(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-11
(45)【発行日】2022-03-22
(54)【発明の名称】核燃料デブリコンテナ
(51)【国際特許分類】
G21F 5/005 20060101AFI20220314BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20220314BHJP
G21F 5/012 20060101ALI20220314BHJP
G21F 5/06 20060101ALI20220314BHJP
G21F 5/12 20060101ALI20220314BHJP
G21C 19/06 20060101ALI20220314BHJP
G21C 19/40 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G21F5/005
G21F9/36 501A
G21F9/36 501C
G21F9/36 501F
G21F9/36 501G
G21F9/36 501H
G21F5/012
G21F5/06 G
G21F5/12 D
G21C19/06 300
G21C19/06 400
G21C19/40 200
(21)【出願番号】P 2018533068
(86)(22)【出願日】2017-03-02
(86)【国際出願番号】 US2017020383
(87)【国際公開番号】W WO2017184261
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2018-08-10
(32)【優先日】2016-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506121386
【氏名又は名称】エヌエーシー インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(72)【発明者】
【氏名】ウェルウッド, ジェイ, ジー.
(72)【発明者】
【氏名】カーヴァー, ジョージ, シー.
(72)【発明者】
【氏名】シュトリマン, ヴァディム, ゼット.
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0077728(US,A1)
【文献】特開2014-016323(JP,A)
【文献】特表平08-507382(JP,A)
【文献】特開2015-034722(JP,A)
【文献】特表平08-507381(JP,A)
【文献】特開2014-095569(JP,A)
【文献】特表2014-529737(JP,A)
【文献】米国特許第05646971(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0069274(US,A1)
【文献】米国特許第05651038(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0039235(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0284506(US,A1)
【文献】米国特許第04666659(US,A)
【文献】米国特許第05898747(US,A)
【文献】国際公開第2007/132863(WO,A1)
【文献】臨界安全ハンドブック,第2版,日本,日本原子力研究所,1999年03月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 5/005
G21F 9/36
G21F 5/012
G21F 5/06
G21F 5/12
G21C 19/06
G21C 19/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性デブリが核臨界に達し得ないよう前記放射性デブリを安全に格納するためのコンテナであって、前記コンテナは水中または空気中にあり、前記コンテナは、
上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、前記下端に設けられた平板状底部と、前記上端に設けられた開放上部と、前記開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有するオーバパックと、
前記オーバパックの内部に設けられたバスケットと、
前記バスケットの内部においてその長手方向に沿って互いに平行な複数の長尺円筒状キャニスタであって、前記複数のキャニスタのそれぞれが、上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、前記下端に設けられた平板状底部と、前記上端に設けられた開放上部と、前記開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有し、前記キャニスタのそれぞれが約49.5センチメートル(cm)以下の内径を有しかつ約381.0cm以下の内側軸方向長さを有する、複数の長尺円筒状キャニスタと、
前記複数のキャニスタのうちの少なくともひとつのキャニスタ内の放射性デブリであって、前記放射性デブリが二酸化ウラン(UO2)燃料を含み、該二酸化ウラン燃料の量が約100キログラム(kg)以下であり、かつ、前記UO2燃料の初期濃縮が約3.7パーセント以下である、放射性デブリと、
前記複数のキャニスタのうちの少なくともひとつの内部に設けられた長尺フラックストラップと、を備え、
前記フラックストラップは前記キャニスタの内側が複数のセクタに分割されるようにし、前記フラックストラップは前記複数のセクタの間での中性子の動きをゆっくりにするよう設計され、
前記フラックストラップは該フラックストラップの長手方向に沿う複数のスポークを伴う十字形の断面を有し、前記複数のスポークのそれぞれが内側空き領域を有し、前記空き領域が中性子アブソーバと揃えられており、前記コンテナが水中にある場合には前記空き領域が水で満たされ、前記コンテナが水から取り出されて排水された場合には前記空き領域が空気で満たされ、前記断面における前記空き領域の幅が約2.54cm以上であ
り、
前記フラックストラップはステンレス鋼製であるコンテナ。
【請求項2】
前記バスケットが、
前記複数の長尺円筒状キャニスタを囲う複数の互いに離間した囲い板であって、前記複数の囲い板のそれぞれが複数の円形開口を有し、前記複数の開口のそれぞれがそこを貫通する対応するキャニスタを有する、複数の互いに離間した囲い板と、
