)、植物エキス、及び、香料等の添加剤を含むことが可能である。また、必要に応じて着色料も配合することも可能である。
【0048】
ここで、グアニン結晶の配合量は、ホワイトニングジェルの全量基準で0.1~0.5%となっている。グアニン結晶の配合量を、ホワイトニングジェルの全量基準で0.1~0.5%に設定したことで、ホワイトニングジェル、例えば、オールインワンジェル用の化粧料に対して、トーンアップ効果、カバー効果、ソフトフォーカス効果及び保湿性を、充分に向上させることが可能となる。
【0049】
一方、グアニン結晶が、含有量が全量基準で0.1%未満である場合には、化粧料に対して、トーンアップ効果、カバー効果、ソフトフォーカス効果、及び、保湿性を充分に付与できなくなってしまう。また、グアニン結晶が、含有量が全量基準で0.5%を超える場合には、化粧料において、白色や透明色が維持できない程度に呈色し、化粧料の使用感に影響が表れるほど、粘度が増加してしまう。また、化粧料における伸びが悪くなり、ぼそぼそした使用感が生じてしまう。
【0050】
続いて、上述したホワイトニングジェルの組成に含まれるグアニン結晶(人工グアニン結晶)の製造方法の一例について説明する。ここで、製造方法の一例として、特願2019-97478号(グアニン結晶の製造方法)に準じて合成を行った。
【0051】
本事例での手順の一例は以下のとおりである。
(1)NaOHを2g取り、水10gを加え、NaOH溶液を調整する。
(2)NaOH溶液にグアニン3gを加え、良く振る。
(3)上記(2)の液に水25gを加え、グアニンを完全に溶解し、更に水35gを加え、グアニンNa塩溶液とした。
(4)ビーカーに水350gを入れ、NaOHでpH8.5とし、撹拌を行いながらグアニンNa塩溶液を滴下した。この時、塩酸溶液を用い、pH8.5~8.7を維持した。
(5)グアニンNa塩溶液の滴下終了後、pH7.8に調整した。
(6)水洗、ろ過、乾燥を行い、グアニン結晶を得た。
【0052】
得られたグアニン結晶は、平均粒径:3.0μm、d90%:6.3μm、比表面積:21m2/gであった。また、得られたグアニン結晶は、薄型平板状結晶であった。なお、粒子径及び粒子径分布の測定には、粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製:マイクロトラック MT-3000)を用いた。また、比表面積の測定には、全自動比表面積測定装置(Mountech社製:Automatic Surface Area Analyzer Macsorb 型式HM model-1208)を用いた。
【0053】
また、粒子径分布測定装置による平均粒径の計測の際には、得られたグアニン結晶に対して、湿式で分散処理を行い、粒子径分布測定装置で測定を行った。平均粒径の値における計測基準は、レーザー回折・散乱式による、体積基準の球形換算径として算出した値とした。また、得られたグアニン結晶は、薄型平板状結晶であるため、比表面積により形状を示した。
【0054】
また、上記の流れで得られたグアニン結晶(人工グアニン結晶)は、化粧水、乳液、クリーム、ジェル等の、種々の剤形の化粧料を構成する各種成分と混合して、本発明を適用した化粧料組成物とすることができる。
【0055】
以上のとおり、本発明を適用した化粧料組成物は、グアニン結晶を含み、機能性に優れた化粧料組成物を提供できるものとなっている。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0057】
まず、本発明を適用した化粧料組成物の一例として、以下の表1に示すホワイトニングジェルを作製した。表1に示すホワイトニングジェルは、オールインワンジェル用の化粧料となる。
【0058】
【0059】
[グアニン結晶の配合量について]
上記の表1に示すホワイトニングジェルについて、グアニン結晶の配合量0.1%を実施例1、配合量0.2%を実施例2、グアニン結晶の配合量0.3%を実施例3、グアニン結晶の配合量0.4%を実施例4、グアニン結晶の配合量0.5%を実施例5とした。また、上記の表1に示すホワイトニングジェルの組成とグアニン結晶及び水以外の成分を同じにして、グアニン結晶の配合量を1%にしたものを比較例1、グアニン結晶の配合量を2.5%にしたものを比較例2、グアニン結晶の配合量を5%にしたものを比較例3とした。