前記バスケットの周りに等間隔に設けられ、前記複数の長尺円筒状キャニスタに沿って延びる複数の長尺持ち上げ棒であって、前記棒のそれぞれが上端と下端とを有し、前記複数の棒が前記複数の板に取り付けられている、複数の長尺持ち上げ棒と、をさらに備える請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
それぞれが前記複数の棒の対応する上端に設けられた複数のアイフックをさらに備える請求項2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記複数の長尺円筒状キャニスタは五つある請求項1に記載のコンテナ。
【請求項5】
全ての部材がステンレス鋼製である請求項1に記載のコンテナ。
【請求項6】
前記複数のセクタのうちの少なくともひとつは少なくともひとつの核燃料棒アセンブリの全体または一部を含む請求項1に記載のコンテナ。
【請求項7】
前記複数のキャニスタおよび前記オーバパックのそれぞれは、前記コンテナからの排水を可能とするために、その対応する下端に設けられた対応するフィルタ付きドレインを含む請求項1に記載のコンテナ。
【請求項8】
前記複数のキャニスタおよび前記オーバパックのそれぞれは、放射性気体が前記コンテナから逃れることを防止しつつ水素が前記コンテナから逃れることを可能とするために、その対応する上端に設けられた対応するフィルタ付きベントを含む請求項1に記載のコンテナ。
【請求項9】
前記コンテナが輸送構成にあるときに前記オーバパックのベントをシールする板をさらに備える請求項8に記載のコンテナ。
【請求項10】
前記複数の長尺円筒状キャニスタのそれぞれの移動を可能とするために、当該長尺円筒状キャニスタの前記開放上部および前記円板状蓋のそれぞれが複数のL字形状の凹部を含む請求項1に記載のコンテナ。
【請求項11】
核デブリが核臨界に達し得ないよう前記核デブリを安全に格納するためのキャニスタであって、前記キャニスタは水中または空気中にあり、前記キャニスタは、
上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、前記下端に設けられた平板状底部と、前記上端に設けられた開放上部と、前記開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を備え、前記キャニスタが約49.5センチメートル(cm)以下の内径を有しかつ約381.0cm以下の内側軸方向長さを有し、
前記キャニスタは、
前記キャニスタ内の放射性デブリであって、前記放射性デブリが二酸化ウラン(UO2)燃料を含み、該二酸化ウラン燃料の量が約100キログラム(kg)以下であり、かつ、前記UO2燃料の初期濃縮が約3.7パーセント以下である、放射性デブリと、
前記キャニスタの内部に設けられた長尺フラックストラップと、を備え、
前記フラックストラップは前記キャニスタの内側が複数のセクタに分割されるようにし、前記フラックストラップは前記複数のセクタの間での中性子の動きをゆっくりにするよう設計され、
前記フラックストラップは該フラックストラップの長手方向に沿う複数のスポークを伴う十字形の断面を有し、前記複数のスポークのそれぞれが内側空き領域を有し、前記空き領域が中性子アブソーバと揃えられており、前記キャニスタが水中にある場合には前記空き領域が水で満たされ、前記キャニスタが水から取り出されて排水された場合には前記空き領域が空気で満たされ、前記断面における前記空き領域の幅が約2.54cm以上であ
り、
前記フラックストラップはステンレス鋼製であるキャニスタ。
【請求項12】
バスケットであって、
前記バスケットの内部においてその長手方向に沿って互いに平行な、請求項11に記載の複数のキャニスタと、
前記複数の長尺円筒状キャニスタを囲う複数の互いに離間した囲い板であって、前記複数の囲い板のそれぞれが複数の円形開口を有し、前記複数の開口のそれぞれがそこを貫通する対応するキャニスタを有する、複数の互いに離間した囲い板と、
前記バスケットの周りに等間隔に設けられ、前記複数の長尺円筒状キャニスタに沿って延びる複数の長尺棒であって、前記棒のそれぞれが上端と下端とを有し、前記複数の棒が前記複数の板に取り付けられている、複数の棒と、を備えるバスケット。
【請求項13】
それぞれが前記複数の棒の対応する上端に設けられた複数のアイフックをさらに備える請求項12に記載のバスケット。
【請求項14】
上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、前記下端に設けられた平板状底部と、前記上端に設けられた開放上部と、前記開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有するオーバパックと、
前記オーバパックの内部に設けられた請求項12に記載のバスケットと、を備えるコンテナ。
【請求項15】
前記キャニスタからの排水を可能とするための、前記下端に設けられたドレインと、放射性気体が前記キャニスタから逃れることを防止しつつ水素が前記キャニスタから逃れることを可能とするための、前記上端に設けられたフィルタ付きベントと、をさらに備える請求項11に記載のキャニスタ。
【請求項16】
放射性デブリが臨界に達し得ないよう前記放射性デブリを安全に格納するためのコンテナであって、前記コンテナは水中または空気中にあり、前記コンテナは、
上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、前記下端に設けられた平板状底部と、前記上端に設けられた開放上部と、前記開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有するオーバパックと、
前記オーバパックの内部に設けられたバスケットと、
前記バスケットの内部においてその長手方向に沿って互いに平行な複数の長尺円筒状キャニスタであって、前記複数のキャニスタのそれぞれが、上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、前記下端に設けられた平板状底部と、前記上端に設けられた開放上部と、前記開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有し、前記キャニスタのそれぞれが約49.5センチメートル(cm)以下の内径を有しかつ約381.0cm以下の内側軸方向長さを有する、複数の長尺円筒状キャニスタと、
前記複数のキャニスタのうちの少なくともひとつのキャニスタの内部に設けられた長尺フラックストラップであって、前記フラックストラップは前記キャニスタの内側が複数のセクタに分割されるようにし、前記フラックストラップは中性子の動きをゆっくりにするための内側空き領域を有する、長尺フラックストラップと、
前記少なくともひとつのキャニスタ内の放射性デブリであって、前記放射性デブリが二酸化ウラン(UO2)燃料を含み、該二酸化ウラン燃料の量が任意でありかつその初期濃縮も任意である、放射性デブリと、
前記少なくともひとつのキャニスタの中にある、少なくともひとつの核燃料棒アセンブリの全体または一部と、を備え、
前記フラックストラップは該フラックストラップの長手方向に沿う複数のスポークを伴う十字形の断面を有し、前記複数のスポークのそれぞれが前記内側空き領域を有し、前記空き領域が中性子アブソーバと揃えられており、前記コンテナが水中にある場合には前記空き領域が水で満たされ、前記コンテナが水から取り出されて排水された場合には前記空き領域が空気で満たされ、前記断面における前記空き領域の幅が約2.54cm以上であ
り、
前記フラックストラップはステンレス鋼製であるコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2016年3月2日に出願された米国特許仮出願第62/302,363号の優先権の利益を享受する。その出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示の実施の形態は主に、炉心溶融物や核燃料棒アセンブリやそのパーツなどの放射性デブリを安全に格納することに関する。
【背景技術】
【0003】
日本の東京電力(TEPCO)により所有され運用されている福島第一原子力発電所(IF)第一号機から第三号機は、2011年3月11日に発生した東日本大震災により甚大な被害を被った。1F原子炉内の核燃料は溶融し、その結果、原子炉圧力容器(RPV)および/または圧力格納容器(PCV)の底に落ちて、そこで原子炉の内側やコンクリート構造や他の物質と溶け合って融合した後、燃料デブリとして固化したものと想定されている。
【0004】
1Fの廃炉を進めるために、適切で安全な「梱包、移送および格納(PTS)」手法を用いてRPV/PCVから燃料デブリを除去することが必要である。燃料デブリ取り出し手順は10年以内に開始され、20年間から25年間のうちに完了することが予定されている。30年から40年後、燃料デブリは全て中間格納所に置かれることが計画されている。
【発明の概要】
【0005】
放射性デブリを安全に取り除いて格納するためのコンテナおよび方法の実施の形態が提供される。
【0006】
とりわけ、ある実施の形態は、放射性デブリが臨界に達し得ないように、水中または空気中において放射性デブリを安全に収容して閉じ込めるよう設計されたキャニスタである。キャニスタは、上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、下端に設けられた平板状底部と、上端に設けられた開放上部と、開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有する。放射性デブリが核臨界に達し得ないように、キャニスタの直径は約49.5センチメートル(cm)以下であり、キャニスタの内側軸方向長さは381.0ccm以下である。さらに、放射性デブリが二酸化ウラン(UO2)燃料を含み、該二酸化ウラン燃料の量が約100キログラム(kg)以下であり、かつ、UO2燃料の初期濃縮が約3.7パーセント以下であることが想定される。
【0007】
とりわけ、他の実施の形態は、放射性デブリが臨界に達し得ないように、水中または空気中において放射性デブリを安全に収容して閉じ込めるよう設計されたキャニスタである。キャニスタは上記パラグラフで説明された特徴に加えて、キャニスタの内部に長尺フラックストラップを有する。フラックストラップは、キャニスタの内側が複数のセクタに分割されるようにする。フラックストラップは中性子アブソーバと揃えられていてもよい内側空き領域を有し、キャニスタが水中にある場合、内側空き領域は水を含む。フラックストラップは中性子の動きを遅くするよう作用し、これは望まれない中性子の倍増を制限し、したがって未臨界を確実にする。この実施の形態は、各セクタに、1つから4つの、損傷したまたは損傷していない、部分または全体の、核燃料棒アセンブリの封止を可能とする。
【0008】
とりわけ、他の実施の形態は、放射性デブリが臨界に達し得ないように、水中または空気中において放射性デブリを安全に収容して閉じ込めるよう設計されたバスケットである。バスケットは、その長手方向に沿って互いに平行な複数の長尺円筒状キャニスタを有する。複数のキャニスタのそれぞれは、上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、下端に設けられた平板状底部と、上端に設けられた開放上部と、開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有する。放射性デブリが核臨界に達し得ないように、キャニスタのそれぞれの直径は約49.5cm以下であり、キャニスタのそれぞれの内側軸方向長さは381.0ccm以下である。さらに、放射性デブリがUO2燃料を含み、該UO2燃料の量が約100kg以下であり、かつ、UO2燃料の初期濃縮が約3.7パーセント以下であることが想定される。
【0009】
とりわけ、他の実施の形態は、放射性デブリが臨界に達し得ないように、水中または空気中において放射性デブリを安全に収容して閉じ込めるよう設計されたコンテナである。コンテナは、上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、下端に設けられた平板状底部と、上端に設けられた開放上部と、開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有するオーバパックを有する。バスケットは、オーバパックの内部に設けられる。バスケットは、その長手方向に沿って互いに平行な複数の長尺円筒状キャニスタを有する。複数のキャニスタのそれぞれは、上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、下端に設けられた平板状底部と、上端に設けられた開放上部と、開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有する。放射性デブリが核臨界に達し得ないように、キャニスタのそれぞれの直径は約49.5cm以下であり、キャニスタのそれぞれの内側軸方向長さは381.0ccm以下である。さらに、放射性デブリがUO2燃料を含み、該UO2燃料の量が約100kg以下であり、かつ、UO2燃料の初期濃縮が約3.7パーセント以下であることが想定される。
【0010】