これらの実施例1~5及び比較例1~3について、各ホワイトニングジェルの外観または性状を評価した。具体的には、化粧料の色、粘度、肌に塗布した際の伸び、及び、肌に塗布した際のボソボソした好ましくない使用感の有無、の各項目について評価を行った。
なお、各項目の評価結果は、影響なし(表2では〇で表示)、影響があるが使用に問題なし(表2では△で表示)、影響があり基材の特性を失っている(表2では×で表示)の三段階で評価した。
【0060】
【0061】
表2に示すように、実施例1~4では、色、粘度、伸び、及び、ボソボソした使用感の各項目で、影響なしの結果となった。また、実施例5では、伸び、及び、ボソボソした使用感の各項目で、影響なしの結果となり、色及び粘度で、影響があるが使用に問題なしの結果となった。一方、比較例1~3では、いずれも、色及び粘度の各項目で、影響があり基材の特性を失っているとの結果となった。また、比較例2及び比較例3では、ボソボソした使用感の項目で、影響があり基材の特性を失っているとの結果となった。
【0062】
[トーンアップ効果]
肌に塗布した際の機能性の評価として、実施例1~5について、手の甲に試料を塗布し、充分に乾燥させた後に、試料の塗布領域とその周辺の輝度を二次元輝度計で測定して、肌の色味が明るく見える効果(トーンアップ効果)について評価を行った。また、トーンアップ効果については、二次元輝度計を介して撮像した画像を用いて評価した。なお、上記の表1に示すホワイトニングジェルの組成とグアニン結晶及び水以外の成分を同じにして、グアニン結晶を配合しなかったもの(0%)を比較例4とした。
評価結果の画像を
図1に示す。なお、
図1において、(a)は、試料の塗布範囲(符号Rを付した範囲)を示す画像である。また、(b)は、比較例4の結果である。また、(c)~(g)は、それぞれ、実施例1~5に対応する結果である。
図1の各画像の右横には、輝度の程度を示すスケールバーが表示されている。
【0063】
図1に示すように、実施例1~5において、試料の塗布範囲が、比較例4の塗布範囲よりも明るく見える結果となり、実施例1~5において、ホワイトニングジェルのトーンアップ効果の向上が確認された。
【0064】
[ソフトフォーカス効果]
肌に塗布した際の機能性の評価として、実施例1~5及び比較例4について、文字を記入したフィルムに試料を塗布し、フィルムの文字がぼやけて見えるかどうかを確認して、ソフトフォーカス効果について、評価を行った。
評価結果の画像を
図2に示す。なお、
図2において、(a)は、試料を塗布していないフィルムを示す画像である。また、(b)は、比較例4の結果である。また、(c)~(g)は、それぞれ、実施例1~5に対応する結果である。
【0065】
図2に示すように、実施例1~5において、試料を塗布したフィルムの文字が、比較例4を塗布したフィルムの文字よりもぼやけて見える結果となった。また、グアニン結晶の配合量の濃度依存的に、文字のぼやけ方は強くなり、実施例4及び実施例5では、文字のぼやけが特に顕著であった。実施例1~5において、ホワイトニングジェルのソフトフォーカス効果の向上が確認された。
【0066】
[カバー効果]
肌に塗布した際の機能性の評価として、手の甲に、人工的なシミ(油性ペンで皮膚にマーキング)を作製し、シミの上部に試料を塗布し、充分に乾燥させた後に、試料の塗布領域とその周辺の輝度を二次元輝度計で測定して、シミを目立たなく見せる効果(カバー効果)について評価を行った。また、カバー効果については、二次元輝度計を介して撮像した画像を用いて評価した。
評価結果の画像を
図3に示す。なお、
図3において、(a)は、シミの作製範囲(符号Rを付した範囲)と、比較例4の結果を示す画像である。また、(b)は、実施例5に対応する結果である。
図3の各画像の右横には、輝度の程度を示すスケールバーが表示されている。
【0067】
図3に示すように、実施例5においてシミの部分が、比較例4を塗布したシミの部分よりも目立たない外観となっており、実施例5において、ホワイトニングジェルのカバー効果の向上が確認された。
【0068】
次に、本発明を適用した化粧料の一例として、以下の表3に示す目元用クリーム化粧料を作製した。
【0069】
【0070】
[グアニン結晶の配合量について]
上記の表3に示す目元用クリーム化粧料について、グアニン結晶の配合量0.1%を実施例6、配合量0.2%を実施例7、グアニン結晶の配合量0.3%を実施例8、グアニン結晶の配合量0.4%を実施例9、グアニン結晶の配合量0.5%を実施例10とした。また、上記の表3に示す目元用クリーム化粧料の組成とグアニン結晶及び水以外の成分を同じにして、グアニン結晶を配合しなかったもの(0%)を比較例5とした。