とりわけ、他の実施の形態は、放射性デブリが臨界に達し得ないように、水中または空気中において放射性デブリを安全に格納するためのコンテナである。コンテナは、上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、下端に設けられた平板状底部と、上端に設けられた開放上部と、開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有するオーバパックを有する。バスケットは、オーバパックの内部に設けられる。バスケットは、バスケット内においてその長手方向に沿って互いに平行な複数の長尺円筒状キャニスタを有する。複数のキャニスタのそれぞれは、上端と下端との間に延びる長尺円筒状筐体と、下端に設けられた平板状底部と、上端に設けられた開放上部と、開放上部の上に取り付けられた円板状蓋と、を有する。バスケットのそれぞれの内径は約49.5cm以下であり、バスケットのそれぞれの内側軸方向長さは381.0ccm以下である。複数のキャニスタのうちの少なくともひとつは長尺フラックストラップを有し、該長尺フラックストラップは、キャニスタの内側が複数のセクタに分割されるようにする。フラックストラップは中性子の動きをゆっくりにするための、空気を伴うひとつ以上の内側空き領域を有する、フラックストラップを有するキャニスタはその複数のセクタのうちの少なくともひとつに放射性デブリを有する。フラックストラップのため、複数のセクタに放射性デブリを搭載することができ、該放射性デブリが二酸化ウラン(UO2)燃料を含み、該二酸化ウラン燃料の量が任意でありかつその初期濃縮も任意である。さらに、フラックストラップを有する各セクタの中に、1つから4つの核燃料棒アセンブリの一部又は全体を搭載することができる。
【0011】
以下の図面および詳細な説明を調べると、本発明の他の装置、方法、装置、特徴および利点は当業者には明らかであるか、明らかになるであろう。そのような追加的なシステム、方法、特徴および利点の全てが本明細書の中に含まれ、本発明の範囲内にあり、かつ添付の請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図面を参照することにより、本開示の多くの態様をより良く理解することができる。図面内のコンポーネントは必ずしも実寸通りではなく、むしろ本開示の原理を明確に説明するために強調がなされている。さらに、図面において、いくつかの図面を通じて、同様の参照符号は対応する部材を示す。
【0013】
【
図1A】キャニスタの第1の実施の形態(開放設計)を、蓋が取り付けられていない状態で示す斜視図である。
【0014】
【
図1B】キャニスタの第2の実施の形態(十字形、または分割設計)を、蓋が取り付けられていない状態で示す斜視図である。
【0015】
【
図1C】
図1Aまたは
図1Bそれぞれのキャニスタの第1または第2の実施の形態を、蓋が取り付けられている状態で示す斜視図である。
【0016】
【0017】
【
図3】蓋を伴う
図1Bのキャニスタの第2の実施の形態の断面図である。
【0018】
【
図4】
図1Bのキャニスタの第2の実施の形態の、
図3のセクション線F-Fに沿って切られた断面図である。
【0019】
【
図5】
図1Aのキャニスタの第1の実施の形態の、
図3のセクション線G-Gに沿って切られた断面図である。
【0020】
【
図6】
図1Bのキャニスタの第2の実施の形態の、
図3のセクション線G-Gに沿って切られた断面図である。
【0021】
【
図7】
図5の詳細H-Hの断面図であり、ふるいを示す。
【0022】
【
図8】
図2の詳細I-Iの断面図であり、デブリシールを示す。
【0023】
【
図9】
図2の詳細J-Jの断面図であり、キャニスタ取り合い用の凹部を示す。
【0024】
【0025】
【0026】
【
図12】
図1Bのキャニスタの第2の実施の形態の内側に沿って延びるフラックストラップの断面図である。
【0027】
【
図13】
図1の複数のキャニスタを囲んで閉じ込めるバスケットの斜視図である。
【0028】
【
図14】オーバパックに組み付ける直前のキャニスタに関連付けられたドレーンポートおよびベントポートの斜視図である。
【0029】
【
図15】キャニスタおよびキャニスタ閉塞蓋を持ち上げるために用いられうるキャニスタ取り合いの斜視図である。
【0030】
【
図16】
図13のバスケットを持ち上げるために用いられうるバスケットスパイダー取り合いの斜視図である。
【0031】
【
図17】
図13のバスケットがその中へと配置されるオーバパックを、その蓋がない状態で、示す斜視図である。
【0032】
【
図18A】
図5Aのオーバパックに取り付け可能な蓋の第1の実施の形態である。
【0033】
【
図18B】
図5Aのオーバパックに取り付け可能な蓋の第2の実施の形態である。
【0034】
【
図19】複数のキャニスタを包含するバスケットを包含するオーバパックを有するコンテナの斜視図である。
【0035】
【0036】
【
図21】
図19のコンテナの、
図12のセクション線A-Aに沿って切られた断面斜視図である。
【0037】
【0038】
【0039】
【
図24】コンテナが格納構成にある場合のフィルタの使用を含む、
図21の詳細C-Cを示す部分拡大図である。
【0040】
【
図25】コンテナが輸送構成にある場合のカーバプレートの使用を含む、
図21の詳細C-Cを示す部分拡大図である。
【0041】
【
図26】コンテナのオーバパック蓋に関連付けられた膨張シールを含む、
図21の詳細D-Dを示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
IF燃料デブリ用のPTSシステムを構築するために、核燃料デブリの状態、法的規制、および原子炉圧力容器(RPV)および圧力格納容器(PCV)内部の状態に基づいて手順を形成する必要がある。これは、核燃料物質を扱う際の臨界防止や、水素爆発の防止や、他の全ての関連する安全関連機能の評価を十分に考慮することを必要とする。
【0043】
燃料デブリ取り出し手順は水で満たされたPCVで実行されることが計画されている。放射に対するシールドと放射性物質の散逸の防止のためである。PTS手順中の未臨界を維持するために、IF燃料デブリは制御された内径を有するキャニスタの中に確保されるであろう。
【0044】
燃料デブリが燃料デブリキャニスタの中に安全に梱包されると、キャニスタ内にはいくらかの水もまた含まれるであろう。したがって、水の放射線分解により水素が発生しうる。燃料デブリキャニスタを扱う際の水素爆発を防止するため、キャニスタは、キャニスタ内でそのように生成された水素の開放を可能とするメッシュ型フィルタを含む。燃料デブリからの核分裂物質がこのフィルタから水素と共に開放されうることがありうると考えられている。フィルタを伴う燃料デブリキャニスタは、核分裂物質がキャニスタから放たれる場合であっても、(例えば、ウェットプール環境において)未臨界を維持するよう設計されなければならない。キャニスタから放たれる水素および核分裂物質を取り除くための装置の使用も可能である。
A. プロセス概説
【0045】
以下は、デブリの梱包および搭載されたデブリキャニスタのその後の管理の概説である。
1. キャニスタローディング
【0046】
キャニスタへの燃料デブリの搭載は、原子炉圧力容器の側で行われるであろう。詰めた後、キャニスタに蓋が置かれ(ボルトはされない)、次いでそれは既存の水路を通って原子炉の使用済み燃料プールへと運ばれるであろう。デブリの搭載が臨界に対する指定されたマージンに違反しないことを確実にするために、搭載中のキャニスタの反応性を推測するために、必要であれば、キャニスタ搭載ステーションの側に設けられた中性子モニタを利用可能である。また、可搬型計量プラットフォームも利用可能であるべきである。この場合、そうでなければ指定された重量制限に違反してしまうようなデブリの搭載を中止することができる。
【0047】
充填されたキャニスタは原子炉の使用済み燃料プールのなかで受け取られ、五つのキャニスタを保持するラックに収められる。これらのラックは金属製オーバパックの中で用いられるであろうバスケットであり、これは後にまず移送キャスクの中に搭載され、その後輸送キャスクの中に搭載されることがあり、最終的には長期中間貯蔵のために換気されたコンクリート製のドライ貯蔵キャスクの中に搭載される。
【0048】
この時点で、キャニスタ内のデブリは完全に水に浸され、加水分解により水素が生成されるであろう。キャニスタはそのような水素の放出を可能とするための排気パイプを含み、これは、キャニスタと、外部の水素/排気ガス処理および収集施設との接続を可能とするであろう。原子炉の使用済み燃料プールの側にはそのような施設を配置するのに十分広いフロアスペースがあるはずであり、その主な機能は以下のようなものであろう。(a)キャニスタからの気体および水分蒸気はまずサイクロンモイスチャセパレータ(Cyclone Moisture Separator)に入る、(b)残った気体はデュプレックスフィルタモニタリングアセンブリ(Duplex Filter Monitoring Assembly、DFMA)に導かれる、(c)フィルタされた気体はガスコレクションヘッダ(Gas Collection Header、GCH)内に集められる、(d)集められた気体はプラントベンチレーションシステム(Plant Ventilation System、PVS)へと排出される。
【0049】
デブリキャニスタは、キャニスタの排液および/またはパージの際に用いられる第2貫通ラインを含むであろう。貯蔵のこの初期期間中に、この第2ラインは、何らかの理由で水素発生がローワーエクスプローシブリミット(Lower Explosive Limit、LEL)濃度を超えて増えた場合にヘリウムガスでのパージを可能とする許容不可な動作条件に対する警告を提供するために、キャニスタからの各ラインは監視されるであろう。
2. 原子炉の使用済み燃料プールデブリキャニスタの排液および乾燥
【0050】
適切であるとみなされたとき、五つのデブリキャニスタを保持する各バスケットは原子炉の使用済み燃料プール(キャニスタ処理ステーション)内の他の場所に移され、そこでは五つのキャニスタのグループが外部のキャニスタ処理システムに接続されるであろう。これは、各キャニスタから排水し、次いで、水分のほぼ全てを追い出すために摂氏約150度のヘリウムで各キャニスタをパージするであろう。これが達成されると、必要であれば、五つのキャニスタのバスケットはプール内の元の貯蔵位置に戻され、そこでそれは再び外部ガス除去および処理システムに接続されうる。それは、他の貯蔵場所への移送が行われるようなときまで、そこに留まりうる。この比較的乾燥した条件では、加水分解を通じた水素の発生はかなり抑えられるであろう。あるいはまた、キャニスタをオーバパックおよび移送キャスク内にすぐに梱包し、原子炉の使用済み燃料プールからデブリキャニスタを取り除いてもよい。
3. 原子炉の使用済み燃料プールからの移送
【0051】
原子炉のプールからの移送の前に、バスケットは、それ自身が既に移送キャスク内に搭載されてしまっている金属製オーバパック内に搭載されるであろう。この時点で、オーバパックには一時的なシールド蓋が嵌められているであろう。この一時的な蓋への貫通を通じて、キャニスタのドレインラインは閉じられ、排気ガス貫通ラインに外部フィルタが取り付けられるであろう。一時的な蓋は最終クロージャ蓋により置き換えられるであろう。この最終クロージャ蓋は、デブリ管理において予期される次のステージに依存して、ボルト締めされるかまたは溶接されるデザインのものである。例えば共通AFR(away from reactor、原子炉から離れた)ウェットプールへのオンサイト移送を行うつもりであれば、クロージャ蓋はボルト締めされるであろう。AFR(オフサイト)中間ドライ貯蔵への直接移送を行うつもりであれば、クロージャ蓋は溶接されるであろう。
【0052】
溶接クロージャは、オフサイト輸送の期間のための単純なクロージャ板を含む。貯蔵場所に着くと、これは外部フィルタに置き換えられる。キャニスタがオーバパックから取り出されて再びウェットプール環境に格納されるような場合、ボルト締めクロージャは単に単純なカバー板を含む。あるいはまた、移送中にかなりの時間の中断が生じうることが心配される場合、それはまた外部フィルタを含みうる。
【0053】
動作の次の段階(ウェットプールやドライ貯蔵)に進む前に、金属製オーバパックから廃液して乾燥させるであろう。
4. デブリキャニスタの鍵となる特徴
【0054】
二つのキャニスタの変形例が開示される。第1のものは内部の分割を伴わない開放構造であり、これにより、デブリの搭載が容易になり、最終的にはより小さい直径のキャニスタで達成されうるものと比べてより高い充填密度を期待することができる。第2のものは十字形の内部分割材を含むものであり、これは、実質的に無傷の燃料アセンブリが原子炉コアから回収された場合(分割材はそのような無傷のまたは部分的に無傷の燃料アセンブリピースを四つまで容易に搭載することを促進するのを助けるであろう)のためのものであり、および/または見積もられている平均デブリ混合体よりも高い濃縮ウラン濃度(これは開放キャニスタ設計では未臨界とはならないかもしれない)を有しうるデブリを扱うことができる。提案されるキャニスタのサイズの根拠およびいかにして未臨界が確保されるかの完全な詳細は後述される。
【0055】
キャニスタが排水され、乾燥され、オーバパックに梱包される前、それらは一体的なフィルタを含んでいないであろう。デブリ管理のこれらのフェーズ中、適宜、排他的に外から取り付けるフィルタが用いられるであろう。
【0056】