【0071】
[トーンアップ効果]
上述したホワイトニングジェルでの評価と同様に、実施例6~10及び比較例5について、トーンアップ効果について評価を行った。
評価結果の画像を
図4に示す。なお、
図4において、(a)は、試料の塗布範囲(符号Rを付した範囲)を示す画像である。また、(b)は、比較例5の結果である。また、(c)~(g)は、それぞれ、実施例6~10に対応する結果である。
図4の各画像の右横には、輝度の程度を示すスケールバーが表示されている。
【0072】
図4に示すように、実施例6~10において、試料の塗布範囲が、比較例5の塗布範囲よりも明るく見える結果となり、実施例1~5において、目元用クリーム化粧料のトーンアップ効果の向上が確認された。
【0073】
[ソフトフォーカス効果]
上述したホワイトニングジェルでの評価と同様に、実施例6~10及び比較例5について、ソフトフォーカス効果について評価を行った。
評価結果の画像を
図5に示す。なお、
図5において、(a)は、試料を塗布していないフィルムを示す画像である。また、(b)は、比較例5の結果である。また、(c)~(g)は、それぞれ、実施例6~10に対応する結果である。
【0074】
図5に示すように、比較例5においても、試料を塗布したフィルムの文字がややぼやけて見えた。これは、グアニン結晶を含まない従前の目元用クリーム化粧料の組成が有するソフトフォーカス効果と思われる。また、実施例6~10において、試料を塗布したフィルムの文字がぼやけて見えた。特に、実施例7~10において、グアニン結晶の濃度が大きくなるにつれて、比較例5を塗布したフィルムの文字よりも、より一層、ぼやけて見える結果となった。実施例6~10において、目元用クリーム化粧料のソフトフォーカス効果の向上が確認された。
【0075】
[カバー効果]
上述したホワイトニングジェルでの評価と同様に、実施例6~10及び比較例5について、カバー効果について評価を行った。
評価結果の画像を
図6に示す。なお、
図6において、(a)は、シミの作製範囲(符号Rを付した範囲)を示す画像である。また、(b)は、比較例5の結果である。また、(c)~(g)は、それぞれ、実施例6~10に対応する結果である。
図6の各画像の右横には、輝度の程度を示すスケールバーが表示されている。
【0076】
図6に示すように、比較例5においても、シミをやや目立たなくする結果が見られた。これは、グアニン結晶を含まない従前の目元用クリーム化粧料の組成が有するカバー効果と思われる。また、実施例6~10において、シミをやや目立たなくする結果が見られた。特に、実施例7~10において、グアニン結晶の濃度が大きくなるにつれて、比較例5を塗布したものよりも、より一層、シミが目立たない外観となった。実施例6~10において、目元用クリーム化粧料のカバー効果の向上が確認された。
【0077】
次に、本発明を適用した化粧料の一例として、以下の表4に示すファンデーション用クリーム化粧料を作製した。
【0078】
【0079】
[グアニン結晶の配合量について]
上記の表4に示すファンデーション用クリーム化粧料について、グアニン結晶の配合量0.1%を実施例11、配合量0.2%を実施例12、グアニン結晶の配合量0.3%を実施例13、グアニン結晶の配合量0.4%を実施例14、グアニン結晶の配合量0.5%を実施例15とした。また、上記の表4に示すファンデーション用クリーム化粧料の組成とグアニン結晶及び水以外の成分を同じにして、グアニン結晶を配合しなかったもの(0%)を比較例6とした。
【0080】
[カバー効果]
上述したホワイトニングジェルでの評価と同様に、実施例11~15及び比較例6について、カバー効果について評価を行った。
評価結果の画像を
図7に示す。なお、
図7において、(a)は、シミの作製範囲(符号Rを付した範囲)を示す画像である。また、(b)は、比較例6の結果である。また、(c)~(g)は、それぞれ、実施例11~15に対応する結果である。
図7の各画像の右横には、輝度の程度を示すスケールバーが表示されている。
【0081】
図7に示すように、実施例11~15において、比較例6よりもシミが目立たなくなる結果が見られた。特に、実施例12~15において、グアニン結晶の濃度が大きくなるにつれて、より一層、シミが目立たない外観となった。実施例11~15において、ファンデーション用クリーム化粧料のカバー効果の向上が確認された。