キャニスタはまた、いかなる水素吸収材や他の水素制御デバイスも特徴としないであろう。例えば、キャニスタ内部に水素捕集器を含めることは役に立たないことが分かっている。そのような捕集器は比較的短期間のうちに飽和し、その後はデブリからの水素放出の管理に寄与し得ない。
B. 未臨界の保証
【0057】
回収対象の混合デブリに含まれているであろう種々の物質の量が見積もられている。圧力容器内にいまだ存在しているであろうデブリについて、これは、ある種の金属製構造材(燃料被覆管、BWRチャネル、BWRアセンブリコンポーネント、可能性として制御棒ブレード、可能性としてある原子炉構造材)と混ざったウランが主なものであろう。圧力容器を貫通してコンクリート隔壁のベースに落ちたデブリについて、混合体はコンクリートとある追加的な鉄と他の金属(圧力容器や下部コアプレートや圧力容器の下にある制御棒駆動機構などからのもの)とを含むことが予想される。
【0058】
最良の計算を行うために、コアデブリからサンプルをとる必要がある。サンプルを解析することで、典型的な組成や想定される組成の範囲についての正確な情報を提供することができる。そのような情報が無い中で、UO2と炭素鋼との種々のもっともらしい比での仮想混合体に基づいて予備的な計算が行われた。これは、表Aに示される近似情報に基づく。
表A
【0059】
事故当時のコアのウランの平均濃縮濃度は3.7パーセントU235であったと想定される。これは、コアにロードされる新しいアセンブリの典型的な平均アセンブリ濃縮濃度である。個々の棒およびペレットは、4.95パーセントU235までの初期濃縮濃度を有していたであろう。実際は、コア内の燃料のいくらかはかなりの燃焼を経験していたであろうから、平均3.7パーセントという仮定は反応性の評価に関して保守的な仮定であると考えられる。
【0060】
最初の臨界計算は、様々な比での一様なウランと他の物質との混合体の非常に保守的な仮定の下で行われた。+2σレベルでの最大許容反応性として0.95というKeff値が用いられる。これらの保守的な条件の下、55パーセントのUO2含有で、キャニスタに約250リットルのデブリが搭載されたところで反応性がピーク値に達し、その値はKeff=0.95というリミットのちょうど下である。より多くのデブリが追加されると、水(moderator、減速体)が追い出され、反応性が少し減少する。
【0061】
しかしながら、デブリ混合物内のUO2割合が60パーセントへと増やされた場合、キャニスタに約200リットルのデブリが搭載されたときに0.95リミットを超過することが予想される。キャニスタがさらに充填されるにつれて反応係数が低減するとしても、これは許容できない。UO2が55パーセントという想定割合には大きな不確定性があるので、明らかに、この予備的臨界評価は、1Fのデブリでキャニスタをいっぱいにすることができる能力に関して対応する不確定性を残す。
【0062】
しかしながら、実際のところ、キャニスタへの積載のために回収され提出されるデブリは、高温で融合し合った比較的大きな物質片の形態であることが想定される。言い換えると、キャニスタ内のデブリ/水混合物は高度に不均質であろう。したがって、種々の物理的形態を有するデブリ片を伴うデブリと水との不均質混合物を仮定して、計算が行われた。これらのより現実的な仮定の下で、UO2および他の物質を、約55:45から約70:30までの間の任意の比率でキャニスタに満載することができ、このときKeffは0.95制限値のはるか下の約0.5を超えることはないと、計算された。
【0063】
しかしながら、全てのデブリについての平均値よりも高い濃縮ウラン濃度を伴うデブリが、個別のキャニスタへの積載のために回収され提出されうることが認識されている。極端な場合、完全に濃縮されたウラン材料のホットスポットが存在しうる。純粋な濃縮ウランについて、反応性リミットに違反することなくキャニスタへ搭載可能な最大量は小さい。これは、オペレータに警告を提供する、提案に係る中性子監視施設により取り上げられる。
【0064】
この時点で、如何に進めるかについての決定が要求される。ひとつのオプションは、高濃縮ウラン含有デブリを比較的少量のみ搭載することであり、この場合、キャニスタの容積は十分に活用されない。これは技術的には許容可能であるが、経済的な損失(より多くのキャニスタを購入し、取り扱い、輸送し格納すること)が発生するであろう。代替案は、デザインを変更したキャニスタにそのような物質を搭載することであり、これは十字形デザインとして以下に説明される。
C. 実施の形態
【0065】
図1Aは、本開示のキャニスタ10の第1の実施の形態(開放設計)を示す斜視図であり、該形態は総じて参照符号10aで示される。キャニスタ10aは、上端13と下端15との間に延びる長尺円筒状筐体11を有する。下端15には、筐体11に溶接された平板状底部がある。上端13に設けられた開放上部は円板状蓋17を受けるよう設計され、該蓋17は筐体11に溶接されるかボルト締めされうる。
【0066】
好適な実施の形態では、クロージャ蓋は単一ピースの蓋デザインであり、その蓋は、長い持ち手を有する水中治具を用いて作業可能なコーンボルト(cone bolts)を用いてキャニスタ10aに固定される。クロージャ蓋17は取り合い治具に係合してその取り合い治具を用いて扱われ、該取り合い治具はまたキャニスタ10aを扱うために使用可能である。クロージャ蓋17が完全に装着され、全てのボルトが適切に締められると、クロージャ蓋17は取り合い治具に係合され、これにより積載済みキャニスタの取り扱いをより容易にすることができる。
【0067】
設計された構成に適したOリングを用いることで、クロージャ蓋17はその上部ヘッドにおいてシールされる。キャニスタ10aは、閉じ込めた燃料デブリからの排気ガスの連続的な通過を許容する。したがって、従来のリークタイトなシーリング構成は不要である。しかしながら、キャニスタ10aが水中貯蔵されることから、水漏れのない構成は必要である。放射性デブリが核臨界(または望まれない核反応)に達し得ないように、キャニスタ10aの直径は約49.5cmまたは約19.5インチ以下であり、キャニスタ10aの内側軸方向長さは約381.0ccmまたは約150.0インチ以下である。言い換えると、燃料デブリは小さなピースへと切断され、それらのピースはキャニスタ10aにフィットするのに十分なほど小さくなければならない。これにより、それらのピースが望まれない核臨界に達しないことが保証される。さらに、各キャニスタ10a内の放射性デブリが二酸化ウラン(UO2)燃料を含み、該二酸化ウラン燃料の量が約100kg以下であり、かつ、UO2燃料の初期濃縮が約3.7パーセント以下であることが想定される。さらに、キャニスタ10aにUO2燃料とひとつ以上の他の非放射性物質(例えば、炭素鋼)とを、55:45から70:30までの任意の体積比で満載することが想定される。さらに、望まれない核臨界を避けるために、キャニスタ10の第1の実施の形態は中性子アブソーバを必要としないことを注意しておく。
【0068】
図1Bは、本開示のキャニスタ10の第2の実施の形態(十字形、または分割設計)を示す斜視図であり、該形態は総じて参照符号10bで示される。キャニスタ10bは、上端13と下端15との間に延びる長尺円筒状筐体11を有する。下端15には、筐体11に溶接された平板状底部がある。上端13に設けられた開放上部は円板状蓋17を受けるよう設計され、該蓋17は筐体11にボルト締めされる。
図1Aのキャニスタ10aとは異なり、キャニスタ10bはさらにフラックストラップ19を含み、フラックストラップ19は内部チャネル21またはポケットを伴う複数のスポーク20を有し、内部チャネル21またはポケットは中央長尺ハブサポート23から外向きに延びる。これらのチャネル21は、キャニスタ10bが水中にある場合には水で満たされ、キャニスタ10bが水中から取り出されて排水が許された場合には空気で満たされる。フラックストラップ19は
図2に示されるように、十字形の断面を有する。矩形チャネル21の断面幅またはギャップは、好適には、約2.54cmまたは約1.0インチ以上である。約0.75インチまでギャップを狭めると、Keffの最大値が約0.938となる。1インチの公称ギャップではKeffの最大値は約0.907となる。さらに、スポークの内壁は中性子アブソーバ(
図6)を含む。全てが3.7パーセントU
235のウラン材でウラン対水の最適比(すなわち、最大反応性構成)が仮定される場合であっても、ギャップと中性子アブソーバとの組み合わせは燃料デブリの満載を可能とする。したがって、この実施の形態では、キャニスタ10bは、任意の量の二酸化ウラン(UO2)燃料を伴う放射性デブリを含むことができ、その二酸化ウラン燃料の初期濃縮は任意であり、かつ、ひとつ以上の他の物質との体積比も任意である。
【0069】
要は、フラックストラップ19および中性子アブソーバは、中性子が遅すぎることにより非熱化条件において分裂プロセスに意味のある影響を与えることができないように、中性子を遅くする。キャニスタ10bが水中にある場合に、フラックストラップ19は特に重要である。フラックストラップ19のために、キャニスタ10bは四つのセクタを有し、各セクタは炉心溶融物などの燃料デブリを受け入れ可能であり、または代替的には、任意の条件において核燃料棒アセンブリを四つまで受け入れ可能である(第1の実施の形態はそのようなアセンブリを含むよう設計されていないので、第1の実施の形態とは異なる)。放射性デブリが望まれない核臨界に達し得ないように、キャニスタ10bの直径は約49.5cmまたは19.5インチ以下であり、キャニスタ10bの内側軸方向長さは約381.0ccmまたは約150.0インチ以下である。
【0070】
図2は、蓋17を伴う各
図1のキャニスタ10の上面図である。
図3は、蓋17を伴う
図1Bのキャニスタ10bの第2の実施の形態の断面図である。キャニスタ10aの第1の実施の形態はそれがフラックストラップ19を含まない点を除いて同様である。
【0071】
図4は、
図1Bのキャニスタ10bの第2の実施の形態の、
図3のセクション線F-Fに沿って切られた断面図である。
【0072】
図5および
図6はそれぞれ、
図1Aおよび
図1Bのキャニスタ10の第1および第2の実施の形態の、
図3のセクション線G-Gに沿って切られた断面図である。
図7は、
図5の詳細H-Hの断面図であり、デブリ用ふるいを示す。
図1Bに示されるように、キャニスタ10bに関連付けられたフラックストラップ19はオプションで、チャネル21の内壁上に中性子アブソーバを含み、それは適切なリテーナによりその場に保持される。
【0073】
図8は、
図2の詳細I-Iの断面図であり、デブリシールを示す。
図9は、
図2の詳細J-Jの断面図であり、キャニスタ取り合い用の凹部を示す。
【0074】
蓋17と係合する上部クロージャヘッド18の詳細は
図10に示される。内殻と外殻とは上部ヘッドリングによって上端13においてシールされる。内殻と外殻との間のスペースはベント接続およびドレイン接続を導入するための手段を提供する。排気ガスを処理し、キャニスタ10を監視施設に繋ぐために、ベント接続が必要である。ベントは、放射性気体、例えばクリプトン(Kr)やヨウ素(I2)など、の漏出を防ぎつつ、水素がキャニスタ10から逃れることを可能とする。逃れた気体はオーバパック61(
図17)に入り、次いでフィルタ92(
図24)を介してオーバパック61から逃れる。このベントポート19aは、キャニスタ10の最上部を処理施設や監視施設によって評価することを確実にしつつ放射の流れを最小化するよう構成される。ドレインポート19bは、排水を促進するために、キャニスタ10の底へと延びている。上部クロージャヘッド18は厚いボルト締めクロージャ蓋17のための着座面を提供する。好適な実施の形態では、該蓋17の厚さは8.38cmまたは3.3インチである。
【0075】
下部クロージャヘッド25の詳細は
図11に示される。キャニスタ内殻は、その底板に、排液を可能としつつ微細なデブリ粒子を閉じ込める12個のふるい付き孔を組み入れる。これらの孔に嵌まるふるい材は250ミクロンを超えるサイズの物質を留める。250ミクロンはこの種のアプリケーションにおいて典型的なふるいの目のサイズである。逃れた液体はオーバパック61(
図17)に入り、次いでオーバパック61から排出される。これらのふるいを通過したより小さな粒子性物質は、キャニスタ10がプール貯蔵されている間にキャニスタ10に接続されるであろう外部施設で捕獲され処理されるであろう。
【0076】
キャニスタ10の内腔へのアクセスは、ボルト締めされたクロージャ蓋17とは完全に独立したベントポートフィッティングおよびドレインポートフィッティングによって制御される。各ポートフィッティングは、
図14に示されるようなバネ付勢ポペットフィッティング27であり、これは、特別に設計されたクイックカップリングが重要な役割を果たす水中アプリケーションで用いられてきた。このアプリケーションの例は油、気体、および他の深海プロジェクトであり、また、初期のNASAプログラムで始まった、宇宙船で用いられたクイックディスコネクト(quick disconnects)もある。
【0077】
キャニスタ10の排水および乾燥が完了し、オーバパック61(
図17)へ装着する直前に、ベントポートフィッティングおよびドレインポートフィッティングの両方にフィルタ付きキャップアセンブリが装着される。このタイプのフィルタアセンブリは、水素や他の排気ガスがキャニスタ10から逃れることを可能としつつ、粒子性物質(1ミクロンより小さい)がキャニスタ10内に留め置かれることを保証する。