【0082】
[保水効果]
本発明を適用した化粧料の一例であるホワイトニングジェル、目元用クリーム化粧料、及び、ファンデーション用クリーム化粧料における保水効果について評価した。
【0083】
まず、ホワイトニングジェルについて、実施例1~5(グアニン結晶:0.1~0.5%)及び比較例4(グアニン結晶:0%)の各試料を肌に塗布して、塗布後、10分、30分、60分、90分、120分後の各タイミングにおける肌の水分蒸散量(g/m2/h)、及び、水分量(μs)を測定した。水分蒸散量、及び、水分量の測定は、COURAGE+KHAZAKA electronic社(ドイツ)製のキュートメーター(DUAL MPA580)を用いて測定した。また、プローブは、テヴァメーターTM300(水分蒸散量)、及び、コルネオメーターCM825(水分量)を使用した。評価結果を下記の表5及び表6に示す。
【0084】
【0085】
【0086】
表5に示すように、試料を塗布した後の各タイミングにおいて、実施例1~5では、比較例4に比べて、試料を塗布した肌からの水分蒸散量の値が小さくなっていた。また、グアニン結晶の配合量の濃度依存的に、水分蒸散量の値が小さくなる傾向が見られた。
【0087】
また、表6に示すように、試料を塗布した後の各タイミングにおいて、実施例1~5では、比較例4に比べて、試料を塗布した肌の水分量の値が大きくなっていた。また、グアニン結晶の配合量の濃度依存的に、水分量の値が大きくなる傾向が見られた。
【0088】
以上の結果から、本発明を適用したホワイトニングジェルにおいて、化粧料の保水効果の向上が確認された。
【0089】
また、本発明を適用したホワイトニングジェル、目元用クリーム化粧料、及び、ファンデーション用クリーム化粧料の各種類での保水効果の比較も行った。
ここでは、ホワイトニングジェルの実施例3(グアニン結晶:0.3%)と比較例4(グアニン結晶:0%)、目元用クリーム化粧料の実施例8(グアニン結晶:0.3%)と比較例5(グアニン結晶:0%)、ファンデーション用クリーム化粧料の実施例13(グアニン結晶:0.3%)と比較例6(グアニン結晶:0%)について評価した。保水効果の評価は、上述した肌の水分蒸散量(g/m2/h)、及び、水分量(μs)を測定することで行った。
【0090】
【0091】
【0092】
表7に示すように、試料を塗布した後の各タイミングにおいて、実施例3は、比較例4に比べて、試料を塗布した肌からの水分蒸散量の値が小さくなっていた。また、実施例8は、比較例5に比べて、試料を塗布した肌からの水分蒸散量の値が小さくなっていた。また、実施例13は、比較例6に比べて、試料を塗布した肌からの水分蒸散量の値が小さくなっていた。
【0093】
また、表8に示すように、試料を塗布した後の各タイミングにおいて、実施例3は、比較例4に比べて、試料を塗布した肌の水分量の値が大きくなっていた。また、実施例8は、比較例5に比べて、試料を塗布した肌の水分量の値が大きくなっていた。また、実施例13は、比較例6に比べて、試料を塗布した肌の水分量の値が大きくなっていた。
【0094】
以上の結果から、本発明を適用したホワイトニングジェル、目元用クリーム化粧料、及び、ファンデーション用クリーム化粧料の各種類において、化粧料の保水効果の向上が確認された。
【0095】
また、以下では、本発明を適用した化粧料組成物の製造方法で製造した各種化粧料の一例を示す。
【0096】
【0097】
【要約】 (修正有)
【課題】グアニン結晶を含み、機能性に優れた化粧料組成物を提供する。
【解決手段】化粧料組成物は、含有量が全量基準で0.1~0.5%であるグアニン結晶を含有する。一例であるホワイトニングジェルは、濃グリセリン、1,3-ブチレングリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、メチルポリシロキサン、スクワラン、1,2-ペンタンジオール、モノミリスチン酸デカグリセリル、ベヘニルアルコール、サラシミツロウ、親油型モノステアリン酸グリセリル、粘度調整剤、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、フェノキシエタノール、グアニン結晶、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル、天然ビタミンE、シリル化処理無水ケイ酸、無水ケイ酸等を含む組成を有している。上記組成では、ジェル状の化粧料が得られる。
【選択図】
図3