【0078】
図13は、その長手方向に沿って互いに平行に構成された
図1の複数のキャニスタ10を囲んで閉じ込めるバスケット30の斜視図である。
図3では、非限定的例として、バスケット30は三つのキャニスタ10aと二つのキャニスタ10bとを有するように示されている。バスケット30は、複数の長尺円筒状キャニスタ10を囲う複数の互いに離間した平行囲い板31を有する。囲い板31のそれぞれは、底板33を除いて、対応するキャニスタ10を通過させるようにして受ける複数の円形開口を有すし、底板33にはそのような開口はない。複数の長尺持ち上げ棒35は、バスケット30の周りに等間隔に設けられ、複数の長尺円筒状キャニスタ10に沿って延びる。持ち上げ棒35のそれぞれは上端37と下端39とを有する。持ち上げ棒35のそれぞれは、上端37に設けられたアイフック41を有する。棒35は、板31および33に取り付けられる。
【0079】
図15は、キャニスタ10と蓋17とを動かすために用いられうる四脚キャニスタ取り合い29の斜視図である。キャニスタ取り合い29は複数の脚41を有し、本例では全部で四脚であり、円板状ボディ42から下向きに延びる。脚41のそれぞれは示されるようなC字状をしている。キャニスタ取り合い29は、ボディ42から上向きに延びるアイフックアセンブリ44のアイ44を介して天井クレーンシステムに接続される。理想的には、延長梁を用いることで取り合いと天井クレーンホイストとを接続できるとよい(クレーンフックを乾燥状態に保つため)が、これは問題の原子炉に現在配備されているクレーン構成について十分な天井高さがあるか否かに依存する。天井クレーンホイストフックは、クレーンフックを要求される極位置に回転させるための回転デバイスを有すべきである。キャニスタ取り合い29は、キャニスタ取り合い29の脚41がキャニスタ10やキャニスタクロージャ蓋17それぞれのL字形スロット48および50に入るように、下げられる。定位置へと下げられると、キャニスタ取り合い29は、取り合い脚の足をキャニスタ10やキャニスタ蓋17の対応する開口と係合させるために回される。キャニスタ10またはキャニスタ蓋17が所望の場所へと再配置されると、キャニスタ取り合い29は、まずそれを逆回転方向に回し、次いでそれを持ち上げてどかすことによってスロット48または50のいずれかから外される。
【0080】
図16は、
図13のバスケット30を持ち上げるために用いられうるバスケットスパイダー取り合い45の斜視図である。バスケットスパイダー取り合い45は複数のアーム47を有し、本例では全部で五本あり、中央ボディ53から外向きに延びる。五本のアーム47のそれぞれはL字形の外向きに開いたフック49を有し、該フック49はバスケット30の持ち上げおよび移動が可能なように、対応する持ち上げ棒アイフック41に係合するよう設計される。例えば、この場合、バスケット30はオーバパック61(
図9)の中に置かれるか、オーバパック61から取り出される。さらに、スパイダー取り合い45は中央ボディ53から上向きに延びる持ち上げアイアセンブリ55を有する。天井クレーン(不図示)がアイ57を用いることで、スパイダー取り合い45と共にそれに取り付けられたバスケット30をも動かすことができる。
【0081】
図17は、
図13のバスケット30がその中へと配置されるオーバパック61を、その蓋がない状態で、示す斜視図である。オーバパック61は、上端65と下端67との間に延びる長尺円筒状筐体63を有する。下端67には、筐体63に溶接されるかボルト締めされる平板状底部がある。上端65に設けられた開放上部は円板状蓋69を受けるよう設計され、該蓋69の第1および第2の実施の形態はそれぞれ
図18Aおよび
図18Bに示され、参照符号69aおよび69bで示される。蓋69aおよび69bのそれぞれは複数の孔71を有し、空気または水がその孔71を通過し、また蓋69aおよび69bのそれぞれは複数のねじ穴73をも有し、ねじ穴73は天井クレーンが、例えばリフティングラグ(lifting lugs)により、閉じ込められたバスケット30およびキャニスタ10を伴うオーバパック65を動かすことを可能とするための手段を提供する。
図18Aの蓋69aはボディ63に溶接されるよう設計される。代替として、
図18Bの蓋69bは、ボルト孔75を介してボディ63にボルト締めされるよう設計される。ボルト(不図示)は蓋69bの対応する孔75を貫通し、
図17に示される対応するねじアセンブリ77へと入る。ねじアセンブリ77はボディ63の内側に溶接されるか、そうでなければ取り付けられる。ある実施の形態では、オーバパック61への取り付けの前に蓋69aまたは69bの周の周りに膨張シールが設けられてもよい。
【0082】
図19は、複数のキャニスタ10を包含するバスケット30を包含するオーバパック61を有するコンテナ90の斜視図である。コンテナ90は溶接された蓋69a(
図18A)と共に示される。コンテナ90はまた、コンテナ90が貯蔵構成にあるときに用いられるフィルタ92と共に示される。
【0083】
【0084】
図23は、
図11のコンテナ90の、
図22のセクション線B-Bに沿って切られた断面図である。この例では、バスケット30は三つのキャニスタ10aと二つのキャニスタ10bとを有するように示されている。コンテナ90は、コンテナ90が輸送構成にあるときに用いられるカバープレート94と共に示される。
【0085】
図24は、コンテナ90が格納構成にある場合の、ドレインライン96を伴うフィルタ92の使用を含む、
図21の詳細C-Cを示す部分拡大図である。
【0086】
図25は、コンテナ90が輸送構成にある場合のカーバプレート94の使用を含む、
図21の詳細C-Cを示す部分拡大図である。
【0087】
図26は、コンテナ10のオーバパック蓋69に関連付けられた膨張シール98を含む、
図21の詳細D-Dを示す部分拡大図である。
【0088】
この設計上の選択に限定されるわけではないが、好適な実施の形態では、キャニスタ10、バスケット30およびオーバパック61に関連付けられた部材の全ては金属、例えばステンレス鋼、製である。これは、その長期腐食耐性およびそのリーズナブルな費用に基づく。
【0089】
本発明の上述の実施の形態、特に「好適な」実施の形態、が単なる可能性のある非限定的実装例であり、単に本発明の原理の明確な理解のために設けられたものであることは強調されるべきである。本発明の精神および原理から実質的に逸脱することなく、本発明の上述の実施の形態に対する多くの変形や変更がなされうる。本明細書において、そのような変形や変更の全てが本開示および本発明の範囲内に含まれることが意図されている。